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赤身肉や加工肉の摂取、悪性黒色腫発症のリスクを低下?

 赤身肉および加工肉の摂取は、がんのリスク増加に関与していることが知られているが、悪性黒色腫との関連については結論が得られていない。米国・ハーバード公衆衛生大学院のHsi Yen氏らが、2つの前向きコホート研究、Nurses' Health Study(NHS)およびHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)を使用した調査と解析の結果、赤身肉および加工肉を多く摂取することは悪性黒色腫の発症リスクを低下させる可能性があると報告した。ただし結果について著者は、「この2つのコホート研究の対象者は白人の医療従事者に限られているので、今回の結果は一般化可能性に限界があるかもしれない」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年4月23日号掲載の報告。 研究グループは、赤身肉および加工肉の摂取と悪性黒色腫のリスクについて検討する目的で、1984~2010年にNHSに参加した女性7万5,263例と、1986~2010年にHPFSに参加した男性4万8,523例を対象に、食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価した。 悪性黒色腫の診断を診療記録から確認し、赤身肉および加工肉の摂取と悪性黒色腫との関連について、COX比例ハザードモデルを用いて多変量ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に、悪性黒色腫として女性679例、男性639例が記録された。・赤身肉および加工肉の摂取量と、悪性黒色腫リスクとの間に、逆相関が認められた(傾向のp=0.002)。・2つのコホート研究を合わせた悪性黒色腫のハザード比は、赤身肉および加工肉の摂取量を五分位群に分けた第1五分位(基準)に対し、第2五分位1.00(95%CI:0.87~1.14)、第3五分位0.98(95%CI:0.86~1.13)、第4五分位0.89(95%CI:0.77~1.02)、第5五分位0.81(95%CI:0.70~0.95)であった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長/NEJM

 ニボルマブとイピリムマブは、第I相CheckMate-012試験で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に有効性を示し、また腫瘍変異負荷(TMB)はバイオマーカーとして注目されている。そのような中、ニボルマブおよびニボルマブベースのレジメントと化学療法を比較した、無作為化オープンラベルマルチパート第III相CheckMate-227試験から、TMB高レベル患者(1メガベースあたりの変異が10個以上)における、ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群を比較したPart1の結果が、NEJM誌2018年4月16日号とAACR2018で同時に発表された。・試験対象:PD-L1発現1%以上および1%未満のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群     ニボルマブ単独群(TPS1%以上)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)・対照群:化学療法・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群の全生存期間(OS)、[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ単独群対化学療法群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+化学療法群対化学療法群のOS。そのほか、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・有効なTBMデータを有した1,004例のうち、高TMB(≧10変異/メガベース)患者は444例であった・上記の444例は、無作為にイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例に割り付けられた・高TMB(≧10/メガベース)患者の1年PFS率は、ニボルマブ+イピリムマブ群42.6%、化学療法群13.2%。PFS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群7.2ヵ月(95%CI:5.5〜13.2)、化学療法群5.5ヵ月(95%CI:4.4~5.8)と、化学療法に比べ、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に長かった(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81、p<0.001)・PFSサブグループ解析では、PD-L1発現(≧1%、<1%)、また組織型(扁平上皮、非扁平上皮)にかかわらず、ニボルマブ+イピリムマブ群で良好であった・ORRは、ニボルマブ+イピリムマブ群で45.3%、化学療法群で26.9%であった・Grade3/4の治療関連有害事象はニボルマブ+イピリムマブ群31.2%、化学療法36.1%であった  この結果は、高TMBのNSCLC患者における、ニボルマブ・イピリムマブ併用の利点と、患者選択のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷の役割を立証している。■参考CheckMate-227試験(ClinicalTrials.gov)CheckMate-227試験(AACR2018ニュースリリース)

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うつ病に関する理解とスティグマの調査

 うつ病による負荷は、世論、スティグマ、そしてその結果として生じる行動から影響を受ける。うつ病患者やその周囲に関する知識の欠如、誤解、スティグマは、彼らのメンタルヘルスを改善するうえで障壁となっている。筑波大学の横谷 省治氏らは、うつ病に関する世論、とくに認知、治療法、スティグマについて調査を行った。Journal of clinical medicine research誌2018年3月号の報告。 年1回の健康診断の受診者を対象に、自己管理アンケートを配布し、次の4つの短い設問への合致を調査した。(1)「明るく行動する人では、うつ病を心配する必要はない」(うつ病患者の行動に関する誤解)、(2)「うつ病の治療に休息は重要である」(休息の必要性に関する理解)、(3)「うつ病治療に医療は有効である」(薬物療法の有効性に関する理解)、(4)「弱い人格がうつ病を引き起こす」(うつ病の原因に関するスティグマ)。そして、これらの考えと、健康リテラシー、外来診療への定期的な通院、うつ病歴、人口統計的変数などの因子との関連についても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・回答者は1,085例、回答率は75.0%であった。・各設問に対し、適切な回答を行った割合は、(1)54.5%、(2)75.6%、(3)58.9%、(4)70.8%であった。・うつ病の原因に関するスティグマについて、弱い人格がうつ病を引き起こすと回答した割合は30.7%であった。・女性および若者は、適切な回答と関連が認められた。・健康リテラシーは、薬物療法の有効性に関する適切な理解とのみ、関連が認められた。 著者らは「本調査では、実に30%が、弱い人格がうつ病を引き起こすと考えていた。また、うつ病の薬物療法の有効性については、58.9%しか認識されていなかった。70%超は休息の必要性を理解しており、明るく行動する人でもうつ病になる可能性があることを認知していた。一般的な健康リテラシーだけでは、うつ病に関する知識や理解が深まるとは限らない。うつ病へのスティグマの減少と、うつ病治療に関する知識の向上のための、教育的介入またはキャンペーンが必要である」としている。■関連記事うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学呼称変更により統合失調症患者へのスティグマは減少したのか:日本医科大学

