産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:51

昔の日本人は偉かった!(解説:後藤信哉氏)-766

第2次世界大戦後の荒廃の中でも、研究意欲を持ち続けた日本人研究者は多かった。岡本 彰祐・歌子ご夫妻は特筆されるべき存在である。線溶系に着目して彼らが開発した薬剤にトラネキサム酸がある。開発の経緯は『世界を動かす日本の薬』(岡本 彰祐 編著. 築地書館. 2001年)に詳しい。線溶を担うプラスミンの酵素機能を阻害する画期的薬剤である。筆者の世代の臨床医は、止血にアドナ・トランサミンを使うことが多かった。論理的には止血効果を期待できる薬剤であるためだ。日本は巨大企業が利益を独占するEvidence Based Medicineの論理に乗り遅れた。せっかくの薬剤もエビデンスがないとして広く使用されない現状にある。

化学療法制吐薬としてのオランザピンの本邦第II相試験/IJCO

 近年、がん化学療法に対する制吐薬としてのオランザピンの研究結果が報告されている。本邦においても、高度催吐性化学療法に対する、オランザピンの多施設無作為化二重盲検第II相用量設定試験が行われ、国立がん研究センター中央病院の矢内 貴子氏らがInternational Journal of Clinical Oncology誌に結果を報告した。

急性重症出血、トラネキサム酸投与は3時間以内に/Lancet

 外傷性/分娩後出血死の多くは、出血が起きてから短時間で死に至っており、トラネキサム酸による抗線溶療法の開始がわずかでも遅れると、そのベネフィットは減少することを、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAngele Gayet-Ageron氏ら研究グループが、被験者4万138例のデータを包含したメタ解析の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「重症出血患者は、ただちに治療が開始されなければならない」と提言するとともに、「さらなる研究で、トラネキサム酸の作用機序の理解を深める必要がある」と述べている。抗線溶療法は、外傷性/分娩後出血死を減らすことが知られている。研究グループは、治療の遅れが抗線溶薬の効果に及ぼす影響を調べる検討を行った。Lancet誌オンライン版2017年11月7日号掲載の報告。

すべての1型糖尿病妊婦にはReal-Time CGMを実施すべきか?(解説:住谷哲氏)-763

妊娠糖尿病および糖尿病合併妊娠では厳格な血糖管理が要求される。とくに1型糖尿病合併妊娠では血糖コントロールに難渋することが多い。現在は各食前、食後、眠前、1日計7回の自己血糖測定(SMBG)と、頻回インスリン投与(Multiple daily injection:MDI)またはインスリンポンプによる強化インスリン療法が主流である。これまで持続血糖モニタリング(CGM)の有用性は示唆されてきたが、糖尿病合併妊婦におけるCGMのSMBGに対する優越性を検討した最新のメタ解析ではCGMの優越性は証明されていない。

新生児低酸素脳症の低体温療法、生後6時間以降は有効か/JAMA

 新生児の低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法について、生後6~24時間に開始した場合は同療法を行わなかった場合と比べて、あらゆる死亡または障害発生が少なくなる確率は76%であり、生後18~22ヵ月の時点で死亡または障害発生が2%以上少なくなる確率は64%であった。米国・ブラウン大学のAbbot R. Laptook氏らによる無作為化試験の結果で、著者は「生後6~24時間に開始する低体温療法は、ベネフィットがありそうだが有効性については不確かである」とまとめている。これまでに、妊娠36週以降生誕の新生児低酸素性虚血性脳症に対し、生後6時間未満開始の低体温療法は、死亡または障害発生を減少することが示されていた。しかし、6時間以降開始の検討例は、研究グループが知る限りにおいて今回が初めてだという。JAMA誌2017年10月24日号掲載の報告。

がん治療の末梢神経障害、皮膚障害に指針/日本がんサポーティブケア学会

 Supportive care。日本では支持療法と訳されることが多い。しかし、本来のSupportive careは、心身の異常、症状の把握、がん治療に伴う副作用の予防、診断治療、それらのシステムの確立といった広い意味であり、支持療法より、むしろ支持医療が日本語における適切な表現である。2017年10月に行われた「第2回日本がんサポーティブケア学会学術集会」のプレスカンファレンスにおいて、日本がんサポーティブケア学会(JASCC)理事長 田村和夫氏はそう述べた。

精液でわかるのは妊孕性だけではない!?

 不妊治療において男性が受ける精液検査では、精子の数や運動率など形態的な検査が中心で、精液中の微量成分の分析はほとんど行われていない。精液には精子の運動性や持久性に関わる成分が含まれ、さらに脂肪酸やアミノ酸なども含まれることから、妊孕性に加えて健康状態のチェックにも、精液の成分検査が使える可能性があるという。2017年10月6日、精液検査の確立を目指して設立されたベンチャー企業の株式会社ダンテが、都内で記者発表会を開催。同社が実施した精液のバイオマーカーとしての有用性や生活習慣の影響を調べた調査結果とともに、精液の郵送検査プロジェクトの開始を発表した。

卵巣予備能バイオマーカーと不妊、関連性は?/JAMA

 生殖年齢後期の女性において、血中の抗ミュラー管ホルモン(AMH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インヒビンBあるいは尿中FSHといった卵巣予備能を示すバイオマーカーの低下は、妊孕性の低下とは関連していないことが明らかとなった。米国・ノースカロライナ大学のAnne Z. Steiner氏らが、不妊歴のない妊活3ヵ月未満の30~44歳の女性を対象とした前向きコホート試験の結果を報告した。卵巣予備能のバイオマーカーは、その有益性に関するエビデンスがないにもかかわらず、生殖能の目安として用いられている。著者は「尿または血中FSHや血中AMHを用いて、女性の現在の受胎能を評価することは支持されない」と注意を促している。JAMA誌2017年10月10日号掲載の報告。