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焦燥性興奮に対し、どうサポートしていくべきか

 認知症者や急性期病院のせん妄患者では、焦燥性興奮のみられる言動が認められるが、その発生率や病棟スタッフの対応法に関する研究はない。英国・ノッティンガム大学病院NHSトラストのFrancesca Inkley氏らは、混乱した高齢入院患者の焦燥性興奮のみられる言動の発生率およびスタッフによるマネジメント戦略について評価した。Nursing older people誌2016年2月26日号の報告。 8つの高齢者病棟において、言語上の焦燥性興奮が認められたすべての患者に対し、看護チームが2週間、毎日評価を行った。6項目の半構造化インタビューをスタッフと行い、3時間の非参与観察を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均6%の患者(13/223例)において、言語上の焦燥性興奮が毎日認められた。・マネジメント戦略は、試行錯誤、気をそらすことや約束、安心感を与えること、コミュニケーションや親交を深めることなどであった。・病棟でのトレーニングやサポート、スタッフ・場所・活動などのリソース不足により、職員はこれら患者へのケアプランを作成する体系的なアプローチを実施できていなかった。 結果を踏まえ、著者らは「言葉上の焦燥性興奮が認められる患者に対して、サポートするスタッフのための介入法の開発や評価が必要とされる」としている。関連医療ニュース せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか せん妄管理における各抗精神病薬の違いは せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大

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身長・BMIが学歴や年収に影響?/BMJ

 体重と身長は、学歴や年収などの社会経済的地位に影響を及ぼすことが、英国・エクセター大学のJessica Tyrrell氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年3月8日号に掲載された。社会経済的地位は罹病や死亡に影響を及ぼすとされ、最近の調査ではロンドン市の最貧困地区と最も裕福な地区では、男性の寿命に18年もの差があることが報告されている。一方、高身長や低BMIは社会経済的地位が高いことと関連するが、どちらが原因でどちらが結果かはよくわかっておらず、この問題は保健衛生や福利政策にとって重要とされる。世帯年収などの指標に関して身長およびBMIの因果的作用を検証 研究グループは、身長および体重は、年収などの社会経済的地位に影響を及ぼす因果的役割を持つかとの問いに答えるための検討を行った。 メンデル無作為化解析法を用い、世帯年収など社会経済的地位の5つの指標に関して、身長およびBMIの因果的作用を検証した。遺伝子型は受胎時に無作為に割り付けられるが、メンデル無作為化解析はこの事実を活用するため、遺伝学的因子以外の因子による交絡の影響を受けないとされる。 解析には、英国バイオバンクに登録された37~73歳の英国人家系の男女11万9,669人のデータを用いた。5つの指標は、(1)正規の就学期間を終了した年齢、(2)教育レベル、(3)職務等級、(4)世帯年収、(5)タウンゼント剥奪指標(特定の集団内の物質的な窮乏の指標)であった。 全体の平均年齢は56.9歳(7.9標準偏差[SD])、男性が47.3%、平均BMIは27.5(4.8 SD)、平均身長は168.8cm(9.2 SD)であった。身長が高くなると世帯年収がより高額 低身長および高BMIは、低い社会経済的地位と関連が認められた。低身長と低い社会経済的地位の関連は男性でより強力で、高BMIと低い社会経済的地位の関連は女性でより強い傾向がみられた。 たとえば、BMIが1 SD高くなると、男性の世帯年収が210ポンド(276ユーロ、300ドル、95%信頼区間[CI]:84~420、p=0.006)低くなり、女性では世帯年収が1,890ポンド(95%CI:1,680~2,100、p=6×10-15)低下した。 遺伝子解析では、これらの関連には部分的に因果関係があることを示すエビデンスが得られた。 遺伝学的に確定された身長が1 SD(6.3cm)高くなると、正規の就学期間を終了した年齢が0.06年(95%CI:0.02~0.09、p=0.01)高くなり、専門性の高い職業に就くオッズ比が1.12(95%CI:1.07~1.18、p=6×10-7)に上がり、世帯年収は1,130ポンド(95%CI:680~1,580、p=4×10-8)高額となった。これらの関連は、男性でより強力だった。 女性では、遺伝学的に確定されたBMIが1 SD(4.6)上昇すると、世帯年収が2,940ポンド(95%CI:1,680~4,200、p=1×10-5)低下し、窮乏の程度が0.10(0.04~0.16、p=0.001)増大した。 著者は、「身長とBMIは社会経済的地位に部分的に重要な影響を及ぼすとのエビデンスを支持するデータが得られた」とし、「身体測定値の特徴や社会経済的地位を導く因子や、これらの特徴から導かれる因子を理解するには、さらなる検討を要する」と指摘している。

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末梢血管用ステントZilver PTX、2年目も良好な結果

 2016年3月19日、日本循環器学会学術集会「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」が行われ、福岡山王病院 循環器センター 横井 宏佳氏が、浅大腿動脈用ステントZilver PTXの市販後調査2年目のフォローアップ試験の結果を発表した。 Zilver PTXは、日本が世界に先駆けて発売した浅大腿動脈専用の薬剤溶出ステント(DES)であるが、すでに世界50ヵ国で2,400例以上に使用されている。Zilver PTXは、承認前にはZilver PTX RCT、Zilver PTX SAS試験、市販後にはZilver PTX Japan PMS、Zilver PTX US PAS、EUでの長病変に対するレジストリ研究が行われている。市販後試験の1つ、Zilver PTX Japan PMSの1年の試験結果は、本年のJournal of American College of Cardiology Cardiovascular Intervention誌2016年2月8日号1)で発表されたが、今学会では、その2年フォローアップデータおよび、承認前の2試験(Zilver PTX RCT、Zilver PTX SAS)と比較検討した結果が発表された。 Zilver PTX Japan PMS試験における登録患者の平均年齢は74歳であり、承認前の2試験に比べ高齢であった。また、承認前の2試験に比べ、糖尿病と腎障害を有する例が有意に多く、病変長は14.7mmと有意に長く、完全閉塞が47%、再狭窄への使用が19%と有意に高かった。また、Rutherford 4以上(CLI)も22%含まれており、リアルワールドでは、承認前試験以上に、患者背景が複雑かつ劣悪な患者であることが明らかになった。 この試験では907例、1,075病変をZilver PTXで治療した。2年間のフォローアップ適格患者は741例で、完全フォローアップはそのうち624例である。Thrombosis/Occlusionの発生率は、1年目3%、2年目は3.6%で、1年間で0.6%増加した。これは承認前の2試験や、従来の報告と同等の結果であった。TLR回避率は、1年目91%、2年目は85%で、これも承認前の2試験と同等の結果であった。Primary patency は1年目86.4%、2年は72.3%であり、RCT試験と比べるとやや低いものの、当試験の劣悪な患者背景を考えると、十分容認できるものといえる。 リアルワールドでは、承認前試験と比べ、より複雑な患者・病変背景の中で使われていた。2年目のZilver Japan PMSの結果は、臨床現場においてもこのステントが承認前の成績とほぼ同等の有効性と安全性が得られたことが明らかになった。

