日本語でわかる最新の海外医学論文|page:843

RCTの35%が再解析で異なる結論に/JAMA

 米国・スタンフォード大学のShanil Ebrahim氏らは、「無作為化臨床試験(RCT)のデータを再解析することは、科学界が既報の試験結果の妥当性を評価するのに役立つ可能性がある」として、RCTデータの再解析報告の現状について調べた。オリジナル試験との方法論などの違いを特徴づける検討を行った結果、現在までに発表されたRCTの再解析報告はわずかで、完全に独立した著者により実行されたものはほとんどなかった。また再解析報告のうち35%が、オリジナル試験論文と比べて、治療すべき患者のタイプや数について異なる結論がみられたという。JAMA誌2014年9月10日号掲載の報告より。

極薄タイプの新型溶出ステントの有用性/Lancet

 経皮的冠血行再建術に用いる薬剤溶出ステントについて、新型の極薄タイプの生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントの安全性、有効性の試験結果が報告された。スイス・ベルン大学病院のThomas Pilgrim氏らによる、耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントとの比較で検討した無作為化単盲検非劣性試験BIOSCIENCEで、12ヵ月時点の安全性・有効性複合アウトカムは非劣性であることが示された。試験集団は、除外基準最小で、2剤併用抗血小板療法のアドヒアランスが高い(80%超)患者集団であった。また事前規定のサブグループ解析で、ST上昇型心筋梗塞患者における顕著な有益性がみられたが、著者はその点についてはさらなる検討が必要であるとしている。Lancet誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。

厳格な血糖コントロールのご利益と選択の是非(解説:景山 茂 氏)-246

ACCORD研究は、強化療法群における死亡が有意に多かったために早期終了し、平均追跡期間は3.7年であった。本論文は、この試験期間に加え、試験終了後は両群共に緩やかな血糖コントロールに変更して追跡した1.2年のデータを加えて報告している。平均年齢62歳、2型糖尿病の罹病期間10年の心血管疾患のハイリスクの患者においても、心筋梗塞は強化療法群において少ないことが示された。

急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学

 順天堂大学の八田 耕太郎氏ら精神科救急医療機関の多施設共同研究グループ(JAST study group)は、統合失調症の急性期患者でリスペリドンまたはオランザピンの早期治療反応不良(ENR)例について、それぞれへの切り替えvs. 追加併用の検討を行った。結果、リスペリドンENR患者でオランザピンへの切り替えは、オランザピン追加併用よりもわずかだが優れる可能性が、一方でオランザピンENR患者ではリスペリドン追加併用がリスペリドン切り替えよりもわずかに優れる可能性が示されたことを報告した。Schizophrenia Research誌2014年9月号の掲載報告。

ベストマッチの合成薬とベストな試験デザインがもたらした心不全治療のパラダイムシフト(解説:原田 和昌 氏)-245

ここ10年間にFDAより認可された新規の経口心不全治療薬はない(ivabradineも認可せず)。アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるLCZ696は駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者において、β遮断薬などの標準治療に上乗せして、ACE阻害薬エナラプリルよりも、死亡および入院リスクを20%有意に抑制した。

国民の3分の1はロコモ予備軍-日整会プレス説明会

 9月11日、都内において日本整形外科学会主催によるプレス説明会が10月8日の「骨と関節の日」を前に開催された。説明会では、わが国における骨・運動器関連疾患の現状や今後の対策のほか、「ロコモティブシンドロームの要因としての上・下肢の痛みとしびれ」と題して、日常の愁訴から考えるロコモティブシンドロームについてのレクチャーが行われた。

ミノサイクリンの投与は統合失調症に本当に有用か:藤田保健衛生大学

 近年、統合失調症患者にミノサイクリンを投与することで精神症状が改善するといわれている。藤田保健衛生大学の大矢 一登氏らは、抗精神病薬による治療を受けている統合失調症患者に対するミノサイクリン増強療法に関する総合的なメタ解析を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2014年8月4日号の報告。  PubMed、PsycINFO、Google Scholar、Cochrane Library databasesから、2014年6月2日までに公表されたデータを抽出した。ミノサイクリンとプラセボを比較した無作為化比較試験(RCT)から得られた患者データを用い、系統的レビューおよびメタ解析を行った。相対リスク(RR)、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(95%CI)を算出した。

