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降圧薬の有害事象による中止、薬剤クラスで差/JAMA

 降圧薬に関する短期の二重盲検無作為化試験における有害事象や治療中止の発現は、薬剤クラスやレジメンによってばらつきがあり、一部の併用療法では単剤療法と比べて忍容性が優れることが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のNelson Wang氏らによるネットワークメタ解析の結果で示された。レジメンの中には、プラセボよりも有害事象による治療中止率が低く、症状の改善が示されたものもあった。得られた知見について著者は、「試験レベルに基づく結果であり、またネットワークメタ解析の前提条件に依存しているため、すべての患者に適用されるものではない」と述べている。JAMA誌オンライン版2026年5月28日号掲載の報告。4~26週のRCTデータをネットワークメタ解析で評価 研究グループは、短期臨床試験における主要5クラスの降圧薬(ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)とそれらの併用療法について、有害事象と治療中止について評価した。 創刊日~2024年12月31日のCochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Epistemonikosを検索し、主要5クラスの降圧薬またはそれらの併用療法に関する二重盲検無作為化試験(追跡期間は4~26週)を特定した。 2人のレビュワーがそれぞれデータを抽出し、固定効果ネットワークメタ解析にて薬剤クラスごとにデータを統合し、オッズ比(OR)と95%信用区間(CrI)および累積順位曲線下面積(SUCRA)を用いて要約を行った。 最終統計学的解析は、2026年4月に実施された。主要アウトカムは、有害事象による治療中止(無作為化された治療の中止と定義)。副次アウトカムは、頭痛、めまい、浮腫、咳の発現などであった。5つの併用療法、2つの単剤療法がプラセボよりも忍容性が優れ、症状を改善 計716試験が解析対象に含まれた。平均追跡期間は8.6(SD 5)週間、被験者は計15万9,362例であり、平均年齢は54.6(SD 7)歳、女性44%、ベースラインの平均血圧値は158/100mmHgであった。12試験に日本人が含まれた。 プラセボとの比較において、有害事象による治療中止率が有意に増加したのはCa拮抗薬(OR:1.43[95%CrI:1.23~1.67]、リスク群間差[RD]:1.2%[95%CrI:0.6~2.0])、ACE阻害薬+Ca拮抗薬(OR:1.46[1.13~1.87]、RD:1.1%[0.2~2.4])、β遮断薬+サイアザイド系利尿薬(OR:1.58[1.04~2.47]、RD:1.7%[0.1~4.3])であった。 ARBを含むすべてのレジメンは、プラセボとの比較において、有害事象による治療中止例が少なかった。統計学的に有意差が認められたのは、ARB単剤(OR:0.73[95%CrI:0.61~0.86]、RD:-0.8%[95%CrI:-1.3~-0.4])、ARB+Ca拮抗薬(OR:0.61[0.47~0.79]、RD:-1.2%[-1.8~-0.6])であった。 ネットワークメタ解析により、5つの併用療法と2つの単剤療法が、有害事象による治療中止に関してプラセボよりもSUCRA値が高く(上位からARB+Ca拮抗薬、ARB+β遮断薬、ARB単剤、Ca拮抗薬+サイアザイド系利尿薬、ARB+サイアザイド系利尿薬、サイアザイド系利尿薬、ARB+Ca拮抗薬+サイアザイド系利尿薬)、プラセボと比較して全般的な症状改善が示唆された。 プラセボと比較して、すべてのレジメンでめまいが有意に増加したが、頭痛はCa拮抗薬を含む3レジメン(Ca拮抗薬、ACE阻害薬+Ca拮抗薬、β遮断薬+Ca拮抗薬)を除いて、すべてのレジメンで有意に減少した。

