脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:75

片頭痛の急性期治療、CGRP受容体拮抗薬rimegepantが有効/NEJM

 片頭痛発作の治療において、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬rimegepantはプラセボに比べ、急性期の痛みおよび痛み以外の最も苦痛な症状の改善効果が優れることが、米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のRichard B. Lipton氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年7月11日号に掲載された。片頭痛の成因には、CGRP受容体の関与が示唆されており、rimegepantは片頭痛の急性期治療に有効である可能性がある。本薬はトリプタンとは作用機序が異なるため、トリプタンに反応しない患者にも有効である可能性があるという。

日本人高齢者の身体能力と認知症発症との関連

 身体能力を評価することは、認知症リスク評価を容易にする可能性がある。しかし、どのような身体能力が認知症発症と最も関連するかについては、明らかとなっていない。国立長寿医療研究センターの土井 剛彦氏らは、日本人高齢者における身体能力と認知症発症との関連について検討を行った。Physical Therapy誌オンライン版2019年6月4日号の報告。  本研究は、地域在住の高齢者を対象としたプロスペクティブ研究である。65歳以上の高齢者1万4,313人のうち、2011~12年に5,104人が研究参加を承諾し、そのうち4,086人(女性の割合:52%、平均年齢72.0歳)が基準を満たしていた。ベースライン時の身体能力として、握力テスト、5回椅子立ち上がりテスト(Five-Times Sit-to-Stand Test:FTSST)、Timed Up & Go Test(TUG)より身体能力レベルを収集した。各テストにおける身体能力レベルは、性別層別四分位値に基づいて、最高レベルのC1から最低レベルのC4に分類した。認知症発症に関する情報は、毎月の医療記録より収集した。

反復性群発頭痛の予防にgalcanezumabが有効/NEJM

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)ヒト化モノクローナル抗体galcanezumabは、1回用量300mgを月1回皮下注射することにより、プラセボと比較して初回投与後1~3週における1週間当たりの反復性群発頭痛の頻度を減少させることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのPeter J. Goadsby氏らが、反復性群発頭痛に対するgalcanezumabの安全性と有効性を検証した国際無作為化二重盲検第III相試験の結果を報告した。反復性群発頭痛は、数週間あるいは数ヵ月間毎日生じる頭痛発作を特徴とする日常生活に支障を来す神経疾患で、galcanezumabは群発頭痛を予防する可能性が示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「galcanezumabの効果の持続性と安全性を確認するため、より長期で大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2019年7月11日号掲載の報告。

ヒトが長生きをすると脳に何が起きるのか(解説:岡村毅氏)-1080

従来のアルツハイマー型認知症の創薬が完全に失敗した今こそ、地道に一歩一歩進むしかない。そこでこのような地味な臨床論文が重要だ。もちろん本論文は神経画像の有力チームからの論文であるが、神経学の専門家以外には地味な論文に見えることだろう。今から、そのすごさを解説してみよう。まず、今世紀の研究を簡単に振り返り、私たちの立ち位置を眺めてみよう。かつてアルツハイマー型認知症は、死後でなければ診断できなかった。しかし脳内のアミロイドやタウを生体で可視化できるようになったことで、新たな研究が可能になった。そしてADNIという世界的共同研究が、アミロイド→タウ→形態変化→記憶障害(発症)、という病態仮説を証明した。

ステント留置後のDAPT投与期間、1ヵ月は12ヵ月より有効?/JAMA

 STOPDAPT試験(2016年)により、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)留置術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を3ヵ月で終了するアプローチの安全性が確認されている。京都大学の渡部 宏俊氏らSTOPDAPT-2試験の研究グループは、今回、DAPT投与期間をさらに短縮して1ヵ月とし、その後クロピドグレル単剤投与に切り換える治療法について検討し、この超短期的DAPTは、主要な心血管イベント/出血イベントの抑制効果に関して、DAPTを12ヵ月投与する標準治療に対し非劣性で、優越性も有することが示された。JAMA誌2019年6月25日号掲載の報告。

持続する疲労感は成長ホルモン不全症(AGHD)のせい?

 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、都内で成人の成長ホルモン分泌不全症(AGHD)に関するプレスセミナーを開催した。  セミナーでは「成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)とは」をテーマに、亀田 亘氏(山形大学医学部付属病院 第三内科 糖尿病・代謝・内分泌内科)を講師に迎え、なかなか診療まで結びつかない本症に関し、症状、診断と治療、患者へのフォローなどが紹介された。

灌流画像を用いた血栓溶解療法は、発症後9時間までの脳梗塞と睡眠中に発症した脳梗塞にまで治療時間枠を拡大できる:個別患者データのメタ解析(解説:内山真一郎氏)-1072

アルテプラーゼによる血栓溶解療法は脳梗塞発症後4.5時間までが推奨されているが、4.5時間以上か睡眠中に発症し、救済しうる脳組織がある患者に血栓溶解療法が有効であることを灌流画像が同定できるかどうかをメタ解析により検討した研究である。脳梗塞発症後4.5~9時間か起床時に脳卒中症状がある患者においてMRIかCTで灌流を評価しているアルテプラーゼのプラセボ対照無作為化比較試験を検索し、1次評価項目として3ヵ月後の転帰良好(改訂ランキン尺度0または1)、安全性評価項目として死亡または症候性頭蓋内出血を検討している。

脳損傷急性期の15%は行動反応なくとも脳活動あり/NEJM

 急性脳損傷患者の15%で、運動指令に対する行動反応はなくても、脳波測定(EEG)では指令に反応を示す記録がみられ、脳が活性化していることが明らかになった。米国・コロンビア大学のJan Claassen氏らが、脳損傷患者を対象に、音声による運動指令に反応する脳活動と予後への影響を検証した前向き試験の結果を報告した。臨床的に無反応な患者において、体を動かすよう声掛けをした際に脳活動を示す脳波が検出される場合がある。そのような認知と運動の解離が、脳損傷後の数日間にみられる割合や予後についての重要性は、これまで十分に解明されていなかった。NEJM誌2019年6月27日号掲載の報告。

TAVR導入後5年で、米国の術後脳卒中は減少したか/JAMA

 米国では2012~15年の期間に、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の施行数が5倍以上に増加したが、TAVR後の脳卒中リスクは知られていない。米国・クリーブランドクリニックのChetan P. Huded氏らは、全国的な調査を行い、2011~17年の術後30日以内の脳卒中発生率は2.3%で、この期間の年間発生率の推移に大きな変動はないことを明らかにした。研究の詳細は、JAMA誌2019年6月18日号に掲載された。  研究グループは、米国におけるTAVR導入後5年間の術後30日以内の脳卒中の発生状況を調査し、脳卒中と30日死亡率、薬物療法と30日脳卒中リスクとの関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った。

AT(N)測定、非認知症高齢者の記憶力の予後予測に有効/JAMA

 アミロイドPET、タウPET、MRI皮質厚による予測モデルは、より簡単に入手可能な臨床的/遺伝的情報とともに使用すると、認知症のない高齢者における記憶力低下の予測能が、臨床的/遺伝的情報だけの場合に比べて改善されることが、米国・メイヨー・クリニックのClifford R. Jack Jr氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年6月18日号に掲載された。米国国立老化研究所とアルツハイマー病協会(NIA-AA)の作業部会は、アルツハイマー病の研究枠組みにおいて、参加者のバイオマーカーをアミロイド、タウ、神経変性(ニューロンの損傷)の状態に基づき、AT(N)プロファイルとして分類するよう提唱している。