日本語でわかる最新の海外医学論文|page:840

大腸がんの予後、血中循環腫瘍細胞と関連

 大腸がん患者において、血中循環腫瘍細胞(CTC)数で全生存期間(OS)を予測できるかどうか、関心が持たれている。イタリアのラ・サピエンツァ大学のAdriana Romiti氏らは、限局型および切除不能な大腸がん患者において、予後予測におけるCTC数の役割を検討した。その結果、大腸がん患者におけるCTCの存在は予後不良に関連することが認められた。Journal of gastrointestinal and liver diseases誌2014年9月号の掲載報告。

ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

 うつ病に対する抗うつ薬の有効性は、準至適(suboptimal)である。うつ病では一貫して血漿中ホモシステイン高値が認められ、ある種のビタミンBによる治療は明らかにその値を低下させることは知られていた。西オーストラリア大学のOsvaldo P. Almeida氏らは、大うつ病患者において、ビタミン剤が抗うつ薬の効果増強に有用であるか否かを検討した。その結果、ビタミンB6、B12および葉酸をシタロプラムに併用することにより、1年間(52週間)にわたりシタロプラムの効果が増強、維持され、ビタミンB追加の有用性が示唆された。結果を踏まえて著者は、「今回の所見は、中高年の大うつ病に対して安全かつ安価な追加選択肢として、治療ガイドラインへの適用を促すものであった」とまとめている。British Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年9月25日号の掲載報告。

糖尿病患者への降圧治療、長期死亡リスク減/NEJM

 オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のSophia Zoungas氏らは、ADVANCE試験被験者について試験後フォローアップしたADVANCE-ON試験6年時点の結果を発表した。2型糖尿病患者への降圧治療および強化血糖コントロール介入の、長期的なベネフィットについて評価した本検討において、降圧治療の死亡に対する有益性は介入終了後も減弱はするものの明白に認められた。その一方で、強化血糖コントロールの影響については、長期的な死亡および大血管イベントに対する有益性のエビデンスが認められなかったという。NEJM誌オンライン版2014年9月19日号掲載の報告より。

ステップ4の気管支喘息患者にできればステロイドを内服させたくない(解説:倉原 優 氏)-258

外来で診ている最重症の気管支喘息患者では、ステロイドの経口投与やIgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)を使うことがある。それでもコントロールができない患者は多く、さらなる武器に期待している呼吸器内科医は少なくないだろう。その1つが、モノクローナル抗体を用いた抗体医薬品である。メポリズマブは、インターロイキン-5をターゲットとしている。

運動認知リスク症候群(MCR)は認知障害の発症リスクを予測した

 運動認知リスク症候群(MCR)は、遅い歩行速度と軽度の認知異常を特徴とし、各国で新しく説明されている前認知症症候群である。米国・イェシーバー大学のJoe Verghese氏らは、MCRの頻度および認知症との関連を明らかにすることを目的に、17ヵ国の22コホートのデータを基に解析を行った。その結果、MCRは高齢者で頻度が高いこと、MCRは認知機能低下を強力かつ早期に予測しうることを報告した。Neurology誌2014年8月号の掲載報告。

座り仕事の15%が腰痛持ち、その発症要因とは

 腰痛は重要な公衆衛生問題であり、労災補償や医療費の点で大きな経済的負担となっている。北里大学の井上 玄氏らの調査によれば、腰痛発症のリスク因子として知られる座位を、長時間強いられる座作業労働者における最近の腰痛有病率は15%で、その発症には、腰痛既往歴や体重などが関与していたことを報告した。

肺がんPET、肺感染症流行地では不適/JAMA

 18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET検査による肺がんの診断は、肺感染症の流行を繰り返したり蔓延している地域(流行地)での使用は支持できないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのStephen A. Deppen氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。FDG-PETによる肺結節に対する診断精度は非常にばらついており、FDG-PET+CTによる悪性腫瘍の特定は、肺感染症流行地では同非流行地と比べて低いことが判明したという。FDG-PETは肺がん疑い症例への非侵襲的な診断手法として使用が推奨されているが、著者は、「今回のデータは、肺感染症流行地での使用は、診断精度が同程度にならない限り支持できないことを示すものであった」とまとめている。JAMA誌2014年9月24日号掲載の報告。

