日本人統合失調症患者に対するオランザピン使用と安静時心拍数への影響

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 抗精神病薬(ATP)が頻脈を引き起こすことは、ずいぶん前から知られていたが、ATPの違いによってどのような変化が生じるかなどの詳細は、よくわかっていない。近年、一般集団において、安静時心拍数(RHR)の上昇と死亡リスクの増加との関連が注目されている。新潟大学の田尻 美寿々氏らは、オランザピン(OLZ)とアリピプラゾール(ARP)がRHRに与える作用の違いについて調査を行った。PLOS ONE誌2018年7月17日号の報告。

 研究1では、統合失調症外来患者19例を対象に、OLZからARPへの切り替え時のRHRの変化を評価した。研究2では、統合失調症外来患者29例を対象に、OLZ開始用量からOLZ最終用量時のRHRの変化を評価した。RHRの分析には、心電図測定値を用いた。また同日に、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を評価し、電解質検査を行うために、1晩絶食(8時間以上)後の空腹時血液サンプルを採取した。両研究は、新潟大学倫理審査委員会の承認を得て実施され、新潟大学医歯学総合病院の精神科外来で治療が行われた。すべての患者は、DSM-IV-TRに基づき統合失調症と診断された。

 主な結果は以下のとおり。

・研究1では、OLZ用量(平均±SD)14.6±9.2mgからARP用量20.8±8.1mgへ切り替えられた。
・ARPに切り替え後、平均RHRの有意な減少が認められた(73.7±9.7回/分 vs.65.8±10.9回/分、p=0.008)。
・研究2では、OLZ開始用量(平均±SD)7.2±3.2mgであり、最終的に用量は18.3±7.4mg増加した。
・OLZ増量後、平均RHRの有意な上昇が認められた(69.7±14.0回/分 vs.75.6±14.3回/分、p=0.004)。

 著者らは「OLZはARPと比較し、RHR増強作用がより強く、その作用は用量依存的であることが示唆された。RHRの上昇が統合失調症患者の死亡率を増加させるとするならば、強力な抗コリン作用を有する第2世代抗精神病薬やフェノチアジン系抗精神病薬のRHRに対する作用に関して、ATP間での差異をさらに調査する必要があるだろう」としている。

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(鷹野 敦夫)

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