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自己免疫性膵炎〔AIP : autoimmune pancreatitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)は、わが国から世界に発信された新しい疾患概念である。わが国におけるAIPは、病理組織学的に膵臓に多数のIgG4陽性形質細胞とリンパ球の浸潤と線維化および閉塞性静脈炎を特徴とする(lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis:LPSP)。高齢の男性に好発し、初発症状は黄疸が多く、急性膵炎を呈する例は少ない。また、硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎などの種々の硬化性の膵外病変をしばしば合併するが、その組織像は膵臓と同様にIgG4が関与する炎症性硬化性変化であることより、AIPはIgG4が関連する全身性疾患(IgG4関連疾患)の膵病変であると考えられている。一方、欧米ではIgG4関連の膵炎以外にも、臨床症状や膵画像所見は類似するものの、血液免疫学的異常所見に乏しく、病理組織学的に好中球病変による膵管上皮破壊像(granulocytic epithelial lesion:GEL)を特徴とするidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)がAIPとして報告されている。この疾患では、IgG4の関与はほとんどなく、発症年齢が若く、性差もなく、しばしば急性膵炎や炎症性腸疾患を合併する。近年、IgG4関連の膵炎(LPSP)をAIP1型、好中球病変の膵炎(IDCP)をAIP2型と分類するようになった。本稿では、主に1型について概説する。■ 疫学わが国で2016年に行われた全国調査では、AIPの年間推計受療者数は1万3,436人、有病率10.1人/10万人、新規発症者3.1人/10万人であり、2011年の調査での年間推計受療者数5,745人より大きく増加している。わが国では、症例のほとんどが1型であり、2型はまれである。■ 病因AIPの病因は不明であるが、IgG4関連疾患である1型では、免疫遺伝学的背景に自然免疫系、Th2にシフトした獲得免疫系、制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性が報告されている。■ 症状AIPは、高齢の男性に好発する。閉塞性黄疸で発症することが多く、黄疸は動揺性の例がある。強度の腹痛や背部痛などの膵炎症状を呈する例は少ない。無症状で、糖尿病の発症や増悪にて発見されることもある。約半数で糖尿病の合併を認め、そのほとんどは2型糖尿病である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(表)を用いて診断する。表 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018【診断基準】A.診断項目I.膵腫大:a.びまん性腫大(diffuse)b.限局性腫大(segmental/focal)II.主膵管の不整狭細像:a.ERPb.MRCPIII.血清学的所見高IgG4血症(≧135mg/dL)IV.病理所見a.以下の(1)~(4)の所見のうち、3つ以上を認める。b.以下の(1)~(4)の所見のうち、2つを認める。c.(5)を認める。(1)高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化(2)強拡1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤(3)花筵状線維化(storiform fibrosis)(4)閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)(5)EUS-FNAで腫瘍細胞を認めない.V.膵外病変:硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症、腎病変a.臨床的病変b.病理学的病変VI.ステロイド治療の効果B.診断I.確診(1)びまん型 Ia+<III/IVb/V(a/b)>(2)限局型 Ib+IIa+<III/IVb/V(a/b)>の2つ以上またはIb+IIa+<III/IVb/V(a/b)>+VIまたはIb+IIb+<III/V(a/b)>+IVb+VI(3)病理組織学的確診 IVaII.準確診限局型:Ib+IIa+<III/IVb/V(a/b)>またはIb+IIb+<III/V(a/b)>+IVcまたはIb+<III/IVb/V(a/b)>+VIIII.疑診(わが国では極めてまれな2型の可能性もある)びまん型:Ia+II(a/b)+VI限局型:Ib+II(a/b)+VI〔+;かつ、/;または〕(日本膵臓学会・厚生労働省IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針を目指す研究班. 膵臓. 2020;33:906-909.より引用、一部改変)本症の診断においては、膵がんや胆管がんなどの腫瘍性の病変を否定することがきわめて重要である。診断に際しては、可能な限りのEUS-FNAを含めた内視鏡的な病理組織学的アプローチ(膵液細胞診、膵管・胆管ブラッシング細胞診、胆汁細胞診など)を施行すべきである。診断基準では、膵腫大、主膵管の不整狭細像、高IgG4血症、病理所見、膵外病変とステロイド治療の効果の組み合わせにより診断する。びまん性の膵腫大を呈する典型例では、高IgG4血症、病理所見か膵外病変のどれか1つを満たせばAIPと診断できる。一方、限局性膵腫大例では、膵がんとの鑑別がしばしば困難であり、従来の診断基準では内視鏡的膵管造影(ERP)による主膵管の膵管狭細像が必要であった。しかし、昨今診断的ERPがあまり行われなくなってきたことなどを考慮して、MR胆管膵管撮影(MRCP)所見、EUS-FNAによるがんの否定所見とステロイド治療の効果を組み込むことにより、ERPなしで限局性膵腫大例の診断ができるようになった。■ 膵腫大“ソーセージ様”を呈する膵のびまん性(diffuse)腫大は、本症に特異性の高い所見である。しかし、限局性(segmental/focal)腫大では膵がんとの鑑別が問題となる。腹部超音波検査では、低エコーの膵腫大部に高エコースポットが散在することが多い(図1)。腹部ダイナミックCTでは、遅延性増強パターンと被膜様構造(capsule-like rim)が特徴的である(図2)。画像を拡大する画像を拡大する■ 主膵管の不整狭細像ERPによる主膵管の不整狭細像(図3、4)は本症に特異的である。狭細像とは閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲に及んで、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する。典型例では狭細像が全膵管長の3分の1以上を占めるが、限局性の病変でも、狭細部より上流側の主膵管には著しい拡張を認めないことが多い。短い膵管狭細像の場合には膵がんとの鑑別がとくに困難である。主膵管の狭細部からの分枝の派生や非連続性の複数の主膵管狭細像(skip lesions)は、膵がんとの鑑別に有用である。MRCPは、主膵管の狭細部からの分枝膵管の派生の評価は困難であることが多いが、主膵管がある程度の広い範囲にわたり検出できなかったり狭細像を呈する、これらの病変がスキップして認められる、また、狭細部上流の主膵管の拡張が軽度である所見は、診断の根拠になる。画像を拡大する画像を拡大する■ 血清学的所見AIPでは、血中IgG4値の上昇(135mg/dL以上)を高率に認め、その診断的価値は高い。しかし、IgG4高値は他疾患(アトピー性皮膚炎、天疱瘡、喘息など)や一部の膵臓がんや胆管がんでも認められるので、この所見のみからAIPと診断することはできない。今回の診断基準には含まれていないが、高γグロブリン血症、高IgG血症(1,800mg/dL以上)、自己抗体(抗核抗体、リウマチ因子)を認めることが多い。■ 膵臓の病理所見本疾患はLPSPと呼ばれる特徴的な病理像を示す。高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化を認める(図5)。形質細胞は、IgG4免疫染色で陽性を示す(図6)。線維化は、紡錘形細胞の増生からなり、花筵状(storiform fibrosis)と表現される特徴的な錯綜配列を示し、膵辺縁および周囲脂肪組織に出現しやすい。小葉間、膵周囲脂肪組織に存在する静脈では、リンパ球、形質細胞の浸潤と線維化よりなる病変が静脈内に進展して、閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)が生じる。EUS-FNAで確定診断可能な検体量を採取できることは少ないが、腫瘍細胞を認めないことよりがんを否定できる。画像を拡大する画像を拡大する■ 膵外病変(other organ involvement:OOI)AIPでは、種々のほかのIgG4関連疾患をしばしば合併する。その中で、膵外胆管の硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎(ミクリッツ病)、後腹膜線維症、腎病変が診断基準に取り上げられている。硬化性胆管炎は、AIPに合併する頻度が最も高い膵外病変である。下部胆管に狭窄を認めることが多く(図4)、膵がんまたは下部胆管がんとの鑑別が必要となる。肝内・肝門部胆管狭窄は、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)や胆管がんとの鑑別を要する。AIPの診断に有用なOOIとしては、膵外胆管の硬化性胆管炎のみが取り上げられている。AIPに合併する涙腺炎・唾液腺炎は、シェーグレン症候群とは異なって、涙腺分泌機能低下に起因する乾燥性角結膜炎症状や口腔乾燥症状は軽度のことが多い。顎下腺が多く、涙腺・唾液腺の腫脹の多くは左右対称性である。後腹膜線維症は、後腹膜を中心とする線維性結合織のびまん性増殖と炎症により、腹部CT/MRI所見において腹部大動脈周囲の軟部影や腫瘤を呈する。尿管閉塞を来し、水腎症を来す例もある。腎病変としては、造影CTで腎実質の多発性造影不良域、単発性腎腫瘤、腎盂壁の肥厚病変などを認める。■ ステロイド治療の効果ステロイド治療の効果判定は、画像で評価可能な病変が対象であり、臨床症状や血液所見は対象としない。ステロイド開始2週間後に効果不十分の場合には再精査が必要である。できる限り病理組織を採取する努力をすべきであり、ステロイドによる安易な診断的治療は厳に慎むべきである。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)経口ステロイド治療が、AIPの標準治療法である。経口プレドニゾロン0.6mg/kg/日の初期投与量を2~4週間投与し、その後画像検査や血液検査所見を参考に約1~2週間の間隔で5mgずつ漸減し、3~6ヵ月ぐらいで維持量まで減らす。通常、治療開始2週間ほどで改善傾向が認められるので、治療への反応が悪い例では膵臓がんを疑い、再検査を行う必要がある。AIPは20~40%に再燃を起こすので、再燃予防にプレドニゾロン5mg/日程度の維持療法を1~3年行うことが多い(図7)。近年、欧米では、再燃例に対して免疫調整薬やリツキシマブの投与が行われ、良好な成績が報告されている。図7 AIPの標準的ステロイド療法画像を拡大する4 今後の展望AIPの診断においては、膵臓がんとの鑑別が重要であるが、鑑別困難な例がいまだ存在する。病因の解明と確実性のより高い血清学的マーカーの開発が望まれる。EUS-FNAは、悪性腫瘍の否定には有用であるが、採取検体の量が少なく病理組織学的にAIPと診断できない例があり、今後採取方法のさらなる改良が求められる。AIPでは、ステロイド治療後に再燃する例が多く、再燃予防を含めた標準治療法の確立が必要である。5 主たる診療科消化器内科、内分泌内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報自己免疫性膵炎診療ガイドライン 2020(日本膵臓学会ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)自己免疫性膵炎臨床診断基準[2018年](日本膵臓学会ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)1)日本膵臓学会・厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指す研究」班.自己免疫性膵炎診断基準 2018. 膵臓. 2018;33:902-913.2)日本膵臓学会・厚生労働省IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針を目指す研究班.自己免疫性膵炎診療ガイドライン2020. 膵臓. 2020;35:465-550.公開履歴初回2014年03月06日更新2016年03月22日更新2024年07月25日

