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降圧治療のベネフィットがある血圧は何mmHg以上?

 高血圧は、死亡および心血管疾患(CVD)の最も重要な危険因子だが、降圧治療の最適なカットオフが議論されている。今回、スウェーデン・ウメオ大学のMattias Brunström氏らのシステマティックレビューとメタ解析により、1次予防における降圧治療は、ベースラインのSBPが140mmHg以上であれば、死亡リスクとCVDリスクの低下に関連することがわかった。また、ベースラインのSBPが低い場合の降圧治療は、1次予防におけるベネフィットはないが、CHD患者では付加的な保護効果がある可能性が示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年11月13日号に掲載。 本研究では、ベースラインの血圧レベルごとに、降圧治療と死亡およびCVDとの関連を検討した。著者らは、PubMed、Cochrane Database of Systematic Reviews、Database of Abstracts of Reviews of Effectから過去のシステマティックレビューを同定し、これらの引用文献から無作為化臨床試験を検索した。また、2017年2月にPubMedとCochrane Central Register for Controlled Trialsで、2015年11月1日以降に発表された無作為化臨床試験を検索した。少なくとも1,000患者年のフォローアップ、降圧薬とプラセボ、もしくは異なる血圧目標を比較した無作為化臨床試験を選択した。また、著者らは元文献からデータを抽出し、Cochrane Collaborations評価ツールを使用してバイアスリスクを評価した。相対リスク(RR)は、Knapp-Hartung法で補正されたランダム効果メタ解析により統合した。事前に規定したアウトカムは、全死亡、心血管死亡、主要心血管イベント、冠動脈疾患(CHD)、脳卒中、心不全、末期腎不全であった。 主な結果は以下のとおり。・74試験がメタ解析に組み入れられ、参加者は30万6,273例(女性39.9%、男性60.1%、平均年齢63.6歳)、フォローアップは120万人年であった。・1次予防における降圧治療と主要心血管イベントの関連は、ベースラインの収縮期血圧(SBP)に依存していた。-ベースラインのSBPが160mmHg以上死亡率の減少(RR:0.93、95%CI:0.87~1.00)、主要心血管イベントの大幅な減少(RR:0.78、95%CI:0.70~0.87)と関連していた。-ベースラインのSBPが140~159mmHg死亡率との関連は160mmHg以上の場合と同様(RR:0.87、95%CI:0.75~1.00)であったが、主要心血管イベントとの関連はあまり強くなかった(RR:0.88、95%CI:0.80~0.96)。-ベースラインのSBPが140mmHg未満死亡率(RR:0.98、95%CI:0.90~1.06)、主要心血管イベント(RR:0.97、95%CI:0.90~1.04)とも関連はみられなかった。・CHD既往例でベースラインの平均SBPが138mmHgであった試験では、主要心血管イベントリスクの低下と関連していた(RR:0.90、95%CI:0.84~0.97)が、生存率とは関連していなかった(RR:0.98、95%CI:0.89~1.07)。

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急性重症出血、トラネキサム酸投与は3時間以内に/Lancet

 外傷性/分娩後出血死の多くは、出血が起きてから短時間で死に至っており、トラネキサム酸による抗線溶療法の開始がわずかでも遅れると、そのベネフィットは減少することを、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAngele Gayet-Ageron氏ら研究グループが、被験者4万138例のデータを包含したメタ解析の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「重症出血患者は、ただちに治療が開始されなければならない」と提言するとともに、「さらなる研究で、トラネキサム酸の作用機序の理解を深める必要がある」と述べている。抗線溶療法は、外傷性/分娩後出血死を減らすことが知られている。研究グループは、治療の遅れが抗線溶薬の効果に及ぼす影響を調べる検討を行った。Lancet誌オンライン版2017年11月7日号掲載の報告。治療ベネフィットについてメタ解析で評価 研究グループは、急性重症出血患者への抗線溶療法を評価した、1,000例以上参加の無作為化試験における被験者個人レベルのデータを用いてメタ解析を行った。MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、PubMed、Popline、WHO International Clinical Trials Registry Platformの検索から、1946年1月1日~2017年4月7日に行われた試験を特定した。 治療ベネフィットの主要尺度は、非出血死。治療の遅れが治療効果に及ぼす影響を調べるため、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。また、感度解析で測定誤差(誤分類)の影響を調べた。急性重症出血が始まって3時間で治療ベネフィットは消失 検索により、急性重症出血患者に対するトラネキサム酸投与を評価した2つの無作為化試験(外傷性出血患者対象の「CRASH-2試験」、分娩後出血患者対象の「WOMAN試験」)の被験者計4万138例のデータ(各試験2万127例、2万11例)を入手し解析を行った。 全体で死亡は3,558例、そのうち1,408例(40%)が出血死であった。 出血死は、発症後12時間以内の死亡が最も多かった(884/1,408例[63%])。分娩後出血死は、出産後2~3時間がピークであった。 全体で、トラネキサム酸投与が出血後の生存を有意に増大したことが確認された(オッズ比[OR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.08~1.33、p=0.001)。出血部位別による不均一性はみられなかった(交互作用p=0.7243)。 治療の遅れは治療ベネフィットを減少することが(p<0.0001)、一方で、即時治療は生存率を70%超増と有意に改善することが認められた(OR:1.72、95%CI:1.42~2.10、p<0.0001)。その後3時間まで、治療開始が15分遅れるごとに10%ずつ生存ベネフィットは減少し、3時間以降はベネフィットを確認できなかった。 トラネキサム酸投与に伴う血管閉塞性イベントの増大はみられず、出血部位別による不均一性はみられなかった(p=0.5956)。また、トラネキサム酸投与に伴う血管閉塞性イベントへの、治療の遅れの影響は認められなかった。

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オモチャのヘリコプターのプロペラは、思ったほど眼球を傷つけない【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第103回

オモチャのヘリコプターのプロペラは、思ったほど眼球を傷つけない いらすとやより使用 眼球の外傷は、いろいろなオモチャで起こりえます。私の子供も、よくオモチャを振り回して顔にケガをしています。 Alphonse VD, et al.Eye injury risk associated with remote control toy helicopter blades.Biomed Sci Instrum. 2012;48:20-26.この論文は、「さて、室内で飛ばすオモチャのヘリコプターが最近流行しているそうだ。この研究の目的は、そのオモチャのヘリコプターが眼球の外傷リスクと関連しているかどうか調べることだ」という唐突な書き出しで始まります。結構ムチャな展開だけど、こういう珍しい外傷の論文は、まれな事象をさもコモンなように書き出すことが重要です。市販されているオモチャのヘリコプターから5種類を選定し、そのヘリコプターのプロペラを物理学的に調べたのが本研究です。ヘリコプターのバッテリーをフルに充電した状態で、な、な、な、な、なんと死体を用いて眼球への有害性を調べました。「オモチャのヘリコプターが眼球に与える影響を調べたいので、ご遺体を使わせていただけないでしょうか」と遺族に許可を取ったのでしょうか、うーむ、どんな遺族が首を縦に振ってくれたのだろうか…。検証項目として、眼圧と、フルオレセインを用いて角膜の擦過傷を調べました。過去の文献によれば、外傷による眼圧上昇は、前房、レンズ、網膜などの多くの組織ダメージと相関することが報告されています。さて、眼圧は、114.3mmHgから744.7mmHgと幅広い上昇が観察されました。このときのプロペラの回転速度も、秒速16.0~25.4mとさまざまでした。角膜には擦過傷が観察され、前房にはわずかな外傷リスクがありましたが、レンズ、網膜、眼球破裂などの重篤なダメージはないことがわかりました。プロペラの種類による外傷リスクの差は観察されませんでした。死体を用いたこの検証によって、オモチャのヘリコプターのプロペラでは、想定されているほど重篤な眼外傷を起こさないことが明らかになりました。有用な研究ではありますが、やはり読了後に「なかなかそんな眼外傷ないよなぁ」と思わずにはいられませんでした。しかし、世の中にはこういう地道な研究を続けている人たちがいるのです。合掌。

