日本語でわかる最新の海外医学論文|page:767

SSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の効果が不十分な大うつ病性障害(MDD)患者に対し、vortioxetineは他の抗うつ薬に比べて高い寛解率を示し、忍容性も良好であることを、フランス・Lundbeck SASのMelanie Brignonea氏らが検討の結果、報告した。結果を踏まえて著者らは、「vortioxetineが代替薬として妥当であることが示唆された」とまとめている。Current Medical Research and Opinion誌2016年2月号掲載の報告。

ウオノメ治療の長期効果、サリチル酸絆創膏 vs.デブリードメント

 鶏眼(ウオノメ)治療について、サリチル酸絆創膏は外科的デブリードメント(以下、デブリ)と比較して12ヵ月間の追跡期間中、消失率は高率だったものの、QOLや疼痛障害などについて改善は認められたがデブリ群と有意差はみられなかったことなどが示された。英国・ハダースフィールド大学のJohn Stephenson氏らが無作為化試験の結果、報告した。Journal of Dermatology誌オンライン版2015年12月15日号の掲載報告。

高齢肥満の左室駆出率保持心不全患者、食事・運動への介入効果/JAMA

 臨床的に安定している左室駆出率保持心不全(HFPEF)の高齢肥満患者に対して、20週間にわたるカロリー食事制限もしくは有酸素運動トレーニングによる介入は、運動耐容能を改善するとの無作為化試験の結果が、米国・ウェイクフォレスト大学医学部のDalane W. Kitzman氏らにより報告された。介入効果は相加的に認められ、またQOLへの影響はみられなかった。心不全を有する高齢患者の割合は高く、またHFPEF患者の80%以上が過体重であるという。運動耐容能の低下は慢性HFPEF患者でみられる主要な症状で、QOL低下の重大要素とされている。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

双極性障害I型とII型、その違いを分析

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のChristoph Abe氏らは、双極性障害I型(BD I)およびII型(BD II)患者について、皮質容積・皮質厚・皮質表面積を同時に分析するコホート研究を行い、診断に関連した神経生物学的な違いを明らかにした。著者らは、「今回の結果から、BD IとBD IIの症状の違いを説明することができ、診断のバイオマーカーとなりうる可能性を示している」と結論している。ただし、本検討結果で示された違いについては、「疾患の進行性の変化によって、また発症前の状態によっても説明でき、社会・環境・遺伝的な未知の要因に影響された可能性もある」と研究の限界にも言及している。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年12月7日号の掲載報告。

双子のがん発症、家族性リスクと強い関連/JAMA

 北欧の双生児を長期に追跡した研究で、すべてのがんおよび特異的がん(前立腺、メラノーマ、乳がん、卵巣、子宮がんなど)において、過剰な家族性リスクが有意に認められることを、米国・ハーバード公衆衛生大学院のLorelei A. Mucci氏らが報告した。住民集団ベースの研究で、家族性がんリスクは、がんリスク予測の基本要素とされている。著者は、「がんの遺伝性リスクに関する本情報は、患者教育やがんリスクカウンセリングに役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

まれな不整脈関連遺伝子変異の存在は通知すべきか/JAMA

 大規模DNAシーケンス法により、メンデル遺伝病におけるまれであるが疾患リスクの高い変異型(レアバリアント)の存在が特定されたが、任意に抽出した患者集団での、関連臨床所見の発現頻度は明らかになっていない。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSara L. Van Driest氏らは、不整脈関連遺伝子変異の存在と、電子カルテ記録を用いて臨床所見の関連を調べた。その結果、病原性とされる変異遺伝子SCN5A、KCNH2と臨床所見との一致率は低く、任意抽出患者集団では病原性遺伝子と推定される変異型と異常臨床所見との関連を認めることができなかったという。遺伝子検査を受けた場合、既知のレアバリアントの存在は患者に知らせることとされているが、論争の的となっている。著者は「今回の所見は、患者への通知の意義について疑問符を呈するものであった」と報告している。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤に対する血管内治療の長期成績は改善(解説:中澤 達 氏)-471

メディケア受給者3万9,966症例の腹部大動脈瘤の血管内治療と開腹手術を、プロペンシティスコアマッチングコホートで比較した。周術期死亡は、それぞれ血管内群1.6%、開腹群5.2%(p<0.001)であった。 観察期間の2001年から2008年で、周術期死亡率は血管内群で0.8%低下し(p=0.001)、開腹群で0.6%低下(p=0.01)、コンバージョン率は2.2%から0.3%に低下(p<0.001)した。 3年生存率は、血管内群が開腹群より高く、その後は同等となった。8年間での瘤破裂は、血管内群5.4%、開腹群1.4%(p<0.001)であった。血管内治療後2年間の再治療率は、低下(2001年10.4%から2007年9.1%)していた。

統合失調症患者の攻撃性に有用な薬物療法は

 フランス・Fondation FondaMentalのG. Fond氏らは、統合失調症患者の攻撃性に関する薬物治療の有用性を検討した。その結果、第2世代抗精神病薬(SGA)は第1世代抗精神病薬(FGA)に比べて攻撃性を有意に低下すること、また気分安定薬および抗うつ薬は攻撃性に大きな変化をもたらさず、ベンゾジアゼピン系薬ではむしろ攻撃性が高まることが示された。著者らは、「結果は、攻撃性を示す統合失調症患者におけるSGAの選択を支持するものであるが、より長期間で詳細な研究が必要である」と述べ、また「ベンゾジアゼピン系薬の有害事象(とくに依存および認知障害)の可能性や今回の結果を踏まえると、ベンゾジアゼピン系薬の長期処方は統合失調症患者や攻撃行動を有する患者には推奨されない」と結論している。Psychopharmacology誌オンライン版2015年12月3日号の掲載報告。

