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Amazonレビューから日焼け止め製品の人気と購入傾向を調査

 日焼け止め製品は、皮膚がんリスクの低下、日焼け回避、光老化の緩和、また光線過敏症の治療に役立つ。米国・ノースウェスタン大学のShuai Xu氏らは、皮膚科医が適切な日焼け予防を指導するのに役立つ情報を提供するため、Amazon通販サイトの情報を解析し、消費者の購入傾向、人気の製品の特色などを調べた。結果、販売製品総数は6,500に上ること、平均評価が星4つ以上だった65製品を調べたところ米国皮膚科学会(AAD)ガイドラインに準拠しない製品が4割を占め、価格のばらつきは30倍、カスタマーレビューでは美容性(cosmetic elegance)を評価するコメントが最も多い、などが明らかになったという。結果を踏まえて著者は、「皮膚科医はレコメンデーションの際に、美容性、価格、AADガイドラインの重要性をバランスよく行うことが必要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌2016年8月1日号の掲載報告。 研究グループは、消費者が高評価する日焼け止め製品の特徴、最もよくみられた肯定的または否定的なコメントの特色を調べる検討を行った。2015年12月時点でAmazon.com上の日焼け止め製品でトップ1パーセンタイルに該当するもの(カスタマーレビューで平均評価が星4つ以上、書き込み多数)を選び、各製品のデータを製品ページおよび製造者アピールから集めた。また、星5つの評価を付けていたレビューを解析し、合意に基づく質的コーディングシェーマによってコード化し、肯定的・否定的記述をカスタマーコメントに従って6つの大カテゴリ(入手のしやすさ、美容性、独立した評価、製品成分、製品機能、皮膚タイプの適合性)に分類した。 Kruskal-Wallis検定によって各製品の特徴(AAD基準、SPF、媒材など)がオンス当たり価格を予測しうるかどうかを調べた。また、大テーマおよびサブテーマによる分類ごとのコメント数(%)を調べ、実際のコメント例も集約した。 主な結果は以下のとおり。・Amazon.comのオンラインカタログ上で、日焼け止めに分類された製品は6,500あった。・評価した65製品のうち、オンス当たり価格の中央値は3.32ドル(範囲:0.68~23.47ドル)であった。価格のばらつきは3,000%超で、製品に関するばらつきで最も顕著な要因であった。・40%(26/65製品)が、AADガイドライン(広域スペクトル、SPF≧30、耐水性)に準拠していなかった。とくに耐水性が基準に満たないものが多くを占めた。・媒材、AAD、日焼け止めタイプは、オンス当たりの高価格を予測した。・肯定的特徴として最も列記されていたコメントは美容性についてで(61%、198/325コメント)、次いで製品機能(45%、146/325コメント)、皮膚タイプの適合性(24%、78/325コメント)であった。

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冠動脈CT-FFR、安定狭心症の管理を改善するか

 胸痛患者の評価方法にはさまざまな選択肢があり、最適な評価に関して議論が分かれる。そのうえ、冠動脈造影を実施しても、冠動脈狭窄が認められないという結果に終わることが多い。 CT血管造影(CTA)を用いた血流予備量比(FFR)の測定(FFRCT)は、冠動脈造影の際に実施する侵襲的なFFRに対して感度・特異度ともに高く、有用性が指摘されている。PLATFORM(Prospective Longitudinal Trial of FFRCT: Outcome and Resource Impacts)試験では、FFRCTを前向きに適応した結果、冠動脈造影が予定されていた患者群で、予定されていた冠動脈造影の60%をキャンセルすることができた。また、冠動脈造影で狭窄の認められなかった症例の割合が73%から12%に減少し(無駄な冠動脈造影が減少した)、冠動脈造影予定群の90日間の費用が有意に低かった。 Duke University School of MedicineのPamela S. Douglas氏らは、PLATFORM試験の12ヵ月までの追跡結果をまとめ、FFRCTを用いた場合の1年後の臨床的、経済的転帰およびQOLを評価した。欧州11施設が参加した前向き連続コホート研究で、Journal of the American College of Cardiology誌2016年8月号に発表された。584例の新規発症狭心症患者を連続して登録 584例の患者を担当医の評価によって冠動脈造影予定群と非侵襲的検査予定群に割り付けた後、さらに各群を予定された検査(侵襲的冠動脈造影または非侵襲的検査)とCTAに割り付けた。CTAに割り付けた場合、冠動脈造影予定群では全員、非侵襲的検査予定群ではCTAで30%以上の狭窄が認められた場合、予定された検査の前にFFRCTを実施した。 584例中581例(99.5%)が1年間の追跡を完了した。評価項目を主要心イベント(MACE:死亡、心筋梗塞、予定外の再灌流療法)、総医療費およびQOLとした。冠動脈造影予定群では、FFRCT群の医療費が33%安い 平均年齢は61歳、検査前の冠動脈疾患保有の確率は平均で49%であった。1年後の時点でMACEの発生はまれであり、冠動脈造影予定群の従来ケア群、FFRCT群で各2例、非侵襲的検査予定群では従来ケア群の1例でMACEが発生した。冠動脈造影予定群では、FFRCT群の平均医療費が従来ケア群と比べて33%安かった(FFRCT:8,127ドル vs. 従来ケア:1万2,145ドル、p<0.0001)。非侵襲的検査予定群では、FFRCTの費用をゼロとした場合の平均医療費に差がみられなかったが(FFRCT:3,049ドル vs. 従来ケア:2,579ドル、p=0.82)、FFR CTとCTAの費用を同等とするとFFRCT群が高かった。CTAとFFRCTに基づく治療、臨床成績とQOLが同等でコスト安 安定狭心症で冠動脈造影を予定している患者に対するCTAと選択的FFRCTに基づく治療は、1年後のフォローアップ時、結果として冠動脈に狭窄が認められない冠動脈造影を有意に減らし、臨床成績、QOLも同等でかつ医療費も安いという結果が示された。報告者らはその一方で、非侵襲的検査が予定された患者では臨床での心イベントの頻度が低いため、医療費やQOLの比較が難しく、大規模な試験が必要であるという結論を示している。

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慢性期脳梗塞に対するヒト神経幹細胞療法の安全性/Lancet

