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糖尿病の安定CADに、チカグレロル+アスピリンは有益か?/NEJM

 心筋梗塞または脳卒中の既往歴のない安定冠動脈疾患を有する50歳以上の2型糖尿病患者において、チカグレロル+アスピリンの併用はアスピリン単剤と比べて、虚血性心血管イベントの発生が有意に減少したことが示された。一方で、大出血の発生は併用群で有意に増大した。フランス・パリ大学Bichat病院のP. Gabriel Steg氏らが、患者1万9,220例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月1日号で発表した。これまでに同患者集団において、チカグレロル+アスピリンの併用が、アウトカムを改善するか否かは明らかになっていなかった。心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合虚血性心血管イベントの発生を比較 研究グループは、安定冠動脈疾患と2型糖尿病を有する50歳以上の患者1万9,220例を対象に試験を行った。心筋梗塞や脳卒中の既往患者は除外した。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはチカグレロル+アスピリン(チカグレロル群)を、もう一方の群にはプラセボ+アスピリン(プラセボ群)を投与した。 有効性の主要アウトカムは、心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合とした。安全性に関する主要アウトカムは、TIMI出血基準に基づく大出血だった。追跡期間中央値は39.9ヵ月 追跡期間の中央値は39.9ヵ月だった。治療中断の発生頻度は、プラセボ群(25.4%)よりもチカグレロル群(34.5%)が高かった。 主要有効性アウトカムとした虚血性心血管イベントの発生率は、プラセボ群よりもチカグレロル群で有意に低率だったが(チカグレロル群7.7% vs.プラセボ群8.5%、ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.81~0.99、p=0.04)、TIMI大出血の発生率は、プラセボ群よりもチカグレロル群で有意に高率だった(2.2% vs.1.0%、2.32、1.82~2.94、p<0.001)。頭蓋内出血の発生率は、チカグレロル群0.7%で、プラセボ群0.5%だった(1.71、1.18~2.48、p=0.005)。 致死的出血の発生率については、有意差は認められなかった(0.2% vs.0.1%、HR:1.90、95%CI:0.87~4.15、p=0.11)。 探索的評価による複合不可逆的有害アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、致死的出血または頭蓋内出血)の発生は、同程度だった(10.1% vs.10.8%、HR:0.93、95%CI:0.86~1.02)。

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遺伝子検査活用のプライマリPCI、出血を2割減/NEJM

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う患者において、CYP2C19遺伝子検査に基づく経口P2Y12阻害薬の治療は、チカグレロルまたはプラスグレルを投与する標準治療に対して、12ヵ月時点の血栓イベントに関して非劣性であり、出血の発現頻度は有意に低減したこと(ハザード比:0.78)が示された。オランダ・St. Antonius HospitalのDaniel M. F. Claassens氏らが、2,488例を対象に行った無作為化非盲検評価者盲検化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月3日号で発表した。早期CYP2C19遺伝子検査でP2Y12阻害薬を投与vs.標準治療を評価 研究グループは、プライマリPCIを受ける患者2,488例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群には早期CYP2C19遺伝子検査を行い、その結果に基づきP2Y12阻害薬を投与(遺伝子ガイド群1,242例)。具体的には、CYP2C19*2またはCYP2C19*3機能喪失型アレルのキャリアに対しては、チカグレロルまたはプラスグレルを、非キャリアにはクロピドグレルをそれぞれ投与した。もう一方の群には遺伝子検査を行わず、チカグレロルまたはプラスグレルによる標準治療を行った(標準治療群1,246例)。投与期間は12ヵ月間だった。 主要評価アウトカムは2つで、いずれも12ヵ月時点で評価した(1)有害臨床イベント(主要複合アウトカム[全死因死亡、心筋梗塞、確定的ステント血栓症、脳卒中、PLATO基準に基づく大出血])、(2)PLATO基準に基づく大出血または小出血(主要出血アウトカム)だった。主要複合アウトカムは、非劣性(絶対差マージン2ポイント)検定で評価した。遺伝子ガイド群、主要複合アウトカムの発生は非劣性、出血は約22%減少 主要複合アウトカムの発生は、遺伝子ガイド群63例(5.1%)、標準治療群73例(5.9%)で、遺伝子ガイド群の非劣性が示された(絶対差:-0.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-2.0~0.7、非劣性のp<0.001)。 主要出血アウトカムの発生は、遺伝子ガイド群122例(9.8%)、標準治療群156例(12.5%)だった(ハザード比:0.78、95%CI:0.61~0.98、p=0.04)。

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第22回 患者・市民参画(PPI)の動きが高まっています【患者コミュニケーション塾】

要望が増えてきた「医療を受ける立場の者」の意見ここ数年、医療を取り巻くさまざまな分野で「患者・市民参画」が求められるようになってきました。COMLにも、1990年代後半から、事務所の拠点を置いている大阪府や神戸市などの行政から、医療に関するさまざまな委員会に委員として参加してほしいという要請が入るようになり、次第に、病院の外部評価委員会や厚生労働省や文部科学省といった国の審議会・検討会などからの依頼へと拡がっていきました。都道府県で6年ごと(2017年までは5年ごと)に作成されている医療計画には、06年から、「医療を受ける立場の者」が作成メンバーに加わることが求められています。さらに、大学や病院などで実施されている治験や臨床研究の倫理審査委員会でも、一般の人が外部委員として参加していますが、単なる構成要件ではなく、一般外部委員が出席していない倫理審査委員会は開催を認めないという「開催要件」になっています。相次ぐ医療事故により、2015年3月に東京女子医科大学病院と群馬大学病院で特定機能病院の承認が取り消され、それを機に、特定機能病院の医療安全に関する承認要件が見直されました。その結果、17年から特定機能病院では医療安全に関する監査委員会の設置が求められています。監査委員会は、外部委員が半数以上を占めていなければならず、そのなかに「医療を受ける立場の者」の必要性が明記されています。最近では、学会が作成している診療ガイドラインでも、作成段階から一般の人の意見を採り入れることが推奨されています。ガイドライン作成に関わっている医師の方であれば、そのような話もご存じなのではないでしょうか。イギリスのPPIという概念を導入して2015年に設立したAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)でも、17年から患者・市民参画の取り組みを進めようとしています。AMEDは内閣総理大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣、経済産業大臣が主務大臣を務め、医療における基礎から実用化に至るまでの研究開発が切れ目なく実施されるように、大学や研究機関などを支援しています。つまり、研究開発のための環境整備に取り組んでいる機関です。私もアドバイザリーボードの委員としてAMEDに関わってきました。そのAMEDで、医療における研究開発を推進するうえで、患者・市民参画は必須の概念として、2017年に「臨床研究等における患者・市民参画に関する動向調査」委員会を立ちあげ、調査や話し合いを重ね、19年に『患者・市民参画(PPI)ガイドブック』という研究者向けの冊子を作成しました。私も委員の一人ですが、患者・市民参画の必要性をまずは研究者が理解することが必要ということで作成されたものです。PPIというのは、Patient and Public Involvementの頭文字を取ったもので、「患者・市民参画」と訳されています。各国に先駆けてイギリスで採り入れられてきた政策で、医学研究や臨床試験だけでなく、医療政策全般において、その意思決定の場に患者・市民の関与を求めています。医学部の入学試験の合否判定に、患者・市民が参画している大学もあると聞きます。欧米では患者・市民参画が早くから進められていて、カナダや米国ではPE(Patient Engagement)と呼ぶこともあるようです。ちなみに、日本の製薬業界では、患者中心ということでPatient Centricityという用語がよく使われています。的確に意見を述べる人を養成、バンク化患者・市民参画というと、現在の医療界では、治験や臨床研究への参画と受け止められがちです。しかしCOMLでは、これまでの経験から、イギリスと同様に広く医療における諸問題や政策に患者・市民として参画することと捉えて活動してきました。1992年から活動している模擬患者も、学生や医療者のコミュニケーション能力向上や医療面接試験に参画しているPPIの一つです。医療機関の改善のために参画しているという意味では、94年から取り組んできた<病院探検隊>も同様だと考えています。また、私が年間100を超える厚生労働省の審議会・検討会や、さまざまな委員会にメンバーとして出席していることも、PPIの活動です。日本ではPPIという考えのもとに進められてきたわけではありませんが、1990年代後半あたりから、医療の問題を考える際に、利用者である患者・市民の声を聞く必要性が少しずつ認識されてきました。それがここにきて、一気にさまざまな医療に関する分野で高まってきたという印象です。これはCOMLの創始者である故・辻本好子が2000年代半ばから予想していたことで、「これから患者・市民への委員要請が必ず増えてくると思う。でもある程度医療のことを理解していないと、冷静かつ客観的な意見は言えない。きちんと意見を述べることができる人を養成するような活動をCOMLでやろう」と私に持ち掛けました。その結果、09年度から始めた「医療で活躍するボランティア養成講座」(1回3時間×5回)が誕生しました。この講座を修了した人のなかには、電話相談スタッフや模擬患者、患者情報室スタッフなどとして活躍している人はたくさんいます。しかし、修了しただけでは意見を述べる委員として推薦できるかどうかの判断ができないことに歯痒い思いも抱いていました。そこで2017年度から始めたのが、「医療関係団体の一般委員養成講座」(1回3時間×7回)です。「医療で活躍するボランティア養成講座」を「医療をささえる市民養成講座」に改称して基礎コースと位置付け、全回修了した人を対象に委員を養成するアドバンスコースを始めたわけです。「医療関係会議の一般委員養成講座」の目的は、一般委員の役割を理解し、適切なタイミングで、わかりやすく意見を述べる能力を養うことです。患者・市民の視点を生かし、自分の関心事だけに固執するのではなく、バランスよく意見を述べることも大切です。そこで、第1回目は一般委員としてどのような会議体からの要請があるのか、何を大切にしなければいけないのかなどを解説し、講座に参加した動機や意気込みをディスカッションします。そして、終了時に指定した会議の資料や議事録を読み、そこで一般委員が果たしていた役割や、自分ならどのタイミングで、どのような意見を述べようと思うかを考えてきてもらい、第2回目で発表します。第3・4回目は、立教大学の松本茂教授に外部講師をお願いし、会議の場できちんと発言できる能力に力点を置いたディベートセミナーを実施。第5回目までに主に厚生労働省の2種類以上の検討会を傍聴し、第5回目で傍聴報告会を開催します。そして総仕上げは、第6・7回目の模擬検討会です。専門委員役(教授や医師会の役員など)や事務局役(厚生労働省技官)の協力を得て模擬検討会で議論し、専門委員役と事務局役、私とCOMLオブザーバーで採点をして、委員としての資質の合否判定を行います。そして合格者には、COML委員バンクに登録できる資格を付与するというものです。この合格率は約27%で、現在、12名がCOML委員バンク登録会員です。バンク化してまだ1年余りにもかかわらず、20を超える委員に就任して活躍し始めています。登録会員は委員として派遣するだけでなく、さまざまなPPI活動へと発展することができるのではと、大きな期待を寄せています。そして、夢は全国の地域ブロックでのバンク化です。そうすることで、医療と冷静に向き合う賢い患者が増えることにつなげていきたいと思っています。

