日本語でわかる最新の海外医学論文|page:839

CKD患者の高K血症に新規K吸着薬が有効/NEJM

 RAAS阻害薬服用中の慢性腎臓病(CKD)患者で高カリウム血症を呈した患者について、新規開発経口薬のカリウム吸着薬パチロマー(patiromer)はプラセボと比較して、血清カリウム(K)値を低下し、再発頻度も低下することが示された。米国・メリーランド大学医学部のMatthew R. Weir氏らが国際共同単盲検前向き試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年11月21日号掲載の報告より。

P2X3受容体拮抗薬、咳嗽頻度75%低下/Lancet

 鎮咳薬の新たな選択肢として、P2X3受容体拮抗薬AF-219が有望であることが示された。難治性慢性咳嗽患者を対象とした第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、投与群の咳嗽頻度は有意に75%低下したという。英国・マンチェスター大学のRayid Abdulqawi氏らが報告した。前臨床試験において、P2X3受容体は気道の迷走神経反射時に発現がみられ、慢性咳嗽に結び付く咳嗽反射の過感作に関与していることが示唆されていた。本検討では、その機序を確認するとともに、経口薬として開発された同受容体拮抗薬AF-219が、慢性咳嗽の頻度を低下するかを調べた。Lancet誌オンライン版2014年11月25日号掲載の報告。

大動脈弁狭窄症はやはり高コレステロール血症が原因か?(解説:佐田 政隆 氏)-290

 動脈硬化性大動脈弁狭窄症患者は、高齢化社会とともに年々増加しており、大きな社会問題になっている。進行すると突然死や難治性心不全の原因となるが、効果的な薬物療法はない。大動脈弁置換術が唯一有効な治療法であるが、人工心肺を用いた大手術であり、高齢者では危険性が高い。現在、より侵襲が少ない、経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI) が普及しつつあるが、高額であり、今後、その適応が問題になると思われる。疫学研究では、血管の動脈硬化症と同様に、高LDLコレステロール(LDL-C)血症との関連が示唆されている。脂質異常症に介入することで、大動脈弁狭窄症の発症、進行を抑えることができれば最善であるが、それを支持するエビデンスが存在しないのが現状である。

難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か

 英国の国立医療技術評価機構(NICE)の強迫性障害ガイドライン2006では、SSRI治療抵抗性の強迫性障害(OCD)に対し、抗精神病薬が推奨されている。英国のキングス・カレッジ・ロンドン、サウスロンドン&モーズリーNHSトラストのDavid Veale氏らは、体系的な検討を目的に、OCDに対するSSRI治療の増強療法としての非定型抗精神病薬の臨床的な有用性についてメタ解析を行った。BMC psychiatry誌オンライン版2014年11月29日号の報告。

DAPT長期継続で死亡リスク変わらず/Lancet

 抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の長期継続は、アスピリン単独療法または短期(6ヵ月以下)のDAPTと比べて、全死因死亡・心血管死亡・非心血管死亡のリスクにおいて差はみられないことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSammy Elmariah氏らが、無作為化試験14試験・6万9,644例を対象に、DAPT継続の死亡率への影響を検討したシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで、心血管疾患患者に一般的に用いられるアスピリンおよびP2Y12阻害薬の全死因死亡への影響については不明であった。Lancet誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告より。

β遮断薬、駆出率保持の心不全でも死亡抑制するか/JAMA

 駆出率が保持された心不全(HFPEF)患者へのβ遮断薬治療について、全死因死亡の発生は有意に抑制したが、心不全による入院の発生と合わせた複合アウトカムは抑制しなかったことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLars H. Lund氏らが、Swedish Heart Failure Registryから8,244例について行った傾向スコア適合コホート試験の結果、報告した。HFPEFは、駆出率が低下した心不全(HFREF)と同程度によくみられ、死亡率も同じぐらい高いとされている。これまでにβ遮断治療について、後者のHFREF患者に対する抑制効果は示されているが、HFPEF患者についての検討は十分に行われていなかった。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告より。

中等度虚血性MR合併CABG症例の治療戦略:MVP併施は有効か?(解説:許 俊鋭 氏)-289

 Cardiothoracic Surgical Trial Network(CTSN)のSmith PKらは、中等度の虚血性僧帽弁逆流(MR)を合併した冠動脈バイパス(CABG)症例を対象としたRCT(Randomized Controlled Trial)により、CABG単独手術とCABG+僧帽弁形成(MVP)を比較しMVP併施の利点の有無を検討した。

各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか

大うつ病性障害(MDD)の治療目標は、再発の長期予防であるべきだが、MDDに対する抗うつ薬の長期治療効果を比較した研究は少ない。イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、MDD患者における異なる薬理学的特性を有する抗うつ薬の長期効果(再発、入院、副作用のための中断)を検討した。Human psychopharmacology誌オンライン版2014年11月13日号の報告。

慢性非弁膜症AF、専門看護師による訪問ケアで生存延長/Lancet

 心不全のない慢性非弁膜症心房細動患者に対し、退院後、心臓専門看護師による家庭訪問を含む、心房細動に特異的なケアを行うことで、非入院生存日数が有意に長期化することが示された。オーストラリア・カトリック大学のSimon Stewart氏らが、335例の患者を対象に行った無作為化比較試験「SAFETY」の結果、報告した。慢性心房細動患者の入院は増加している。疾患特有の“マネジメント”が入院を減らし、生存を延長する可能性はあるが、そうした“治療アプローチ”の有用性を裏付けるエビデンスはなく、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年11月17日号掲載の報告より。

STEMI患者の53%に非IRA閉塞性疾患/JAMA

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、非梗塞関連動脈(IRA)での閉塞性疾患発症者は約53%に上り、疾患発症が認められた患者の30日死亡率は非発症患者と比べて有意に高いことが明らかにされた。韓国・蔚山大学校医学部のDuk-Woo Park氏らが、約3万例のSTEMI患者が参加した8試験について後ろ向きプール解析を行い、報告した。これまでSTEMI患者におけるIRA疾患の特性についてはほとんどわかっていなかったが、今回の結果について著者は、「前向き試験で確認が必要だが、所見はSTEMI患者における非IRA血行再建術を行うことの妥当性およびタイミングについて疑問を呈するものであった」と指摘している。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告より。

Bare metal stentは本当に劣っているのか?(解説:上田 恭敬 氏)-288

 従来のメタ解析とは異なり、対象となる試験内の個々の症例データを用いて解析する新しいメタ解析の手法で、5つの無作為比較試験(RCT)の4,896症例のデータを用いて、bare metal stent(BMS)とcobalt-chromium everolimus eluting stents(EES)の成績を比較検討した報告である。各試験のPIによって、それぞれの試験の対象症例個々のデータがこの解析のために提供されている。対象となる試験の選択基準は、BMSとEESの無作為比較が行われた試験で1年以上のフォローアップ期間があるものとしている。あらかじめ決められた主要評価項目は心臓死で、副次評価項目は全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、標的血管再血行再建(TVR)、心臓死+心筋梗塞、全死亡+心筋梗塞である。

認知症によいサプリメント、その効果は

 大豆レシチンより生成したホスファチジルセリン(PS)とホスファチジン酸(PA)を配合したサプリメントは、高齢者において記憶、気分、認知機能を改善すること、アルツハイマー病(AD)患者の日常機能や感情に対して有益な影響を及ぼすことが明らかにされた。ドイツ・Analyze & realize GmbHのMargret I. More氏らによる検討の結果、示された。Advances in Therapy誌オンライン版2014年11月21日号の掲載報告。