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日本人統合失調症患者に対するオランザピン使用と安静時心拍数への影響

 抗精神病薬(ATP)が頻脈を引き起こすことは、ずいぶん前から知られていたが、ATPの違いによってどのような変化が生じるかなどの詳細は、よくわかっていない。近年、一般集団において、安静時心拍数(RHR)の上昇と死亡リスクの増加との関連が注目されている。新潟大学の田尻 美寿々氏らは、オランザピン(OLZ)とアリピプラゾール(ARP)がRHRに与える作用の違いについて調査を行った。PLOS ONE誌2018年7月17日号の報告。 研究1では、統合失調症外来患者19例を対象に、OLZからARPへの切り替え時のRHRの変化を評価した。研究2では、統合失調症外来患者29例を対象に、OLZ開始用量からOLZ最終用量時のRHRの変化を評価した。RHRの分析には、心電図測定値を用いた。また同日に、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を評価し、電解質検査を行うために、1晩絶食(8時間以上)後の空腹時血液サンプルを採取した。両研究は、新潟大学倫理審査委員会の承認を得て実施され、新潟大学医歯学総合病院の精神科外来で治療が行われた。すべての患者は、DSM-IV-TRに基づき統合失調症と診断された。 主な結果は以下のとおり。・研究1では、OLZ用量(平均±SD)14.6±9.2mgからARP用量20.8±8.1mgへ切り替えられた。・ARPに切り替え後、平均RHRの有意な減少が認められた(73.7±9.7回/分 vs.65.8±10.9回/分、p=0.008)。・研究2では、OLZ開始用量(平均±SD)7.2±3.2mgであり、最終的に用量は18.3±7.4mg増加した。・OLZ増量後、平均RHRの有意な上昇が認められた(69.7±14.0回/分 vs.75.6±14.3回/分、p=0.004)。 著者らは「OLZはARPと比較し、RHR増強作用がより強く、その作用は用量依存的であることが示唆された。RHRの上昇が統合失調症患者の死亡率を増加させるとするならば、強力な抗コリン作用を有する第2世代抗精神病薬やフェノチアジン系抗精神病薬のRHRに対する作用に関して、ATP間での差異をさらに調査する必要があるだろう」としている。■関連記事第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

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メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な患者へのSU薬の上乗せは心血管イベント・総死亡のリスクを増加しない(解説:住谷哲氏)-900

 低血糖と体重増加のリスクはすべてのSU薬に共通であるが、SU薬が2型糖尿病患者の心血管イベントおよび総死亡のリスクを増加させるか否かは現在でも議論が続いている。発端は1970年に発表されたUGDP(University Group Diabetes Program)1)において、SU薬であるトルブタミド投与群で総死亡リスクが増加したことにある。その後の研究でこの疑念は研究デザイン上の不備によることが明らかとなり、トルブタミドと総死亡リスク増加との間には関連がないことが証明された。しかし安全性を重視するFDAはUGDPの結果に基づいて、現在においてもすべてのSU薬の添付文書に“increased risk of cardiovascular mortality”と記載している。 1998年に発表されたUKPDS 33が実施された目的の1つは、UGDPで疑われたSU薬の総死亡リスク増加の可能性を再検討することであった。その結果、SU薬は低血糖、体重を増加させるが細小血管合併症を減少し、心血管イベントおよび総死亡のリスクを増加させないことが明らかにされた。それでは低血糖、体重増加のリスクはあるが、心血管イベントおよび総死亡のリスクは増加させないSU薬は血糖降下薬の第1選択薬となりうるかといえば否である。その理由はメトホルミンがUKPDS 34において2型糖尿病患者の総死亡のリスクを減少させることが明らかにされたからである。UKPDS 33/34の結果を合わせて考えると、2型糖尿病患者の心血管イベントおよび総死亡のリスクに関して、SU薬はneutralであり、メトホルミンはbeneficialである、とするのが正しい解釈と思われる。初回治療患者(これまでに一度も血糖降下薬を投与されたことがない患者)に投与することで総死亡を減少させた血糖降下薬は、現在までメトホルミンのみである。したがって、何らかの理由でメトホルミンが投与できない初回治療患者にSU薬を投与することは、低血糖および体重増加のリスクを許容する条件下で正当化される。 ではメトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である場合に、次にどの薬剤を上乗せすべきだろうか? 次々に発表されるCVOT(cardiovascular outcome trial)の結果に基づいて、ASCVD(atherosclerotic cardiovascular disease)を有する患者においてはSGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬がメトホルミンへ上乗せすべき薬剤として推奨されつつある。しかし現実には、安価なSU薬がメトホルミンへの上乗せ薬剤として多く使用されている。そこで本論文では、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者において、SU薬への切り替え、または上乗せが、心血管イベント、総死亡、重症低血糖のリスクの増加と関連するか否かを検討した。これまでメトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者のメトホルミンをSU薬に切り替えた際に、心血管イベント、総死亡、重症低血糖のリスクが増加するか否かを検討したランダム化比較試験および観察研究はない。メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者へSU薬を上乗せした際の有効性と安全性を検討したランダム化比較試験には、昨年発表されたTOSCA.IT2)があるが、これはピオグリタゾンとの比較であり、SU薬の有効性および安全性を厳密には評価できない。 リアルワールドエビデンスはランダム化比較試験の短所を補完するエビデンスとして近年脚光を浴びているが、厳密な手法を用いない解析は観察研究であるが故に多くのバイアスを含んでいる可能性がある。本論文の著者であるSuissa博士は著名な疫学者であるが、これまでメトホルミン3)、SU薬4)、SGLT2阻害薬5)に関する観察研究においてバイアスを適切に制御しなかった結果、誤った結論が導かれている可能性を指摘してきた。本研究では彼らが開発したprevalent new-user design6)を用いて、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な患者に対するsecond-line(メトホルミンからの切り替え、またはメトホルミンへの上乗せ)としてのSU薬と心血管イベント、総死亡、重症低血糖との関連を検討した。 テキストでは切り替え群と上乗せ群がまとめて報告されているために理解が困難な点があるので、SupplementのeTable5を参考にする必要がある。eTable5の結果をまとめると、メトホルミンからSU薬への切り替え群では、メトホルミン単独療法継続と比較すると心筋梗塞(HR:1.73、95%CI:1.32~2.26)、心血管死(HR:1.56、1.24~1.97)、全死亡(HR:1.60、1.39~1.84)、重症低血糖(HR:8.14、4.74~13.98)はリスク増加を認めたが、虚血性脳卒中(HR:1.21、0.89~1.65)は増加を認めなかった。一方、SU薬の上乗せ群では、心筋梗塞(HR:1.02、0.79~1.31)、虚血性脳卒中(HR:1.26、0.97~1.63)、心血管死(HR:0.95、0.75~1.20)、全死亡(HR:1.09、0.95~1.25)にリスク増加を認めなかったが、重症低血糖はHR 7.27(4.34~12.16)とリスク増加を認めた。 筆者は、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分なためにSU薬へ切り替えたことはほとんどない。他の血糖降下薬を上乗せするのが常である。英国ではこの目的でメトホルミンからSU薬へ切り替えることが一般的かどうかは不明であるが、メトホルミンからSU薬に切り替えるとすればメトホルミンの継続使用が困難な場合だろう。このような場合は患者の予後が不良なことも多く、その結果、総死亡が増加した可能性は否定できない。またSU薬は初回治療患者において心血管イベントおよび総死亡のリスクに関してneutralであることから、切り替え群のみでリスクの増加が認められたのは、メトホルミンを中止することでメトホルミンの持つ心血管イベント、総死亡リスク減少作用がなくなったからとも考えられる。さらに上乗せ群では切り替え群と同程度の重症低血糖が発生しているにもかかわらず、心血管イベント、総死亡のリスクは増加していない。重症低血糖が心血管イベントおよび総死亡のリスク増加の原因として論じられることが多いが、UKPDS 33およびDEVOTE7)(持効型インスリンアナログであるグラルギンU100とデグルデクのランダム化比較試験)の結果はその考えを支持しておらず、重症低血糖と心血管イベントおよび総死亡との関連はそれほど強いものではないのかもしれない。またはメトホルミンには、重症低血糖から心血管イベントへの流れを遮断する何らかの作用がある可能性も考えられる。最後に、上乗せ群でのHbA1cの変化が記載されていないので不明であるが、上乗せ群ではHbA1cが低下したと考えるのが普通だろう。それにもかかわらず心血管イベント、総死亡のリスクは減少しなかった。SU薬を開始した時点でHbA1c>8.0%の患者が50%以上含まれていること(Table 1)を考えると、心血管イベント、総死亡のリスク減少を目的とするのであればSU薬を上乗せすることなく、HbA1c高値を許容してメトホルミン単独療法を継続するほうが重症低血糖のリスクも増加せず、患者にとってはメリットがあることになる。 それでは、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な場合はどうすればよいのか? SU薬のHbA1c低下作用、細小血管合併症抑制作用は確立されている。本論文の結果から、メトホルミンに上乗せする場合においても心血管イベント、総死亡のリスクは増加しないことが示された。メトホルミンへの上乗せにDPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬を処方せずにSU薬を処方する際に感じるなんとなく後ろめたい気持ちは、これからは持つ必要はなさそうである。■参考文献はこちら1)Meinert CL, et al. Diabetes. 1970;19:Suppl:789-830.2)Vaccaro O, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017;5:887-897.3)Suissa S, et al. Diabetes Care. 2012;35:2665-2673.4)Azoulay L, et al. Diabetes Care. 2017;40:706-714.5)Suissa S. Diabetes Care. 2018;41:6-10.6)Suissa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2017;26:459-468.7)Marso SP, et al. N Engl J Med. 2017;377:723-732.

