消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

糖尿病患者の飲酒は肝がんリスク大幅増、茶によるリスク低下は限定的

 糖尿病の有無別にアルコールおよび茶の摂取と肝がん発症リスクとの関連を検討した前向きコホート研究の結果、アルコール摂取はとくに糖尿病患者で肝がんリスクを大きく高めることが確認された一方で、茶の摂取による肝がんリスク低下効果は非糖尿病患者に限られたことが、中国・清華大学のXiaoru Feng氏らによって明らかになった。Nutrients誌2025年9月4日号掲載の報告。  一部の研究では少量のアルコール摂取は肝がんリスクを下げる可能性が報告されているが、高頻度・大量のアルコール摂取は肝がんリスクを上昇させることが多くの研究で示されている。茶の摂取は肝がんリスク低下に関連する可能性があるとする研究がある一方で、有意な関連を認めない研究も多く、結論は一様ではない。また、糖尿病患者は代謝異常のためにアルコールや茶のの影響を受けやすく、それが肝がんのリスクに関与している可能性もある。そこで研究グループは、大規模かつ長期の追跡調査を行い、アルコールおよび茶の摂取と肝がん発症との関連を、糖尿病の有無別に評価した。

直近5年、アクセプトされた論文があると答えた医師は何割?/医師1,000人アンケート

 オンラインジャーナルやオープンアクセスジャーナルの普及に加え、生成AIを活用した検索や翻訳・要約も広まりつつあり、論文の閲覧・執筆を取り巻く状況が大きく変化している。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、論文閲覧・執筆の最近の状況についてアンケートを実施した(2025年8月26~27日実施)。 興味のある論文を見つけるための主な手段について、76.5%の医師がPubMedと回答し、医中誌(39.1%)、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事(38.4%)、所属する学会の学会誌(19.6%)などが続いた。  年代別にみると、PubMedとの回答が最も多いのは共通していたが、20~50代では75%以上を占めたのに対し、60代では59.0%と若干低い傾向がみられた。一方、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事との回答は20~50代では40%以下だったのに対し、60代では51.2%であった。そのほか、XなどのSNSからの情報との回答は全体で4.0%と低いものの、20~30代では10.9%と他世代と比較して高かった。

内視鏡鎮静に新たな選択肢、レミマゾラムが覚醒時間を半減/ムンディファーマ

 2025年6月、短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬レミマゾラムベシル(一般名:レミマゾラム、商品名:アネレム)の新規格である20mg製剤が消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果として新規に承認され、既存の50mg製剤も追加承認を取得した。50mg製剤は2020年に全身麻酔の導入・維持を適応として承認されていたが、今回の承認により、消化管内視鏡時の鎮静用途において、国内初のベンゾジアゼピン系薬剤として保険適用を取得した。これを受け、ムンディファーマは9月19日、「消化器内視鏡診療における鎮静の重要性について」と題したメディアセミナーを開催した。北里大学病院 内視鏡センター長の池原 久朝氏が登壇し、内視鏡検査の現状と新薬の臨床的意義について講演した。

日米の高齢者がん手術、術後転帰に大きな違い

 高齢者の消化器がん外科手術において、日本と米国の全国データベースを比較すると、年齢に伴う術前合併症や術後転帰の変化パターンは類似しているものの、移動能力や機能面では両国間に差があることが明らかになった。福島県立医科大学の小船戸 康英氏らによる本研究はAnnals of Gastroenterological Surgery誌2025年4月21日号に掲載された。  がんは日米両国における主要な死因の1つであり、生涯に少なくとも一度はがんを経験する人口の割合は日本で5割超、米国で4割弱と推定されている。外科治療は依然としてがんの根治的治療の主軸であり、世界的な高齢化のなか、併存疾患や虚弱状態を多く有する高齢がん患者を対象とした研究の重要性が増している。

ひどい乗り物酔いを音楽が緩和

 車酔いや船酔いのときには気分が良くなる音楽を聴くと良いことが、新たな研究で示唆された。ヨット・ロックや明るいポップミュージックのような音楽が、乗り物酔いによる吐き気の緩和に役立つ可能性のあることが明らかになったという。西南大学(中国)のQizong Yue氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Human Neuroscience」に9月3日掲載された。  この研究では、穏やかで楽しい音楽を聴いた人は乗り物酔いからより早く回復する傾向にあることが明らかになった一方で、悲しい音楽は何の役にも立たないどころか、むしろ逆効果になる可能性も示唆されたという。Yue氏は、「われわれの結論に基づけば、移動中に乗り物酔いの症状を経験している人は、明るい音楽や穏やかな音楽を聴くことでその症状を和らげることができる」とFrontiers Media社のニュースリリースの中で述べている。

