消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

ポリープの家族歴、頻度・人数が多いほど大腸がんリスク増加

 近年の研究により、家族内での大腸ポリープ診断の頻度が大腸がんリスクと関連していることが示されている。ドイツ・ハイデルベルク大学のYuqing Hu氏らは親族におけるポリープ診断の頻度と、大腸がんの全体的なリスクおよび早期発症リスクとの関連性を評価するための大規模研究を行った。本試験の結果はGastroenterology誌オンライン版2025年1月10日号に掲載された。  研究者らは、スウェーデンの大規模な家族性がんデータセット(1964~2018年)の1,167万6,043例を対象とし、親族における大腸ポリープ診断の頻度と大腸がんリスクの関連を調査した。親族のポリープ診断歴を「1回のみ」と「複数回」に分けて解析を行った。大腸がんと診断、移住、死亡、または2018年末のいずれか早い時点まで追跡した。

大腸がん死亡率への効果、1回の大腸内視鏡検査vs.2年ごとの便潜血検査/Lancet

 大腸がん検診への参加率は、大腸内視鏡検査より免疫学的便潜血検査(FIT)のほうが高く、大腸がん関連死亡率について、本研究で観察された参加率に基づくとFITベースのプログラムは大腸内視鏡検査ベースのプログラムに対し非劣性であることが確認された。スペイン・バルセロナ大学のAntoni Castells氏らCOLONPREV study investigatorsが、スペインの8地域における3次医療機関15施設で実施したプラグマティックな無作為化比較非劣性試験「COLONPREV試験」の結果を報告した。大腸内視鏡検査とFITは、平均的なリスク集団(大腸がんの既往歴または家族歴のない50歳以上の人々)における一般的な大腸がんスクリーニング戦略である。中間解析でも、FIT群は大腸内視鏡検査群よりスクリーニング参加率が高いことが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年3月27日号掲載の報告。

「胃癌治療ガイドライン」改訂のポイント~薬物療法編~/日本胃癌学会

 2025年3月、「胃癌治療ガイドライン」(日本胃癌学会編)が改訂された。2021年から4年ぶりの改訂で、第7版となる。3月12~14日に行われた第97回日本胃癌学会では、「胃癌治療ガイドライン第7版 改訂のポイント」と題したシンポジウムが開催され、外科治療、内視鏡治療、薬物療法の3つのパートに分け、改訂ポイントが解説された。改訂点の多かった外科療法と薬物療法の主な改訂ポイントを2回に分けて紹介する。本稿では薬物療法に関する主な改訂点を取り上げる。  内科系(薬物療法)については非常に多くの改訂があった。多くはガイドラインを一読すれば理解いただけると思うが、多くの方が関心を持っているであろうMSI、CPS、CLDN18、HER2といったバイオマーカーとそれに基づく治療選択と、今後避けて通れない高齢者診療に関する新たな推奨に絞って、改訂ポイントを紹介する。

「胃癌治療ガイドライン」改訂のポイント~外科治療編~/日本胃癌学会

 2025年3月、「胃癌治療ガイドライン」(日本胃癌学会編)が改訂された。2021年から4年ぶりの改訂で、第7版となる。3月12~14日に行われた第97回日本胃癌学会では、「胃癌治療ガイドライン第7版 改訂のポイント」と題したシンポジウムが開催され、外科治療、内視鏡治療、薬物療法の3つのパートに分け、改訂ポイントが解説された。改訂点の多かった外科治療と薬物療法の主な改訂ポイントを2回に分けて紹介する。本稿では外科治療に関する主な改訂点を取り上げる。  総論部分の大きな改訂点としては、胃の切除範囲として従来の6つの術式に加えて「胃亜全摘術(小彎側をほぼ全長に渡って切離し、短胃動脈を一部切離する幽門側の胃切除)」を追加したこと、これまであいまいだったコンバージョン手術の定義を「初回診察時に根治切除不能と診断され薬物療法が導入された症例で、薬物療法が奏効した後に根治切除を企図して行われる手術」と定めたことがある。クリニカル・クエスチョンに関する改訂点としては、「低侵襲手術の推奨度を全体的に強化」、「コンバージョン手術の推奨度を変更」、「胃切除後長期障害・高齢患者に関するCQを追加」、「病態進行(PD)の適応・断端陽性例などのCQを追加」が大きな点だ。具体的に新設・変更された主なCQは以下となっている。

新たなリスクスコアで若年層の大腸がんリスクを予測できる?