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悪性黒色腫の術後補助療法、ダブラフェニブ+トラメチニブの第III相試験/NEJM

 BRAF V600E/K遺伝子変異陽性StageIII悪性黒色腫に対する、BRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブの併用術後補助療法は、プラセボと比較して再発リスクが有意に低く、新たな毒性もみられなかった。オーストラリア・シドニー大学のGeorgina V. Long氏らが、二重盲検プラセボ対照第III相試験「COMBI-AD試験」の結果を報告した。これまで、COMBI-d試験およびCOMBI-v試験において、ダブラフェニブ+トラメチニブの併用療法は、ダブラフェニブ単剤療法またはベムラフェニブ単剤療法と比較し、BRAF V600E/K遺伝子変異陽性の進行性または転移性悪性黒色腫患者の生存期間を延長することが示されていた。NEJM誌2017年11月9日号掲載の報告。870例で、1年間投与し無再発生存を評価 COMBI-AD試験は、2013年1月~2014年12月に、26ヵ国の169施設において実施された。対象は、外科的完全切除後のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性StageIII悪性黒色腫患者870例で、ダブラフェニブ(150mg、1日2回)+トラメチニブ(2mg、1日1回)の併用療法群(438例)と、それぞれのプラセボを投与するプラセボ群(432例)に無作為に割り付けられ、12ヵ月間の投与が行われた。 主要エンドポイントは無再発生存、副次エンドポイントは全生存、無遠隔転移生存、無再発、安全性などであった。有効性は割り付けされた全例(intention-to-treat解析)、安全性は治験薬の投与を1回以上受けた患者を解析対象集団とした。併用療法により悪性黒色腫再発または死亡リスクは53%減少 追跡期間中央値2.8年時点で、3年無再発生存率は併用療法群が58%であったのに対し、プラセボ群は39%であった(再発または死亡のハザード比[HR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.39~0.58、p<0.001)。 3年全生存率は、併用療法群86%、プラセボ群77%であったが(死亡HR:0.57、95%CI:0.42~0.79、p=0.0006)、この差は事前に規定された中間解析における有意差の閾値p=0.000019を超えなかった。無遠隔転移生存率および無再発率も、プラセボ群より併用療法群が高値であった。 ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の安全性プロファイルは、転移性悪性黒色腫患者における併用療法で観察されたプロファイルと一致していた。

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白内障の高齢女性、手術施行で死亡リスク低下

 白内障の高齢女性において、白内障手術は全死因死亡および原因別死亡のリスク低下と関連があることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のVictoria L. Tseng氏らによるWomen's Health Initiative(WHI)の参加者を対象とした検討で明らかにされた。ただし著者は、「この関連が白内障手術によって説明されるかどうかは不明確である」としたうえで、「白内障手術、全身疾患および疾患関連死の相互作用についてのさらなる研究が、患者ケアの改善に役立つだろう」とまとめている。白内障手術はこれまでの研究で、健康状態および機能的な自立の改善を通し、全死因死亡リスクの減少に関与することが示唆されている。しかし、白内障手術と原因別死亡率との関連は十分に解明されていなかった。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。 研究グループは、白内障の高齢女性における白内障手術と原因別死亡率との関連を調べる目的で、メディケア請求データベースと結び付けられたWHIの臨床試験および観察研究(1993年1月1日~2015年12月31日)から得た、65歳以上の白内障女性患者7万4,044例のデータを、2014年7月1日~2017年9月1日に解析した。 白内障手術の有無はメディケア請求コードにより判定した。評価項目は、全死因死亡および、血管疾患、がん、神経疾患、肺疾患、感染症および不測の原因による死亡とした。log-rank検定、ならびに患者背景、全身と眼の合併症、喫煙、飲酒、BMIおよび身体活動で調整したCox比例ハザードモデルを用い、白内障手術あり群となし群で死亡率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象7万4,044例中、白内障手術を受けたのは4万1,735例であった。・7万4,044例の背景は、平均(±SD)年齢70.5±4.6歳で、白人が最も多く(6万4,430例、87.0%)、次いで黒人(5,293例、7.1%)、ヒスパニック(1,723例、2.3%)の順であった。・死亡率は、両群で100人年当たり2.56であった。・共変量補正後のCox比例ハザードモデルにおいて、白内障手術は全死因死亡リスクの低下と関連していた(補正後ハザード比[AHR]:0.40、95%信頼区間[CI]:0.39~0.42)。・同様に、原因別死亡リスクの低下とも関連していた。血管疾患死(AHR:0.42、95%CI:0.39~0.46)、がん死(0.31、0.29~0.34)、不慮の死(0.44、0.33~0.58)、神経疾患死(0.43、0.36~0.53)、肺疾患死(0.63、0.52~0.78)、感染症による死亡(0.44、0.36~0.54)。

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アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴

 高齢者の治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール増強療法によって寛解が得られる特定の抑うつ症状を明らかにするため、米国・ピッツバーグ大学のMarie Anne Gebara氏らが検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年10月3日号の報告。 本研究は、高齢者の治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール増強療法の安全性および有効性を評価した試験のデータに基づいた二次解析である。60歳以上の高齢者を対象に、アリピプラゾール増強療法群(91例)またはプラセボ群(90例)に無作為に割り付けた。主要アウトカムは、うつ病の寛解とした。臨床予測因子は、症候性(スコア2超)または非症候性(スコア2以下)に分類される各MADRS項目のスコアとした。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール増強療法によるうつ病寛解を予測したMADRS項目は、睡眠障害の症候性スコアおよび外見に表出される悲しみ(apparent sadness)、感情を持てないこと(inability to feel)の非症候性スコアの3つであった。・これらMADRS項目の2wayおよび3wayの相互の影響は、寛解の重要な予測因子ではなかった。従って、モデルの寛解を予測する能力は、有意なMADRS項目を組み合わせることにより改善されなかった。 著者らは「臨床的に評価可能な特定の抑うつ症状を確認することは、治療決定するうえで利用可能である。睡眠障害、外見に表出される悲しみや感情を持てないことの欠如を有する治療抵抗性うつ病高齢者には、アリピプラゾール増強療法を考慮すべきである」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用vs.抗精神病薬増強SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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20歳からの体重減少、認知症リスク高い?~日本人コホート

