内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:148

血液型が脳梗塞リスクに影響?

 血液型によって虚血性脳卒中(脳梗塞)のリスクに差がある可能性を示唆する研究結果が報告された。米メリーランド大学のBraxton Mitchell氏らの研究によるもので、論文が「Neurology」に8月31日掲載された。特に非高齢期での脳梗塞リスクへの影響が大きいという。  Mitchell氏らの研究は、非高齢者の脳梗塞リスクに関する遺伝子変異の影響を、これまでの研究を統合して分析するメタ解析という方法で検討したもの。その研究から、血液型と脳梗塞リスクとの関連性が浮かび上がった。具体的には、O型の人はA型やB型、AB型の人よりも脳梗塞のリスクがやや低いことが示された。反対にA型の人は脳梗塞が多く、特に60歳未満での発症との強い関連が見られ、他の血液型の人よりも16%リスクが高かった。ただしMitchell氏は、「自分がA型だからといって心配することはない。血液型は変更できないが、脳梗塞のリスクの中には変更可能なさまざまな因子が含まれている。例えばタバコを吸わないこと、習慣的に運動すること、健康的な食事を取ること、高血圧や糖尿病などの脳梗塞のリスクを高める疾患があればそれをコントロールすることで、リスクを抑えられる」と話している。

自営業の女性には健康な人が多い

 被雇用者ではなく自営業の女性は、心血管疾患のリスクが低いことを示唆する研究結果が、「BMC Women's Health」に7月23日掲載された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)女性健康センターのKimberly Narain氏とSedina Dzodzomenyo氏が、4,600人以上の米国の女性有職者を対象に行った研究から、自営業者は運動量が多く、肥満、高血圧、糖尿病の有病率が低いことが分かった。  論文の上席著者であるNarain氏は、「われわれの研究結果は、女性が自営業に就くことで健康になるという因果関係の証明ではない。しかし、自営業という働き方が、女性の心臓に良い影響を与える可能性を示している。自営業者は被雇用者よりも働く日時を自由に設定しやすいが、そのようなポジティブな側面を被雇用者の労働条件にも反映することを検討すべきかもしれない」と述べている。  Narain氏らの研究には、米ミシガン大学が行っている、就労や定年退職と健康に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータが用いられた。2016年にHRSに登録された4,624人の女性有職者(16.2%が自営業者)の就労形態と、心血管疾患リスク因子の有病率やメンタルヘルス、および健診受診率などとの関連を解析。その結果、自営業の女性は被雇用の女性に比べて活動的で(週に2回以上運動している割合が80.4%対72.0%)、肥満(31.7%対41.3%)や高血圧(19.1%対27.6%)、糖尿病(11.5%対14.3%)の有病率が低かった。

紅茶を飲むと長生きできる?

 1日2~3杯の紅茶を飲むと早期死亡リスクが低減する可能性のあることが、新たな研究で示された。英国の大規模バイオバンク研究であるUKバイオバンクへの参加者50万人弱の男女を対象とした研究で、紅茶を飲まない人に比べて1日2杯以上飲む人では全死亡リスクが9~13%低いことが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)がん疫学・遺伝学部門のMaki Inoue-Choi氏らが実施したこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に8月30日掲載された。  この研究では、UKバイオバンクの参加者である40~69歳の英国人49万8,043人を対象に、紅茶の摂取と全死亡および原因特異的な死亡(がん、全心血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中、呼吸器疾患)との関連が検討された。これらの対象者は、2006〜2010年の試験登録時にベースライン調査を完了しており、89%が紅茶を飲んでいると回答していた。追跡期間は中央値で11.2年だった。

パンデミック中に糖尿病患者の受診頻度が有意に減少

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴い、定期的に受診していた糖尿病患者の受診や処方頻度が有意に減少したことが明らかになった。特に女性患者に、より大きな変化が認められるという。福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室の前田俊樹氏らの研究によるもので、詳細は「Medicine」に7月22日掲載された。  COVID-19パンデミック発生後に外来受診者数が減少したことについては、既に複数の報告がある。ただしそれらの研究の多くは、パンデミック前後での受診者数を比較したものであり、パンデミック以前から定期的に受診をしていた患者の受療行動の変化を検討した研究は少ない。糖尿病は受診中断が疾患コントロールの悪化につながり、合併症リスクを押し上げるという疾患特性があるため、患者の受療行動の変化の把握が重要と言える。そこで前田氏らは、糖尿病診療にかかわる医療費請求データを縦断的に解析して、この点を検討した。

