日本語でわかる最新の海外医学論文|page:292

lenacapavir、多剤耐性HIV-1感染症でウイルス量が著しく減少か?/NEJM

 多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症の治療において、画期的新薬(first-in-class)である長時間作用型HIV-1カプシド機能阻害薬lenacapavirはプラセボと比較して、ウイルス量のベースラインからの減少幅が格段に大きく、重篤な有害事象や有害事象による投与中止は認められないため、有望な治療選択肢となる可能性があることが、米国・ニューヨーク・プレスビテリアン・クイーンズ病院のSorana Segal-Maurer氏らが実施した「CAPELLA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年5月12日号に掲載された。

米FDA、5~11歳への3回目ファイザー製ワクチンを承認

 米国・ファイザー社は5月17日付のプレスリリースで、米国食品医薬品局(FDA)が、5~11歳の小児に対して、同社製の新型コロナワクチンの3回目接種を緊急使用許可(EUA)したことを発表した。ファイザー製ワクチンの初回シリーズ2回接種完了から5ヵ月以上経過した小児に対して、ブースター接種として、1回目・2回目接種と同量の10µgを投与できる。米国で5~11歳への3回目接種が承認されるのは、ファイザー製ワクチンが初めてとなる。

統合失調症に対するメタ認知トレーニングの有効性

 メタ認知トレーニング(MCT)は、統合失調症患者の精神症状や認知バイアスを改善するためのグループプログラムであるが、入院中の回復初期段階の統合失調症患者への介入効果は、あまりわかっていない。長野県・千曲荘病院の芳賀 彩織氏らは、日本の精神科救急病棟に入院している統合失調症患者の回復初期段階におけるMCTの有効性を調査した。その結果、MCTは精神症状、自己内省の不良、再入院の予防に有効である可能性が示唆された。Frontiers in Psychology誌2022年4月11日号の報告。

国内での新型コロナワクチンの有効性~多施設共同研究/日本感染症学会

 新型コロナウイルス感染症の発症予防における新型コロナワクチンの有効性を、全国の医療機関において検査陰性デザインを用いた症例対照研究を行い(VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2])、国内においても海外で報告されたものとほぼ同等の有効性が認められた。4月22~23日にオンラインで開催された第96回日本感染症学会総会・学術講演会で、長崎大学の前田 遥氏が発表した。なお、本発表に含まれるデルタ株流行期の結果については、Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年4月19日号2)にも掲載されている。

有害事象の系統的レビュー、データ抽出時に注意すべき5つのエラー/BMJ

 中国・安徽医科大学のChang Xu氏らは、有害事象の系統的レビューでのデータ抽出の妥当性と、メタ解析結果へのデータ抽出エラーの影響を調べ、データ抽出エラーの分類フレームワークを開発した。検討の結果、起きうるエラーは、数的エラー、あいまいさによるエラーなど5つのタイプに分類でき、そのうち2つ以上のエラーがあると結果に影響を及ぼす可能性が高まることが示されたという。著者は、「有害事象の系統的レビューでは、データ抽出の再現性に関して深刻な問題が起きる可能性があり、抽出エラーは結論を誤らせる可能性がある。系統的レビューの著者が妥当なデータ抽出ができるよう、早急に実施ガイドラインを整備することが必要だ」と述べている。BMJ誌2022年5月10日号掲載の報告。

6~11歳へのモデルナ製ワクチン、50μg2回接種が安全かつ有効/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNA-1273ワクチン(Moderna製)について、小児(6~11歳)への50μgの2回投与は安全かつ有効であることを、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのC. Buddy Creech氏らが、2つの試験の結果を踏まえて報告した。免疫応答および予防を含めて若年成人に対する非劣性が確認されたという。COVID-19予防のための小児へのワクチン接種は、緊急性の高い公衆衛生上必要な取り組みとされるが、小児におけるmRNA-1273ワクチンの安全性、免疫原性および有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年5月11日号掲載の報告。

双極性または単極性うつ病患者の季節による臨床的特徴

 双極性障害のうつ症状(双極性うつ病)と単極性うつ病の鑑別は、誤診しないために重要である。中国・上海交通大学のShuqi Kong氏らは、双極性うつ病および単極性うつ病の初回入院患者における季節的な症状および非酵素性酸化ストレスの特徴を調査した。その結果、単極性うつ病患者と比較し、双極性うつ病患者は季節的な特徴を有している可能性が示唆された。著者らは、「季節性の単極性うつ病と双極性うつ病を鑑別するうえで、臨床症状や酸化ストレスの指標は有用である可能性がある」とし、「15~35歳の比較的若い年代では、冬期に双極性うつ病を発症する可能性が高い」と併せて報告している。Frontiers in Psychiatry誌2022年4月6日号の報告。