 ヒト神経幹細胞(hNSC)製剤であるCTX-DPの単回脳内投与(hNSC2,000万個まで)は、有害事象を発現することなく神経学的機能の改善をもたらすことが認められた。英国・グラスゴー大学のDheeraj Kalladka氏らが、CTX-DPの第I相first in man試験であるPilot Investigation of Stem Cells in Stroke(PISCES)試験の結果、報告した。CTX-DPは、ヒト胎児の大脳皮質神経上皮細胞に由来する不死化hNSC株であるCTX0E03から同種細胞療法のために開発された製剤で、先行研究においてラットに中大脳動脈梗塞後4週後にCTX-DPを投与した結果、用量依存的な感覚運動機能の改善が確認され、脳卒中患者におけるCTX-DP治療の安全性や忍容性の評価が望まれていた。著者は今回の結果を受け、「虚血性脳卒中患者に対するこの新たな細胞療法は実現可能かつ安全であり、今後、大規模な第II相試験が行われるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。60歳以上の慢性期脳梗塞男性患者においてCTX-DP脳内投与の安全性を評価 PISCES試験は、安定期虚血性脳卒中(脳梗塞)患者におけるCTX-DP脳内移植の安全性を評価する非盲検単用量漸増試験。 研究グループは、脳梗塞発症後6~60ヵ月で障害が安定している60歳以上の男性(脳卒中重症度評価スケール[NIHSS]≧6、修正Rankinスケール[mRS]スコア2~4)を対象に、脳定位手術により同側被殻へCTX-DP(hNSC 200万、500万、1,000万および2,000万個)を単回注入し、臨床および脳画像データを2年間収集した。 臨床評価には、一般身体検査と血液検査、神経学的検査、筋緊張評価(modified Ashworth scale:MASスケール)等を用い、主要評価項目は有害事象と神経学的変化とした。有害事象はなく神経学的機能の改善を確認 2010年9月~2013年1月に13例が登録され、うち11例がCTX-DPの投与を受けた(平均年齢69歳、60~82歳)。投与前のNIHSSスコア中央値は7(四分位範囲[IQR]:6~8)、脳梗塞発症後平均経過時間は29(SD 14)ヵ月、平均追跡期間は44ヵ月であった。対象11例のうち、3例は皮質下梗塞のみ、7例は右脳半球梗塞であった。 有害事象は、すべて施術や共存疾患に関連したもので、CTX-DPの投与に起因する免疫学的または細胞に関連した有害事象は確認されなかった。全例で投与前後のHLAは陰性であった。 MRIでは、T2強調FRAIR画像で、注射部位周囲の高信号が5例で確認された。MRI変化と臨床変化との関連は認められなかった。NIHSSスコアの改善は、2年時点で0~5(中央値 2)ポイントであり、時間経過によるNIHSSスコア、MASスケール等の改善が認められた。 著者は、研究の限界として、症例数が少ないことと長期的な安全性は不明であることを挙げている。

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統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大

 統合失調症の病態生理には、カテコールアミン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、サイトカインが関与するといわれている。産業医科大学の堀 輝氏らは、非定型抗精神病薬単独療法で治療された統合失調症患者における認知機能と血清BDNFレベル、血清カテコールアミン代謝物、サイトカインとの関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月13日号の報告。 統合失調症患者146例と年齢、性別をマッチさせた健常対照群の抹消生物学的マーカーおよび神経認知テストを調査した。 主な結果は以下のとおり。・血清BDNFレベルは、言語記憶、注意、処理速度のスコアだけでなく、陰性症状とも正の相関が認められた。・血漿ホモバニリン酸(HVA)レベルと運動機能に負の相関、血漿3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)レベルと注意、処理速度に正の相関が認められた。・インターロイキン6(IL-6)またはTNF-αと認知機能との間に有意な相関は認められなかった。・HVA、MHPG、サイトカインの血漿レベルと臨床症状との間に有意な相関は認められなかった。 統合失調症患者において、言語記憶・注意の減退と血清BDNFレベル、また運動機能と血漿HVAレベル、また注意と血漿MHPGレベルについて、それぞれ相関が認められた。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症治療、ドパミン調節の概念が変わる 統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

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大統領が医学雑誌に論文投稿する米国の驚き!(解説:綾部 健吾 氏/後藤 信哉 氏)-578

コメント対象論文Obama B. JAMA. 2016;316:525-532. 2008年にバラク・オバマ氏がアメリカ大統領に就任してから、8年が経過した。任期終盤のアメリカ大統領が、JAMA(The Journal of the American Medical Association)に論文を投稿することから、オバマ氏の医療への関心の高さがわかる。大統領が、積極的に自分の考えを科学的論文に投稿する米国の文化は、学ぶべきである。高齢化の進行、医療関連産業の際立った利益重視などは、米国だけの問題ではない。日本でも将来の医療制度の転換を見越した議論は、政府内で行われているはずである。政策を政府が非公開で決めるか、政策の骨子を公開の議論で決めるかが、日本と米国の文化の差である。 オバマ氏の大きな功績として、2010年にThe Affordable Care Actを成立させたことが挙げられる。Medicare、Medicaidの活用範囲の拡大により、無保険者が大幅に減少した。医療システム改革により、米国の病院を退院した症例の30日以内の再入院率が低下し、入院医療の質が改善したと論文に記載されている。それでも、米国医療経済の基本は、民間保険会社が医療保険であることは、戦後日本が当時の厚生省と日本医師会の激しい議論の中で確立させた「国民皆保険制度」とは根本的に異なることを理解すべきである。 筆者は、米国の複数の医療機関で臨床研修を受けた。米国の患者層は日本のように一様ではない。ある医師の外来予約を取りたくても、患者の契約している保険会社と提携していなければ、外来受診すらできない。受診できたとしても、外来のMRI撮影も保険会社の事前承認が必要である。これまで日本が築いてきたフリーアクセスによる患者の自由な医師の選択、医師の自由な診療と、ガイドラインに基づいた医療のみが可能な米国のシステムの差異を十分に理解する必要がある。日本は医療が仁術として出発しているが、米国の医療はビジネスである。保険会社がとりでにならなければ、医療費が著しく増加するのが米国医療である。 筆者は、患者集団における有効性、安全性、経済性が確保されたガイドラインに縛られた米国医療の下では、しばしば不幸なアウトカムが必然的に起こることを経験した。ガイドライン医療の問題点を把握しているオバマ大統領は、「個別化医療」を目指したPrecision Medicineの論理を求めている。「2025年問題」など、日本の医療にも将来の不安はある。総理大臣、担当省庁が将来の医療政策の骨子を学問的論文として発表し、皆で解決策を話し合わなければならない日は遠くないかもしれない。大きな問題であっても、結局は公開して皆で情報を共有するほうが良いことを、われわれは大東亜戦争におけるミッドウェー島の悲劇などで学んだはずである。戦後70年経過しても、発想のうえで米国は世界のthought leaderである。

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統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか