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第1世代抗精神病薬はどの薬剤も変わらないのか

 記述的、非体系的レビューによると、薬理学的に同等な仮説を有するさまざまな第1世代抗精神病薬(FGA)間に有効性の差がないことが明らかになっている。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、すべてのFGAの有効性が同等であるとの仮説を、メタ解析統計を用いたエビデンスベースの検討を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年2月26日号の報告。 統合失調症における経口ハロペリドールと他のFGAとを比較したすべてのRCTを特定するため、システィマティック文献サーベイ(Cochrane Schizophrenia Group trial register)を適用した。主要評価項目は、2群の治療反応とした。副次的評価項目は、尺度によって測定された症状重症度、中止率、特定の有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・1962~99年に公表された79件のRCTより、4,343例が抽出された。・ネモナプリドだけがハロペリドールと間に有意な群間差が認められ、検討されたその他19薬剤では認められなかった。・中止率に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「単一メタ解析比較のほとんどは、検出力不足であると見なすことができ、すべてのFGAは同等の効果であるとの仮説のエビデンスは決定的ではない。したがって、この論点に関する先行研究の記述的、非体系的レビューにおける仮説は、確認も否定もできなかった。また、本調査結果は、個々の比較におけるサンプル数の不足や方法論的な質の低さから限定的である」としている。関連医療ニュース いま一度、ハロペリドールを評価する 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは 第1世代 vs 第2世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