医師の会食・飲み会参加について、医師1,000人の意見

  医師の飲み会・会食参加について、ニュースで取り上げられる時もあるが、医師自身はどのように捉えているのだろうか。今回、会員医師1,000人に、最近の飲み会・会食への参加状況と感染対策について意見を聞いた。  「直近1ヵ月で、3人以上の会食(同居家族を除く)に参加した回数をお教えください」という問いに対し「0回」と回答したのは、飲酒を伴わない会食で806人(81%)、飲酒を伴う飲み会で757人(76%)であり、どちらも「0回」と答えた医師は全体の68%だった。会食への参加が1回以上と回答した医師のうち、1~2回参加した人は飲酒を伴う飲み会かどうかにかかわらず75%を超え、3回以上参加した医師は少数だった。

中学生以下はクラスで、高校生は部活感染が多い/厚労省アドバイザリーボード

 本格的な学校生活が始まり、児童生徒などへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が懸念されている。  厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、5月11日に第83回の会議を開催し、その中で文部科学省から「学校における新型コロナウイルス感染症対策について」が示された。  感染状況では、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校いずれも同一クラス内での感染が1番多く、高等学校では同一部活内での感染が1番多いことなどが報告された。また、学校での感染対策として、臨時休業の考え方を示すとともに、オミクロン株への対応として休業期間の短縮や授業、部活動でのリスクの高い行動の抑制のほか、児童生徒などへのワクチン接種の考え方が示された。

高血圧合併妊娠または妊娠高血圧症の妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA

 高血圧合併妊娠または妊娠高血圧症の妊婦において、遠隔モニタリングによる自己血圧測定は通常ケアと比較して、臨床的高血圧の有意な改善をもたらすことはなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが、無作為化非盲検臨床試験「Blood PressureMonitoring in High Risk Pregnancy to Improve the Detection and Monitoring of Hypertension 2 trial:BUMP 2試験」の結果を報告した。高血圧の不十分な管理は、妊産婦死亡の重要な要因であるが、妊婦および乳児の臨床転帰改善に対する妊娠中の自己血圧測定の役割は不明であった。JAMA誌2022年5月3日号掲載の報告。

妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA

 妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦において、遠隔モニタリングによる自己血圧測定は通常ケアと比較して、臨床的高血圧の早期発見にはつながらなかった。英国・オックスフォード大学のKatherine L. Tucker氏らが、無作為化非盲検試験「Blood Pressure Monitoring in High Risk Pregnancy to Improve the Detection and Monitoring of Hypertension trial:BUMP 1試験」の結果を報告した。血圧上昇の不十分な管理は、妊産婦死亡の重要な要因である。一般集団における自己血圧測定は高血圧の診断および管理を改善することが示されているが、妊娠中の血圧自己測定の使用についてはほとんど知られていなかった。JAMA誌2022年5月3日号掲載の報告。

米モデルナワクチン、乳幼児に対する緊急使用承認をFDAに申請

 米国・モデルナ社は4月28日、COVID-19ワクチン(mRNA-1273、商品名:スパイクバックス筋注)の生後6ヵ月から2歳未満および2歳から6歳未満の乳幼児に対する緊急使用承認(EUA)を米国食品医薬品局(FDA)に申請したことを発表した。申請データは、mRNA-1273の25μgの2回接種による初回シリーズの結果に基づく。申請データは、健康な小児を対象にmRNA-1273を28日間隔で接種した際の安全性、忍容性、反応原性、有効性を、プラセボを対照として3つの年齢層(6歳から12歳未満、2歳から6歳未満、生後6ヵ月から2歳未満)に分けて評価する第II/III相臨床試験KidCOVE試験の結果に基づく。

産後うつ病と母乳育児との関連~メタ解析

 産後うつ病に対する母乳育児の影響については、あまり知られていない。また、産後うつ病のマネジメントにおいて、母乳育児の役割に関連するガイドラインは作成されていない。中国・Taizhou UniversityのMengjie Xia氏らは、産後うつ病と母乳育児との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、母乳育児が産後うつ病リスクの低下に寄与することが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年4月20日号の報告。  産後うつ病と母乳育児との関連について報告した研究をPubMed、Cochrane Library、EMBASE(~2021年12月)より検索した。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

非都市部の脳卒中治療、ヘリでのドクター派遣が有益/JAMA

 ドイツ非都市部の脳卒中医療センターネットワークにおいて、急性虚血性脳卒中患者への脳血管内血栓除去術(EVT)実施の決定から施行までの経過時間を検討したところ、ヘリコプターで医師らを現地に派遣するほうが、患者を別の医療機関に移送するよりも約1時間半、短縮できることが示され、3ヵ月後の機能性アウトカムに有意差はなかったという。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのGordian J. Hubert氏らが、約160例の患者を対象に行った非盲検非無作為化比較試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中へのEVTの有益性は時間に依存しており、遠隔地患者への治療推進は困難とされている。今回の結果を踏まえて著者は、「長期的な転帰を確認し、地理的条件への適用を明らかにするさらなる検討は必要だが、脳卒中治療システムにフライング治療チームを取り入れる検討をすべきことが示された」と述べている。JAMA誌2022年5月5日号掲載の報告。