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75歳以上の降圧薬、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 75歳以上の高齢者では高血圧が多くみられ、心血管疾患や死亡のリスク因子となる。降圧治療の第1選択薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やカルシウム拮抗薬(CCB)が多く用いられるが、高齢者におけるエビデンスは限られている。そこで、野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学)、福田 治久氏(九州大学大学院医学研究院)らの研究グループは、本邦の全国規模の医療ビッグデータを用いて、target trial emulationの手法により75歳以上の高齢者におけるARBを含む治療とCCBを含む治療を比較した。その結果、ARBを用いた群はCCBを用いた群と比較して、全死亡、心不全入院、心筋梗塞、脳卒中、主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連することが示された。本研究結果は、Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2026年4月26日号に掲載された。 研究グループは、全国の医療情報を統合した500万例以上の大規模データベース(LIFE Study)を用いて、後ろ向き観察研究を実施した。対象は、2014年4月~2024年9月のデータに含まれる75歳以上のうち、過去12ヵ月間にARBまたはCCBの処方がなく、新たにARBまたはCCBを開始した2万9,822例とした(ARB群1万37例、CCB群1万9,785例)。主要評価項目は全死亡、副次評価項目は心不全入院、心筋梗塞、脳卒中、MACE、腎アウトカムなどとした。治療開始時点を起点とする新規使用者デザインを用いて、target trial emulationの手法により両群を比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は、ARB群81.7歳、CCB群81.8歳で、女性の割合はそれぞれ57.2%、57.1%であった。追跡期間中央値は4.0年。・追跡期間中に3,487例が死亡した。死亡はARB群1,141例、CCB群2,346例に発生し、ARB群はCCB群と比較して全死亡リスクが有意に低かった(ハザード比[HR]:0.885、95%信頼区間[CI]:0.823~0.951)。5年死亡率はARB群12.7%、CCB群14.8%で、絶対リスク差は-2.1%ポイント(95%CI:-3.1~-1.0)であった。・副次評価項目の心不全入院、心筋梗塞、MACEについてもARB群がCCB群と比較してリスクが低く、脳卒中についてもわずかながらARB群でリスク低下がみられた。一方で、腎アウトカム(持続的なeGFR 40%以上低下、末期腎不全または透析導入)については、両群間で有意差はみられなかった。各評価項目のHR(95%CI)は以下のとおり。 心不全入院:0.843(0.774~0.918) 心筋梗塞:0.867(0.795~0.945) 脳卒中:0.931(0.869~0.998) MACE:0.889(0.848~0.931) eGFR 40%以上低下:1.110(0.773~1.593) 末期腎不全/透析導入:0.611(0.354~1.056) 本研究結果について著者らは、「75歳以上の成人において、ARBを用いた降圧治療はCCBを用いた降圧治療と比較して、全死亡および心不全入院のリスク低下と関連し、心筋梗塞および脳卒中のリスクについても、小さいながら有意な低下が認められた。これらの知見は、75歳以上の高齢者に対して降圧治療を開始する際の薬剤選択に直接関わるエビデンスであり、この集団においてARBを優先的な選択肢として考慮する根拠となる可能性がある」とまとめた。一方で、本研究はtarget trial emulationの手法を用いることでバイアスの低減を図っているものの、観察研究であり、生活習慣や服薬遵守、医師の処方判断などの未測定要因の影響を完全には排除できないことも指摘している。

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「エンレスト」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第87回

第87回 「エンレスト」の名称の由来は?販売名エンレスト®錠50mg、100mg、200mgエンレスト®粒状錠小児用12.5mg、31.25mg一般名(和名[命名法])サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(JAN)効能又は効果<錠50mg・100mg・200mg>成人慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。小児慢性心不全<錠100mg・200mg>高血圧症<粒状錠小児用12.5mg・31.25mg>慢性心不全用法及び用量<慢性心不全>通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回50mgを開始用量として1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に1回200mgまで増量する。1回投与量は50mg、100mg又は200mgとし、いずれの投与量においても1日2回経口投与する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。通常、1歳以上の小児には、サクビトリルバルサルタンとして下表のとおり体重に応じた開始用量を1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に目標用量まで増量する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。小児における用量表(1回投与量)画像を拡大する<高血圧症>通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最大投与量は1回400mgを1日1回とする。(参考)画像を拡大する警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(アラセプリル、イミダプリル塩酸塩、エナラプリルマレイン酸塩、カプトプリル、キナプリル塩酸塩、シラザプリル水和物、テモカプリル塩酸塩、デラプリル塩酸塩、トランドラプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ペリンドプリルエルブミン、リシノプリル水和物)を投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内の患者3.血管性浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬又はアンジオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫、遺伝性血管性浮腫、後天性血管性浮腫、特発性血管性浮腫等)4. アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)5.重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者6.妊婦又は妊娠している可能性のある女性※本内容は2026年5月21日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2025年9月改訂(第10版)医薬品インタビューフォーム「エンレスト®錠50mg、100mg、200mg/エンレスト®粒状錠小児用12.5mg、31.25mg」

