内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:145

低BMIの蛋白尿リスクに“朝食抜き”が影響

 蛋白尿は心血管疾患と死亡率の重要な予測因子であり、いくつかの研究では、朝食を抜くことと蛋白尿の有病率との関連性が報告1)されている。また、朝食を抜くと肥満のリスクが高まることも明らかになっている。そこで、村津 淳氏(りんくう総合医療センター腎臓内科)らは蛋白尿が肥満の人でよく見られることに着目し、朝食を抜くことによる蛋白尿の有病率とBMIとの関連について調査を行った。その結果、蛋白尿は低BMIと関連性が見られ、低BMIの人の場合には、朝食を抜くことに注意する必要があることが示唆された。本研究結果はFront Endocrinol誌8月19日号に掲載された。 . 本研究者らは、正常な腎機能者における朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連に対するBMIの臨床的影響を評価することを目的に、2008年4月~2018年12月までの期間に市中病院で健康診断を受け、腎疾患の既往がなく、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2 以上であった2万6,888例 (男性:1万5,875例、女性:1万1,013例) を対象に横断研究を実施した。

BA.2.75「ケンタウロス」に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 2022年6月よりインドを中心に感染拡大したオミクロン株BA.2.75(別名:ケンタウロス)は、日本を含め、米国、シンガポール、カナダ、英国、オーストラリアなど、少なくとも25ヵ国で確認されている。河岡 義裕氏、高下 恵美氏らによる東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、BA.2.75に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、一部の抗体薬とすべての抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年9月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

ファイザーとモデルナのBA.1対応追加接種用2価ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は9月12日、ファイザーおよびモデルナのオミクロン株BA.1に対応した新型コロナウイルス2価ワクチンを承認(特例承認医薬品における効能・効果、用法・用量の一部変更承認)したことを発表した。2価ワクチンの販売名は、ファイザーが「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、モデルナが「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」となる。両ワクチンともに追加接種用で、ファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上が対象となる。

小児のコロナ後遺症は成人と異なる特徴~約66万人の解析

 小児における新型コロナウイルス感染症の罹患後症状には、成人とは異なる特徴があることを、米国・コロラド大学医学部/コロラド小児病院のSuchitra Rao氏らが明らかにした。同氏らは、新型コロナウイルスの感染から1~6ヵ月時点の症状・全身病態・投与された薬剤を調べ、罹患後症状の発生率を明らかにするとともに、リスク因子の特定を目的に、抗原検査またはPCR検査を受けた約66万人の小児を抽出して後ろ向きコホート研究を行った。

BA.1/2既感染者はBA.5の防御効果が高い?/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の主流となったオミクロン株BA.5については、従来株の感染既往があっても免疫逃避して再感染しやすいと認識されていた。しかし、早期にBA.5が優勢になった国の1つであるポルトガルにおいて、従来株の感染既往がある人におけるBA.5感染リスクを調査したところ、BA.1/BA.2の感染既往がある人は、ほかの変異株の感染既往よりも、BA.5に対する高い防御効果を有しているということが判明した。本結果は、ポルトガル・Instituto de Medicina Molecular Joao Lobo AntunesのJoao Malato氏らが、NEJM誌2022年9月8日号のCORRESPONDENCEで報告した。  本研究では、1,034万4,802人が登録されている全国コロナウイルスレジストリSINAVEのデータが用いられ、2022年7月4日時点の12歳以上の930万7,996人が対象となっている。このレジストリには、臨床症状を問わず、ポルトガル国内で報告されたすべての症例が記録されている。遺伝子検査により各変異株が90%以上を占める期間を特定し、優勢期として設定した。BA.1とBA.2は流行の移行が緩やかだったため優勢期が統合された。各優勢期に初めて新型コロナに感染した人を特定し、各変異株の感染既往群および未感染群のBA.5に対する感染リスクを算出した。ポルトガルでは2022年6月1日よりBA.5の優勢期となっている。なお、2022年以前に被験者の98%以上が新型コロナワクチンの初回シリーズを接種完了しているため、感染者はブレークスルー感染と見なされる。

スタチンによる筋肉痛・筋肉障害は本当?(解説:後藤信哉氏)

