日本語でわかる最新の海外医学論文|page:640

第2世代抗精神病薬で安定している統合失調症患者における代謝状態の長期変化

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、メタボリックシンドローム(MetS)のリスクを増加させる。MetSのリスクがあるにもかかわらず、一部の患者では、SGAを継続する必要がある。韓国・Eulji University HospitalのSeong Hoon Jeong氏らは、このような患者におけるMetSの経過について、追跡調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年6月号の報告。

2009年以降、若年成人の肝硬変による死亡が急増/BMJ

 米国では2009年以降、肝硬変による死亡率が上昇していることが明らかにされた。25~34歳群の上昇が最も大きく、原因はアルコール性肝疾患によるものであった。米国・ミシガン大学のElliot B. Tapper氏らが行った観察コホート研究の結果で、著者は「若い年代でアルコールが原因による死亡が急増していることは、肝疾患予防の適切なケアについて、新たなチャレンジが必要なことを強調するものだ」と述べている。このほか解析からは、肝硬変による死亡は、白人・ネイティブアメリカン・ヒスパニック系米国人での急増が大きかったこと、メリーランド州では改善していた一方、ケンタッキー・ニューメキシコ・アーカンソー州で高率であったことなどが明らかになったという。BMJ誌2018年7月18日号掲載の報告。

院外心停止へのエピネフリン、神経学的予後は改善せず?/NEJM

 成人の院外心停止患者へのエピネフリン(アドレナリン)投与は、プラセボに比し30日生存率を改善するが、重度の神経障害を有する生存例が多いため、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合には差がないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが行った「PARAMEDIC2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年7月18日号に掲載された。エピネフリンは、α-アドレナリン受容体を介して細動脈を収縮させることで、心停止に対し有益な作用を及ぼす可能性があり、この細動脈の収縮は、心肺蘇生法(CPR)施行中の大動脈の拡張期血圧を上昇させるため、冠動脈の血流が増加し、自己心拍再開の可能性が高まるという。一方、α-アドレナリン刺激は、血小板を活性化して血栓症を促進し、大脳皮質の微小血管の血流を損ない、CPR中および自己心拍再開後の脳虚血の重症度を高めるとされる。

腹部大動脈瘤スクリーニングは無益、では健診が有効な疾患は何か?(解説:中澤達氏)-894

スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で、腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが明らかにされた。スウェーデン人男性のAAA死亡率(65~74歳男性10万人当たり)は、2000年初期は36例であったが、2015年には10例に減少していた。死亡率の減少は全国的にみられ、AAAスクリーニング実施の有無に関係していなかった。今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆された。

抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。

10代のSNS使用頻度がADHD発症と関連か/JAMA

 2年以上にわたる観察研究で、10代の学生において頻繁なデジタルメディアの使用とその後の注意欠如・多動症(ADHD)症状発現との間に、わずかではあるが統計学的に有意な関連性があることが認められた。米国・南カリフォルニア大学Keck School of MedicineのChaelin K. Ra氏らが、著しいADHD症状のない15~16歳の学生を対象に行った縦断コホート研究の結果を報告した。今回の研究には、参加者の自己報告に基づくことや、デジタルメディアの使用頻度の測定法は確立されていないこと、データが得られなかった参加者が除外されている、ベースライン時に検出されなかったADHD症状が影響した可能性は除外できない、などの限界があり、著者は「この関連が原因であるかどうかを結論付けるには、今後のさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。

鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。

外来血圧から覚醒時自由行動下血圧を予測することは可能か?―真の血圧の探求(解説:石川讓治氏)-892

ロシアの外科医コロトコフによって、1905年に水銀血圧計が作成されてから100年以上の年月が過ぎた現在でも、“真の血圧値”を知ることは難しい。忙しい外来診療における外来血圧測定の不正確性のために、カフ・オシロメトリック法を用いた自動血圧計が使用されるようになり、白衣効果(医師の前でのストレスによる血圧上昇)の影響を減らすため、診察室外での血圧(Out-of-Office Blood Pressure)の測定がなされてきた。自由行動下血圧モニタリングは、患者の日常生活の中での血圧が測定可能であり、現在のところ最も“真の血圧値”に近いと考えられている。しかし、自由行動下血圧計は高価であり、繰り返す血圧測定が患者に不快感を与える場合があるため、家庭血圧計が診察室外の血圧として代用され、臨床応用されている。

NSCLC 1次治療、化療にペムブロリズマブ併用でQOL改善(KEYNOTE-189)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する国際共同無作為化第III相試験(KEYNOTE-189)のQOL評価で、ペムブロリズマブ+化学療法は化学療法単独と比べてQOLを維持・改善することが示された。関西医科大学の倉田 宝保氏が、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月19~21日、神戸)のセミプレナリーセッションで発表した。

ファブリー病に世界初の経口治療薬が登場

 2018年7月7日、アミカス・セラピューティスク株式会社は、同社が製造・販売する指定難病のファブリー病治療薬のミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)が、5月に承認・発売されたことを期し、「ファブリー病治療:新たな選択肢~患者さんを取り巻く環境と最新情報~」と題するメディアラウンドテーブルを開催した。

心血管疾患患者の17%がノンアドヒアランス:その要因は?