低用量アスピリンでPI3K変異大腸がんの再発半減/NEJM

 PIK3CA exon 9または20のホットスポット変異を有する根治的切除後の大腸がん患者において、低用量アスピリンはプラセボと比較し大腸がん再発率を有意に低下させることが認められ、PI3K経路の遺伝子に他の体細胞変異を有する患者においても、同様の有用性が示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnna Martling氏らが、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの33施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Adjuvant Low-Dose Aspirin in Colorectal Cancer trial(ALASCCA試験)」の結果を報告した。アスピリンは、遺伝性大腸がんの高リスク患者において、大腸腺腫および大腸がんの発生率を低下させることが知られている。観察研究では、とくにPIK3CA体細胞変異を有する患者において、アスピリンが診断後の無病生存期間(DFS)を改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験のデータはなかった。NEJM誌2025年9月18日号掲載の報告。

日本人アルコール関連肝疾患に対するナルメフェンの影響

 完全な禁酒は、アルコール関連肝疾患(ALD)マネジメントにおいて重要である。しかし、多くの患者が禁酒の達成または維持に難渋しており、ハームリダクション戦略、とくにアルコール摂取量を減らすための薬理学的介入への関心が高まっている。オピオイド受容体モジュレーターであるナルメフェンは、アルコール依存症患者の飲酒量減少に対する有効性を示している薬剤であるが、ALDにおける肝パラメーターへの影響については、実臨床において、これまで十分に検討されていなかった。奈良県立医科大学の花谷 純一氏らは、ALD患者に対するナルメフェンの有効性および安全性、飲酒量、肝機能、肝予備能の変化に焦点を当て、評価を行った。Hepatology Research誌オンライン版2025年8月16日号の報告。

進行がん患者の望む治療と実際の治療との間のずれが明らかに

 進行がん患者の中には、残された日々をできるだけ快適に過ごしたいと望む人は少なくない。しかし、医師はその願いに十分に耳を傾けていないことが、新たな研究で示唆された。そのような望みを持つ進行がん患者の多くが、痛みを和らげることよりも延命を重視した治療を受けていることが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の腫瘍内科医であるManan Shah氏らによるこの研究の詳細は、「Cancer」に8月25日掲載された。Shah氏は、「患者が望む治療と患者が実際に受けていると思っている治療との間にずれがあるのは大きな問題だ」とUCLAのニュースリリースの中で述べている。

ビタミンAはがんリスクを上げる?下げる?

 ビタミンA摂取とがんリスクの関連について、メタ解析では食事性ビタミンA摂取量が多いほど乳がんや卵巣がんの罹患率が低いと報告された一方、臨床試験ではビタミンAが肺がんや前立腺がんの死亡リスクを高めることが報告され、一貫していない。今回、病院ベースの症例対照研究の結果、食事性ビタミンA摂取量とがんリスクにU字型の関係がみられたことを、国際医療福祉大学の池田 俊也氏らが報告した。Nutrients誌2025年8月25日号に掲載。

患者報告アウトカムはがん患者の独立した予後予測因子~メタ解析

 がん患者4万4,030例を対象とした69件のランダム化比較試験を統合したシステマティックレビューとメタ解析により、ベースライン時の全般的健康状態・QOLスコア、身体機能、役割機能(role functioning)が良好な患者ほど予後が良好であった一方、悪心・嘔吐、疼痛、疲労などの症状が強い患者ほど予後が不良であったことが、カナダ・トロント大学のRyan S. Huang氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2025年9月11日号掲載の報告。  これまで、症状や生活の質などの患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)と全生存(OS)との関連は報告されているが、特定のPROドメインが予後予測因子となり得るかどうかは不明であった。そこで研究グループは、がん患者におけるベースライン時のPROとOSとの関連性を評価し、さまざまなPROドメインの予後予測的意義を定量化するために、システマティックレビューとメタ解析を実施した。