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第15回 薬剤投与後の意識消失、原因は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)アナフィラキシーはいつでも起こりうることを忘れずに!2)治療薬はアドレナリン! 適切なタイミング、適切な投与方法で!3)“くすりもりすく”を常に意識し対応を!【症例】62歳女性。数日前から倦怠感、発熱を認め、自宅で様子をみていたが、食事も取れなくなったため、心配した娘さんと共に救急外来を受診した。意識は清明であるが、頻呼吸、血圧の低下を認め、悪寒戦慄を伴う発熱の病歴も認めたため、点滴を行いつつ対応することとした。精査の結果、「急性腎盂腎炎」と診断し、全身状態から入院適応と判断し、救急外来で抗菌薬を投与し、病床の調整後入院予定であった。しかし、抗菌薬を投与し、付き添っていたところ、反応が乏しくなり、血圧低下を認めた。どのように対応するべきだろうか?●抗菌薬投与後のバイタルサイン意識10/JCS血圧88/52mmHg脈拍112回/分(整)呼吸28回/分SpO297%(RA)体温38.9℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧内服薬アジルサルタン(商品名:アジルバ)、アトルバスタチン(同:リピトール)アナフィラキシーの認識本症例の原因、これはわかりやすいですね。抗菌薬投与後に血圧低下を認める点から、アナフィラキシーであることは、誰もが認識できると思いますが、「アナフィラキシーであると早期に認識すること」が非常に大切であるため、いま一度整理しておきましょう。アナフィラキシーとは、「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性のアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過剰反応」と定義されます。また、アナフィラキシーショックとは、それに伴い血圧低下や意識障害を伴う場合とされます1)。アナフィラキシーの診断基準は表1のとおりですが、シンプルに言えば、「食べ物、蜂毒、薬などによって皮膚をはじめ、複数の臓器に何らかの症状が出た状態」と理解すればよいでしょう。表2が代表的な症状です。皮膚症状は必ずしも認めるとは限らないこと、消化器症状を忘れないことがポイントです。そして、本症例のような意識消失の原因がアナフィラキシーであることもあるため注意しましょう。表1 アナフィラキシーの診断基準画像を拡大する表2 アナフィラキシーの症状と頻度画像を拡大するアナフィラキシーの初期対応-注射薬によるアナフィラキシーは「あっ」という間!アナフィラキシー? と思ったら、迷っている時間はありません。とくに、抗菌薬や造影剤など、経静脈的に投与された薬剤によってアナフィラキシーの症状が出現した場合には、進行が早く「あっ」という間にショック、さらには心停止へと陥ります。今までそのような経験がない方のほうが多いと思いますが、本当に「あっ」という間です。万が一の際に困らないように確認しておきましょう。一般的に、アナフィラキシーによって、心停止、呼吸停止に至るまでの時間は、食物で30分、蜂毒で15分、薬剤で5分程度と言われていますが、前述のとおり、経静脈的に投与された薬剤の反応はものすごく早いのです4)。アドレナリンを適切なタイミングで適切に投与!アナフィラキシーに対する治療薬は“アドレナリン”、これのみです! 抗ヒスタミン薬やステロイドを使う場面もありますが、どちらも根本的な治療薬ではありません。とくに、本症例のように、注射薬によるアナフィラキシーの場合には、重症化しやすく、早期に対応する必要があるため、アドレナリン以外の薬剤で様子をみていては手遅れになります。ちなみに、「前も使用している薬だから大丈夫」とは限りません。いつでも起こりうることとして意識しておきましょう。日本医療安全調査機構から『注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析』が平成30年1月に報告されました。12例のアナフィラキシーショックによる死亡症例が分析されていますが、原因として多かったのが、造影剤、そして抗菌薬でした。また、どの症例もアナフィラキシーを疑わせる症状が出てからアドレナリンの投与までに時間がかかってしまっているのです5)。アドレナリンの投与を躊躇してしまう気持ちはわかります。アドレナリンというと心肺停止の際に用いるもので、あまり使用経験のない人も多いと思います。しかし、アナフィラキシーに関しては、治療薬は唯一アドレナリンだけです。正しく使用すれば恐い薬ではありません。どのタイミングで使用するのか、どこに、どれだけ、どのように投与するのかを正確に頭に入れておきましょう。アドレナリンの投与のタイミングアドレナリンは、皮膚症状もしくは本症例のように明らかなアレルゲンの曝露(注射薬が代表的)があり、そのうえで、喉頭浮腫や喘鳴、呼吸困難感などのairwayやbreathingの問題、または血圧低下や失神のような意識消失などcirculationの問題、あるいは嘔気・嘔吐、腹痛などの消化器症状を認める場合に投与します。大事なポイントは、造影剤や抗菌薬などの投与後に皮膚症状がなくても、呼吸、循環、消化器症状に異常があったら投与するということです。アドレナリンの投与方法アドレナリンは大腿外側広筋に0.3mg(体型が大きい場合には0.5mg)筋注します。肩ではありません。皮下注でも、静注でもありません。正しく打てば、それによって困ることはまずありません。皮下注では効果発現に時間がかかり、静注では頻脈など心臓への影響が大きく逆効果となります。まずは筋注です!さいごに抗菌薬、造影剤などの薬剤は医療現場ではしばしば使用されます。もちろん診断、治療に必要なために行うわけですが、それによって状態が悪化してしまうことは、極力避けなければなりません。ゼロにはできませんが、本当に必要な検査、治療なのかをいま一度吟味し、慎重に対応することを心掛けておく必要があります。救急の現場など急ぐ場合もありますが、どのような場合でも、常に起こりうる状態の変化を意識し、対応しましょう。1)日本アレルギー学会 Anaphylaxis対策特別委員会. アナフィラキシーガイドライン. 日本アレルギー学会;2014.2)Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006;117:391-397.3)Joint Task Force on Practice Parameters, et al. J Allergy Clin Immunol. 2005;115:S483-523.4)Pumphrey RS. Clin Exp Allergy. 2000;30:1144-1150.5)日本医療安全調査機構. 医療事故の再発防止に向けた提言 第3号 注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析. 日本医療安全調査機構;2018.