妊婦の新型コロナ感染は早産リスク増、入院リスク2.65倍/JAMA

 カナダで行われた探索的サーベイランススタディで、妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は、母体の有害アウトカムおよび早産のリスク増大と有意に関連していることが示された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のElisabeth McClymont氏らが、妊娠中にSARS-CoV-2感染が認められた妊婦6,012人について、2つのコントロール群を対照に行った検討の結果を報告した。これまで妊婦へのSARS-CoV-2感染の影響について、対照比較コホートを用いた質の高い住民ベースの検証データは限定的であった。JAMA誌オンライン版2022年5月2日号掲載の報告。

フォシーガ、左室駆出率にかかわらず慢性心不全への有効性が明らかに/AZ

 アストラゼネカは5月12日付のプレスリリースで、第III相DELIVER試験の結果を発表した。本試験では、アストラゼネカのフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)が心血管死または心不全悪化の主要複合評価項目に関して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある抑制を達成したことが示された。本試験は、左室駆出率が軽度低下した、または保持された心不全患者(左室駆出率が40%超と定義)を対象に実施された。  心不全は、左室駆出率低下を伴う心不全(左室駆出率が40%以下)、左室駆出率が軽度低下した心不全(左室駆出率が41~49%)、左室駆出率が保持された心不全(左室駆出率が50%以上)といった複数のカテゴリーに分類される。

片頭痛と胃腸疾患との関係

 片頭痛は世界中に蔓延している疾患であり、最近の研究によると、胃腸疾患患者において片頭痛の発症率が増加しているとされている。また、前臨床でのエビデンスでは、消化管神経系と脳腸軸などの中枢神経系との双方向性の関係が示唆されている。韓国・同徳女子大学校のJemin Kim氏らは、主要な胃腸疾患と片頭痛との関連を明らかにするため、検討を行った。その結果、胃腸疾患と片頭痛との間に統計学的に有意な関連が認められ、この関連は胃腸疾患の数が多い患者や、片頭痛の予防と急性期治療の両方で片頭痛治療薬を使用している患者において、強い相関が認められることが報告された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年3月28日号の報告。

統合失調症患者の入院率減少に対するセンサー付き錠剤の可能性

 統合失調症患者の精神科病棟への入院は、経済的な負担を引き起こす。そのため、服薬アドヒアランスは重要な因子であるが、依然として難しい問題である。米国・Hassman Research InstituteのElan A. Cohen氏らは、センサー付きアリピプラゾール錠(システムに摂取可能なセンサー、シグナル検出用パッチ、スマートフォンアプリを含む)が、標準的な経口抗精神病薬と比較し、精神科入院数の減少に寄与するかを評価した。その結果、センサー付きアリピプラゾール錠は、標準的な経口抗精神病薬と比較し、軽度から中等度の成人統合失調症患者の精神科入院率を低下させることが示された。本システムにより、統合失調症患者の薬物摂取の支援および症状改善を通じて、急性期治療の必要性を減少させることが期待される。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。

RBDダイマーベースの新規コロナワクチン、有効性を確認:第III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ZF2001」について、大規模な成人集団において、完全接種後6ヵ月以上にわたり症候性COVID-19の発症および重症化に対する安全性と有効性が確認されたことを、中国科学院のLianpan Dai氏らが発表した。ZF2001は、武漢-Hu-1株からの重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の二量体タンデム-リピートスパイクタンパク質RBDを用いて開発されたワクチン。第I相および第II相の臨床試験で成人における安全性、忍容性および免疫原性があることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。

血栓回収脳卒中センターと地方脳卒中センター、死亡率に有意差なし/JAMA

 大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者を、地方脳卒中センターに搬送した場合と血栓回収脳卒中センターへ搬送した場合を比較した結果、90日神経学的アウトカムについて有意な差は示されなかった。スペイン・Hospital Universitari Germans Trias i PujolのNatalia Perez de la Ossa氏らが、同国カタルーニャ州で行った住民ベースの多施設共同クラスター無作為化試験の結果を報告した。地方では血栓回収脳卒中センターへのアクセスが制限されており、大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者の最適な搬送先病院の戦略は明らかになっていなかった。JAMA誌2022年5月10日号掲載の報告。  試験は2017年3月~2020年6月に、スペインのカタルーニャ州で、血栓摘出術が提供できない地方の脳卒中センターに近在する救急医療サービスを利用した、急性大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者1,401例を対象に行われた。  被験者は、血栓回収脳卒中センターへと搬送された群(688例)と近接の地方脳卒中センターに搬送された群(713例)に無作為化され、追跡評価を受けた。最終フォローアップは2020年9月。