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降圧薬、アドヒアランス不良でCVD死亡リスク1.6倍以上

 降圧薬のアドヒアランス不良は、心血管疾患(虚血性心疾患・脳出血・脳梗塞)による死亡および入院リスクの上昇と有意な関連が認められることが、韓国・Korea Cancer Center HospitalのSoyeun Kim氏らによる研究で明らかになった。著者らは、実臨床における服薬アドヒアランス改善と監視システムの重要性を強調した。Hypertension誌2016年3月号の報告。 心血管疾患予防において、降圧薬の服薬アドヒアランスが重要であるかは十分に解明されていない。そのため、本研究では、降圧薬の服薬アドヒアランスが特定の心血管疾患(虚血性心疾患・脳出血・脳梗塞)の死亡率に及ぼす影響について検討した。 韓国の国民健康保険の登録者からランダムに抽出した3%のサンプルコホートのデータを使用した。調査対象は、2003~04年に降圧薬治療を新規に開始した20歳以上の高血圧患者であった。降圧薬の服薬アドヒアランスは、累積服薬順守率から推定した。対象を、アドヒアランス良好群(累積服薬順守率80%以上)、アドヒアランス中間群(同50~80%)、アドヒアランス不良群(同50%未満)に分類し、時間依存Cox比例ハザードモデルを用いて、服薬順守率と予後との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・3万3,728例の適格者のうち、670例(1.99%)がフォローアップ中に冠動脈疾患、あるいは脳卒中で死亡した。・アドヒアランス不良群は、良好群よりも心血管疾患による死亡リスクが有意に高い傾向が認められた。虚血性心疾患(ハザード比[HR] 1.64、95%CI:1.16~2.31、p for trend=0.005)脳出血(HR 2.19、95%CI:1.28~3.77、p for trend=0.004)脳梗塞(HR 1.92、95%CI:1.25~2.96、p for trend=0.003)・心血管疾患による入院の推定ハザード比は、死亡のエンドポイントと一致した。

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ベジタリアン/ヴィーガンダイエットって実際どうなの?

 ベジタリアン1)ダイエットは虚血性心疾患とすべてのがんの発症および死亡リスクを、また、ヴィーガン(完全菜食主義)2)ダイエットはすべてのがんの発症リスクを有意に低下させることが、イタリア・フィレンツェ大学のMonica Dinu氏らによるメタ解析で明らかになった。Critical reviews in food science and nutrition誌オンライン版 2016年2月6日号の報告。 ベジタリアンおよびヴィーガンダイエットの有益な効果は、すでに報告されている。 本研究では、ベジタリアン/ヴィーガンダイエットと、慢性疾患のリスク因子、すべての原因による死亡、心血管疾患の発症および死亡、すべてのがん・特定のがんの発症および死亡リスク(大腸がん、乳がん、前立腺がん、肺がん)との関連を明確にする目的でメタ解析を行った。 文献データベースは、MEDLINE、EMBASE、Scopus、The Cochrane Library、Google Scholarを用い、包括的な検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・横断的研究86件と前向きコホート研究10件を解析対象とした。<横断的研究の解析結果>・ベジタリアン/ヴィーガン群は雑食群よりも、BMI・総コレステロール・LDLコレステロール・血糖値が有意に低下した。<前向きコホート研究の解析結果>・ベジタリアン群の虚血性心疾患の発症および/または死亡リスク(RR 0.75、95%CI:0.68~0.82)とすべてのがん発症リスク(RR 0.92、95%CI:0.87~0.98)は、雑食群よりも有意に低下したが、心血管疾患・脳血管疾患の発症および死亡リスク、すべての原因による死亡リスク、がんによる死亡リスクに有意な低下はみられなかった。また、特定のがんの発症および死亡リスクとの間には有意な関連は認められなかった。・ヴィーガンのみを対象とした解析では、研究数が限られているものの、すべてのがんの発症リスクが雑食群よりも有意に低下した(RR 0.85、95%CI:0.75~0.95)。・以上の結果より、ベジタリアンダイエットは、虚血性心疾患の発症および/または死亡リスクを25%低下、すべてのがん発症リスクを8%低下させ、ヴィーガンダイエットは、すべてのがんの発症リスクを15%低下させることが示された。1)ベジタリアン:菜食主義者。野菜中心の食生活をする。2)ヴィーガン:完全菜食主義者。肉、魚、卵、乳製品、ハチミツを一切摂取しない。

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タバコによる死者は年間600万人

タバコによる死者は年間600万人!タバコが原因とみられる疾患のため死亡する人の数は、全世界で600万人/年間WHO(世界保健機構)推計虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑(通称:ホロコースト記念碑、ドイツ・ベルリン)これは、第2次世界大戦でナチス・ドイツが迫害、大量虐殺したユダヤ人の数に匹敵します。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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CREST試験:頸動脈狭窄症における頸動脈剥離術と頸動脈ステントの両治療群における長期追跡(解説:山本 康正 氏)-497

【目的】 症候性および無症候性頸動脈狭窄症例2,502例を、頸動脈ステントと頸動脈剥離術との2種類の治療に振り分け、4年間追跡したCREST(Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial)試験では、脳卒中、心筋梗塞、周術期の死亡、そして、病側の脳卒中発症を含めた1次複合エンドポイントについて差は認められなかった。そこで今回は、さらに10年に及ぶ追跡の結果を調べた。【方法】 試験は、117のセンターで477人の脳外科医と224人の血管内治療医により行われ、経過は6ヵ月ごとにチェックされた。症候性は、血管撮影で50%以上、超音波あるいはCTアンギオ・MRAで70%以上の狭窄を有する例とし、無症候性は、血管撮影で60%以上、超音波で70%以上、CTアンギオ・MRAで80%以上の狭窄を有する例とした。【結果】 追跡期間は平均7.4年であった。1次複合エンドポイントはステント群で11.8%、剥離術群で9.9%と両群で差を認めなかった。病側での脳卒中は83例に発症し、頸動脈ステント群は42症例(6.9%)、頸動脈剥離術群は41症例(5.6%)で差は認めなかった。また、より重症の脳卒中はステント群で12例、剥離術群で6例とステント群でやや多いが有意差はなかった。2次解析で周術期の脳卒中・死亡とその後の病側の脳卒中を対象とすると、37%ステント群で高かった(p=0.04)が、内訳は周術期のイベントで差がついていた。再狭窄や再開通療法はステント群で12.2%、剥離術群で9.7%であった。1次エンドポイントについて、年齢、性、症候性・無症候性、狭窄度を区別して検討しても差はなかった。【解説】 ステント群で周術期のイベントがやや多いが、全体として剥離術群に劣らない優良な成績が確認された。ステント群で、今後デバイスの改良により周術期のイベントをより減少させることが期待される。しかし、個々のケースでは、プラーク量が多く不安なプラークを有するような症例には、熟達した脳外科医による頸動脈剥離術を選択したい。ステントの進歩は喜ばしいが、そのことによって、頸動脈剥離術の手技の習得がおろそかにならないことを望みたい。

