血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。  ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。

黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。

がん患者のCOVID-19、免疫抑制と免疫療法の両方で重症化

 免疫療法を受けたがん患者は、免疫系の活性化により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサイトカインストームがより多く発生する可能性がある。今回、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのZiad Bakouny氏らが、がん患者におけるベースラインの免疫抑制と免疫療法、COVID-19の重症度およびサイトカインストームとの関連を調べた。その結果、COVID-19を発症したがん患者において、免疫抑制と免疫療法のどちらか片方のみでは重度の感染症やサイトカインストームのリスクは増加せず、ベースラインで免疫抑制のあるがん患者に免疫療法を実施すると、COVID-19の重症化やサイトカインストームの発生につながるリスクが高いことが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年11月3日号に掲載。

「G-CSF適正使用ガイドライン 2022年版」海外ガイドラインの模倣ではなく、科学的な手法を徹底/日本癌治療学会

 がん薬物療法はさまざまな有害事象を伴うが、好中球減少は多くの薬剤で頻発する有害事象であり、時に重篤な感染症を引き起こし死に至ることもある。好中球減少と同時に発熱が生じる「発熱性好中球減少症(FN:Febrile Neutropenia)」を防ぐために使用されるのがG-CSF製剤である。  G-CSF製剤の適正使用に関しては、1994年にASCO(米国臨床腫瘍学会)がガイドラインを作成し、以来、改訂を重ねて、世界中で参照されている。2013年に刊行された「G-CSF適正使用ガイドライン第1版」は、ASCOのガイドラインと歩調を合わせる形で作成され、FNのリスクが高い場合には、G-CSFの「予防投与」を行うことが強く推奨された。

若年女性のがんサバイバーの多くが性の問題に直面

 若い女性のがんサバイバーの多くが、性欲の減退や不快感といった性に関する問題を抱えている実態が、ウプサラ大学(スウェーデン)のLena Wettergren氏らの研究から明らかになった。がんサバイバーの女性の性生活の質には、その女性が経験したがんの種類や治療の強度が影響することも分かった。この研究の詳細は、「Acta Oncologica」に9月29日掲載された。Wettergren氏は、「この研究は、がんを経験した若年女性の性機能に関する集団ベースの研究として、これまでで最大規模のものの一つだ」と説明している。  この研究では、2016年1月から2017年8月までの間にがんの診断を受けた18~39歳(平均年齢35歳)の女性694人を、診断の1年半後(診断から平均で465日後)に調査した。がん診断例はスウェーデンの医療レジストリを用いて同定した。対象者の約半数(349人)は乳がんサバイバーで、その他の女性は子宮頸がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、卵巣がんのサバイバーだった。また、「極めて高度(very)」または「最大(most)」に分類される強度や範囲の治療を受けた女性が対象者の53%(それぞれ、51%、2%)を占めていた。

50歳未満でのがんの発症が世界中で増加

 50歳未満で発症するがんの増加は世界的な問題であり、そこには質の悪い食生活や肥満、運動不足などの要因が関連している可能性が高いとするレビュー論文が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院の荻野周史氏らにより、「Nature Reviews Clinical Oncology」に9月6日発表された。  この研究ではまず、1990年代以降、50歳未満の成人で、14種類のがんの発症率が世界的に上昇傾向にあることが述べられている。14種類のがんとは、乳房、大腸、子宮内膜、食道、肝外胆管、胆嚢、頭頸部、腎臓、肝臓、骨髄、膵臓、前立腺、胃、甲状腺のがんである。また増加が見られた国は、米国、カナダ、スウェーデン、イギリス(イングランドとウェールズ)、エクアドル、ウガンダ、韓国などである。さらに、これらのがん発症率の増加傾向は、Global Cancer Observatoryのデータ(2000〜2012年)を用いた分析でも確認されたという。

免疫抑制患者、ブースター接種50日以降に入院・死亡リスク増/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株とオミクロン変異株が優勢であった時期に、ワクチンの初回および追加接種を受けた集団では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院や死亡の発生率が低く、複数回接種により重症COVID-19関連疾患の予防効果がもたらされた可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJ. Daniel Kelly氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年9月26日号で報告された。

新規作用機序、後天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬「カブリビ」承認/サノフィ

 サノフィは、2022年9月26日付けのプレスリリースで、「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」の効能または効果として、カブリビ注射用10mg(一般名:カプラシズマブ(遺伝子組換え)、以下「カブリビ」)の製造販売承認を取得したと発表した。  後天性血栓性血小板減少性紫斑病(以下、後天性TTP)は、重篤でまれな自己免疫性血液疾患で、予後不良な急性疾患とされている。そのため、急性期における死亡を防ぐためにも、緊急の治療を要する。後天性TTPは、止血に関わるタンパク質であるフォン・ヴィレブランド因子(VWF)の特異的切断酵素であるADAMTS13(a disintegrin and metalloproteinase with a thrombospondin type 1 motif, member 13)の活性低下により、血液中にVWFが過剰に重合して蓄積し、血小板凝集を引き起こすことが原因で発症する。多くの場合、後天性TTPの診断直後の数日間は集中治療室で現行の治療(血漿交換療法と免疫抑制療法)を受けるが、死亡する患者は最大20%に及び、その大部分は診断後30日以内といわれているため、早期診断・早期治療が重要とされている。

がんチーム医療の実践に向けたワークショップ開催/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクト主催のJapan TeamOncology Program(J-TOP)は、2023年1月21~22日および2月11~12日、「チームサイエンス・ワークショップ~変動の時代、革新的なアプローチでチームをエンパワーする~」と題したワークショップを開催する。がんチーム医療の実践に向けた「チームサイエンスの理解、優れたリーダーシップ、個人のキャリア形成」などをテーマに、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよび国内施設のがん専門スタッフからなる日米のメンターによるレクチャー、実践的なケーススタディを用いたグループワークおよび参加者によるプレゼンテーションによる参加型研修会が計画されている。

キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。  ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。