内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:40

抗うつ薬の有用性比較、SSRI vs.SNRI vs.新規抗うつ薬

 うつ病は、長期にわたる薬物療法を必要とすることが多く、有病率の高い衰弱性の疾患である。うつ病の薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)が一般的に用いられるが、一部の患者では有効性および忍容性に限界がある。最近の研究でも、さまざまな経路を標的とした新しい抗うつ薬の有用性が示されている。パキスタン・Azad Jammu and Kashmir Medical CollegeのAmber Nawaz氏らは、うつ病患者に対するSSRI、SNRI、新規抗うつ薬の有効性、QOL改善、副作用プロファイルを評価するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Cureus誌2024年12月24日号の報告。

多量飲酒と3個以上の心代謝リスク因子は肝疾患リスクを上昇させる

 腹部肥満や糖尿病、高血圧などを有する人の飲酒は肝疾患リスクを高める可能性があるようだ。飲酒量の多い人では、3個以上の心血管代謝疾患のリスク因子(cardiometabolic risk factor;CMRF)が肝線維化の進行リスクを顕著に高めることが、新たな研究で示唆された。米南カリフォルニア大学ケック医学校のBrian Lee氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に2月3日掲載された。  代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、脂肪肝に加え、肥満や高血圧、高コレステロールなどのCMRFを1つ以上併発している状態を指す。MASLDがあり、かつアルコール摂取量が多い場合には、代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)として分類される。しかし、飲酒自体がCMRFを引き起こす可能性があることから、この定義は議論を呼んでいる。

GLP-1RAの腎保護効果はDPP-4iを上回る

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は慢性腎臓病(CKD)進行抑制という点で、DPP-4阻害薬(DPP-4i)より優れていることを示唆するデータが報告された。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのShuyao Zhang氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に12月5日掲載され、2月10日には同大学からニュースリリースが発行された。Zhang氏は、「血糖管理におけるGLP-1RAの有用性は既によく知られていた。一方、われわれの研究によって新たに、CKDハイリスク患者におけるGLP-1RAの腎保護効果を裏付ける、待望のエビデンスが得られた」と述べている。

頭痛が自殺リスクに及ぼす影響

 これまでの研究では、片頭痛と自殺リスクとの関連が示唆されているが、さまざまな頭痛疾患と自殺企図および自殺リスクとの関連を評価した研究は限られている。デンマーク・オーフス大学のHolly Elser氏らは、片頭痛、緊張性頭痛、外傷後頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)と自殺企図および自殺リスクとの関連を調査した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年2月3日号の報告。

コーヒーに入れても糖尿病リスクが上がらないものは?

 コーヒー摂取は、一貫して2型糖尿病のリスク低下と関連しているが、砂糖やコーヒークリームを添加することによってこの関連が変化するかどうかは不明である。今回、スペイン・ナバーラ大学のMatthias Henn氏らが、コーヒーに砂糖や人工甘味料を加えるとコーヒーの摂取量増加と2型糖尿病リスクとの逆相関が大幅に弱まるものの、クリームを使用しても逆相関は変わらないことを示唆した。American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年1月18日号掲載の報告。  研究者らは、コーヒー摂取と2型糖尿病のリスクとの関連について、砂糖、人工甘味料、クリーム、または非乳製品のクリーム(コーヒーホワイトナー)の添加を考慮して分析を行った。調査には看護師健康調査(Nurses' Health Study:NHS、1986~2020年)、NHS II(1991~2020年)、医療者追跡調査(HPFS、1991~2020年)の3つの大規模前向きコホートを用い、質問表でコーヒーの消費量、添加の有無、2型糖尿病の発症状況などを確認。時間依存Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、多変量調整してハザード比(HR)を算出した。

GLP-1受容体作動薬は目に悪影響を及ぼす?

 減量薬として広く使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、まれに視力障害を引き起こす可能性のあることが分かってきた。しかし、新たな小規模研究によると、現時点では、そのような目の合併症の原因がGLP-1RAであるのかどうかについての結論は出せないという。米ユタ・ヘルス大学のジョン・A・モラン・アイセンターのBradley Katz氏らによるこの研究は、「JAMA Ophthalmology」に1月30日掲載された。  この研究を実施するきっかけとなったのは、論文の筆頭著者であるKatz氏が、ある患者において、GLP-1RAのセマグルチドの使用開始後に片方の目の視力が突然、痛みもなく低下したことに気付いたことだったという。患者は一時的にセマグルチドの使用を中止したが、使用を再開したところ、もう片方の目にも視力低下が起こったという。不安を感じたKatz氏は、メーリングリストを通じて他の眼科医に同じようなことが起きていないかを尋ねた。その結果、GLP-1RAの使用後に目の視神経周辺の血管の機能障害など視力を低下させるような問題が起こった症例として、9例の報告が寄せられた。

高齢者のコレステロール値の変動は脳の健康に関与

 コレステロール値が年ごとに急上昇したり急降下したりする高齢者は、認知症や認知機能低下のリスクが高い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。モナシュ大学(オーストラリア)のZhen Zhou氏らによる同研究で、コレステロール値の変動幅が最も大きい高齢者では、最も小さい高齢者と比べて認知症のリスクが60%高いことが示されたという。詳細は、「Neurology」に1月29日掲載された。Zhou氏は、「毎年測定したコレステロール値の変動幅は、ある時点で測定されたコレステロール値よりも多くの情報をもたらし、認知症リスクのある人を特定するための新たなバイオマーカーとなり得ることを示唆する研究結果だ」と米国神経学会(AAN)のニュースリリースで述べている。

「DNAR」を説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、⾼齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし⽅を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使⽤されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。

血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。  現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。

朝食の習慣や質と抑うつ症状との関連

 朝食は、1日で最も重要な食事とみなされることが多く、身体的および精神的健康に影響を与えると考えられる。多くの研究では、朝食を抜くことがうつ病に及ぼす影響に焦点が当てられているが、朝食の質や朝食時間について調査した研究はほとんどない。中国・西安交通大学のMengzi Sun氏らは、朝食習慣および朝食の質と抑うつ症状との関連性を調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年1月23日号の報告。  対象は、2007〜18年の全国健康栄養調査(NHANES)の20歳以上の参加者2万3,839人。朝食習慣は、24時間食事回想法を2回実施して評価した。朝食摂取の有無とその時間を記録した。朝食の質を評価するため、朝食の質スコア(BQS)を算出した。抑うつ症状の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。関連性の評価には、バイナリロジスティック回帰を用いた。  主な結果は以下のとおり。