 わが国で認知症発症に影響を及ぼしうる因子を特定するための研究は、これまでほとんど行われていない。そこで、新潟大学の北村香織氏らが、日本人の中高年期の体格や生活習慣が認知機能障害と関連するかどうかを検討した。PLoS One誌2017年10月12日号に掲載。 本研究では、2011年から新潟県の県北地区で実施されている村上コホート研究の参加者のうち、2013年までに実施されたベースライン調査に参加した44~79歳の地域住民1,814例を対象に、認知機能を評価した。評価には、Mini-Mental State Examination(MMSE)を使用し、アウトカムの尺度は認知機能障害で、MMSEスコア24未満と定義した。予測変数は、BMI、20歳からの長期的な体重変化および調査時のアンケートで得られた喫煙、飲酒、身体活動レベルなどの生活習慣因子で、共変量は、性別、年齢、教育レベル、脳卒中歴、糖尿病歴とした。多重ロジスティック回帰分析により、調整オッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体における認知症有病率は6.2%であった。・参加者を体重増減の度合いにより五分位で分けて検討したところ、最も減少した第1五分位(4kgを超える減少、OR:2.70、95%信頼区間[CI]:1.18~6.20)と第2五分位(-4~0kg、OR:2.37、95%CI:1.04~5.37)は、基準とした第4五分位(+4~+7kg)と比べ、認知機能障害の調整オッズ比が有意に高かった。・第5五分位(8kg以上の増加)の調整オッズ比は、2.24であった(95%CI:0.99~5.04)。・現在のBMIは、認知機能障害と関連していなかった。 本研究で、長期的な体重減少が中高年期の認知機能障害と関連していることがわかった。ただし、本研究は後ろ向きであるため、関連をさらに調べるために前向き研究も実施されるべきと筆者らは述べている。

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すべての1型糖尿病妊婦にはReal-Time CGMを実施すべきか?(解説:住谷哲氏)-763

 妊娠糖尿病および糖尿病合併妊娠では厳格な血糖管理が要求される。とくに1型糖尿病合併妊娠では血糖コントロールに難渋することが多い。現在は各食前、食後、眠前、1日計7回の自己血糖測定(SMBG)と、頻回インスリン投与(Multiple daily injection:MDI)またはインスリンポンプによる強化インスリン療法が主流である。これまで持続血糖モニタリング(CGM)の有用性は示唆されてきたが、糖尿病合併妊婦におけるCGMのSMBGに対する優越性を検討した最新のメタ解析ではCGMの優越性は証明されていない1)。 Real-Time CGM(RT-CGM)により患者は間質液グルコース濃度(厳密には血糖値ではないがほぼ血糖値と考えてよい)をreal-timeで知ることができる。またその推移パターンから、起こりうる低血糖および高血糖に対するアラームが装備されているのも利点となっている。さらにRT-CGMとインスリンポンプを組み合わせたSAP(sensor-augmented pump)では、低血糖のリスクがきわめて高くなると自動的に基礎インスリン投与を中断するLow Glucose Suspend(LGS)の機能を備えている機種(MiniMed Paradigm Veo:本試験では用いられているが日本ではまだ使用できない)もあり、低血糖の軽減につながっている。 本試験はMDIまたはインスリンポンプ使用中の1型糖尿病妊婦におけるRT-CGMの使用が、妊娠中の血糖コントロール、妊婦および新生児の臨床的アウトカムに及ぼす影響を検討したものである。その結果は、主要評価項目であるCGM群とSMBG群とのHbA1cの差は0.19%(p=0.0207)でCGM群において低値であった。また新生児臨床アウトカムに最も関連すると考えられる高血糖期間も有意に短縮していた(27% vs.32%、p=0.0279)。さらに新生児臨床アウトカムではLGA(large for gestational age)、24時間超NICU滞在患者および新生児低血糖はほぼ半減しており、NNTはそれぞれ6人、6人、8人であった。これらの結果は、MDI群とインスリンポンプ群で差はなかった。 NNTが1桁であることから、本研究で明らかにされた1型糖尿病妊婦に対するRT-CGMの使用は有効な介入であると考えてよい。しかし結果のgeneralizabilityについては、費用も含めた十分な検討が必要だろう。また、本文中にも記載されているように、CGMが血糖コントロール指標などのsurrogate outcomeではなく、LGAのような臨床アウトカムを改善したことは重要な点である。CGMの有用性に関する報告は多数あるが、これまではすべて血糖コントロール指標などのsurrogate outcomeについてのみであり、臨床アウトカムの改善につながったのは本研究が初である。今後は他の領域におけるCGMの有用性が明らかにされることが期待される。

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抗PS抗体bavituximabは免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強するか:SUNRISE試験サブグループの結果/WCLC2017

 phosphatidylserin(PS)は、がん微小環境にある細胞の表面に広範に発現し、腫瘍特異的T細胞の誘導を抑制し、高い免疫抑制作用を発現する。bavituximabは、PSを標的とするキメラIgG1モノクローナル抗体であり、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を活性化し、免疫寛容を抑制して、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている SUNRISE試験は、既治療の進行非扁平上皮肺がんの治療において、ドセタキセル・bavituximab併用(D+B群)とドセタキセル単独(D+P群)を比較した第III相試験である。最近発表された主要評価項目のITT解析による全生存期間(OS)では、D+B群、D+P群とも差がみられなかった(HR:1.06)。ほとんどのサブグループ解析で同等であったが、唯一免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の後治療を受けたグループのみ差がついていた。そこでこの集団のデータを収集し、分析した結果を、横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC)において、オーストラリア・Sydney Cancer CenterのMichael Boyer氏が発表した。 SUNRISE試験597例の無作為化患者のうち93例(16%)がICIの後治療を受けていた。ベースライン特性は、治療群間でバランスが取れ、ITT集団と一致した。無作為化からのOSは、D+B群(n=47)では未到達(15.2~NA)、D+P群(n=46)では12.6ヵ月(10.4~17.8)であった(HR:0.46、95%CI:0.26~0.81、p=0.006)。ICI投与開始時からのOSは、D+B群では未到達(10.2~NA)、D+P群では6.2ヵ月(3.9~8.7)であり(HR:0.42、95%CI:0.23~0.74、p=0.002)、いずれもD+B群で有意に優れていた。 限られたサブグループ分析であるが、ドセタキセル・bavituximab併用療法後にICIで治療された患者ではOSの改善が観察された。bavituximabは免疫関連の毒性と関連しないことから、ICIとの有益な併用薬となる可能性があると、Boyer氏は述べた。■参考SUNRISE試験(Clinical Trials.gov)

