脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:79

アルツハイマー型認知症の薬はうたかたの夢か(解説:岡村毅氏)-1030

私たちの世代はアルツハイマー型認知症の薬の恩恵にはあずかれない。いつかは実現するかもしれないし、そう願うが、現実を見つめよう。 本論文は、アルツハイマー型認知症について広く信じられているアミロイド仮説(「アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ」)に基づくものだ。つまりアミロイドをつくる酵素(BACE)を阻害する物質が、治療薬となるのではという考え方であった。しかし、本欄でも過去に紹介したように、すでに認知症になっている人に対して行われた研究では効果は見られなかった(「認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から」)。

心房細動アブレーションに対するエドキサバン継続 vs.ワルファリン継続(ELIMINATE-AF)【Dr.河田pick up】

 エドキサバンはFXa(活性化血液凝固第X因子)を選択的に阻害することにより、心房細動患者において脳梗塞を予防する。心房細動アブレーションを受ける患者に対するエドキサバンの継続療法に関しては、これまで試験が行われていない。  ELIMINATE-AF試験は、多国籍、多施設共同、オープンラベルの無作為化並行群間比較試験。カテーテルアブレーションを受ける心房細動患者における、ワルファリンと比較したエドキサバン(1日1回60mg、減量投与が必要な患者には30mg)の安全性と有効性を評価するために行われた。

完全磁気浮上遠心ポンプLVAD HeartMate 3 米国臨床試験最終報告(MOMENTUM 3 Trial)(解説:許俊鋭 氏)-1029

2018年4月にNEJM誌に「Two-Year Outcomes with a Magnetically Levitated Cardiac Pump in Heart Failure」が掲載され、軸流ポンプLVAD(HeartMate II)に対する完全磁気浮上遠心ポンプLVAD(HeartMate 3)の2年の非劣性臨床試験(MOMENTUM 3)の結果が報告された。後遺症が残る脳卒中回避2年生存率(79.5% vs.60.2%、p<0.001)およびLVADポンプ機能不全に対する再手術(1.6% vs.17.0%、p<0.001)において、HeartMate 3群はHeartMate II群に比べて非劣性かつ優越性があることが示された。本論文はAbbott社から資金提供を受けているMOMENTUM 3臨床試験の最終分析結果報告である。

コレステロール過剰摂取、卵の食べ過ぎは心血管疾患および全死因死亡を増やす?(解説:島田俊夫氏)-1028

コレステロールの取り過ぎは体に悪い? これまでの欧米においては概して虚血性心疾患による死亡率がわが国と比較し圧倒的に多いことから、欧米からのエビデンスに基づき悪玉コレステロール高値は心血管疾患のリスク因子だとの考えが定着していた。もちろん家族性高コレステロール血症はとりわけハイリスクであるが、このような症例を一般化する解釈の根拠は必ずしも十分とは言えない。一方で高齢者の高コレステロール血症はむしろ健康状態が良いことが多く、スタチンを使用して下げている症例を時々みかけるが、個人的にはいらんお世話をしているのではと懸念している。

試験中止の認知症薬、BACE-1阻害薬による結果の詳細/NEJM

 前駆期アルツハイマー病患者を対象に、アミロイド前駆体タンパク質βサイト切断酵素1(BACE-1)阻害薬verubecestatの有用性を評価した国際的な臨床試験の結果が、米国・MerckのMichael F. Egan氏らにより発表された。verubecestatは、健康成人およびアルツハイマー病患者の脳脊髄液中のアミロイドβ(Aβ)を60%以上低下させ、BACE-2(生理機能は不明)の阻害作用も有するという。中間解析の結果、プラセボと比較して認知症の臨床的評価が改善せず、アルツハイマー病による認知症への進行例の割合が高く、有害事象の発現率も高かった。そのため、データ安全性監視委員会の勧告により、本試験は無効中止となった。NEJM誌2019年4月11日号掲載の報告。

肉の摂取頻度が認知症リスクと関連

 これまで、食物摂取と認知症リスクとの関連は、初発症状バイアス(逆因果関係)の可能性を考慮して研究されていなかった。フランス・モンペリエ大学のLaure Ngabirano氏らは、肉、魚、果物、野菜の摂取頻度と認知症やアルツハイマー病(AD)の長期リスクとの関係について、初発症状バイアスを考慮して検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2019年号の報告。  12年間に2~4年ごとのフォローアップを行ったThree-city studyより、65歳以上のボランティア5,934例のデータを分析した。

米国脳神経外科学会で外傷性脳損傷に対する再生細胞薬SB623の効果を発表/サンバイオ

 サンバイオ株式会社およびその子会社であるSanBio, Inc.は、2019年4月17日、再生細胞薬SB623の外傷性脳損傷を対象にした日米グローバル第II相試験(STEMTRA)の有効性および安全性に関する詳細結果を、米国脳神経外科学会(American Association of Neurological Surgeons)の年次総会で発表したことを明らかにした。24週時点の Fugl-Meyer Motor Scale(FMMS)のベースラインからの改善量が、SB623投与群8.7点、コントロール群2.4点となり主要評価項目を達成した。

認知症症状がある元NFL選手、脳内タウ増加が判明/NEJM

 認知症・精神神経症の症状が認められる元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手について、脳内のタウなどを可視化するPET検査を行ったところ、症状のない男性コントロール群と比較して、慢性外傷性脳症(CTE)部位のタウ蓄積量はより多く、アミロイドβ蓄積量は同程度であることが示されたという。米国・ボストン大学のRobert A. Stern氏らによる検討結果で、NEJM誌2019年4月10日号で発表された。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CTE部位のタウ蓄積量上昇が、個々の患者で、検出に役立つかどうかを調べる必要がある」と述べている。

若年性認知症の生存率に関するコホート研究

 若年性認知症患者の生存期間や平均余命、また年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係について、オランダ・Centre for Elderly CareのAdrie A. J. Gerritsen氏らが、調査を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  対象は、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)患者を含む、若年性認知症のニーズ調査に参加した198例。主要アウトカムは、症状発現後および診断後の生存期間とした。生存率と年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係を調査するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、平均余命への影響も調査した。

脳卒中およびその病型を病院到着前から見分ける分類スコア(JUST)を開発

 兵庫医科大学脳神経外科講師 内田 和孝氏らは、病院到着前に脳卒中の病型(脳卒中、脳大血管閉塞[LVO]、頭蓋内出血[ICH]、クモ膜下出血[SAH])を予測する脳卒中病型分類スコア(JUST)を開発した。研究の成果は、Stroke誌2018年8月号に掲載された。  脳卒中は、その病型により治療アプローチや緊急度が大きく異なるため、病院到着前に脳卒中の病型が予測できれば、より早期により適切な治療を提供することが可能となる。しかし、現在報告されている病型予測ツールは、1つの病型のみを対象とするものや病型を分類せずに脳卒中全般を扱うものであった。そこで、本研究は、救急救命士が脳卒中を疑う患者に、脳卒中、LVO、ICH、およびSAHを予測するスコアを開発することを目的に実施された。