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日本人アルツハイマー病患者に対する長期ドネペジル投与の病態変化と安全性

 アルツハイマー病(AD)患者における、ドネペジル塩酸塩の長期かつ大規模な研究(J-GOLD試験)が実施された。順天堂大学の新井 平伊氏らによる本研究では、これまで2つの中間報告が行われていたが、研究結果の分析が完了し最終報告が行われた。Psychogeriatrics誌オンライン版2018年7月11日号の報告。 本研究では、新規AD治療患者(新たにAD治療を受けた患者)およびAD治療継続患者(試験開始時にADの薬物治療を受けていた患者)を対象としていた。観察期間は、48ヵ月。薬物治療に伴う認知機能の変化および認知症の重症度と、その安全性について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインと比較した認知機能の有意な減少は、新規AD治療患者では24ヵ月後、AD治療継続患者では6ヵ月後に認められた。・ベースラインと比較し、認知症の重症度が改善または維持された患者の割合は、新規AD治療患者では48ヵ月で59.27%、AD治療継続患者では48ヵ月で57.09%であった。・ドネペジル塩酸塩に安全上の大きな問題は認められなかった。■関連記事抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか

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リジン尿性蛋白不耐症〔LPI:lysinuric protein intolerance〕

1 疾患概要■ 定義二塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、オルニチン)の輸送蛋白の1つである y+LAT-1(y+L amino acid transporter-1)の機能異常によって、これらのアミノ酸の小腸での吸収障害、腎での再吸収障害を生じるために、アミノ酸バランスの破綻から、高アンモニア血症をはじめとした多彩な症状を来す疾患である。本疾患は常染色体劣性遺伝を呈し、責任遺伝子SLC7A7の病因変異が認められる。現在は指定難病となっている。■ 疫学わが国での患者数は30~40人と推定されている。■ 病因y+LAT-1 は主に腎、小腸などの上皮細胞基底膜側に存在する(図)。12の膜貫通領域をもった蛋白構造をとり、分子量は約40kDaである。調節ユニットである 4F2hc(the heavy chain of the cell-surface antigen 4F2)とジスルフィド結合を介してヘテロダイマーを形成することで、機能発現する。本蛋白の異常により二塩基性アミノ酸の吸収障害、腎尿細管上皮での再吸収障害を来す結果、これらの体内プールの減少、アミノ酸バランスの破綻を招き、諸症状を来す。所見の1つである高アンモニア血症は、尿素回路基質であるアルギニンとオルニチンの欠乏に基づくと推定されるが、詳細は不明である。また、SLC7A7 mRNAは全身の諸臓器(白血球、肺、肝、脾など)でも発現が確認されており、本疾患の多彩な症状は各々の膜輸送障害に基づく。上述の病態に加え、細胞内から細胞外への輸送障害に起因する細胞内アルギニンの増加、一酸化窒素(NO)産生の過剰なども関与していることが推定されている。画像を拡大する■ 症状離乳期以降、低身長(四肢・体幹均衡型)、低体重が認められるようになる。肝腫大も受診の契機となる。蛋白過剰摂取後には約半数で高アンモニア血症による神経症状を呈する。加えて飢餓、感染、ストレスなども高アンモニア血症の誘因となる。多くの症例においては1歳前後から、牛乳、肉、魚、卵などの高蛋白食品を摂取すると嘔気・嘔吐、腹痛、めまい、下痢などを呈するため、自然にこれらの食品を嫌うようになる。この「蛋白嫌い」は、本疾患の特徴の1つでもある。そのほか患者の2割に骨折の既往を、半数近くに骨粗鬆症を認める。さらにまばらな毛髪、皮膚や関節の過伸展がみられることもある。一方、本疾患では、約1/3の症例に何らかの血液免疫学的異常所見を有する。水痘の重症化、EBウイルスDNA持続高値、麻疹脳炎合併などのウイルス感染の重症化や感染防御能の低下が報告されている。さらに血球貪食症候群、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、関節リウマチ)合併の報告がある。成人期以降には肺合併症として、間質性肺炎、肺胞蛋白症などが増える傾向にある。無症状でも画像上の肺の線維化がたびたび認められる。また、腎尿細管病変や糸球体腎炎も比較的多い。循環器症状は少ないが、運動負荷後の心筋虚血性変化や脳梗塞を来した症例もあり、注意が必要である。■ 分類本疾患の臨床症状と重症度は多彩である。一般には出生時には症状を認めず、蛋白摂取量が増える離乳期以後に症状を認める例が多い。1)発症前型同胞が診断されたことを契機に、診断に至る例がある。この場合も軽度の低身長などを認めることが多い。2)急性発症型小児期の発症形態としては、高アンモニア血症に伴う意識障害や痙攣、嘔吐、精神運動発達遅滞などが多い。しかし、一部では間質性肺炎、易感染、血球貪食症候群、自己免疫疾患、血球減少などが初発症状となる例もある。3)慢性進行型軽症例は成人まで気付かれず、てんかんなどの神経疾患の精査から診断されることがある。■ 予後早期診断例が増え、精神運動発達遅延を呈する割合は減少傾向にある。しかし、肺合併症や腎病変は、アミノ酸補充にもかかわらず進行を抑えられないため、生命予後に大きく影響する。水痘や一般的な細菌感染は、腎臓・肺病変の重症化を招きうる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)高アンモニア血症を来す尿素サイクル異常症の各疾患の鑑別のため血中・尿中アミノ酸分析を提出する。加えてLDHやフェリチンが上昇していれば本疾患の可能性が高まる。確定診断には遺伝子解析を検討する。■ 一般血液検査所見1)血清LDH上昇:600~1,000IU/L程度が多い。2)血清フェリチン上昇:程度は症例によって異なる。3)高アンモニア血症:血中アンモニア高値の既往はほとんどの例でみられる。最高値は180~240μmol/L(300~400μg/dL)の範囲であることが多いが、時に600μmol/L (1,000μg/dL)程度まで上昇する例もある。また、食後に採血することで蛋白摂取後の一過性高アンモニア血症が判明し、診断に至ることがある。4)末梢白血球減少・血小板減少・貧血上記検査所見のほか、AST/ALTの軽度上昇(AST>ALT)、TG/TC上昇、貧血、甲状腺結合蛋白(TBG)増加、IgGサブクラスの異常、白血球貪食能や殺菌能の低下、NK細胞活性低下、補体低下、CD4/CD8比の低下などがみられることがある。■ 血中・尿中アミノ酸分析1)血中二塩基性アミノ酸値(リジン、アルギニン、オルニチン)正常下限の1/3程度から正常域まで分布する。また、二次的変化として、血中グルタミン、アラニン、グリシン、セリン、プロリンなどの上昇を認めることがある。2)尿の二塩基性アミノ酸濃度は通常増加(リジンは多量、アルギニン、オルニチンは中等度、シスチンは軽度)なかでもリジンの増加はほぼ全例にみられる。まれに(血中リジン量が極端に低い場合など)、これらのアミノ酸の腎クリアランスの計算が必要となる場合がある。(参考所見)尿中有機酸分析における尿中オロト酸測定:高アンモニア血症に付随して尿中オロト酸の増加を認める。■ 診断の根拠となる特殊検査1)遺伝子解析SLC7A7(y+LAT-1をコードする遺伝子)に病因変異を認める。遺伝子変異は今まで50種以上の報告がある。ただし本疾患の5%程度では遺伝子変異が同定されていない。■ 鑑別診断初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。1)尿素サイクル異常症の各疾患2)ライソゾーム病3)周期性嘔吐症、食物アレルギー、慢性腹痛、吸収不良症候群などの消化器疾患 4)てんかん、精神運動発達遅滞5)免疫不全症、血球貪食症候群、間質性肺炎初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。<診断に関して留意する点>低栄養状態では血中アミノ酸値が全体に低値となり、尿中排泄も低下していることがある。また、新生児や未熟児では尿のアミノ酸排泄が多く、新生児尿中アミノ酸の評価においては注意が必要である。逆にアミノ酸製剤投与下、ファンコーニ症候群などでは尿アミノ酸排泄過多を呈するので慎重に評価する。3 急性発作で発症した場合の診療高アンモニア血症の急性期で種々の臨床症状を認める場合は、速やかに窒素負荷となる蛋白を一旦除去するとともに、中心静脈栄養などにより十分なカロリーを補充することで蛋白異化の抑制を図る。さらに薬物療法として、L-アルギニン(商品名:アルギU)、フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウムなどが投与される。ほとんどの場合は、前述の薬物療法によって血中アンモニア値の低下が得られるが、無効な場合は持続的血液透析(CHD)の導入を図る。■ 慢性期の管理1)食事療法十分なカロリー摂取と蛋白制限が主体となる。小児では摂取蛋白0.8~1.5g/kg/日、成人では0.5~0.8g/kg/日が推奨される。一方、カロリーおよびCa、Fe、ZnやビタミンDなどは不足しやすく、特殊ミルクである蛋白除去粉乳(S-23)の併用も考慮する。2)薬物療法(1)L-シトルリン(日本では医薬品として認可されていない)中性アミノ酸であるため吸収障害はなく、肝でアルギニン、オルニチンに変換されるため、本疾患に有効である。投与により血中アンモニア値の低下や嘔気減少、食事摂取量の増加、活動性の増加、肝腫大の軽減などが認められている。(2)L-アルギニン(同:アルギU)有効だが、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうるため注意して使用する。なおL-アルギニンは、急性期の高アンモニア血症の治療としては有効であるが、本症における細胞内でのアルギニンの増加、NO産生過剰の観点からは、議論の余地があると思われる。(3)L-カルニチン2次性の低カルニチン血症を来している場合に併用する。(4)フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウム血中アンモニア値が不安定な例ではこれらの定期内服を検討する。その他対症療法として、免疫能改善のためのγグロブリン投与、肺・腎合併症に対するステロイド投与、骨粗鬆症へのビタミンD製剤やビスホスホネート薬の投与、成長ホルモン分泌不全性低身長への成長ホルモンの投与、重炭酸ナトリウム、抗痙攣薬、レボチロキシン(同:チラーヂンS)の投与などが試みられている。4 今後の展望小児期の発達予後に関する最重要課題は、高アンモニア血症をいかに防ぐかである。近年では、早期診断例が徐々に増えることによって正常発達例も増えてきた。その一方で、早期から食事・薬物療法を継続したとしても、成人期の肺・腎合併症は予防しきれていない。その病因として、尿素サイクルに起因する病態のみならず、各組織におけるアミノ酸の輸送障害やNO代謝の変化が想定されており、これらの病態解明と治療の開発が望まれる。5 主たる診療科小児科、神経内科。症状により精神科、腎臓内科、泌尿器科、呼吸器内科への受診も適宜行われている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター リジン尿性蛋白不耐症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Sperandeo MP, et al. Hum Mutat. 2008;29:14-21.2)Torrents D, et al. Nat Genet. 1999;21:293-296.3)高橋勉. 厚労省研究班「リジン尿性蛋白不耐症における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究」厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 平成22年度総括分担研究報告書;2011.p.1-27.4)Charles Scriver, et al(editor). The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York City:McGraw-Hill;2001:pp.4933-4956.5)Sebastio G, et al. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2011;157:54-62.公開履歴初回2018年8月14日