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エピシルが化学療法や放射線療法の口内炎の口腔内疼痛を緩和/Meiji Seikaファルマ

 Meiji Seikaファルマ株式会社は2018年5月16日、局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材エピシル口腔用液(以下、エピシル)の販売を開始した。 エピシルは口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜にエピシル適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛を管理および緩和する。エピシルの販売・流通およびプロモーションを行うMeiji エピシルはスウェーデンのCamurus ABにより創製され、2009年に欧州で最初に上市、現在世界10ヵ国で販売されている。日本ではソレイジア・ファーマ株式会社が2017年7月に医療機器製造販売承認を取得し、2018年4月に保険収載された。2016年12月に締結したソレイジア社との契約に基づき、Meijiは日本国内でのエピシルの販売・流通およびプロモーションを行う。販売名:エピシル口腔用液製造販売承認日:2017年7月6日保険収載日:2018年4月1日発売日:2018年5月16日償還価格:752円/mL形状・構造及び原理:口腔内病変の被覆及び保護を目的とする非吸収性の液状機器である。口腔粘膜に適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、口内炎で生じる口腔内疼痛を管理及び緩和する。専用の容器に充填されている。使用目的又は効果:化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和を物理的作用により行う。製造販売元:ソレイジア・ファーマ株式会社販売元:Meiji Seika ファルマ株式会社

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執刀医別の術後死亡率公表は臨床成績に影響するか?/BMJ

 待機的大腸がん手術について、外科医ごとの術後90日死亡率の公表制度を導入しても、リスクを回避するような臨床行動やデータの不正操作(gaming)に結びつくというエビデンスは認められなかった。一方で、導入後に90日死亡率の有意な低下がみられたという。英国・イングランド王立外科医師会のAbigail E. Vallance氏らによる、住民ベースのコホート研究の結果で、BMJ誌2018年5月2日号で発表された。病院レベルのアウトカムデータの公表は、質の改善を推進することが示唆されている。個々の外科医のアウトカム公表の導入については意見が分かれている状況で、心臓手術についてのみ、米国の大半において検討されている。大腸がんで待機的手術を受けた患者について、公表制度導入前後の変化を検討 アウトカムの公表は、リスクを回避する臨床行動やデータの操作を招きやすいとしてしばしば批判されているが、研究グループは大腸がんについて、外科医ごとのアウトカム公表制度の影響を調べる検討を行った。 英国NHS傘下の病院群で2011年4月1日~2015年3月31日に大腸がんと診断され、National Bowel Cancer Auditに登録された11万1,431例を対象に、全国コホート研究を行った。 英国では2013年6月に、待機的大腸がん手術の外科医ごとの90日死亡率の公表制度が開始されている。そのデータを参照しながら、2011年4月~2013年6月と2013年7月~2015年3月に手術を受けた患者について、待機的拡大切除(major resection)を受けた患者の割合、患者および腫瘍の特性に基づき予測した90日死亡率、患者および腫瘍の特性の違いを補正後に観察された90日死亡率を比較した。拡大切除を受けた患者の割合、術後90日予測死亡率に変化はみられず 拡大切除を受けた大腸がん患者の割合は、外科医個々のアウトカム公表制度導入前が3万9,792/6万2,854例(63.3%)、導入後は3万706/4万8,577例(63.2%)で、有意な違いは認められなかった(p=0.8)。待機的または計画的として分類された拡大切除の割合も、公表制度導入前後で変化は認められなかった(導入前3万3,638/3万9,792例(84.5%)vs.導入後2万5,905/3万706例(84.4%)、p=0.5)。 90日予測死亡率も変化はなかった(2.7% vs.2.7%、p=0.3)。しかし、観察された90日死亡率は、導入後に低下が認められた(952/3万3,638[2.8%]vs.552/2万5,905例[2.1%])。変化点解析(change point analysis)の結果、この低下は、公表制度導入前にみられた死亡率低下の傾向をはるかに上回るものであることが示された(p=0.03)。