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アトピー性皮膚炎患者の長期心房細動リスク、絶対リスクは低いものの1.2倍に

 アトピー性皮膚炎(AD)患者と心血管リスクの関連を示唆する報告が相次いでいる。デンマーク・オーフス大学病院のSigrun A. J. Schmidt氏らは、ADと心房細動の関連について35年の長期フォローアップ研究を行い、AD(中等症~重症)患者において、心房細動リスクが20%高いことを見いだしたという。ただし、絶対リスクは低いままであった。その背景要因として、著者は「患者は早期にADを発症することが多く、担当医は心疾患リスク低減に向けた健康的なライフスタイルを推奨する機会があるためと考えられる」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。 研究グループは、病院でADと診断された患者と心房細動の関連を明らかにするフォローアップ研究を行った。住民ベースのデンマークレジストリ(Danish National Patient Registry)を用いて、1977~2013年に入院または外来でADと診断された患者と、個別マッチングさせた比較コホートを特定。死亡、国外移住、心房細動と診断、もしくは2013年まで追跡した。 出生年と性別で補正後、Cox回帰法にて心房細動35年リスクを比較し、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。なお、検証試験として、同院皮膚科部門からADと診断された100例を無作為に選出し、研究者1人が患者カルテの精査を行った。 主な結果は以下のとおり。・AD患者群1万3,126例、対照群12万4,211例が解析に包含された。男性が43%、年齢中央値は19歳(四分位範囲:6~29)であった。・フォローアップ中央値19.3年において、心房細動35年リスクは、AD患者群は0.81%、対照群は0.67%であった。・AD診断の陽性反応適中度は99%であった。・AD患者群の対照群に対する補正前HRは1.2(95%CI:1.0~1.6)であった。同値は、さまざまな心房細動のリスク因子で補正後も、AD患者群のリスクは高いままであった(同:1.2、95%CI:0.9~1.5)。・35年リスクについて、性別(HR:女性1.6 vs.男性1.0)、診断時年齢(同:0~19歳1.6 vs. 20~63歳1.0~1.1)、喘息/関節リウマチ併存の診断(同:あり群1.7 vs.なし群1.0)、など、いくつか違いのあるエビデンスも見いだされた。・AD中等症群はHR:1.1(95%CI:0.8~1.6)、重症群はHR:1.3(95%CI:0.9~1.8)であった。・著者らは、本研究は、単一施設で行われた、中等症~重症のAD患者のみ、生活習慣のデータがない、という点で結果は限定的だとしている。

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後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦、計画出産は有益か/Lancet

 後期早産・妊娠高血圧腎症の女性における計画出産は、待機的管理と比較して、母体の障害発生や重症高血圧の頻度は低い一方で、新生児治療室への入室が多いことが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが行ったPHOENIX試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年8月28日号に掲載された。後期早産・妊娠高血圧腎症の女性では、母体の疾患進行に関連する制約と、新生児の合併症とのバランスをとる必要があり、至適な分娩開始時期は不明だという。英国の46施設が参加した無作為化試験 研究グループは、後期早産・妊娠高血圧腎症女性では、計画された早期の出産開始が、待機的管理(通常治療)と比較して、新生児/乳幼児の転帰を悪化させずに、母体の有害な転帰を抑制するかどうかを検証する目的で、多施設共同非盲検無作為化対照比較試験を実施した(英国国立衛生研究所[NIHR]健康技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、妊娠期間が34~<37週で、単胎または2絨毛膜2羊膜双胎の妊娠高血圧腎症または加重型妊娠高血圧腎症の女性であった。被験者は、48時間以内に計画的に出産を開始する群または待機的管理を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 母体の主要評価項目は、障害発生(fullPIERSモデルの転帰:母体死亡、中枢神経系・心肺・血液・肝臓・腎臓の障害、胎盤早期剥離)と、割り付け後の収縮期血圧≧160mmHgの複合とし、優越性の評価を行った。周産期の主要評価項目は、出産から7日以内の新生児の死亡と、新生児の退院前の新生児治療室への入室の複合とし、非劣性の評価を行った(非劣性マージンは10%)。 2014年9月29日~2018年12月10日の期間に、イングランドとウェールズの46の産科施設で参加者の登録が行われた。分娩時期の共同意思決定のために、転帰のトレードオフを説明すべき 901例の女性が登録され、計画出産群に450例、待機的管理群には451例が割り付けられた。intention-to-treat(ITT)解析の対象は、計画出産群が448例の女性(平均年齢30.6[SD 6.4]歳)と471例の乳幼児、待機的管理群は451例の女性(30.8[6.3]歳)と475例の乳幼児であった。 母体の複合アウトカムの発生率は、計画出産群が65%(289例)と、待機的管理群の75%(338例)に比べ有意に低く、優越性が確認された(補正後相対リスク[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.94、p=0.0005)。 一方、周産期の新生児の複合アウトカムの発生率は、計画出産群は42%(196例)であり、待機的管理群の34%(159例)と比較して有意に高かった(補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47、p=0.0034)。per-protocol(PP)解析でも、同様の結果が示され(1.40、1.18~1.66、p<0.0001)、周産期の複合アウトカムに関して、計画出産群は待機的管理群に劣ると判定された。 副次評価項目である母体の障害発生(計画出産群15% vs.待機的管理群20%、補正後RR:0.76、95%CI:0.59~0.98)および収縮期血圧≧160mmHg(60% vs.69%、0.85、0.77~0.94)はいずれも計画出産群が優れ、重症妊娠高血圧腎症への進行(64% vs.74%、0.86、0.79~0.94)も計画出産群のほうが良好だった。 死産、出産後7日以内の新生児の死亡、退院前の新生児の死亡は、両群とも認められなかった。新生児治療室への入室は、計画出産群で頻度が高かった(42% vs.34%、補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47)。また、母親と新生児を合わせた医療費は計画出産群のほうが安価だった(p=0.00094)。 重篤な有害事象は、計画出産群の9例、待機的管理群の12例で認められた。このうち両群2例ずつが介入に関連する可能性があり、待機的管理群の1例は介入に関連する可能性が高いと判定された。 著者は、「この母体と新生児の転帰のトレードオフについては、分娩時期に関する共同意思決定(shared decision making)のために、後期早産・妊娠高血圧腎症女性と話し合う必要がある」と指摘している。

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ダパグリフロジン、HFrEF患者でCV死・心不全悪化リスク26%低下(DAPA-HF)/ESC2019

 2型糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者における心血管死と心不全悪化の発現率を有意に低下させた。フランス・パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2019)で、グラスゴー大学循環器リサーチセンターのJohn McMurray氏が、第III相DAPA-HF試験の結果を発表した。 DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。 HFrEF患者(NYHA心機能分類IIからIV、LVEF;40%以下、NT-proBNP≧ 600pg/mL)に対し、標準治療への追加療法としてダパグリフロジン10mgを1日1回投与し、その有効性をプラセボとの比較で評価した。主要複合評価項目は、心不全イベント発生(入院または心不全による緊急受診)までの期間、または心血管死であった。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジン群に2,373例、プラセボ群に2,371例が無作為に割り付けられた。・ベースライン特性は、両群ともに平均LVEF:31%、平均eGFR:66mL/分/1.73m2、2型糖尿病罹患率:45%でバランスがとれていた。・心不全治療薬の使用状況は、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬:ダパグリフロジン群94% vs.プラセボ群93%、β遮断薬:両群ともに96%、MRA:両群ともに71%。・心血管死または心不全悪化の主要複合評価項目は、ダパグリフロジン群において有意に低下した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.65~0.85、p=0.00001)。各項目の解析をみると、心不全悪化の初回発現リスク(HR:0.70、95%CI:0.59~0.83、p=0.00003)、心血管死のリスク(HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.029)ともにダパグリフロジン群で低下した。主要複合評価項目におけるダパグリフロジンの影響は、2型糖尿病の有無を含む、検討された主要サブグループ全体でおおむね一貫していた。・全死亡率においても、100患者・年当たり1イベント換算で患者7.9例 vs.9.5例とダパグリフロジンで名目上有意な低下を示した(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.022)。・Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (カンザスシティ心筋症質問票:KCCQ)の総合症状スコアに基づいた、患者報告アウトカムの有意な改善が確認された。・安全性プロファイルについて、心不全治療において一般的な懸念事項である体液減少の発現率は7.5% vs.6.8%、腎有害事象の発現率は6.5% vs.7.2%、重症低血糖の発現率はともに0.2%であった。

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脳クレアチン欠乏症候群〔CCDSs:cerebral creatine deficiency syndromes〕