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アトピー性脊髄炎〔AM:atopic myelitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義中枢神経系が自己免疫機序により障害されることは、よく知られている。中でも最も頻度の高い多発性硬化症は、中枢神経髄鞘抗原を標的とした代表的な自己免疫疾患と考えられている。一方、外界に対して固く閉ざされている中枢神経系が、アレルギー機転により障害されるとは従来考えられていなかった。しかし、1997年にアトピー性皮膚炎と高IgE血症を持つ成人で、四肢の異常感覚(じんじん感)を主徴とする頸髄炎症例がアトピー性脊髄炎(atopic myelitis:AM)として報告され1)、アトピー性疾患と脊髄炎との関連性が初めて指摘された。2000年に第1回全国臨床疫学調査2)、2006年には第2回3)が行われ、国内に本疾患が広く存在することが明らかとなった。その後、海外からも症例が報告されている。2012年には磯部ら4)が感度・特異度の高い診断基準を公表し(表)、わが国では2015年7月1日より「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき「指定難病」に選定されている。画像を拡大する■ 疫学平均発症年齢は34~36歳で、男女比1:0.65~0.76と男性にやや多い。先行するアトピー性疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息の順で多く、アトピー性疾患の増悪後に発症する傾向にあった。発症様式は急性、亜急性、慢性のものが約3割ずつみられ、症状の経過は、単相性のものも3~4割でみられるものの、多くは、動揺性、緩徐に進行し、長い経過をとる。■ 病因図1のようにAMの病理組織学的検討では、脊髄病巣は、その他のアトピー性疾患と同様に好酸球性炎症であり、アレルギー性の機序が主体であると考えられる。さまざまな程度の好酸球浸潤を伴う、小静脈、毛細血管周囲、脊髄実質の炎症性病巣を呈する(図1A)5)。髄鞘の脱落、軸索の破壊があり、一部にspheroidを認める(図1B)5)。好酸球浸潤が目立たない症例においても、eosinophil cationic protein(ECP)の沈着を認める(図1C)6)。浸潤細胞の免疫染色では、病変部では主にCD8陽性T細胞が浸潤していたが(図1D)6)、血管周囲ではCD4陽性T細胞やB細胞の浸潤もみられる。さらに、脊髄後角を中心にミクログリアならびにアストログリアの活性化が認められ(図1E、F)7)、アストログリアではエンドセリンB受容体(endothelin receptor type B:EDNRB)の発現亢進を確認している(図1G、H)7)。図1 アトピー性脊髄炎の病理組織所見画像を拡大する■ 臨床症状初発症状は、約7割が四肢遠位部の異常感覚(じんじん感)、約2割が筋力低下である。経過中に8割以上でアロディニアや神経障害性疼痛を認める。そのほか、8割で腱反射の亢進、2~3割で病的反射を生じ、排尿障害も約2割に生じる。何らかの筋力低下を来した症例は6割であったが、その約半数は軽度の筋力低下にとどまった。最重症時のKurtzkeのExpanded Disability Status Scale(EDSS)スコアは平均3.4点であった。■ 予後第2回の全国臨床疫学調査では、最重症時のEDSSスコアが高いといずれかの免疫治療が行われ、治療を行わなかった群と同等まで臨床症状は改善し、平均6.6年間の経過観察では、症例全体で平均EDSS 2.3点の障害が残存していた。全体的には大きな障害を残しにくいものの、異常感覚が長く持続し、患者のQOLを低下させることが特徴といえる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査所見末梢血所見としては、高IgE血症が8~9割にあり、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニに対する抗原特異的IgEを85%以上の症例で有し、約6割で末梢血好酸球数が増加していた。前述のAMの病理組織において発現が亢進していたEDNRBのリガンドであるエンドセリン1(endothelin 1:ET1)は、AM患者の血清で健常者と比較し有意に上昇していた7)。髄液一般検査では、軽度(50個/μL以下)の細胞増加を約1/4の症例で認め、髄液における好酸球の出現は10%未満とされる。蛋白は軽度(100mg/dL以下)の増加を約2~3割の症例で認める程度で、大きな異常所見はみられないことが多い。髄液特殊検査では、IL-9とCCL11(eotaxin-1)は有意に増加していた。末梢神経伝導検査において、九州大学病院症例では約4割で潜在的な末梢神経病変が合併し、第2回の全国調査では、検査実施症例の25%で下肢感覚神経を主体に異常を認めていた3)。また、体性感覚誘発電位を用いた検討では、上肢で33.3%、下肢では18.5%で末梢神経障害の合併を認めている8)。図2のように脊髄のMRI所見では、60%で病変を認め、その3/4が頸髄で、とくに後索寄りに多い(図2A)。また、Gd増強効果も半数以上でみられる。この病巣は、ほぼ同じ大きさで長く続くことが特徴である(図2B)。画像を拡大する■ 診断・鑑別診断脊髄炎であること、既知の基礎疾患がないこと、アレルギー素因があることを、それぞれを証明することが必要である。先に磯部ら6)による診断基準を表で示した。この基準を脊髄初発多発性硬化症との鑑別に適用した場合、感度93.3%、特異度93.3%、陽性的中率は82.4%、陰性的中率は97.7%であった。鑑別として、寄生虫性脊髄炎、多発性硬化症、膠原病、HTLV1関連脊髄症、サルコイドーシス、視神経脊髄炎、頸椎症性脊髄症、脊髄腫瘍、脊髄血管奇形を除外することが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)第2回の全国臨床疫学調査の結果では、全体の約60%でステロイド治療が行われ、約80%で有効性を認めている。血漿交換療法が選択されたのは全体の約25%で、約80%で有効であった。AMの治療においてほとんどの症例はパルス療法を含む、ステロイド治療により効果がみられるが、ステロイド治療が無効の場合には、血漿交換が有効な治療の選択肢となりうる。再発、再燃の予防については、アトピー性疾患が先行して発症、再燃することが多いことから、基礎となるアトピー性疾患の沈静化の持続が重要と推測される。4 今後の展望当教室ではAMの病態解明を目的とし、アトピー性疾患モデルマウスにおける神経学的徴候の評価と中枢神経の病理学的な解析を行い、その成果は2016年に北米神経科学学会の学会誌“The Journal of Neuroscience”に掲載された7)。モデル動物により明らかとなった知見として、(1)アトピー性疾患モデルマウスでは足底触刺激に対しアロディニアを認める、(2)脊髄後角ではミクログリア、アストログリア、神経細胞が活性化している、(3)ミクログリアとアストログリアではEDNRBの発現が亢進し、EDNRB拮抗薬の前投与により脊髄グリア炎症を抑制すると、神経細胞の活性化が抑えられ、アロディニアが有意に減少したというもので、AMに伴う神経障害性疼痛に脊髄グリア炎症ならびにET1/EDNRB経路が大きく関わっていることを見出している。5 主たる診療科神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター アトピー性脊髄炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報アトピー性脊髄炎患者会 StepS(AM患者と家族向けの情報)1)Kira J, et al. J Neurol Sci. 1997;148:199-203.2)Osoegawa M, et al. J Neurol Sci. 2003;209:5-11.3)Isobe N, et al. Neurology. 2009;73:790-797.4)Isobe N, et al. J Neurol Sci. 2012;316:30-35.5)Kikuchi H, et al. J Neurol Sci. 2001;183:73-78.6)Osoegawa M, et al. Acta Neuropathol. 2003;105:289-295.7)Yamasaki R, et al. J Neurosci. 2016;36:11929-11945.8)Kanamori Y, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:29-35.公開履歴初回2017年11月14日