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心房細動患者の認知症発症、降圧薬やワルファリンで2割減

 1万例以上の心房細動患者を対象とした研究で、サイアザイド/レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬併用などの降圧薬処方やワルファリン使用が、認知症発症率の低下と関連していたことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らが報告した。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年7月21日号に掲載。 対象は、スウェーデンのプライマリケアで心房細動と診断された45歳以上の患者1万2,096例(男性6,580例、女性5,516例)。心房細動発症前に認知症と診断されていた患者は除外した。性別、年齢、社会経済的要因および併存疾患を調整し、Cox回帰を用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均5.6年間の追跡期間(6万9,214人年)に750例(6.2%)が認知症を発症した。・サイアザイド処方患者(HR:0.81、95%CI:0.66~0.99)およびワルファリン処方患者(HR:0.78、95%CI:0.66~0.92)は、処方されていない患者に比べて認知症リスクが低かった。・異なる降圧薬(サイアザイド、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAAS阻害薬)の1~4種類の使用は、認知症の減少と関連していた。1剤または2剤の処方患者では、降圧薬を処方されていない患者に比べてHRが0.80(95%CI:0.64~1.00)、3剤または4剤の処方患者のHRは0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。・RAAS阻害薬とサイアザイドの併用は、併用処方されていない患者に比べて有意に認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92)。

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研究方法に疑問(解説:野間重孝氏)-898

 まず評者は精神疾患の専門家ではないので、うつ病そのものに関しての踏み込んだ議論はしないことをお断りして、この論文評を始めることをお許しいただきたい。 この問題を考える場合、2つの方向があることをまず考えておく必要がある。第1は、まずうつ病は冠動脈疾患(CAD)のリスクファクターであるのか否かという問題。そして、もしそうであったとしたなら、それは予後規定因子としてどのくらいの重みを持っているのか。第2は、急性冠症候群(ACS)の患者はどの程度の割合でうつ病を発症するのか。そして、うつ病を発症することが、その予後にどのような影響を与えるのかという問題の立て方である。つまり、両方向から問題が立てられるのである。ただ、ここで注意を促しておきたいのは、第1の問いが真であったとして、うつ病患者でCADに罹患したものを無作為に振り分けて、片方にうつ病の治療を続行し、もう片方にプラセボを投与するといった研究は倫理的に許されるものではなく、大規模な疫学研究の結果を待つか、結果として治療が行われたり行われなかったりしたretrospective studyのメタアナリシスを待つしかないということである。こういうところに臨床研究の限界がある。 うつ病とCADを巡る問題は、1990年代から議論が始まったが、議論は混乱するばかりでなかなか結論が得られなかった。最大の原因は一言で言えば、うつ病をどう定義するかの問題でなかなか一致点が見いだされなかったことである。確かに狭い意味ではDSM-IVにmajor depressive disorder(大うつ病と訳される)が定義されているが、抑うつ状態やいわゆる仮面うつ病まで含めて、うつ病をどの範囲でどう定義すべきかには議論が多く、現在でも一致をみていない。上記第2の問題にしても、ACSになれば将来のこと、家族のことを考えて誰しも抑うつ的になるだろう。それと持続的なうつ病とをどう区別するのか。また自分がACSを経験したことは、大抵の人には大きな心の傷となっているだろう。それをうつ状態と呼んでよいのか。問題は尽きない。 そうした混乱の中で疫学研究のまとめ、メタアナリシスにより一応の勧告に当たるものが出されたのが、2014年の米国心臓病学会によるstatementである。しかしその表現は“American Heart Association should elevate depression to the status of a risk factor for adverse medical outcome in patients with acute coronary syndrome”と、決して歯切れのよいものではなかった。実際、他の学会・団体は、まだはっきりとしたstatementを発表するには至っていない。この論文評を書くに当たって調べてみると、CADにうつ病を合併すると、心事故および致死的不整脈による死亡が3~4倍になるとの記載を見つけて、評者自身驚いている。つまり、まだ結論が出ていない問題なのだが、そういった極端な発言をする専門家(?)もいるのである。 そこでもう1つの問題として持ち上がるのが、それではACS後の抑うつ状態を含めたうつ病への治療はACSの予後改善をもたらすのか否かという観点からの問いである。この問題については、すでに二度にわたって比較的大きな臨床研究が行われており(van Melle JPら. 2007年、Glassman AHら. 2009年)、いずれにおいても有意な改善効果は認められなかった。今回は、韓国のJae-Min Kimらが中心となって、一連の研究の中でも有望視された選択的セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラムを、ACS後の抑うつ状態にある患者に無作為に投与してこの効果を確かめたものである。結果、MACEの発生でp=0.03、個別イベントでは心筋梗塞の発生でp=0.04とわずかではあるが改善が認められたが、その他の項目(全死因死亡、心臓死、PCI)には差がみられなかったと報告された。 著者らは「さらなる研究で、今回の所見の一般普遍化について評価したい」と述べているが、評者にはその前に研究方法に問題があるように思えてならない。まず、著者らはMACE(彼らの使用法ではmajor adverse cardiac events)を全死因死亡、心筋梗塞、PCIとし、追加的評価項目に心臓死を挙げて定義しているが、それでよいのだろうか。主要心血管イベント(MACE:major adverse cardiovascular events)といえば、通常は血管死(中枢神経系外の出血死を除く心血管/脳血管起因)、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中(虚血性、出血性および不明な脳卒中)と定義される。今回の場合、心臓に問題を絞っているから脳卒中を問題にしないとするなら、全原因心臓死、非致死性心筋梗塞、狭心症の再発などとすべきで、全原因死亡やPCIは不適当ではなかったか。まず心臓以外の疾患での死亡が、なぜ問題にされなければならないのか。とくにうつ病を対象とした場合、自殺死なども含まれてしまうことも指摘しておきたい。さらにPCIを行うか否かは相当程度、主治医の恣意的な判断が加わるもので、こういった研究のエンドポイントとしては不適切である。研究方法そのものに問題がある以上、この研究をこれ以上続けられても、評価のしようがない。 議論のある分野に思い切って踏み込んだこと自体は評価したいが、その研究方法は評価できず、また、その結果もこの分野の議論に大きな一石を投じる内容ではないと言わざるを得ないと考えた。

