日本語でわかる最新の海外医学論文|page:450

StageIV乳がんに早期局所療法は予後を改善するか(ECOG-ACRIN 2108)/ASCO2020

 未治療のSatgeIV乳がんに対する早期の局所療法による予後改善効果についての報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国Northwestern Memorial HospitalのSeema A. Khan氏より発表された。  本試験はECOG-ACRIN臨床試験グループが実施したもの(ECOG-ACRIN 2108試験)で、第III相の無作為化比較試験である。

双極性障害患者における抗精神病薬誘発性体重増加とアドヒアランス

 双極スペクトラム障害の若年患者における第2世代抗精神病薬(SGA)の服薬アドヒアランスへの障壁に関して、医師、患者、患者家族の視点、およびSGA関連の体重増加の治療に対する考え方について、米国・シンシナティ大学のChristina C. Klein氏らが調査を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月19日号の報告。  18歳までに双極性障害と診断された225例およびその両親(128人)、これらの患者にSGAを処方した経験のある医師(54人)を対象に、SGA関連副作用、アドヒアランスへの障壁、体重マネジメント戦略の受け入れに関する調査を実施した。

心臓リハビリ、冊子&電話フォローで完了率増/BMJ

 心筋梗塞発症後、2次予防のための心臓リハビリテーション実施と薬物療法について、患者に対してその重要性を示し実施と服薬を促す冊子の郵送と電話によるフォローアップを行うことで、心臓リハビリテーションの実施率は有意に増加したことが示された。一方で、服薬のアドヒアランスは増加しなかった。カナダ・Women's College HospitalのNoah M. Ivers氏らが2,632例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、著者は、「介入を強化することで服薬アドヒアランスが改善されるのかを調べること、また心臓リハビリテーションの実施と服薬アドヒアランスとの関連を調べることが必要である」と述べている。BMJ誌2020年6月10日号掲載の報告。

ディスアナプシスは高齢者のCOPDリスクを増大/JAMA

 気道サイズと肺胞の大きさが不均衡のディスアナプシスは、高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)と有意に関連しており、肺の大きさに比して下気道樹径が小さいほどCOPDのリスクが大きいことも示された。米国・コロンビア大学のBenjamin M. Smith氏らが、2件のコホート試験と1件のケースコントロール試験を基に、後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、結果を踏まえて著者は、「ディスアナプシスはCOPDのリスク因子と思われる」とまとめている。COPDの主要なリスクとして喫煙があるが、COPDリスクの大部分は不明のままである。研究グループは、高齢者において、CT画像診断で確認したディスアナプシスがCOPDの発生およびCOPDにおける肺機能低下と関連しているかを調べる検討を行った。JAMA誌2020年6月9日号掲載の報告。

新型コロナ、日本人の抗体保有調査の結果を発表/厚労省

 2020年6月16日、厚生労働省は3都府県で6月1日より実施していた新型コロナウイルスの抗体保有調査の結果を発表。その結果、大半の人が抗体を保有していないことが明らかになった。本調査は日本での抗体保有状況の把握のため、2020年6月1~7日にかけて東京都・大阪府・宮城県の一般住民それぞれ約3,000名を無作為化抽出して行われた。対象者は本調査への参加に同意した一般住民(東京都1,971名、大阪府2,970名、宮城県3,009名、計7,950名)。  本調査では陽性判定をより正確に行うため、2種の検査試薬(アボット社、ロシュ社)の両方において陽性が確認されたものを「陽性」とした。

COVID-19対応で市民へ9つの提言/日本感染症学会・日本環境感染学会

 6月15日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏)は、連名で新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という)に関して一般市民向けに「第一波を乗り越えて、いま私たちに求められる理解と行動」と題する提言を発表し、ホームページで公開した。  今回の提言では、本年初頭からのCOVID-19の感染流行とわが国のたどった経過を振り返るとともに、先に発表された「新型コロナウイルス感染症に対する注意事項」とあわせて市民が知っておいてほしいCOVID-19の特徴や今後の生活様式などについて9項目が提示されている。

多発性骨髄腫導入療法、カルフィルゾミブ3剤併用療法 vs.ボルテゾミブ3剤併用療法(ENDURANCE)/ASCO2020

 米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏は未治療の多発性骨髄腫への導入療法として、従来から標準療法として用いられているプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブとレナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法(VRd)と、ボルテゾミブに代えて新規次プロテアソーム阻害薬のカルフィルゾミブを使用する3剤併用療法(KRd)を比較した無作為化第III相比較試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