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ペストに気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回はペストについてご紹介したいと思います。えっ? 前回は「次はバベシア症だ」と言ってたじゃないかですって? いやいや、今はバベシア症についてお話している場合じゃないんです! そもそもバベシア症の話なんて、誰が聞きたいんですかッ!?(じゃあそもそも予定すんなよって話ですが)人類とペストの歴史今、ペストがチャバイことになっています。アフリカ大陸の右下にあるマダガスカルでペストが、アウトブレイクしているのですッ! 我々は早急にペストに備えなければなりませんッ! こんなに原稿が遅れている場合ではないッ!さて、皆さんはペストについて、どれくらいご存知でしょうか。まず、ペストは別名「黒死病」ってご存知ですか? ヤバくないですか、「黒」・「死」・「病」ですよ。何か「邪王炎殺黒龍波」みたいな厨二病っぽい響きがありますね。というか、ペストは実際に超ヤバイ感染症なのですッ!人類とペストの歴史は古く、ヨーロッパでは西暦542~543年にかけて東ローマ帝国で流行したそうです。さらにさかのぼれば、2,800~5,000年前のアジアとヨーロッパのヒトの歯の化石から、ペストのDNAが検出されたという報告もあります1)。人間とペストとの戦いは少なくとも5,000年以上は続いているのですッ! 最大の流行は14世紀で、アジアから始まった流行はヨーロッパまで波及し、何とこのとき世界の人口の3割がペストで亡くなったと言われています。世界人口の3割…ペスト、恐るべしです。フランスのルーブル美術館にある『ジャファのペスト患者を訪れるナポレオン、1799年3月11日』は、その名の通り1799年にペスト患者を見舞うナポレオンの様子を描いた絵ですが、中央の患者は腺ペストの患者で、腋窩リンパ節が腫れているのが分かります。ナポレオンは、じかに触ろうとしていますね。腺ペストは、ノミに刺されることによって感染します。また、腺ペストの患者の体液に曝露すると、ヒト-ヒト感染が成立しますし、肺ペストの感染者やげっ歯類から飛沫感染によっても感染します。実際にこの時代、17世紀の医師はペスト患者を診察するときは図1のような衣装を着ていたそうです。いわゆる当時の個人用防護具(personal protective equipment:PPE)ですね。画像を拡大するそんなわけで、有史以来人類はペストと戦ってきたわけですが、日本も例外ではありません。1896年以降、ペスト患者が日本でも報告されています。『明治の避病院-駒込病院医局日誌抄』(磯貝元 編)という本には、当時の駒込病院の医師であった横田 利三郎氏が、「ペスト患者のリンパ節を切開し、血液が顔にかかったことで自身もペストに罹患し、亡くなった」と書かれています。このように日本でもペストはかつて被害をもたらした感染症なのです。と、ペストと人類の歴史を語ってきましたが、何だかこんな風に説明するとペストは過去の感染症のように思われるかもしれませんが、そうではありませんッ!ペストは今も局所的に流行しているのですッ!現在進行形のペストの流行図2は、世界保健機関が発表したペストの流行地域(2016年3月時点)を示した世界地図です。今でもペストに感染するリスクがある地域の存在が、お分かりいただけるかと思います。何とあのアメリカ合衆国でも、いまだにペスト患者が報告されているのです。とくにニューメキシコ州北部、アリゾナ州北部、コロラド州南部で症例が多く報告されています。アジアやアフリカでも流行していますね。画像を拡大するそして、この世界地図でも赤く塗られているように、マダガスカルでもペストは流行地域に指定されているのですが、今年はとくに大規模なアウトブレイクが起こっています(図3)。すでに1,800例以上のヒト感染例が報告されており、さらにチャバイことに、症例の大半が「肺ペスト」なのですッ!(図4)2)画像を拡大する画像を拡大する通常ペストは、ノミの刺咬によって起こる「腺ペスト」の病型が一般的であり、肺ペストの病型はまれだと言われています。しかし、今回のマダガスカルのアウトブレイクでは、肺ペストの症例が7割以上を占めているのです。この意味するところは、患者からのエアロゾル吸入による「ヒト-ヒト感染」が持続的に起こっているということなのですッ! マダガスカルでの死者は、すでに120例を超えているようです(致死率7%)。日本に住む我々も決して他人事ではない状況になってきています。というわけで、今回はペストの歴史と疫学について学びましたが、次回はペストに備えるために、ペストの感染経路、臨床像、そして治療について学びたいと思いますッ!1)Rasmussen S, et al. Cell.2015;163:571-582.2)Madagascar Plague Outbreak:External Situation Report #7: 31 October 2017.

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ビタミンDはがんを予防するのか?/BMJ

 ビタミンDの血中濃度とがんリスクに因果関係は存在するのか。ギリシャ・University of IoanninaのVasiliki I Dimitrakopoulou氏らは、同関連を明らかにするため、大規模遺伝子疫学ネットワークのデータを用いたメンデルランダム化試験にて検討を行った。その結果、評価を行った7種のがんいずれについても、線形の因果関係を示すエビデンスはほとんどなかったという。ただし、臨床的に意味のある効果の関連を、完全に否定はできなかった。BMJ誌2017年10月31日号掲載の報告。大規模遺伝子疫学ネットワークを用いて、7種のがんについて関連を評価 検討は、がんにおける遺伝的関連とメカニズム(Genetic Associations and Mechanisms in Oncology:GAME-ON)、大腸がんの遺伝的研究・疫学コンソーシアム(Genetic and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium:GECCO)、前立腺がんのゲノム変異に関する研究グループ(Prostate Cancer Association Group to Investigate Cancer Associated Alterations in the Genome:PRACTICAL)とMR-Baseプラットホームを通じて、がん患者7万563例とその対照8万4,418例のデータを入手し評価を行った。 がん患者の内訳は、前立腺がん2万2,898例、乳がん1万5,748例、肺がん1万2,537例、大腸がん1万1,488例、卵巣がん4,369例、膵臓がん1,896例、神経芽細胞腫1,627例であった。 ビタミンDと関連する4つの一塩基遺伝子多型(rs2282679、rs10741657、rs12785878、rs6013897)を用いて、血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)のマルチ多型スコアを定義し評価した。 主要アウトカムは、大腸がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、神経芽細胞腫の発生リスクで、逆分散法を用いて特異的多型との関連を評価した。尤度ベースアプローチでの評価も行った。副次アウトカムは、性別、解剖学的部位、ステージ、組織像によるがんサブタイプに基づく評価であった。関連を示すエビデンスはほとんどない 7種のがんおよびそのサブタイプすべてにおいて、25(OH)Dマルチ多型スコアとの関連を示すエビデンスは、ほとんどなかった。 具体的に、25(OH)D濃度を定義した遺伝子の25nmol/L上昇当たりにおけるオッズ比は、大腸がん0.92(95%信頼区間:0.76~1.10)、乳がん1.05(0.89~1.24)、前立腺がん0.89(0.77~1.02)、肺がん1.03(0.87~1.23)であった。この結果は、その他2つの解析アプローチの結果と一致していた。なお、試験の相対的効果サイズの検出力は中程度であった(たとえば、大部分の主要がんアウトカムについて、25(OH)Dの25nmol/L低下当たりのオッズ比は1.20~1.25であった)。 著者は、「これらの結果は、既報文献と合わせて、がん予防戦略として、ビタミンD不足の広範な集団スクリーニングとその後の広範にわたるビタミンDサプリメントの推奨をすべきではないとのエビデンスを提供するものであった」とまとめている。