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握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。50万人以上で、疾患別の発生率、死亡率との関連を評価 研究グループは、握力と疾患別の発生率、死亡率の関連を評価し、測定項目に加えることでリスクスコアの予測能を増強するかを検証するために、地域住民ベースの前向き研究を行った。 2007年4月~2010年12月の期間に、年齢40~69歳の地域住民がUK Biobankに登録され、このうち握力のデータがある50万2,293例を解析に含めた。被験者は、握力の強さで4群に分類された(Q1:最も弱い群、Q2:2番目に弱い群、Q3:2番目に強い群、Q4:最も強い群)。 握力の強さと、全死因死亡、心血管疾患、呼吸器疾患、COPD、がん(全がん、大腸、肺、乳房、前立腺)の発生率、死亡率の関連を解析した。握力の5kg低下ごとに、死亡リスクが女性で20%、男性で16%増加 全体の平均年齢は56.5(SD 8.1)歳、54.5%が女性であった。平均フォローアップ期間は7.1年(範囲:5.3~9.9)で、この間に1万3,322例(2.7%)が死亡した。 握力が5kg低下するごとに、全死因死亡のハザード比(HR)は男女とも有意に上昇した(女性のHR:1.20、p<0.001、男性のHR:1.16、p<0.001)。同様に、心血管死(1.19、p<0.001、1.22、p<0.001)、呼吸器疾患死(1.31、p<0.001、1.24、p<0.001)、COPD死(1.24、p=0.01、1.19、p<0.001)、全がん死(1.17、p<0.001、1.10、p<0.001)、大腸がん死(1.17、p=0.01、1.18、p<0.001)、肺がん死(1.17、p<0.001、1.08、p=0.001)、乳がん死(1.24、p<0.001)のHRも、握力5kg低下ごとに男女とも有意に上昇したが、前立腺がん死のHR(1.05、p=0.29)には有意な差を認めなかった。これらの関連は、全般に若い年齢層のほうが、わずかに強かった。 筋力低下(女性:握力<16kg、男性:握力<26kg)は、女性の大腸がん、男性の前立腺がん、男女の肺がんを除き、健康アウトカムのハザードの上昇と関連した。 また、従来の診察室で測定するリスク因子(年齢、性別、糖尿病、BMI、収縮期血圧、喫煙)に、握力測定を加えると、C-indexの変化で評価した予測能が、全死因死亡(C-indexの変化:0.013、95%信頼区間[CI]:0.011~0.015、p<0.001)、心血管死(0.012、0.007~0.017、p<0.001)、心血管疾患の発症(0.009、0.007~0.010、p<0.001)に関して有意に改善された。 著者は、「握力の潜在的な臨床的有用性を確立するには、リスクスコアやリスクスクリーニングにおける握力測定の導入に関して、さらなる検討が求められる」と指摘している。

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自殺リスク患者に対するesketamine鼻腔内投与の有効性、安全性に関する二重盲検ランダム化比較試験

 自殺リスク患者において、標準治療にesketamine鼻腔内投与を追加した際の、抑うつ症状の急速軽減効果について、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのCarla M. Canuso氏らが、検討を行った。併せて、自殺リスクについても検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月16日号の報告。 本研究は、患者68例を対象とし、包括的な標準治療にesketamine(84mg)鼻腔内投与またはプラセボの週2回追加投与を4週間実施した、二重盲検多施設ランダム化概念実証研究として行われた。主要有効性エンドポイントは、ベースラインから初回投与後4時間までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコアの変化量とした。臨床医による自殺リスクの全体的な評価は、自殺念慮と行動評価ツールを用いて実施した。副次的エンドポイントは、24時間および二重盲検試験終了時の25日目でのこれら測定値とした。 主な結果は以下のとおり。・esketamine群は、プラセボ群と比較し、投与4時間後のMADRSスコアの有意な改善が認められた(最小二乗平均差:-5.3、SE:2.10、エフェクトサイズ:0.61)。また、24時間以内においても同様に、有意な改善が認められたが(最小二乗平均差:-7.2、SE:2.85、エフェクトサイズ:0.65)、25日目では認められなかった(最小二乗平均差:-4.5、SE:3.14、エフェクトサイズ:0.35)。・esketamine群は、投与4時間後のMADRS自殺念慮項目スコアの有意な改善が認められたが(エフェクトサイズ:0.67)、24時間(エフェクトサイズ:0.35)、25日目(エフェクトサイズ:0.29)では認められなかった。・両群間の臨床医による自殺リスクの全体的な評価スコアの減少は、どの時点においても統計学的に有意な変化が認められなかった。・esketamine群における最も一般的な有害事象は、悪心、めまい、解離、味覚異常、頭痛であった。 著者らは「これらの予備的所見は、自殺リスクを有するうつ病患者に対し、包括的な標準治療にesketamine鼻腔内投与を追加することで、プラセボと比較し、自殺念慮を含む有意な抑うつ症状の急速改善が可能であることを示す」としている。■関連記事うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのはケタミンは難治性うつ病に使えるのか

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日本糖尿病学会 第61回年次学術集会 :シンポジウム 「甦れβ細胞よ! ~女性研究者が糖尿病を克服する~」 を開催[5月25日(金)]

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は、第61回年次学術集会(2018年5月24日(木)~26日(土))内で以下のシンポジウムを開催する。「甦れβ細胞よ! ~女性研究者が糖尿病を克服する~」:シンポジウム20 (日本糖尿病学会 第61回年次学術集会)【日時】2018年 5月25日(金) 14:20 ~ 17:20【会場】JPタワー 4F: ホール1+2 (東京)(第61回年次学術集会: 第16会場)【座長】植木 浩二郎氏(国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター)成瀬 桂子氏(愛知学院大学 歯学部内科学講座)【講演】The changing beta cellSusan Bonner Weir, PhD (Harvard Medical School/Joslin Diabetes Center)ヒト iPS 細胞から膵臓β細胞への分化誘導の技術開発粂 昭苑氏(東京工業大学生命理工学院)アクティブゾーンタンパク質ELKSのインスリン分泌における役割今泉 美佳氏(杏林大学医学部生化学)蛍光技術を活用した生理活性物質放出機構の解析高橋 倫子氏(北里大学医学部生理学)膵β細胞からα細胞への変換メカニズム小谷 紀子氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)【総合討論】「Women, be ambitious ! 」テーマ1: 女性研究者として研究を続け、キャリアップするために、何が重要かテーマ2: 女性研究者を育てるために、重要なこと■関連リンク「女性医師応援ライブラリ」 (日本糖尿病学会ホームページ 「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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CABGのグラフト、橈骨動脈が伏在静脈に優る/NEJM