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Ca拮抗薬、ARBで降圧不十分な場合には低用量のサイアザイド系利尿薬がきわめて有効であるが、合剤は高齢者では慎重に(解説:桑島巖氏)

 TRIDENT研究は、脳出血発症後、収縮期血圧が130~160mmHgに安定した状態の1,670例(平均年齢58歳)を、テルミサルタン20mg、アムロジピン2.5mg、インダパミド1.25mgの1つの合剤治療(ピル)群とプラセボ群に1:1にランダム化して追跡した国際試験である。 結果としては、2.5年間の追跡期間中に、主要エンドポイントである脳卒中の再発は合剤(ピル)群は38例(4.6%)であり、プラセボ群の62例(7.4%)に比して有意に少なかったというものである。追跡中の血圧値はピル群127mmHg、プラセボ群138mmHgであった。重大な有害事象には両群で差がなかったが、試験の中止の理由は合剤群で血清クレアチニンレベルが有意に上昇したためであると報じている。 本試験の結果は、以下の2点について示唆的である。1つは、脳出血の最初には積極的な降圧が重要である点。そしてそのためには、ARB、ACEなどのRA系抑制薬にサイアザイド系類似薬インダパミドを加える降圧治療がきわめて有用であることはPROGRESS試験でも証明されている。ただし、本試験の合剤は、テルミサルタン20mg、アムロジピン2.5mg、インダパミド1.25mgであるが、わが国では1.25mgは発売されておらず、1mg・2mg錠のみである。さらに、高齢者の多いわが国では、インダパミドは高齢者では低ナトリウム血症や低カリウムなどを来すため、0.5mg(1錠の半分)で安全かつ十分な効果を発揮できる。また、本試験の中断の要因となったクレアチニン値の上昇が可逆性とはいえ使いづらい。したがって、本試験で用いられているピルは、日本人では副作用による用量調整が困難となり、適用は困難である。わが国のガイドラインで示されているように、カルシウム拮抗薬、RA系で降圧不十分な場合、積極的にサイアザイド系利尿薬を少量追加するのが妥当である。本試験のようにインダパミド1.25mgを含有する合剤をいきなり処方することは、高齢者では慎重であるべきである。まずは0.5mgから開始し、電解質異常が発生しないことを確認しながら処方すべきである。 近年、ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)であるエンレストが降圧薬としてかなり処方されているというが、本来は心不全治療薬であり、欧米では降圧薬としては認可されていない。製薬会社は、心不全に比べて高血圧市場のほうが圧倒的に多いという事情から、降圧薬としての高血圧治療の認可を取得したが、最近発表された日本高血圧学会のガイドライン2025では、ステップ1段階では、カルシウム拮抗薬、ARB/ACE阻害薬、少量のサイアザイド系利尿薬、β遮断薬のみに限定し、それでも降圧不十分な場合にのみARNI、MR拮抗薬を用いるべきとの指針を示している。南江堂の『今日の治療薬』にも、エンレストは慢性心不全の治療を受けている患者に限定して用いると明記、強調されている点は立派である。 その指針に従わない場合には、保険審査により査定される可能性があることは忘れてはならない。ARB/ACE阻害薬に少量のサイアザイド系利尿薬を追加するのみで、かなりの降圧効果が得られることは念頭に置くべきである。 本試験の奇異に感じる点は、オーストラリアや英国などの先進国にスリランカ、ナイジェリアなどの発展途上国を交えた国際試験であることだが、60歳未満ですでに脳出血に罹患している例が多いことは、発展途上国では健康管理がいまだ不十分な症例が多いことをうかがわせる。

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「MASLD診療ガイドライン」改訂、脂肪肝を全身疾患として再定義/日本消化器病学会

