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アテゾリズマブの術後補助療法の有効性は症例タイプによって変わるか(IMpower010)/WCLC2021

 IMpower010試験で示された、アテゾリズマブによるStage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性が、大きな反響を呼んでいる。このアテゾリズマブの術後補助療法の成績は症例タイプによって違いはあるのか、探索的研究が世界肺癌学会(WCLC2021)で発表された。ゾリズマブの術後補助療法を追加した試験群、ほとんどの症例タイプでDFSを改善 その結果、ほとんどの症例タイプにおいて、アテゾリズマブの術後補助療法の追加により、無病生存期間(DFS)が改善した。・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)を21日ごと最大4回サイクル受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)・評価項目[主要評価項目]治験責任医評価のDFSと全生存期間(OS)[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≧1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性 アテゾリズマブの術後補助療法の成績は症例タイプによって違いがあるのか研究した主な結果は以下のとおり。[Stage II~IIIA PD-L1≧1%]・臨床病期別のDFSのハザード比(HR)は、Stage IIAで0.73、Stage IIBで0.77、IIIAでは0.62であった。・リンパ節病変別のDFS HRはN0 で0.86、N+では0.62であった。・手術タイプ別のDFS HRは肺葉切除で0.63、肺全摘で0.83、2肺葉切除では0.78であった。・化学療法レジメン別のDFS HRは、シスプラチン+ドセタキセルで0.60、シスプラチン+ビノレルビンで1.14、シスプラチン+ペメトレキセドでは0.66であった。[Stage II~IIIA すべての無作為化患者]・臨床病期別のDFS HRは、Stage IIAで0.68、Stage IIBで0.88、IIIAでは0.81であった。・リンパ節病変別のDFS HRはN0 で0.88、N+では0.76であった。・手術タイプ別のDFS HRは肺葉切除で0.77、肺全摘で0.91、2肺葉切除では1.02であった。・化学療法レジメン別のDFS HRは、シスプラチン+ドセタキセルで0.72、シスプラチン+ビノレルビンで0.94、シスプラチン+ペメトレキセドでは0.84あった。 Stage I~IIIAのPD-L1≧1%および全集団において、ほとんどの症例タイプ(臨床病期、リンパ節浸潤の有無、手術タイプ、化学療法レジメン)で、アテゾリズマブ群がDFSの改善傾向を示していた。

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ポルノ依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連

 男性がポルノ関連情報に触れる機会は、過去10年間で大きく変化しており、インターネットポルノ(IP)依存症やそれに関連する性機能障害の有症率は増加している。DSM-Vのコンセンサスや正式な認識が欠如していることにより、IP依存症の定義は明らかとなっていない。現在得られているIP依存症や性機能障害に関連するエビデンスの多くは、消費者、ケーススタディ、定性研究からの情報に限られている。経験的な測定が用いられることにより、研究者は、性的反応に関するさまざまなアウトカムを発見したが、これらのデータは、IPの利用と自己認識しているIP依存症との混同、性機能障害の臨床診断による性的反応の正常な変動と関連している可能性がある。そのため、IPの利用や自己認識しているIP依存症の両方が男性の性機能に及ぼす影響を評価するためには、さらなる経験的な解明が求められる。オーストラリア・マッコーリー大学のGeorgina Whelan氏らは、IP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連について調査を行った。The Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2021年8月13日号の報告。 この研究の目的として、次の3つについて評価を行った。(1)IP単独利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(2)自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(3)IPの利用または自己認識しているIP依存症が男性の勃起不全、早漏、性的満足度の予測因子であるか 米国のオンライン掲示板RedditのIPサブグループが行ったオンライン調査に参加した18~44歳の異性愛者男性942人を対象に、相関分析および回帰分析を実施した。主要アウトカムの指標として、Cyber-Pornography Use Inventory(IPの利用尺度)、International Index Erectile Dysfunction(勃起不全の尺度)、The Checklist for Early Ejaculation Symptoms(早漏の尺度)、New Sexual Satisfaction Scale(性的満足度の尺度)、Depression Anxiety Stress Scale-21(うつ病、不安、ストレスの尺度)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・IPの利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連は認められなかった。・自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との間には、小~中程度の相関が認められた。・自己認識しているIP依存症は、勃起不全、早漏、個人の性的不満の増加に対する独立した予測因子であることが示唆された。・予想に反して、自己認識しているIP依存症は、性的パートナーに対する性的不満を予測しなかった。 著者らは「IPの利用自体が性機能障害を予測するわけではなく、IP依存の増加に対する自己認識が、性的にネガティブな影響と関連していることが示唆された。そのため、IPの利用に対する主観的な解釈が、男性の性的問題の原因であると考えられる。臨床医は、自己認識しているIP依存症が、性機能障害の原因である可能性を考慮する必要がある」としている。

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特発性後天性全身性無汗症〔AIGA:acquired idiopathic generalized anhidrosis〕