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非常に高度なアルツハイマー病に対する抗認知症薬の有効性

 高度なアルツハイマー病(AD)において、抗認知症薬(ADD)の処方をいつまで行うべきかに関するエビデンスは、不十分である。韓国・釜山大学病院のYun Jeong Hong氏らは、ドネペジルまたはメマンチンが処方されている非常に高度なAD患者において、継続治療から得られるベネフィットについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2018年号の報告。 対象はミニメンタルステート検査(MMSE)スコア0~5またはFunctional Assessment Staging(FAST)スコア6以上のAD患者とし、ランダム化評価者盲検試験にて検討を行った。対象者65例を、ADD治療継続群(30例)またはADD治療中止群(35例)にランダムに割り付けた。使用中のドネペジルまたはメマンチンについては、ADD継続群は12週間継続、ADD中止群ではベースライン後に中止とした。有効性評価は、ベースライン時および12週後に実施した。主要有効性評価項目は、ベースラインから試験終了時までのBaylor Profound Mental State Examination(BPMSE)スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから試験終了時までのBPMSEの変化は、ADD治療継続群で0.4ポイント改善、ADD治療中止群で0.5ポイント低下がみられたが、同等性検定で同等性は示されなかった。・有害事象による試験中止は、ADD治療継続群(6.7%)よりもADD治療中止群(11.4%)において多く認められた。 著者らは「非常に高度なAD患者に対するドネペジルまたはメマンチンによる継続治療は、全体的な認知機能への影響に関して、治療中止よりも優れている可能性がある」としている。■関連記事高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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バレット食道に高用量PPI+アスピリンが有効/Lancet

 バレット食道の治療では、高用量プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびアスピリンが有効であり、これらを併用すると、より高い効果が得られることが、英国・Morecambe Bay University Hospitals NHS TrustのJanusz A. Z. Jankowski氏らが行った「AspECT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月26日号に掲載された。食道腺がんは世界で6番目に多いがん死の原因であり、バレット食道はその最も重要なリスク因子である。PPIは、バレット食道の主要な促進因子の1つと考えられる胃酸の逆流の抑制に有効とされる。エソメプラゾール、アスピリンによる化学予防の効果を検討 本研究は、バレット食道患者におけるエソメプラゾールおよびアスピリンによる化学予防の有効性と安全性を評価する2×2ファクトリアルデザインの無作為化第III相試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、国際的に確立された適格基準を満たし、組織学的に証明された1cm以上の円柱上皮化生を認めるバレット食道の患者であった。 被験者は、高用量PPI(40mg、1日2回)、低用量PPI(20mg、1日1回)、高用量PPI+アスピリン(英国では300mg/日、カナダでは325mg/日)、低用量PPI+アスピリンを投与する群に無作為に割り付けられ、8年以上の治療が行われた。 主要複合エンドポイントは、全死因死亡、食道腺がん、高度異形成が発生するまでの期間とした。intention-to-treat集団において、最小限の因子(年齢、バレット食道の長さ、腸上皮化生)で補正したAFT(accelerated failure time)モデルを用いて解析を行った。複合エンドポイントの時間比(TR)が>1の場合に、治療によってイベント発生までの期間が延長したとみなされた。 2005年3月10日~2009年3月1日の期間に、英国の84施設とカナダの1施設に2,557例が登録され、高用量PPI群に704例、低用量PPI群に705例、高用量PPI+アスピリン群に577例、低用量PPI+アスピリン群には571例が割り付けられた。フォローアップと治療期間の中央値は8.9年(IQR:8.2~9.8)だった。NSAID併用例を除外するとアスピリンにも有意差 PPI(高用量[1,270例]vs.低用量[1,265例])およびアスピリン(投与[1,138例]vs.非投与[1,142例])の比較をそれぞれ行った。 主要複合エンドポイントの発生は、高用量PPI群が低用量PPI群に比べ有意に優れた(139件/1,270例vs.174件/1,265例、TR:1.27、95%信頼区間[CI]:1.01~1.58、p=0.038)。アスピリン投与の有無では有意な差を認めなかった(127件/1,138例vs154件/1,142例、1.24、0.98~1.57、p=0.068)が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)併用例を除外すると、アスピリン投与群が非投与群に比し有意に優れた(125件/1,116例vs.150件/1,120例、1.29、1.01~1.66、p=0.043)。 一方、PPIとアスピリンには相加的な効果がみられ、高用量PPI+アスピリン群は低用量PPI群に比べ主要複合エンドポイントの発生が有意に良好であった(52件/572例vs.99件/699例、TR:1.59、95%CI:1.14~2.23、p=0.0068)ものの、高用量PPI+アスピリン群と高用量PPI群には有意な差を認めなかった(52件/572例vs.87件/698例、1.38、0.98~1.94、p=0.0680)。 また、高用量PPI群は低用量PPI群に比べ、全死因死亡の割合が有意に低かった(TR:1.36、95%CI:1.01~1.82、p=0.039)。さらに、アスピリン投与群は非投与群に比し、食道腺がんの前駆病変とされる高度異形成が少ない傾向がみられた(1.51、1.00~2.29、p=0.053)。 1件のイベント(高度異形成、腺がん、死亡)予防に必要なバレット食道の治療数(NNT)は、高用量PPI(vs.低用量PPI)が34(95%CI:18~333)、アスピリン投与(vs.非投与)は43(20~250)であった。試験薬関連の重篤な有害事象が発現したのは28例(1%)のみだった。 著者は、「これらの結果により、高用量PPIの効果が最も大きく、アスピリンを併用することで、さらに効果が付加されると考えられ、9年以上の投与でバレット食道の生存期間を改善する可能性が示唆される」としている。

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末梢静脈カテーテル、失敗率低いドレッシング材と固定法は?/Lancet