 2026年4月、「MASLD診療ガイドライン」が改訂された1)。2020年に発刊した前版の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」から6年ぶりの改訂で、第3版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、改訂ポイントを解説するパネルディスカッションが開催された。 今改訂の最大のトピックスは、疾患名の変更とその定義だ。従来、脂肪性肝疾患に用いられてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」の疾患名は国際的コンセンサスに基づき、2023年に「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」に変更された。日本でも日本消化器病学会・日本肝臓学会がこれに賛同し、2024年8月に「MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」「MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎」との日本語名を発表している。改訂版ガイドラインでは、これらの新たな疾患名・定義を踏まえた診断・診療体系が提唱された。疾患定義:世界的な名称変更 NAFLDという名称は1980年代に提唱され、その後40年以上にわたり使用されてきた。しかし「non-alcoholic(非アルコール性)」という否定形表現や、「fatty」という言葉が患者へのスティグマにつながるとの指摘が国際的に強まっていた。これを受け、脂肪性肝疾患を「SLD(steatotic liver disease)」という1つの大きな疾患群として捉え直し、そのなかで心代謝系危険因子(CMRF)の有無、飲酒量、その他(薬物、ウイルス、遺伝子など)の要因に応じて疾患を再分類したうえで、その中心的な病態としてMASLDが位置付けられた。従来のNAFLD/NASHとMASLD/MASHの臨床像や診断アルゴリズムはおおむね一致しており、従来のエビデンスは引き続き活用される。診断フローチャート:新たに「MetALD」を設定 新たな疾患分類では、SLDを認めた患者に対し、まず、CMRFの有無を評価する。ガイドラインではCMRFとして 1)肥満:BMI≧23kg/m2 or 腹囲男性>94cm・女性>80cm 2)血糖:空腹時≧100mg/dL or 食後2時間≧140mg/dL or HbA1c≧5.7% or 2型糖尿病 or その治療 3)血圧:収縮期≧130mmHg or 拡張期≧85mmHg or 降圧薬内服 4)中性脂肪:≧150mg/dL or 脂質異常症治療薬内服 5)HDL:男性≦40mg/dL、女性≦50mg/dL or 脂質異常症治療薬内服の5項目を採用している。これらのリスク因子が1つ以上あり、かつ飲酒量が基準未満(純エタノール量:男性30g/日未満・女性20g/日未満)であればMASLDと診断される。 今回のガイドラインでは、新たな疾患カテゴリとして、CMRFが1つ以上の中等量飲酒例(男性30~60g/日・女性20~50g/日)を「MetALD(代謝機能障害アルコール関連肝疾患)」として独立して規定した。これを超える飲酒量であれば「ALD(アルコール関連肝疾患)」となる。MetALDは従来ではNAFLDから除外されていた群だが、近年、代謝異常とアルコール双方が病態進展に関与すると示されたことを背景に設定され、MASLDよりも肝関連イベントリスクが高いことが報告されている。さらに心血管イベントも増加するとの報告もあることがFRQで示され(FRQ1-1)、今後はこれらの病態に応じた治療法やサーベイランス法の開発が重要となる。診断:肝生検が「必須」から外れる BQ4-1 MASLDの診断に肝生検は必須か? MASLDの診断に肝生検は必須ではない。 今回の改訂で大きな変更点が、確定診断にあたって「肝生検は必須ではない」とされた点だ。これは近年のNIT(非侵襲的検査)の発達によるもので、NITには血液検査による肝線維化マーカー、年齢と検査値を組み合わせたスコアリングシステム(FIB-4 indexなど)、画像検査、そしてこれらの組み合わせがあり、非侵襲的かつ繰り返し評価できることが大きなメリットとなる。とくに複数の線維化マーカーが保険収載されているのは世界中で日本だけであり、この点に関するエビデンスを蓄積することも求められている。一方、肝生検を必要とするケースも依然として存在しており、高リスクMASHの確定診断、炎症の程度の把握が必要なケース、複数のNITの不一致例などが挙げられている。 今回、診断フローチャートのほかに「肝疾患高リスク症例の絞り込み・フォローアップのフローチャート」が作成された。これはNITと肝生検を組み合わせて高リスク症例を絞り込む手順と、その検査や重症度別の患者のフォローアップをかかりつけ医と専門医でどう分担すべきか、という2軸のマトリクスからなる。NITを使った2段階のハイリスク症例の絞り込み、2次リスク評価で使用できるNITのリストアップ、肝生検・超音波エラストグラフィ・MRエラストグラフィによる最終評価と治療方針の決定、その後のリスクに応じたフォローアップ体制など、診断の全体像と医師の役割分担の提唱が可視化されている。非専門医が押さえるべきポイント・従来、「飲酒歴を確認し、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害を除外した残り」としてNAFLDを診断していたが、MASLDにおいてはBMI、糖代謝異常、高血圧、脂質異常症などのCMRFの確認が診断プロセスの中心となる。・飲酒評価の重要性も増した。とくにMetALD概念の導入により、「少量飲酒であれば問題ない」と一律に扱うことは難しくなった。ガイドラインではMASLDを男性30g/日未満、女性20g/日未満、MetALDを男性30~60g/日、女性20~50g/日の飲酒群として整理しているが、実際にはMASLD基準内の少量飲酒でも線維化リスク上昇が報告されており、診療現場では飲酒量を細かく聴取することが重要になる。・「MASLD患者の消化器科へのコンサルテーション基準は?」という設問(BQ4-2)に対しては、「FIB-4 index>2.67(65歳以下の場合)」の高リスク群を紹介基準とし、同1.3~2.67の中間リスク群でも「血小板数<20万/μL」「AST値・ALT値が持続高値」「画像検査で肝硬変の所見を認める」場合には紹介が望ましいとされている。全身疾患としてのMASLD MASLDは多くの疾患と関連するが、診断基準となるCMRF関連4疾患である「2型糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧」についてはBQが設定され、相互補完関係にあることが示されている(BQ3-1~3-4)。さらに、慢性腎障害、内分泌異常、睡眠時無呼吸症候群など、多様な合併症との関連も整理された(BQ3-5、3-6)。また、肝臓以外の悪性腫瘍リスク上昇についても大腸がんを中心に、胃がん、食道がん、婦人科がんとの関連が解説された(BQ3-7)。中でも心血管疾患はMASLD患者の主要死因の1つであり、大規模メタ解析では、MASLD患者の心不全新規発症リスクは一般人口の約1.5倍と報告されている。一方で、肝線維化が心血管リスクを上昇させる独立した因子であるかについては現時点ではまだ明確ではなく、今後探索していくべき課題とされた(FRQ3-1、3-2)。 治療面では、生活習慣介入が中心である点は従来と変わらないが、「単純性脂肪肝だから経過観察のみ」という従来型対応は見直されつつある。肥満、糖尿病の合併例、線維化進展を伴う例では、早期から積極的介入を行う方向性がより明確になっている。GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬など代謝改善薬への期待も高まっており、今後の承認に向けての動きやエビデンス蓄積が注目される。

