日本語でわかる最新の海外医学論文|page:790

禁煙意思のない喫煙者での減煙治療の効果~最新のメタ解析

 禁煙意思のない喫煙者において、減煙治療は長期禁煙率を増加させるだろうか。中国人民解放軍総合病院のLei Wu氏らは、無作為化試験の論文を系統的にレビューしメタ解析を行った。その結果、禁煙意思のない喫煙者における完全な禁煙達成に、ニコチン置換療法(NRT)やバレニクリンの補助による減煙治療が有効であることが示唆された。International journal of environmental research and public health誌2015年8月25日号に掲載。

神経障害性疼痛、ノルトリプチリンとモルヒネは単剤より併用が有効

 神経障害性疼痛に対し、三環系抗うつ薬を含む1次治療は必ずしも有効ではないため、2次治療としてオピオイドが推奨されている。カナダ・クイーンズ大学のIan Gilron氏らは、三環系抗うつ薬であるノルトリプチリンとモルヒネの併用療法ついて有効性および安全性を評価する目的で、各単独療法と比較する無作為化二重盲検クロスオーバー試験を行った。その結果、併用療法において便秘、口乾および傾眠の副作用発現頻度が高かったものの、有効性は各単独療法と比較して優れていることが明らかとなった。Pain誌2015年8月号の掲載報告。

ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ

 ジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)使用と死亡との関連は認められず、一方で入院減少との関連が認められたことを、英国・バーミンガム大学循環器サイエンスセンターのOliver J Ziff氏らが報告した。ジゴキシンは心不全患者の症状軽減や心房細動患者の心拍数コントロールに用いられる頻度が高いが、最近の観察研究で死亡増大との関連が指摘されていた。研究グループは、すべての観察研究、無作為化試験を対象に試験デザインや方法を考慮しつつ、ジゴキシンの死亡および臨床的アウトカムへの影響を明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。BMJ誌オンライン版2015年8月30日号掲載の報告。

栄養サプリメントは認知機能に影響せず/JAMA

 米国立眼研究所(NEI)のEmily Y. Chew氏らは、加齢黄斑変性(AMD)を有する高齢者を対象とした試験(AREDS2)被験者について、栄養サプリメント[長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)やルテイン/ゼアキサンチンを含む]の認知機能への効果について評価を行った。その結果、プラセボと比較してスコアの年次変化に統計的に有意な差は認められなかったことを報告した。これまで観察的研究データにおいて、食事による飽和脂肪酸の高摂取と野菜の低摂取がアルツハイマー型認知症のリスク増大と関連する可能性が示唆されており、研究グループは今回、本検討を行った。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

セロトニン症候群を起こしやすい薬剤は

 フランス・トゥールーズ大学のDelphine Abadie氏らは、同国の市販後調査報告データベースに報告登録された症例よりセロトニン症候群の特徴を解析した。その結果、抗うつ薬とトラマドールによる発現頻度が高いだけでなく、薬物相互作用(DDI、薬力学的および薬物動態学的の両方)の重要性、さらに標準用量でのセロトニン作動薬単剤でさえもセロトニン症候群リスクが有意であることが示された。本検討は、セロトニン症候群に関する大規模な市販後調査データベースを基にした、英語で発表された初の検討となる。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年8月号の掲載報告。

NSCLCにおけるAZD9291の新たなエビデンス―世界肺がん学会

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、9月8日、2015年世界肺がん学会議において、上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療ならびに過去に治療歴を有する患者を対象とした、AZD9291の最新データを発表した。本データは、AURA第I相1次治療群と2本のAURA第II相試験によって得られたもの。

小児の院内心停止、アドレナリン投与早いほど転帰良好/JAMA

 小児院内心停止に対するエピネフリン(アドレナリン)の早期投与は、生存退院率や自己心拍再開率など、アウトカムを有意に改善することが示された。米国のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのLars W. Andersen氏らが、約1,600例の小児患者について行った試験の結果、明らかにした。これまでの検討では、成人患者について、院内心停止患者に対するエピネフリン投与の遅延が生存率低下に関与していることは知られていたが、小児患者については不明であった。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

てんかんの妊婦、流産や帝王切開のリスク増大/Lancet

 てんかんを持つ妊婦は、てんかんのない妊婦に比べ、自然流産リスクは約1.5倍、分娩誘発は約1.7倍、帝王切開は約1.4倍に増大するなど、妊娠合併症や新生児合併症リスクが増加することが明らかにされた。アルゼンチン・Centro Rosarino de Estudios PerinatalesのLuz Viale氏らが、てんかんを持つ妊婦を対象に行った38件の観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年8月25日号掲載の報告。

うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度

 米国・Health Equity and Rural Outreach Innovation CenterのLeonard Egede氏らは、無作為化非盲検非劣性比較試験にて、高齢うつ病患者に対する遠隔医療による精神療法は対面治療に比べ劣っていないことを明らかにした。多くの大うつ病の高齢者(とくに退役軍人)は、エビデンスに基づく精神療法を利用しようとしない。一方で、移動の制限があったり、地理的に孤立していたりする高齢者に対して、遠隔医療は最適な治療を提供する機会を増やす可能性が示唆されていた。検討の結果を踏まえて著者は、「遠隔医療は、移動せずに家庭にいながらエビデンスに基づく治療を受けることができ、対面治療が難しい高齢者の治療障壁を取り除くのに有用と思われる」とまとめている。Lancet Psychiatry誌2015年8月号(オンライン版2015年7月16日号)の掲載報告。

DPP-4阻害薬がよく効く患者の特徴

 2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬による治療12ヵ月後に高い有効性を示すのは、肥満でない患者、冠動脈疾患を持っていない患者であることが、徳島大学の八木 秀介氏らの研究により明らかになった。また、DPP-4阻害薬の長期の有効性は、治療3ヵ月後のHbA1cの低下によって予測することができるという。Diabetes and metabolism journal誌2015年8月号(オンライン版2015年7月21日号)の報告。

世界の疾病負担は改善しているか:GBD 2013の最新知見/Lancet

 2012年、「世界の疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)」の最初の調査(1993年)以降、初めての全面改訂の結果が公表された。この取り組みはGBD 2010研究と呼ばれ、世界187ヵ国の死亡および疾病の原因の情報に基づき、1990年と2010年の国別の障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)および健康調整平均余命(health-adjusted life expectancy:HALE)を報告している。その後、GBDは必要に応じて毎年更新することとなり、GBD 2013研究については、すでに国別の損失生存年数(years of life lost; YLL)や障害生存年数(years lived with disability; YLD)などのデータが公表されており、今回は最新の解析結果が報告された。Lancet誌オンライン版2015年8月27日号掲載の報告。

高齢者の認知機能に運動は影響しない?/JAMA

 ほとんど体を動かさない高齢者(sedentary older adults)を対象に、24ヵ月にわたる適度な運動プログラム介入 vs.健康教育プログラム介入を比較した結果、総合/特定領域認知機能の改善について有意な差はみられなかったことが示された。Kaycee M. Sink氏らが1,635例を対象に行った無作為化試験LIFEの結果、報告した。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

心肺停止に遠慮は無用(解説:香坂 俊 氏)-410

以前「心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題」で書かせていただいたが、院外心肺停止症例の蘇生率はまだ低い域に留まっている(生存退院率2~4%程度)。その蘇生率向上のため、(1)プロトコルの簡便化や(2)AEDの設置などが行われているが、何よりも大切なのは「適切な」心肺蘇生(CPR)を「速やか」に開始することである。

バルサルバ法の上室頻拍への効果、体位修正で改善/Lancet

 上室頻拍の緊急治療法として推奨されるバルサルバ法について、施行時体位の修正により効果が改善することが示された。標準法では息こらえ時の体位は半臥位だが、修正法は息こらえ時に仰向け下肢挙上の姿勢に体位を変換するというもの。英国・王立デヴォンエクセター病院NHS財団トラストのAndrew Appelboam氏らが無作為化試験を行い報告した。バルサルバ法は、上室頻拍時の国際的に推奨される緊急治療法だが、臨床における効果は乏しく(5~20%)、アデノシンなど他の治療を必要とし、患者が不快感を感じることも多いとされる。Lancet誌オンライン版2015年8月24日号掲載の報告より。

双極性障害患者の約半数が不安障害を併存

 双極性障害患者において不安障害は、アウトカムの重大要素としての認識がますます強くなっている。しかし、報告されている有病率はばらつきが大きく、信頼性の高い推定値は得られていない。カナダ・ダルハウジー大学のBarbara Pavlova氏らは、双極性障害患者における不安障害の生涯有病率を、システマティックレビューとメタ解析により調べた。その結果、双極性障害患者の不安障害のリスクは非患者と比べて約3倍有意に高く、2人に1人が一生涯のうちに不安障害を有することが示されたという。結果を踏まえて著者らは、「双極性障害患者では不安障害と気分障害とを並行して評価すべきである」と提言している。Lancet Psychiatry誌2015年8月号の掲載報告。

緑内障による失明、その移行率や予測因子は?

 緑内障は失明の主たる原因である。イタリア・ミラノ大学のLuca Rossetti氏らは、欧州の大学病院7施設で治療した緑内障患者を対象に、失明への移行率や危険因子について後ろ向きに調査した。その結果、約20%の患者が失明に至っていた。緑内障による失明の特徴としては、診断あるいは専門医への紹介が遅いことと、多くの症例が正常眼圧で疾患が進行し、目標眼圧は達成されていたことが挙げられたという。