1 疾患概要■ 定義発汗を促す環境(高温、多湿)においても発汗がみられないものを無汗症とよぶ。そして、「後天的に明確な原因なく発汗量が低下し、発汗異常以外の自律神経および神経学的異常を伴わない疾患」を特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidrosis:AIGA)と定義する1)。■ 疫学2011年に国内の大学病院神経内科、皮膚科94施設を対象に行った調査では過去5年間のAIGA患者数は145例であった1)。男性が126例を占め、発症年齢は1~69歳まで幅広いものの、10~40歳代にかけて多くみられた。その後に報告された単施設で結果でもおおむね同様の傾向にある2-4)。また、症例報告のほとんどは本邦からの報告となっている。まれな疾患ではあるが、患者の生活環境によっては無汗に気付かれないこと、後述するようにコリン性蕁麻疹として治療されている例もあり、実際にはより多くの患者がいる可能性がある。しかし、最近ではAIGAの存在が徐々に認知されるようになってきたためか、受診・紹介患者は増えてきている印象もある。■ 病因全身無汗になる病態として次の3つがありうる。(1)交感神経の中の発汗神経の障害(Sudomotor neuropathy)(2)特発性純粋発汗不全(Idiopathic pure sudomotor failure:IPSF)(3)特発性汗腺不全(Sweat gland failure)しかし、臨床経験上(1)(3)はまれであり、またその証明も難しいことから、AIGAの多くが(2)に相当する。(2)の具体的機序としては汗腺分泌部とその周囲のマスト細胞上のアセチルコリン受容体の発現低下が推定されている5)。本病型(IPSF)には減汗性/無汗性コリン性蕁麻疹として主に皮膚科領域から報告されてきたものも含まれる。■ 症状激しい運動や暑熱環境にさらされると無汗による体温上昇のためにほてり感、顔面紅潮、めまい、悪心、動悸などの症状がみられ、容易に熱中症に陥る。手掌や足底、腋窩は障害されにくく、また、前額も発汗が保たれやすい傾向がある。四肢は無汗でも体幹は低汗にとどまっている例もみかける。患者の6~8割程度に発汗誘発時のコリン性蕁麻疹を伴う(IPSF)。明瞭な膨疹が出現せずピリピリとした痛痒さを訴えるだけのこともある。体幹・四肢の無汗のために代償性に生じた顔面の多汗が主訴となることがあり、問診に際して注意が必要となる。■ 予後長期予後に関する大規模な調査はないが生命予後は良い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 鑑別のステップと検査無汗症の分類を図1に示す6)。先天性・遺伝性には無汗性/低汗性外胚葉形成不全症、先天性無痛無汗症、ファブリー病などがある。一方、後天性には種々の神経疾患、内分泌・代謝異常症、シェーグレン症候群、薬剤性などの要因による続発性のものがある。これらを除いた特発性とせざるをえない無汗症のうち、無汗部位が髄節性(分節性)でなくほぼ全身に及ぶものがAIGAとなる。診断基準を表6)に示す。図1 無汗症の分類画像を拡大する表 特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準A明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが、発汗以外の自律神経症候および神経学的症候を認めない。Bヨードデンプン反応を用いたミノール法などによる温熱発汗試験で黒色に変色しない領域もしくはサーモグラフィーによる高体温領域が全身の25%以上の範囲に無汗/減汗(発汗低下)がみられる。● 参考項目1.発汗誘発時に皮膚のピリピリする痛み・発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしばみられる。2.発汗低下に左右差なく、腋窩の発汗ならびに手掌・足底の精神性発汗は保たれていることが多い。3.アトピー性皮膚炎はAIGA に合併することがあるので除外項目には含めない。4.病理組織学的所見:汗腺周囲のリンパ球浸潤、汗腺の委縮、汗孔に角栓なども認めることもある。5.アセチルコリン皮内テストもしくはQSARTで反応低下を認める。6.抗SS-A抗体陰性、抗SS-B抗体陰性、外分泌腺機能異常がないなどシェーグレン症候群は否定する。A+BをもってAIGA と診断する。(中里良彦ほか. 特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン改訂版. 自律神経.2015;52:352-359.より引用)■ 検査1)温熱発汗試験簡易サウナ、電気毛布などを用いて加温により患者の体温を上昇させて発汗を促し、ミノール法などで発汗の有無を評価する(図2)。正常人では15 分程度の加温により全身に発汗点を認める。サーモグラフィーでは、発汗のない領域に一致して体温の上昇が認められる。無汗部の面積の評価に有用。図2  AIGA患者でのミノール法所見画像を拡大する発汗反応(黒点部分)が低下している2)薬物性発汗試験(1)局所投与5%塩化アセチルコリン(オビソート:0.05~0.1mL)を皮内注射する。正常人では数秒後より立毛と発汗がみられ、5~15 分後までに注射部位を中心に発汗を認める。汗腺自体の発汗機能を評価できる。(2)定量的軸索反射性発汗試験(QSART:quantitative sudomotor axon reflex tests)アセチルコリンをイオントフォレーシスにより皮膚に導入し、軸索反射による発汗を定量する試験。AIGAでは、発汗が誘発されない。(3)皮膚生検AIGAのうち、特発性純粋発汗不全(IPSF)では光顕上、汗腺に顕著な形態異常を認めないが、汗腺周囲にリンパ球浸潤を認めるときがある。(4)血清総IgE値測定IPSF では血清総IgE値が高値の場合がある。(5)血清CEA値測定高値の症例でその値が発汗状態と相関することから、個々の症例における治療効果の指標になりうる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)ステロイド全身投与現存する治療法のうち最も効果が期待できる方法である。点滴パルス療法(メチルプレドニゾロン500~1000 mg/日、3日間連続投与)が用いられることが多い。後療法として30mg/日程度の経口投与を行う場合もある。また、経口内服療法(30~60mg/日)のみで開始して漸減する方法などもとられる。パルス療法の回数や後療法の適否・容量については一定の見解がない。反応がみられる例では、パルス療法直後から2週間程度までに効果が表れ、また、コリン性蕁麻疹や疼痛発作もみられなくなる。ステロイド治療によって寛解する例がある一方、部分寛解にとどまる例、症状が再燃する例、そして、ステロイドにまったく反応しない例がある。パルス療法はおおむね3回程度行われていることが多いが、まったく反応がえられない例では漫然と繰り返すよりも、他の治療法への切り替えまたは積極的に発汗トレーニングによる理学療法を取り入れる。2)抗ヒスタミン薬内服ヒスタミンがアセチルコリンによる発汗を抑制することから試みられる7)。ただし抗コリン作用のない好ヒスタミン薬を選択すること。効果が明瞭でない場合には通常量より増量してみることも必要。3)免疫抑制剤内服シクロスポリンの内服(2~5mg/kg/日)が効果を示すことが知られるが、報告症例数は少ない。4)その他の内服療法漢方薬である紫苓湯、葛根湯、または塩酸ピロカルピン(や塩酸セビメリン)などの投与も試みる価値がある。5)理学療法薬物療法に頼りがちであるが、発汗を刺激するための発汗トレーニングは補助療法として、また、再発予防として重要である。熱中症に陥らない範囲、また、コリン性蕁麻疹によるピリピリ感が苦痛にならない程度に、半身浴や徐々に運動負荷をかけるなど工夫する。5 主たる診療科皮膚科および神経内科。ただし、発汗異常を取り扱っている医療機関であることが必要。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 特発性後天性全身性無汗症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)中里良彦ほか. 特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン. 2013;50:67-74.2)柳下武士. 日本皮膚科学会雑誌. 2021;131:35-41.3)小野慧美ほか. 発汗学. 2016;23:23-25.4)中里良彦. 自律神経. 2018;55:86-90.5)Sawada Y, et al. J Invest Dermatol. 2010;130:2683-2686.6)中里良彦ほか. 特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン改訂版. 自律神経. 2015;52:352-359.7)Suma A, et al. Acta Derm Venereol. 2014;94:723-724.公開履歴初回2021年9月22日

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第76回 「空気感染」主流説報道続々 “野球感染”リスクは球場によって大きく異なる可能性も

的外れではなかった“萬田マトリクス”こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末、所用があって知人と食事をしたのですが、テーブルに備え付けられたアクリル板には閉口しました。そもそも会話が聞き取り辛い(結果、高齢者は大声に…)ことに加え、あの閉塞感はいただけません。さらに、利用したお店は料理の取り分けのためか、正面のアクリル板の下に四角い穴が開けてありました。「これ、意味ないです!」と思わずお店の人に言いそうになりました。さて、先週の「第75回 行動制限緩和の前に、あのナンセンスな制限だけは先行して撤廃を」でも書いた新型コロナの空気感染ですが、掲載直後、「コロナ空気感染」に関する記事が新聞などのメディアに頻出しています。前回示した私の“萬田マトリクス”もあながち的外れではなかった、と胸をなでおろしましたが、こうした報道や情報発信によって、今後の国の感染対策の方針も大きく変わりそうな予感がします。「飛沫が支配的なのは、0.2メートル以内の会話だけ」医療ガバナンス学会が発行するメールマガジン 「MRIC」のVol.179(9月16日発行)号では、帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授の高橋 謙造氏が、8月27日のScience誌に掲載された「呼吸器感染するウイルスの空気感染について」と題する総説論文を解説しています1)。それによれば、「SARS-CoV-2においての飛沫感染ははるかに効率が悪く、飛沫が支配的になるのは、個人同士が0.2メートル以内で会話をしているときだけであることがわかってきた。飛沫よりもエアロゾル感染の方が支配的になることも明らかになってきた」とのことです。その上で高橋氏は「日本はこれまで、『3密(密集、密接、密閉)』を主たる対策、しかも特に密集、密接対策を主として推進し、密閉対策には十分に配慮されて来なかった」と指摘し、「もし、空気感染が寄与しているとすれば(中略)、その対策の主眼は、徹底した換気(つまり密閉対策)とマスク装着等に主眼が置かれるべき」と主張しています。高橋氏の解説は、Nature誌やLancet誌における議論についても触れています。ご一読をお勧めします。「エアロゾル感染」という言葉がわかりにくいと日経日本経済新聞も9月16日の朝刊で「コロナ『空気感染』対策を」という記事2)を掲載しています。8月に感染症の専門家など科学者有志が「空気感染が主な感染経路」という前提でさらなる対策を求める緊急声明3)を出したことを踏まえ、厚生労働省の言う「エアロゾル感染」という言葉のわかりにくさについて指摘、科学者たちが「新型コロナウイルスは『空気感染する』と言い換えるよう求めている」と書いています。同記事は、この声明に賛同した国立病院機構仙台医療センター・ウイルスセンター長の西村 秀一氏の言葉を紹介しています。同氏は、「エアロゾル感染は空気を介した感染で空気感染と表現すべきだ。空気感染があると明確にしないと飛沫感染や接触感染への対策が重視されすぎて、対策全体の実効性が高まらない」と述べ、前述の高橋氏と同じく、飛沫感染、接触感染重視から転換しない国の対策を強く批判しています。専門家会議が「空気感染ではない」と言い切ったことが元凶9月15日には毎日新聞も「コロナ空気感染、不都合な真実? 認めぬ国に専門家38人緊急声明」と題し、賛同者の一人、愛知県立大看護学部教授の清水 宣明氏のインタビュー記事4)を掲載しています。感染制御学、微生物学が専門の清水氏はこの記事で、国や専門家組織の専門家が頑なに空気感染(エアロゾル感染)を認めてこなかった結果、「真の感染経路に真正面から向き合わず、消毒や手洗い、アクリル板の設置といった効果の低い対策ばかりを推奨した結果『第5波』までに多くの犠牲者を生み出したのだと思います」と話しています。さらに、国が空気感染を認めたくない理由として、新型コロナが国内で初めて確認された段階で、専門家会議が「空気感染ではない」と言い切ってしまったことや、東京オリンピックの開催を控えていたことなどの理由を指摘しています。日本の専門家が、「空気感染」と呼ばず、「マイクロ飛沫感染」という海外文献でもあまり見ることのない用語を使っている点については、「換気の必要性を訴えないといけなくなったけれど、いまさら『飛沫』は外せない。さりとて『空気感染』とは言いたくないと、無理やりひねり出したのでしょう」と話しています。ZOZOマリンスタジアムは「とても安全」空気感染、飛沫感染、接触感染がどれくらいの頻度かを実験で測定することは相当難しいとのことですが、もし空気感染が主体とするならば、世界(やさまざまな業界・業態)における感染予防対策を根底から見直さなければならなりません。例えば、野球観戦は観客数制限ではなく、球場のつくりや環境に目を向けるべきでしょう。ドーム球場より屋外球場の方が安全なのは確かですし、特に海に面して風が強いZOZOマリンスタジアムの野球観戦は「とても安全」というお墨付きが出るかもしれません。飲食店の意味のないアクリル板も早々に撤去されることを期待しています。冒頭でも書いたように、今やアクリル板設置は感染対策というより、お店の“優良マーク”取得のためだけの設備と化しています。アクリル板のない静かな居酒屋でゆっくりと「一人飲み」。これが、秋から年末にかけてのささやかな私の目標です。参考1)Vol.179 COVID-19:空気感染に関する議論2)コロナ「空気感染」対策を/日本経済新聞3)最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明4)コロナ空気感染、不都合な真実?/毎日新聞