 5年間のフォローアップにおいて、橈骨動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術(CABG)は伏在静脈グラフトを用いたCABGに比べ、主要有害心血管イベントのリスクが有意に低く、周術期のグラフト開存性が有意に良好であることが示された。米国・コーネル大学医学部循環器手術部門のMario Gaudino氏らが、6つの無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析で明らかにした。これまで、橈骨動脈グラフト使用のCABGが伏在静脈グラフト使用のCABGに比べ、術後アウトカムが良好である可能性を示唆する試験結果はあったが、個々の試験では臨床アウトカムの差を示すには統計学的に検出力が不足していたという。NEJM誌オンライン版2018年4月30日号掲載の報告。死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合イベントを比較 研究グループは、6つの無作為化比較試験について患者レベルのメタ解析を行い、橈骨動脈または伏在静脈グラフトを用いたCABGの臨床アウトカムを比較した。 主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合とした。副次的評価項目は、フォローアップ血管造影でのグラフト開存性だった。混合効果Cox回帰モデルを用いて、アウトカムへの治療の効果を推量した。死亡は同等だが、心筋梗塞は約3割、再血行再建術は半減と有意に低下 被験者総数は1,036例で、橈骨動脈グラフト使用群は534例、伏在静脈グラフト使用群は502例だった。追跡期間は平均60ヵ月(SD 30)だった。 主要評価項目の複合有害イベントの発生は、橈骨動脈グラフト群が伏在静脈グラフト群に比べ、有意に低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.49~0.90、p=0.01)。 フォローアップ血管造影(フォローアップ平均50ヵ月[SD 30])でも、橈骨動脈グラフト群のグラフト閉塞リスクの有意な低下が認められた(HR:0.44、95%CI:0.28~0.70、p<0.001)。 なお、橈骨動脈グラフト群のアウトカムを個別にみると、心筋梗塞(HR:0.72、95%CI:0.53~0.99、p=0.04)、再血行再建術(同:0.50、0.40~0.63、p<0.001)では有意な低下が認められたが、全死因死亡の発生については、有意な低下がみられなかった(同:0.90、0.59~1.41、p=0.68)。

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シナモンで関節リウマチ症状が緩和?

 わが国では、人口全体の0.4~0.5%、30歳以上ではおよそ1%が関節リウマチ(RA)にかかるといわれている。シナモンは、民間療法で関節炎などに使用されるが、詳細は検討されていなかった。今回、イラン・Ahvaz Jundishapur University of Medical SciencesのFarideh Shishehbor氏らの研究結果により、シナモンの摂取は、RA患者の炎症および臨床症状を改善する、安全かつ潜在的な補助的療法である可能性が示唆された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版2018年5月3日号に掲載。 本研究は、女性RA患者36例を対象とした無作為化二重盲検試験。対象者を無作為に2群に分け、シナモン粉末500mgまたはプラセボが入ったカプセルを8週間連日投与し、開始時および終了時の空腹時血糖(FBS)、脂質プロファイル、肝酵素、C反応性タンパク質(CRP)、TNF-α、赤血球沈降速度(ESR)、血圧、臨床症状を測定した。 主な結果は以下のとおり。・プラセボ群と比較して、シナモン群のCRPおよびTNF-αの血清中濃度が有意に減少した(p<0.001)。・拡張期血圧はプラセボ群と比較して、シナモン群で有意に低かった(p=0.017)。・プラセボ群と比較して、シナモン群は、臨床スコアであるDAS28(Disease Activity Score)、VAS(Visual Analogue Scale)、圧痛関節数および腫脹関節数を有意に減少させた(p<0.001)。・FBS、脂質プロファイル、肝酵素、またはESRの有意な変化は観察されなかった。

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指導医が語る心得のような本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第5回

