日本語でわかる最新の海外医学論文|page:290

低炭水化物食はテストステロンの血清レベルを上昇させて勃起機能を改善する可能性

 低炭水化物食はテストステロンの血清レベルを上昇させ、メタボリックシンドロームに伴う男性の性腺機能低下症の勃起機能を改善する可能性があることがブラジルのCaio da Silva Schmitt氏らが行った非盲検ランダム化臨床試験によってわかった。BMC Endocrine Disorders誌2023年2月2日号の報告。  メタボリックシンドロームはいくつかの疾患の危険因子であり、その中でもメタボリックシンドロームと性腺機能低下症の関係はよく知られている。著者らは、低炭水化物食が血清総テストステロンを増加させ、メタボリックシンドロームに伴う性腺機能低下症の男性の勃起機能を改善できるかどうかを評価する目的で研究を行った。

研究成果、誤解なく発信できていますか?「信頼性」の意味は研究者と一般人で違う

 3月16日(木)に、「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」シンポジウムがオンラインで開催される。シンポジウムに先立って、本プロジェクトの主任研究員である井出 博生氏と山田 恵子氏が、成果の一端を2週にわたって報告する。第1回は井出氏が、医学系研究で使われる用語が研究者と一般人で意味が異なるケースについて、調査結果を踏まえて紹介する。

血友病B、AAV5ベクターを用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 血友病Bの成人患者において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療薬etranacogene dezaparvovecは、年間出血率に関して第IX因子定期補充療法に対する優越性が認められ、安全性プロファイルは良好であることが、米国・ミシガン大学のSteven W. Pipe氏らが実施した非盲検第III相試験「Health Outcomes with Padua Gene; Evaluation in Hemophilia B:HOPE-B試験」の結果、示された。中等症~重症の血友病Bに対しては、出血予防のため生涯にわたり血液凝固第IX因子を補充する治療を継続する。血友病Bの遺伝子治療は、第IX因子活性を維持することで、第IX因子の補充療法なしで出血を予防できる可能性があった。著者は、「遺伝子治療が血友病B患者の治療の負担を軽減し、QOLを改善する可能性がある」とまとめている。NEJM誌2023年2月23日号掲載の報告。

リファンピシン感受性肺結核、8週レジメンが標準治療に非劣性/NEJM

 結核の治療において、8週間のベダキリン+リネゾリドレジメンによる初期治療を含む治療戦略は標準治療に対して非劣性であり、治療期間の短縮にもつながり、安全性に明らかな懸念はないことを、シンガポール・シンガポール国立大学のNicholas I. Paton氏らがアダプティブ第II/III相無作為化非盲検非劣性試験「Two-Month Regimens Using Novel Combinations to Augment Treatment Effectiveness for Drug-Sensitive Tuberculosis trial:TRUNCATE-TB試験」の結果、報告した。結核は、通常6ヵ月間のリファンピシンベースのレジメンで治療されるが、初期治療期間の短縮を含む治療戦略により同様の治療成績が得られるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。

5類移行後も「コロナ特例はすべて継続」求める/日医

 日本医師会会長の松本 吉郎氏は3月1日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更後の発熱外来診療体制の維持・充実に向けて、日本医師会の取り組みや意見を述べた。  「類型の変更後には、新規感染者数が過去の感染拡大を大幅に超える事態も想定される。新規感染者数の把握方法が定点報告に基づくことになり、これまでとの比較も困難になるため、入院や外来の医療逼迫度合いが最も重要な指標になる。日本医師会では、外来の医療提供体制、とりわけ現在の約4万2,000軒の診療所・病院による発熱外来診療体制の維持が重要」と前置きした上で、「これまで季節性インフルエンザの検査・診療を行ってきた医療機関の新規参画、かかりつけ患者のみを受け入れてきた医療機関の幅広い患者の受け入れが重要である」と協力を求めた。

HER2低発現とHER2ゼロ乳がんの予後比較~米国114万人の調査/JAMA Oncol

 HER2低発現乳がんの疫学的特徴や予後の観点から、HER2ゼロ乳がんと臨床的に異なるサブタイプと言えるのだろうか。今回、米国・シカゴ大学のDaniel S. Peiffer氏らが米国がんデータベースを用いて約114万人の大規模コホート研究を実施したところ、HER2低発現の割合は、ヒスパニック系患者および非ヒスパニック系黒人患者が、非ヒスパニック系白人患者と比べてわずかに低く、また、全生存期間(OS)はHER2低発現乳がんのほうがHER2ゼロ乳がんよりわずかに良好だった。これらの結果から、HER2低発現乳がんとHER2ゼロ乳がんの治療反応性と長期予後が類似している可能性が示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2023年2月23日号に掲載。

体外受精と自然妊娠、生まれた子供に違いや特徴は?