 長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)または経口抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者における退院後の再入院率について、米国・Precision Health EconomicsのJoanna P MacEwan氏らは検討を行った。Psychiatric services誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 重度な精神疾患により初回入院(2007年10月~2012年9月)し、第1世代または第2世代抗精神病薬を処方された統合失調症患者(18~64歳)の医療費請求を、Truven Health MarketScan Multi-State Medicaid Databaseのデータを基に分析した。統合失調症単独診断患者1,450例、および双極性障害やうつ病を併せて診断された患者を含むすべての統合失調症患者1万5,556例を分析した。初回入院30日後、60日後における全原因による再入院率は、多変量ロジスティック回帰と傾向スコアマッチング(PSM)法を用い評価した。PSMモデルは、LAI群と経口抗精神病薬群で、年齢、LAIまたは短時間作用型注射剤の使用、併存疾患でマッチした。 主な結果は以下のとおり。・LAI群では、経口抗精神病薬群と比較し、統合失調症単独診断患者(調整オッズ比:0.60、95%CI:0.41~0.90)および全患者(調整オッズ比:0.70、95%CI:0.52~0.95)において、60日後の再入院率が有意に低かった。・全患者におけるLAI群の再入院率の絶対差は、経口抗精神病薬群と比較し、60日後で5.0%有意に低かった。関連医療ニュース 統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響 精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

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コンタクトレンズ vs.レーシック、視覚満足度を調査

 コンタクトレンズ装着者とレーシックを受けた人計1,800人に対し、年1回3年にわたる視覚改善に関する満足度調査を行った結果、レーシックは、夜間ドライブを容易なものに改善し、ドライアイ症状の有意な増大もなく、3回の調査とも満足度が高い結果であったことが報告された。米国・Cornea Research Foundation of AmericaのMarianne O. Price氏らが行った多施設共同の前向き並行群間比較調査の結果で、Ophthalmology誌2016年8月号掲載の報告。 調査は、異なる屈折矯正法に関する患者満足とアウトカムを評価することを目的とし、米国内20地点で18~60歳のレーシックを受けた人またはコンタクトレンズを使用し続けている人計1,800例を登録し、3年にわたって電子メールを活用した年次調査を行った。 分散分析法でグループ間の差を、また多変量ロジスティック回帰分析法にて関連性を評価。主要評価項目は、視覚満足度とした。 主な結果は以下のとおり。・1,800例の内訳は、コンタクトレンズ使用継続者(対照群)が694例(39%)、試験開始時はコンタクトレンズだったがその後にレーシックを受けた人(元コンタクトレンズ群)が819例(45%)、試験開始時は眼鏡だったがその後にレーシックを受けた人(元眼鏡群)が287例(16%)であった。・コンタクトレンズユーザーの大半が使用歴5年以上だった。・視覚矯正について高い満足感を示したのは、対照群はベースラインでは63%、3年時点では54%だった。一方、元コンタクトレンズ群は3年時点で88%、元眼鏡群は同77%だった。・レーシックを受けた人では、40歳以下の人のほうが高齢で受けた人よりも満足度が高い傾向が認められた。・レーシック後1、2、3年時点でドライアイ症状を有した人の割合は、ベースライン・コンタクトレンズユーザー群との比較では有意な増大は認められなかった。一方、ベースライン・眼鏡群との比較では有意に増大し、ドライアイ症状のために使い捨てコンタクトレンズを有していたベースライン・眼鏡群の大半についても同様だった。・対照群と比べてレーシック群は、眼の感染症、角膜潰瘍、剥離の自己申告率が有意に低かった。

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スルホニル尿素(SU)薬と低血糖―essential drugとしてのグリクラジドを再考する―(解説:住谷 哲 氏)-577

 世界保健機関(WHO)が発行している資料に、Model lists of essential medicines(EML)がある。WHOが認定した必須医薬品(essential drugs)のリストで、1977年に初版が発行され、その後2年ごとに改訂されている。最新の19版は2015年に発行された1)。薬剤選択の基準は“disease prevalence and public health relevance, evidence of clinical efficacy and safety, and comparative costs and cost-effectiveness”とされ、血糖降下薬としてリストアップされているのは、ヒトインスリン、メトホルミン、そして本論文で議論されているSU薬のグリクラジドのみである。2011年の17版までは長らくSU薬としてグリベンクラミドが挙げられていたが、2013年の18版からグリクラジドに変更された。全世界的に高齢2型糖尿病患者数が激増していることが変更の背景にあり、SU薬の中で低血糖の頻度が少なく安全性が高いことが、グリクラジドが選択された主な理由である2)。 本論文は、その点について疑問を提出した点で意義がある。腎機能低下およびSU薬投与量の増加が低血糖のリスクとなるのはほぼ常識であり、いわば付け足しのデータと考えてよい。問題は、WHOのお墨付きを得たグリクラジドが、essential drugとしてふさわしくないのか否かである。 本論文は、英国のCPRDデータベースに基づく観察研究である。インスリン以外の血糖降下薬が投与された18歳以上の患者12万803例を約4年にわたり観察した。70~79歳が対象患者の24.0%、80歳以上が23.5%を占めており、対象患者の約半数は70歳以上の高齢者であった(原著 表1)。9万2,005例(76.2%)はメトホルミン単剤投与であったが、注目すべきは、全対象患者の中で80歳以上の76.7%、70~79歳の76.3%がメトホルミンの単剤投与であった(原著 付属表A)。低血糖はRead code(診療所での疾患登録のための符牒)において低血糖と登録された場合または随時血糖値<3.0mmol/L(54mg/dL)が記録された場合と定義した。その結果、低血糖の頻度は、腎機能にかかわらずSU薬よりメトホルミンが少ない、腎機能が低下すれば増加する、SU薬の投与量が増加すれば増加する、ことが確認された。前述のように、これらはほとんど常識である。おそらく著者らの主眼は、グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミドおよびグリクラジドそれぞれの低血糖リスクを比較した表4(原著)にあると思われる。 それぞれのSU薬のメトホルミンに対する調整後HRは、グリメピリド1.97[95%信頼区間:1.35~2.87]、グリベンクラミド7.48[同:4.89~11.44]、グリピジド2.11[同:1.24~3.58]、トルブタミド1.24[同:0.40~3.87]、グリクラジド2.50[同:2.21~2.83]であり、グリベンクラミドを除いた他のSU薬の低血糖リスクは同等であり、とくにグリクラジドが少ないとはいえない、とするのが著者らの主張である。 しかし、この多変量解析の結果には少し疑問が残る。グリクラジドは、その代謝産物が血糖降下作用を有さないことから(inactive metabolites)、腎機能低下患者(これは高齢者と言い換えてもよい)に対するSU薬の第1選択薬として推奨されている。このことは、SU薬を処方された患者の80%以上にグリクラジドが処方された結果にも反映されている(原著 表4)。したがって、腎機能低下患者(つまり低血糖のリスクが高い患者)においては他のSU薬ではなくグリクラジドが処方された可能性が高く、各SU薬の調整HRを計算する際には腎機能(eGFR)による調整が必要と考えられるが、なされていない。eGFRの代替として「ループ利尿薬の使用」が独立変数として組み込まれているが適切ではないと思われる。 わが国では「第3世代のSU薬」として一世を風靡したグリメピリドが、おそらく現時点においても最も処方されているSU薬と思われる。グリクラジドとグリメピリドのどちらが低血糖を起こしやすいか、との疑問に対してはランダム化比較試験(RCT)により厳密に評価することが必要である。これについて検討したものにGUIDE(GlUcose control In type 2 diabetes: Diamicron MR vs.glimEpiride)試験がある3)。両薬剤の安全性を評価するためにクレアチニンクリアランス>20mL/minの患者が対象とされた。使用されているのがグリクラジド徐放剤(Diamicron MR)であるのと研究資金供与がServier(Diamicron MRの発売元)である点には注意が必要であるが、厳密に評価した結果、グリクラジドの低血糖の頻度はグリメピリドの約50%と結論された。 低血糖のリスクはあるが、血糖コントロールのためにはどうしてもSU薬が必要な患者は少なからず存在する。しかし、低血糖は広義には1つのsurrogate endpointと考えられる。UKPDS33において細小血管障害を抑制することが証明されたことから4)、低血糖のリスクにもかかわらず、グリベンクラミドは血糖降下薬として長く使用されてきた。ADVANCE試験は、厳密にはグリクラジドの有効性を検討した試験ではないが5)、グリベンクラミドと同じくグリクラジドが細小血管障害を抑制することをほぼ証明したといってよい。グリメピリドには細小血管障害を抑制したエビデンスはない。したがって、筆者は本論文の結果に基づいて、グリクラジドをessential drugとするWHOの見解を変更する必要はないと考える。