大動脈弁狭窄症の新たな選択肢「コアバルブ」発売 日本メドトロニック

 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 島田隆)は、重度の大動脈弁狭窄症で外科的治療を施行することが不可能な患者の治療を目的とした、日本初の自己拡張型経カテーテル大動脈生体弁「コアバルブ」を、2016年1月1日(金)より発売開始した。

乳がん術後化学療法中のLHRHa、卵巣機能を長期保護/JAMA

 年齢中央値39歳の早期乳がん患者の術後化学療法中に、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRHa)製剤のtriptorelin併用は、化学療法単独と比べて妊娠率について統計的に有意な差はなかったが長期的な卵巣機能の回復率が高いことが、イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのMatteo Lambertini氏らによる無作為化試験の結果、示された。無増悪生存(DFS)については、試験の検出力に限界があったとしたうえで、統計的有意差は認められなかったと報告している。化学療法中のLHRHa併用は卵巣機能保護戦略として信頼性が高いが、長期的な卵巣機能への影響、および妊娠に関するデータは不足していた。また、併用療法に関する安全性への懸念もあり論争の的となっていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

悪性胸水の治療でNSAIDsは回避すべきか/JAMA

 胸膜癒着術を受けた悪性胸水患者に対し非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しても、オピオイド使用と比べ疼痛について有意差は認められなかったことが報告された。NSAIDs群では鎮痛薬のレスキュー使用が多くみられたが、3ヵ月時点の評価で胸膜癒着術の有効性については非劣性であったという。英国・オックスフォード大学のNajib M. Rahman氏らが第III相無作為化試験を行い報告した。試験では、胸腔チューブサイズの違い(12F vs.24F)による影響についても調べ、その結果、12Fサイズのほうが統計的に有意だが臨床的にはわずかな疼痛緩和をもたらすこと、ただし、胸膜癒着術の有効性に関する非劣性基準は満たさなかったことが示された。悪性胸水の治療において、NSAIDsは胸膜癒着術の効果を減弱するとして使用が回避されている。また胸腔チューブは細いものほうが疼痛を緩和するかもしれないが、胸膜癒着術の効果が得られないとされていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

EXAMINATION試験:Drug Eluting StentはST上昇型急性心筋梗塞の再灌流療法のスタンダードに!(解説:平山 篤志 氏)-470

ST上昇型急性心筋梗塞の急性期死亡率は、この20年間で急速に減少し、今や5%程度になった。これは、ひとえにステントにおける確実な再灌流が可能になったことによる。ただ、初期に使用されたベアメタル(BMS)では、急性期に拡張に成功しても慢性期に再狭窄の頻度が高く、再度のインターベンションが必要とされた。

うつ病に対するケタミン、効果的な投与量は

 低用量ケタミンは、速やかな抗うつ効果を発揮することが最近の研究で示されている。しかし、用量反応性、患者群間の一貫性、自殺傾向への影響、クロスオーバー試験に起因するバイアスの可能性などは明らかになっていない。オーストラリア・シドニー大学のYing Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、低用量ケタミンは超低用量ケタミンより有効であることを示した。ただし、5分の1の患者は1週間で寛解したが、その他の大半の患者では効果が長続きせず、臨床的効果にはかなりばらつきがみられたという。著者らは、「有効性を向上させるため、また安全性についてさらに評価するため、より大規模で長期的な比較試験が必要である」とまとめている。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年11月17日号の掲載報告。

日本糖尿病学会:「女性糖尿病医のフロントランナー: 伊藤 千賀子 氏」の記事を公開

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページでは、「女性糖尿病医のフロントランナー」コーナーに、疫学研究を通じて日本の糖尿病学の発展に寄与した伊藤 千賀子 氏(グランドタワー メディカルコート 理事長)の記事を掲載した。

肺動脈性肺高血圧症へのselexipag、第III相で有効性確認/NEJM

 肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者へのselexipag(国内承認申請中)投与は、エンドセリン受容体拮抗薬などによる治療の有無にかかわらず、死亡または合併症の複合エンドポイントの発生リスクを有意に低下したことが示された。なお死亡単独でみると有意差は認められなかった。フランス・ビセートル病院のOlivier Sitbon氏らによる第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。selexipagは、経口IPプロスタサイクリン受容体選択的作動薬で、第II相試験でPAHに対する有用性が示されていた。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

ホジキンリンパ腫の二次がんリスク、長期にわたって増加/NEJM

 ホジキンリンパ腫患者の治療後の二次がんリスクは、一般集団と比べて、治療後35年を経過しても3.9倍に上ることが明らかにされた。また、二次固形がんリスクについて、1989~2000年に治療を受けた群は、それ以前に治療を受けた群に比べても低くはなっていなかったという。オランダ・がんセンター研究所のMichael Schaapveld氏らが、1965~2000年にホジキンリンパ腫の治療を始めた3,905例について行った試験で明らかにした。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。