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小細胞肺がんに対するlurbinectedin+ドセタキセルの2次治療、主要評価項目は達成できず(ATLANTIS)/WCLC2021

 lurbinectedinは小細胞肺がん(SCLC)において、3.2mg/m2用量の単剤で、米国で承認されている。 in vitroでは、lurbinectedinとドセタキセルの併用による相乗効果が確認されている。この結果を基に、第I相用量拡大試験が行われ、lurbinectedin 2mg/m2とドセタキセル40mg/m2とトポテカンまたはCAV(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン)の併用が有望な効果を示した1)。 WCLC2021では、小細胞肺がんに対する、lurbinectedin 2mg/m2とドセタキセル(またはCAV)の併用を評価する第III相試験ATLANTISの結果が発表された。 併用群は対照群に匹敵する有効性を示したが、主要評価項目は達成できなかった。・対象:2次治療のSCLC・試験群:lurbinectedin 2mg/m2 +ドセタキセル40mg/m2 3週ごと・対照群:トポテカン1.5mg/m2day1~5 3週ごとまたはCAV 3週ごと・評価項目:全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はlurbinectedin併用群8.6ヵ月に対し、トポテカン(またはCAV)群は7.6ヵ月であった(HR:0.967、p=0.7032 )。・独立評価委員会評価のPFS中央値は4.4ヵ月対4.0ヵ月であった(HR:0.831、p=0.0437)。・12ヵ月PFS率は10.8%対4.4%であった(p=0.0129)。・全Gradeの有害事象(AE)発現率はlurbinectedin併用群88.4%に対し、トポテカン(またはCAV)群は92.0%であった。・Grade3以上のAEは47.2%対75.4%と、lurbinectedin群ではGrade1~2が多かった。・lurbinectedin併用群で多くみられた有害事象は貧血14.5%、好中球減少37.0%、血小板減少13.1%であった。 lurbinectedinとドセタキセルの併用は主要評価項目は未達であったが、対照群に匹敵する有効性を示した。安瀬寧については、対照群よりも良好な結果を示した。

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ストレスと認知症や軽度認知障害リスクとの関連~メタ解析

 多くの研究において、ストレスと認知症リスクとの関連が調査されてきたが、ストレス評価の測定尺度にばらつきがあるため、調査結果に一貫性が認められてない。オーストラリア・メルボルン大学のKatherine H. Franks氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、成人の心理的ストレス(神経症、ストレスの大きいライフイベント、認知されたストレスなど)と認知症および軽度認知障害のリスクとの関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月3日号の報告。 適格基準を満たした観察的プロスペクティブ研究をPsycINFO、Embase、MEDLINEより検索した(2020年10月まで)。1,607件の研究をスクリーニングし、定性分析に26件(24件の固有コホート)、定量分析に16件(15件の固有コホート)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・認知されたストレスレベルの高さは、軽度認知障害リスク(860例中207例、ハザード比[HR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.03~1.38)およびすべての原因による認知症リスク(1,882例中203例、HR:1.44、95%CI:1.07~1.95)の増加と有意な関連が認められた。・2つ以上のストレスの大きいライフイベントを有する人は、なかった人と比較し、すべての原因による認知症リスクの増加と有意な関連が認められた(1万1,597例中3,354例、HR:1.72、95%CI:1.14~2.60)。なお、1つ以上のストレスの大きいライフイベントを有する人では、有意な関連は認められなかった。・神経症傾向がより高かった人では、アルツハイマー型認知症リスクの増加と有意な関連が認められたが(4,771例中497例、HR:1.07、95%CI:1.01~1.12)、すべての原因による認知症リスクとの関連は認められなかった。 著者らは「成人期の心理的ストレスは、認知症リスクの増加と関連していることが示唆された。これらの根底にあるメカニズムを明らかにするためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

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β遮断薬投与のLVEF 50%未満の予後、人工知能が予測可能か/Lancet

 左室駆出率(LVEF)の低下が認められる心不全患者において、人工知能を用いたクラスタリング法は、β遮断薬の投与がもたらす予後に関して、洞調律の心不全のうち効果が不十分な集団や、心房細動を伴う心不全のうち死亡率が低い集団などの予測が可能であり、この手法は有害な転帰の回避につながる可能性があることが、英国・バーミンガム大学のAndreas Karwath氏らcardAIcグループの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年8月27日号に掲載された。9試験の患者データを統合、階層的クラスタリング法で解析 研究グループは、新たな人工知能を用いたアプローチは、併存症の多次元およびより高次元の相互作用を適切に評価し、洞調律や心房細動を有する心不全患者において、β遮断薬の有効性が異なる集団の分類が可能との仮説を立て、これを検証する目的で機械学習を用いたクラスター分析を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 β遮断薬に関する9件の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験の個々の患者データが統合され、これにニューラルネットワークを用いた変分オートエンコーダおよび階層的クラスタリング法が適用された。 追跡期間中央値1.3年における全死因死亡が、intention to treat法で評価され、心電図上の心拍のリズムで層別化された。これまでは研究者の裁量に任されることが多かった集団(cluster)および次元(dimension)の数が客観的に選択され、階層的クラスタリング法で反復的に検証され、さらに試験の1つ抜き法(leave-one-trial-out)を用いて外的妥当性の反復的検証が行われた。日常診療での有用性を評価する無作為化試験が必要 LVEFが50%未満の心不全患者1万5,659例(年齢中央値64歳、女性24%、LVEF中央値27%)が解析に含まれた。このうち洞調律の心不全患者が1万2,822例、心房細動の心不全患者は2,837例であった。 洞調律の心不全患者では、全死因死亡に関して、全体としてプラセボと比較したβ遮断薬の利益が示され(補正後オッズ比[OR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.67~0.81、p<0.001)、各集団のORの範囲は0.54~0.74であった。一方、症状が重度でない高齢の洞調律心不全の集団では、β遮断薬の有効性に有意な差は認められなかった(OR:0.86、95%CI:0.67~1.10、p=0.22)。 心房細動がみられる心不全患者では、5つの集団のうち4集団で、プラセボと比較したβ遮断薬の中間的な有効性が一貫してみられた(全体のOR:0.92、95%CI:0.77~1.10、p=0.37)。一方、死亡リスクは低いがLVEFが平均値と同程度の若年心房細動の集団では、β遮断薬の投与により死亡率が有意に低下した(0.57、0.35~0.93、p=0.023)。 すべてのモデルで、クラスタリング法の頑健性と一貫性が確認され(無作為割り付けとの比較のp<0.0001)、9件の独立の臨床試験の全体で、クラスターメンバシップ(cluster membership)の外的妥当性が検証された。 著者は、「人工知能を用いたクラスタリング法は、複数の併存症を組み込み、同時に調整することが可能であり、一般的な治療への応答をより精緻に層別化できるため、有害な転帰の回避につながる可能性がある。とくに心不全のような、高額な医療費や不良な患者QOLの主な要因となっている疾患の予後の改善において、この手法が日常診療で有用かを評価するために、無作為化試験による前向きの評価が求められる」としている。

