日本人高齢者における野菜・果物の摂取と認知症リスク~久山町研究

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/12

 

 これまで、欧米で行われていたプロスペクティブ研究では、野菜や果物の摂取が認知症リスクを低下させることが示唆されている。しかし、アジア人を対象とした疫学的なエビデンスは限られていた。九州大学の木村 安美氏らは、日本人コミュニティにおける野菜や果物およびそれらの栄養素の摂取と認知症発症リスクと認知症サブタイプとの関連について調査を行った。その結果、野菜とその構成栄養素の摂取量が多いほど、日本人高齢者の認知症リスクが低下することを報告した。BMC Geriatrics誌2022年3月28日号の報告。

 ベースライン時に認知症でない60歳以上の日本人1,071人(男性:452人、女性:619人)を対象に、24年間プロスペクティブにフォローアップを行った。野菜、果物、栄養素の摂取量は、ベースライン時に70項目の半構造化された食物摂取頻度調査票で評価し、性別ごとに四分位で分類した。評価項目は、認知症とそのサブタイプ(アルツハイマー病、血管性認知症)の発症とした。認知症発症のリスク推定値の算出には、Cox比例ハザードモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・長期フォローアップ期間中の認知症発症は464例であり、その内訳はアルツハイマー病286例、血管性認知症144例であった。
・交絡因子で調整した後、野菜の摂取量が多い人では認知症(p trend<0.05)およびアルツハイマー病(p trend<0.05)のリスク低下が認められたが、血管性認知症のリスク低下は認められなかった。
・野菜の摂取量が最高四分位の人では、最低四分位の人と比較し、認知症リスクが27%、アルツハイマー病リスクが31%低かった。
・認知症リスクは、ビタミンA、リボフラビン、ビタミンC、マグネシウム、カルシウム、カリウムの摂取量が増加するほど有意な減少が認められた(各々:p trend<0.05)。
・食物繊維の総摂取量が多い人は、認知症リスクが低い傾向にあった(p trend=0.07)。
・果物の摂取量と認知症および認知症サブタイプのリスクとの有意な関連は認められなかった。

(鷹野 敦夫)