超加工食品摂取が多い男性、大腸がんリスク3割増/BMJ

 ソーセージやインスタント麺といった超加工食品の摂取量が多い男性は、大腸がんリスクが高く、女性では超加工食品摂取量と同リスクの関連はなかったが、調理済み/加熱した混合料理の摂取量が多いと、大腸がんリスクが高いといった関連が、米国・タフツ大学のLu Wang氏らによる検討で示された。BMJ誌2022年8月31日号掲載の報告。  研究グループは、米国の医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study、1986~2014年)に参加した男性4万6,341人、看護師健康調査(Nurses' Health Study I[1986~2014年]6万7,425人、II[1991~2015年]9万2,482人)に参加した女性15万9,907人の3つの前向きコホートから、食事摂取量の記録があり、ベースラインでがんの診断を受けていなかった参加者を対象に、超加工食品の摂取と大腸がんリスクとの関連を調べた。  超加工食品の例としては、炭酸飲料、ソーセージ、ビスケット、キャンディー、インスタントスープ/麺、甘味/塩味スナック菓子、加糖牛乳およびフルーツ飲料などが含まれた。

認知症の急性興奮症状を軽減する感覚に基づく介入

 認知症患者の興奮症状の発生を長期間にわたり軽減するための介入として、感覚に基づく介入(Sensory-based Intervention)が一般的に行われている。しかし、この介入の即効性に関するエビデンスは十分ではない。香港理工大学のDaphne Sze Ki Cheung氏らは、認知症患者の興奮症状軽減に対して使用されている感覚に基づく介入を特定し、これら介入の即時効果を調査した。その結果、認知症患者において興奮症状軽減に対する感覚に基づく介入の即時効果を検討した研究はかなり不足しているものの、音楽関連の介入における限られたエビデンスは有望である可能性が示唆された。Aging & Mental Health誌オンライン版2022年9月8日号の報告。

虚血性脳卒中の2次予防、asundexian追加の有効性示せず/Lancet

 急性期非心原塞栓性虚血性脳卒中の2次予防治療において、抗血小板薬療法への血液凝固第XIa因子(FXIa)阻害薬asundexianの追加はプラセボと比較して、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合の発生を増加させないものの、潜在性脳梗塞または虚血性脳卒中再発の複合の発生を抑制しないことが、カナダ・マックマスター大学のAshkan Shoamanesh氏らが実施した「PACIFIC-Stroke試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年9月2日号で報告された。

日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、9月7日に開催された。その中で大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター/COVIREGI解析チーム)らのチームが、「COVID-19レジストリに基づく死亡症例の分析」を報告した。  レジストリ研究は、わが国におけるCOVID-19患者の臨床像および疫学的動向を明らかにすることを目的に、2020年1月から行われている。COVID-19と診断され、医療機関において入院管理されている症例を対象に(8月22日時点で登録症例数は7万920症例)、COVID-19の臨床像・経過・予後、重症化危険因子の探索、薬剤投与症例の経過と安全性について解析、検討が行われている。

収縮機能の良しあしにかかわらず心不全へのSGLT2阻害薬の有効性を確認、しかし副作用に対する注意は不可欠(解説:桑島巌氏)

糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬がいまや心不全治療薬として大ブレークしている。心不全でも収縮機能が低下しているHFrEF(heart failure with reduced EF)に対する有効性は多くの大規模臨床試験で証明されていたが、収縮機能が良好な心不全(HFpEF)に対する有用性は明らかではなかった。しかしDELIVER試験(2021年)とEMPEROR-Preserved試験(2022年)という2つの大規模臨床試験によってHFpEFに対する有効性も確認され、心不全治療薬としての適応範囲は大きく広がる可能性が示された。