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HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。 DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付けT-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・2021年5月21日までに15ヵ国から524例が無作為化された。・年齢中央値はT-Dxd群54.3歳、T-DM1群54.2歳。両群ともアジア人が約6割を占め、HER2 Statusは3+が約9割、ホルモン受容体陽性の患者は約5割を占めていた。脳転移を有する患者はT-Dxd群23.8%、T-DM1群19.8%。内臓転移を有する患者はT-Dxd群70.5%、T-DM1群70.3%だった。・治療歴については、1ラインがT-Dxd群49.8%、T-DM1群46.8%、2ラインがT-Dxd群21.5%、T-DM1群24.7%。トラスツズマブ治療歴を有する患者が両群とも99.6%、ペルツズマブ治療歴を有する患者がT-Dxd群62.1%、T-DM1群60.1%だった。・観察期間中央値は、T-Dxd群が16.2ヵ月、T-DM1群が15.3ヵ月だった。・主要評価項目のBICR評価によるPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。12ヵ月時点でのPFS率はT-DM1群34.1%(95%CI:27.7~40.5)に対しT-Dxd群75.8%(95%CI:69.8~80.7)だった。・PFSのサブグループ解析の結果、ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、治療ラインの数、内臓および脳転移の有無によらず、すべてのグループでT-Dxd群における有意な延長がみられた。・副次評価項目の治験実施医師評価によるPFS中央値は、T-Dxd群25.1ヵ月(95%CI:22.1~NE)vs.T-DM1群7.2ヵ月(95%CI:6.8~8.3)、HR:0.26(95%CI:0.20~0.35、p=6.5×10-24)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。・OSデータは未成熟であり、中央値は両群でともにNE、HR:0.56(95%CI:0.36~0.86、p=0.007172)となり事前に設定された有意性水準(p<0.000265)を満たさなかった。・ORRは、T-Dxd群79.7% vs.T-DM1群34.2%でT-Dxd群で有意に高かった(p<0.0001)。CRは16.1% vs.8.7%、PRは63.6% vs.25.5%だった。・治療期間中央値はT-Dxd群14.3ヵ月 vs.T-DM1群6.9ヵ月。Grade3以上の治療関連有害事象はT-Dxd群45.1% vs.T-DM1群39.8%で発現した。T-Dxd群のGrade3以上の治療関連有害事象として多かったのは好中球減少症(19.1%)、血小板減少症(7.0%)、白血球減少症(6.6%)、吐き気(6.6%)だった。・治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎(8.2%)、T-DM1群では血小板減少症(2.7%)だった。ただし、T-Dxd群でGrade4あるいは5のILD/肺炎はみられなかった。Grade2の左室駆出率低下がT-Dxd群で2.3%、T-DM1群で0.4%みられたが、Grade3以上の報告はない。 Cortes氏は、本結果はT-DxdがHER2陽性mBC患者の2次治療における標準治療となることを支持するものと結論付けている。

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23日より血液学会スタート!会長インタビューと注目演題紹介

 9月23日より第83回日本血液学会学術集会がオンラインで開催される。ケアネットが運営する医師限定キュレーションサイト「Doctors'Picks」では学会の特集サイトを公開しており、掲載された会長の東北大学の張替 秀郎氏による動画メッセージの一部を紹介する。ーー本学会のテーマ「恒常性と復元力」にはどのような意味を込めたのでしょうか? 血液細胞は、酸素運搬、感染防御、止血といった身体の恒常性の根幹を担う必須の細胞です。そして、血液のがんはほかのがんと異なり、腫瘍を取ってしまえばよいわけではなく、そこから正常な造血機能が回復してはじめて寛解となる。そうした意味で復元力が極めて大切な臓器です。そうした2つの血液の本質に立ち返り、改めて考察したいという狙いからテーマとしました。 そして、このテーマには、もう一つの思いが込められています。2021年は東日本大震災から10年の節目にあたります。2011年、東日本大震災により日本、とくにこの東北は甚大な被害を受け、すべての恒常性が失われました。そして2020年、COVID-19感染症によって、世界は再度すべての恒常性を失いました。東日本大震災から10年、社会がその復元力によって恒常性を取り戻したように、現在はまだコロナ禍にはありますが、社会の復元力によって生活・科学・医療の恒常性を取り戻すことを信じて願う、という意味も込めました。ーー今回の学会でとくに注目の演題は? 各専門別の最新の情報が集まるというのは毎年のことですが、私が企画したのはPresidential Symposiumと特別講演です。Presidential Symposiumは「The Path from Stem Cells to Red Blood Cells」という演題で、赤血球の分化過程という基礎的なテーマを設定しました。特別講演は2つで、ハーバード大学の幹細胞研究を専門とするDavid Scadden氏の「Biology to therapy in the hematopoietic niche」と、UCLAの鉄代謝を専門とするTomas Ganz氏の「Systemic iron homeostasis: hormones, pathways, diseases」、いずれもなかなか話を聞けない高名な先生なので、貴重な機会になるはずです。海外演者の方もディスカッションにはライブで参加いただく予定です。 また、コロナ関連の特別シンポジウムも企画しており、「ポストコロナの医療・社会変容」をテーマに、早稲田大学教授のロバート・キャンベル氏、プロ野球楽天の社長である立花 陽三氏など、医療以外の専門家を招き、多様な視点からコロナ後の社会の変化についてディスカッションを行う予定です。ーー仙台の会場とオンラインのハイブリッド開催を予定されていましたが、完全オンライン方式に変更されました。 新型コロナの感染状況を鑑みてやむを得ないと判断しました。ただし、学会のライブ感を大切にしたいと考え、会期後にオンデマンドで配信するのは教育講演と一部のシンポジウムにとどめ、基本的には会期中にライブで視聴いただくことを想定しています。ぜひご参加いただき、血液学の「旬」を感じ、明日からの治療に役立てていただければと思います。Doctors’ Picks 第83回日本血液学会 特集サイトhttps://drpicks-spot.carenet.com/ 特集サイトでは、入山 規良氏(日本大学)、柴山 浩彦氏(国立病院機構 大阪医療センター)、丸山 大氏(がん研究会有明病院)、山崎 悦子氏(横浜市立大学附属病院)が選定した学会の注目演題も紹介している。

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便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る【Dr.山中の攻める!問診3step】第6回

第6回 便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る―Key Point―大腸がんを疑うアラームサインに注意しよう薬剤が便秘の原因となっていることは多い下剤を処方する際、「酸化マグネシウム」は腎機能低下時に高マグネシウム血症を起こすので要注意!症例:76歳男性主訴)排便困難現病歴)12日前から便が突然出なくなった。4日前に近医で浣腸をしてもらったが排便なし。酸化マグネシウムと大腸刺激性下剤の処方を受けたが、やはり排便がないため当院を受診した。嘔吐はあるが腹痛はない。既往歴)老人性難聴薬剤歴)定期内服薬なし生活歴)たばこ:10本/日 x 55年間、酒:1合/日身体所見)意識清明、体温36.7℃、血圧120/50mmHg、心拍数92/分、SpO2:95%[室内気]直腸診を施行したところ、肛門から8cm、12時方向にカリフラワー様の約4×4cmの腫瘤を触知し易出血性であった。結局、直腸癌と診断され人工肛門増設のため緊急手術となった。大腸イレウスは珍しいが、穿孔すれば腹膜炎となるので緊急処置が必要となることも念頭に入れておくべき。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!大腸がんを疑うアラームサイン1) ―大腸がんの可能性はないのか鉄欠乏性貧血体重減少便潜血陽性血便便の狭小化高齢者の急性便秘大腸がんの家族歴50歳以上で大腸内視鏡検査を受けたことがない【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】二次性の便秘を考える薬剤は二次性便秘の最大の原因である。薬剤歴の正確な聴取が大切である便秘を起こす薬剤2)3)はこちら降圧薬(カルシウム拮抗薬、利尿薬)、麻薬抗コリン薬(ブチルスコポラミン、抗うつ薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬)抗ヒスタミン薬、NSAIDs、鉄剤高齢者の鉄欠乏性貧血は消化管の悪性腫瘍をまず考える便の狭小化+腹痛+液状便はS状結腸から直腸にかけての高度狭窄が示唆される症状である。大腸内視鏡の前処置で腸閉塞や腸管穿孔をきたす可能性があるため、腹部レントゲン検査と腹部CT検査を検査前にオーダーする甲状腺機能低下症、自律神経障害を起こす糖尿病やパーキンソン症候群、低カリウム血症、高カルシウム血症、うつ病、妊娠は便秘の原因となる【STEP3】治療1)を検討しよう毎日排便がないのは異常であるというイメージが TVコマーシャルなどによって作られているが、週に3回または1日3回の排便は正常である週3回以上排便があれば、病的ではないことを伝える。水分と食物繊維を十分にとる。朝食後15分間はトイレに座り、力まずに排便するよう指導する。改善がなければ、ポリエチレングリコール(商品名:モビコール)または酸化マグネシウムを処方する。酸化マグネシウムは腎機能低下時に高マグネシウム血症(嘔気・嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、意識障害)を起こす。効果が不十分ならルビプロストン(商品名:アミティーザ)を少量から検討する。大腸刺激性薬剤(センノシド、ピコスルファート)は習慣性や依存性が強いので頓用で用いる<参考文献・資料>1)山中 克郎企画. 総合診療 ヤブ化を防ぐ!総合診療基本のき. 医学書院.2019. p.1089-1091.(中野弘康 便秘)2)John P, et al. MKSAP18 Gastroenterology and Hepatology. 2018 .p.35-38.3)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編. 慢性便秘症診療ガイドライン. 2017.

