産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:52

妊娠中の飲酒、子供の認知機能に及ぼす影響

 妊娠中のアルコール摂取は、子供の発育の危険因子であると考えられている。子宮内アルコール曝露の子供におけるバイオマーカーについては、ほとんど研究されていない。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルクのAnna Eichler氏らは、胎便中のアルコール代謝物(エチルグルクロニド:EtG)が、小学校就学年齢の子供における認知機能の発達、ADHD関連行動、注意および執行制御の神経生理学的マーカーと関連しているかを調査した。Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines誌オンライン版2017年9月11日号の報告。

妊婦のマルチビタミン摂取、児のASDリスク減/BMJ

 妊娠中のマルチビタミン・サプリメントの摂取は、出産児の知的障害を伴う自閉症スペクトル障害(ASD)と、逆相関となる可能性が示された。米国・ドレクセル大学のElizabeth A. DeVilbiss氏らが、スウェーデン・ストックホルムの登録住民をベースにした前向き観察コホート研究の結果を報告した。著者は、「母体栄養と自閉症発症への影響を、さらに詳しく調査することが推奨される」とまとめている。母体のマルチビタミン、鉄分または葉酸のサプリメント摂取が、出産児のASDを予防するかについて、これまでの観察研究では一貫したエビデンスは得られていない。ASDの原因は知的障害の有無によって異なるが、認知機能レベルをベースに栄養サプリメントとASDの関連を調べた研究は、ほとんどなかった。BMJ誌2017年10月4日号掲載の報告。

1型糖尿病妊婦のCGM、新生児にも有益?/Lancet

 1型糖尿病の妊婦に対する持続血糖モニタリング(CGM)は、新生児アウトカムを改善することが、カナダ・Sinai Health SystemのDenice S. Feig氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「CONCEPTT試験」の結果、示された。著者らは、「CGMは、インスリン強化療法を受ける1型糖尿病の全妊婦に推奨すべきである」と提言している。1型糖尿病妊婦はリスクが高く、至適血糖コントロールに努めることが推奨される。しかし、母体の高血糖により新生児アウトカムは良好には至らない状況であった。なお今回の検討は、CGM使用による血糖以外の健康アウトカムについて、改善の可能性を示唆した初の試験であったという。Lancet誌オンライン版2017年9月14日号掲載の報告。

医師から情報提供あったのは約2割~遺伝性乳がん・卵巣がん

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、9月最終週の「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)啓発週間」に合わせて、乳がん・卵巣がん患者を対象にHBOC関連情報へのニーズと情報の入手状況についての調査を実施。その結果、患者の6割以上は診療時に医師からHBOCの情報を得たいと思っていたにもかかわらず、実際に情報を得ることができたと回答したのは約2割に留まっていることが明らかとなった。

閉経後ホルモン補充療法、長期死亡への影響は?/JAMA

 閉経後女性に対するホルモン補充療法の、長期死亡への影響は認められないことが報告された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoAnn E. Manson氏らが、1990年代に行われた2つの閉経後ホルモン補充療法に関する無作為化試験(Women's Health Initiative Estrogen Plus Progestin and Estrogen-Alone Trials)の参加者を18年間追跡した結果で、全死因死亡、心血管疾患死、がん死いずれにおいても関連性は認められなかった。これまでに同試験から健康アウトカムの解析は報告されているが、概して全死因および疾患特異的死亡に注視した論文はなかったという。JAMA誌2017年9月12日号掲載の報告。

新規抗体薬ロモソズマブ、骨粗の骨折リスク有意に減少/NEJM

 骨折リスクが高い骨粗鬆症の閉経後女性において、新たな骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ(承認申請中)を12ヵ月間投与し、その後アレンドロネートを12ヵ月投与した群は、24ヵ月間アレンドロネートのみを投与した群と比べて有意に骨折リスクが低かった。米国・アラバマ大学のKenneth G. Saag氏らが、第III相の国際多施設共同無作為化試験の結果を発表した。ロモソズマブは、骨形成モノクローナル抗体であるが、スクレロスチンに結合し骨形成を増加させる一方で、スクレロスチンを阻害し骨吸収を減少させるという二重の効果を有する。NEJM誌オンライン版2017年9月11日号掲載の報告。

低・中所得国では新生児の2割が胎児発育遅延/BMJ

 低・中所得国では、新生児のうちおよそ5人に1人が胎児発育遅延(Small for gestational age:SGA)で出生し、そのうち4人に1人が新生児期(生後28日以内)に死亡しているという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAnne CC Lee氏らが、低・中所得国の14の集団ベースから成る出生コホートChild Health Epidemiology Reference Group(CHERG)のデータを分析して明らかにした。BMJ誌2017年8月17日号掲載の報告。

妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。  妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。 ・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。 ・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。 ・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。 ・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。 ・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。