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クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔、開発中のCx601が有用/Lancet

 クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として開発中の同種異系脂肪由来幹細胞の懸濁剤Cx601について、第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、有効性、安全性が確認されたことが、スペイン・Centro Investigacion Biomedica en Red Enfermedades Hepaticas y DigestivasのJulian Panes氏らにより報告された。試験は、従来療法(抗菌薬、免疫修飾薬など)および生物学的製剤(抗TNF薬)治療で効果が認められない難治性の患者212例を対象に行われた。クローン病に伴う肛囲瘻孔は頻度が高く、診断後20年で最高推定28%の患者が症状を有するとされ、そのうち70~80%が複雑性であり、その治療には困難が伴う。Cx601は病変注入という新しいアプローチの治療薬である。Lancet誌オンライン版2016年7月28日号掲載の報告。プラセボとの比較で24週時点の複合寛解達成率で評価 試験は、2012年7月6日~2015年7月27日に、欧州7ヵ国とイスラエルの計49病院で並行群間比較にて行われた。18歳以上の成人クローン病患者で難治性、肛囲複雑瘻孔を有する患者を登録し、Cx601の単回(細胞数120million)病変注入群または食塩水24mL注入(プラセボ)群に無作為に割り付けた。ベースラインでの併用治療による層別化も行った。治療は割り付けをマスクされなかった外科医によって行われ、治療効果を評価する消化器科専門医と放射線科医には割り付け治療は知らされなかった。 主要エンドポイントは24週時点の複合寛解(臨床的評価でベースラインで排膿中であった開口部が全治療によって閉鎖、およびマスクされた中央MRI評価で治療部に2cm超の瘻孔を認めないなどで定義)の達成率。有効性は、intention-to-treat(ITT)および修正ITT集団で評価。安全性は安全性集団を設定し評価した。ITT解析で50% vs.34%、複合寛解の達成率は有意に高率 212例が無作為に割り付けられた(Cx601群107例、プラセボ群105例)。 複合寛解の達成率はCx601群がプラセボ群と比べて、ITT解析(53/107例[50%] vs.36/105例[34%]、両群差:15.2%、97.5%信頼区間[CI]:0.2~30.3、p=0.024)、および修正ITT集団の解析においても(53/103例[51%] vs.36/101例[36%]、両群差:15.8%、97.5%CI:0.5~31.2、p=0.021)有意に高率であった。 治療に関連した有害事象の報告は、Cx601群17%、プラセボ群29%であった。そのうち肛門周囲膿瘍(Cx601群6例、プラセボ群9例)、肛門周囲痛(5例vs.9例)の頻度が高かった。

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日本人高齢者に肥満パラドックスはあるか~1万3千人の研究

 わが国の高齢者1万3,280人のコホート研究で、日本人における肥満パラドックスを支持する結果が、岡山大学の山崎 賢士氏らより報告された。とくに肥満の高齢男性において全死亡リスクが低い傾向にあるという。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2016年8月4日号に掲載。 わが国における肥満パラドックスのエビデンスは少ない。今回、著者らは日本の地域在住の高齢者において、この現象について調査した。静岡県内の74の全自治体から65~84歳の高齢者1万3,280人を無作為に選択、BMIを含むアンケートを実施して1999~2009年の間追跡した。なお、世界保健機関(WHO)のガイドラインに従い、アジア人集団で適切とされるBMI評価基準を用いて、参加者を18.5未満(低体重)、18.5~23.0(正常体重)、23.0~27.5(過体重)、27.5以上(肥満)に分類した。また、性別、年齢、喫煙状況、飲酒量、身体活動、高血圧、糖尿病について調整し、全死亡のハザード比と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・正常体重の参加者との比較において、過体重や肥満の参加者は多変量ハザード比(95%CI)が低い傾向にあった。 肥満者  0.86(0.62~1.19) 過体重者 0.83(0.73~0.94) 低体重者 1.60(1.40~1.82)・性別や年齢によるサブグループ解析において、肥満男性におけるハザード比(95%CI)が有意ではないが低い傾向にあった。 65~74歳の肥満男性 0.56(0.25~1.27) 75~84歳の肥満男性 0.78(0.41~1.45)

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新規候補薬剤neratinibがHER2陽性/HR陰性乳がんに有効な可能性(解説:矢形 寛 氏)-576