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第78回 COVID-19ワクチンと月経異常の関連について調査が必要

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのよくある副反応に月経の変化や不意な膣出血などの月経異常は含まれていませんが、そういう事態があったという訴えが増えています。英国はCoronavirus Yellow Card1)というウェブサイトを開設し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連医療の副反応らしき事態を広く収集しています。月経がいつもよりきつい、遅れている、不意な膣出血などのCOVID-19ワクチン接種後の月経異常の報告が今月初旬(9月8日時点)までにそのデータベースに3万件以上(34,633件)集まっています。幸いなことに、ワクチン接種後の月経異常のほとんどは後の周期で正常化しています。それに、COVID-19ワクチン接種が女性の受胎へ悪影響を及ぼす恐れは認められていません。Coronavirus Yellow Cardに集まった月経異常は専門家グループによって検討され、COVID-19ワクチンとの関連は認められないと判斷されました2)。しかし英国の大学Imperial College Londonの生殖免疫学の専門家Victoria Male氏によるとCoronavirus Yellow Cardで集めた情報から確実な結論を導くのは困難であり、ワクチン接種者の月経異常の発生率を非接種の人と比べる別口の取り組みが必要です3,4)。Male氏も言及しているとおり米国ではCOVID-19ワクチンの月経への影響を調べる試験がすでに計画されており、同国政府はその取り組みに2億円近く(167万ドル)を提供することを約束しています5)。米国での試験では不規則な月経やその欠如、いつもより多い出血などの月経異常とCOVID-19ワクチン接種の関連性、月経異常の持続期間、ワクチンと関連しうる月経異常の仕組みが検討されます。COVID-19ワクチン接種後の月経異常はおおむね一過性とはいえ軽視すべきでなく、COVID-19ワクチン忌避の元凶である誤謬を払拭してワクチン接種の普及を成功させるにはその検討が不可欠です3)。将来の妊娠に害をもたらすというデマが若い女性のCOVID-19ワクチン忌避を主にもたらしています。COVID-19ワクチン接種後の月経異常を隈無く調べることを怠ればワクチン忌避女性の心配がいっそう助長しかねません。もし今後の検討でワクチンと月経異常が関連するとわかれば、その手立てを前もって心づもりする事が可能になります。きっちりと試験を実施してCOVID-19ワクチンが月経に及ぼしうる影響を把握して知らせれば月経がある若い女性はワクチン接種後にどうなるかをより見通せるようになり、ワクチン忌避を減らすことも可能でしょう5)。月経異常はmRNAワクチンとアデノウイルスが下地のワクチンの両方で認められており、もしワクチンと関連するならワクチンの成分によるのではなくワクチンへの免疫反応を原因としそうです3)。実際、月経周期はウイルス感染を含む種々の要因への免疫活性化の影響を受けうることが知られています。SARS-CoV-2もそういう要因の1つかもしれず、COVID-19女性およそ4人に1人に月経異常が認められたことを中国のチームが昨年報告しています3,6)。参考1)Coronavirus Yellow Card reporting site2)Coronavirus vaccine - weekly summary of Yellow Card reporting3)Male V.BMJ 2021;374:n2211.4)Link between menstrual changes after covid-19 vaccination is plausible and should be investigated / Eurekalert5)Item of Interest: NIH funds studies to assess potential effects of COVID-19 vaccination on menstruation / NIH6)Li K,et al. Reprod Biomed Online. 2021 Jan;42:260-267.

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悪性胸膜中皮腫のニボルマブ+イピリムマブ1次治療、3年生存も改善(CheckMate-743)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年9月13日、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者の1次治療において、組織型にかかわらず、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が、プラチナ製剤ベースの標準化学療法と比較して、持続的な生存ベネフィットを示したCheckMate-743試験の3年間のデータを発表した。 CheckMate-743試験は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者(605例)を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検試験。 最短3年(35.5ヵ月)間の追跡調査における結果、3年生存率は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群で23%、化学療法群で15%であった(ハザード比:0.73、95% 信頼区間:0.61~ 0.87)。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインのMPMでこれまでに報告されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。 これらのデータは、2021年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、2021年9月17日に発表される予定(抄録番号#LBA65)。

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安定期統合失調症患者の再発予防に対する適切な抗精神病薬投与量~メタ解析

 統合失調症の再発予防に対し、どの程度の抗精神病薬の投与量が必要かは明らかになっていない。ドイツ・ミュンヘン工科大学のStefan Leucht氏らは、この疑問を解決するため、ランダム化臨床試験のメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年8月18日号の報告。 Cochrane Schizophrenia Group's Study-Based Register of Trials(2020年3月9日)、PubMed(2021年1月1日)、過去のレビューを通じて該当研究を特定した。追加情報は、筆頭著者および/または製薬会社に問い合わせ、収集した。2人の独立したレビュアーにより、安定期統合失調症患者の再発予防に対し、固定用量の第2世代抗精神病薬、ハロペリドール、フルフェナジンを比較したランダム化臨床試験を抽出した。PRISMAガイドラインの優先報告項目に従って重複するすべてのパラメータを抽出し、頻度論的(frequentist)用量反応変量効果メタ解析を実施した。主要評価項目は、研究で定義された再発とし、再入院、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)の合計スコアのベースラインからの減少、すべての原因による中止、有害事象による脱落についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・26件の研究(4,776例)より得られた、72種類の用量群に関するエビデンスを分析した。・有用性については、用量反応曲線は双曲線形状であり、リスペリドン換算5mg/日まで再発率の急激な低下が認められたが(相対再発リスク:0.43[95%CI:0.31~0.57]、PANSS合計スコアの標準化平均差:-0.55[95%CI:-0.68~-0.41])、その後は平板化した。・有害事象による脱落については、対照的に5mg/日を超えるにつれ増加が認められた(5mg/日の相対リスク:1.38[95%CI:0.87~2.55]、15mg/日の相対リスク:2.68[95%CI:1.49~4.62])。・寛解患者におけるサブグループ解析では、約2.5mg/日で早期に安定状態に達していた。 著者らは「安定期統合失調症患者に対する抗精神病薬投与では、リスペリドン換算5mg/日超で再発予防にベネフィットがもたらされる一方、用量を増やし過ぎると有害事象の増加につながる可能性がある。寛解期の患者または強力な第1世代抗精神病薬で治療している患者においては、より低用量の2.5mg/日で十分である可能性が示唆されたが、低用量にし過ぎると有効性の減弱につながる可能性もあり注意が必要である。また、本結果はあくまで観察結果の平均値であり、代謝スピード、年齢、罹病期間、併存疾患、薬物相互作用などさまざまな要因を考慮した用量調節が必要である」としている。

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心血管1次予防のポリピルにアスピリンは必要か?/Lancet