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巨細胞性動脈炎の寛解導入にトシリズマブは有効/Lancet

 巨細胞性動脈炎(GCA)患者に対し、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体トシリズマブと経口プレドニゾロンの併用投与は、経口プレドニゾロン単独投与に比べ、完全寛解率や、長期無再発生存率も高いことが示された。スイス・ベルン大学のPeter M. Villiger氏らが、巨細胞性動脈炎患者30例を対象に行った初となる無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2016年3月4日号で発表された。巨細胞性動脈炎に対し、糖質コルチコイド治療はゴールドスタンダードで重篤な血管合併症を防ぐが、罹患・死亡率が高い。トシリズマブは、巨細胞性動脈炎の寛解導入・維持に用いられていることから、研究グループは、新規および再発患者に対するトシリズマブの安全性と有効性を確認するため今回の検討を行った。投与後12週の完全寛解率を比較 検討は第II相プラセボ対照無作為化二重盲検試験で、2012年3月3日~14年9月9日の間、ベルン大学病院単施設で、米国リウマチ学会1990年版基準を満たした巨細胞性動脈炎の新規または再発診断を受けた50歳以上の患者30例を対象に行われた。 研究グループは被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはトシリズマブを(8mg/kg、20例)、もう一方にはプラセボを(10例)、4週に1回、52週(13回)にわたり静脈内投与した。なお、両群に経口プレドニゾロン(1mg/kg/日で開始し、徐々に0mgまで減量)が投与された。 主要評価項目は、12週目のプレドニゾロン投与量0.1mg/kg/日時点で、完全寛解が認められた患者の割合だった。12週時点で完全寛解はトシリズマブ併用群85%、プラセボ群40%と有意な差 被験者のうち巨細胞性動脈炎の新規発症者は、トシリズマブ+プレドニゾロン群16例(80%)、プラセボ+プレドニゾロン群7例(70%)だった。 結果、12週時点で完全寛解が認められたのは、プラセボ群4例(40%)に対し、トシリズマブ併用群は17例(85%)と有意に高率だった(リスク差:45%、95%信頼区間[CI]:11~79、p=0.0301)。52週時点の無再発生存率は、プラセボ群2例(20%)に対し、トシリズマブ併用群17例(85%)だった(リスク差:65%、95%CI:36~94、p=0.0010)。 プレドニゾロン中止までの平均生存期間は、トシリズマブ併用群(38週)がプラセボ群(50週)より短く(両群差:12週、95%CI:7~17、p<0.0001)、そのため52週間のプレドニゾロン累積投与量は、プラセボ群110mg/kgに対し、トシリズマブ群は43mg/kgと有意な少量投与に結び付いた(p=0.0005)。 重篤有害事象の報告は、プラセボ群5例(50%)、トシリズマブ群7例(35%)だった。

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ラタノプロスト、先発品 vs.後発品の比較経済分析

 米国・テキサス大学健康科学センターのJoanna H. Queen氏らは、ラタノプロストのブランド製剤とジェネリック製剤について比較経済分析を行った。その結果、患者にとって重要な要素である年間費用とボトル当たりの滴数は、製造業者によって有意に異なることを明らかにした。著者は、「医師はこれらの差を認識することで、患者によりよい助言ができるだろう」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌2016年3月号(オンライン版2015年11月18日号)の掲載報告。 研究グループは、4地域で利用されているラタノプロスト製剤を対象に、各製剤10ボトルについて滴数/ボトル、およびボトルに実際に充填されている容量を測定し、年間費用(平均卸値を使用)、使用日数/ボトル、滴数/mL、使用ボトル数/年を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ブランド製剤(商品名:キサラタン、ファイザー社)は、容量が最も大きかった(p<0.001)。・年間費用は、ブランド製剤が1,198ドルで最も高かった。一方、Akorn社のジェネリック製剤は184ドル、ボシュロム社のジェネリック製剤は201ドルと安かった。・ファイザー社とボシュロム社の製剤は、Akorn社およびサンド社の製剤に比べて滴数/ボトルが多く、統計学的に有意差が認められた(それぞれ87.3および88.7vs. 77.6および76.6、p<0.001)。ただし、滴数/ボトルの標準偏差に統計学的な有意差は認められなかった。

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クロザピン誘発性副作用のリスク遺伝子同定:藤田保健衛生大学

 クロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症(CIA・CIG;CIAG)は、クロザピン治療を受ける統合失調症患者の生命に影響を与える問題である。藤田保健衛生大学の齊藤 竹生氏らは、CIAGの遺伝的要因を調査するため、日本人のCIAG患者50人と正常対照者2,905人について、全ゲノム関連解析を行った。Biological psychiatry誌オンライン版2016年2月11日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ヒト白血球抗原(HLA)領域との有意な関連を同定した。そのため、HLA遺伝子の型ごとに検討を行った。・CIAGとHLA-B*59:01型との有意な関連が認められた(p=3.81×10-8、OR:10.7)。そして、独立したクロザピン耐性対照群との比較により、この関連が確認された(n=380、p=2.97×10-5、OR:6.3)。・クロザピン誘発性無顆粒球症のOR(9.3~15.8)は、顆粒球減少症(OR:4.4~7.4)の約2倍であったことから、顆粒球減少症患者群は、潜在的な無顆粒球症患者群と非無顆粒球症患者群からなる混合集団であるというモデルを想定した。・この仮説よりに、顆粒球減少症患者の中に、どの程度、非無顆粒球症患者が存在するかを推計でき、その非リスク対立遺伝子の陽性予測値を推定することができる。・この仮説モデルの結果から、(1)顆粒球減少症患者の約50%が非無顆粒球症患者である、(2)HLA-B*59:01型を保有しない顆粒球減少症患者の約60%が非無顆粒球症患者であり、無顆粒球症に進展しないということが推定された。 著者らは、「日本人において、HLA-B*59:01型はクロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症の危険因子であるとこが示唆された」とし、「このモデルが正しいならば、顆粒球減少症患者群においても、一部の患者に対しては、クロザピンの再投与が絶対的な禁忌ではないことが示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか クロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院 難治例へのクロザピン vs 多剤併用

