消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

潰瘍性大腸炎に対する1日1回の経口薬オザニモドを発売/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2025年3月19日、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の適応で、厚生労働省より製造販売承認を取得したスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬オザニモド(商品名:ゼポジア)を発売した。  オザニモドは、潰瘍性大腸炎に対する新規作用機序の治療薬である。S1P1受容体および S1P5受容体に高い親和性を持って選択的に結合するS1P受容体調節薬であり、リンパ球上に発現するS1P1受容体に結合し、S1P1受容体の内在化および分解を誘導することにより、リンパ球を末梢リンパ組織内に保持する。この作用によってリンパ球の体内循環を制御し、病巣へのリンパ球の浸潤を阻害することで、潰瘍性大腸炎の病理学的変化を改善すると考えられてい る。

手術中の強オピオイド鎮痛薬の使用は手術後の疼痛と関連

 手術中に強オピオイド鎮痛薬のレミフェンタニルとスフェンタニルを使用することは、手術後の望ましくない「疼痛経験」と独立して関連することが示された。「疼痛経験」とは、単なる痛みの強度だけでなく、感情的・精神的・認知的な側面を含めた包括的な概念である。ニース・パスツール病院大学病院センター(フランス)のAxel Maurice-Szamburski氏らによるこの研究は、「Regional Anesthesia & Pain Medicine」に2月25日掲載された。  Maurice-Szamburski氏は、「オピオイド鎮痛薬は手術後の疼痛軽減に役立つことがあるが、手術中の使用、特に、強オピオイド鎮痛薬のレミフェンタニルやスフェンタニルの使用は、逆に疼痛を増大させる可能性がある」と述べている。

非がん性慢性疼痛へのオピオイド、副作用対策と適切な使用のポイント~ガイドライン改訂

 慢性疼痛はQOLを大きく左右する重要な問題であり、オピオイド鎮痛薬はその改善に重要な役割を果たす。一方、不適切な使用により乱用や依存、副作用が生じる可能性があるため、適切な使用が求められている。そこで、2024年5月に改訂された『非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン改訂第3版』の作成ワーキンググループ長を務める井関 雅子氏(順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授)に、本ガイドラインのポイントを中心として、オピオイド鎮痛薬の副作用対策と適切な使用法について話を聞いた。

免疫チェックポイント阻害薬治療中の生存率にインスリン分泌能が独立して関連

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療を受けているがん患者において、インスリン分泌能が良好であることが、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)の延長に独立して関連しているとする研究結果が報告された。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科の渡邉真由氏、江口潤氏らが行った前向きコホート研究によるもので、詳細は「Frontiers in Endocrinology」に12月11日掲載された。  ICIは種々のがんに対してしばしば著効を示すが、従来の抗がん剤とは異なる副作用があり、糖尿病を有する場合はインスリン分泌能低下リスクのあることが知られている。ただし、糖尿病でないがん患者に関しては、まれに劇症1型糖尿病を引き起こすリスクがあることを除き、糖代謝へどのような影響が生じるのかという点の知見は限られている。

カルシウム摂取が多いほど大腸がんリスク低下

 カルシウム摂取が大腸がんのリスク低下と関連するとの報告があるが、この関連がカルシウム源や腫瘍部位によって異なるかは明らかではない。さらに、人種や民族によるカルシウム摂取量の差が大腸がんリスクに与える影響も不明である。米国・Division of Cancer Epidemiology and Genetics, National Cancer InstituteのSemi Zouiouich氏らはカルシウムの摂取源と腫瘍部位を考慮し、人種や民族を超えたカルシウム摂取と大腸がんリスクとの関連を調査した。本研究の結果はJAMA Network Open誌2025年2月17日号に掲載された。  米国国立衛生研究所の「NIH-AARP食事と健康研究」のデータを分析した。参加者はベースライン(1995年10月~1996年5月)時点での年齢が50~71歳、自己申告による健康状態が良好で、カロリーやカルシウム摂取量が極端に多過ぎず、少な過ぎない人であり、最初の原発がん診断、死亡、追跡不能、または終了日(2018年12月31日)まで追跡調査された。データは2022年4月~2024年4月に分析された。カルシウム摂取量は、アンケート回答による摂取源(乳製品および非乳製品)、サプリメントの総摂取量から推定し、主要アウトカムは大腸がんの発生率だった。