 心血管疾患の1次予防において固定用量併用療法戦略は、心血管疾患、心筋梗塞、脳卒中、血行再建術および心血管死を大幅に低減する。カナダ・マックマスター大学のPhilip Joseph氏らPolypill Trialists' Collaborationが、個人被験者データのメタ解析を行い報告した。示されたベネフィットは、心血管代謝のリスク因子に関係なく一貫性が認められたという。無作為化試験において、固定用量併用療法(またはポリピル)は1次予防における心血管疾患の複合アウトカムを低減することが示されている。しかしながら、アスピリンを含むべきか否か、特異的アウトカムへの効果、および主要サブグループでの効果などは明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2021年8月29日号掲載の報告。メタ解析で固定用量併用療法vs.対照を評価 研究グループは、心血管疾患の1次予防集団について固定用量併用療法戦略vs.対照戦略を検討した大規模無作為化試験(被験者1,000例以上で追跡期間2年以上)に参加した個人被験者データを用いてメタ解析を行った。2種類以上の降圧薬+スタチン(±アスピリン)の固定用量併用療法戦略と対照戦略(プラセボまたは通常ケア)を比較した試験を適格とし包含した。 主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中または動脈血行再建術のいずれかの初発までの期間とした。追加で、個別の心血管アウトカム、全死因死亡をアウトカムに包含した。 アウトカムは、固定用量併用療法戦略群のアスピリン併用有無別で層別化したグループでも評価。効果サイズは、リスク因子に基づく規定サブグループで算出し、Kaplan-Meier生存曲線およびCox比例ハザード回帰モデルを用いて戦略を比較した。アスピリン有無問わず、個別・複合アウトカムが有意に低減 解析には3つの大規模無作為化試験(IPS-3、HOPE-3、PolyIran)が包含され、総計被験者数は1万8,162例であった。平均年齢は63.0歳(SD 7.1)、9,038例(49.8%)が女性であり、集団の推定10年心血管疾患リスクは17.7%(SD 8.7)であった。 追跡期間中央値5年において、主要アウトカムの発生は、固定用量併用療法戦略群276例(3.0%)、対照群445例(4.9%)だった(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.53~0.73、p<0.0001)。主要アウトカムの個別アウトカムについても低減が認められ、HR(95%CI)は心筋梗塞0.52(0.38~0.70)、血行再建術0.54(0.36~0.80)、脳卒中0.59(0.45~0.78)、心血管死0.65(0.52~0.81)であった。 主要アウトカムおよびその個別アウトカムの有意な低減は、アスピリンの有無を問わず固定用量併用療法戦略群の解析で観察されたが、アスピリンを含む戦略群でより低減効果は大きかった。 治療効果は、脂質値や血圧値が異なっていても、また糖尿病、喫煙、肥満の有無を問わず同等であった。 まれではあったが消化官出血の発現頻度が、アスピリンを有する固定用量併用療法戦略群で対照群よりもわずかに高かった(19例[0.4%]vs.11例[0.2%]、p=0.15)。出血性脳卒中(10例[0.2%]vs.15例[0.3%])、致死的出血(2例[<0.1%]vs.4例[0.1%])、消化性潰瘍疾患(32例[0.7%]vs.34例[0.8%])の頻度は固定用量併用療法戦略群で低く、サブグループにおいて両群間に有意差はなかった。めまいの発現頻度が固定用量併用療法戦略群で、有意に高かった(1,060例[11.7%]vs.834例[9.2%]、p<0.0001)。

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降圧薬だけの4種配合剤、単剤より有益か/Lancet

 降圧薬4種を4分の1用量ずつ1剤に配合した「quadpill」による降圧療法を早期に開始する戦略は、一般的な標準用量の単剤降圧療法による治療戦略と比べて、より大きな降圧の達成・維持をもたらすことが示された。オーストラリア・シドニー大学のClara K. Chow氏らが行った第III相多施設共同の二重盲検並行群無作為化試験「QUARTET試験」の結果で、著者は「本試験は、quadpillベースの治療戦略の有効性、忍容性および簡便性を実証するものとなった」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年8月29日号掲載の報告。quadpill(4剤配合)開始vs.単剤開始の降圧効果を評価 QUARTET試験は、超低用量の4剤を配合した単一錠剤による高血圧治療の開始戦略が、単剤療法から始める戦略よりも有効であるとする仮説検証を目的とし、未治療または単剤治療を受けている高血圧症を有するオーストラリア成人(18歳以上)を対象に行われた。 被験者は、quadpill(イルベサルタン37.5mg、アムロジピン1.25mg、インダパミド0.625mg、ビソプロロール2.5mgを配合)開始群、または判別不明の錠剤を用いた単剤療法(イルベサルタン150mg)開始群のいずれかに無作為に割り付けられた。目標血圧値に達しない場合は両群とも、アムロジピン5mgで始める追加投与が許容された。 被験者の割り付けはオンライン中央無作為化サービスを使用して行われ、サイトごとに1対1の割合で層別化。割り付けは、治験薬の製造者と1人のマスクされていない統計者を除き、全被験者および試験チームメンバー(研究者、アウトカム評価者を含む)にマスクされた。 主要アウトカムは、12週時点での無人診察室収縮期血圧の差とした。副次アウトカムは、血圧コントロール(標準診察室血圧値<140/90mmHg)、安全性、忍容性などであった。また、無作為に12ヵ月継続群に割り付けたサブグループについて長期有効性を評価した。解析は、intention to treatにて行われた。12週時の収縮期血圧の差は6.9mmHg、quadpill群で有意に低下 2017年6月8日~2020年8月31日に743例が適格性について評価を受け、不適格または辞退した152例を除く591例を対象とした。300例がquadpill開始治療(介入)群に、291例が標準用量単剤療法の治療(対照)群に無作為に割り付けられた。 被験者591例の平均年齢は59歳(SD 12)。356例(60%)が男性、235例(40%)が女性で、483例(82%)が白人、70例(12%)がアジア人、38例(6%)がその他の人種・民族と報告された。ベースラインの平均無人診察室血圧は141(SD 13)/85(SD 10)mmHgであった。 12週までに降圧薬の追加投与を受けたのは、介入群300例中44例(15%)、対照群291例中115例(40%)であった。収縮期血圧の群間差は6.9mmHg(95%信頼区間[CI]:4.9~8.9、p<0.0001)であり介入群で有意に低く、血圧コントロール率は介入群(76%)が対照群(58%)よりも有意に高かった(相対リスク[RR]:1.30、95%CI:1.15~1.47、p<0.0001)。 12週時点で、有害事象関連の治療中止率に差はなかった(介入群4.0% vs.対照群2.4%、p=0.27)。 評価を継続したサブグループ417例において、介入群よりも対照群でアップタイトレーションに達した割合が有意に高かった(p<0.0001)。52週時点で、無人診察室収縮期血圧値の群間差は7.7mmHg(95%CI:5.2~10.3)であり介入群で継続して低く、血圧コントロール率は介入群(81%)が対照群(62%)よりも高かった(RR:1.32、95%CI:1.16~1.50)。 無作為化を受けた全被験者における12週までの重篤有害事象の発生は、介入群7例(3%)、対照群3例(1%)であった。

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チェーンソーで自ら斬首したが生存した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第194回

チェーンソーで自ら斬首したが生存した男性Pixabayより使用いやほんと、すいません、痛そうなタイトルで…… (´;ω;`)ウゥゥKrauss P, et al.Sub-decapitation in suicidal chainsaw injury: report of a rare case and operative management.Acta Neurochir (Wien) . 2020 Oct;162(10):2537-2540.基本的にチェーンソーで自殺を図った人は、ほぼ全員死亡しています。ほとんどが首を切断するという行為なのですが、途中で大血管を切断してしまって、完全に斬首される前に死亡に至ります1)。この症例報告は、23歳男性の兄が、朝に血まみれで倒れているのを発見するところから始まります。どうやら、前の晩にチェーンソーを使った斬首で自殺を図ろうとしたようです。論文にビックリ写真が掲載されているのですが、どう考えてもほぼ首が切断されかかっていて、通常即死じゃないかと思われる症例です。しかし、どういうわけか循環動態が安定していたのです。挿管して頸椎固定を行い、患者は3次救急病院に搬送されました。対光反射もあり、あれれ、どういうことだろうと画像検査が行われました。広範な頸部外傷があり、首が切断されかかっていたのですが、大血管や脊髄など重要なところが無事な状態で、斜めに切断されている途中で気を失ったようです。そのため、即死に至らずに翌朝搬送されたのです。広範囲の頸部再建後、精神科のコンサルトを行い、運動感覚障害はさほど残さずに回復しました。論文中の、切断されかかった首の写真を見た後にこの経過を読むと、いやぁ驚異的な症例報告だなと感じました。チェーンソー外傷でもっとも一般的なのが「キックバック」と呼ばれる現象です。これは、チェーンソーの先端を使って対象物に刃を入れたときに、刃の回転によってチェーンソーが一瞬にして操作者のほうへ跳ね返ってくる現象です。■参考動画:模倣禁止! チェンソー キックバック実演1)Stojanović I, et al. Unusual suicide with a chainsaw. Forensic Sci Int . 2013 May 10;228(1-3):e58-61.

