神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響

 ペットを飼うことについては、多くの集団において病気に対するポジティブな影響が報告されているが、認知症患者における身体的および心理的ウェルビーイングとの関連はよくわかっていない。英国・マンチェスター・メトロポリタン大学のCarol Opdebeeck氏らは、ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響について調査を行った。Journal of Applied Gerontology誌オンライン版2020年10月7日号の報告。  本研究には、Improving the experience of Dementia and Enhancing Active Life(IDEAL)研究より、軽度~中等度の認知症在宅患者1,542例のベースラインデータを使用した。ペットの所有およびその世話と、自己報告による歩行、孤独感、うつ病、QOLとの関連を調査するため、回帰分析を用いた。

4割の人はがんより認知症への罹患に不安、期待される予防策とは?

 日本認知症予防学会と食から認知機能について考える会が9月に「食と認知機能に関する意識調査の結果発表」を公開し、食や食成分による認知機能改善効果を期待する人が5割以上にのぼることを明らかにした。この詳細は、浦上 克哉氏(鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野 教授/日本認知症予防学会 理事長)が食から認知機能について考える会発足記者会見で報告した。  この調査は1)認知症の理解、認知症の予防に対する理解レベルの確認、2)とくに食生活が関与する認知症予防への理解と信頼感の確認、3)認知症予防への関心喚起を目的とし、2020年3月にWebを用いて、30代以上の一般男女1,030名と日本認知症予防学会学会員380名(医師:102名、メディカルスタッフ:278名)に行った。

腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。

食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析

 食事は、神経変性疾患の発症や進行を予防または遅らせることができる、重要なライフスタイル要因である。すべてではないものの、最近報告されたいくつかの研究において、健康的な食事パターンの順守が認知症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のYi-Hsuan Liu氏らは、食事パターンと認知症リスクとの関連をシステマティックに調査し、メタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年9月11日号の報告。

日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ

 若年性認知症の発症率を調査することは、困難であるといわれている。東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症疾患医療センターの年次報告データを用いて、日本における若年性認知症の発症率について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年9月28日号の報告。  認知症疾患医療センターは、日本の全国的な保健プログラムの一環として設立された認知症専門医療サービスで、2018年時点で全国に440施設存在する。これらの施設の年次報告データを用いて、2018年4月1日~2019年3月31日に新たに若年性認知症または遅発性認知症と診断された患者数、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)による診断構成比を算出した。

レビー小体型認知症とアルツハイマー病を鑑別する新たな方法

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)を鑑別するうえで、SPECTによる局所脳血流(rCBF)の評価が有用であり、指標としてCingulate Island Signスコア(CIScore)が用いられる。しかし、いくつかの症例ではADの偽陽性が報告されている。この問題を解決するため、福岡大学の本田 学氏らは、後頭葉と海馬傍回のrCBFを組み込んだ新たな鑑別診断法の開発を試みた。Japanese Journal of Radiology誌オンライン版2020年9月16日号の報告。  DLB患者27例とAD患者31例を対象に、Tc-99 m-ECD SPECTを実施した。両側上後頭回、中後頭回、下後頭回、楔部、扁桃体、海馬、海馬傍回の平均Zスコアを評価した。DLBの基準は次の(1)~(4)とし、それぞれの診断能力を比較した。(1)CIScoreが0.27未満、(2)平均Zスコア1超の後頭回が3つ以上、(3)平均Zスコア1超の海馬領域が1つ以下、(4)は(2)と(3)両方の組み合わせ。

アンチエイジングのためのHealthy Statement作成が始動/日本抗加齢医学会

 近年、EBM普及推進事業Mindsの掲げるガイドライン作成マニュアルが普及したこともあり、各学会でガイドラインの改訂が活発化している。さまざまな専門分野の医師が集結する抗加齢医学においても同様であるが、病気を防ぐための未病段階の研究が多いこの分野において、ガイドライン作成は非常にハードルが高い。  そこで、日本抗加齢医学会は第20回総会を迎える節目の今年、ワーキング・グループを設立し、今後のガイドライン作成、臨床への活用を目的にコンセンサス・レポートとしてHealthy Statement(以下、ステートメント)の作成を始めた。ステートメントの現況は、9月25日(金)~27日(日)に開催された第20回日本抗加齢医学会の会長特別プログラム1「Healthy Agingのための学会ステートメント(ガイドライン)作成に向けて」にて報告された。

認知症リスクに対するPTSDの影響~メタ解析

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、認知症発症の潜在的なリスク因子といわれている。しかし、このリスクを定量化するためのメタ解析はこれまで実施されていなかった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMia Maria Gunak氏らは、一般集団におけるPTSDに関連する将来の認知症リスクを定量化するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年9月15日号の報告。  2019年10月25日までのPTSDと認知症リスクを評価した縦断的研究を、9つの電子データベースより検索した。研究全体の推定値をプールし、ランダム効果と固定効果モデルのメタ解析を行った。

急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年には入って急増したのがオンライン(Web)上で行われる学会だ。感染流行初期の2、3月は開催中止に追い込まれる学会が多かったが、4月以降からオンラインへのシフトが本格化し、秋以降もオンライン上のみ開催、もしくは現地開催とのハイブリッド形式を採用する学会が大半となっている。  ケアネットでは、会員医師に協力いただき、オンライン学会への参加経験の有無や、参加した感想をアンケート形式で聞いた。2020年8月13日~19日に1,000名を対象にオンライン学会への参加経験の有無を聞き、「参加経験あり」の回答者に参加学会や満足度、感想を聞いた。

ALS、フェニル酪酸ナトリウム+taurursodiolが機能低下を遅延/NEJM

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者へのフェニル酪酸ナトリウム+taurursodiol投与は、24週間の機能低下をプラセボよりも遅らせる可能性があることが、米国・ハーバード大学医学大学院のSabrina Paganoni氏らによる、ALS患者137例を対象とした多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。フェニル酪酸ナトリウムおよびtaurursodiol投与は、実験モデルでは神経細胞死を抑制することが示されていたが、ALS患者に対する2剤併用の有効性と安全性は明らかになっていなかった。今回の試験では、副次アウトカムについて2群間で有意差は認められず、結果を踏まえて著者は、「有効性と安全性を評価するには、より長期かつ大規模な試験を行う必要がある」と述べている。NEJM誌2020年9月3日号掲載の報告。