【第5回】指導医が語る心得のような本どうも、タイトルを見て「あたりまえ体操」を思い出したナウい呼吸器内科医です。本書のフランケンシュタインを例に挙げた奇抜なまえがきを読みながら、これは期待できそうだなと読みはじめました。『救急外来 診療の原則集―あたりまえのことをあたりまえに』坂本 壮/著. シーニュ. 20172ページ目で「あ、これいい本だな」と思いました。なぜかといえば、最初の原則が、「焦ってはいけない!」だったのです。私は救急外来を専門にしているわけでも何でもないのですが、急変時に心掛けているのは焦らないことです。ある時、病棟で心肺停止になった患者さんがいました。そこに居合わせた若手医師は、「CPAだ! きゅ、救急カート持ってきてー! ルートとって! 除細動器ー! 挿管の準備してー!」と声を上げ、周囲のスタッフがドタバタになったことがありました。焦りが新たな焦りを生み、落ち着いてやれば1分で終わることに2分かかり、およそ実動的とは程遠い心肺蘇生でした。そんな時、10年目の循環器内科医が登場して、「落ち着け、おまえが焦ってたら進むものも進まない」とクールに決めながら、ルートがとれなくて難渋しているスタッフを横目に中心静脈をものの10秒で確保して、「この患者さんの基礎疾患を知っている人、教えてください」とつぶやきました。ほ、ほ、ほれてまうやろー!って……あれ、何の話だっけ。いや、書評をしているんだった。とにかく、最初の原則にその焦らないことを書いていたので、筆者のポリシーが五臓六腑に染みわたりました。もしこの本に結核のことが書かれていたら完璧だな…と上から目線で読んでいると、68ページにアッター! 「根拠のない楽観は禁物です」という名言が書いてあって、出典が『シン・ゴジラ』とかおしゃれなコラムに仕上がっています。最後の項目にDNARを持ってきたのは、筆者のこだわりでしょう。私も、DNAR=何もしないということではない、と常々感じており、筆者の意見に心から賛同しました。終末期の患者さんにDNARというタグをペタっと付けるのは簡単です。しかしタグを付けられた人への対応は決して一様ではありません。ケースバイケースに考えなければいけない。それは、救急であろうと緩和ケアであろうと同じです。この医学書は、マニュアル本ではありません。指導医が研修医とランチを食べながら話す、心得みたいなものです。かといって、左や右に極端に偏った意見をまとめたものではなく、ものすごくバランスがとれています。マニュアルとマインドの中間と思ってもらえればよいでしょう。不幸にも救急を研修していた時代に指導医に恵まれなかったすべての医師は、一読の価値あり!『救急外来 診療の原則集―あたりまえのことをあたりまえに』坂本 壮/著出版社名シーニュ定価本体4,200円+税サイズA5版刊行年2017年内容の一部をご覧いただけます 関連コンテンツ(CareNet.com)困ったときに慌てない! 救急診療の基礎知識  BEST(Basic Emergency Safety Technique) approachJapan Physical Club 2015 セクション3 俺の必殺フィジカル~意識障害を左右差で診断!

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緑内障患者、オンライン利用技術とアドヒアランスに相関みられず

 オンライン上に医療情報が普及するにつれて、患者のオンラインの情報源へのアクセスと経験を踏まえることが重要となる。米国・ミシガン大学のPaula Anne Newman-Casey氏らの調査によれば、より若く、アドヒアランス不良な患者は、医師のアドバイスなしで緑内障の情報源をオンラインで検索するものの、その内容にしばしば満足感が得られないようである。著者は、「医師が疾患の自己管理指導の提供を推奨するうえで、質の高い緑内障のオンライン情報源が作成されるべきである」とまとめている。Telemedicine and e-Health誌オンライン版2018年4月23日号掲載の報告。 研究グループは、緑内障患者のオンライン利用技術に違いがあるかどうか、また、アドヒアランスがオンライン教育の経験と関連するかどうか調査を行った。緑内障治療薬を1種以上使用する成人緑内障患者164例を対象に、人口統計や患者背景、Morisky Adherence Scaleの調査を完了し、緑内障の情報源にオンラインを利用するかアンケートを実施した。 オンライン情報へのアクセス、アドヒアランスおよび年齢の相違を、カイ2乗検定、フィッシャーの正確確率検定および2標本t検定で比較した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者の平均年齢は、66歳であった。・26%は、アドヒアランスが不良であった。・80%は、オンライン情報へのアクセスが良好であった。・73%のアクセス能力が高い患者は、緑内障の情報をオンラインで希望したが、医師からオンライン情報源に誘導されていたのはわずか14%であった。・アクセス能力とアドヒアランスに、関連性は認められなかった(p=0.51)。・アドヒアランス不良の患者は、アドヒアランス良好の患者より若かった(平均年齢58歳 vs.66歳、p=0.002)。・アドヒアランス不良の患者には、オンライン検索に対してネガティブな感情が認められた(68% vs.42%、p=0.06)。

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うつ病に対するアリピプラゾールとセルトラリン併用療法の二重盲検ランダム化比較試験

 昭和大学の上島 国利氏らは、セルトラリン100mg/日で効果不十分なうつ病患者を対象に、アリピプラゾール併用またはプラセボ併用による有効性および安全性の比較検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年4月16日号の報告。 本研究は、スクリーニング期間、8週間のセルトラリン治療期間(単盲検、25~100mg/日)、6週間のアリピプラゾールまたはプラセボ併用期間(二重盲検)で構成された。対象は、DSM-5で定義されたうつ病診断患者。セルトラリン治療後の非治療反応患者は、アリピプラゾール併用群(アリピプラゾール3~12mg/日とセルトラリン100mg/日)またはプラセボ併用群(プラセボとセルトラリン100mg/日)にランダムに割り付けられた。主要有効性エンドポイントは、ベースラインから6週までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアの平均変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・合計412例の患者が、アリピプラゾール併用群(209例)またはプラセボ併用群(203例)にランダムに割り付けられた。・MADRS総スコアの平均変化量は、プラセボ併用群(-7.2)と比較し、アリピプラゾール併用群(-9.2)で有意に大きかった(p=0.0070)。・アリピプラゾール併用群およびプラセボ併用群において、10%以上で発現した治療上の有害事象は、鼻咽頭炎(各々、13.4%、11.3%)およびアカシジア(各々、12.9%、3.4%)であった。・アリピプラゾール併用群で発現した治療上の有害事象は、すべて軽度~中等度であった。・治療上の有害事象による治療中断は、アリピプラゾール併用群で1.9%、プラセボ併用群で1.5%と、いずれも低値であった。・安全性評価において、アリピプラゾール併用群は、プラセボ併用群と比較し、顕著な問題は認められなかった。 著者らは「セルトラリン100mg/日での治療で効果不十分なうつ病患者では、アリピプラゾール併用療法は有用であり、忍容性も良好であった」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴

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抗血小板薬2剤併用、CABG後グラフト開存率を改善/JAMA

 チカグレロル+アスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、アスピリン単剤に比べ、冠動脈バイパス術(CABG)後1年時の伏在静脈グラフトの開存率を改善することが、中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のQiang Zhao氏らが行った多施設共同試験(DACAB試験)で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月24日号に掲載された。CABG後の伏在静脈グラフトの開存に及ぼす、アスピリン+P2Y12受容体拮抗薬によるDAPTの効果については、いくつかの小規模な短期的臨床試験で相反する結果が報告されているという。1年後のグラフト開存率を3群で比較 研究グループは、CABG後の伏在静脈グラフトの開存におけるチカグレロル+アスピリンおよびチカグレロル単剤の効果を、アスピリン単剤と比較する非盲検無作為化試験を実施した(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18~80歳の待機的CABGの適応例であった。緊急血行再建術、他の心臓手術の併用、CABG後にDAPTまたはビタミンK拮抗薬を要する患者や、重篤な出血のリスクを有する患者は除外された。 被験者は、CABG後24時間以内にチカグレロル(90mg×2回/日)+アスピリン(100mg/日)、チカグレロル単剤(90mg×2回/日)、アスピリン単剤(100mg/日)を投与する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、1年間の治療が行われた。 主要アウトカムは、1年後の伏在静脈グラフトの開存(FitzGibbon分類:GradeA[狭窄<50%])とし、割り付け情報を知らされていない審査委員会が独立に判定を行った。探索的な事後解析として、グラフト非閉塞(GradeA+B[狭窄≧50%])の評価も行った。開存の評価には、マルチスライスCT血管造影法または冠動脈血管造影法を用いた。 2014年7月~2015年11月の期間に、中国の6つの3次病院に500例が登録された。2剤併用群に168例、チカグレロル単剤群に166例、アスピリン単剤群には166例が割り付けられた。1年グラフト開存率:88.7%、82.8%、76.5% ベースラインの全体の平均年齢は63.6歳で、91例(18.2%)が女性であった。461例(92.2%)が試験を完遂した。 1年時のグラフト開存率は、併用群が88.7%(432/487グラフト)、チカグレロル単剤群が82.8%(404/488グラフト)、アスピリン単剤群は76.5%(371/485グラフト)であった。併用群とアスピリン単剤群の差は12.2%(95%信頼区間[CI]:5.2~19.2)であり、有意な差が認められた(p<0.001)のに対し、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群の差は6.3%(-1.1~13.7)と、有意差は認められなかった(p=0.10)。 7日時のグラフト開存率には、併用群とアスピリン単剤群(94.9 vs.91.1%、p=0.11)、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(94.3 vs.91.1%、p=0.17)のいずれの比較においても、有意な差はみられなかった。 事後解析では、1年時のグラフト非閉塞率は、併用群がアスピリン単剤群に比べ高かった(89.9 vs.80.6%、p=0.006)が、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(86.1 vs.80.6%、p=0.17)には差がなかった。また、7日時の非閉塞率は、併用群とアスピリン単剤群(95.3 vs.92.8%、p=0.26)、チカグレロル単剤群とアスピリン単剤群(95.7 vs.92.8%、p=0.16)のいずれの比較においても、有意な差はなかった。 主要有害心血管イベント(MACE:心血管死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中)は、併用群が3例(1.8%)、チカグレロル単剤群が4例(2.4%)、アスピリン単剤群は9例(5.4%)で発現し、大出血は併用群が3例(1.8%)、チカグレロル単剤群は2例(1.2%)に認められた。 著者は、「相対的な出血リスクの評価には、患者数を増やしたさらなる検討を要する」としている。

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オランザピンおよびリスペリドンの体重増加に関するメタ解析

 体重増加が抗精神病薬の投与と関連していることは、メタ解析と同様に、単一研究から報告された多くのデータにより示されている。しかし、抗精神病薬誘発性の体重増加に、潜在的な性差が認められるかについては、検討されていない。スイス・ベルン大学精神医学病院のG. Schoretsanitis氏らは、女性患者の場合、有害な薬物反応に対する感受性が高いため、男性と比較し、体重が増加しやすいのではないかとの仮説について検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年3月30日号の報告。 抗精神病薬による臨床試験の中で、体重変化について男女別に報告している研究を対象に、メタ解析を実施した。抗精神病薬の使用期間により、6週間未満、6~16週間、16~38週間、38週超の4つのカテゴリに分類した。男女別にフォレストプロットを作成し、抗精神病薬の使用期間で層別化を行った。性差は、メタ回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本検討の分析には、26件の研究より、オランザピン、リスペリドン、未治療群の利用可能なデータを使用した。・オランザピンあるいはリスペリドンへの切り替えまたは使用開始の後に、男女とも著しい体重増加を来したが、メタ回帰分析においては性差が認められなかった。 著者らは「抗精神病薬誘発性の体重増加における性差に関して、現在のメタ解析では、性別の特異的なパターンの検出が妨げられている。慢性期患者に対する、短期または中期的な治療でのオランザピンまたはリスペリドンへの切り替えでは、男女ともに体重増加が認められたが、有意な性差は報告されなかった」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加のメカニズム抗精神病薬の体重増加リスクランキング非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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原因不明の脳梗塞へのPFO閉鎖術、有効な患者の特徴は: The DEFENSE-PFO Trial【Dr.河田pick up】