 体外受精(IVF)で授かった子供の学齢期の発達と教育の成果は、自然妊娠の子供と同等であることを、オーストラリア・メルボルン大学のAmber L. Kennedy氏らが明らかにした。著者らは、「この結果は、現在および将来の両親と臨床医に大きな安心感を与えるものである」とまとめている。PLOS Medicine誌2023年1月24日号の報告。  IVFは生体外での一般的な受胎の方法であるが、生まれた子供への長期的な影響を理解することは重要である。研究者らは、IVFによる妊娠が小学校在学中の児童期の発達および教育の成果に及ぼす影響を、自然妊娠と比較し明らかにする目的で本研究を行った。

日本人・小中高校生の頭痛有病率~糸魚川紅ズワイガニ研究

 新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、小児および青年期の頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛の有病率を調査するため、小学校から高校までの日本人学生を対象に、学校ベースのオンラインアンケートを実施した。また、片頭痛を引き起こすトリガーについて調査するとともに、頭痛頻度に対するCOVID-19パンデミックの影響も併せて検討を行った。その結果、小児および青年期において、頭痛による生活への支障は大きいことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、頭痛の臨床診療におけるアンメットニーズを修正する必要があるとしている。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2023年1月20日号の報告。

コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染のその後の再感染に対する予防効果は、デルタ株までの変異株に対しては非常に高く40週後も高いままであったが、オミクロンBA.1株については時間と共に急速に低下した。一方、再感染での重症化予防効果は、オミクロンBA.1株までの変異株すべてにおいて、既感染1年後まで比較的高いレベルで維持されていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のCaroline Stein氏らCOVID-19 Forecasting Teamが実施したメタ解析の結果で示された。著者は、「今回の解析から、過去の感染による変異株別ならびに経時的な予防効果は、mRNAワクチン2回接種と同等以上であることが示唆された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。

パーキンソン病、片側淡蒼球内節の集束超音波で運動機能改善/NEJM

 パーキンソン病患者に対する片側淡蒼球内節の集束超音波アブレーション(FUSA)は、3ヵ月後に運動機能やジスキネジアが改善した患者の割合が高かったものの、有害事象を伴った。米国・University of North CarolinaのVibhor Krishna氏らが北米、アジアおよび欧州の16施設で実施した無作為化二重盲検シャム対照比較試験の結果を報告した。片側淡蒼球内節のFUSAは、ジスキネジアや運動変動のあるパーキンソン病患者を対象とした小規模の非盲検試験において有効性が示唆されていた。著者は、「パーキンソン病患者におけるFUSAの有効性と安全性を明らかにするためには、より長期の大規模臨床試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2023年2月23日号掲載の報告。

医療用医薬品の患者向け広告が米国では問題になっている(解説:折笠秀樹氏)

品物を販売する企業には販売促進費(広告宣伝費)があります。いくら良い品物でも宣伝しないと広く使われないためでしょう。販売促進費(販促費と略す)の総売上に対する割合は、分野によってずいぶん異なります。自動車・教育・外食産業などの数パーセント程度に対して、医薬品は5~15%程度と少し高いようです。最も高いとされるのが化粧品のようです。医療用医薬品は医師の処方箋が必要な医薬品で、それが主の企業では5~10%程度のようですが、一般用医薬品が主の企業では10~15%と少し高めです。一般用医薬品はドラッグストアなどで気軽に買えるということで、広告宣伝にかなり力を入れているのでしょう。処方箋なしで買える医薬品はOTC医薬品と呼ばれ、薬剤師の関与が必要なものと必要ないものに分かれています。後者がいわゆる一般用医薬品です。従来は大衆医薬品と呼んでいたものです。

5~11歳へのファイザーBA.4/5対応2価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は2月28日、5~11歳を対象としたファイザーの新型コロナウイルスmRNAワクチン「販売名:コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」について、追加接種(追加免疫)として承認したことを発表した。本剤は、5~11歳の初回免疫に使用することはできない。  本剤の追加免疫の用法および用量は、同社製の5~11歳用1価ワクチンと変わらず、添付文書に以下のように記されている。 6. 用法及び用量 本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。 追加免疫として、1回0.2mLを筋肉内に接種する。

平均血糖値とHbA1c値の乖離の理由が明らかに/京都医療センターほか

 平均血糖値が同じ180mg/dLであってもHbA1cが7.0%台の人もいれば、9.0%近くの人もいると、A1c-Derived Average Glucose(ADAG)研究で報告されている。これらの現象はヘモグロビン糖化に個人差があるのではないかと推察されている。2型糖尿病ではヘモグロビン糖化インデックス(HGI)が高い人は、糖尿病合併症、心血管疾患、死亡リスクが増大すると報告されている。しかし、日本人1型糖尿病での報告はなかった。