循環器医として、しばしばスタチンを処方している。心筋梗塞発症予防効果は臨床エビデンスから明確だが頭蓋内出血などの重篤な出血イベントが起こることも事実であるアスピリンと比較して、スタチンは心筋梗塞予防効果が確実でありながら、薬効と直結する重篤な副作用は明確ではない。すなわち、心筋梗塞の再発予防にも、多分初発予防にもスタチンは有用と思われる(筆者もLDLは高くないが時々飲んでいる)。スタチンの使用を始めたころ、「横紋筋融解症」のリスクが徹底教育された。幸いにして長年循環器医をしてスタチンを多用している筆者は、本物の「横紋筋融解症」を経験したことはない。スタチン開始直後に筋肉痛の症状を訴える症例に出合うことはまれではない。副作用の説明が重視される時代に、「筋痛があればすぐ受診してください」と教育されるために筋痛が多いのか、本当に薬の副作用として筋痛が多いのか、本当のところはわからなかった。

ケレンディア、2型糖尿病を合併するCKD患者に関する最新データ発表/バイエル

 バイエル薬品の2022年8月30日付のプレスリリースによると、欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022において、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者(CKD)の死亡率にケレンディア(一般名:フィネレノン)が及ぼす影響を示した最新データが発表された。  2型糖尿病を合併するCKD患者を対象としたフィネレノン第III相臨床試験プログラムは、FIDELIO-DKDとFIGARO-DKDの2つの試験で構成されている。この2つの試験を含むFIDELITYは2型糖尿病を合併するCKD患者1万3,000名以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第III相臨床試験プログラムである。FIDELITYの全体集団では、全死因死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は統計学的有意差にわずかに至らなかったものの、FIDELITYの事前規定した探索的on-treatment解析から得られた最新データによると、本集団ではフィネレノン群がプラセボ群と比べ、全死因死亡の発現率(ハザード比[HR]:0.82[95%信頼区間[CI]:0.70~0.96]、p=0.014)および心血管死の発現率(HR:0.82[95%CI:0.67~0.99]、p=0.040)を有意に減少させることが示された。追跡期間4年時点での心血管死までの時間に関するイベント確率解析では、ベースライン時点の推算糸球体濾過率(eGFR)および尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に関係なくフィネレノンの有用性は一貫しており、eGFRが60mL/min/1.73m2以上の場合、プラセボと比べフィネレノンのより顕著な効果が示された。

新型コロナの重症度と予後を予測するバイオマーカーを発見/横浜市大、神奈川県立がんセンター

 血清ヘムオキシゲナーゼ-1(Heme oxygenase-1:HO-1)濃度が、COVID-19の重症度と生命予後予測の指標となることを、横浜市立大学大学院医学研究科の原 悠氏らと神奈川県立がんセンターの築地 淳氏らの研究グループが発見した。PLOS ONE誌オンライン版2022年8月24日掲載の報告。  HO-1は、M2マクロファージによって産生されるストレス誘導タンパク質で、可溶性CD163(sCD163)を産生する。sCD163は、COVID-19の生命予後の予測性能において有用性が期待されている。研究グループは、血清HO-1がCOVID-19患者の重症度と生命予後予測の両方を評価するバイオマーカーになりうると考え、M2マクロファージマーカーとされる血清HO-1とsCD163の有用性を検証した。  解析対象は、入院治療を必要としたCOVID-19患者64例(軽症11例、中等症38例、重症15例)であった。入院時に血清HO-1とsCD163の血清濃度を測定し、臨床パラメーターおよび治療経過との関連性を解析した。

左室駆出率の軽度低下または保持心不全、ダパグリフロジンが有効/NEJM

 左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)または保持された心不全(HFpEF)患者の治療において、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬であるダパグリフロジンはプラセボと比較して、心不全の悪化または死亡のリスクを有意に低減させるとともに、症状の負担を軽減し、有害事象の発現状況は同程度であることが、米国・ハーバード大学医学大学院のScott D. Solomon氏らが実施した「DELIVER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年8月27日号で報告された。  DELIVER試験は、左室駆出率が軽度低下または保持された心不全患者の治療における、ダパグリフロジンの有効性と安全性の評価を目的とするイベント主導型の二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年8月~2020年12月の期間に、日本を含む20ヵ国353施設で参加者のスクリーニングが行われた(AstraZenecaの助成による)。

スタチン投与時の筋症状、9割以上が関連なし/Lancet

 スタチンは動脈硬化性心血管疾患の予防に有効で、広く処方されているが、筋肉痛や筋力低下を引き起こす可能性が高いとの懸念が消えない。英国・オックスフォード大学のChristina Reith氏らCholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaborationは、大規模臨床試験の有害事象データを用いてスタチンの筋肉への影響について検討し、スタチン治療はプラセボと比較して、ほとんどが軽度の筋症状がわずかに増加したものの、スタチン治療を受けた患者で報告された筋症状の90%以上はスタチンに起因するものではなく、スタチンによる筋症状のリスクは心血管に対する既知の利益に比べればはるかに小さいことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年8月26日号に掲載された。