 原因が特定されない脳梗塞、いわゆるCryptogenic strokeに対する卵円孔開存(PFO)閉鎖術が有効であることが、いくつかの無作為化試験、メタアナリシスの結果示されている1)。 今回韓国のグループから報告された論文では、よりハイリスクなPFOを有するCryptogenic stroke患者に対するカテーテルを用いた経皮的閉鎖術の有効性を、無作為化試験で検討している。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2018年2月28日号に掲載。経食道エコーで形態からハイリスクなPFOを同定 Cryptogenic stroke患者に対するPFO閉鎖術が脳梗塞の再発を防ぐという最近の報告は、どのような患者がPFO閉鎖術を受けるべきかという疑問を残している。本研究では、経食道エコーを用いてPFOの形態学的特徴を元にPFOを閉鎖することで、患者が恩恵を受けられるかどうかが評価された。薬物療法群と経皮的PFO閉鎖術群を比較 Cryptogenic strokeとハイリスクなPFOを有する患者が、カテーテルを使用した経皮的PFO閉鎖術群と薬物療法単独群に振り分けられた。ハイリスクなPFOには心房中隔瘤、中隔の可動性(いずれかの心房への一過的な中隔の移動が10㎜以上)もしくはPFOの大きさ(一次中隔から二次中隔への最大距離が2㎜以上)が含まれた。主要評価項目は2年のフォローアップ期間中の脳梗塞、心血管死もしくはThrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI)で定義された大出血の複合エンドポイントとした。脳梗塞などのイベントは薬物療法群のみで発生 2011年9月~2017年10月までの期間、120例の患者(平均年齢、51.8歳)がPFO閉鎖術群と薬物療法群に無作為に割りつけられた。PFOの大きさ、中隔瘤の頻度(13.3% vs. 8.3%, p=0.56)、そして中隔の可動性(45.0% vs. 46.7%, p>0.99)は両群間で同等であった。すべてのPFO閉鎖手技は成功した。主要評価項目のイベントは薬物療法群でのみ発生した(60例中6例、2年間でのイベント発生率:12.9% [log-rank p=0.013]、2年間での脳梗塞発生率:10.5% [p=0.023])。薬物療法群で発生したイベントは、脳梗塞5件、脳出血1件、TIMI基準大出血2件とTIA1件であった。非致死的な手技に関連した合併症は心房細動2件、心嚢液の貯留1件と仮性動脈瘤1件であった。著者らは「ハイリスクな特徴を有したPFOの閉鎖は、脳梗塞の再発と主要評価項目のイベント発生を減少させた」と結論している。ただ、本研究は2施設のみで行われ、早期終了しており症例数も少ないため、大規模な前向き研究による検討が必要と考えられる。■参考1)Mojadidi MK, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71; 1035-1043. (カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ

 英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らによる症例対照研究の結果、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。ただし、消化器および心血管系の抗コリン薬では認知症との明らかな関連は認められなかった。これまで、抗コリン作用のある薬剤の使用が、短期的な認知障害と関連があることは知られていた。しかし、報告されている抗コリン薬の使用と将来的な認知機能低下や認知症発症との関連が、抗コリン作用に起因するかどうかは不明であった。BMJ誌2018年4月25日号掲載の報告。認知症患者約4万例と対照約28万例で抗コリン薬の曝露認知症リスクを評価 研究グループは、さまざまなクラスの抗コリン薬の曝露期間および曝露量と、その後の認知症発症との関連を評価する目的で、症例対照研究を行った。英国プライマリケア医の電子カルテを含むデータベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)を用い、2006年4月~2015年7月に認知症と診断された65~99歳の患者4万770例と、認知症と診断されていない対照28万3,933例を特定し、Anticholinergic Cognitive Burden(ACB)スケールで分類された抗コリン薬の1日投与量について、曝露期間中全体およびサブクラス別に比較した。認知症と診断される4~20年前の抗コリン薬の処方が含まれた。 主要評価項目は、患者背景等の共変量について調整した認知症発症のオッズ比とし、多変量条件付きロジスティック回帰分析を用いて解析した。うつ病、泌尿器系、パーキンソン病治療の抗コリン薬で認知症リスクが増大 曝露期間中、ACBスコア3(明らかな抗コリン作用)に分類される抗コリン薬を1つ以上処方されていたのは、認知症患者1万4,453例(35%)、対照8万6,403例(30%)で、ACBスコア3の抗コリン薬の調整オッズ比は1.11(95%信頼区間[CI]:1.08~1.14)であった。認知症は、ACBスコアの平均値の増加と関連していた。 薬剤のクラス別では、ACBスコア3および1の消化器系薬や、ACBスコア1の心血管系薬の使用においては、認知症との明確な関連はみられなかった。 一方、ACBスコア3に分類される抗うつ薬・泌尿器系治療薬・抗パーキンソン病薬は、曝露が大きいほど認知症のリスクの増大がみられ、その関連性は認知症発症の15~20年前の抗コリン薬の曝露でも認められた。

