腎結石疑いの画像診断、超音波 vs. CT/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/10/03

 

 腎結石疑いの患者に対する初回の画像診断法として、超音波検査法とCT検査法とでは、その後のアウトカムに有意差はないことが報告された。一方で、検査によって受ける累積被曝量については、超音波検査のほうがCT検査より低かった。また、超音波検査について、緊急救命室(ER)の医師が同室で行う「ポイント・オブ・ケア(POC)超音波検査」と、放射線科医による超音波検査を行った場合を比較した検討では、アウトカムは同等であることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のR. Smith-Bindman氏らが、2,759例について行った多施設共同無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌2014年9月18日号掲載の報告より。

被験者を3群に分け、超音波とCT検査を実施
 Smith-Bindman氏らは、腎結石の疑いでERを受診した18~76歳の2,759例を無作為に3群に分け、初回画像診断検査として、ERの医師による超音波検査(908例)、放射線科医による超音波検査(893例)、腹部CT(958例)をそれぞれ行った。追加の画像検査などその後の管理については、担当の医師の判断に委ねた。

 3群について、初診から30日間の、見逃しや診断遅延に関連する合併症を伴うハイリスク腎結石の診断発生率を比較し評価した。副次評価項目は、重度有害事象、試験への参加に起因すると考えられる重度有害事象の発生率、視覚的評価スケール(VAS、11ポイント評価、高ポイントほど痛みが強い)による疼痛、ER再受診率、入院率、および診断精度だった。

VASスコア、ER再受診、入院率なども同等、被爆量は超音波が有意に低量
 結果、30日までに合併症を伴うハイリスク腎結石症と診断された人の割合は、全体で0.4%と低く、画像診断法の違いによる格差はみられなかった。

 6ヵ月間の累積放射線被爆量の平均値は、CT検査群に比べ、超音波検査群で有意に低かった(p<0.001)。

 また、重度有害事象の発生率について、POC超音波検査群では12.4%、放射線科専門医による超音波検査群で10.8%、CT検査群で11.2%と群間差はみられなかった(p=0.50)。

 試験関連の有害事象の発生率も0.4%と低く、いずれの群も発生は同程度だった。

 初診7日後のVAS平均スコアはいずれの群も2.0で群間差はみられず(p=0.84)、またER再受診率、入院率、診断精度も群間差は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)