内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:119

糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

 カルシウムは、骨の組成に重要であり、カルシウム補助食品やサプリメントは骨粗鬆症性骨折予防などに広く用いられている。一方で、カルシウムサプリ摂取が血中カルシウム濃度を急激に上昇させ、心血管系に有害となる可能性がある。とくに心血管疾患(CVD)のリスクが高く、カルシウム代謝が低下していることが多い糖尿病患者における安全性の懸念が提起されている。中国・武漢のTongji Medical CollegeのZixin Qiu氏らによる、糖尿病患者におけるカルシウムサプリ摂取の安全性をみた研究結果がDiabetes Care誌2024年2月号に掲載された。

女性の涙のにおいは男性の攻撃性を抑制する?

 泣き始めた女性の姿に弱り果て、泣きやませるためにあの手この手を尽くす男性の姿は、昔からテレビや映画でよく見かけるが、生化学的な観点からこのような男性の反応を説明できるらしい。ワイツマン科学研究所(イスラエル)脳科学部のShani Agron氏らによる研究で、女性の涙には男性の攻撃性を40%以上も抑制する化学物質が含まれていることが示された。この研究の詳細は、「PLOS Biology」に12月21日掲載された。  雌のげっ歯類の涙には、雄の攻撃性を抑制するなどさまざまな効果を持つ社会的化学信号が含まれていることが報告されている。女性の涙にも男性ホルモンであるテストステロンを低下させる化学信号が含まれているが、それが行動に与える影響については明らかにされていない。Agron氏らは、テストステロンの低下は攻撃性の低下と関連しているため、女性の涙もげっ歯類の涙と同様に、男性の攻撃性を抑制する作用があるとの仮説を立て、それを検証する実験を行った。

ペットを飼うことが1人暮らしの人の認知症予防に?

 米国では、1人暮らしのシニア世代が増えているが、犬や猫などのペットを飼うことが認知機能の維持に役立つようだ。平均年齢66歳の7,900人以上を対象とした研究で、1人暮らしの人でも、ペットを飼っていれば記憶力や思考力の低下を抑えられる可能性のあることが明らかになった。中山大学(中国)のCiyong Lu氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に12月26日掲載された。  2021年のデータに基づくと、米国では人口の28.5%が単身世帯である。Lu氏らは、1人暮らしの年配者は認知症の発症リスクが高いことが多くの研究で明らかになっていると指摘する。

CD55欠損症(CHAPLE症候群)、pozelimabが有効/Lancet

 補体因子C5に対する完全ヒト型IgG4P抗体であるpozelimabの皮下投与は、補体の過剰活性化を阻害し、CD55欠損症(CHAPLE症候群)の臨床症状および検査所見を消失させたことが、トルコ・マルマラ大学のAhmet Ozen氏らによる第II相および第III相多施設共同非盲検単群ヒストリカル対照試験の結果で示された。CD55欠損症は、CHAPLE(CD55 deficiency with hyperactivation of complement, angiopathic thrombosis, and protein-losing enteropathy)症候群とも呼ばれ、補体の過剰な活性化による腸管のリンパ管障害、リンパ管拡張症および蛋白漏出性胃腸症を特徴とするきわめてまれな生命を脅かす遺伝性疾患である。この希少遺伝性疾患であるCHAPLE症候群に対して、pozelimabは現時点での最初で唯一の治療薬として見いだされ、有効性と安全性の評価が行われた。著者は、「既知の原因が除外された蛋白漏出性胃腸症の患者では、CD55欠損症の検査を考慮し、CHAPLE症候群と診断された場合は早期にpozelimabによる治療を検討すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年1月23日号掲載の報告。

アルツハイマー病治療薬aducanumabの開発・販売を終了/バイオジェン

 米国・バイオジェンは2024年1月31日付のプレスリリースにて、同社とエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬aducanumabの開発および販売を終了することを発表した。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月8日に迅速承認を受けていた。迅速承認の条件として第IV相市販後検証試験であるENVISION試験を実施していたが、本試験を終了する。