 I-SPY2試験は、新規薬剤の有効性をみるために、再発率の高い乳がんに対して、乳がん術前化学療法でpCR率を標準治療との間で比較する無作為化第II相試験である。 少ない症例数、低コスト、短い期間で効率的に候補を選び出す試験として注目を浴びている。 バイオマーカーを使って乳がんのサブタイプ分類を行い、どのサブタイプが新規薬剤に有効でありそうかを調べるのであるが、適応的ランダム化という方法を使って適宜割り付けを調整し、有効である確率が高いサブタイプを抽出して、第III相試験に移行させていこうというものである。 新規薬剤であるneratinibはチロシンキナーゼ阻害薬であるが、有効な乳がんサブタイプを本試験で検討したところ、HER2陽性/HR陰性において有効である可能性が高そうだという結果となった。このような方法論は、今後も普及していく可能性がある。

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“身体不活動”が世界の大きな経済負荷に/Lancet

 罹患率や早期死亡率だけではなく、身体不活動(physical inactivity)はかなりの経済負荷を招いていることが、オーストラリア・シドニー大学のDing Ding氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「本報告は、世界中で非伝染性疾患を減らすための包括的戦略の一部として、定期的な身体活動の促進を優先すべき根拠となるものだ」と述べている。世界的に広がっている身体不活動は、慢性疾患の拡大および早期死亡に関連しているとされる。これまで疾病負荷については多数の報告がある一方、身体不活動の経済負荷について世界レベルでの定量化はされていなかった。Lancet誌オンライン版2016年7月27日号掲載の報告。身体不活動に起因する経済負荷を142ヵ国について推算 研究グループは、経済負荷を理解することはリソースの優先順位付けに関する情報提供に役立ち、身体活動の増大への世界的な取り組みを促すことにつながるとして本検討を行った。 身体不活動に起因する直接的な医療費用、生産性損失、障害調整生命年(DAILY)を、標準化した方法および142ヵ国(世界人口の93.2%)から入手できた最適データを使って推算した。直接医療費用とDAILYは、冠動脈疾患、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、大腸がんについて算出。生産性損失は、フリクションコストアプローチを用いて身体不活動関連の死亡に関して推算した。 解析は、データを入手できた国ごとで身体不活動をベースに行い、身体不活動に関連した各疾患アウトカムおよび全死因死亡の補正後人口寄与割合(PAF)を調べた。高所得国は身体不活動の経済負荷の占める割合が大きい 2013年の世界の身体不活動による医療費用は、国際ドル単位で保守的に見積もって538億ドルと推算された。そのうち312億ドルは公的セクターが、129億ドルは民間セクターが、97億ドルは家庭によって支払われたものであった。疾患別では、50億ドルが冠動脈疾患、60億ドルが脳卒中、2型糖尿病は376億ドル、乳がん27億ドル、大腸がん25億ドルであった。 身体不活動の死亡がもたらした生産性損失は137億ドルであり、DALYへの影響は1,340万ドルであった。 高所得国は身体不活動の経済負荷の占める割合が大きく(医療費用の80.8%と間接費用の60.4%)、低・中所得国は疾病負荷の占める割合が大きかった(DALYの75.0%)。 全体として2013年の世界の身体不活動の経済負荷は、保守的解析(conservative analyses)では675億ドル(185~1,821億ドル)であった一方、非保守的解析では1,452億ドル(470~3,388億ドル)と、より高値の推算値が示された。

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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション15

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション15 非劣性試験・同等性試験を学ぶセクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12 セクション13 セクション14「非劣性を示す」ことを証明するために、どのような検定を行うのでしょうか。ここでは、非劣性試験や同等性試験の検定方法について解説します。■3つの臨床試験臨床試験には、大きく3つの試験があります。優越性試験(Superiority Trials):対照群に有効性が優ることを示す試験同等性試験(Equivalence Trials):有効性が同等であることを示す試験非劣性試験(Non-inferiority Trials):有効性が一定以上劣らないことを示す試験■優越性試験普通の検定(今まで学んできた検定)です。帰無仮説:新薬は従来薬(あるいはプラセボ)と有効性は等しい。対立仮説:新薬は従来薬と有効性は違っている。または、新薬は従来薬より有効性で優っている。*留意点 帰無仮説は仮説検定の理論に基づく仮説であり、対立仮説は導きたい結論です。●算出法p値を算出します。p値<0.05は帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択。新薬は従来薬と有効性で優っていると信頼度95%でいえます。p値>0.05は帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できません。新薬は従来薬より有効性で優っているといえません。その信頼度95%です。■非劣性・同等性試験表54のように解熱剤である新薬Yの8例と従来薬Xの10例を割り付けた研究において、薬剤投与前後の低下体温平均値が新薬Yで1.0℃、従来薬Xで0.7℃である場合を考えます。表54 同等性を説明するためのデータ■非劣性・同等性試験 - p値から同等性はいえない表54の研究データに仮説検定を行ってみました。帰無仮説:新薬Yの低下体温平均値は従来薬Xと同等である。対立仮説:新薬Yの低下体温平均値は従来薬Xと違いがある。p値=0.27p値>0.05より、帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できない。ここで質問です。この解析結果を正しく表しているのはどれでしょうか。1.新薬Yの低下体温平均値は従来薬Xと同等である。2.新薬Yの低下体温平均値が従来薬Xと違いがあるとはいえない。3.新薬Yの低下体温平均値が従来薬Xより低いとはいえない。正解は「2」になります。○ 帰無仮説を棄却できない → 対立仮説を採択できない✕ 帰無仮説を棄却できない → 帰無仮説を採択できないp値は、「違いがあるとはいえない」ことは証明できても、「同等である」ということを証明することはできないのです。■非劣性・同等性試験 - 同等性は信頼区間で検証できるそれでは、同等性を示すにはどうすればよいのでしょうか。表55に2つの研究、AとBがあります。AとBどちらも低下体温平均値は、同じでp値は1>0.05です。これよりどちらも帰無仮説は棄却できず、低下体温平均値は、YとXでは違いがあるといえません。これより、YとXは同等だといってはいけません。同等性は、p値では把握できませんが、信頼区間で検証できます。表55 同等性を示すためのデータ信頼区間をみると、Aは-0.55~0.55Bは-0.09~0.09です。p値は同じでも、信頼区間は、BのほうがAより幅が狭くなっています。Aは幅が広すぎてYとXは同等とはいえませんが、Bは幅が狭いので同等といえそうですね。■非劣性・同等性試験 - 同等性マージン表56の事例では、仮に同等性マージンを-0.2~+0.2と設定してみました。表56のようにBにおいて信頼区間が-0.09~0.09と狭く、臨床的に同等だとみなして良いという判断ができれば、YとXは同等ということができます。ただし、この判断の基準になる、「信頼区間がこのくらいであれば許容できる」という同等性の許容範囲は、研究を始める前に決めておき、研究計画書に記載しておくことが義務付けられています。この許容範囲を「同等性マージン」といいます。Bは同等性マージンの範囲に入っているので、同等性があるといえるのです。表56 信頼区間と同等性マージン■非劣性・同等性試験 - 非劣性次に、「非劣性」の判定についてみていきましょう。表57のように、比較する対照群が新薬と従来薬の場合、新薬は副作用が少ないなど、従来薬よりも利点があると想定します。従来薬に対し有効性において優越性が証明できなくても、「劣っていないことが証明できればそれでよし」といった研究に使われる、このような試験を「非劣性試験」といいます。非劣性試験では、新薬が従来薬より劣っていないかどうかのみに注目し、新薬が従来薬より優れているという優越性が成り立っても成り立たなくても構いません。そのため、同等性を示すマージンが両側であるのとは異なり、非劣性試験では信頼区間の片側のみに注目します。表57 非劣性・同等性試験:非劣性の判定表58の事例では、仮に非劣性マージンを-0.4と設定してみました。非劣性とは、新薬が従来薬に対して劣っていないと示すことなので、従来薬について効果があるほうの非劣性マージンから信頼区間がはみ出ていない研究Bが非劣性を示すものとなります。表58 信頼区間と非劣性マージン■今回のポイント通常の仮説検定において「有意差があるかどうか」の判断は次のように行う。p値<0.05信頼区間が0を挟んでいる仮説検定 p値>0.05 有意差なし → 同等性があるといえない。同等性、非劣性の解析には信頼区間を用いる。同等性は、信頼区間が同等性マージンの間にあれば肯定できる。非劣性は、信頼区間が非劣性マージンの片側の内側にあれば肯定できる。同等性、非劣性の研究は、解析方法だけでなく、マージン設定などのデザインも重要である。デザインなどに関する注意事項はCONSORT(Consolidated Standards of Reporting Trials: 臨床試験報告に関する統合基準)に記されている。 インデックスページへ戻る