1 疾患概要■ 概念・定義脳クレアチン欠乏症(cerebral creatine deficiency syndromes:CCDSs)は、脳内クレアチンが欠乏することにより発症し、知的障害、言語発達遅滞、痙攣、自閉症スペクトラム、筋緊張低下を特徴とする遺伝性疾患である。CCDSsは、クレアチン産生障害によるアルギニン:グリシンアミジノ基転移酵素(AGAT)欠損症(MIM#612718)と、グアニジノ酢酸メチル基転移酵素(GAMT)欠損症(MIM#612736)、およびクレアチン輸送障害によるクレアチントランスポーター(SLC6A8)欠損症(MIM#300352)の3疾患からなる。とくに、AGAT欠損症、およびGAMT欠損症はクレアチン投与が症状改善に有効であり、治療法のある知的障害として、見逃してはいけない疾患である。 本症は2018年4月に小児慢性特定疾病に登録されている。■ 疫学SLC6A8欠損症は、男性の知的障害(IQ<70)の0.3〜3.5%の原因と推定され、知的障害の単一遺伝子疾患として頻度の高い疾患の1つであるが、国内における症例の報告は10家系未満であり、わが国では未診断症例が多いと推測されている。AGAT欠損症は、世界でも極めてまれである。GAMT欠損症は、SLC6A8欠損症についで頻度が高く、110例以上の報告があるが、国内では1例のみ報告されている。■ 病因クレアチンは、グアニジノ基(HN=C(NH2)2)を持つグアニジノ化合物の1つである。クレアチンとATPは、クレアチンキナーゼにより可逆的にクレアチンリン酸とADPに変換する。脳におけるクレアチンの役割は不明な点も多いが、脳の機能や発達においてATPを的確に供給するための貯蔵庫としての機能以外に、神経修飾物質、神経伝達物質、抗酸化作用、細胞保護作用、骨や筋の成長促進作用、神経保護作用、視床下部に働き食欲や体重を調節する作用が報告されている。クレアチンは、食事の摂取によるものと、体内で生成されるものとがある。体内でのクレアチン生成は、グリシンアミジノ基転移酵素(L-arginine:glycine amindinotransferase:AGAT)とグアニジノ酢酸メチル基転移酵素(guanidinoacetate methyltransferase:GAMT)の2つの酵素により生成される。グリシン(glycine)はAGATによりアルギニン(L-arginine)のグアニジノ基を受け取り、グアニジノ酢酸(guanidinoacetate)とオルニチンになり、グアニジノ酢酸はGAMTによってメチル化され、クレアチンとなる。血液中のクレアチンの組織への取り込みやクレアチンの尿細管での再吸収はクレアチントランスポーター(SLC6A8)を介している(図1)。AGATとGAMTはそれぞれ、GATM遺伝子(15q21.1)とGAMT遺伝子(19p13.3)にコードされ、常染色体劣性(潜性)遺伝形式で男女とも発症する。SLC6A8は、SLC6A8遺伝子(Xq28)にコードされ、X連鎖性遺伝形式で主に男性に発症する。女性も男性に比べると一般に軽症ではあるが、さまざまな程度の症状を呈する。図1 クレアチン代謝経路画像を拡大する■ 症状知的障害(軽度〜重度)を主症状に、言語発達遅滞、痙攣、自閉症スペクトラム、筋緊張低下を特徴とする。運動異常(錐体外路症状)や行動異常を呈することもある。■ 予後合併症の程度によるが、生命予後は悪くないと推測される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1)プロトン-MRスペクトロスコピー(1H-MRS)(図2)3疾患に共通の所見として、Crピークの低下を認める。2)尿・血清・髄液中のグアニジノ酢酸、クレアチン、クレアチニンの測定(表)スクリーニングとして有用である。とくに、知的障害のある男性患者では、尿中クレアチン/クレアチニン比上昇(mg/dL換算で、2以上)により、SLC6A8欠損症が強く疑われる。尿・血清のクレアチン、クレアチニンは検査会社で測定可能である。LC-MS/MSあるいはGC-MSを用いたグアニジノ酢酸を含めたグアニジノ化合物の代謝産物は研究室レベルで測定可能である。図2 脳クレアチン欠乏症候群の診断画像を拡大する表 脳クレアチン欠乏症の診断画像を拡大する3)遺伝子検査検査会社(かずさDNA研究所など)で解析可能である(本稿公開の時点では、保険収載されておらず、自費診療となる)。とくに、女性のSLC6A8欠損症では、唯一の診断方法である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)AGAT欠損症およびGAMT欠損症には、クレアチン補充療法が有効である。後者では、神経細胞毒性のあるグアニジノ酢酸の産生を抑えるために、オルニチン、安息香酸ナトリウムの併用、アルギニン摂取制限を行う。SLC6A8欠損症に対しては、クレアチン投与は有効ではないが、酵素活性が残存している可能性がある患者(とくに女児)ではクレアチン単独、あるいはアルギニンやグリシンとの併用が有効であるかもしれない。4 今後の展望SLC6A8欠損症に対しては、海外においては、サイクロクレアチンの臨床研究が始まっている。ホスホクレアチン、クレアミド(クレアチルグリシンメチルエステル)、クレアチンエチルエステル、ドデシルクレアチンエステル、S-アデノシルメチオニンなども可能性がある。また、タンパクの折りたたみに影響を与える遺伝子変異の場合、シャペロン療法が有効な可能性がある。5 主たる診療科小児科(小児神経内科)、児童精神科、神経内科、遺伝子診療部門(遺伝カウンセリング)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病 脳クレアチン欠乏症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)遺伝子医療実施施設検索システム(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本小児神経学会認定小児神経専門医(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)ATR-X症候群研究班&脳クレアチン欠乏症候群研究班(医療従事者向けのまとまった情報)Association for Creatine Deficiencies(クレアチン欠乏症協会の英文による医療従事者向けのまとまった情報)GeneReviews(「遺伝性疾患情報サイト」英文による医療従事者向けのまとまった情報)Treatable Intellectual Disability(「治療できる知的障害について」英文による医療従事者向けのまとまった情報)1)van de Kamp JM, et al. J Med Genet. 2013;50:463-472.2)Kato H, et al. Brain Dev. 2014;36:630-633.3)野崎章仁ほか. 脳と発達. 2015;47:49-52.4)Mercimek-Mahmutoglu S, et al. GeneReviews. December 10;2015.5)Curt MJC, et al. Biochimie. 2015;119:146-165.公開履歴初回2019年09月10日

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第11回 陰部・肛門部の痛み【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第11回 陰部・肛門部の痛み陰部や肛門部の痛みを訴えられる難治性の患者さんも、少なからず見られます。しかも、座位などを取ることで、常に圧迫刺激が加わるため、仕事に影響を及ぼすことも多くなります。そのため、愁訴が複雑になることもありますので、治療に苦労することも珍しくありません。今回は、この陰部・肛門部痛を取り上げたいと思います。陰部・肛門部の痛みを5分類で考える陰部・肛門部の痛みは、感染症に伴う痛み、がんに由来する痛み、不対神経節に由来する痛み、仙骨硬膜外癒着に由来する痛み、身体表現型疼痛障害に由来する痛みに分類されます。1)感染症に伴う痛み痔ろうなどの感染によって生じる炎症痛が挙げられます。臀部の圧迫などによって生じた、褥瘡の炎症症状に由来する陰部・肛門部の痛みも存在します。2)がんに由来する痛み直腸がんや、大腸がんなどの悪性腫瘍による皮膚浸潤転移、Douglas窩転移、仙骨転移などの由来によって生じる陰部・肛門部の痛みが代表的なものです。手術歴や、再発所見があれば診断できます。3)不対神経節に由来する痛み不対神経節は、人体の交感神経節の中で最も尾側に位置しており、仙骨と尾骨の接合部の前面正中の後腹膜腔に存在しています。上位から連なって、腰仙骨の前面へと左右に走行してきた交感神経幹が、ほぼ仙尾関節の前面の高さで1つになるため、不対神経節という名称が付いています。この神経節由来の痛みとして考えられるのは、痔疾や、直腸がん手術後および同部位の外傷後に持続する陰部・肛門部の痛みです。肛門からの内診によって、仙骨部に痛みを再現できることがあります。4)仙骨硬膜外癒着に由来する痛みその他、気を付けなければならない陰部・肛門部の痛みとしては、仙骨硬膜外癒着に由来する痛みがあります。スケートなどで尻もちを着くなどして、陰部・肛門部・臀部の痛みが生じ、2~3ヵ月経過しても痛みが緩和されない場合に、仙骨硬膜外腔組織の癒着が原因となることがあります。5)身体表現型疼痛障害に由来する痛み陰部や肛門部の痛みを訴える患者さんの中には、精神的ストレスが原因になることがあります。特別な器質的な原因もなく、座位での保持が困難で、一般のベッドではうまくフィットしないため、睡眠障害も認められます。このような場合には、心理社会的な要因が存在する、身体表現型疼痛障害に由来する痛みが認められることがありますので注意が必要です。次回は、痛みの治療について述べます。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S148-149

