内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:117

フィネレノンの効果の多くはアルブミン尿抑制作用が媒介

 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンによる腎転帰および心血管転帰改善効果の多くは、アルブミン尿抑制作用が媒介した結果であることを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に12月5日掲載された。  フィネレノンは、慢性腎臓病(CKD)患者や2型糖尿病患者のアルブミン尿抑制という他覚所見の改善とともに、心腎イベント発生リスクを低下させ、転帰を改善し得ることが報告されている。ただし、心腎イベント抑制効果に対して、アルブミン尿抑制作用がどの程度関与しているのかは明らかにされていない。Agarwal氏らは、同薬の第3相臨床試験として実施された2件の研究のプールされたデータを用いた媒介分析を行い、この点を検討した。

「肉なし」食生活でコロナリスクが4割低下?

 植物性食品をベースにした食生活は、血圧の低下、血糖コントロールの改善、体重減少など、さまざまな健康上の利点と関連付けられているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患リスクを低減させる可能性もあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、植物性食品をベースにした食生活により、COVID-19罹患リスクが39%低下する可能性が示されたという。Hospital das Clinicas FMUSP(ブラジル)のJulio Cesar Acosta-Navarro氏らによるこの研究結果は、「BMJ Nutrition Prevention and Health」に1月9日掲載された。

遺伝性血管性浮腫、CRISPR-Cas9ベースの生体内遺伝子編集治療が有望/NEJM

 遺伝性血管性浮腫の治療において、NTLA-2002の単回投与は、血漿中の総カリクレイン濃度を強固に、用量依存性で恒久的に減少させ、重度の有害事象は観察されないことが、ニュージーランド・Auckland City HospitalのHilary J. Longhurst氏らによる検討で示された。遺伝性血管性浮腫はまれな遺伝性疾患で、予測不能な重度の浮腫発作を引き起こす。NTLA-2002は、CRISPR-Cas9に基づく生体内遺伝子編集治療で、カリクレインB1をコードする遺伝子(KLKB1)を標的とする。研究の成果は、NEJM誌2024年2月1日号で報告された。

日本の大学で医学部長や病院長になる人の特徴は?

 日本の医療機関における重要なリーダーである医学部長と大学病院長について、性別、出身大学、専門領域などの傾向を調べるため、島根大学およびミシガン大学の和足 孝之氏らの研究グループが調査を実施した。その結果、日本の82大学の医学部長と病院長はすべて男性で、日本の医学部を卒業し、博士号を取得していることなどが示された。JAMA Network Open誌2024年1月11日号Research Letterでの報告。  本調査では、2022年6月1日時点で文部科学省に認可されている全国82校の国公私立大学について、医学部長および病院長を特定し、性別、医学部卒業からの年数、出身大学、専門領域、研究分野、博士号の取得歴などについて記述統計による解析を行った。

キノコと認知症リスク~日本での研究

 キノコは、食物繊維やいくつかの抗酸化物質が豊富な食材である。このようなキノコの食事摂取が認知症リスクの低下と関連しているかは、不明である。筑波大学の青木 鐘子氏らは、キノコ摂取と認知機能障害リスクとの関連を調査した。その結果、日本人女性において、キノコの食事摂取が認知機能障害リスクの低下と関連していることが示唆された。The British Journal of Nutrition誌オンライン版2024年1月19日号の報告。  1985~99年に毎年実施されていた心血管リスク調査に参加した3つの地域に在住する40~64歳の地域住民3,750人を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。認知症による障害が認められた事例を、1999~2020年に調査した。脳卒中の既往歴の有無にかかわらず、キノコの摂取量に応じた認知症発症数のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