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術前血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 虚血性脳卒中の患者に対し、発症後4.5時間以内の血栓除去術前のtenecteplase投与は、アルテプラーゼ投与より再灌流率が高くアウトカムが良好であることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、202例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年4月26日号で発表した。虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術前の血栓溶解にはアルテプラーゼの静脈内投与が行われている。tenecteplaseは、アルテプラーゼと比べてフィブリン特異性が高く、作用時間が長く、ボーラス投与ができ、血管再灌流率が上昇する可能性が示唆されていた。tenecteplase 0.25mg/kgまたはアルテプラーゼ0.9mg/kgを投与 研究グループは、内頸動脈、脳底動脈または中大脳動脈に閉塞があり、血栓除去術の適応がある虚血性脳卒中の患者202例を無作為に2群に分け、発症後4.5時間以内に、一方にはtenecteplase(0.25mg/kg体重、上限25mg)、もう一方にはアルテプラーゼ(0.9mg/kg体重、上限90mg)を、それぞれ投与した。 主要アウトカムは、虚血性病変部位の50%超の再灌流、または初回血管造影時に回収可能な血栓がないことだった。tenecteplaseの非劣性を検証し、その後に優越性を検証した。 副次的アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア。安全性に関するアウトカムは、死亡と症候性脳内出血だった。tenecteplase群、90日機能的アウトカムも良好 主要アウトカムの発生率は、アルテプラーゼ群10%に対し、tenecteplase群は22%だった(発生率差:12ポイント、95%信頼区間[CI]:2~21、発生率比:2.2、95%CI:1.1~4.4、非劣性p=0.002、優越性p=0.03)。 90日修正Rankinスケールスコアの中央値は、アルテプラーゼ群が3に対し、tenecteplase群は2で機能的アウトカムも有意に良好だった(共通オッズ比:1.7、95%CI:1.0~2.8、p=0.04)。 なお、症候性脳内出血は両群とも1%の発生だった。

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感染症による慢性炎症で前立腺がんリスク増加?

 前立腺炎が、慢性炎症によって前立腺がんリスクを増加させる可能性が疫学研究から示唆されている。今回、フランス国立保健医学研究機構(Inserm)のSolene Doat氏らがEPICAP研究のデータで検討したところ、慢性前立腺炎・急性腎盂腎炎の既往のある男性、NSAIDを使用していない男性で、前立腺がん発症のオッズ比がとくに高かった。この結果から、泌尿生殖器感染症により生じた慢性炎症が前立腺がん発症に関与するという仮説が補強された。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年4月26日号に掲載。 EPICAP研究は、2012~14年にフランスのHerault地方で実施された集団ベースの症例対照研究である。前立腺がん症例819例および対照879例に対して、標準化アンケートを用いた対面インタビューを行い、前立腺がんについて既知または疑わしい危険因子に関する情報と泌尿生殖器感染症(前立腺炎、尿道炎、精巣上体炎、急性腎盂腎炎)の既往歴を収集した。オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)は、多変量無条件ロジスティック回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、前立腺がん症例139例(18%)、対照98例(12%)が、1つ以上の泌尿生殖器感染症の既往歴を有すると報告され(OR:1.64、95%CI:1.23~2.20)、このリスクは感染症の数とともに増加した(傾向のp<0.05)。・この関連は、とくに慢性前立腺炎の既往歴(OR:2.95、95%CI:1.26~6.92)、急性腎盂腎炎の既往歴(OR:2.66、95%CI:1.29~5.51)、NSAIDを何も使用していなかった男性(OR:2.00、95%CI:1.37~2.91)でみられた。

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初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬治療中止に関する20年間のフォローアップ研究

 統合失調症の初回エピソード後に症状が安定した患者では、経時的に再発リスクが減少すると考えられている。多くの治療ガイドラインにおいて、抗精神病薬は、症状安定後1~5年間治療を継続し、その後の長期使用は避けるべきであることが推奨されている。しかし、この見解を証明するための公表されたエビデンスは存在しない。フィンランド・東フィンランド大学のJari Tiihonen氏らは、フィンランド全国データベースを用いて、この問題を調査した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月6日号の報告。 抗精神病薬治療中止後の治療不良リスク(精神症状による再入院または死亡)について、前向き研究で集められた全国登録データを用いて調査した。1996~2014年に初めて統合失調症と診断されたすべての入院患者8,738例のアウトカムを、多変量Cox回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・再入院または死亡リスクが最も低かった患者は、抗精神病薬治療を継続的に行った患者であった(調整ハザード比[HR]:1.00)。次いで、初回入院治療から退院直後に抗精神病薬を中止した患者(HR:1.63、95%CI:1.52~1.75)、1年以内に中止した患者(HR:1.88、95%CI:1.57~2.24)、1~2年以内に中止した患者(HR:2.12、95%CI:1.43~3.14)、2~5年以内に中止した患者(HR:3.26、95%CI:2.07~5.13)、5年以上(中央値:7.9年)で中止した患者(HR:7.28、95%CI:2.78~19.05)であった。・抗精神病薬の未使用患者および早期中止患者は、抗精神病薬治療を16.4年間継続した患者と比較し、死亡リスクが174~214%高かった。 著者らは「根底にあるメカニズムは不明であるが、これらの結果は、一般的な考えと相違があった。抗精神病薬治療中止後の治療不良および再発リスクは、統合失調症発症後、最初の8年間で時間とともに減少しておらず、長期抗精神病薬使用は、生存率の向上と関連が認められた」としている。■関連記事安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か

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