日本語でわかる最新の海外医学論文|page:837

皮膚科医が知っておくべき抗凝固薬と抗血小板薬の特性

 米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のDeanna G. Brown氏らは、皮膚科臨床で新規の抗凝固薬や抗血小板薬を服用する患者と遭遇する機会が増えているとして、皮膚科医および皮膚科形成外科医が知っておくべき、従来および新規の抗凝固療法および抗血小板療法についてレビューを行った。

再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。

外科手術無作為化試験の2割が早期中断/BMJ

 英国・リーズ大学のStephen J Chapman氏らは、外科手術無作為化試験について早期に中断した試験、および未公表の試験がどれくらい存在するのかを調べた。その結果、早期中断率は21%であり、完了後に結果を公表した試験は66%であったことなどを明らかにした。著者は、外科手術試験は実行に困難が伴い資金もかかるが、今回の調査で資源の浪費の証拠が見つかったとして、リスクを覚悟で協力してくれる患者への倫理的観点からも、試験の効率や透明性を高めるために、研究ガバナンスのフレームワークを変えていく必要があると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告。

誇大な新聞報道にはご注意を!(解説:折笠 秀樹 氏)-295

 本論文では、科学論文に関する新聞報道(Press Release)462件を対象にして、その報道の影響について調査した。論文が出版されると同時に新聞報道のなされることがある。この新聞報道が誇張過ぎると、それが波及し、他のメディアでも誇大報道がなされる傾向のあることがわかった。この意味で、最初の新聞報道では正確に報道することが大切である。

本当の「新規の抗凝固療法」?従来のワルファリン、ヘパリンでは影響を受けない血液凝固第XI因子機能低下による「出血しない抗凝固療法」への期待(解説:後藤 信哉 氏)-294

 新薬が開発されると「主作用」が「副作用」より効率的に発現することが期待される。抗凝固薬では「主作用」は心筋梗塞、脳梗塞、心血管死亡などの血栓イベントの低減であり、「副作用」は「重篤な出血イベントの増加」である。

聴覚障害と精神疾患リスク、ドパミンとの関連は

 聴覚障害を有する人では精神疾患リスクの増大が観察されている。社会的挫折論(social defeat hypothesis)によれば、長期的に排除されるという経験が、脳内のドパミンシステムの活性や感受性の強化に結び付き、精神疾患リスクを増大するとされている。オランダ・アムステルダム大学のMartin Gevonden氏らは、その関連性を実証するため、重度聴覚障害の若年成人におけるドパミン放出と、前述の社会的挫折論との関連を調べた。JAMA Psychiatry誌2014年12月号の掲載報告。

乳がん温存術後の寡分割全乳房照射施行が増加/JAMA

 乳房温存手術後の放射線照射について、分割照射回数を少なくし1回照射線量を大きくする寡分割全乳房照射(WBI)の施行が増えていることが、米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らによる調査の結果、明らかにされた。2008~2013年の14の民間ヘルスケアプランに加入する女性患者の動向を調べた結果、診療ガイドラインに適合しタスクフォースが同照射を支持する患者群では10.6%から34.5%に施行が増え、適合基準に達していなかったが同照射を認可された患者群でも8.1%から21.2%に増えていた。またコストも従来照射法に比べて有意に低く抑えられていたという。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。

新規第XI因子阻害薬、TKA後のVTEを予防/NEJM

 第XI因子阻害薬FXI-ASO(ISIS 416858)は、人工膝関節置換術(TKA)後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防に有効で、出血リスクに関しても良好な安全性を有することが、オランダ・アムステルダム大学のHarry R Buller氏らが行ったFXI-ASO TKA試験で示された。TKA後のVTEの予防には従来、外因系凝固因子である第Xa因子を阻害するエノキサパリン(ENO)などが使用されているが、これらの薬剤は有効ではあるものの出血のリスクを伴う。一方、内因系凝固因子である第XI因子を減少させると、出血を起こさずに血栓を抑制することが知られていた。FXI-ASOは、第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、肝臓において第XI因子mRNAの発現を特異的に低下させる可能性がある。NEJM誌オンライン版2014年12月7日号掲載の報告。

企業スポンサー試験は結果が思わしくないと論文を作らない?(解説:折笠 秀樹 氏)-293

 外科療法に関するランダム化比較試験(RCT)395件を題材にして、臨床試験が予定よりも早期に中止されたのはどういった試験かを調査した。また、臨床試験は完了したものの論文を作らなかったのはどういった試験かも調査した。そして、早期中止に至ったのはどういった試験かも調査した。

日本人統合失調症、暴力行為の危険因子は:千葉大

統合失調症患者の暴力行為に関連する広範な危険因子について、多くの研究が行われている。しかし、さまざまな社会的・文化的背景に関係する危険因子は不明なままである。千葉大学の今井 淳司氏らは、精神科救急により入院した日本人統合失調症患者における暴力行為に関連する因子を調査し、他の集団研究で見つかった因子との比較を行った。Schizophrenia research誌2014年12月号の報告。

イソフラボンは潰瘍性大腸炎のリスクか~日本人での検討

 先行研究により、エストロゲンが潰瘍性大腸炎の発症に関与することが示唆されている。イソフラボンは17β-エストラジオールと構造が似ていることから、食事におけるイソフラボン摂取が潰瘍性大腸炎発症に影響する可能性がある。そこで、潰瘍性大腸炎について多施設共同・症例対照研究を行っているThe Japanese Case-Control Study Group for Ulcerative Colitisは、前病段階におけるイソフラボン摂取と潰瘍性大腸炎リスクについて検討を行った。その結果、日常の食事におけるイソフラボンの摂取が、とくに女性における潰瘍性大腸炎リスク上昇と関連することが示唆された。この結果を受けて、著者らは「本知見を確認するため、プロスペクティブなコホート研究の実施が望ましい」と指摘している。PloS one誌2014年10月14日号の掲載報告。