 新たに開発された臨床的因子に基づくシンプルなリスクスコアが、進行性腫瘍(advanced neoplasia;AN)の発症リスクが高く、大腸内視鏡検査によるスクリーニングの開始が推奨される45歳未満の人の特定に有用な可能性のあることが明らかになった。ANとは、10mm以上の管状腺腫、または絨毛成分を含む腺腫(管状絨毛腺腫、絨毛腺腫など)、高度異型腺腫、10mm以上の鋸歯状病変、異形成を伴う鋸歯状病変、鋸歯状腺腫、浸潤性腺がんを包括する概念である。米クリーブランドクリニックの消化器科医であるCarole Macaron氏らによるこの研究は、「Digestive Diseases and Sciences」に2月13日掲載された。

FIT大腸がんスクリーニング、返送期限の設定で受検率向上/Lancet

 免疫学的便潜血検査(faecal immunochemical test:FIT)による大腸がんスクリーニングでは、案内状に返送期限を一文追加することでFIT返送が改善し、返送期限が2週間の場合に返送率が最も高く、リマインダーレター送付の必要性が減少したことが明らかになった。英国・グラスゴー大学のKathryn A. Robb氏らが、FITへの返送期限の設定と問題解決計画ツールによる介入効果を検討した、スコットランド大腸がん検診プログラムに組み込まれた2×4要因8群無作為化比較試験「TEMPO試験」の結果として報告した。FIT検体の自己採取による大腸がん検診は、大腸がんによる死亡率を低下させることが示されているが、受検率は十分ではない。著者は、「計画ツールはFIT返送にプラスの影響を与えなかったが、返送期限の設定は日常診療で簡単に実施できる費用対効果の高い介入である」とまとめている。Lancet誌2025年3月29日号掲載の報告。

遺伝性消化管腫瘍診療に対する多施設ネットワークの試み/日本臨床腫瘍学会

 進行がんに対する治療薬選択目的で実施されるがんゲノムプロファイリング検査やマイクロサテライト不安定性検査の結果から、2次的所見として消化器領域を含む遺伝性腫瘍の可能性が疑われる症例が増加している。しかし、実臨床でそれらの患者が遺伝コンサルティングを受けることは多くない。これには医療者の理解が不十分であることも要因として考えられる。遺伝性消化器がん(HGC)における多施設多職種ネットワークの取り組みについて、第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で富山大学の安藤 孝将氏が発表した。  安藤氏らは、HGC患者・家族に最適な医療を提供することを目的に多施設多職種のネットワークHGiT-N(Hereditary Gastrointestinal Tumor Network)を設立した。HGiT-Nは6つの主要機関(京都大学、三重大学、滋賀医科大学、富山大学、関西医科大学、愛媛大学)とその関連施設を合わせ30施設で運営されている。

胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会

 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対し2020年9月に承認された。現在では胃がん3次治療以降に広く使用されているが、間質性肺疾患(ILD)の発現が重要なリスクとして認識されており、ILDリスクを評価する観察期間12ヵ月の製造販売後調査(PMS)が実施された。2025年3月12~14日に行われた第97回日本胃癌学会総会では、愛知県がんセンターの室 圭氏が本調査の最終解析結果を発表した。  主な結果は以下のとおり。

「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」改訂のポイント/日本胃癌学会

 2024年10月に「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」(日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会 編)が8年ぶりに改訂された。2000年の初版から4回の改訂を重ね、2024年版は第5版となる。2009年の改訂版ではH. pylori感染症の疾患概念が提起され、慢性胃炎患者に対する除菌が保険適用される契機となった。今回の2024年版は初めてMindsのガイドライン作成マニュアルに準拠して作成され、「1)総論、2)診断、3)治療、4)胃がん予防―成人、5)胃がん予防―未成年」という章立てで、CQ(クリニカル・クエスチョン)、BQ(バックグラウンド・クエスチョン)、FRQ(フューチャー・リサーチ・クエスチョン)から構成されている。

化学療法誘発性末梢神経障害の克服に向けた包括的マネジメントの最前線/日本臨床腫瘍学会

 2025年3月6~8日に第22回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催され、8日の緩和ケアに関するシンポジウムでは、「化学療法誘発性末梢神経障害のマネジメント」をテーマに5つの講演が行われた。化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)は、抗がん剤投与中から投与終了後、長期にわたって患者のQOLに影響を及ぼすものの、いまだ有効な治療の確立に至っていない。そこで、司会の柳原 一広氏(関西電力病院 腫瘍内科)と乾 友浩氏(徳島大学病院 がん診療連携センター)の進行の下、患者のサバイバーシップ支援につなげることを目的としたトピックスが紹介された。