 末梢静脈カテーテル(PIVC)留置において、現在使用されているドレッシング材および固定法では、総じてPIVC留置の失敗を招き、耐久性も乏しく、さまざまな製品を同時に使用しなければならないことが多いという。オーストラリア・グリフィス大学のClaire M. Rickard氏らは、非ボーダータイプの標準的なポリウレタンドレッシング材と、他の3つの代替法の有効性と費用について比較検証したプラグマティックな無作為化優越性試験「SAVE試験」の結果を報告した。また著者は、「現状では、コストが製品を選択する主要な決定要因となっている」とも指摘し、「効果的で耐久性のあるドレッシング材による固定を成し遂げるための技術革新と、それらを評価する無作為化試験の実施が喫緊の課題である」と述べている。世界中で毎年20億個ものPIVCが使用されているが、最適なドレッシング材と固定法は十分に確立されていないという。Lancet誌オンライン版2018年7月26日号掲載の報告。標準的なドレッシング材単独使用と3種類の方法を比較 研究グループは、オーストラリア・クイーンズランド州にある2病院において、治療のため24時間以上のPIVC留置が必要な18歳以上の患者を適格患者とし、組織接着剤+ポリウレタンドレッシング材(接着剤併用群)、周囲テープ付き(bordered)ポリウレタンドレッシング材(ボーダータイプ群)、固定具+ポリウレタンドレッシング材(固定具併用群)、ポリウレタンドレッシング材のみ(対照群)のいずれかに、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けPIVCを留置した。 無作為化は、施設で層別化を行い、ウェブベースの中央ランダムブロック法にて行われた。介入の特性上、患者・医師・治験スタッフは盲検化されなかったが、感染症については割り付けに関して盲検化された医師によって判定された。 主要評価項目は、すべてのPIVC留置の失敗(事故抜去・閉塞・静脈炎・感染症[原発性血流感染/局所感染]の複合)とし、解析は修正intention-to-treat集団で実施した。4群間でPIVC留置失敗率と総費用に有意差なし 2013年3月18日~2014年9月9日に、1,807例が4群に割り付けられた(接着剤併用群446例、ボーダータイプ群454例、固定具併用群453例、対照群454例)。修正intention-to-treat集団は1,697例であった。 PIVC留置失敗率は、接着剤併用群38%(163/427例、絶対リスク差:-4.5%、95%信頼区間[CI]:-11.1~2.1%、p=0.19)、ボーダータイプ群40%(169/423例、-2.7%、95%CI:-9.3~3.9%、p=0.44)、固定具併用群41%(176/425例、-1.2%、95%CI:-7.9~5.4%、p=0.73)、対照群43%(180/422例)であった。 皮膚の有害事象が、それぞれ17例、2例、8例および7例に認められた。本試験において介入の総費用は、各群間で有意差はみられなかった。 なお、著者は、ほとんどのPIVC留置が熟練した看護師によって実施されたこと、同じ分類の全製品を反映したものではないこと、小児などの他の患者集団に一般化されない可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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第5回 10年以上余命が延びる5つの健康習慣【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬指導をしていると、生活習慣改善の効果に懐疑的、もしくは諦めている患者さんに出会うことがあるのではないでしょうか。そのような患者さんでも、ある5つの生活習慣を実践すると、それをまったく行わないときよりも10年以上余命が延びる、と言われたら試してみたくならないでしょうか。今回は、健康的な生活が余命に大きな影響を及ぼすことがわかった2つの大規模調査の結果を体系的にまとめた論文を紹介します。Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population.Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]2つの大規模調査とは、女性看護師を対象に慢性疾患のリスクファクターを検証しているNurses’ Health Study(1980~2014年、n=7万8,865)と、栄養的要素が男性医療者の健康に与える影響を検討したHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年、n=4万4,354)です。両研究におけるアンケート調査はなんと現在も進行しています(参考1、2)。いずれも重要かつ知っておくべき研究でしょう。今回紹介する論文は、この2つの研究の合計約12万3,000例の30~75歳を分析しています。両研究は組み入れ対象者の面で相互補完的な関係にあり、それらをまとめて分析した本研究も貴重な結論を導き出しています。解析項目は、健康上低リスク生活習慣者と高リスク生活習慣者でどれだけ死亡率に差が出るかです。組み入れ対象が医療専門職であることと、そのうちの多くは白人であることから、外的妥当性の評価には注意が必要です。本研究では、健康リスクを低減させる要素として、下記の5つを定義しました。1.健康的な食事をしている「健康的な食事」の定義付けとして、AHEI(Alternate Healthy Eating Index)を用いた評価がなされています。これは野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸および長鎖オメガ3系脂肪酸の摂取が多く、赤身肉、加工肉、甘味料入り飲料、トランス脂肪酸、精製粉の摂取が少ないとスコアが良くなる指標です。研究では、AHEIスコアが各研究の上位40%に入った参加者は、健康的な食事を取っていると定義されました。2.喫煙しない3.少なくとも1日当たり30分の中等度または活発な運動を行っている4.適度な量のアルコール摂取(女性で5~15g/日、男性で5~30g/日)5.BMIが18.5~24.9kg/m2、すなわち低体重または肥満ではない各項目に当てはまれば1点、当てはまらなければ0点とし、5項目の合計点によって、対象者は5段階にスコア分けされました。また、これらの習慣が米国人口にどれほど共通しているかを評価するために、NHANES(米国国民健康栄養調査)で2013~14年に収集された情報を利用しています。死亡原因については、国家記録と家族報告書を用いて確認され、米国疾病対策予防センター(CDC)のWONDERデータベースを用いて検討を行っています。それらを踏まえ、最終的には調査対象者の行動パターンがどのように寿命、がんや心血管疾患による死亡リスクに影響を与えるか分析されました。アンケート調査である以上、主観的であり、個々の習慣が余命に及ぼす影響を特定することも困難になるわけですが、研究開始時の年齢、性別、民族性、閉経有無、マルチビタミンや定期的なアスピリン摂取またはホルモン補充療法の有無、糖尿病心臓発作またはがんの家族歴などの変数を用いて多変量解析が行われています。重要な関連要因の影響を考慮に入れて適切な措置をとったこと、サンプルサイズの大きさ、フォローアップ期間の長さ、複数時点での生活習慣とBMI評価があることはこの研究の強みといえるでしょう。最低リスク群では最高リスク群よりも、女性14.0年、男性12.2年余命が長い研究期間中に、4万2,167例の参加者が死亡しています。そのうち、がん患者数は1万3,953例、心血管疾患患者数は1万689例でした。5つの習慣のいずれもが、単独で全死因死亡またはがんないし心血管死亡のリスクを低減させる傾向がありました。最も不健康なスコア0の参加者と比較して、最も健康的なスコア5の参加者を多変量調整した結果は、全死因死亡が74%減少(ハザード比:0.26、95%信頼区間:0.22~0.31)、がんによる死亡が65%減少(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.27~0.45)、心血管疾患死亡が82%減少(ハザード比:0.18、95%信頼区間:0.12~0.26)でした。また、スコア5以外の参加者と比較して、スコア5の参加者では、全死因死亡が60.7%(95%信頼区間:53.6~66.7)、がんによる死亡が51.7%(95%信頼区間:37.1~62.9)、心血管疾患による死亡が71.7%(95%信頼区間:58.1~81.0)減少しています。一般的な米国人口がこれら5つの習慣を取り入れた場合の50歳時点での平均余命は、女性で43.1年(95%信頼区間:41.3~44.9)、男性で37.6年(95%信頼区間:35.8~39.4)でした。これは、そのいずれも取り入れない場合と比較して、女性で14.0年(95%信頼区間:11.8~16.2)、男性で12.2年(95%信頼区間:10.1~14.2)余命が延びている計算になり、大きなインパクトです。現実的に健康リスクを低減させる要素の5つすべてを一度に取り入れることが難しいのであれば、それぞれの習慣がリスク低減に寄与しているため、どれか1つの習慣だけを提案するアプローチもよいでしょう。大きな結果がもたらされることがわかっていれば、小さな習慣から徐々に取り入れて維持していくモチベーションも湧くのではないでしょうか。1)Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]参考1)Nurses’ Health Study2)Health Professionals Follow-up Study

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セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?

 セクキヌマブは乾癬性関節炎患者の痛みを2年にわたって改善させ、さらにその痛みはTNF阻害薬を使用しているかにかかわらず改善させる可能性があることが英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らの研究によって明らかになった。Arthritis Research & Therapy誌2018年6月号に掲載。 乾癬性関節炎の痛みは、患者の健康関連QOLに最も強く影響する要素の1つである。乾癬性関節炎患者に対して、セクキヌマブは健康関連QOLを含め、徴候や症状を迅速かつ持続的に改善させることが示されている。本研究では、乾癬性関節炎患者の痛みに与えるセクキヌマブの効果を評価するために、セクキヌマブの投与開始から104週目の間における患者の痛みのスコアを解析した。 著者らは治療開始から104週までの間にかけて、以下の3つの尺度で痛みを臨床的に測定した。・痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)とSF-36の体の痛みのスコアのベースラインからの変化・上記2項目について臨床における最小重要差以上の改善が認められた患者の割合・EQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目におけるno、moderate、extremeに該当する患者の割合 痛みの測定の相関はピアソンの相関係数により解析された。TNFナイーブ患者と、TNF阻害薬の不十分な応答や安全性/忍容性により投与を中止した(TNF-IR)患者に対する項目の設定を事前に行った解析は、観測データを用いて行われた。 主な結果は以下のとおり。・投与開始3週目におけるベースラインから改善した痛みのVASスコアの平均値はプラセボ群と比較してより大きく改善し、セクキヌマブ300mg投与群では-16.9(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では-12.6(p<0.05)で、スコアの改善は104週まで続いた。・投与開始4週目におけるSF-36の体の痛みのスコアはプラセボ群と比較して有意に改善し、セクキヌマブ300mg投与群では16.2(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では16.3(p<0.0001)で、スコアの改善は104週まで続いた。・プラセボと比較してセクキヌマブ300mg投与群と150mg投与群では、3週目と4週目における痛みのVASスコアとSF-36の体の痛みのスコアについて、臨床における最小重要差以上の改善が有意に大きかった。・投与開始4週目時点でのEQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目において、セクキヌマブ300mg投与群の15%、150mg投与群の9%、プラセボ群の5%がno pain/discomfortに分類され、さらにセクキヌマブ投与群ではこの割合が104週まで上昇した。・TNFナイーブあるいはTNF-IR患者においても、痛みのスコアがセクキヌマブ投与により有意に改善した。

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SNRI中止後の離脱症状に関するシステマティックレビュー