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HFrEF患者、降圧薬の至適用量に性差/Lancet

 駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者では、ACE阻害薬やARB、β遮断薬の至適用量に性差があり、女性患者は男性患者に比べ、これらの薬剤の用量を減量する必要があることが、オランダ・フローニンゲン大学医療センターのBernadet T. Santema氏らが実施したBIOSTAT-CHF試験の事後解析で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月22日号に掲載された。ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の薬物動態には性差があることが知られているが、ガイドラインで推奨されているこれらの薬剤の用量は、HFrEFの男女でほぼ同量だという。左室駆出率が低下した心不全患者で仮説を検証 研究グループは、HFrEF患者におけるACE阻害薬、ARB、β遮断薬の至適用量には性差が存在するとの仮説を検証する目的で、BIOSTAT-CHF試験の事後解析を行った(欧州委員会[EC]の助成による)。 BIOSTAT-CHF試験は、プロトコールによってACE阻害薬、ARB、β遮断薬の投与開始または漸増が推奨される心不全患者を対象とした前向き観察研究で、欧州の11ヵ国が参加し、2010~12年に患者登録が行われた。今回の事後解析には、左室駆出率<40%の患者のみが含まれ、試験開始から3ヵ月以内に死亡した患者は除外された。 主要評価項目は、全死因死亡および心不全による入院までの期間の複合とした。得られた知見は、アジアの11地域が参加した前向き観察研究であるASIAN-HF試験(男性3,539例、女性961例)のデータを用いて妥当性の検証が行われた。β遮断薬は推奨用量の60%、ACE阻害薬/ARBは40%が至適 HFrEF患者1,710例(男性1,308例、女性402例)が解析に含まれた。女性患者は男性患者よりも、ベースラインの平均年齢が高く(74[SD 12]歳vs.70[12]歳、p<0.0001)、体重が軽く(72[16]kg vs.85[18]kg、p<0.0001)、身長が低かった(162[7]cm vs.174[8]cm、p<0.0001)が、BMIに差はなかった(27.3[5.8]vs.27.9[5.2]、p=0.06)。 ガイドラインで推奨された目標用量へ到達した患者の割合は、ACE阻害薬/ARB(女性99例[25%]vs.男性304例[23%]、p=0.61)およびβ遮断薬(57例[14%]vs.168例[13%]、p=0.54)のいずれにおいても、男女間に差は認めなかった。 β遮断薬は、女性ではU字型のリスク曲線が示され、推奨される目標用量の約60%が至適用量であり、男性は推奨用量の30%と100%でリスクが最も低かった。ACE阻害薬/ARBは、女性では推奨用量の約40%で複合エンドポイントのリスクが最も低く、それ以上増量してもリスクは低下しなかったのに対し、男性は推奨用量の100%投与で最もリスクが低かった。これらの性差は、年齢や体表面積などの臨床的な共変量で補正しても存在していた。 ASIAN-HF試験のコホートは男女とも、BIOSTAT-CHF試験に比べ年齢が若く、体重が軽く身長が低かった。アジア人女性では、β遮断薬の用量と複合エンドポイントの関連は3次スプライン曲線を描き、推奨用量の40~50%でリスクが急激に低下し、それ以上増量してもリスクは低下しなかったのに対し、男性では推奨用量の100%を投与した場合にリスクが最も低かった。ACE阻害薬/ARBは、アジア人女性では推奨用量の約60%でリスクが最も低く、60%以上に増量してもそれ以上の保護効果を認めなかった。男性では、ACE阻害薬/ARBは推奨用量の50%以上を投与しないとほとんど効果はなく、用量の全体を通じて複合エンドポイントのリスクが女性よりも高かった。 著者は、「これらの知見は、女性患者にとって真に至適な薬物療法とは何かという疑問をもたらす。他の心血管疾患領域でも同様の調査を行う必要がある」としている。

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小児・思春期2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬の有用性と安全性(解説:吉岡成人氏)-1111

 2019年6月、米国食品医薬品局(FDA)は10歳以上の2型糖尿病患者に対してGLP-1受容体作動薬であるリラグルチドの適応を承認した。米国において小児2型糖尿病治療薬が承認されるのは、2000年のメトホルミン以来のことである。 わが国における『糖尿病診療ガイドライン2016』(日本糖尿病学会編・著)には、小児・思春期における2型糖尿病の治療薬について、メトホルミン(10歳以上)とグリメピリドを除いた薬剤は「『小児などに対する安全性は確立していない』ことを本人ならびに保護者に伝え、使用に際しては説明に基づいた同意を得るようにする」と記載されている。 NEJM誌8月15日号に、基礎インスリンの併用の有無を問わず、メトホルミンによる治療を受けている小児・思春期2型糖尿病患者にリラグルチドを追加投与することの有用性について検討した成績が発表されている(Tamborlane WV, et al. N Engl J Med. 2019;381:637-646.)。10~16歳の患者135例を、リラグルチドを最大1.8mg/日まで追加投与する群とプラセボ群に分け、26週間二重盲検試験を行い、その後、非盲検試験として26週間延長して追跡を行っている。リラグルチド投与群では26週でHbA1cが0.64ポイント低下し、プラセボ群では0.42ポイント上昇しており、その差は-1.06ポイント、52週では群間の差が-1.30ポイントとなった。リラグルチド投与群では、嘔気、嘔吐、下痢など消化器系の有害事象が投与開始8週目までに多かったものの、小児・思春期糖尿病患者においてGLP-1受容体作動薬を併用することの血糖コントロール改善に対する有用性が確認されたと結論付けている。 2型糖尿病では経年的に膵β細胞の容積が減少し、それに伴い、インスリン分泌能が低下する。その要因として、膵β細胞のアポトーシスや分化転換(trans-differentiation)が関与していると想定されている。膵β細胞が脱分化し、α細胞などの非β細胞に分化するのではないかというのである。マウスのデータではあるが、GLP-1が膵α細胞を分化転換させ、膵β細胞を新生させるという実験成績もある(Lee YS, et al. Diabetes. 2018;67:2601-2614.)。膵細胞の分化転換に重要な役割を担っていると推定されるGLP-1 の受容体は多くの臓器に存在している。さまざまな臓器においてGLP-1受容体を長期にわたって刺激することの安全性は確立されておらず、膵腫瘍の発生リスクに関しても一定の結論は得られていない。 臨床の現場において、新たに、有用性が高い革新的な治療を行うことは重要であろうが、保守的であっても、安全性の高い医療を心掛ける姿勢も忘れてはならないのではなかろうか。

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医療ベンチャーバブルが弾けたとき、本物だけが残る【Doctors' Picksインタビュー】第2回