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高齢者のPCI、短期DAPTでのDES vs.BMS/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける高齢患者において、薬剤溶出ステント(DES)を用い抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を短期間とする戦略は、ベアメタルステント(BMS)を用いDAPTを短期間とする戦略よりも予後は良好であり、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中および虚血による標的病変血行再建の発生に関しては同程度であることが示された。フランス・パリ第5大学のOlivier Varenne氏らによる無作為化単盲検試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年10月31日号で発表された。高齢患者は通常、DAPTの継続を短縮するために、DESの代わりにBMSの留置を受ける。研究グループは、高齢患者においてDAPTを短期間とした場合の両ステント間のアウトカムを比較する検討を行った。DAPT投与期間を事前に計画し、DES群またはBMS群に無作為化 試験は9ヵ国、44ヵ所の医療施設から患者を集めて行われた。被験者は、75歳以上で安定狭心症、無症候性心筋虚血、急性冠症候群を有し、70%以上狭窄の冠動脈が1枝以上(左主幹部50%以上)でPCI適応とみなされる患者を適格とした。除外基準は、冠動脈バイパス術による心筋血管再生手術の適応、DAPTに対する忍容性・獲得性・順守性がない、追加手術の必要性、1年以内に生命を脅かす非心臓疾患の併存、出血性脳卒中の既往、アスピリンまたはP2Y12阻害薬に対するアレルギー、P2Y12阻害薬禁忌、左心筋10%未満の無症候性虚血で冠血流予備量比0.80以上であった。 DAPTの計画投与期間が記録された後(安定症状患者は1ヵ月間、不安定症状患者は6ヵ月間)、被験者は中央コンピュータシステムによって、DESまたはBMSを受ける群のいずれかに無作為に割り付けられた(試験施設および抗血小板薬で層別化も実施)。割り付けは単盲検(患者はマスキングなど)で行われたが、アウトカムの評価者はマスキングされた。 主要アウトカムは、intention-to-treat集団における1年時点の重大有害心・脳血管イベント(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、虚血による標的病変血行再建)の両群間の比較であった。イベント評価は、30日、180日、1年時点のそれぞれで行った。1年時点の主要複合エンドポイントの発生、DES群が有意に低下 2014年5月21日~2016年4月16日に、患者1,200例が無作為化を受けた(DES群596例[50%]、BMS群604例[50%])。被験者の平均年齢は81.4歳(SD 4.3)、男性が747例(62%)であった。全体的にプロファイルは典型的な高齢者ハイリスク患者であることを示し、高血圧(各群72%、81%)、高コレステロール血症(52%、53%)、心房細動(17%、18%)などを有していた。既往歴は、一部を除外すればほぼバランスが取れていた。DAPT投与計画は、1ヵ月投与が全体で57%(各群55%、59%)を占め、同計画群の90%が安定狭心症または無症候性虚血の患者で、DES群とBMS群で差はなかった。6ヵ月投与は、ベースラインで急性冠症候群が認められた患者が大半を占めた(83%)。試験期間中のアスピリン用量中央値は100mg(IQR:75~100)、プラスグレル投与患者の半数は5mg/日量であった。また、88%(1,057例)の患者のP2Y12阻害薬がクロピドグレルであった。 主要複合エンドポイントの発生は、DES群68例(12%)、BMS群98例(16%)で報告された(相対リスク[RR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.52~0.94、p=0.02)。 1年時点の出血合併症の発現頻度は両群ともにまれで、DES群26例(5%)vs.BMS群29例(5%)であった(RR:0.90、95%CI:0.51~1.54、p=0.68)。ステント血栓症の発現頻度も同様であった(3例[1%]vs.8例[1%]、RR:0.38、95%CI:0.00~1.48、p=0.13)。 結果を踏まえて著者は、「出血イベントのリスクを減らすための短期BMS様DAPTレジメンとともに、血行再建術の再発リスクを減らすためのDESとの組み合わせ戦略は、PCIを受ける高齢患者の魅力的な選択肢である」と述べている。

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アストラゼネカ、epacadostatのIncyte社と肺がん臨床試験で連携

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)と同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門MedImmuneは2017年10月31日、Incyte社(本社:米国デラウェア州、CEO:Herve Hoppenot)との共同臨床開発を拡大すると発表した。 本契約の一環として両社は、同時化学放射線療法(CCRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能の局所進行(Stage III)NSCLC患者を対象とする第III相試験を実施。アストラゼネカの抗PD-L1抗体durvalumabとIncyte社のIDO1酵素阻薬epacadostatの併用とdurvalumab単剤との有効性および安全性を評価する。患者登録は、2018年上半期から開始予定。 Stage III肺がんはNSCLCの罹患数の約3分の1を占めており、2016年には上位7ヵ国において約10万5,000人が罹患したと推定される。これらの患者の70%超は切除不能である。現在の標準治療はCCRTで、その後は進行の有無について注意深い経過観察が行われる。予後は依然として不良であり、長期生存率は低率である。 epacadostatは、開発中の強力かつ選択的なIDO1酵素の経口阻害薬。すでに、切除不能または転移メラノーマ、NSCLC、肝細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、および膀胱がん患者を対象とする単群試験により、epacadostatと免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の概念実証(Proof-of-Concept)が示されている。これらの試験において、CTLA-4阻害薬イピリムマブもしくはPD-1阻害薬ペムブロリズマブまたはニボルマブとepacadostatの併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤単剤に比べて奏効率を改善することが示された。■参考AstraZeneca(グローバル)メディアリリース■関連記事epacadostat・ペムブロリズマブ併用で進行性メラノーマのPFSが12ヵ月に(ECHO-202試験)/ESMO2017

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心原性ショックを伴う急性心筋梗塞、まずは責任病変のPCIを/NEJM

 心原性ショックを伴う多枝病変の急性心筋梗塞(AMI)患者において、同時多枝経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施した患者よりも、最初に責任病変のみにPCIを実施した患者のほうが、死亡または腎代替療法につながる重症腎不全の30日複合リスクが低かった。ドイツ・ライプチヒ大学病院のHolger Thiele氏らが、CULPLIT-SHOCK試験の結果を報告した。心原性ショックを伴うAMI患者では、PCIによる責任動脈の早期血行再建が予後を改善するが、心原性ショック状態の患者の多くは多枝病変を有しており、非責任動脈の狭窄に対してPCIをただちに行うかどうかについては、なお議論の的となっていた。NEJM誌オンライン版2017年10月30日号掲載の報告。AMI患者約700例を、責任病変単独PCI群と多枝PCI群に無作為化 CULPLIT-SHOCK試験(Culprit Lesion Only PCI versus Multivessel PCI in Cardiogenic Shock trial)は、欧州で行われた多施設共同無作為化非盲検試験である。対象は心原性ショックを伴う多枝病変のAMI患者706例で、責任病変のみにPCIを施行する責任病変単独PCI群(段階的に非責任病変の血行再建術も行う選択肢を伴う)と、責任病変と同時に非責任病変に対してもPCIを施行する多枝PCI群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、無作為化後30日以内の死亡または腎代替療法を要する重症腎不全の複合で、安全性エンドポイントは、出血(BARC出血基準でタイプ2・3・5)および脳卒中などとした。intention-to-treat解析を行い、カイ2乗検定を用いて事象発生率を比較した。責任病変単独PCI群で死亡/重症腎不全リスクが17%減少 30日時点で、主要複合エンドポイントは、責任病変単独PCI群344例中158例(45.9%)、多枝PCI群341例中189例(55.4%)に認められた(相対リスク:0.83、95%信頼区間[CI]:0.71~0.96、p=0.01)。多枝PCI群に対する責任病変単独PCI群の死亡の相対リスクは0.84(95%CI:0.72~0.98、p=0.03)で、腎代替療法の相対リスクは0.71(95%CI:0.49~1.03、p=0.07)であった。 血行動態安定までの期間、カテコラミン療法のリスクとその期間、トロポニンT値、クレアチニンキナーゼ値、および出血/脳卒中の発生率に関しては、両群間で有意差は確認されなかった。 著者は研究の限界として、非盲検試験であり、最終同意を得られず評価できなかった患者がいたこと、割り付けられた治療から他の治療に変更した患者が75例いたことなどを挙げている。

