日本語でわかる最新の海外医学論文|page:840

プライマリPCIのD2B時間短縮、どう解釈すべきか/Lancet

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(pPCI)は、入院から再灌流までの時間(door-to-balloon:D2B)が短いほど、患者個人レベルでは入院死亡率や6ヵ月死亡率は低下することが明らかにされた。D2Bが10分短縮するごとに、入院死亡率は8%低下、6ヵ月死亡率は6%低下することが示されたという。米国・ミシガン大学のBrahmajee K. Nallamothu氏らが、423病院15万例超のpPCI実施症例について行った後ろ向き試験の結果、明らかにした。近年、D2Bは徐々に短縮しているが集団レベルの死亡率は低下していなかった。今回の分析でも集団レベルでは、永続的な死亡増大傾向が示され、著者は、「D2B短縮の重大性は変わらないこと、および集団レベルの傾向を個人レベルの傾向として解釈すべきではないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月19日号掲載の報告より。

がん生存率の動向~日本含む67ヵ国2,570万例のデータ/Lancet

 CONCORDワーキンググルーブでは、1995~2009年における67ヵ国のがん登録データを調査し、がん種別、国・地域別、期間別に5年生存率を推定した結果を報告した。生存率の大きな違いは、早期診断と最適な治療へのアクセスの差による可能性が高い。著者らは、「継続的な世界的サーベイランスは、がん患者と研究者において不可欠な情報源となり、また保健政策と医療システム改善のための政治家への刺激となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月26日号に掲載。

最新、抗精神病薬の体重増加リスクランキング

 第二世代抗精神病薬(SGA)は、いくつかの精神疾患に対し広く使用されている。その際、抗精神病薬誘発性の体重増加が問題となるが、そのリスクは薬剤間で異なる。抗精神病薬誘発性の体重増加は、メタボリックシンドロームや心血管イベントの増加と関連しており、これらのリスクに対する知識は、さらなるモニタリングや対策を行ううえで重要である。ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのRichard Musil氏らは、関連する直接比較試験についてシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2014年11月15日号の報告。

クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。

ステント留置後の2剤併用抗血小板療法、1年超は有用か/NEJM

 薬剤溶出ステント(DES)留置後に、チエノピリジン系薬とアスピリンによる2剤併用抗血小板療法を1年を超えて行うことは、ステント血栓症発症率や心血管イベント発生率を有意に減少するが、中程度~重度出血率も増大することが明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLaura Mauri氏らが、DESを留置した1万例弱について行った無作為化比較試験「DAPT」の結果、報告した。冠動脈ステント留置後には、血栓性合併症予防のため2剤併用抗血小板療法が推奨されているが、1年を超えて行うことのベネフィットやリスクについて不明であった。NEJM誌2014年12月4日号(オンライン版2014年11月16日号)掲載の報告より。

リクシアナ効能追加で静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢

 2014年11月26日、都内にて「経口抗凝固療法の新潮流」をテーマにプレスセミナー(主催:第一三共株式会社)が開催された。本セミナーは、今年9月に同社のリクシアナ(一般名:エドキサバン)が、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(AF)」および「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制(VTE治療・二次予防)」に対する、効能追加承認を取得したことを受けて行われたものである。ここでは、孟 真氏(横浜南共済病院 心臓血管外科部長)によって講演された静脈血栓塞栓症にフォーカスし、レポートする。

抗うつ薬と妊娠中絶との関連は

 抗うつ薬の使用は選択的妊娠中絶と関連するのであろうか。また、薬剤間で差はあるのだろうか。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬、ミルタザピン、ベンラファキシン、その他の抗うつ薬が妊娠後の中絶にどのような影響を与えるかを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のH Kieler氏らが評価した。BJOG誌オンライン版2014年11月14日号の報告。

コレステロール流出能と心血管イベントは逆相関/NEJM

 アテローム硬化性心血管疾患の新たなバイオマーカーとして、コレステロール流出能(cholesterol efflux capacity)が有望であることが、米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのAnand Rohatgi氏らによる検討の結果、明らかにされた。一般健康集団(心血管疾患のない)を対象とした検討において、コレステロール流出能とイベント発生が逆相関の関連性を有することが示され、同関連性は伝統的な心血管リスク因子、HDLコレステロール(HDL-C)値、HDL粒子数で補正後も維持されたことが示された。NEJM誌オンライン版2014年11月18日号掲載の報告より。

腎移植後のBKウイルス尿症、キノロンで予防できるか/JAMA

 腎移植後レシピエントの重大合併症であるBKウイルス感染症に対して、移植後早期開始のレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)療法(3ヵ月間投与)は、BKウイルス尿症発症を予防しなかったことが、カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らによる、前向き二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、判明した。BKウイルスの一般集団保有率は60~80%であり、移植後免疫療法は同ウイルスを再活性化することが知られる。ウイルス尿症に始まり、ウイルス血症、最終的にウイルス腎症に至る感染症の進行は、レシピエントの移植失敗に結びつくこと(10~100%)から問題視されている。今のところ同感染症に対する有効な治療戦略はないが、後ろ向き検討において、キノロン系抗菌薬の抗ウイルス効果が示されたことから、前向き試験による予防的投与の効果を検討する本試験が行われた。JAMA誌2014年11月26日号掲載の報告。

ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。

抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか

 一般的に、抗精神病薬の長期使用は死亡率、とくに心血管死のリスクを増加させるといわれているが、この知見を実証する明確なデータは存在しない。フィンランド・国立健康福祉センターのMinna Torniainen氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象に、抗精神病薬曝露と死亡率との関係を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2014年11月24日号の報告。

気管支喘息、スピリーバ レスピマットへの期待

 2014年12月3日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社によるスピリーバ レスピマット喘息適応追加記者発表会が都内にて行われた。当日は足立 満氏(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター山王病院アレルギー内科)が「喘息治療の現状とスピリーバ レスピマットへの期待」と題し講演した。