自治医科大学から地域医療の現場を経て米国・スタンフォード大学に渡り、研究と教育に携わってきた池野 文昭氏。本拠地を米国に置きつつ、日本において医療アントレプレナー育成プログラムの普及、政府系研究開発機関の支援、医療ベンチャーキャピタルの経営など、八面六臂の活躍を見せる。さらに、業務の合間を縫って日本全国の医学部、工学部、文系学部に赴き、起業を志す学生を鼓舞する。精力的な活動の根底にあるのは「医療という切り口で日本をデザインしたい」との思い。米国から見た日本の起業家教育・医療ベンチャーの現状と問題点を鋭く語る。――日本の医療ベンチャーに多方面から関わっていらっしゃいますが、現状をどうご覧になりますか?日本の医療ベンチャー界隈は、完全に「バブル」の様相を呈しています。これまで、コンシューマ系、ソーシャル・ネットワーク系の企業に投資されていた資金が「医療系なら有望では」といった曖昧な基準で流れ込み、会社の価値に対して時価総額が上がり過ぎているベンチャーが多数あります。医療は、医師などの資格を持った人間が購入し使用する「医業領域」、健康人が購入し使用する「ウェルネス領域」、そして、その中間に位置する「患者が購入し、使用する領域」(介護、福祉関連など)に分けられます。このうち、「ウェルネス領域」は、当局の許可を得る必要がないため参入障壁は低いですが、その分、レッド・オーシャンかつ新しい市場なので、なかなか持続性のあるビジネスモデルをつくることができません。逆に「医業領域」は、その専門性により、参入障壁は非常に高いですが、一度壁を乗り越えれば国の制度にのっとり、それなりの市場獲得が期待できます。しかし、ここでも、昨今の医療費高騰のあおりを受けて保険償還価格は下がっており、決してバラ色の未来が待っているわけではありません。こうした状況にもかかわらず、医療ベンチャーに資金が集まる理由はいくつかあります。1つ目は、医療ベンチャーの目利きをするベンチャーキャピタル(VC)が、その役割を果たせていないこと。その原因は「人材」です。米国では医療VCにはM.D.やPh.D.保有者が一定の割合で在籍しています。医療・科学の専門家とビジネス・投資の専門家、ときにはその両方の専門性を持つ人材が判断するからこそ筋の良いものだけが残る。しかし、日本はまだそうなっていません。2つ目は、プレーヤーの変化です。これまでの医療機器開発は「医業領域から患者・健康人向け領域へ」という道筋をたどってきました。たとえば、かつて医療者しか使えなかった血圧計は、患者・健康人向けの製品として普及しました。つまり、専門家向け製品を作るプレーヤーしか市場にいなかったのです。それが、今はスマホアプリやゲームをはじめ、健康人向けを起点としたプロダクトが多数あります。プレーヤーが多様になったのと同時に、これらのIT企業への投資で利益を得てきたVCも一緒に市場に入ってきた。これは非常に良いことではあるのですが、市場規模を誤って判断し、本来の市場規模を無視した投資も行われるようになったと感じます。3つ目は、国策です。2018年に経済産業省が「世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出す」ことをうたって「J-Startup」プログラムを開始しました。ここでは「2023年までに企業価値または時価総額が10億ドル以上となる未上場・ベンチャー企業(ユニコーン)または上場ベンチャー企業を20社創出」という目標を検討しているそうです。官の後ろ盾を得てさらに資金が集まりやすくなっている、という構造です。ここで思い出すのが、2001年に小泉 純一郎内閣の「骨太の方針」の一環として掲げられた「大学発ベンチャー1000社計画」です。実際、2006年までに1,600近いベンチャーが立ち上がったのですが、その多くは立ち消えとなりました。国策としてのベンチャー支援は重要ですが、数だけを追っても意味がないことを学んでいないのです。「数」とともに「規模」目標も疑問です。ソーシャル・ネットワーク系、ゲーム系、シェアエコノミー、自動運転などの領域では、企業価値10億ドル超の「ユニコーン」輩出も十分ありうると思いますが、医療系でこの規模を目指せ、というのは無理があります。国内の医療市場を考えるとおかしな企業価値になってしまい、結局ベンチャー自身の首を絞めることを危惧しています。――こうした状況は続くのでしょうか?市場の実態に見合っていないバブルですから、いつかは弾けます。米国でもTheranos(セラノス)の例がありました。2003年、19歳の若手創業者による「指先から採取した一滴の血液で200種もの疾病を検査できる」という画期的なプロダクトアイデアを基に登場した同社は大きな注目を集め、一時は時価総額が90億ドル(約1兆円)にもなりました。しかし、2015年に検査技術に疑念を呈す報道が出て、過去の検査結果を偽造していたことがわかり、創業者は不正に市場から資金を調達した罪で有罪となる見込みです。上がり続ける期待と集まり過ぎた資金に、技術力が付いていかなかったがための悲劇です。日本でもこうした例が出て市場が一気に冷え込んでしまうのでは、と懸念しています。ただ、バブルは悪いことばかりではありません。大型の株式上場や資金調達は国内外の注目を集めますし、資金が集まることで研究開発の裾野も広がるでしょう。大切なのはバブルが弾けた後、きちんと「本物」が残ることです。そのために、本当に画期的なアイデアと技術力のあるベンチャーを見極め、適切な規模の資金を調達し、身の丈に合った成長を支援していかねばなりません。私自身が関わる会社は、そうした本当のVCの役割を果たしてきたつもりです。――残る「本物」とは、どういったベンチャーでしょうか?私自身は、高い研究開発力を基盤とし、資金も時間もかけてプロダクトを開発する、医業領域の「ディープテック」を応援したいと考えています。製薬などもここに含まれるでしょう。これらの事業は開発に時間もお金もかかり、投資的な妙味は薄いかもしれません。しかし、成功すれば治らなかった病気が治るなど本当に世界を変えることができます。加えて、これからはAI技術を使って開発精度やスピードが格段に向上する可能性があることも大きなプラス材料です。一方、ウェルネス領域のアプリなどのビジネスは初期投資が少なく、専門性や技術力もそこまでは要しない。米国でもダイエットアプリを手掛ける企業が数え切れないほど登場しています。同国ではBMIが30%超の人が3割もいて「痩せ」は巨大な市場です。でも、実際の効果はどうでしょう? 1つのアプリでは効果が出ないので、次々にアプリを乗り換え、結果的に複数の会社のビジネスが成り立っている、というのが現状ではないでしょうか。これでは、ビジネスとしては成り立っていても、何ら社会に変化を与えていません。医療分野でビジネスをするなら、人を健康にし、社会を良い方向に変えることに寄与すべきだと思うのです。――日本でも多くのベンチャー支援や起業家教育に関わっていらっしゃいますね。日本のベンチャーを巡る環境に変化は出ていますが、米国とはまだ比べものになりません。例えるならば、オリンピック金メダリストと中学生代表くらいのレベル差がまだある。教育は非常に重要ですが成果が出るまで時間がかかりますし、ビジネスにも選挙の票にもなりにくいので後回しにされがちですが、今踏ん張って取り組めば、後からじわじわと効果が出てくるはずです。今、日本の15大学で客員教授を務め、帰国のたびに各地を回ってイノベーションにまつわる講義をしています。私が学生の頃は「起業」という選択はまったく現実味がありませんでしたし、ましてや「医師の起業」は、正気の沙汰ではないとされた時代です。しかし、今の学生は違います。起業を現実的な選択肢として捉える人が増えたことを実感します。ただ、起業は「手段」であって「目的」ではない。そこを勘違いしている方も多いので、「何の社会問題を解決するために起業するのか」と絶えず問い掛けるようにしています。――現役の医師に伝えたいことは?起業に興味がある方がいれば、ぜひトライしてみてほしい。もちろん向き不向きがありますから、皆にやれとは言いません。でも、皆さんは国内のトップライセンス、医師免許を持っています。仮に起業に失敗したとしても、食べてはいけるでしょう。その恵まれた立場を活かさない手はないと思うのです。このインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!私のPICKした記事Apple, Microsoft and Google to test new standard for patient access to digital health data – TechCrunch7月末に発表された「Apple、Google、Microsoftがヘルスデータに関する新標準規格をテストする」というニュース。日本でも健康診断結果や検査データを医療機関が共有したり、患者本人に閲覧・管理権限を与えたり、という試みは多く行われているが、規格統一やセキュリティの問題から、広がりに欠けるのが実情。巨大IT企業と米政府の推進で実用化にどこまで近づくか。関連サービスの広がりも期待できる。医師から関心も高く、多くのコメントが付いた。

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StageIV NSCLC、全身治療に局所治療を併用するベネフィット

 非小細胞肺がん(NSCLC)は広がりやすい傾向にあり、診断時すでに55%の患者が遠隔転移を有するStageIVだとされる。全身治療が中心であるStageIVのNSCLCにおいて、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJohannes Uhlig氏らは、National Cancer Database(NCDB)に登録された3万4,887例について解析し、全身治療単独よりも、原発腫瘍の外科的切除、もしくは体外照射療法または熱腫瘍アブレーション(EBRT/TA)との併用による、生存ベネフィット改善の可能性が示されたと発表した。JAMA Network Open誌2019年8月2日号掲載の報告。 研究グループは、StageIVのNSCLCの原発腫瘍に対する局所治療の追加が、全身治療単独よりも生存ベネフィットを上乗せするかを評価する検討を行った。NCDBの2018バージョンを後ろ向きに検索し、2010年1月1日~2015年12月31日に、病理組織学的にStageIVと診断されたNSCLCの患者を特定した。 2018年11月1日~2019年1月1日にデータを解析。(1)外科的切除+全身治療(手術併用群)、(2)EBRT/TA+全身治療(EBRT/TA併用群)、(3)全身治療単独について比較検討した。TAには、凍結療法とラジオ波凝固療法が含まれた。 主要評価項目は、全生存期間(OS)。多変量Cox比例ハザード回帰モデル法を用いて療法群間の比較検討を行い、その後に傾向スコアマッチング法にてEBRT/TA併用群と全身治療単独群について比較検討した。 なお治療割付は、人口統計学的因子およびがん特異的因子が関係しており、手術併用群への割付尤度は、オリゴメタスタシスのNSCLCで高かった。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした対象者は、3万4,887例であった。男性1万9,002例(54.4%)、年齢中央値68歳。・手術併用群835例、EBRT/TA併用群9,539例、全身治療単独群2万4,513例であった。追跡期間中央値は39.4ヵ月。・手術併用群のOSは他の2つの治療群と比べて有意に優れていた(EBRT/TA併用群に対するハザード比[HR]:0.62、95%CI:0.57~0.67、p<0.001、全身治療単独群に対するHR:0.59、95%CI:0.55~0.64、p<0.001)。・EBRT/TA併用群のOSは全身治療単独群と比べて有意に優れていた(HR:0.95、95%CI:0.93~0.98、p=0.002)。・交互作用の解析において、治療効果にはばらつきがあることが確認され、EBRT/TA併用は、T(腫瘍径)とN(リンパ節転移)が限定された腫瘍およびオリゴメタスタシスを有するStageIVの扁平上皮がんで、とくに生存ベネフィットをもたらした(HR:0.68、95%CI:0.57~0.80、p<0.001)。・同患者における全生存率(EBRT/TA併用vs.全身治療単独)は、1年時点で60.4% vs.45.4%、2年時点で32.6% vs.19.2%、3年時点で20.2% vs.10.6%であった。

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成人軽症~中等症喘息の発作治療、ICS/LABA vs.SABA/Lancet