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は広く用いられており、SNRIの中止は幅広い症状との関連が認められている。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A. Fava氏らは、SNRI中止後の離脱症状の発生、頻度、特徴について検討を行った。Psychotherapy and Psychosomatics誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 PRISMAガイドラインに沿って、システマティックレビューを実施した。PubMed、コクラン・ライブラリ、Web of Science、MEDLINEを用いて、それぞれのデータベースの初めから2017年6月までの文献を検索した。検索キーワードは、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxine、ミルナシプラン、levomilnacipran、SNRI、第2世代抗うつ薬、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、および中断、離脱、リバウンドを組み合わせた。英語で公表された試験のみ抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、61件であった。・その内訳は、二重盲検ランダム化比較試験22件、オープンフェーズと二重盲検ランダム化フェーズを用いた試験6件、オープントライアル8件、自然主義的研究1件、レトロスペクティブ研究1件、ケースレポート23件であった。・各種SNRI中止後に、離脱症状が認められた。・離脱症状の発生率は、各報告で変化していたが、ベンラファキシンではより高率であると思われる。・典型的に、症状発現は中止後数日以内に認められ、徐々に漸減しながら数週間継続していた。・遅発性の障害や長期間の持続も同様に認められた。 著者らは「臨床医は、投与中止後に離脱症状を誘発する可能性のある薬剤リストに、他の向精神薬と共にSNRIを追加する必要がある」としている。■関連記事SSRI中止は離脱症状に注意をSSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのはSSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

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腹部大動脈瘤スクリーニング、男女で異なるべき/Lancet

 英国において、女性に対する腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングプログラムは、男性と同様のデザインでは、費用対効果が得られそうもないという。英国・ケンブリッジ大学のMichael J. Sweeting氏らによる解析結果で、Lancet誌オンライン版2018年7月26日号で発表された。英国においてAAA死亡に占める女性の割合は3分の1。男性については、国家的スクリーニングプログラムで死亡が減少し、費用対効果が認められているが、女性に同様のプログラムを提供した場合の有益性、有害性、および費用対効果については、公式な評価は行われていなかった。スクリーニングの増分費用対効果比などを検証 研究グループは、女性へのAAAスクリーニングの臨床的有益性、有害性、費用対効果を解析するために、決定モデルを開発し、女性集団(AAAスクリーニング参加群vs.非参加群)のあらかじめ定義されたアウトカムとして、AAA起因の死亡、生存年、質調整生存年、コスト、増分費用対効果比を評価した。 AAAスクリーニング、サーベイランス、介入について個別のイベントシミュレーションモデルも設定。女性特有の関連パラメータを、系統的な論文レビュー、ナショナルレジストリ、公的データベース、主要なAAA手術試験、英国国民保健サービス(NHS:National Health Service)の参照コストなどから入手し検討した。実施年齢、判定指標などの適切なオプション開発が必要 英国女性に対するAAAスクリーニングは現在、英国男性に提供されているもの(65歳時、大動脈径≧3.0cmでAAAと診断、≧5.5cmで待機的手術を検討)と同様であり、30年以上実施されている。その推定増分費用対効果比は、3万ポンド(95%信頼区間[CI]:1万2,000~8万7,000)/質調整生存年獲得であった。スクリーニング参加者3,900人につきAAA関連死1例を予防可能であり、過剰診断の割合は33%と推算された。 女性のための修正オプション(70歳時にスクリーニング、AAA診断は大動脈径2.5cm、手術検討は同5.0cmとする)では、推定増分費用対効果比は、2万3,000ポンド(9,500~7万1,000)/質調整生存年獲得で、AAA関連死1例の予防に必要なスクリーニング参加者は1,800人であったが、過剰診断の割合は55%と推算された。 AAA有病率についての不確かさ、異なる年齢での女性の大動脈径分布、スクリーニングのQOLへの効果などが大きく影響して、費用対効果比にはかなりの不確実性があった。 これらを踏まえて著者は、「女性における大動脈径分布、スクリーニングに関連したQOL低下の可能性についてさらなる研究を行い、修正オプションの完全な有益性と有害性を評価する必要がある」とまとめている。

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第13回 【最終回】薬剤師ってなんでしょうか。私の答えは。【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。薬剤師ってなんでしょうか。薬を扱うだけでなく、人と向き合う職業。人として...の部分も成長させなければ、と思いつつ、薬剤師業務も幅広く、健康サポート、禁煙、セルフメディケーションなどからTDM、処方解析、感染予防、がん専門、認知症専門...など専門薬剤師も多々あり。自分が何を目指していくのか、悩む反面、様々な可能性があると感じています。医療と介護を繋いだり、患者さんと医療者を繋いだり。健康な時から関わることができる薬局(薬剤師)は人生全般に寄り添うことが可能で、アドバンスケアプランニング※にも大きく影響してくる...。これは凄いことでは?※将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うプロセス。もしバナのすすめ(アドバンス・ケア・プランニングって何ですか?)よりhttp://www.kameda.com/patient/topic/acp/index.html 薬局の外に出るまで「薬剤師がいなくちゃ!」な時に巡り会うことがあまりなく特に調剤薬局では、病名も分からないまま、処方箋調剤し、主治医と処方について話せるわけでもなく、効率よく患者さんをさばき...しかし、外に出て、医師や看護師と話して、世界が広がりました。医療者として、頼られたり認められたりしながら、主治医から意見を求められることも増えてきました。処方提案し、症状が悪化して、薬剤が原因だろう、と言われて落ち込み、責任の重さを痛感しています。薬剤師法第1条・・・国民の健康な生活を確保する今になって、その重みを感じています。そう、原点はここ。時代が変わっても。薬剤師業務が拡がっても。 そして、チーム。私は在宅チームに参画して、薬剤師として、だけでなく、対人援助者としても存在意義がある、と思えるようになりました。患者さんの前で、薬剤師だけではどうにもならないとき...。それでも私を必要としてくれる人がいることを学びました。事例検討、難病対策や意思決定支援、エンディングノートを書いたり、栄養や薬剤の勉強をしたり、保険点数のテストを一緒に解いたり、日々の悩みを共有し、笑って、泣いて、いつしかチームが私の癒しに。メンバーがチームとしてまとまると1人ではないと感じます。訪問時は1人(孤独)ですが、相談できる仲間がいる安心感。 薬局の外に出て、命を前にした時の怖さ、緊張...命を考える時間は、私の死生観を深いものにしてくれました。逃げられない責任は、喜びと使命感に変わりました。「今、私は何ができるのか?」「今、私がすべきことは?」いつまでも探して、そうやって進むしかない。在宅訪問専任の薬剤師として思い悩む日々が、今の私を作ってくれました。「多くのすべきことがある」今は、そう考えています。悩みはつきないけれど、私のことを待っている患者さんがいます。必要としてくれるメンバーもいます。 なぜか、在宅は大変・・・のように言われますが(暑くても、台風でも、拒否されても、怒鳴られても・・・行かねばなりませんが)、大変なだけではない面白さや魅力がこの連載を通じて伝わったらよいなと思っています。私の思い、読者のみなさんに届くといいなーーー!!さ、今日も在宅に行ってきます。

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第2回 重症低血糖を防ぐために【高齢者糖尿病診療のコツ】