能登半島地震に対するJMATの対応/日医

 日本医師会常任理事の細川 秀一氏が、2024年1月31日の定例記者会見で、1月1日に発生した能登半島地震に対する日本医師会の最新の対応状況を報告した。  日本医師会は、1月30日はJMATととして金沢市に6チーム、七尾市に2チーム、穴水町に6チーム、志賀町に3チーム、能登町に3チーム、輪島市に3チーム、珠洲市に4チーム、金沢以南に11チーム、その他地域に2チームを派遣していて、これまでの延べ人数は3,490人にのぼるという。これらの人数には、統括やロジスティクスを担うチーム、深部静脈血栓症などの治療を行う専門チームも含まれている。

中年期のタンパク質摂取が多いほど、健康寿命が延びる

 世界中で高齢化が進む中、健康寿命を延ばすことが求められており、栄養はその中の重要な要素である。中でもタンパク質は身体の健康維持に大きな役割を果たしているが、中年期にタンパク質を多く摂取した人ほど、疾病なく健康的に加齢する可能性があることが新たな研究でわかった。米国・タフツ大学のAndres V. Ardisson Korat氏らによる本研究の結果はThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年1月17日号に掲載された。

脳卒中による認知症を防ぐために!治療可能なリスク因子は

 脳卒中後の認知機能障害および認知症の確立したリスク因子として、高齢や重度の脳卒中が報告されているほか、心房細動や糖尿病の既往歴なども示唆されている。今回、治療可能なリスク因子に焦点を当て、それらの関連の強さを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのJule Filler氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。Lancet Healthy Longevity誌2024年1月号掲載の報告。  脳卒中後の認知機能障害は脳卒中後4年の時点で最大80%に、脳卒中後の認知症は脳卒中後1年の時点で最大40%に認められ、患者・介護者・医療制度に大きな負担をもたらしている。研究グループは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、年齢や脳卒中の重症度以外のリスク因子、とくに治療可能なリスク因子に焦点を当てて評価を行った。

3月3日開催『第4回アンチエイジングセミナーin鹿児島』【ご案内】

 2024年3月3日(日)、鹿児島市医師会館において『第4回アンチエイジングセミナーin鹿児島』が開催される。参加費は無料で、医師、歯科医師、研究者、メディカルスタッフほか、医療関係者であれば誰でも参加ができる。なお、申込締切は2月26日(月)で、定員100名に達し次第、締め切りとなる。  “最先端の抗加齢医学に触れてみませんか!”と題し、アンチエイジングの分野をリードしてきた各領域のエキスパートが講演を行う。「老化研究の現状と展望」「循環器のアンチエイジング」「ホルモンとアンチエイジング」「自らの行動変容を促す健康教室」など、アンチエイジングにとって重要なテーマを取りそろえており、最新の知識を学び、予防医療への未来へ一歩リードできるようなセミナーを目指している。

プロバイオティクスはCOVID-19の発症を遅らせる?

 プロバイオティクス、特に乳酸菌の摂取は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した同居家族を持つ新型コロナワクチン未接種者のCOVID-19発症を遅らせ、発症した場合でも症状を軽減する効果のあることが、新たな臨床試験で明らかにされた。米デューク大学医学部麻酔科学分野のPaul Wischmeyer氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Nutrition」1月号に掲載された。Wischmeyer氏は、「この研究結果は、COVID-19や将来流行する可能性のある他の疾患との闘いにおいて、共生微生物が貴重なパートナーになり得るという考えに信憑性を与えるものだ」と話している。  プロバイオティクスは、主に消化管に生息する有益な細菌や酵母を増やすように設計されている。「プロバイオティクスに呼吸器感染症を予防する効果があることを示す強力なエビデンスは、COVID-19が発生する前からあった」とWischmeyer氏は説明する。