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137)血圧は環境で変化します、職場では…【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師(血圧測定後)良い血圧の値ですね。 患者はい。ありがとうございます。先生のおかげです。 医師どういたしまして。ところで家庭での血圧はいかがですか? 患者朝と晩に血圧を測定していますが、ほとんど良い値です。たまに、高くなることがありますが…。 医師それはどんな時ですか? 患者仕事でいろいろあった時とか、残業で帰りが遅くなった時ですね。 医師なるほど。ストレスで血圧が上がる「職場高血圧」というのがあります。肥満の人や高血圧の家族歴がある人に多いとされています。 患者そうなんですか。それじゃ、1度、職場で血圧を測ってみようかな。 医師それは良いですね。どうだったか、また教えてください。●ポイント「職場高血圧」の話題で、ストレスと高血圧の関係について振り返ります1)Kamel N, et al. J Natl Med Assoc.2006;98:601-606.2)Myers MG, et al. Hypertension.2015;66:489-495.3)Myers MG. J Hypertens.2012;30:1894-1898.

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肥満外科手術の骨折リスク、術前も術後も高い/BMJ

 肥満外科手術患者は術前も術後も骨折リスクが高いことが、カナダ・ケベック州CHU研究センターのCatherine Rousseau氏らによる検討の結果、明らかにされた。年齢・性別で適合した肥満者と非肥満者を対照群としたコホート内症例対照試験の結果による。また、発生部位も特定され、術前は肥満に関連した骨折だったが術後は骨粗鬆症にみられる骨折パターンに変化していた。胆膵路転換術(biliopancreatic diversion)を受けた人では明らかな骨折リスクが認められたことも判明、胃バイパス手術(Roux-en-Y gastric bypass)、スリーブ状胃切除術(sleeve gastrectomy)については断定的な結果は得られなかったという。BMJ誌オンライン版7月27日号掲載の報告。コホート内症例対照試験で手術群と肥満・非肥満対照群を比較 肥満外科手術が骨折リスクを増大するのかどうかを調べる検討は、2001~14年にカナダ・ケベック州で同手術を受けた患者を、同州の医療管理データベースから選択し後ろ向きコホート内症例対照試験にて行われた。該当患者は1万2,676例(介入群、女性72.3%、平均年齢42[SD 11])、年齢・性別で適合した肥満者3万8,028例と非肥満者12万6,760例(対照群)を組み込んだ。 骨折の発生率および部位を介入群と対照群で比較。また、骨折リスクについて、各群、および2006~14年については手術法別に、術前と術後を比較した。骨折既往、併存疾患数、社会的貧困度、居住地域で補正した条件付き多変量ポアソン回帰分析モデルを用いた。術後の骨折は骨粗鬆症パターンに変化 肥満外科手術を受けた介入群の患者は、術前においても、肥満・非肥満者の対照群よりも骨折の発生率が高い傾向が認められた。介入群の術前の骨折発生率10.5%に対し、肥満群は8.1%、非肥満群は6.6%であった。 術後平均4.4年後では、介入群のほうが骨折が起きやすい状況であることがみてとれた。同群の発生率は4.1%で、肥満群は2.7%、非肥満群は2.4%であった。介入群の術後補正後骨折相対リスクは、対肥満群1.38(95%信頼区間[CI]:1.23~1.55)、対非肥満群1.44(同:1.29~1.59)と有意に高率であった。 また術前では、介入群は対照群と比べて、下肢遠位部の骨折リスクが高く、上肢骨折リスクは低く、脊椎、股関節・大腿骨・骨盤の骨折リスクは同程度であった。しかし術後は、下肢遠位部の相対リスクは低減し(0.66、95%CI:0.56~0.78)、変わって上肢(1.64、1.40~1.93)、脊椎(1.78、1.08~2.93)、骨盤・股関節・大腿骨(2.52、1.78~3.59)のリスクが増大した。  術式別にみた検討では、骨折リスクの増大は、胆膵路転換術例でのみ認められた。 これらの結果を踏まえて著者は、「骨折リスクアセスメントとマネジメントを肥満外科手術の一連として行う必要がある」とまとめている。