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クローン病のタイトコントロールは有益/Lancet

 中等症~重症の早期クローン病患者において、臨床症状とバイオマーカーの組み合わせに基づく抗腫瘍壊死因子療法の適時escalation戦略は、症状のみで治療方針を決定するよりも、臨床的および内視鏡的アウトカムを改善することが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のJean-Frederic Colombel氏らが、22ヵ国74施設で実施した無作為化第III相試験「CALM試験」の結果を報告した。便中カルプロテクチン(FC)やC反応性蛋白(CRP)など腸炎症のバイオマーカーは、クローン病患者のモニタリングに推奨されてきたが、これらを用いた治療方針の決定がクローン病患者の予後を改善するかどうかは不明であった。Lancet誌オンライン版2017年10月31日号掲載の報告。臨床症状+バイオマーカーに基づくクローン病の治療決定の有効性を評価 CALM試験の対象は、内視鏡的活動期(クローン病内視鏡的活動指数[CDEIS]>6、1つ以上の区域でのCDEISサブスコア合計>6、ベースラインのprednisone投与量に応じたクローン病活動指数[CDAI]150~450、免疫調整薬や生物学的製剤の治療歴がない)にある18~75歳の中等症~重症クローン病患者で、タイトコントロール群または標準コントロール群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(喫煙状況、体重および罹患期間で層別化)。割り付け時期は、prednisone導入療法8週後、または疾患活動期の場合は早期に導入とした。 両群とも治療は、未治療→アダリムマブ導入→アダリムマブ隔週→アダリムマブ毎週→アダリムマブ毎週+アザチオプリン2.5mg/kg/日の連日投与へ、段階的に増量さらに免疫調整剤との併用療法を行った。このescalation戦略は、治療失敗基準(treatment failure criteria)に基づき両群で異なった。タイトコントロール群は、便中カルプロテクチン≧250μg/g、CRP≧5mg/L、CDAI≧150、または前週のprednisone使用に基づき、標準コントロール群は、ベースライン時と比較したCDAI減少<100点/CDAI≧200、または前週のprednisone使用に基づいた。また、アダリムマブ毎週+アザチオプリン投与、もしくはアダリムマブ単独を毎週投与の患者で、治療失敗基準を満たさない場合はde-escalation(いずれもアダリムマブ投与を毎週→隔週に)が可とした。 主要エンドポイントは、無作為化後48週間の深部潰瘍を伴わない粘膜治癒(CDEIS<4)とし、intention-to-treat解析にて評価した。クローン病のタイトコントロール群で粘膜治癒率は改善、有害事象は有意差なし 2011年2月11日~2016年11月3日の期間に、244例(平均[±SD]罹患期間:標準コントロール群0.9±1.7年、タイトコントロール群1.0±2.3年)が登録され、両群に122例ずつ無作為に割り付けられた。標準コントロール群29例(24%)およびタイトコントロール群32例(26%)が、有害事象等により試験を中断した。 48週時に深部潰瘍を伴わない粘膜治癒(CDEIS<4)に達した患者の割合は、タイトコントロール群が標準コントロール群よりも有意に高かった(56例[46%]vs.37例[30%])。Cochran-Mantel-Haenszel検定法を用いた補正後リスク差は16.1%(95%信頼区間[CI]:3.9~28.3、p=0.010)であった。 治療関連有害事象は、タイトコントロール群で105例(86%)、標準コントロール群で100例(82%)に認められた。治療関連死は発生しなかった。主な有害事象は、タイトコントロール群では悪心21例(17%)、鼻咽頭炎18例(15%)、頭痛18例(15%)、標準コントロール群ではクローン病の悪化35例(29%)、関節痛19例(16%)、鼻咽頭炎18例(15%)であった。 著者は、「CALM試験は、早期クローン病患者において、臨床症状とバイオマーカーの組み合わせに基づく抗腫瘍壊死因子療法の適時escalationが、症状のみの治療方針の決定よりも、良好な臨床的および内視鏡的アウトカムに結び付くことを示した初の試験である。さらなる試験を行い、腸損傷、手術、入院、障害などの長期アウトカムへの適時escalation治療戦略の効果を評価する必要がある」とまとめている。

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日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ、他の抗体との違いも

 抗PD-L1抗体として日本で初めて、アベルマブ(商品名:バベンチオ)が9月27日に承認された。アベルマブは、今回承認されたメルケル細胞がん(MCC)以外に、胃がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、リンパ腫、固形がんに対して、国内で臨床試験を実施している。11月6日、共同開発を進めるメルクセローノ株式会社とファイザー株式会社によるプレスセミナーが開催され、西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野 分野長)と山﨑 直也氏(国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科 科長)が講演した。アベルマブは他の抗PD-L1抗体にはないプラスαがある可能性 抗PD-L1抗体と抗PD-1抗体の抗腫瘍効果は、T細胞活性化を調節する免疫チェックポイント経路の1つであるPD-L1/PD-1経路の阻害による。がん細胞は免疫から逃れるために、PD-L1を発現しT細胞のPD-1に結合することによって、T細胞活性化を抑制する。そこで、抗PD-L1抗体はがん細胞のPD-L1に、抗PD-1抗体はT細胞のPD-1に結合することによって、PD-L1 とPD-1の結合を阻害してT細胞を活性化し、抗腫瘍効果を発揮する。 抗PD-1抗体としては、すでにニボルマブとペムブロリズマブが承認されているが、抗PD-L1抗体ではアベルマブが国内で初めて承認された。現在、アベルマブ以外の抗PD-L1抗体はatezolizumab、durvalumabが開発されているが、西川氏によると、アベルマブは他の2剤とは異なるという。すなわち、アベルマブはヒト化IgG1抗PD-L1モノクローナル抗体(他の2剤はIgG4)であり、がん細胞のPD-L1に結合したアベルマブに、NK細胞やマクロファージのFc受容体が結合することによってがん細胞を直接攻撃するADCC(抗体依存性細胞傷害)活性があることがマウスで認められているという。西川氏は「このようなプラスαの作用があることがヒトではいいのかどうか、今後の臨床データ次第ではあるが注目すべき点だ」と述べた。アベルマブは標準治療がなかったMCCに対する初めての治療薬 今回承認されたMCCは、米国では2006年の新規患者が約1,600人で、10年で2倍に増加している。わが国の年間新規患者は100人前後と推定され、山﨑氏によると「国立がん研究センターにおける今年の新規患者は月に1人くらい」だという。 MCCは悪性度の高い皮膚がんの1つで、遠隔転移症例では1~2年以内に死亡する。進行期における標準治療は確立されておらず、従来の化学療法(プラチナ製剤±エトポシド)による1次治療の奏効率は55%である。しかし、いったん小さくなってもすぐに無効となるため、奏効期間(DOR)中央値は約3ヵ月で非常に短かったと山﨑氏は説明した。一方、アベルマブによる臨床試験成績は、転移MCCに対する1次治療のコホートの中間解析時の奏効率が62.5%、2次治療以降のコホートでは、奏効率31.8%、6ヵ月奏効持続率93%、12ヵ月奏効持続率74%と、効果が持続することを強調した。 山﨑氏はアベルマブを「進行が速く予後不良ながんでありながら承認薬剤がなかったMCCに初めて標準治療薬が承認され、その効果も高い」と評価し、さらに今後、術後再発予防として使用できる可能性についても期待を示した。

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米国のうつ病、どのような患者で増加しているか

 うつ病は、重大な疾患、有病率、死亡率に関連している。米国・イェシーバー大学のA. H. Weinberger氏らは、2005~15年までの米国におけるうつ病の有病率を推定し、人口統計学的サブグループにより分析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年10月12日号の報告。 12歳以上の米国人(全分析サンプル:60万7,520例)を対象とした、年1回の横断研究であるNSDUH(National Survey on Drug Use and Health)のデータを用いた。過去のうつ病有病率は、2005~15年の回答者の中から毎年調査した。調査年別に層別化されたうつ病の有病率における時間傾向は、ロジスティック回帰を用いて調べた。年齢、性別、人種や民族、所得、教育によりデータを層別化し、再分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・2005~15年にかけて、米国におけるうつ病の有病率は、人口統計学的に調整した前と後で有意に増加していた。・最年少群、最年長群、男性、女性、非ヒスパニック系白人、最低所得群、最高教育群、最高所得群において、うつ病の有意な増加が認められた。・年と人口統計との間の有意な相互作用は、年齢において発見された。・若者のうつ病の増加率は、すべての高齢者群と比べて有意に急速であった。 著者らは「米国におけるうつ病の有病率は、2005~15年にかけて有意に増加していた。若者のうつ病増加率は、高齢者群と比べて有意に急速であった。人口統計学的サブグループに特有の要因を含む、マクロレベル、ミクロレベルおよびうつ病の増加に起因する個々の要因を理解するためのさらなる研究は、公衆衛生予防および介入方法を明らかにするうえで役立つであろう」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか米国の認知症有病率が低下、その要因は

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失明や視力障害が世界的に増加の見込み、原因は?

