神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

ケサンラ、新しい用量でARIA-Eの発症リスクが有意に減少/リリー

 日本イーライリリーは2025年9月18日、「認知症の治療現場の今とケサンラの最新使用法に関するメディアセミナー ~新しい投与スケジュールによりARIA-Eの発現割合が低下~」を開催した。「ケサンラ点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)は、2024年9月に「アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制」を効能または効果として国内における承認を取得し、同年11月26日に発売された。

てんかん患者の突然死、発作期無呼吸がリスクマーカーに/Lancet

 「てんかんにおける予期せぬ突然死(sudden unexpected death in epilepsy:SUDEP)」はてんかん関連死の主要な原因であり、後ろ向き研究によってそのリスク因子は、全般けいれん発作(とくに夜間)、罹患期間の長いてんかん、独居が知られている。米国・University of Texas Health Science Center at HoustonのManuela Ochoa-Urrea氏らは、これらのリスク因子を支持するエビデンスと共に、発作に伴う無呼吸がSUDEPリスクの指標となる可能性を示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年9月17日号で発表された。

家事をしない人は認知症リスクが高い?米国65歳以上の10年間調査

 身体活動レベルは、アルツハイマー病およびその他の認知症発症リスクに影響を及ぼす。米国・カリフォルニア大学のNan Wang氏らは、65歳以上の米国人を対象に、家事頻度の変化が認知機能に及ぼす影響を評価するため、10年間にわたる家事頻度の変化と認知機能との相関を調査した。The Permanente Journal誌オンライン版2025年9月10日号の報告。  Health and Retirement Studyに参加した65歳以上の米国人8,141例のデータを分析した。2008~10年の家事頻度の変化を「一貫して高い」「低から高へ変化」「高から低へ変化」「一貫して低い」の4つに分類し、評価した。認知機能は、2010~18年に複合スコア(範囲:0~35)を用いて測定し、混合効果線形回帰モデルを用いて評価した。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性

 米国・Ohio State University Wexner Medical CenterのJared Stroud氏らは、アルツハイマー型認知症患者に伴うアジテーションの治療に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を検討するため、2つの臨床試験を統合し、事後解析を実施した。Current Medical Research and Opinion誌2025年9月5日号の報告。  軽度から重度の認知機能低下およびアジテーションを有するアルツハイマー病患者を対象とした2つの国際共同無作為化二重盲検試験において、ブレクスピプラゾール(2mg/日または3mg/日)およびプラセボによる治療のデータを統合した。12週間にわたるアジテーション頻度の変化は、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて測定した。安全性評価には、治療中に発現した有害事象(TEAE)を含めた。本事後解析では、ケア環境(施設入所、非施設入所)、認知機能低下の重症度(軽度/中等度、重度)、併発する行動症状(精神病、うつ病、不安症、易刺激性、睡眠障害)、認知症治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン)、精神疾患治療薬(抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤)の併用の有無に基づき、臨床的に関連する13のサブグループについて調査した。

超音波ヘルメットによって手術なしで脳刺激療法が可能に

 脳深部刺激療法(deep brain stimulation;DBS)は、てんかんやパーキンソン病から群発頭痛、うつ病、統合失調症に至るまで、さまざまな疾患の治療に有望であることが示されている。しかし残念ながら、DBSでは医師が患者の頭蓋骨に穴をあけ、微弱な電気パルスを送る小さなデバイスを埋め込むための手術が必要になる。こうした中、新たな超音波ヘルメットによって、手術を行わずに脳の深部を正確に刺激できる可能性のあることが示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のBradley Treeby氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に9月5日掲載された。

生後1週間以内の侵襲性感染症が小児てんかんリスクと関連

 てんかんは小児期に発症することの多い神経疾患で、健康や生活への影響が生涯にわたることも少なくないため、予防可能なリスク因子の探索が続けられている。オーフス大学病院(デンマーク)のMads Andersen氏らは、新生児期の侵襲性感染症罹患に伴う炎症が脳損傷を引き起こし、てんかんリスクを押し上げる可能性を想定し、全国規模のコホート研究により検証。結果の詳細が「JAMA Network Open」に7月7日掲載された。  この研究では、1997~2013年にデンマーク国内で、在胎35週以上の単胎児で重篤な先天異常がなく出生した全新生児を対象とし、2021年まで、または18歳になるまで追跡した。生後1週間以内に診断された敗血症または髄膜炎を「出生早期の侵襲性細菌感染症」と定義し、そのうち血液または脳脊髄液の培養で細菌性病原体が確認された症例を「培養陽性感染症」とした。てんかんは、診断の記録、または抗てんかん薬が2回以上処方されていた場合で定義した。

前頭側頭型認知症患者はてんかん有病率が高い

 これまでの研究で、てんかんと前頭側頭型認知症(FTD)との関連性が示唆されてきているが、体系的なデータの裏付けは少ない。東フィンランド大学のAnnemari Kilpelainen氏らは、FTD患者のてんかん有病率を、健常対照者(HC)やアルツハイマー病(AD)患者と比較する症例対照研究を実施。結果が「JAMA Neurology」に6月2日掲載された。  この研究では、フィンランドの認知症専門医療機関2施設の外来FTD患者と、年齢、性別、地理的条件をマッチングさせたHC群、およびAD患者群のてんかんの有病率、抗てんかん発作薬(ASM)の処方受取率が4時点で比較された。各群の該当者数と年齢(FTD群とAD群は疾患診断時年齢)、女性の割合は以下のとおり。FTD群245人(65.2±8.7歳、49.4%)、HC群2,416人(65.0±8.5歳、49.3%)、AD群1,326人(71.7±9.8歳、58.6%)。

フレマネズマブ24ヵ月投与中止後の片頭痛悪化と投与再開後の治療反応

 ギリシャ・Agios Andreas General Hospital of PatrasのAndreas A. Argyriou氏らは、フレマネズマブで治療反応が認められた片頭痛患者における2年間投与後の治療中止の影響、片頭痛悪化後およびフレマネズマブ治療再開後の治療反応の違いを評価した。European Journal of Neurology誌2025年8月号の報告。  本研究は、Greek Research Alliance for Studying headache and Pain(GRASP)研究グループによるプロスペクティブ多施設共同リアルワールド試験である。フレマネズマブの24ヵ月投与を完了後に休薬し、その後片頭痛悪化に伴いフレマネズマブを再開した高頻度エピソード性片頭痛(HFEM)または慢性片頭痛(CM)患者149例を解析対象とした。1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD/MHD)およびその他の有効性における縦断的な変化を評価するため、ベースライン(T0)、3ヵ月目(T1)、24ヵ月目(T2)、治療休止期間(T3)、フレマネズマブ再開後3ヵ月目(T4)に面接調査を行った。主要評価項目は、T4における50%以上および75%以上の奏効率をT3とT2間での比較とした。

人生における目的意識は脳の健康を守る?

 人生に目的意識を持つことは、充実感をもたらすだけでなく、認知症から脳を守る可能性もあることが新たな研究で明らかになった。人生に高い目的意識を持っている人では、目的意識の低い人と比べて軽度認知障害(MCI)または認知症を発症する可能性が28%低いことが示されたという。米カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)精神医学および行動科学教授のAliza Wingo氏らによるこの研究結果は、「The American Journal of Geriatric Psychiatry」10月号に掲載された。Wingo氏は、「われわれの研究結果は、目的意識を持つことが、年を重ねても脳の回復力を維持するのに役立つことを示している」と話している。