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10~30代での飲酒が精巣胚細胞腫瘍リスクに

 精巣胚細胞腫瘍(TGCT)の病因についてこれまでのデータから、出生後の環境や生活習慣が関与する可能性が示唆されている。今回、米国ワシントン大学のMary L Biggs氏らが集団ベースの症例対照研究で調べた結果、青年期や成人期の飲酒がTGCTリスクの増加に関連する可能性があることが示唆された。International journal of cancer誌オンライン版2016年7月30日号に掲載。 本試験は、米国の18~44歳のTGCT患者540人の症例群と、年齢をマッチさせた1,280人の対照群による症例対照研究である。 参加者には、ビール、ワイン、蒸留酒についてそれぞれ、7~8年生時、9~12年生時、基準日(症例群では診断日、対照群では対応日)前5年間における消費量を尋ねた。著者らは、ロジスティック回帰を用いて、期間別、全体および飲料別、セミノーマと非セミノーマそれぞれで、飲酒とTGCTリスクの関連におけるオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・基準日前5年間でみたところ、非飲酒者と比較すると、飲酒量が週当たり1~6杯、7~13杯、14杯以上のOR(95%CI)はそれぞれ、1.20(0.85~1.69)、1.23(0.81~1.85)、1.56(1.03~2.37)であった(傾向のp=0.04)。9~12年生時の飲酒における結果はそれぞれ、1.39(1.06~1.82)、1.07(0.72~1.60)、1.53(1.01~2.31)であった(傾向のp=0.05)。7~8年生時での飲酒はまれで、TGCTとの間に統計的学的に有意な関連は認められなかった。・基準日前5年間における飲酒量との関連はセミノーマよりも非セミノーマで強くみられたが、その差は統計的学的に有意でなかった(p>0.05)。・アルコール飲料の種類が異なっても関連は同様であった。

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イワケンの「極論で語る感染症内科」講義

第1回 なぜ極論が必要なのか? 第2回 あなたはなぜその抗菌薬を出すのか 第3回 その非劣性試験は何のためか 第4回 急性咽頭炎の診療戦略のシナリオを変えろ! 第5回 肺炎・髄膜炎 その抗菌薬で本当にいいのか? 第6回 CRPは何のために測るのか 第7回 急性細菌性腸炎 菌を殺すことで患者は治るのか第8回 ピロリ菌は除菌すべきか第9回 カテ感染 院内感染を許容するな 第10回 インフルエンザ 検査と薬の必要性を考えろ 第11回 HIV/AIDS 医療者が知っておくべきHIV/AIDS診療の今 きょく ろん 【極論】1.極端な議論。また,そのような議論をすること。極言。2.つきつめたところまで論ずること。           大辞林第3版(三省堂)イワケンこと岩田健太郎氏が感染症内科・抗菌薬について極論で語ります。「この疾患にはこの抗菌薬」とガイドラインどおりに安易に選択していませんか?それぞれ異なった背景を持つ患者にルーチンの抗菌薬というのは存在するはずがありません。抗菌薬が持つ特性や副作用のリスクなどを突き詰めて考え、相対比較をしながら目の前の患者に最適なものを特定することこそが、抗菌薬を選択するということ。イワケン節でその思考法をたたきこんでいきます。※本DVDの内容は、丸善出版で人気の「極論で語る」シリーズの講義版です。 書籍「極論で語る感染症内科」は2016年1月丸善出版より刊行されています。  http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/book_data/search/9784621089781.html第1回 なぜ極論が必要なのか? 抗菌薬選択、感染症治療に関してなぜ“極論”が必要なのかをイワケンが語ります。これまでの感染症の診断・治療の問題点を指摘しながら、どういう方向に向かっていかなければならないのか、何をすればよいのかを示していきます。“感染症とはなにか”が理解できる内容です。第2回 あなたはなぜその抗菌薬を出すのか抗菌薬を処方するとき、何を基準に選択していますか?ほとんどの場合において「スペクトラム」を基準にしていることが多いのではないでしょうか?否。本当にそれでいいのでしょうか。移行性、時間依存性、濃度依存性などの抗菌薬が持つ特性や副作用のリスクなどを突き詰めて考え、、相対比較をしながら最適なものを特定することこそが、抗菌薬を選択するということ。イワケン節でその思考法をたたきこみます。第3回 その非劣性試験は何のためか近年耳にする機会が増えている「非劣性試験」。既存薬よりも新薬の効果のほうが劣っていないことを示す試験で、新薬が主要な治療効果以外に何らかの点で優れているということを前提としてが実施するものである。本来患者の恩恵のために行われるべきこの試験が価値をもたらすことは当然ある。しかしながら、臨床的には意味の小さいいわゆる「me too drug」を増やす道具になりかねないということも、また事実である。この試験のあり方にイワケンが警鐘を鳴らす。第4回 急性咽頭炎の診療戦略のシナリオを変えろ!いよいよ疾患の診療戦略に入っていきます。まずは誰もが診たことのある急性咽頭炎。急性咽頭炎の診療において、溶連菌迅速検査の結果が陽性の場合は、抗菌薬(ペニシリン系)を投与を使用し、陰性の場合は、伝染性単核球症などとして、抗菌薬を使用しないという治療戦略が一般的。しかし、細菌性の急性咽頭炎の原因菌は「溶連菌」だけではなかった!つまり、検査が陰性であっても、抗菌薬が必要な場合もある!ではそれをどのように見つけ、診断し、治療するのか?イワケンが明確にお答えします。第5回 肺炎・髄膜炎 その抗菌薬で本当にいいのか?今回は、肺炎と髄膜炎の診療戦略について見ていきます。風邪と肺炎の見極めはどうするか?グラム染色と尿中抗原検査、その有用性は?また、髄膜炎のセクションでは、抗菌薬の選択についてイワケンが一刀両断。細菌性髄膜炎の治療に推奨されているカルバペネム。この薬が第1選択となったその理由を知っていますか?そこに矛盾はないでしょうか?ガイドライン通りに安易に選択していると、痛い目を見るかもしれません。番組最後には耐性菌についても言及していきます。第6回 CRPは何のために測るのか炎症の指標であるCRPと白血球は感染症診療において多用されている。多くの医療者は感染症を診るときに、白血球とCRPしか見ていない。CRPが高いと感染症と判断し、ある数値を超えると一律入院と決めている医療機関もある。しかし、それで本当に感染症の評価ができていると言えるのだろうか。実例を挙げながらCRP測定の意義を問う。第7回 急性細菌性腸炎 菌を殺すことで患者は治るのか細菌性腸炎の主な原因菌は「カンピロバクター」。カンピロバクターはマクロライドに感受性がある。しかし、臨床医として、安易にマクロライドを処方する判断をすべきではない。抗菌薬で下痢の原因菌を殺し、その抗菌薬で下痢を起こす・・・。その治療法は正しいといえるのか?イワケン自身がカンピロバクター腸炎に罹患したときの経験を含めて解説します。第8回 ピロリ菌は除菌すべきか世の中は「ピロリ菌がいれば、とりあえず除菌」といった圧力が強い。ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんなど多様な疾患の原因となる菌であるからだ。一方で、ピロリ菌は病気から身を守ってくれている存在でもあるのだ。そのピロリ菌をやみくもに除菌することの是非を、イワケンの深い思考力で論じる。第9回 カテ感染 院内感染を許容するなカテーテルを抜去して解熱、改善すればカテ感染(CRBSI:catheter-related blood stream infection)と定義する日本のガイドライン。また、カテ感染はカテーテルの感染であると勘違いされている。そんな間違いだらけの日本のカテ感染の診療に、イワケンが切り込む。限りなくゼロにできるカテ感染(CRBSI)。感染が起こることを許容すべきではない。第10回 インフルエンザ 検査と薬の必要性を考えろインフルエンザの診療において迅速キットを使って診断、そして、陽性であれば抗インフルエンザ薬。そんなルーチン化した診療にイワケンが待ったをかける。今一度検査と抗インフルエンザ薬の必要性と意義を考えてみるべきではないだろうか。また、イワケンの治療戦略の1つである、「漢方薬」についても解説する。第11回 HIV/AIDS 医療者が知っておくべきHIV/AIDS診療の今HIV/AIDSの診療は劇的に進化し、薬を飲み続けてさえいれば天寿をまっとうすることも可能となった。そのため、HIV/AIDS診療を専門としない医師であっても、そのほかの病気や、妊娠・出産などのライフイベントで、HIV感染者を診療する機会が増えてきているはず。その患者が受診したとき、あなたはどう対応するのか。そう、医療者として、“患者差別”は許されない!普段通りの診療をすればいいのだ。しかしながら、薬の相互作用や患者心理など、気をつけるべきことを知っておく必要はある。その点を中心に解説する。