ASCOの妊孕性温存ガイドライン改訂

 妊孕性温存は、がんサバイバーのQOLにとって重要であり、がん治療に影響を及ぼす。この重要性を鑑み、2006年にASCOは委員会を招集しガイドラインを発行。その後の妊孕性温存の進歩に伴い、2013年に改訂が加えられた。2014年8月、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国・ニューヨーク医科大学のKutluk H Oktay氏は「ASCO Guidelines for Fertility Preservation:2013 Updates」と題し、ASCOガイドラインの概要を紹介した。

重症好酸球性喘息に新規抗IL-5抗体が有効/NEJM

 重篤な好酸球性喘息の治療において、メポリズマブ(国内未承認)は病態の増悪を有意に低減することが、グラクソ・スミスクライン社・米国Research Triangle ParkのHector G Ortega氏らが行ったMENSA試験で示された。重症喘息患者は、高用量吸入グルココルチコイドの継続治療を行っても、経口グルココルチコイドの併用の有無にかかわらず、持続性の好酸球性炎症によって頻繁に増悪を来す場合がある。メポリズマブはインターロイキン(IL)-5に対するヒト化モノクローナル抗体で、好酸球性炎症を選択的に阻害し、喀痰や血中の好酸球数を減少させることで、増悪の頻度を低下させるとともにグルココルチコイド全身投与の必要性を低減するという。NEJM誌オンライン版2014年9月8日号掲載の報告。

安定冠動脈疾患のPCI、冠血流予備量比で適応判断~2年後の結果/NEJM

 安定型冠動脈疾患の治療では、冠動脈造影時に冠血流予備量比(fractional flow reserve; FFR)を測定し、心筋虚血の可能性が高いと判定された患者のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と薬物療法を行うアプローチが、薬物療法単独よりも良好な予後をもたらすことが、ベルギー・アールスト心血管センターのBernard De Bruyne氏らが行ったFAME 2試験で示された。血行再建術の成果は心筋虚血の範囲や程度に依存する。FFRが0.80以下(狭窄による最大血流量の20%以上の減少)では、心筋虚血が誘発される可能性が示唆され、このような患者では冠動脈造影のみによる血行再建術よりもFFRガイド下血行再建術のほうが、臨床アウトカムは良好とのデータがあるという。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告。

ガイドラインの正当性の検証は、大規模登録観察研究で!~219万3,425件に上る分娩登録からみた、分娩後急性腎不全のリスクと対策(解説:石上 友章 氏)-244

医療、医学の進歩によって、出産、分娩の安全性が高くなったにもかかわらず、米国・カナダでは、分娩後急性腎不全が増加している。カナダでは、1,000分娩あたり1.6の発生率(2003年)であったのが2.3(2007年)に、米国では、2.3(1998年)が4.5(2008年)に増加している。分娩後急性腎不全は、母親の約2.9%もの高い死亡率をもたらしており、先進国として異例の事態を呈している。

双極性障害に対する非定型抗精神病薬比較

 スペイン・Health Value社のCarlos Rubio-Terres氏らは、双極性障害の治療薬としてのアリピプラゾールとオランザピンについて、有害事象の側面から医療費比較の検討を行った。その結果、アリピプラゾールのほうが、有害事象に関連するコストが低いことを報告した。Actas Espanolas Psiquiatria誌2014年9月号(オンライン版2014年9月1日号)の掲載報告。

心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet

 心房細動合併の心不全患者に対し、β遮断薬は死亡率の低下に結び付かないことが、英国・バーミンガム大学のDipak Kotecha氏らが行ったメタ解析の結果、明らかにされた。著者は、「今回の所見は、β遮断薬をその他の心拍コントロール治療に優先して用いるべきではないことを示すものであり、同患者の予後を改善する標準療法として推奨されないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告より。