オリゴ転移乳がん、局所併用療法 vs.全身療法(OLIGO-BC1)/ASCO2020

 日本、中国、韓国によるアジア圏での国際後ろ向きコホート研究の結果、オリゴ転移乳がんに対する局所療法と全身療法併用の生存に対するベネフィットが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、がん研究会有明病院の上野 貴之氏がOLIGO-BC1試験の結果を発表した。

統合失調症発症に関連する小児期の緑地環境と遺伝的要因

 小児期における緑地環境との接点が、後の統合失調症発症リスクを低下させることは、これまでの研究で示唆されてきた。この関連に遺伝的要因は関係するのか、または2つのリスク因子が相加的に作用するのかは、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のKristine Engemann氏らは、統合失調症発症に対する小児期の緑地環境と遺伝的要因との関連について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。  ランドサット衛星画像からの正規化植生指数(NDVI)に基づく住居レベルの緑地との小児期の接点推移値と、デンマークのiPSYCHサンプルから得られた1万9,746の遺伝子型の多遺伝子リスクスコアに基づく遺伝的易罹病性推定値を組み合わせることにより、統合失調症発症のハザード比(HR)を調査した。デンマーク国内の健康、居住地、社会経済的地位(両親の社会経済的地位、精神疾患の家族歴)に関するデータを用いて、交絡因子で調整後のHRを推定した。

FDA、小細胞肺がんにlurbinectedinを承認

 FDAは、2020年6月15日、プラチナベース化学療法中/後に進行した転移のある小細胞肺がん(SCLC)の成人の治療について、lurbinectedin(Jazz PharmaceuticalsおよびPharmaMar)を迅速承認した。  この承認は、プラチナベース化学療法後に進行したSCLCの成人105例を対象とした、非盲検多施設単一群試験の単剤治療データに基づいている。

転移のない去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド追加でOS延長/NEJM

 転移のない去勢抵抗性前立腺がんで、前立腺特異抗原(PSA)値の急激な上昇がみられ、アンドロゲン除去療法を受けている患者において、エンザルタミドの追加はプラセボと比較して、全生存(OS)期間を10ヵ月以上延長し、死亡リスクを27%低下させることが、米国・Weill Cornell MedicineのCora N. Sternberg氏らの検討「PROSPER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月4日号に掲載された。エンザルタミドは経口アンドロゲン受容体阻害薬であり、本試験の初期結果では、無転移生存期間を有意に延長したと報告されている。この時点では、OSのデータは十分でなく、2つの治療群ともOS期間の中央値には到達していなかった。今回は、OSの3回目の中間解析(最終解析)の結果が報告された。

日本人の2型糖尿病に合わせた配合の治療薬/サノフィ

 サノフィ株式会社は、2020年6月8日に2型糖尿病治療薬「ソリクア配合注ソロスター」(以下「本剤」という)を発売し、同日にメディア向けWEBセミナーを開催した。セミナーでは、本剤の説明のほか、日本人の糖尿病患者の特徴と本剤の治療へのコミットなどが解説された。  「ソリクア配合注ソロスター」は、持効型溶解インスリン グラルギン(遺伝子組み換え)とGLP-1受容体作動薬リキシセナチドが配合された治療薬。インスリン グラルギンが主に空腹時血糖をコントロールし、リキシセナチドが主に食後血糖をコントロールする。

ペムブロリズマブ+化学療法による小細胞肺がん1次治療の結果は?(KEYNOTE-604)/ASCO2020

 米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する1次治療のおける化学療法へのペムブロリズマブ併用効果を比較するプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-604の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法単独に比べ、無増悪生存期間(PFS)は有意に改善するものの、全生存期間(OS)は有意差が示されなかったと報告した。

出産前後のうつ病を予防するための心理的介入~メタ解析

 出産前後のうつ病は、有病率が高く、深刻な影響を及ぼすため、その予防は重要である。これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、周産期うつ病リスクを有する女性に対する心理学的介入の有効性が示唆されている。しかし、出産前の一般的な予防に焦点を当てた研究は、あまりなかった。東京大学の安間 尚徳氏らは、周産期うつ病に対する出産前の心理学的介入の影響(とくに一般的な予防に焦点を当て)を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月12日号の報告。