短時間睡眠は女性のインスリン感受性を低下させる

 女性の短時間睡眠はインスリン感受性の低下につながることを示すデータが報告された。睡眠時間が90分短い状態が6週間続くと、空腹時インスリン値やインスリン抵抗性(HOMA-IR)が有意に上昇するという。米コロンビア大学アービング医療センターのFaris M. Zuraikat氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に11月13日掲載された。  これまでに、睡眠不足が糖代謝に悪影響を及ぼすとする研究結果が複数報告されている。それらの研究の中には、睡眠不足による悪影響は男性よりも女性でより強く現れることを示唆するものもある。そこでZuraikat氏らは、女性の睡眠不足の糖代謝に及ぼす影響に焦点を当てた研究を行った。

喫煙で男性型脱毛症リスク1.8倍、重症化も

 喫煙は、多くの場合、ニコチンを含むタバコを娯楽として摂取することを指し、男性型脱毛症(AGA)の発症および悪化の危険因子であると考えられている。その関連の程度を調べたメタアナリシスの結果が発表された。カナダ・Mediprobe ResearchのAditya K. Gupta氏らによる本研究の結果はJournal of cosmetic dermatology誌オンライン版2024 年1月4日号に掲載された。  研究者らは2023年8月4日、PubMedで「hair loss(脱毛)、alopecia(脱毛症)、bald(頭髪のない)、androgenetic alopecia(男性型脱毛症)」「tobacco(タバコ)、nicotine(ニコチン)、tobacco smoking(喫煙)」の用語で当てはまる研究を検索、その結果2003~21年に発表された8件の研究が同定された。

ペットボトルの水1L中に24万個のプラスチック粒子

 ペットボトルの水で喉を潤す人は、水と一緒に何十万もの微細なプラスチック粒子を摂取しているかもしれない。米コロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所のBeizhan Yan氏らによる研究で、1Lのペットボトル入り飲料水の中には検出可能なプラスチック粒子が平均約24万個含まれており、それらの10個に9個はナノプラスチックであることが明らかになった。この研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に1月8日掲載された。  マイクロプラスチックとは、直径5mm以下から1μm(1mの100万分の1)までのプラスチックの破片であり、1μmよりも小さなものはナノプラスチックと呼ばれる。1μmがいかに小さいかは、人間の髪の毛の太さが約70μmであることを考えると分かりやすいだろう。自然界の有機物とは異なり、ほとんどのプラスチックは無害な物質へと分解されず、単にどんどん小さくなっていくだけであり、理論的にどこまで小さくなるかに限界はないという。

思い込みが薬の効果を変える?

 薬が脳活動に与える影響の大きさは、薬の使用者がその薬の強さをどれだけ信じているかに左右される可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。電子タバコのニコチン量が低、中、または高用量であると告げられた喫煙者は、実際のニコチン量は一定であったにもかかわらず、告げられた量に一致する脳の活性化を示したという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のXiaosi Gu氏らによるこの研究結果は、「Nature Mental Health」に1月3日掲載された。

セマグルチドの使用は自殺念慮と関連しない

 2型糖尿病や肥満症治療のためにオゼンピックやウゴービなどのGLP-1受容体作動薬のセマグルチドを使用していても、GLP-1受容体作動薬の非使用者に比べて自殺念慮が高まる可能性はないことが、電子健康記録(HER)のデータベースを用いた大規模レビューにより明らかにされた。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部Center for Artificial Intelligence in Drug DiscoveryのRong Xu氏らが米国立衛生研究所(NIH)の資金提供を受けて実施したこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月5日掲載された。  Xu氏は、2023年の夏にヨーロッパの規制当局が、セマグルチドに関連して自殺念慮が報告されたことを受けて調査に乗り出したことから、この問題に取り組むことを決めたと説明している。また、米食品医薬品局(FDA)も、最近公開された四半期報告書の中で、オゼンピックやウゴービを含む肥満症治療薬使用者から同様の報告があることを受けて調査中であることを明らかにしている。同氏は、セマグルチドを使用中の人では、アルコールや喫煙などの中毒性のある行動に対する興味が低下するという報告がある一方で、ヨーロッパではセマグルチドと自殺念慮の関連に関する調査が実施されたことに触れ、「一種のパラドックスとも言える状況が生じている」と話している。