消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

飲酒は健康リスクに影響

 米国保健福祉省(HHS)は1月14日に発表した報告書の草案の中で、飲酒は早期死亡リスクを高める可能性があることを警告した。報告書によると、「米国では男女ともに1週間当たり7杯(米国の基準飲酒量〔ドリンク〕であるアルコール14g相当を1杯と表記)以上の摂取で1,000人中1人が飲酒に起因した死亡のリスクを負い、このリスクは1週間当たりの飲酒量が9杯以上になると100人中1人に高まる」という。  この報告書の目的は、健康リスクを最小限に抑えるための1週間当たりの飲酒量の基準値に関するエビデンスを得ることであった。ただし草案では、研究結果は要約されているが飲酒量に関する具体的な勧告は含まれていない。現行の米国のガイドラインでは、飲酒量に関して、男性は1日当たり2杯、女性は1杯を超えた量を飲むべきではないとの推奨が示されている。しかし、今回の報告書では、この基準を満たす量であってもリスクのある可能性が示唆されている。

治療転帰、男女医師で有意差~35研究のメタ解析

 これまでに、女性医師が治療した患者は男性医師が治療した患者よりも転帰が良く、医療費も低くなる可能性が報告されている。医師と患者の性別の一致も転帰に影響する可能性があるが、これまでの研究では有意差は確認されておらず、統合解析によるエビデンスはほとんどない。今回、米国・メイヨークリニックのKiyan Heybati氏らがランダム効果メタ解析を実施した結果、女性医師の治療を受けた患者は、男性医師の治療を受けた患者に比べ死亡率が有意に低く、再入院も少なかったことがわかった。BMC Health Services Research誌2025年1月17日号に掲載。

切除可能食道腺がん、FLOTによる周術期化学療法が有効/NEJM

 切除可能な食道腺がん患者の治療において、術前化学放射線療法と比較してフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)による周術期化学療法は、3年の時点での全生存率を有意に改善し、3年無増悪生存率も良好で、術後合併症の発現は同程度であることが、ドイツ・Bielefeld大学のJens Hoeppner氏らが実施した「ESOPEC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年1月23日号に掲載された。  ESOPEC試験は、切除可能食道がんの治療におけるFLOTによる周術期化学療法の有用性の評価を目的とする医師主導の非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2016年2月~2020年4月にドイツの25の施設で患者を登録した(ドイツ研究振興協会の助成を受けた)。

重大な副作用にアナフィラキシー追加、アルギニン含有製剤など/厚労省

 2025年1月29日、厚生労働省はアルギニン含有注射剤などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用としてアナフィラキシーの追記がなされる。  対象医薬品は以下のとおり。 ◯プラスアミノ輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖製剤) ◯ツインパル輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖・無機塩類製剤) ◯ビーフリード輸液(その他の配合剤) ◯アルギU点滴静注(一般名:L-アルギニン塩酸塩) ◯アルギニン点滴静注(同)

BRAF V600E変異mCRC、1次治療のエンコラフェニブ+セツキシマブが有用(BREAKWATER)

 前治療歴のあるBRAF V600E変異型の転移大腸がん(mCRC)に対して、BRAF阻害薬・エンコラフェニブと抗EGFRモノクローナル抗体・セツキシマブの併用療法(EC療法)はBEACON試験の結果に基づき有用性が確認され、本邦でも承認されている。一方、BRAF V600E変異mCRCに対する1次化学療法の有効性は限定的であることが示されており、1次治療としてのEC療法の有用性を検証する、第III相BREAKWATER試験が計画・実施された。

小児の急性単純性虫垂炎、抗菌薬は切除に非劣性示せず/Lancet

 小児の急性単純性虫垂炎に対する治療について、抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性は示されなかった。米国・Children's MercyのShawn D. St. Peter氏らが、カナダ、米国、フィンランド、スウェーデンおよびシンガポールの小児病院11施設で実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。合併症のない虫垂炎に対して、手術治療よりも非手術的治療を支持する文献が増加していることから、研究グループは抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性を検討する試験を行った。Lancet誌2025年1月18日号掲載の報告。

肥満症治療薬、減量効果が特に高いのはどれ?

 GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの肥満症治療薬のうち、肥満や過体重の人の減量に最も効果的なのはどれなのだろうか? マギル大学(カナダ)医学部教授のMark Eisenberg氏らにより「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された新たな研究によると、その答えは、デュアルG(GIP〔グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〕/GLP-1)受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)、および開発中のトリプルG(GLP1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬のretatrutide(レタトルチド)であるようだ。これに対し、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名サクセンダ)の減量効果は、これら3種類ほど高くないことも示された。

活動性クローン病に対する抗サイトカイン抗体ミリキズマブの有効性と安全性(解説:上村直実氏)

中等症~重症の活動期クローン病(CD)の寛解導入療法および寛解維持療法における抗IL-23p19抗体ミリキズマブ(商品名:オンボー)の有用性と安全性を、プラセボと実薬対照である抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(同:ステラーラ)と同時に比較検討した結果、ミリキズマブが寛解導入および維持療法においてプラセボと比べて有意な優越性を示し、さらに、ウステキヌマブと同等の有用性を示したことが2024年11月のLancet誌に掲載された。わが国におけるクローン病に対する治療は、経腸栄養療法、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、ステロイド、アザチオプリンなど従来の薬物療法が行われてきたが、難治例に対してインフリキシマブやアダリムマブなどTNFα阻害薬が使用されるケースが増えている。しかし、以上のような治療を適切に行っても、寛解導入できない症例や寛解を維持できなくて再燃する症例がいまだ多くみられるのが現状であるため、さらに新たな薬剤が次々と開発されている。

肝硬変と肝性脳症の併発患者で亜鉛低値見られる

 肝硬変と肝性脳症(HE)を併発している患者の多くにおいて、血清中の亜鉛が欠乏しているという研究結果が、「Journal of Family Medicine and Primary Care(JFMPC)」9月号に掲載された。  Rajendra Institute of Medical Sciences Ranchi(インド)のDivakar Kumar氏らは、HEを伴う肝硬変患者150人の血清亜鉛値を測定した。  その結果、HEを伴う肝硬変患者の過半数に亜鉛欠乏症が認められた。血清亜鉛低値とWest Haven CriteriaによるHEのグレードとの間に、統計学的に有意な関連が認められた。肝硬変の各クラス間で、血清亜鉛値にきわめて有意な差が見られた。死亡した患者では、平均血清亜鉛値が有意に低かった(35.56対48.36)。血清亜鉛値と血清アルブミン値との間に、強い正の相関が認められた(r=0.88)。