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てんかん発作を8分前に予知する技術を開発

 いつ起こるかわからない「てんかん発作」を心拍数の変動から予知する仕組みが開発された。熊本大学の山川 俊貴氏は、京都大学の藤原 幸一氏、東京医科歯科大学の宮島 美穂氏らとの共同研究で、脳の病気であるてんかんの発作を、脳波ではなく心電図を基に算出した「心拍変動」から高精度で予知することに成功した。本研究は、日常的に身につけることが可能(ウェアラブル)なてんかん発作予知システムの開発のため行われた。本研究結果により、発作によるけがや事故を防ぎ、患者さんが安心して暮らすことのできる社会の実現につながると期待が寄せられている。IEEE transactions on bio-medical engineering誌2015年12月24日号の掲載報告。  心拍数を用いたてんかん発作の予知においては、これまで変動解析手法による分析方法が用いられていたが、平常時と発作前の差がわかりにくい、個人差が大きいといった理由から、実用化は困難と考えられていた。 そこで研究グループは、多変量統計的プロセス管理(MultivariateStatistical Process Control:MSPC)という工学的手法で心拍数の揺らぎを解析した。対象としたのはビデオ脳波モニタリングのために入院した患者14例で、心電図データをMSPCによって解析した。 主な結果は以下のとおり。・91%の精度で発作を予知することが可能であることが示された(偽陽性頻度は1時間に0.7回)。・また、発作が起こる約8分前(494±262秒[平均±SD]前)に予知することが可能であることがわかった。 本研究の結果について、研究グループは「わかりやすく、偽陽性が少ないことから、高精度なてんかん発作の予知が可能であることが証明された」と結論付け、心臓のそばに取り付けるウェアラブル予知デバイスの開発を進めることにしている。 熊本大学プレスリリースはこちら(PDF)。

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ジカウイルスとギラン・バレー症候群の関連、初のエビデンス/Lancet

 ジカウイルスがギラン・バレー症候群を引き起こすという、初となるエビデンス報告が、Lancet誌オンライン版2016年2月29日号で発表された。仏領ポリネシアのタヒチにあるInstitut Louis MalardeのVan-Mai Cao-Lormeau氏らの研究グループが、症例対照研究の結果、報告した。Cao-Lormeau氏は、「ジカウイルス感染症が南北・中央アメリカ中に広がりをみせている。リスクに曝されている国では、ギラン・バレー症候群患者を集中的に治療するための十分なベッドを確保しておく必要がある」と警告を発している。仏領ポリネシアでは2013年10月~14年4月の間に、ジカウイルス感染症の大規模なアウトブレイクを経験。同期間中に、ギラン・バレー症候群の患者が増大したことが報告され、ジカウイルスとの関連が指摘されていた。アウトブレイク中の患者を対象に症例対照研究で関与を検証 研究グループは、ギラン・バレー症候群発症において、ジカウイルス感染症およびデング熱ウイルス感染症が関与しているかを調べる症例対照研究を行った。 症例は、前述したアウトブレイク期間中に、タヒチ島の首都パペーテにあるCentre Hospitalier de Polynesie Francaiseで、ギラン・バレー症候群と診断された患者とした(症例群)。 対照は、年齢・性別・住所でマッチした非発熱性疾患患者(対照群1:98例)、年齢でマッチした急性ジカウイルス感染症患者で神経症状はみられない患者(対照群2:70例)とした。 症例群、対照群の感染ウイルス特定には、RT-PCR法、蛍光抗体マイクロスフェア(microsphere immunofluorescent)法、血清中和アッセイ法などが用いられた。ギラン・バレー症候群の診断では、ELISA法および複合マイクロアッセイを用いて、血清糖脂質抗体の測定が行われた。ギラン・バレー症候群患者98%がジカウイルスIgM/IgG陽性 試験期間中にギラン・バレー症候群と診断された患者は42例であった。そのうち41例(98%)がジカウイルスIgMまたはIgG陽性であった。 症例群の全患者(100%)が、ジカウイルス中和抗体を保有していた。一方、対照群1(98例)における保有者は54例(56%)であった(p<0.0001)。 症例群のうちジカウイルスIgM陽性は39例(93%)で、また、37例(88%)は、神経症状発症の中央値6日(IQR:4~10)前に、ジカウイルス感染症に罹患したことを示唆する一過性の疾患を有していた。 症例群では、電気生理学的検査で軸索型(AMAN)の所見、および急速進行(急速進行初期[installation phase]中央値6[IQR:4~9]日、静止期[plateau phase]中央値4[3~10]日)の所見が認められた。呼吸補助を必要としたのは12例(29%)、死亡例はなかった。 ELISA法による血清糖脂質抗体陽性は、13例(31%)で認められた。そのうちGA1抗体保有者が最も多く8例(19%)の患者で認められた。また、入院時の糖アッセイでは19/41例(46%)が陽性を示した。なお、典型的なAMANに関連する抗糖脂質抗体を有していた患者はまれであった。 デング熱ウイルス感染症歴については、症例群(95%)と、2つの対照群(89%、83%)で有意差はみられなかった。

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アトピーが食物アレルギーの要因にも?

 アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、因果関係が示唆されているものの完全には明らかになっていない。このことが予防と治療に重大な影響を及ぼしている。英国のキングス・カレッジ・ロンドンのTeresa Tsakok氏らは、システマティックレビューの結果、アトピー性皮膚炎、食物感作および食物アレルギーとの間には強くかつ用量依存的な関連があることを確認したという。著者は、「重症度および慢性度が高いアトピー性皮膚炎は、とくに食物アレルギーと関連しており、アトピー性皮膚炎が食物感作および食物アレルギーの発現に先行するエビデンスもある」と述べている。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2016年2月18日号の掲載報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎の重症度・慢性度・発症年齢に対する食物アレルギーの影響、および両者の時間的関係について調べる検討を行った。MEDLINEおよびEmbaseを用い、2014年11月までに発表されたアトピー性皮膚炎と食物アレルギーに関する研究論文を検索し、調査した。 主な結果は以下のとおり。・66件の研究をレビューに組み込んだ。・住民ベース研究が18件、高リスクコホートが用いられた研究は8件で、残りはアトピー性皮膚炎または食物アレルギーと診断された患者を対象としていた。・住民ベース研究の分析の結果、生後3ヵ月時の食物感作の可能性が、健常児に比べアトピー性皮膚炎患児で6倍高かった(オッズ比:6.18、95%信頼区間:2.94~12.98、p<0.001)。・また、他の住民ベース研究を分析した結果、アトピー性皮膚炎を有する参加者の53%が食物に感作しており、最大で15%が負荷試験において食物アレルギーの徴候を示したことが報告されていた。・アトピー性皮膚炎確定患者を対象とした研究の分析では、食物感作の割合は66%に達し、負荷試験で食物アレルギーを呈した患者の割合は81%にものぼった。・16件の研究が、食物アレルギーは重症アトピー性皮膚炎と関連していることを示唆した。・6件の研究は、早期発症または持続性のアトピー性皮膚炎が、とくに食物アレルギーと関連していることを示した。・1件の研究は、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーの発症に先行したことを明らかにした。

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生活習慣病予防プログラム、40年の成果/BMJ

 冠動脈疾患の主要かつ古典的なリスク因子である喫煙・脂質異常症・高血圧症(3リスク)を低減することを目的とした集団ベース介入の1次予防プログラムは、疾患発症や死亡の低下に寄与する有効な手段なのか。フィンランド国立健康福祉研究所のPekka Jousilahti氏らが、同国東部住民を対象とした40年にわたる観察研究(FINRISK研究)の結果、同プログラムが冠動脈疾患死の低下に寄与したことを確認したと報告した。また、高リスクの人への2次予防および急性冠症候群の治療の介入についても分析し、それらが付加的ベネフィットをもたらしたことも確認されたという。BMJ誌オンライン版2016年3月1日号掲載の報告より。喫煙・脂質異常症・高血圧症への介入による変化と死亡への影響を調査 フィンランドでは、1950年代から食事や生活習慣の変化に伴い、冠動脈疾患死亡率の上昇がみられ、60年代後半には世界で最も同死亡率が高い国となった。とくに働き盛り世代の東部住民男性で高率だったという。そこで72年から冠動脈疾患予防プロジェクトをスタート。その主目的は、働き盛り世代男性の3リスクを低減するというもので、地域保健活動を介し行動変容を促すこと、および高リスクの人のスクリーニングと薬物治療をサポートするというものであった。 研究グループは94年に、介入の成果を評価。20年(72~92年)の間に死亡率は低下し、リスク因子の変化が寄与したことを報告している。 今回、同一サンプルを対象に、その後の20年間の冠動脈疾患死亡の傾向を調べ、3リスクの影響を調べた。 FINRISK研究(1972~2012年)の参加者は、30~59歳のフィンランド東部住民男女3万4,525例であった。 主要評価項目は、年齢で標準化した冠動脈疾患の予測死亡率と実際の死亡率であった。予測変化を、リスク因子データ(72年から5年ごと計9回行われたサーベイ対象集団から集めたデータ)を用いたロジスティック回帰分析で算出。実死亡率を、National Causes of Death Registerから入手し分析した。直近10年の冠動脈疾患死低下、約3分の2は3リスク低減が寄与 40年の間、2007~12年に血清コレステロール値が男女共わずかに上昇していたことを除けば、3リスクの値は低下した。男性の3リスクデータは、1972年当時は喫煙52.6%、血清総コレステロール(TC)値6.77mmol/L、収縮期血圧(SBP)値147.1mmHgであったが、2012年には29.3%、5.44mmol/L、135.9mmHgにいずれも低下した。女性については、喫煙者はもともと70年代は非常に少なく11.4%であった。2002年に22%まで上昇したが、その後は低下し12年は19.4%であった。TC値は6.69から5.30mmol/Lに、SBP値は149.2から129.1mmHgに低下した。 1969-72~2012年の間に、35~64歳住民の冠動脈疾患死亡率は、男性が82%減少(10万人当たり643例から118例)、女性が84%減少(同114例から17例)していた。 研究開始当初10年間で、3リスク因子の変化が、実死亡率の低下に寄与したことが確認された。また80年代中旬以降は、予測死亡率よりも実死亡率が下回った。 直近10年のデータの分析から、死亡減少の約3分の2(男性69%、女性66%)は3リスクの変化によるもので、残る3分の1がその他の要因であることが確認されたという。 これらの結果を踏まえて著者は、「集団ベース介入の1次予防プログラムにより、冠動脈疾患の疾病負荷および死亡は低減可能である。高リスクの人の2次予防や急性冠症候群の治療が、付加的ベネフィットをもたらす」と結論している。

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35歳以上の妊婦に分娩誘発は有害か/NEJM

 高年齢妊婦では帝王切開の頻度が高いが、35歳以上の初産妊婦に対し妊娠39週での分娩誘発は、待機的管理と比べて、帝王切開率へ有意な影響をもたらすことはなく、また母体および新生児への短期的有害作用も及ぼさないことが明らかにされた。英国・ノッティンガム大学のKate F. Walker氏らが無作為化試験の結果、報告した。35歳以上の妊婦では、より若い妊婦の場合と比べて正期産における死産リスクが高い。一方で、分娩誘発によりそのリスクは低下可能だが、帝王切開リスクが上昇する可能性が示唆されていた。NEJM誌2016年3月3日号掲載の報告。619例を対象に待機的管理群と比較した無作為化試験で評価 試験は2012年8月~15年3月に、英国内の38ヵ所のNHS病院と、1ヵ所のPrimary Care Trustの施設で、35歳以上の初妊婦619例を集めて行われた。 被験者を無作為に2群に割り付けて、一方には妊娠39週0日~6日の間に分娩誘発を行い(分娩誘発群)、もう一方には待機的管理(自然陣痛の発来まで待機、もしくは医学的処置による誘発が必要と判断されるまで)を行った(待機的管理群)。 主要アウトカムは、帝王切開とした。試験は、分娩誘発の死産に対する影響を評価するようデザインされてはおらず、検出力も有していなかった。帝王切開率に有意差なし、母体・新生児の有害転帰への影響も有意差みられず 無作為化された619例を含めたintention-to-treat解析の結果、両群間で、帝王切開を受けた妊婦の割合に有意な差はみられなかった。分娩誘発群98/304例(32%)、待機的管理群103/314例(33%)で、相対リスク(RR)は0.99(95%信頼区間[CI]:0.87~1.14)であった。 また、鉗子・吸引分娩が行われた妊婦の割合についても有意差はみられなかった。分娩誘発群115/304例(38%)、待機的管理群104/314例(33%)、RRは1.30(95%CI:0.96~1.77)であった。 母体あるいは新生児の死亡の報告はなかった。出産経験に関することや母体や新生児の有害転帰の頻度についても有意差はみられなかった。

