認知症は運動で予防できない?(解説:岡村毅氏)-1045
運動不足は認知症発症リスクではないという報告だ。認知症予防について、無垢な時代が終わり、新たな時代の号砲を告げる論文かもしれない。はじめに私の立場をはっきりさせておくと、予防が完成すれば認知症は駆逐されるという楽観主義でも、予防なんて無意味だからすべて受け入れようという悲観主義でもない。私の立場は、真実は中庸にありというものだ。論文にはこうある。認知症になる前(前駆期)、活動性は低下している。したがって運動もしなくなっている。ある段階で運動をしている人、していない人に分けると、していない人には前駆期の人が含まれる。彼らはしばらくすると認知症を発症する。すると「運動をしなかったから認知症になった」と第1種過誤が起きる。短期間の観察では必ずこうなるが、乗り越えることはできる。前駆期の長さ以上の観察期間をとればよいのだ。