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新治療が心臓にやさしいとは限らない~Onco-Cardiologyの一路平安~【見落とさない!がんの心毒性】第6回

新しい抗がん剤が続々と臨床に登場しています。厚生労働大臣によって承認された新医薬品のうち、抗悪性腫瘍用薬の数はこの3年で36もありました1)。効能追加は85もあり、新しい治療薬が増え、それらの適応も拡大しています。しかし、そのほとんどの薬剤は循環器疾患に注意して使う必要があり、そのうえで拠り所になるのが添付文書です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページの医療用医薬品情報検索画面2)から誰でもダウンロードできます。警告、禁忌、使用上の注意…と読み進めます。さらに、作用機序や警告、禁忌の理由を詳しく知りたいときは、インタビューフォーム(IF)を開きます。循環器医ががん診療に参加する際には、患者背景や治療薬のことをサッと頭に入れる必要がありますが、そんな時に便利です。前置きが長くなりましたが、今回は時間のない皆さまのために、添付文書の『警告』『禁忌』『重要な基本的注意』に循環器疾患を含んでいる抗がん剤をピックアップしてみました。『警告』に書かれていること(表1)の薬剤では重篤例や死亡例が報告されていることから、投与前に既往や危険因子の有無を確認のうえ、投与の可否を慎重に判断することを警告しています。infusion reaction、静脈血栓症、心不全、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈血栓症、QT延長、高血圧性クリーゼなどが記載されています。副作用に備え観察し、副作用が起きたら適切な処置をし、重篤な場合は投与を中止するように警告しています。(表1)画像を拡大するこうした副作用でがん治療が中止になれば予後に影響するので、予防に努めます。『警告』で最も多かったのはinfusion reactionですが、主にモノクローナル抗体薬の投与中や投与後24時間以内に発症します。時に心筋梗塞様の心電図や血行動態を呈することもあり、循環器医へ鑑別診断を求めることもあります。これらの中には用法上、予防策が講じられているものもあり、推奨投与速度を遵守し、抗ヒスタミン薬やアセトアミノフェン、副腎皮質ステロイドをあらかじめ投与して予防します。過敏症とは似て非なる病態であり、発症しても『禁忌』にはならず、適切な処置により症状が治まったら、点滴速度を遅くするなどして再開します。学会によってはガイドラインで副作用の予防を推奨してるところもあります。日本血液学会の場合、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミドを含む免疫調節薬(iMiDs:immunomodulatory drugs)による治療では、深部静脈血栓症の予防のために低用量アスピリンの内服を推奨しています3)。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では、アントラサイクリンやトラスツズマブを含む治療では、心不全の進行予防に心保護薬(ACE阻害薬、ARB、および/またはβ遮断薬)を推奨しています。スニチニブ、ベバシズマブ、ラムシルマブなどの抗VEGF薬を含む治療では、血圧の管理を推奨しています4)。『禁忌』に書かれていること『禁忌』には、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」が必ず記されています。禁忌に「心機能異常又はその既往歴のある患者」が記されているのは、アントラサイクリン系の抗がん剤です。QT延長や、血栓症が禁忌になるものもあります。(表2)画像を拡大するここで少し注意したいのは、それぞれの副作用の定義です。たとえば「心機能異常」とは何か?ということです。しばしば、がん医療の現場では、左室駆出率(LVEF)や脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値だけが、一人歩きをはじめ、患者の実態とかけ離れた判断が行われることがあります。循環器医ががん患者の心機能を検討する場合、LVEFやBNPだけではなく、症状や心電図・心エコー所見や運動耐容能などを多角的に捉えています5)。心機能は単独で評価できる指標はないので、LVEFやBNP値だけで判断せず、心機能を厳密かつ多面的に測定して総合的に評価することをお勧めします。添付文書によく記載されている「心機能異常」。漠然としていますが、これの意味するところを「心不全入院や死亡のリスクが高い状態」と、私は理解しています。そこで、「心機能異常」診断の乱発を減らし、患者ががん治療から不必要に疎外されないよう努めます。その一方で、心保護薬でがん治療による心不全のリスクを最小限に抑えるチャンスを逃さないようにもします。上述の定義のことは「血栓症」にも当てはまります。血栓症では下腿静脈の小血栓と肺動脈本管の血栓を一様には扱いません。また、下肢エコーで見つかる米粒ほどの小血栓をもって血栓症とは診断しません。そこそこの大きさの血栓がDOACなどで制御されていれば、血栓症と言えるのかもしれませんが、それでも抗がん剤を継続することもあります。QT延長は次項で触れます。『重要な基本的注意』に書かれていることー意外に多いQT延長『重要な基本的注意』で多かったのは、心機能低下・心不全でした。アントラサイクリン系薬剤、チロシンキナーゼ阻害薬、抗HER2薬など25の抗がん剤で記載がありました。これらの対応策については既に本連載企画の第1~4回で取り上げられていますので割愛します。(表3)その1画像を拡大する(表3)その2画像を拡大する意外に多かったのは、QT延長です。21種類もありました。QT間隔(QTc)は男性で450ms、女性で460ms以上をQT延長と診断します。添付文書では「投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査 (カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、 患者の状態を十分に観察する」などと明記され、血清の電解質の補正が求められます。とくに分子標的薬で治療中の患者の心電図でたびたび遭遇します。それでも重度の延長(QTc>500ms)は稀ですし、torsade de pointes(TdP)や心臓突然死はもっと稀です。高頻度にQT延長が認められる薬剤でも、新薬を待ち望むがん患者は多いため、臨床試験で有効性が確認されれば、QT延長による心臓突然死の回避策が講じられた上で承認されています。測定法はQTcF(Fridericia法)だったりQTcB(Bazett法)だったり、薬剤によって異なりますが、FMS様チロシンキナーゼ3-遺伝子内縦列重複(FLT3-ITD)変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬のキザルチニブのように、QTcFで480msを超えると減量、500msを超えると中止、450ms以下に正常化すると再開など、QT時間次第で用量・用法が変わる薬剤があるので、測定する側の責任も重大です。詳細は添付文書で確認してみてください。抗がん剤による心臓突然死のリスクを予測するスコアは残念ながら存在しません。添付文書に指示は無くても、循環器医はQTが延長した心電図ではT波の面構えも見ます。QT dispersion(12誘導心電図での最大QT間隔と最小QT間隔の差)は心室筋の再分極時間の不均一性を、T peak-end時間(T波頂点から終末点までの時間)は、その誘導が反映する心室筋の貫壁性(心内膜から心外膜)の再分極時間のバラツキ(TDR:transmural dispersion of repolarization)を反映しています。電気的不均一性がTdP/心室細動の発生源になるので注意しています。詳細については、本編の参考文献6)~8)をぜひ読んでみてください。3つ目に多かったのはinfusion reactionで、該当する抗がん剤は17もありました。抗体薬の中には用法及び用量の項でinfusion reaction対策を明記しているものの、『重要な基本注的意』に記載がないものがあるので、実際にはもっと多くの抗がん剤でinfusion reactionに注意喚起がなされているのではないでしょうか。血圧上昇/高血圧もかなりありますが、適正使用ガイドの中に対処法が示されているので、各薬剤のものを参考にしてみてください。そのほかの心臓病についても同様です。なお、適正使用ガイドとは、医薬品リスク管理計画(RPM:Risk Management Plan)に基づいて専門医の監修のもとに製薬会社が作成している資料のことです。抗がん剤だけではない、注目の新薬にもある循環器疾患についての『禁忌』今年1月、経口グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)が初の「がん悪液質」治療薬としてわが国で承認されました。がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています。その本質はタンパク質の異常な異化亢進であり、“病的なるい痩”が、がん患者のQOLやがん薬物療法への忍容性を低下させ、予後を悪化させます。アナモレリンは内服によりグレリン様作用を発揮し、がん悪液質患者の食欲を亢進させ、消耗に対抗します。切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんのがん悪液質患者のうち、いくつかの基準をクリアすると使用できるので、対象となる患者が多いのが特徴です。一方、添付文書やインタビューフォームを見ると、『禁忌』には以下のように心不全・虚血・不整脈に関する注意事項が明記されています。「アナモレリンはナトリウムチャネル阻害作用を有しており、うっ血性心不全、心筋梗塞、狭心症又は高度の刺激伝導系障害(完全房室ブロック等)のある患者では、重篤な副作用を起こすおそれがあることから、これらの患者を禁忌に設定した」9)。また、『重要な基本的注意』には、「心電図異常(顕著なPR間隔又はQRS幅の延長、QT間隔の延長等)があらわれることがあるので注意すること」とあります。ピルシカイニド投与時のように心電図に注意が必要です。実際、当院では「アナモレリン投与中」と書かれた心電図の依頼が最近増えています。薬だけではない!?注目の新治療にもある循環器疾患につながる『警告』免疫の知識が今日ほど国民に浸透した時代はありません。私たちの体は、病原体やがん細胞など、本来、体の中にあるべきでないものを見つけると、攻撃して排除する免疫によって守られていることを日常から学んでいます。昨今のパンデミックにおいては、遺伝子工学の技術を用いてワクチンを作り、免疫力で災禍に対抗しています。がん医療でも遺伝子工学の技術を用いて創薬された抗体薬を使って、目覚ましい効果を挙げる一方で、アナフィラキシーやinfusion reaction、サイトカイン放出症候群(CRS:cytokine release syndrome)などの副作用への対応に迫られています。免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大に伴い、自己免疫性心筋炎など重篤な副作用も報告されており、循環器医も対応に駆り出されることが増えてきました(第5回参照)。チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)は、採取した患者さんのT細胞を遺伝子操作によって、がん細胞を攻撃する腫瘍特異的T細胞(CAR-T細胞)に改変して再投与する「ヒト体細胞加工製品」です。PMDAホームページからの検索では、医療用「医薬品」とは別に設けてある再生医療等「製品」のバナーから入ると見つかります。「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病」と「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の一部に効果があります。ノバルティスファーマ株式会社のホームページで分かりやすく説明されています10)。この添付文書で警告しているのはCRSです。高頻度に現れ、頻脈、心房細動、心不全が発症することがあります。緊急時に備えて管理アルゴリズムがあらかじめ決められており、トシリズマブ(ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体、商品名:アクテムラ)を用意しておきます。AlviらはCAR-T細胞治療を受けた137例において、81名(59%)にCRSを認め、そのうち54例(39%)がグレード2以上で、56例(41%)にトシリズマブが投与されたと報告しています11)(図)。(図)画像を拡大するトロポニンの上昇は、測定患者53例中29例(54%)で発生し、LVEFの低下は29例中8例(28%)で発生しました。いずれもグレード2以上の患者でのみ発生しました。17例(12%)に心血管イベントが発生し、すべてがグレード2以上の患者で発生しました。その内訳は、心血管死が6例、非代償性心不全が6例、および不整脈が5例でした。CRSの発症から、トシリズマブ投与までの時間が短いほど、心血管イベントの発生率が低く抑えられました。これらの結果は、炎症が心血管イベントのトリガーになることを改めて世に知らしめました。おわりに本来であれば添付文書の『重大な副作用』なども参考にする必要がありますが、紙面の都合で割愛しました。腫瘍循環器診療ハンドブックにコンパクトにまとめてありますので、そちらをご覧ください12)13)。さまざまな新薬が登場しているがん医療の現場ですが、心電図は最も手軽に行える検査であるため、腫瘍科と循環器科の出会いの場になっています。QT延長等の心電図異常に遭遇した時、循環器医はさまざまな医療情報から適切な判断を試みます。しかし、新薬の使用経験は浅く、根拠となるのは臨床試験の数百人のデータだけです。そこへ来て私は自分の薄っぺらな知識と経験で患者さんを守れるのか不安になります。患者さんの一路平安を祈る時、腫瘍科医と循環器医の思いは一つになります。1)独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)新医薬品の承認品目一覧2)PMDA医療用医薬品 添付文書等情報検索3)日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版. 金原出版.2018.p.366.4)Curigliano G, et al. Ann Oncol. 2020;31:171-190. 5)日本循環器学会編. 急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版(班長:筒井裕之).6)Porta-Sanchez A, et al. J Am Heart Assoc. 2017;6:e007724.7)日本循環器学会編. 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン2017 年改訂版(班長:青沼和隆)8)呼吸と循環. 医学書院. 2016;64.(庄司 正昭. がん診療における不整脈-心房細動、QT時間延長を中心に)9)医薬品インタビューフォーム:エドルミズ®錠50mg(2021年4月 第2版)10)ノバルティスファーマ:CAR-T細胞療法11)Alvi RM, et al. J Am Coll Cardiol. 2019;74:3099-3108. 12)腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社. 2020.p.207-210.(森本 竜太. がん治療薬による心血管合併症一覧)13)腫瘍循環器診療ハンドブック.メジカルビュー社. 2020.p.18-20.(岩佐 健史. 心機能障害/心不全 その他[アルキル化薬、微小管阻害薬、代謝拮抗薬など])講師紹介