 世界的な失明/視力障害の主たる原因は、白内障および屈折異常であり、これらの患者数は世界人口の増加と高齢化により著しく増加していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSeth R. Flaxman氏らによるメタ解析で明らかとなった。白内障は手術で、屈折異常は矯正用眼鏡で回復可能である。著者は、「アイケアの提供を拡大して患者の増加に対処し、回避可能な失明に対して取り組む必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。世界の失明者3,600万人の主な原因は白内障で1,260万人 研究グループは、公衆衛生の政策を策定するうえで重要となる失明/視力障害の原因について明らかにし、2020年までの予測を立てるため、視力障害および失明の原因に関する世界の地域住民ベースの研究(1980~2014年における発表/未発表)データのシステマティックレビューとメタ解析を行った。MEDLINE、Embase、WHO Library Databaseにて、2014年7月8日以前に発表された地域住民ベースの研究を、言語を問わず検索し特定した。 回帰モデルを用い、中等度~重度視力障害(視力0.05以上0.3未満と定義)および失明(視力0.05未満)の割合を、原因、年齢、地域および年別に推定した。 世界的な失明/視力障害の原因を解析した主な結果は以下のとおり。・世界98ヵ国からのデータが集約された288件の研究(参加者398万3,541例)が組み込まれた。・2015年の推定中等度~重度視力障害者数は世界で2億1,660万人(80%不確定性区間[UI]:9,850万~3億5,910万)で、その主な原因は、未矯正の屈折異常1億1,630万人(80%UI:4,940万~2億210万)、白内障5,260万人(1,820万~1億960万)、加齢黄斑変性840万人(90万~2,950万)、緑内障400万人(60万~1,330万)、糖尿病性網膜症260万人(20万~990万)であった。・2015年の推定失明者数は世界で3,600万人(80%UI:1,290万~6,540万)で、その主な原因は、白内障1,260万人(80%UI:340万~2,870万)、未矯正の屈折異常740万人(240万~1,480万)、緑内障290万人(40万~990万)であった。・2020年には、中等度~重度視力障害者数が世界で2億3,710万人(80%UI:1億150万~3億9,900万)、このうち未矯正の屈折異常が1億2,770万人(5,100万~2億2,530万)、白内障5,710万人(1,790万~1億2,410万)、加齢黄斑変性880万人(80万~3,210万)、緑内障450万人(50万~1,540万)、糖尿病性網膜症320万人(20万~1,290万)に増加すると予想された。・同様に失明者数は2020年には世界で3,850万人(80%UI:1,320万~7,090万)、そのうち白内障が1,340万人(330万~3,160万)、未矯正の屈折異常800万人(250万~1,630万)、緑内障320万人(40万~1,100万)に増加すると予想された。・白内障と未矯正の屈折異常で、2015年の50歳以上における失明者の55%を、また中等度~重度視力障害者の77%を占めていた。・50歳以上の失明/視力障害者の原因は、世界の国/地域によって大きく異なっており、高所得地域では白内障は失明の22%未満、視力障害の14.1~15.9%と低く、加齢黄斑変性が失明の14%超と高かった。・2015年の全年齢層で、糖尿病性網膜症(オッズ比[OR]:2.52、80%UI:1.48~3.73)および白内障(OR:1.21、80%UI:1.17~1.25)による失明/視力障害は男性より女性に多く、一方、緑内障(OR:0.71、80%UI:0.57~0.86)および角膜混濁(OR:0.54、80%UI:0.43~0.66)による失明/視力障害は女性より男性で多く、加齢黄斑変性については男女で差はなかった(OR:0.91、80%UI:0.70~1.14)。

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EGFR-TKI耐性のNSCLCにおけるオシメルチニブ+savolitinibの成績:TATTON/WCLC2017

 EGFR-TKI治療で進行するNSCLC患者の約22%は、MET増幅または他のMETベースの耐性機構を有するとされる。MET増幅はまた、オシメルチニブの耐性獲得後にも多くみられる。METおよびEGFR阻害薬の組み合わせは有効な治療アプローチになると期待される。 MET陽性のEGFR変異陽性NSCLC患者における、オシルチニブとMET-TKI savolitinibの併用を評価した第I相b試験TATTONの用量漸増コホートでは、この併用が許容可能な安全性プロファイルと有効性を有していることを示した。横浜市で開催された第18回世界肺癌会議(WCLC)では、TATTONの拡張コホートにおけるオシメルチニブとsavolitinib併用の安全性および抗腫瘍活性の中間解析が、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏により発表された。 対象患者は、1回以上のEGFR-TKI治療を受けてPDとなった局所進行または転移性のEGFR変異陽性NSCLCで、MET陽性(蛍光in-situハイブリダイゼーション、MET geneコピー5以上またはMET/CEP7比2以上)の患者(18歳以上、WHO PS0~1)。主要評価項目は安全性と忍容性、副次評価項目は抗腫瘍活性(奏効率、奏効期間、腫瘍縮小サイズ)および薬物動態である。 データカットオフ時(2017年4月15日)、T790M陽性で第3世代EGFR-TKIの治療を受けた患者30例、T790M陽性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療を受けた患者12例、T790M陰性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療を受けた患者24例が登録され、オシメルチニブ80mg/日とsavolitinib 600mg/日の投与受けた。ベースラインでの患者の年齢中央値は58歳、女性が58%、アジア人が86%であった。 全Gradeの有害事象(AE)は92%に発現した(Grade2以下41%、3以上50%)。頻度の高い項目は、悪心44%、嘔吐35%、食欲不振30%、疲労30%、皮疹23%などであった。 中央評価でMET陽性の47例の中間解析の奏効率(ORR)は、全体で40%(19/47例)、T790M陽性で第3世代EGFR-TKI前治療群のORRは28%(7例/25例)、T790M陽性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療群のORRは57%(4/7例)、T790M陰性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療群のORRは57%(8/15例)であった。施設評価も含めた全MET陽性の64例のORRは、全体で47%(30/67例)、T790M陽性で第3世代EGFR-TKI前治療群のORRは33%(10/30例)、T790M陽性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療群のORRは55%(6/11例)、T790M陰性で第3世代EGFR-TKI以外の前治療群のORRは61%(14/23例)であった。 savolitinibとオシメルチニブ併用の安全性プロファイルは以前の報告と一致していた。また、この併用は前治療における第3世代TKIの使用、および耐性後のT790M変異の状況を問わず、期待できる抗腫瘍効果をMET陽性患者で示した。

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