第2回 重症低血糖を防ぐためにQ1 低血糖により高まるリスクにはどのようなものがありますか?高齢者の低血糖はさまざまな悪影響を及ぼします(表1)。軽症の低血糖でも認知機能障害を及ぼすことがあるため注意が必要です。また、低血糖の頻度が多くなるとうつ症状や糖尿病負担感の増加をもたらし、QOL低下を招きます。低血糖があると転倒や骨折が起こりやすくなり、重症化すると心血管疾患、うつ、認知症、および死亡のリスク因子ともなります。さらに重症低血糖と認知症、うつ、フレイルは相互に悪循環をもたらします。画像を拡大するQ2 高齢者で低血糖が起こりやすくなる理由、若年者とは違う“非典型的な”症状とは?高齢者(とくに75歳以上)で重症低血糖を起こしやすくなる原因は、(1)腎機能障害による経口血糖降下薬の蓄積、(2)加齢による低血糖症状の変化、(3)急な食事摂取量の低下、(4)低血糖の対処能力の低下、(5)薬剤の誤用などがあります(図1)。画像を拡大するとくに80歳以上では、腎機能障害(eGFR 45mL/分/1.73 m2未満)の頻度が多くなり、腎排泄の経口血糖降下薬(とくにSU薬)の蓄積をもたらします。持続時間が長いSU薬では、重症低血糖だけでなく、ブドウ糖投与で一時回復後も低血糖が持続する「遷延性低血糖」もきたしやすい点に注意が必要です。低血糖の典型的な自律神経症状である発汗、動悸、手のふるえなどが60歳以上では出にくくなり、無自覚性低血糖が起こりやすくなります。高齢者の低血糖では、頭がくらくらする、体がふらふらする、めまい、脱力感といった非典型的な症状であらわれることが多いので、見逃さないように注意が必要です。そのほか、目が見にくい、ろれつ不良、動作がぎこちない、片麻痺、物事の段取りがうまくいかない、意欲低下、せん妄などの神経・精神症状が起こる場合もあります。高齢者では肺炎などの急性疾患によって、急激に食事摂取量が低下することが多くなり、嘔吐、下痢などの消化器症状をきたすこともあります。こうしたシックデイ時に、SU薬やインスリンを通常量で服用・投与してしまうと、重症低血糖をきたす恐れがあるので、SU薬の減量・中止やインスリンの減量を適切に行うことが重要です。また、欠食などの食生活の乱れが低血糖の誘因になる場合もあります。認知症を合併した糖尿病患者では、低血糖への対処ができないために、さらに重症低血糖のリスクが高まります。普段は認知機能が正常な高齢者であっても、血糖値が47~54mg/dLになると認知機能障害を起こすことが知られています(図2)。軽度の低血糖であっても、実行機能障害、注意力低下、判断力低下などの認知機能障害を起こし、ブドウ糖をとるといった低血糖の対処ができなくなる事態が起こり得ます。この低血糖による認知機能障害は、認知症と異なり血糖値の正常化により回復することが多いので、ブドウ糖投与で症状が改善するかどうかを確認します。画像を拡大するQ3 どのような患者が低血糖を起こしやすいのでしょうか?表2に重症低血糖を起こしやすい患者の特徴を示します。加齢と関連する特徴としては、とくに認知機能障害の重症度が進むにつれて、低血糖リスクも高くなることに注意が必要です(図3)。画像を拡大する画像を拡大する Q4 低血糖を何とか未然に防ぐ“コツ”はあるでしょうか?1)低血糖の予測経口血糖降下薬を使用している場合、HbA1c 7.0%未満(または空腹時血糖110mg/dL未満)で低血糖リスクが加速度的に高まるので9)、低血糖とみられる症状がないか問診を行います。またインスリン使用者ではHbA1c高値でも、低血糖が起こる可能性を考える必要があります。2)SU薬の減量・中止SU薬はeGFRで腎機能を評価しながら、できるだけ少量で用います。eGFR 45mL/分/1.73m2未満で減量、eGFR30mL/分/1.73m2未満で原則中止とされています。高齢者ではグリベンクラミドの使用を控え、グリメピリドは0.5mg/日でも低血糖が起こりうることに注意が必要です。グリクラジドが最も低血糖のリスクが小さく、10~20mg/日の少量で使用します。HbA1c6.5%未満または何らかの低血糖の症状がみられた場合には、SU薬をさらに減量すべきでしょう。最終的には、グリクラジド10~20mg/日かグリニド薬に変更します。3)血糖自己測定の活用とインスリンの減量インスリン治療中、HbA1cが高くても低血糖リスクが高まるのは、日内または日差の血糖変動が大きいために、血糖値やHbA1cの値だけでインスリンを増量すると低血糖を起こしやすいことが原因と考えられます。したがって、血糖測定を毎食前と眠前の1日4回行い、血糖変動をみながらインスリン量を慎重に調節することが重要になります。同じ時間帯に血糖100mg/dL未満が連続する場合には、責任インスリン(その時間の血糖値に最も影響を及ぼしているインスリン)を1~2単位減量できないか検討するとよいでしょう。SU薬でもインスリン治療でも、低血糖は午前5時、6時台の発生が最も多くなります。したがって、早朝5時の血糖測定を行うことができれば理想的です。午前5時の血糖値100mg/dL未満が連続する場合も、インスリンの減量を検討します。4)柔軟な血糖コントロール目標日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会による「高齢者の血糖コントロール目標 (HbA1c値)」では、重症低血糖が危惧される薬剤(インスリンやSU薬、グリニド薬など)の使用がある場合は、重症低血糖を防ぐために目標値を甘めに設定しており、さらに目標下限値も設定しています。もし目標下限値を下回ったら、問診、またはSMBG、CGM、FGMなどを活用して低血糖の評価を行うべきでしょう。低血糖がなければ現在の治療を継続しますが、無自覚性低血糖がある場合は、それらの薬剤を減量します。例えばHbA1c6.0%未満など、下限値を大きく下回る場合は、その時点でSU薬やインスリンの減量を考慮したほうがよいでしょう。5)低血糖教育高齢者では重症低血糖のリスクが高い患者に対して、患者のみならず介護者を含めて、低血糖教育を行うことが大切になります。(1)高齢者の低血糖の非典型的な症状とその対処法、(2)毎食炭水化物を摂取し、欠食や極端な炭水化物制限をしないこと、(3)運動時の低血糖に注意すること、(4)食事摂取量が低下した場合や下痢、嘔吐の場合にはSU薬を減量・中止、またはインスリンを減量すること、を理解してもらうことが必要です。 1)Warren RE, Frier BM. Diabetes Obes Metab. 2005;5:493-503.2)Araki A, et al. J Am Geriatr Soc. 2004;52:205-10.3)Laiteerapong N, et al. Diabetes Care. 2011;34:1749-53.4)Johnston SS, et al. Diabetes Obes Metab. 2012;14:634-43.5)Chiba Y, et al. J Diabetes Complications. 2015;29:898-902.6)Pilotto A, et al. Biomed Res Int. 2014 Feb 13.[Epub ahead of print]7)Whitmer RA, et al. JAMA. 2009;301:1565-72.8)Goto A, et al. BMJ. 2013 Jul 29;347:f4533.9)Bramlage P, et al. Cardiovasc Diabetol. 2012;11:122. 10)Feil DG, et al. J Am Geriatr Soc. 2011;59:2263-72.

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地中海食は乾癬の重症化を遅らせる?

 乾癬は、慢性炎症性疾患である。地中海食(MEDI-LITE)は慢性炎症を軽減し、メタボリックシンドロームおよび心血管イベントのリスクに対し有益である。これに伴い、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のCeline Phan氏らは、乾癬の発症や重症度にMEDI-LITEが強く影響することを仮説立てた。その検証の結果、重症乾癬患者では地中海食に対する順守度が低いことが明らかになった。著者は、「今回の結果は、地中海食が乾癬の進行を遅らせる可能性があるという仮説を支持するものである。この知見が確認されれば、中等症~重症乾癬の日常管理にMEDI-LITEの順守を組み込むべきである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月25日号掲載の報告。 研究グループは、2009年5月にフランスで開始されたウェブでのアンケートによる観察コホート研究NutriNet-Santeプログラム(現在も進行中)を利用した。また、本究は、NutriNet-Santeプログラムの枠組み内で行われ、2017年4~6月の間に収集・分析されたデータを使用した。 検証済みのオンライン自己記入アンケートにより乾癬患者を特定し、「重症乾癬」「非重症乾癬」「乾癬なし(非乾癬)」と、病態を重症度別に分類した。プログラムへの参加から最初の2年間の食事摂取量(アルコールを含む)に関するデータを収集して、MEDI-LITEスコア(まったく順守していない[0]~最大限順守[18])を算出した。潜在的な交絡因子(年齢、性別、身体活動、BMI、喫煙、心疾患罹病歴)についても記録された。 多項ロジスティック回帰分析を用い、非乾癬者と比較した重症乾癬または非重症乾癬患者のリスクを推定した。 主な結果は以下のとおり。・NutriNet-Santeプログラムの参加者15万8,361例中、乾癬に関するアンケートの回答が得られたのは3万5,735例(23%)であった。・回答者の平均年齢±SDは47.5±14.0歳で、2万7,220例(76%)が女性であった。・回答者のうち、3,557例(10%)が乾癬に罹患していると回答した。・そのうち、重症乾癬は878例(24.7%)だった。また、299例(8.4%)はコホートに参加し2年以上経過の後に発症した。・交絡因子補正後に、MEDI-LITEスコアと重症乾癬への罹患の間に有意な逆相関が認められた。 ●MEDI-LITEスコアの第2三分位群(スコア8~9)のオッズ比(OR):0.71(95%信頼区間[CI]:0.55~0.92) ●同スコアの第3三分位群(スコア10~18)のOR:0.78(95%CI:0.59~1.01)

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肩インピンジメント症候群への鏡視下肩峰下除圧術は有効か/BMJ