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うつ病リスクに対するシフト勤務の影響

 シフト勤務は、多くの健康問題、とくにメンタルヘルスの問題と関連していることが報告されている。さまざまな人口統計、ライフスタイル、仕事に関連する要因を考慮し、シフト勤務と抑うつ症状との関連を明らかにするため、ドイツ・ルール大学ボーフムのThomas Behrens氏らは、プロスペクティブHeinz Nixdorf Recall Studyを実施した。Chronobiology International誌オンライン版2021年8月12日号の報告。 抑うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D)、Patient Health Questionnaire(PHQ)、抗うつ薬の処方状況により評価した。CES-Dのカットオフ値は、高度と評価される17点以上、PHQのカットオフ値は、9点以上とした。シフト勤務の定義は、7:00~18:00以外の勤務時間を含むものとし、夜間勤務の定義は、0:00~5:00の勤務時間を含むものとした。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、フォローアップ時の年齢、日周指向性(クロノタイプ)、世帯収入、教育で調整し、ロバスト標準誤差を有するポアソン回帰分析を用いて検討を行った。性別により層別化し、分析した。結果のロバスト性を評価するため、さまざまな感度分析と層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、45~73歳のうつ病歴のない就労者1,500人を調査した。・フォローアップ期間が5年間であった就労者は896人、10年間であった就労者は486人であった。・ほとんどの分析において、統計学的に有意なレベルに達しなかったが、PHQでの評価によると、夜間勤務の女性において抑うつ症状リスクの増加傾向が認められ(RR:1.78、95%CI:0.71~4.45)、とくに20年以上の夜間勤務の場合、この傾向がより顕著であった(RR:2.70、95%CI:0.48~15.4)。・年齢別に層別化した場合、60歳以上の女性では、リスクの増加が認められなかった。・層別化分析では、オーバーコミットメントが女性の抑うつ症状リスクの高さと関連していることが示唆された([CES-D]RR:4.59、95%CI:0.95~22.2、[PHQ]RR:12.7、95%CI:2.89~56.1)。・感度分析を目的としたサブグループの除外により、女性での関連性は上昇したが、男性のシフト勤務就労者におけるうつ病リスクとの関連は、ほとんど消失していた。 著者らは「女性のシフト勤務就労者では、うつ病リスクに対する悪影響が示唆された。男性では、この関連性が一貫して増加することは確認されなかった」としている。

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アテゾリズマブ+化学療法の非小細胞肺がん脳転移例への効果(ATEZO-BRAIN)/WCLC2021

 脳転移はがんの合併症として多くみられ、治療やQOLに悪影響をおよぼす。 世界肺癌学会(WCLC2021)では、脳転移を有する非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブの効果と安全性を評価する第II相試験ATEZO-BRAINが発表された。その結果、アテゾリズマブ+化学療法の脳転移を有する非小細胞肺がんへの有用性が示唆されている。アテゾリズマブと化学療法併用は脳転移病変未治療の非小細胞肺がんに有用対象:脳転移病変未治療の非小細胞肺がん(PD-L1発現問わず、ステロイド[デキサメタゾン4mg以下/日]は許容)介入:アテゾリズマブ(1,200mg)+ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(ACU5 ) 3週ごと4~6サイクル→アテゾリズマブ+ペメトレキセドを疾患進行まで、または最大2年間投与主要評価項目:治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、安全性副次評価項目:奏効率(ORR)、奏効期間、全生存期間(OS)、QOLなど 脳転移を有する非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブの効果と安全性を評価する第II相試験ATEZO-BRAINの主な結果は以下のとおり。・40例が対象として登録された。・患者の年齢中央値は62.6歳、男性72.5%、腺がんが97.5%を占めた。・有効性評価対象は24例、安全性評価対象は11例であった。・PFS中央値は8.9ヵ月、18ヵ月PFS率は24.9%であった。・頭蓋内PFS中央値は6.9ヵ月、18ヵ月頭蓋内PFS率は10.4%であった。・OS中央値は13.6ヵ月、2年OS率は32%であった。・Grade3/4の有害事象は27.5%、頻度が高いものは、疲労感、貧血、息切れ、悪心であった。 アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)併用は、脳転移病変未治療の非小細胞肺がんに対して、良好な効果と安全性を示した。脳画像イメージと血液サンプルの関係を調べる試験が進行中である。

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