ダロルタミド、転移を有する前立腺がんに適応追加/バイエル

 バイエル薬品は2023年2月24日、経口アンドロゲン受容体阻害薬(ARi)であるダロルタミド(商品名:ニュベクオ)について、遠隔転移を有する前立腺がんへの適応追加承認を取得した。  今回の承認は、遠隔転移を有する前立腺がん患者を対象とした第III相ARASENS試験の良好な結果に基づくもの。

双極性障害、うつ病、自殺企図へのT. gondiiの影響

 双極性障害、うつ病、自殺企図における寄生性原生生物トキソプラズマ(T. gondii)の潜伏感染の影響については長期間にわたり議論されているが、T. gondiiが脳や行動を操作する方法に関してエビデンスは不足しており、この推測は不明のままである。トルコ・イスタンブール大学のOmer Faruk Demirel氏らは、自殺企図を有する/有さない双極性障害およびうつ病患者へのT. gondii感染の影響を検討するため本研究を実施した。その結果、T. gondii潜伏感染は、双極性障害および自殺企図の原因と関連している可能性が示唆された。Postgraduate Medicine誌オンライン版2023年2月6日号の報告。

介護施設入所のリスク因子は?

 高齢者の要支援・要介護度に応じた老人ホーム入所のリスク因子が信州大学医学部保健学科 佐賀里 昭氏らの研究で明らかとなった。PLoS One誌2023年1月27日号の報告。  高齢者の介護施設入所リスクを基本動作と日常生活動作(ADL)の観点から明らかにすることを目的とし、レトロスペクティブ研究が行われた。  A市における2016~18年の介護保険認定調査の要介護認定者のうちデータにアクセス可能であった1万6,865例の性別、年齢、世帯構成、要介護度などのデータを取得し、グループタイプを従属変数、基本動作得点とADL得点を独立変数として、多変量二項ロジスティック回帰分析を行った。

広範囲脳梗塞、血栓回収療法の併用で身体機能が改善/NEJM

 広範囲脳梗塞患者の治療において、血管内血栓回収療法と標準的な内科的治療の併用は内科的治療単独と比較して、身体機能が有意に改善する一方で、手技に関連した血管合併症の増加を伴うことが、米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが実施した「SELECT2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年2月10日号に掲載された。  SELECT2試験は、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、ニュージーランドの31施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2019年9月~2022年9月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Stryker Neurovascularの助成を受けた)。  対象は、年齢18~85歳、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメント、あるいはこれら双方の閉塞による急性期脳梗塞で、発症から24時間以内であり、虚血コア体積が大きい(Alberta Stroke Program Early CTスコア[ASPECTS、0~10点、点数が低いほど梗塞が広範囲]が3~5点)、あるいはCT灌流画像またはMRI拡散強調画像でコア体積が50mL以上、脳梗塞発症前の修正Rankin尺度スコア(0~6点、点数が高いほど機能障害が重度、6点は死亡)が0または1点(機能障害なし)の患者であった。

CAR-T ide-cel、再発・難治性多発性骨髄腫への第III相試験結果(KarMMa-3)/NEJM

 2~4レジメンの前治療を受けた再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬であるイデカブタゲン ビクルユーセル(idecabtagene vicleucel:ide-cel)は標準治療と比較して、無増悪生存期間を約7ヵ月有意に延長するとともに深い奏効をもたらし、安全性プロファイルは先行研究と一致し新たな安全性シグナルは認められないことが、スペイン・Clinica Universidad de NavarraのPaula Rodriguez-Otero氏らが実施した「KarMMa-3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年2月10日号で報告された。

妊婦の感染、オミクロン株でも重篤化や妊娠合併症増加と関連(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は妊娠中に母体および胎児への有害事象を引き起こすことが示されており、妊娠前および妊娠中にはワクチン接種が強く推奨されている。一方、現在主流となっているオミクロン株について、妊娠経過や胎児への影響およびワクチンの有効性についての大規模かつ多施設からの報告はなかった。今回の研究(INTERCOVID-2022試験)は18ヵ国41病院を通じて行われ、世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦が被験者として登録された。

線溶薬を変えても結果は変わらないかな?(解説:後藤信哉氏)

ストレプトキナーゼによる心筋梗塞症例の生命予後改善効果が示された後、フィブリン選択性のないストレプトキナーゼよりもフィブリン選択性のあるt-PAにすれば出血リスクが減ると想定された。分子生物学に基づく遺伝子改変が容易な時代になったので各種の線溶薬が開発された。しかし、循環器領域ではフィブリン選択性の改善により出血イベントリスク低減効果を臨床的に示すことはできなかった。本研究ではt-PAよりもさらに修飾されたtenecteplaseとの有効性、安全性の差異が検証された。tenecteplaseは野生型のt-PAよりも血液中の寿命が長いとされた。しかし、臨床試験にて差異を見出すことができなかった。