内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:115

イメグリミンのRWD、体重減少や肝機能改善も/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の年次学術集会(会長:植木 浩二郎氏[国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長])が、5月17日~19日の日程で、東京国際フォーラムをメイン会場に開催された。  今回の学術集会は「『糖尿病』のない世界を目指して〜糖尿病学の挑戦〜」をテーマに、46のシンポジウム、169の口演、ポスターセッションなどが開催され、特筆すべきは糖尿病患者の参加プログラムやこれからの医療を担う高校生向けの参加プログラムなども開催された。

遠隔医療のビデオ通話では医師の「背景」が重要

 遠隔医療により医師はどこからでも診療することができるようになったが、ビデオ通話の際の背景を医師らしく見えるようにすることで、患者の診療内容やアドバイスへの信頼度が強まることが、米ミシガン大学医学部内科学分野のNathan Houchens氏らによる研究で明らかになった。これは、遠隔診療を行う際には、たとえ診療所や診察室から遠く離れていても、そこにいるかのように見せるべきことを示唆する結果だ。研究の詳細は、「JAMA Network Open」に5月15日掲載された。  この研究では、ミシガン・メディスンまたは米国退役軍人(VA)アナーバーヘルスケアシステムのいずれかで1年以内に診療を受けた18歳以上の患者1,213人(626人が女性を自認)を対象に、2022年2月22日から10月21日の間に実施された調査結果の分析が行われた。調査では、7種類の異なる環境(医師のオフィス、診察室、壁に卒業証書や資格証明書などが飾られたオフィス、書棚のある自宅オフィス、寝室、キッチン、無地の背景)にいる医師の写真が提示された。調査参加者は、自分の好みの環境を選び、また6つのドメイン(知識の豊富さ、信頼性、思いやり、親しみやすさ、専門性、患者が感じる居心地の良さ)について1〜10点で評価し、複合スコアが算出された。

肥満へのチルゼパチド、9割弱が5%以上の減量達成/JAMA

 中国の肥満または過体重成人を対象に行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド10mgまたは15mgの週1回投与は、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある体重減少をもたらし、安全性プロファイルは許容できるものであったことを、中国・復旦大学のLin Zhao氏らが報告した。肥満は世界的な公衆衛生上の懸念事項であり、なかでも中国の肥満者の数は世界で最も多いとされる。JAMA誌オンライン版2024年5月31日号掲載の報告。  肥満または過体重で体重に関連した疾患を有する中国成人を対象に、体重減少に対するチルゼパチド治療の有効性と安全性を評価するSURMOUNT-CN試験は、2021年9月~2022年12月に中国の29医療施設で行われた。BMI 28以上、またはBMI 24以上で少なくとも1つの体重に関連した疾患を有する、18歳以上の成人(糖尿病患者は除く)を対象とした。

コーヒー・紅茶と認知症リスク、性別や血管疾患併存で違い

 コーヒーや紅茶の摂取は、認知症リスクと関連しているといわれているが、性別および血管疾患のリスク因子がどのように関連しているかは、よくわかっていない。台湾・国立台湾大学のKuan-Chu Hou氏らは、コーヒーや紅茶の摂取と認知症との関連および性別や血管疾患の併存との関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of the Formosan Medical Association誌オンライン版2024年5月6日号の報告。  対象は3施設より募集したアルツハイマー病(AD)の高齢患者278例、血管性認知症(VaD)患者102例、対照者468例は同期間に募集した。コーヒーや紅茶の摂取頻度および量、血管疾患の併存の有無に関するデータを収集した。コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスクとの関連性を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。性別および血管疾患の併存により層別化して評価を行った。

HFrEF患者へのRAS阻害薬、人種間の効果差は?/JAMA

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の管理において重要であるが、黒人患者に対する効果が低いとの懸念がある。中国・杭州師範大学のLi Shen氏らは、RAS阻害薬の死亡抑制効果は黒人と非黒人で同程度であり、心不全による入院の、RAS阻害薬による相対リスクの減少効果は黒人患者で小さいものの、黒人患者は心不全による入院の発生率が高いため、絶対的な有益性は非黒人患者と変わらないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年5月29日号で報告された。

大腸がん検診、検査方法の選択肢提示で受診率が向上

 患者に大腸がんの検査方法の選択肢を与えることで、検診を受ける患者数が2倍以上に増えたとする研究結果が報告された。米ペンシルベニア大学医学部のShivan Mehta氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月30日掲載された。  研究グループの説明によると、大腸がん検診は現在、リスクレベルが平均的な人には45歳からの受診が推奨されているが、大腸がんの既往歴や家族歴がある人は、より早い時期から検診を受けなければならない可能性もあるという。

賞金がかかると減量達成率が向上する

 男性を対象とした研究から、金銭的なインセンティブがあると減量目標の達成率が有意に向上するという結果が報告された。第31回欧州肥満学会(ECO2024、5月12~15日、イタリア・ベニス)で英スターリング大学のPat Hoddinott氏らが発表し、同14日に「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に論文が掲載された。  この研究におけるインセンティブは、設定された減量目標を達成した場合に、最大400ポンド(約8万円)を受け取れるというもの。研究に参加して減量に成功したNevil Chesterfieldさん(68歳)は、「私にとって研究参加は大変有意義だった。もちろん金銭的インセンティブは重要だったが、大学の研究に参加するということに価値があると思えたし、将来の医療政策に役立てるために行うという研究趣旨の説明にも真剣さを感じた」と語っている。

モデルナ・ジャパン、RSウイルスワクチンを承認申請

 2024年5月30日、モデルナ・ジャパン株式会社は、60歳以上の成人を対象としたRSウイルス(RSV)感染症予防のためのmRNAワクチン「mRNA-1345」の製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。  RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)は、高い感染力を持つ呼吸器ウイルスで、感染者の咳やくしゃみ、またはウイルスが付着した手や物体に触れることで伝播する。感染症状は、一般的な風邪の症状から始まり、進行すると、とくに脆弱な乳児や高齢者においては、呼吸困難や入院、最悪の場合は死亡に至ることもある。

極端な運動でも寿命が縮まることはない

 何世紀にもわたり、運動と健康の間にはU字型の関係があると考えられてきた。つまり、運動量は少な過ぎても多過ぎても健康を損なうという考え方だ。しかし、最大限のパフォーマンスに自分を追い込むアスリートは、長寿に関しては代償を払う必要はないようだ。1マイル(約1.6km)を4分以内で走り切った最初の200人のアスリートは、一般的な人よりも平均5年近く長生きする可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。アルバータ大学(カナダ)のMark Haykowsky氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に5月10日掲載された。

口腔内細菌の検査で胃がんが検出可能に?

 がんによる死亡者数としては世界で4番目に多い胃がんが、いつの日か、診察室での口腔洗浄液を用いた簡単な検査で発見されるようになるかもしれない。米ラトガーズ・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学のShruthi Reddy Perati氏らによる研究で、胃がん患者やその予備軍の口腔から採取した細菌サンプルは、健康な患者から採取した細菌サンプルとは明らかに異なることが明らかになった。この研究結果は、米国消化器病週間(DDW 2024、5月18〜21日、米ワシントン)で発表された。  Perati氏は、「口腔マイクロバイオームと胃のマイクロバイオームはつながっており、口腔内にどのような細菌がいるかを知ることで、胃の環境についても知ることができる。このことは、診療で用いられている検査や診療ガイドラインの変更につながるほど大きな意味を持つ」と述べている。