 軽症~中等症の成人喘息患者の治療では、症状緩和のためのブデソニド/ホルモテロール配合薬の頓用は、低用量ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用に比べ、重度喘息増悪の予防効果が優れることが、ニュージーランド・Medical Research Institute of New ZealandのJo Hardy氏らが行ったPRACTICAL試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月23日号に掲載された。軽症の成人喘息患者では、発作時の単剤治療としての吸入コルチコステロイド(ICS)と即効性長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合薬は、短時間作用性β2刺激薬(SABA)による発作時治療に比べ、重度増悪の抑制効果が高いと報告されている。ICS/LABAとSABAの有用性を比較する無作為化試験 本研究は、ニュージーランドの15施設が参加した多施設共同非盲検無作為化対照比較試験であり、ブデソニド/ホルモテロール配合薬よる発作時治療と、低用量ブデソニド維持療法+テルブタリン(SABA)頓用の併用治療の有用性を比較する目的で実施された(ニュージーランド保健研究会議[HRC]の助成による)。 対象は、年齢18~75歳、患者が自己申告し、医師により喘息と診断され、割り付け前の12週間に発作時SABA治療単独、または発作時SABA治療+低~中用量の吸入コルチコステロイドによる維持療法を行っていた患者であった。 被験者は、ブデソニド/ホルモテロール配合薬(1噴霧中にそれぞれ200μgおよび6μgを含有、症状緩和のために必要時に1吸入)による治療を行うICS/LABA群、またはブデソニド(1噴霧中に200μg含有、1回1吸入、1日2回)+テルブタリン(1噴霧中に250μg含有、症状緩和のために必要時に2吸入)による治療を行うSABA群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者は、割り付け時と4、16、28、40、52週時に受診した。 主要アウトカムは、intention to treat集団における患者1例当たりの重度増悪の年間発生とした。重度増悪は、喘息による3日間以上の全身性コルチコステロイドの使用、もしくは全身性コルチコステロイドを要する喘息による入院または救急診療部への受診と定義された。ICS/LABA群の重度増悪が31%減少、症状は同等でステロイド減量 2016年5月4日~2017年12月22日の期間に885例が登録され、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群に437例(平均年齢43.3[SD 15.2]歳、女性56%)が、ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用のSABA群には448例(42.8[16.7]歳、54%)が割り付けられた。 1例当たりの重度増悪の年間発生は、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群がブデソニド維持療法+テルブタリン頓用のSABA群に比べ、31%有意に低かった(絶対発生率:0.119 vs.0.172、相対値:0.69、95%信頼区間[CI]:0.48~1.00、p=0.049)。 重度増悪の初発までの期間は、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群が、ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用のSABA群よりも長かった(HR:0.60、95%CI:0.40~0.91、p=0.015)。また、中等度~重度増悪の初発までの期間も、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群のほうが長かった(0.59、0.41~0.84、p=0.004)。 治療失敗による投与中止の割合は、両群間に差はみられなかった(ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群9例、ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用のSABA群11例、相対リスク:0.84、95%CI:0.35~2.00、p=0.69)。また、five-question version of the Asthma Control Questionnaire(ACQ-5、前週の喘息症状に関する5つの質問への回答で、0[障害なし]~6[最大の障害]点に分類)のスコアにも、すべての評価時点で両群間に差はなかった(平均差:0.06、-0.005~0.12、p=0.07)。 ブデソニドの平均1日用量は、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用のICS/LABA群のほうが少なかった(差:-126.5μg/日、95%CI:-171.0~-81.9、p<0.001)。 1件以上の有害事象を発現した患者は、ブデソニド/ホルモテロール配合薬頓用群が385例(88%)、ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用群は371例(83%)であった。最も頻度の高い有害事象は、両群とも鼻咽頭炎だった(154例[35%]、144例[32%])。 著者は「これらの知見は、吸入コルチコステロイド/ホルモテロール配合薬による発作時治療は、軽症喘息患者への低用量吸入コルチコステロイド毎日投与の代替レジメンであるとする2019 Global Initiative for Asthma(GINA)の推奨を支持するものである」としている。

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診断時に6割が悪液質の基準満たす!高齢者肺がん シリーズがん悪液質(4)【Oncologyインタビュー】第10回

近年、肺がん治療は急速に進化し、生命予後も顕著に改善している。しかし、肺がん患者におけるがん悪液質の発症頻度は高く、その生命予後への影響は現在においても大きい事が報告されている。肺がんと悪液質の発現と、その弊害について、静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏に聞いた。肺がんにおける悪液質はどのような形で現れるのでしょうか。進行肺がんを有する患者さんは、診断の時点で半数以上ががん悪液質を有していますが、そのことは本人も、家族も、診療している医療従事者も気づいていない場合が多いようです。がん悪液質を有する肺がん患者さんは、身体機能が低下し、化学療法の副作用が多く、生存期間が短いことがわかっています。したがって、化学療法などによって腫瘍を制御することはできても、全体的にみると臨床転帰は悪いということをしばしば経験するのです。このような患者さんにおいては、がん悪液質の存在をできるだけ早く診断し、適切な栄養療法や運動療法などの支持療法を併用することで、がん治療を長く継続でき、身体機能も維持されるのではないかと考えられています。肺がんと悪液質について今までの研究について教えていただけますか。私たちは、70才以上の高齢の進行肺がんの患者さん60例の体重、骨格筋量、身体機能、日常生活動作を定期的に測定する観察研究「進行肺癌を有する高齢者の日常生活動作の観察研究」(UMIN000009768)を実施しました。画像を拡大するその結果、がんの診断の時点で約6割(58%)の患者さんが悪液質の基準(スライド参照)を満たし、3割(28%)の患者さんが前液質の状態(2~5%の体重減少)にありました。つまり、約9割は初診時に前悪液質以上の状態だったことになります。表に示すように、診断の時点において、前悪液質あるいは悪液質の患者さんは、PS良好で、食欲もあり、体格や食欲についても非悪液質の患者さんと大差はなく、外見上は非常に鑑別の難しい状態にあります。体重減少という簡単な指標に注目することで、これだけ多くの患者さんで栄養障害が潜在的に存在していることがわかるのです。ちなみに、1年後には状況はさらに悪化し、8割程度が悪液質の基準を満たしてしまいます。画像を拡大するこの研究の副解析で、高齢の肺がん患者さんにおいて、がんの診断から死亡に至るまで、どのような順序で体の変化が生じるかを調査しました。体重減少以外にどのような身体的なイベントが起きるのでしょうか。さまざまイベントが起きますが、その発現には順番があります。各イベント発現の中央値をみると、体重減少は進行がんの早期、最初のイべントとして起きます。それに続いて起こるのが歩行機能障害です。抗がん剤治療開始後3ヵ月の段階で、半数以上の患者さんに歩行機能障害が起きています。約半年で筋力(握力)低下し、約1年後には要介護状態となります。また要介護から約半年後に、死亡の最終イベントが生じます。画像を拡大する画像を拡大するがんの治療では生存に目が行きがちですが、その間に体重減少から始まるさまざまな身体的イベントが起こっていることが、この観察研究でおわかりいただけるのではないかと思います。悪液質が起こることによる弊害は?同じ研究のステージIVの集団の解析から、診断時に悪液質であった患者さんは、そうでなかった患者さんに比べると、同じ生存期間であっても要介護状態の方が顕著に多いことがわかります。つまり、悪液質の患者さんは健康寿命も短いのです。画像を拡大するまた、がん悪液質の存在は医療依存度にも関連があります。非悪液質患者さんの診断から1年間の入院日数は60日間であるのに対し、悪液質患者さんは92日間も入院しています。1年間で1ヵ月も入院期間が長いことが明らかになりました。それに伴い、悪液質患者さんの医療費は年間150万円、非悪液質患者さんよりも多くなります。その医療費の追加分の内訳は、合併症による予定外受診や緊急入院、緩和治療に対する用途が多くを占めていました。このようなところにも悪液質の弊害は表れています。画像を拡大する肺がんの中でも悪液質の発現には違いがあるのでしょうか。腫瘍熱を有していたり、血清CRP値の高い症例では、慢性的炎症とそれに伴うサイトカインの分泌などから、がん悪液質を起こしやすいと考えられています。高齢者の肺がんでは、悪液質をケアし身体機能を良好に保ちつつ、がん治療を行うことが必要ですね。その通りです。これらの研究結果から、特に高齢者の担がん患者さんにおいては、管理栄養士、理学療法士、看護師、医師が連携し、栄養サポートやリハビリを組み合わせた支持医療を提供していくことが重要と考えています。このようながん悪液質に対する集学的支持医療は、患者さんの生命予後の延長だけでなく、機能予後の改善も期待できるのではないかと思います。1)内藤立暁, 髙山浩一, 田村和夫 日本がんサポーティブケア学会2019年3月2)森 麻理子, 青山 高, 内藤 立暁ほか 日本病態栄養学会誌.2017:20:205-213.3)Naito T. Evaluation of the True Endpoint of Clinical Trials for Cancer Cachexia. Asia Pac J Oncol Nurs.2019;6:227-233.4)Naito T, Okayama T, Aoyama T, et.al. Unfavorable impact of cancer cachexia on activity of daily living and need for inpatient care in elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer in Japan: a prospective longitudinal observational study. BMC Cancer.2017;17:800.5)Naito T, Okayama T, Aoyama T, et.al. Skeletal muscle depletion during chemotherapy has a large impact on physical function in elderly Japanese patients with advanced non-small-cell lung cancer. BMC Cancer.2017;17:571.