新型コロナ、医療者のメンタルヘルスをどう守る?/日本精神神経学会提言と会員アンケート

 日本精神神経学会は、新型コロナウイルス感染症に関連し、学会員を主な対象としたメンタルヘルス関連の提言を行っている。これまでに出された提言は以下の3つ。 1)親子・学校・女性のメンタルヘルスのサポート役割を担う学会員向け 2)働く人のメンタルヘルスケアや産業保健体制に関する提言 3)「コロナ関連自殺」予防について  精神科・心療内科を専門とする学会員に向け、新型コロナウイルス感染症がメンタルヘルスにおよぼす影響や、診療にあたっての注意点をまとめている。産業医として企業に対して感染予防対策や新しい働き方に関連するアドバイスをする際に役立つ内容も多い。「メンタルヘルスの専門家として今知っておくべきこと」を中心にまとめられているが、提言には「医療者自身のメンタルヘルスをいかに保つか」という内容も多く含まれている。

HER2+胃・胃食道接合部腺がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(DESTINY-Gastric01)/ASCO2020

 HER2高発現の胃・胃食道接合部腺がんにおける抗HER2抗体複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のオープンラベル多施設無作為化第II相試験DESTINY-Gastric01の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏により発表された。

CDK4/6i治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がん、alpelisib併用が有効性示す(BYLieve)/ASCO2020

 CDK4/6阻害薬を含む治療歴のあるホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対し、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的有効性を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が第II相BYLieve試験の結果を発表した。 ・対象:CDK4/6阻害薬を含む治療後に増悪した、PIK3CA遺伝子変異陽性、ECOG PS≦2、測定可能病変あるいは溶骨性病変を有する、男性あるいは女性(閉経後/閉経前)のHR+/HER2-進行乳がん患者  ・試験群(コホートA):直前の治療としてCDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)の投薬を受けた患者  alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mgを1サイクル28日でDay1に投与(1サイクル目のみDay1、15) ※BYLieve試験ではコホートB(直前の治療がCDK4/6阻害薬+フルベストラントの患者、alpelisib+レトロゾールを投与)およびコホートC(AIで増悪後全身化学療法を受けた患者または直前の治療が内分泌療法だった患者、alpelisib+フルベストラントを投与)についても登録中。今回はコホートAの結果について発表された。

COVID-19血漿療法試験、中国103例の報告/JAMA

 重症/重篤の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、標準治療に回復期血漿療法を併用するアプローチは標準治療単独と比較して、28日以内の臨床的改善(生存退院、重症度の低減)を増加させなかったとの研究結果が、中国医学科学院のLing Li氏らによって報告された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2020年6月3日号に掲載された。回復期の患者の血漿を使用する回復期血漿療法は、これまでにもさまざまな感染症の治療に用いられており、COVID-19の治療選択肢となる可能性があるが、その使用を支持するエビデンスは十分でない。また、ドナーの選択や血漿の質の管理、レシピエントの適応などは標準化されておらず、これらについてもエビデンスに基づく根拠はないという。

降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連―システマティックレビュー、メタ解析(解説:石川讓治氏)-1245

中年期の高血圧が晩年期の認知症の発症と関連していることがいくつかの観察研究において報告されてきた。しかし、降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連を評価した過去の研究においては、降圧治療が認知症の発症を減少させる傾向は認められたものの、有意差には至っていなかった。本論文では14の無作為介入試験の結果を用いてメタ解析を行い、平均年齢69歳、女性42.2%、ベースラインの血圧154/83.3mmHgの対象者において、降圧治療によって、平均49.2ヵ月間の追跡期間で7%の認知症もしくは認知機能障害の相対的リスク減少、および平均4.1年の追跡期間の間で7%の認知機能低下の相対的リスク減少があり、これらが有意差をもって認められたことを報告した。

MSI-H/dMMR進行大腸がん1次治療でペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較した第III相試験(KEYNOTE-177)/ASCO2020

 フランス・Sorbonne University and Saint-Antoine HospitalのThierry Andre氏は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)の進行大腸がん患者に対する1次治療としてペムブロリズマブ単剤療法と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相試験であるKEYNOTE-177試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法と比較してペムブロリズマブ単剤が無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善すると報告した。