執刀医別の術後死亡率公表は臨床成績に影響するか?/BMJ

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ケアネット

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 待機的大腸がん手術について、外科医ごとの術後90日死亡率の公表制度を導入しても、リスクを回避するような臨床行動やデータの不正操作(gaming)に結びつくというエビデンスは認められなかった。一方で、導入後に90日死亡率の有意な低下がみられたという。英国・イングランド王立外科医師会のAbigail E. Vallance氏らによる、住民ベースのコホート研究の結果で、BMJ誌2018年5月2日号で発表された。病院レベルのアウトカムデータの公表は、質の改善を推進することが示唆されている。個々の外科医のアウトカム公表の導入については意見が分かれている状況で、心臓手術についてのみ、米国の大半において検討されている。

大腸がんで待機的手術を受けた患者について、公表制度導入前後の変化を検討
 アウトカムの公表は、リスクを回避する臨床行動やデータの操作を招きやすいとしてしばしば批判されているが、研究グループは大腸がんについて、外科医ごとのアウトカム公表制度の影響を調べる検討を行った。

 英国NHS傘下の病院群で2011年4月1日~2015年3月31日に大腸がんと診断され、National Bowel Cancer Auditに登録された11万1,431例を対象に、全国コホート研究を行った。

 英国では2013年6月に、待機的大腸がん手術の外科医ごとの90日死亡率の公表制度が開始されている。そのデータを参照しながら、2011年4月~2013年6月と2013年7月~2015年3月に手術を受けた患者について、待機的拡大切除(major resection)を受けた患者の割合、患者および腫瘍の特性に基づき予測した90日死亡率、患者および腫瘍の特性の違いを補正後に観察された90日死亡率を比較した。

拡大切除を受けた患者の割合、術後90日予測死亡率に変化はみられず
 拡大切除を受けた大腸がん患者の割合は、外科医個々のアウトカム公表制度導入前が3万9,792/6万2,854例(63.3%)、導入後は3万706/4万8,577例(63.2%)で、有意な違いは認められなかった(p=0.8)。待機的または計画的として分類された拡大切除の割合も、公表制度導入前後で変化は認められなかった(導入前3万3,638/3万9,792例(84.5%)vs.導入後2万5,905/3万706例(84.4%)、p=0.5)。

 90日予測死亡率も変化はなかった(2.7% vs.2.7%、p=0.3)。しかし、観察された90日死亡率は、導入後に低下が認められた(952/3万3,638[2.8%]vs.552/2万5,905例[2.1%])。変化点解析(change point analysis)の結果、この低下は、公表制度導入前にみられた死亡率低下の傾向をはるかに上回るものであることが示された(p=0.03)。

(ケアネット)

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