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抗うつ薬治療後の錐体外路反応

 錐体外路症状(EPS)は、抗精神病薬で一般的にみられる副作用である。しかし、抗うつ薬治療後のEPSに関する症例報告もある。抗うつ薬がEPSを引き起こすメカニズムは十分にわかってはいないが、ドパミン作動性経路へのセロトニン入力が関与している可能性が高い。オーストリア・グラーツ医科大学のSabrina Morkl氏らは、抗うつ薬治療に関連するEPSについて評価を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2019年8月7日号の報告。 抗うつ薬治療に関連するEPSを評価するため、精神科入院患者における重度の薬物反応をシステマティックに記録した多施設薬物監視プログラム(AMSP研究)のデータを用いて、レビューを行った。15症例を特定し、類似性の検出およびリスク因子の特徴付けを行った。 主な結果は以下のとおり。・1994~2016年の間に、抗うつ薬治療後にEPSが発現した患者の報告は15症例であった。・SSRI単独治療で7例、SSRI併用治療で6例のEPS発現が認められた。・エスシタロプラム治療で最も多くEPSが認められた(5例)。・最も一般的なEPSは、非定型のジスキネジアで6例、次いでアカシジアの4例であった。・EPSの平均発症年齢は、54.93±17.9歳であった。・EPSは、任意の投与量で発症し、男女とも同様の頻度で認められた。 著者らは「抗うつ薬治療によるEPSは、重要かつ珍しい副作用である。臨床医は、この悪影響に注意を払い、早期の警告サインを注意深く監視する必要がある」としている。

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75歳以上でスタチンを中止した場合の心血管リスク/EHJ

 入院や施設への入所、がんなど他疾患の発症をきっかけに、高齢者が一次予防のために服用していたスタチンを中止した場合、継続した場合と比較して心血管イベントによる入院リスクが増加した。フランス・ピティエ-サルペトリエール病院のPhilippe Giral 氏らは、75歳まで一次予防目的でスタチンを服用していた高齢者の心血管転帰に対するスタチン中止の影響を、大規模コホート研究により評価した。European Heart Journal誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告より。 本研究は、フランスの国民医療データベースを使用した人口ベースのコホート研究。2012~14年に75歳になり、CVDの既往がなく、過去2年間にスタチンの総投薬量に対する実服薬量の割合(medication possession ratio:MPR)が80%以上だったすべての人が対象とされた。 スタチンの中止は3ヵ月連続の服用なしと定義され、アウトカムとして心血管イベントによる入院が設定された。スタチンを中止した場合と継続した場合を比較するハザード比は、ベースライン時点と時間依存共変量(心血管薬の使用、併存疾患、フレイル指標)の両者を調整する周辺構造モデルを用いて推定された。 主な結果は以下のとおり。・12万173人が平均2.4年追跡され、うち1万7,204人(14.3%)がスタチンを中止し、5,396人(4.5%)が心血管イベントのために入院した。・スタチン中止に関連した要因は、フォローアップ期間中の入院(調整オッズ比[aOR]:最大3.28)、高度看護施設への入所(aOR:2.66)、転移性の固形がん(aOR:2.22)、経管あるいは経口栄養摂取の開始(aOR:2.13)などであった。・スタチンを中止した場合の調整ハザード比は、全心血管イベント(1.33、95%信頼区間[CI]1.18~1.50)、冠動脈イベント(1.46、95%CI:1.21~1.75)、脳血管イベント(1.26、95%CI:1.05~1.51)、その他の血管イベント(1.02、95%CI:0.74~1.40)であった。・ベースライン時の糖尿病の有無によって、スタチン中止の心血管イベントによる入院への影響をサブグループ解析した結果、糖尿病有(3万3,617例、うち中止3,857例)の調整ハザード比は1.14(95%CI:0.89~1.44)、糖尿病無し(8万6,566例 、うち中止1万3,347例)は1.41(95%CI:1.23~1.62)であり、糖尿病有の場合のスタチン中止による影響は統計的に有意ではなかった。 75歳以上が一次予防として服用していたスタチンを中止することは、心血管イベントによる入院リスクが33%増加することに関連していた。研究者らは、本研究が後ろ向きの観察研究である点を限界として挙げ、ランダム化比較試験を含むさらなる研究が必要としている。また、糖尿病患者におけるサブグループ解析結果については、ベースライン時点で糖尿病があった場合にもともと心血管リスクが高いことで部分的に説明できる可能性があるとし、より詳細な研究が必要とまとめている。

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NSCLC免疫治療のバイオマーカーと生存期間の関係

 非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫療法の役割や現在のバイオマーカーの臨床的関連について、興味深い知見が示された。中国・中山大学のYunfang Yu氏らは臨床試験計31件のメタ解析を行い、免疫療法はNSCLC患者の予後改善が期待できること、免疫療法の有効性を評価するバイオマーカーとしてはPD-L1発現と腫瘍遺伝子変異量(TMB)の併用が有用で、CD8+T細胞腫瘍浸潤リンパ球も加えることでさらに信頼性が高い予後予測が可能となることを示した。著者は、「これらを併用した予測値について、前向き大規模臨床試験で確認する必要がある」とまとめている。JAMA Network Open誌2019年7月号掲載の報告。 研究グループは、進行NSCLC患者における免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍ワクチンおよび細胞性免疫療法と臨床転帰との関連を評価し、適切な治療戦略、対象および予測因子を探索する目的で、メタ解析を行った。 PubMed、EMBASEおよびCochrane Central Register of Controlled Trialsのデータベースを用い、2018年6月までに発表された論文について、tumor vaccine、cellular immunotherapy、immune checkpoint inhibitor、cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4、programmed death-ligand 1、programmed death receptor 1、non-small cell lung carcinomaを含むキーワードおよびMeSH用語で検索するとともに、システマティックレビュー、メタ解析、参考文献、学会抄録集は手作業で検索した。進行/転移NSCLC患者を対象に、免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍ワクチンまたは細胞性免疫療法と従来の治療法について、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)または奏効率(ORR)を比較している無作為化臨床試験で、英語の論文を解析に組み込んだ。解析は2018年2月1日~8月31日に行われた。 主要評価項目は、OSおよびPFSであった。 主な結果は以下のとおり。・無作為化臨床試験31件、計1万4,395例(男性66%)がメタ解析に組み込まれた。・従来の治療法と比較して、免疫療法はOS(HR:0.76、95%CI:0.71~0.82、p<0.001)およびPFS(HR:0.76、95%CI:0.70~0.83、p<0.001)の有意な延長と関連した。・PD-L1発現とTMBを併用した予後予測は、それぞれの単独よりも有用であった。全エクソームシークエンス実施群では、併用法による1年PFSに関するROC(receiver operating characteristic curve)のAUC(area under the curve)が0.829、3年PFSのAUCが0.839、ターゲット次世代シークエンス実施群では、それぞれ0.826および0.948であった。・さらにCD8+T細胞腫瘍浸潤リンパ球も加えた併用法は、OSの予測値が最も高かった(3年OSのAUC:0.659、5年OSのAUC:0.665)。・RYR1またはMGAM遺伝子変異は、持続的臨床効果(DCB)、高TMBおよびPD-L1高発現と有意に関連していた。・RYR1遺伝子変異の頻度は、DCBあり群で24%(12/51例)、DCBなし群で4%(2/55例)(p<0.001)、高TMB群で23%(12/53例)、低TMB群で3.8%(2/53例)(p<0.001)、PD-L1高発現群で27%(8/30例)、PD-L1低発現群で7.1%(6/85例)(p<0.001)であった。・MGAM遺伝子変異の頻度は、DCBあり群で24%(12/51例)、DCBなし群で0%(p<0.001)、高TMB群で17%(9/53例)、低TMB群で0%(p<0.001)、PD-L1高発現群で20%(6/30例)、PD-L1低発現群で6%(5/85例)(p<0.001)であった。

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PM濃度と死亡率の関連性が明らかに/NEJM

 世界24ヵ国652都市における粒子状物質(PM)(粒径10μm以下のPM10および2.5μm以下のPM2.5)の短期曝露が、1日当たりの全死因、心血管疾患および呼吸器疾患死亡率と独立して関連していることが明らかにされた。中国・復旦大学のCong Liu氏らが、天候または気候の死亡への影響を世界的に評価するために設立したMulti-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkによる研究結果で、「今回の結果は、地域・地方の研究で認められた死亡率とPM濃度との関連性についてのエビデンスを強固にするものである」とまとめている。短期間のPM曝露と1日死亡率との関連性を検証した研究は多いが、ほとんどが1都市あるいは1地域から得られたもので、大気汚染の時系列研究の結果を系統的に評価することは解析モデルの違いや出版バイアスにより困難とされていた。NEJM誌2019年8月22日号掲載の報告。652都市におけるPM曝露と全死因死亡率などとの関連を解析 研究グループは、MCCデータベースを用いて24ヵ国652都市の1986~2015年における大気汚染データを収集するとともに、各地方自治体から死亡に関するデータを入手し、PM10およびPM2.5と1日当たりの心血管疾患および呼吸器疾患死亡率との関連について、準ポアソン一般化加法モデルとランダム効果モデルを用いて解析した。1日当たりPM濃度が10μg/m3増加すると死亡率も上昇 PM10の2日移動平均濃度が10μg/m3増加すると、1日全死因死亡率が0.44%(95%信頼区間[CI]:0.39~0.50)、心血管疾患死亡率が0.36%(95%CI:0.30~0.43)、呼吸器疾患死亡率が0.47%(95%CI:0.35~0.58)、いずれも上昇することが確認された。 PM2.5についても同様に、2日移動平均濃度が10μg/m3増加すると、1日死亡率はそれぞれ0.68%(95%CI:0.59~0.77)、0.55%(95%CI:0.45~0.66)、0.74%(95%CI:0.53~0.95)上昇した。 これらの関連性は、ガス状汚染物質で補正後も有意であることが示された。また、年間平均PM濃度が低い地域、ならびに年間平均気温が高い地域で、関連が強かった。併合した濃度-反応曲線は、PM濃度の増加に伴い1日死亡率が一貫して上昇し、PM濃度が低いほど勾配が急であった。 なお著者は、中南米およびアフリカの都市が少ないため今回の結果を全世界の代表として解釈できないことや、健康データに関する診断またはコーディングエラーは避けられないことなどを研究の限界として挙げている。

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