 鏡視下肩峰下除圧術(arthroscopic subacromial decompression:ASD)は、最も一般的に行われている肩関節手術であり、肩インピンジメント症候群の治療にも用いられる。フィンランド・ヘルシンキ大学病院のMika Paavola氏らは、肩インピンジメント症候群へのASDは、プラセボとしての外科的介入を上回るベネフィットはもたらさないことを無作為化試験(FIMPACT試験)で示し、BMJ誌2018年7月19日号で報告した。最近の3つの系統的レビューでは、肩峰下除圧術の効果は運動療法を凌駕しないと報告されているが、ASDの有効性の評価には、適切な盲検化のために、手術をプラセボとした比較が求められるという。2年後の肩痛の改善度を3群で比較 本研究は、ASDの有用性を、プラセボとしての外科的介入および非手術的選択肢としての運動療法と比較する多施設共同二重盲検無作為化試験である(Sigrid Juselius Foundationなどの助成による)。 2005年2月1日~2015年6月25日の期間に、フィンランドの3つの公立病院に肩インピンジメント症候群の症状がみられる患者(35~65歳)が登録された。被験者(210例)は、手術を行う群(139例)または運動療法を行う群(71例)に無作為に割り付けられた。次いで、手術群は、診断的関節鏡検査(DA)を受けた後、さらにASDを施行する群(59例)またはそれ以上の外科的介入は行わない群(プラセボ群:63例)に無作為に割り付けられた。2年間のフォローアップが行われた。 運動療法群では、標準化されたプロトコールを用いた運動療法が、無作為化から2週間以内に開始された。DA群では、全身麻酔下で、肩甲上腕関節と肩峰下腔の関節鏡検査が行われた。ASD群では、DAを施行後に、肩峰下滑液包切除と、肩峰の骨棘および肩峰下面前外側の突出の切除が行われた。 主要アウトカムは、24ヵ月時の安静時および上肢挙上動作時の肩痛(視覚アナログスケール[VAS]:0[痛みなし]~100[極度の痛み]点)。肩痛VASの、臨床的に意義のある最小変化量の閾値は15点とした。2つの手術群で著明な効果、バイアスの可能性も ベースラインの平均年齢は、ASD群(59例)が50.5歳、DA群(63例)が50.8歳、運動療法群(71例)は50.4歳で、女性がそれぞれ71%、73%、66%を占めた。安静時VASの平均スコアは、41.3点、41.6点、41.7点、上肢動作時VASの平均スコアは、71.2点、72.3点、72.4点だった。 intention to treat解析では、ベースラインから24ヵ月時までに、ASD群、DA群ともに2つの主要アウトカムが著明に改善した(ASD群は安静時の肩痛VASが36.0点、上肢動作時の肩痛VASが55.4点に低下、DA群はそれぞれ31.4点、47.5点に低下)。肩痛VASの群間差(ASD群-DA群)は、安静時が-4.6点(95%信頼区間[CI]:-11.3~2.1、p=0.18)、上肢動作時は-9.0点(-18.1~0.2、p=0.054)と、いずれも有意差を認めなかった。 副次評価項目(Constant-Murleyスコア、Simple shoulder testスコア、15Dスコアなど)は、いずれもASD群とDA群に有意な差はみられなかった。 ASD群と運動療法群の比較では、ベースラインから24ヵ月時までに、両群とも2つの主要アウトカムが著明に改善し、肩痛VASの群間差(ASD群-運動療法群)は、安静時が-7.5点(95%CI:-14.0~-1.0、p=0.023)、上肢動作時は-12.0(-20.9~-3.2、p=0.008)であり、いずれもASD群の効果が有意に優れたが、両群間の平均差は事前に規定された臨床的に意義のある最小変化量を上回らなかった。 注意すべき点として、ASD群と運動療法群の比較では、非盲検による交絡だけでなく、2回目の無作為化の前にDAの結果などに基づき、手術群から予後不良の可能性が高い患者17例(12%)が除外されたが、運動療法群ではこれに相当する除外は行われておらず、結果としてASD群に有利となるバイアスが生じた可能性がある。 著者は、「ASDとDAは、いずれも痛みおよび機能的アウトカムを著明に改善し、有害事象の発生にも差はなかったが、ASDにはDAを超える効果を認めなかった」とまとめ、「これらの知見は、実臨床における肩インピンジメント症候群への肩峰下除圧術の施行を支持しない」と結論している。

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HIV関連結核の予後改善に、尿スクリーニング検査は有効か/Lancet

 HIV関連結核の診断は不十分であり、見逃しは院内死亡率を高めるという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAnkur Gupta-Wright氏らは、アフリカのHIV陽性入院患者において結核の迅速尿スクリーニング検査の有効性を検討し、全体の死亡率は抑制されないが、高リスク例ではベネフィットが得られる可能性があることを示した(STAMP試験)。研究の成果は、Lancet誌2018年7月28日号に掲載された。結核は、世界的にHIV患者の主要な死因であり、2016年には37万4,000例が死亡したと推定されている。HIV陽性入院患者では、結核の尿検査は診断率が良好であることが示唆されている。マラウイと南アフリカ共和国の入院患者で、標準治療と比較 本研究は、HIV陽性入院患者における、結核の尿スクリーニング検査によるアウトカムの改善効果を評価する、プラグマティックな多施設共同二重盲検無作為化対照比較試験である(英国医学研究会議[MRC]などの助成による)。 マラウイと南アフリカ共和国の2つの病院が参加した。対象は、年齢18歳以上で、結核治療を受けていないHIV陽性の入院患者であった。 被験者は、症状や臨床所見にかかわらず、標準治療を受ける群または尿スクリーニング検査を受ける群(介入群)に、1対1の割合でランダムに割り付けられた。患者、医師、研究チームには、割り付け情報がマスクされた。喀痰検査は両群で、尿検査は介入群のみで行われた。 主要アウトカムは56日時の全死因死亡とし、ベースラインのCD4細胞数、ヘモグロビン量、臨床的な結核の疑いの有無などでサブグループ解析を行った。 2015年10月26日~2017年9月19日の期間に、4,788例のHIV陽性患者が登録され、このうち2,600例(54%)が無作為割り付けの対象となった(各群1,300例)。割り付け後に13例が除外され、残りの2,574例(各群1,287例)が最終的なintention-to-treat解析に含まれた。「低CD4細胞数」「重症貧血」「臨床的な結核疑い」の患者で死亡率低下 試験登録時の全体の平均年齢は39.6(SD 11.7)歳で、57%が女性であった。84%(2,168例)が入院前にHIVと診断され、そのうち86%(1,861例)が抗レトロウイルス療法(ART)を受けていた。CD4細胞数中央値は227/μL(IQR:79~436)で、29%(748例)がCD4細胞数<100/μLであり、23%(587例)に重症貧血(ヘモグロビン量<8g/dL)がみられた。90%(2,316例)がWHOの結核症状(咳嗽、発熱、体重減少、寝汗)の1つ以上を呈し、39%(996例)が入院時、臨床的に結核が疑われた。 56日までに507例(20%)が死亡した。56日死亡率は、標準治療群が21%(272/1,287例)、介入群は18%(235/1,287例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(補正リスク低下率[aRD]:-2.8%、95%信頼区間[CI]:-5.8~0.3、p=0.074)。 事前に規定された12のサブグループのうち、高リスクの3つのサブグループで、介入群の死亡率が標準治療群に比べ有意に低下した(CD4細胞数<100/μL[aRD:-7.1%、95%CI:-13.7~-0.4、p=0.036]、重症貧血[-9.0%、-16.6~-1.3、p=0.021]、臨床的な結核疑い例[-5.7%、-10.9~-0.5、p=0.033])。施設(マラウイ、南アフリカ共和国)および試験期間中の治療時期(6ヵ月ごとに4期間に分類)の違いによる差は認められなかった。 結核の診断から治療までの期間は短く(中央値:1日、IQR:0~1)、両群で同様であった。結核治療関連の有害事象も両群で類似していた。抗菌薬治療や、ART非投与例へのART開始についても両群間に差はなかったが、ART開始までの期間は介入群のほうが短かった。 著者は、「低CD4細胞数、重症貧血、臨床的な結核疑いの高リスクHIV陽性入院患者では、結核の尿スクリーニング検査によって死亡率が低下する可能性がある」とまとめ、「すべてのHIV陽性入院患者にこの検査を行うことで、結核が未診断のままの退院や死亡のリスクが低減される可能性がある」と指摘している。

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アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー

 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。 PubMed、CINAHL、Psychinfo、コクラン・ライブラリのデータベースで包括的な検索を行った。2006~17年の研究を調査したが、包括基準を満たす研究があったのは2013~17年のみだった。ADHDを有する15~19歳の青年および若年成人アスリートを対象としており、神経心理評価ツールを用いて神経認知障害を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、17件であった。・アスリートのADHD有病率は、4.2~8.1%であった。・全体として、ADHDを有するアスリートは、ImPACT(Immediate Post-Concussion Assessment and Cognitive Test)のような神経認知テストのスコアが低く、脳震盪リスクが増加しており、症状の報告が多かった。・中枢神経刺激薬による治療が、これらのリスクを変化させることを示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「ADHDを有するアスリートにおいて、神経認知障害増加との関連が認められたが、その病態生理は不明であった。また、ADHDを有するアスリートに対する、中枢神経刺激薬での治療に関するエビデンスは、不十分である」としている。■関連記事ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかアスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させるスポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

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