 大学病院では、心血管疾患患者のうち17%がノンアドヒアランスとされ、1日2回以上の服薬、比較的に若年であること、就労状況がノンアドヒアランスと相関していることが、東京女子医科大学の鈴木 豪氏らの研究によって明らかになった。American Journal of Cardiovascular Drugs誌2018年8月号に掲載。

病院スタッフのEBM順守で脳卒中患者のアウトカム改善か/JAMA

 中国・Capital Medical UniversityのYilong Wang氏らは、同国40の公的病院を対象に、急性虚血性脳卒中(AIS)患者に関するエビデンスに基づく医療パフォーマンスの病院スタッフの順守について、多面的な質改善の介入で変化が認められるかを調べる多施設共同クラスター無作為化試験を行った。その結果、all-or-none評価では認められなかったが、複合指標評価でわずかだが統計的に有意な改善が認められたことを報告した。研究グループは、「今回認められた所見の一般化可能性について、さらなる研究で明らかにする必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。

メトホルミン継続 vs.SU薬、心血管・低血糖リスクは/BMJ

 2型糖尿病の第2選択薬としてのSU薬の使用は、メトホルミン単独使用継続の場合と比べて、心筋梗塞、全死因死亡、および重症低血糖のリスクを増大することが示された。また、メトホルミンから完全に切り替えるよりも、上乗せ投与としたほうが安全と思われることも示されたという。カナダ・Jewish General HospitalのAntonios Douros氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、BMJ誌2018年7月18日号で発表された。SU薬に関してはこれまで、第1選択薬として、あるいは他の第2選択薬である抗糖尿病薬と比較した安全性(心血管系および低血糖)は検討されていた。今回、研究グループは、SU薬の上乗せまたは切り替えと、メトホルミン単独継続の場合を比較した安全性の評価を行った。

糖尿病入院患者の血糖コントロールは人工膵臓で自動化されるか?(解説:住谷哲氏)-893

糖尿病患者数の増加に伴って糖尿病を合併した入院患者の割合も増えている。その結果、筆者も含めて多くの先生方は、血糖コントロール目的以外で他科に入院している患者の血糖コントロールを依頼されることになる(大阪では共観といいます)。ほとんどの患者は感染症、心不全などの治療や手術目的の入院であり、その血糖コントロール目標も<180mg/dLとほぼ確立している。また治療法も基本は持効型インスリンと超速効型インスリンによるBasal-bolus therapyになる。食事をしている患者であれば毎食前および就眠前の4回の自己血糖測定を実施してインスリン量を調節する。これが研修医にとっての大切なトレーニングになっているのであるが、将来このトレーニングも不要になるかもしれないような報告である。

そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

循環器内科はさまざまな院内サービスを行っているが、その中でも最も重要なものの1つが、心疾患を持つ(もしくは持つと疑われる)患者が心臓外のmajor surgeryを受ける場合のリスク評価に対するコンサルトに答えることではないかと思う。この場合、大体の医師が心疾患による追加的なリスクをまったく考える必要のない群を最軽症とし、これは絶対に手術は無理というものを最重症として5段階評価を考え、それなりの文章を考えて回答している、というあたりが実情なのではないかと思う。

スボレキサントの日本人高齢不眠症患者に対する費用対効果分析

 日本で最も幅広く使用されている睡眠薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬ゾルピデムとオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの費用対効果について、MSD株式会社の西村 晋一氏らが、比較検討を行った。Journal of Medical Economics誌2018年7月号の報告。  本研究では、不眠症と高齢者に多大な影響を及ぼす股関節骨折リスクを考慮したモデルを用いて検討を行った。公表された論文より、データを収集した。65歳以上の日本人高齢不眠症患者の仮想コホートを対象として研究を実施した。費用対効果の評価には、質調整生存年(QALY)と増分費用効果比を用いた。調査は、医療従事者の視点で行った。  スボレキサントとゾルピデムの費用対効果を検討した主な結果は以下のとおり。

過敏性腸症候群は炎症性腸疾患よりもうつ病が重症化しやすい

 過敏性腸症候群(IBS)患者は炎症性腸疾患(IBD)患者と比べて併存しているうつ病や不安の重症度が高いことが、中国・中日友好医院のQin Geng氏らの研究によって明らかになった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年5月4日号に掲載。  IBSやIBDといった慢性胃腸疾患の患者では、うつ病が併存している割合が高いが、IBSとIBDで一貫性のある結果は認められていない。そのため、本研究では、IBSおよびIBD患者におけるうつ病の有病率や重症度について検討した。