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CTO再灌流、生存率改善はみられないものの、バイパス術施行を有意に減らす

 慢性完全閉塞(CTO)に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)の成功率は、術者の経験の蓄積、デバイスや手技の改善により向上している。とくに薬剤溶出ステント(DES)の登場によって、ベアメタルステントに比べて再狭窄発生や再灌流療法の再施行が減少し、複雑なCTOに対するPCI施行が容易になった。これまでにも、CTOに対する再灌流療法によって、症状の改善、左室駆出率の改善、バイパス術の減少などが報告されているが、生命予後の改善に関しては一定した結果が得られていない。韓国のグループが、DESのみを用いたPCIによる研究結果をJACC Cardiovascular Interventions 誌オンライン版2016年2月25日号で発表した。CTOレジストリを使用し、nativeの冠動脈に対するCTO患者1,173例を解析 2003~14年に登録された、nativeの冠動脈(血行再建を受けていない)にCTO病変を有する患者1,173例が解析の対象となった。すべてのPCI成功患者においてDESが使用された(1,004例、85.6%)。主要安全性評価項目は、CTO-PCI成功群と非成功群間の全死亡および死亡とQ波心筋梗塞発生の複合。主要有効性評価項目は、標的血管の再灌流とバイパス手術の発生であった。4.6年のフォローアップ、全死亡および死亡と心筋梗塞の発生率もCTO-PCI成功群と不成功群で有意差なし フォローアップ期間の中央値は4.6年で、患者の平均年齢は60歳、82.7%が男性であった。全死亡率および死亡と心筋梗塞の複合発生率いずれにおいても、調整リスクはCTO-PCI成功群と非成功群で同等であった(HR:1.04、95%CI:0.53~2.04、p=0.92とHR:1.05、95%CI:0.56~1.94、p=0.89)。CTO以外の冠動脈への完全再灌流が行われた879例の全死亡および死亡と心筋梗塞発生の複合リスクも、CTO-PCI成功患者と不成功患者とで違いは認められなかった。この結果は、患者がCTOを含めた多枝病変を持っている場合、もしくはCTO単独病変の場合のいずれにおいても同様であった。CTO-PCI不成功群では再灌流、バイパス術の施行率が有意に高い PCI後のフォローアップにおいて、CTO-PCI成功群では95.2%が無症候であったのに対し、CTO-PCI不成功群では半数以上が何らかの狭心症症状を訴えていた。標的血管の再灌流療法とバイパス術の施行率は、CTO-PCI不成功群で有意に高かった(HR:0.15、95%CI :0.10~0.25、p

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タバコ有害説は江戸時代から!?

タバコの害は400年以上前から知られていた!? 日本にタバコが伝来したのは安土桃山時代。ポルトガル人宣教師らが持ち込んだといわれています。タバコを吸う人を初めてみた当時の日本人は「南蛮人は腹の中で火を焚いている」と思ったそうです。 1605年に国内で初の禁煙令が出されたという記録があります。以後、江戸時代には何度も「禁煙令」が出されています。 1713年、儒学者もタバコの害に言及しています。「烟草(タバコ)は性毒あり。烟(けむり)をふくみて、眩(めま)ひ倒るる事あり。習へば大なる害なく、少しは益ありといへ共、損多し。病をなす事あり。又火災のうれひあり。習へばくせになり、むさぼりて、後には止めがたし。事多くなり、いたつがはしく家僕を労す。初めよりふくまざるにしかず。貧民は費多し」「タバコには毒性がある。(中略)知ってしまうと癖になり、次から次へと吸い、そうなってしまうと止められなくなる。(中略)初めから喫煙しないのが良い」(貝原益軒『養生訓』より)社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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テロのストレスがもたらす心血管イベント増加:フランス

 2015年1月7日朝に起こった「シャルリー・エブド事件」は、3日間のパリにおけるテロ攻撃の幕開けとなった。その際、地元メディアは、攻撃の詳細な報道に、彼らのプログラムの大部分を割いた。Francesco Della Rosa氏らは、感情的なストレスが心血管関連入院の増加を引き起こすと仮定し、トゥールーズ(フランス)における2015年1月の胸痛ユニットの状況を分析した。Archives of Cardiovascular Diseases Supplements誌2016年1月号の掲載報告。 結果は以下のとおり。・2015年1月は合計346例の患者が胸痛ユニットに来診し、162例が入院あるいは最低1晩滞在、退院は184例であった。・テロ攻撃の3日間(2015年1月7~9日)の入院を要する心血管イベントの1日の罹患数は、2015年1月の他の日に比べ75%上昇した(4.85 vs.8.67、 95%CI:1.44~6.15、p=0.0025)。・翌週の同じ曜日の1日の入院率と比較しても同様の結果が得られた(3.67 vs. 8.67、95%CI:2.38~7.62、p=0.0061)。・テロ攻撃後の3日間では有意な減少が観察された(4.67 vs.8.67、95%CI:1.77~6.23、p=0.0058)。 ・心血管特異的に原因をみると、1月全体と比較してST上昇心筋梗塞は+180%(p=0.029)、非ST上昇心筋梗塞は+60.9%(p=0.014)、症候性不整脈は+71.9%(p=0.027)、心不全は+86.7%(p=0.035)と有意な増加を示した。 このデータは、メディアによるテロ攻撃の集中的な中継など、高ストレスな経験は、心血管イベントでの入院につながる胸痛の重要な受診を誘発することを示した。

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