CRAFITYスコア2点の肝細胞がん1次治療、レンバチニブvs.免疫療法/日本臨床腫瘍学会

 CRAFITYスコア2点(AFP≧100ng/mLかつCRP≧1mg/dL)の肝細胞がん(HCC)患者に対する1次治療として、レンバチニブによる治療は免疫療法と比較して無増悪生存期間(PFS)が有意に良好で、同スコアが肝細胞がん1次治療のレジメン選択におけるバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。京都大学の上野 真行氏が後ろ向きコホート研究の結果を第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で発表した。  これまでに同氏らが実施した、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法不応の予測マーカーを評価した多機関共同後ろ向き研究結果において、CRAFITYスコアが最も予測に適した因子であることが明らかになっていた。

MSI-H/dMMR進行大腸がんにおけるニボルマブ+イピリムマブ、アジア人にも有用(CheckMate 8HW)/日本臨床腫瘍学会

 CheckMate 8HW試験は、全身療法歴のない高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移大腸がん患者に対して、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法と化学療法の有用性を検討した試験である。昨年末にはニボ+イピ群が化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告されたが、2025年3月6~8日に行われた第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)では国立がん研究センター東病院の吉野 孝之氏が、本試験のアジア人サブグループにおける解析結果を発表した

長年にわたるヨーグルト摂取は大腸がんリスクを低下させる?

 長年にわたるヨーグルトの摂取は、特定のタイプの大腸がんの発症リスクを低下させる可能性のあることが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院および米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の鵜飼知嵩氏らによる研究で明らかになった。長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している人では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がんの発症リスクが20%低いことが示されたという。この研究結果は、「Gut Microbes」に2月12日掲載された。  人体のマイクロバイオーム(微生物叢)に焦点を当てた新たな研究では、ヨーグルトに含まれる生きた細菌の摂取が健康に有益な可能性のあることが示唆されている。鵜飼氏らは今回、ヨーグルトには一般的にビフィズス菌が含まれていることから、長期間のヨーグルト摂取が、組織中のビフィズス菌の量に応じて、腫瘍のタイプごとに大腸がんの発生と異なる関連を示す可能性があるとの仮説を立て、検討した。対象は、1976年に30〜55歳の女性看護師を登録して開始されたNurses’ Health Study(NHS)と1986年に40〜75歳の男性医療従事者を登録して開始されたHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)から抽出した13万2,056人であった。対象者は、2016年1月1日まで追跡された。

大腸がん1次治療のセツキシマブ、RAS/BRAF野生型の左側、男性に有効(DEEPER)/日本臨床腫瘍学会

 DEEPER試験はJACCRO(日本がん臨床試験推進機構)が主導し、RAS野生型切除不能大腸がんの1次治療として、3剤併用化学療法(mFOLFOXIRI)の上乗せとして抗EGFR抗体薬・セツキシマブと抗VEGF抗体薬・ベバシズマブの有用性を比較検討した無作為化第II相試験である。これまでにセツキシマブ併用群はベバシズマブ併用群に比べ、主要評価項目である腫瘍縮小率(DpR)が有意に高かったことが報告されている。2025年3月6~8日に行われた第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)のPresidential Sessionにおいて、聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座の砂川 優氏が、サブグループ解析を含む本試験の最終解析を報告した。

切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA

 未治療の切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの治療において、プラセボ+化学療法と比較してsugemalimab(完全ヒト型抗プログラム細胞死リガンド1[PD-L1]抗体)+化学療法は、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・北京大学のXiaotian Zhang氏らGEMSTONE-303 Investigatorsが実施した「GEMSTONE-303試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年2月24日号に掲載された。  GEMSTONE-303試験は、切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの1次治療における化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[CAPOX])へのsugemalimab追加の有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年4月~2021年12月に中国の54施設で患者を登録した(CStone Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。