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なぜ少年はエレキギターで骨折したのか【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第72回

なぜ少年はエレキギターで骨折したのか FREEIMAGESより使用 エレキギターは電源に接続していますから、何らかのトラブルによって電撃傷を来すことがあるかもしれません。しかし、重度の場合、骨折することもあるのです。え、本当? Pappano D.Radius fracture from an electrical injury involving an electric guitar.South Med J. 2010;103:242-244.これは、14歳の少年がエレキギターを弾いていたところ、トラブルによって感電し、腕の疼痛を訴えたという症例報告です。彼の腕を精査してみると、電撃傷による皮膚障害だけでなく橈骨骨折までもが観察されました。感電に驚いて、手でもぶつけたのでしょうか?実はほかにも似たような報告があります。感電した後に、上腕骨の骨折を来した例1),2)、肩甲骨の骨折を来した例3), 4)、そして腕の骨折を来した例…5),6)。しかも多くの症例報告が、どういうわけか両側同時骨折という奇妙な結果です。感電と骨折に関連があります。電流が体を流れると、筋肉が極度に収縮します。部位によってはとてつもなく強い収縮を来すことがあり、その四肢の捻転によって骨折を来すとされています。そのため、このエレキギターの少年も、腕に通った電流によって筋肉が収縮し、橈骨を骨折したものと考えられます。外でエレキギターを弾く時には、雨が降っていないかどうか注意したほうが良いかもしれません。参考資料1)Stueland DT, et al. J Emerg Med. 1989;7:457-459.2)Zbuchea A. Chirurgia (Bucur). 2015;110:490-492.3)Yilmaz F, et al. Electromyogr Clin Neurophysiol. 2006;46:387-390.4)Kotak BP, et al. J R Soc Med. 2000;93:143-144.5)Adams AJ, et al. Injury. 1997;28:227-278.6)Tucciarone L, et al. Pediatr Med Chir. 1997;19:71-72.インデックスページへ戻る

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BRSの現状と今後の期待

生体吸収性スキャフォールド(BRS)の現状と今後の期待次の時代のPCIデバイス生体吸収性スキャフォールド(BRS)。新デバイスの世界的な評価の現状、今後の期待はどのようなものか?東海大学 中澤 学氏を進行役に、米国CVPathインスティテュートでBVSの研究に携わった国立循環器病研究センター 大塚 文之氏が病理の観点から、オランダ エラスムス大学 胸部疾患センターで数々のBRSの試験に携わる小沼 芳信氏が臨床の観点から最新情報を紹介する。講師紹介

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うつ病女性に対する避妊法に関するレビュー

 うつ病や双極性障害の女性は、望まない妊娠をするリスクが高い。米国疾病対策予防センターのH Pamela Pagano氏らは、うつ病や双極性障害女性に対するホルモン避妊法の安全性を検討した。Contraception誌オンライン版2016年6月27日号の報告。 2016年1月までに発表された論文を対象に、うつ病や双極性障害を有する女性のうち臨床的診断またはスクリーニングツールによる検証で閾値レベル以上であった女性における、任意のホルモン避妊法を使用した際の安全性に関する論文を検索した。症状変化、入院、自殺、薬物療法の変更(増量、減量、薬剤変更)をアウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。・2,376件中、6件が選択基準を満たした。・臨床的にうつ病や双極性障害と診断された女性に対する研究は以下のとおり。 1)経口避妊薬(OCs)は、双極性障害女性の月経周期全体にわたって気分を変動させなかった。一方、OCsを使用しなかった女性では月経周期全体にわたって気分が有意に変動した。 2)デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(depot medroxyprogesterone acetate:DMPA)、子宮内避妊用具(IUDs)、不妊手術を用いた女性における精神科入院頻度に有意な差は認められなかった。 3)OCsの使用有無にかかわらず、fluoxetine、プラセボのどちらの治療群においても、うつ病女性のうつ病尺度のスコア増加は認められなかった。・スクリーニングツールでの測定によりうつ病の閾値を満たした女性における結果は以下のとおり。 1)OCsを併用した思春期女性は、プラセボ群と比較し、3ヵ月後のうつ病スコアが有意に改善した。 2)OC使用者は、非使用者と比較し、フォローアップ時にうつでなかった割合は同程度であった。 3)OC併用者では、IUD使用者と比較して、11ヵ月にわたりうつ頻度が少ないことが示唆された。 著者らは「6件の限られた研究から得られた結果によると、OC、レボノルゲストレル放出IUD、DMPAを使用したうつ病または双極性障害の女性では、ホルモン避妊法を使用しなかった女性と比較して、症状の臨床経過の悪化との関連はみられなかった」としている。関連医療ニュース 妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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