C型肝炎の適切な治療選択~ガイドライン改訂

 近年、C型肝炎に対する抗ウイルス薬の開発が進んでいる。昨年9月のシメプレビル3剤併用療法に続き、今年7月にインターフェロン(IFN)を併用しないダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法が承認され、今後も新しい抗ウイルス薬の承認が期待されている。このたび、都内にて10月1日(水)に開催されたヤンセンファーマメディアセミナーで、武蔵野赤十字病院 副院長 泉 並木氏が「C型肝炎の最新治療と適切な治療選択の重要性」と題し、9月に改訂された日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン(第3版)」の解説も含めて講演した。

産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は

 産後うつ病に対する抗うつ薬治療は安全に行うことができるのか。英国・ロンドン大学のEmma Molyneaux氏らは、産後うつ病の抗うつ薬治療について、複数の抗うつ薬の有効性を評価し、それぞれの有効性についてその他のあらゆる治療、プラセボまたは標準治療と比較した、レビュー論文のアップデート(前回は2001年に実施)を行った。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年9月11日号の掲載報告。

エボラウイルス病、11月には2万例超えるか/NEJM

 西アフリカのエボラウイルス病(EVD)患者は、感染対策の抜本的な改善がなされなければ、今後、毎週数百~数千例の割合で増加し続け、11月初旬には2万例を超えると予測されることが、WHO Ebola Response Teamの調査で明らかとなった。2014年3月23日、WHOはギニアにおけるEVDのアウトブレイクを公式に認定した。また、8月8日には、この流行に対し「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(public health emergency of international concern)」を宣告している。NEJM誌オンライン版2014年9月23日号掲載の報告。

米国糖尿病、直近5年は横ばい/JAMA

 米国1980~2012年の糖尿病の有病率(糖尿病と診断された人の割合)と発生率(年間新規診断者の割合)を調べた結果、1990~2008年では倍増していたが、直近の2008~2012年は横ばいに推移していることが判明した。米国疾病予防管理センター(CDC)のLinda S. Geiss氏らが報告した。糖尿病の有病率と発生率については、直近10年の動向については調査が行われ、増大傾向であることが報告されていた。しかし、長期にわたる全米レベルでの統計的な調査は行われていなかった。JAMA誌2014年9月24日号掲載の報告より。

臨床試験データの公開が必要な時代に!(解説:折笠 秀樹 氏)-257

本論文の連絡著者は、メタアナリシスや臨床試験方法論で著名なIoannidis博士である。現在はスタンフォード大学だが、ギリシャ・アテネ育ちである。オックスフォード大学のDoug Altman博士と共に来日されたとき会食したが、お刺身など日本料理は苦手な様子だった。

認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのLL Smits氏らは、認知症のタイプ別に認知機能低下の経過を長期に観察し、コントロールと比較検討した。その結果、認知症のタイプにより記憶、言語、注意、実行機能、視空間機能、全般的認知などの低下において、それぞれ特徴がみられることを報告した。今回の結果について著者は、「アウトカム評価として神経精神学的データを使用するケースが増えているため、認知症自然経過の推定は、臨床試験をデザインするうえで重要な意義がある」と考察している。Psychological Medicine誌オンライン版2014年9月17日号の掲載報告。

腎結石疑いの画像診断、超音波 vs. CT/NEJM

 腎結石疑いの患者に対する初回の画像診断法として、超音波検査法とCT検査法とでは、その後のアウトカムに有意差はないことが報告された。一方で、検査によって受ける累積被曝量については、超音波検査のほうがCT検査より低かった。また、超音波検査について、緊急救命室(ER)の医師が同室で行う「ポイント・オブ・ケア(POC)超音波検査」と、放射線科医による超音波検査を行った場合を比較した検討では、アウトカムは同等であることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のR. Smith-Bindman氏らが、2,759例について行った多施設共同無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌2014年9月18日号掲載の報告より。

化療奏効の進展型SCLCへの胸部RTは有用/Lancet

 化学療法奏効の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対し、胸部放射線療法を行うと、1年生存率は変わらないものの、2年生存率は有意に増大することが判明した。また6ヵ月の無増悪生存を達成した割合も、胸部放射線療法を行った群で高率だった。オランダ・VU大学医療センターのBen J. Slotman氏らが、498例の患者について行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「化学療法が奏効したすべてのES-SCLC患者について、予防的全脳照射に加えて胸部放射線療法を考慮すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年9月14日号掲載の報告より。