内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:119

外用抗菌薬の鼻腔内塗布でウイルス感染を防御?

 抗菌薬のネオマイシンを鼻の中に塗布することで、呼吸器系に侵入したウイルスを撃退できる可能性があるようだ。新たな研究で、鼻腔内にネオマイシンを塗布された実験動物が、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの強毒株の両方に対して強力な免疫反応を示すことが確認された。さらに、このアプローチはヒトでも有効である可能性も示されたという。米イェール大学医学部免疫生物学部門教授の岩崎明子氏らによるこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に4月22日掲載された。

糖尿病診療GL改訂、運動療法では身体活動量の評価と増加に注目/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会より、5年ぶりの改訂となる『糖尿病診療ガイドライン2024』が5月23日に発表された。5月17~19日に第67回日本糖尿病学会年次学術集会が開催され、シンポジウム9「身体活動増加を可能にする社会実装とは何か?」において、本ガイドラインの第4章「運動療法」を策定した加賀 英義氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 糖尿病・内分泌内科)が本章の各項目のポイントについて解説した。  本ガイドライン第4章「運動療法」の構成は以下のとおり。

うつ病の症状とせん妄リスクとの関係~プロスペクティブコホート研究

 せん妄やうつ病は、加齢とともに増加する。両疾患には、アルツハイマー病、機能低下、死亡などの共通の症状や併存疾患の面で、臨床的に重複するものが多い。しかし、うつ病とせん妄の長期的な関連性は、よくわかっていない。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のArlen Gaba氏らは、高齢入院患者を対象に、抑うつ症状負担およびその経過とせん妄リスクとの関連を評価するため、12年間のプロスペクティブ研究を実施した。Innovation in Aging誌2024年3月13日号の報告。

風邪の予防・症状改善に亜鉛は有用か?~コクランレビュー

 風邪症候群の予防や症状持続期間の短縮に関して、確立された方法はいまだ存在しない。しかし、この目的に亜鉛が用いられることがある。そこで、システマティック・レビューおよびメタ解析により、風邪症候群の予防や症状改善に関する亜鉛の効果が検討された。その結果、亜鉛には風邪症候群の予防効果はないことが示唆されたが、症状持続期間を短縮する可能性が示された。Maryland University of Integrative HealthのDaryl Nault氏らがThe Cochrane Database of Systematic Reviews誌2024年5月9日号で報告した。

禁煙の初期治療失敗、治療別の次の一手は?/JAMA

 バレニクリンによる初期治療(6週間)で禁煙できなかった場合は増量が、ニコチン置換療法(CNRT)による初期治療で禁煙できなかった場合は増量またはバレニクリンへの切り替えが、禁煙率を改善する実行可能な救済戦略となりうることが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul M. Cinciripini氏らが、逐次多段階無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。喫煙者のほとんどが最初の試みでは禁煙を達成できないが、これまで初期治療失敗後の治療の選択肢を検証した研究はほとんどなかった。JAMA誌オンライン版2024年5月2日号掲載の報告。

認知症の人と抗精神病薬、深層を読む(解説:岡村毅氏)

実はこれは20年以上も延焼している問題だ。認知症の人のBPSD(行動心理症状)、たとえば自傷や他害、激しいイライラや怒り、幻覚といった症状は、本人にも介護者にも大変つらい体験である。非定型抗精神病薬(パーキンソン症候群などが比較的少ないとされる第2世代の抗精神病薬、具体的にはリスペリドン以降のもの)が精神科領域で使われ始めると、時を同じくして老年医学領域でも使われ始めたのは当然であった。もちろん、これは患者さんをいじめようと思って処方されたのではない。しかし、どうも肺炎や心不全などの有害事象につながっているのではということが指摘され始め、2005年に米国のFDAが死亡リスクを「ブラックボックス」で指摘してからは、使うべきではない、とされてきた。

1日3杯以上のコーヒーがメタボの重症度を低下

 コーヒーの摂取がメタボリックシンドローム(MetS)の総合的な重症度の低下と関連している一方で、カフェインレスコーヒーや紅茶ではその関連が認められなかったことを、中国・Peking Union Medical College HospitalのHe Zhao氏らが明らかにした。European Journal of Nutrition誌オンライン版2024年5月4日号掲載の報告。  これまでの研究により、コーヒー摂取がMetSに良い影響をもたらすことが示唆されているが、いまだ議論の余地がある。そこで研究グループは、2003~18年の国民健康栄養調査のデータ(1万4,504例)を用いて、コーヒーやカフェインレスコーヒー、紅茶摂取とMetSの重症度との関係を線形回帰で分析した。MetSの重症度はMetS zスコアとして総合的に評価した。サブグループ解析では、NCEP/ATP III基準を用いてMetS群と非MetS群に分類して解析した。

怒りっぽい人は心血管疾患のリスクが高い?

 怒りの感情は血管が拡張する能力を一時的に制限し、長期的には心血管疾患の発症リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で示唆された。米コロンビア大学アービング医療センターの循環器専門医であるDaichi Shimbo氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に5月1日掲載された。Shimbo氏は、「怒りっぽい人は、血管に慢性的な傷を負っている可能性がある」と話している。  Shimbo氏らは、18歳以上の健康な成人280人を対象にランダム化比較試験を実施し、誘発された怒り、不安、悲しみの感情が血管内皮機能に与える影響を調べた。対象者の中に、心血管疾患患者、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの心血管疾患のリスク因子を有する人、喫煙者、常用薬の使用者、精神病・気分障害・人格障害の診断歴を有する人は含まれていなかった。

日本人高齢者の認知症発症を予測するバイオマーカー

 九州大学の小原 知之氏らは、血漿アミロイドβ(Aβ)42/40、リン酸化タウ(p-τ)181、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)と認知症リスクとの関連を評価し、これらの血漿バイオマーカーが、一般的な高齢者集団の認知症発症予測の精度向上につながるかを調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年4月12日号の報告。  非認知症の65歳以上の地域在住日本人高齢者1,346人を対象に、5年間のプロスペクティブフォローアップ調査を実施した。血漿バイオマーカーは、超高感度オートELISA Simoa HD-X Analyzerを用いて、定量化した。認知症リスクに対する各血漿バイオマーカーレベルのハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

人々が考える老年期の開始年齢は高齢化している

 老いに対する概念そのものが老化しているようだ。何歳からを「老年」と見なすかという質問の回答を分析したところ、中高年の人は、数十年前の同世代の人よりも老年期の開始年齢を高く考えていることが、新たな研究で明らかになった。フンボルト大学(ドイツ)の心理学者であるMarkus Wettstein氏らによるこの研究の詳細は、「Psychology and Aging」に4月22日掲載された。  この研究では、German Ageing Survey(ドイツ加齢研究)の参加者1万4,056人のデータを用いて、老年期の開始年齢についての個人の認識が歴史的にどのように変遷したのかが調査された。対象者は、1911年から1974年の間に生まれ、1996年から2021年までの25年の間に最大で8回、調査に回答していた。なお、German Ageing Surveyには、研究期間を通して、中高年に達した新たな世代の調査参加者(40〜85歳)も新規登録されていた。