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喘鳴をみたら喘息?【喘息・COPDのここが知りたい!】第1回

皆さま、こんにちは。神奈川県川崎市にあります日本鋼管病院という地域の総合病院で呼吸器内科医として働いています田中 希宇人(たなか きゅうと)と申します。ネット上では「キュート先生」の名前で医療情報発信を行っています。川崎南部地域は肺がん・COPD・喘息など、呼吸器疾患の患者さんが多く、呼吸器の症状で困っている方を10年以上診療してきています。喘息・COPDのガイドラインはしっかり策定されておりますが、すべての患者さんがガイドラインに当てはまるわけではありません。本連載では、それらのガイドラインの隙間を埋めるような実臨床で役立つ内容、悩む状況などについて一緒に考えていきたいと思います。ぜひご意見やご感想もお寄せいただけますと幸いです。喘鳴をみたら喘息?はじめに:その喘鳴をどう診ますか?日常診療において、患者さんが「ゼーゼーする」「ヒューヒューいう」と訴えて来院された際、真っ先に頭に浮かぶのは「喘息」ではないでしょうか。実際に喘息は非常に頻度の高い疾患であり、その症状の1つに「喘鳴(ぜんめい)」があります。喘鳴とは、気道が狭くなることで「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった異常な呼吸音が連続的に発生する状態を指します。この音は、狭くなった気道を空気が無理に通過する際に生じる振動によるものです。喘鳴は、聴診器を使わなくても聞こえることもあります。息を吸う時に聞かれる「吸気性喘鳴」と吐く時に聞かれる「呼気性喘鳴」があります。音が聞こえるタイミングや、気道のどの部分が狭くなっているかで病気を推測できる場合があります。しかし「All that wheezes is not asthma(喘鳴がすべて喘息とは限らない)」1,2)という言葉があります。ガイドラインには「喘息の治療法」については詳しく書いてありますが、「この喘鳴が本当に喘息なのか」という診断や鑑別プロセスについては、多くを語ってくれません。ましてや、目の前の患者さんが「喘息なのか」については教えてくれません。本連載では、ガイドラインの行間に隠れた、実臨床での「診療のコツ」をお伝えしていきたいと考えています。第1回は多くの先生方が最も迷いやすく、かつ見逃してはならない「喘鳴の鑑別」について深掘りしていきます。喘鳴の「音」を解剖する:stridorとwheeze聴診器を当てて何か「音がする」だけで満足してはいけません。その異常な音が「いつ」「どこで」聞こえるかが、診断の最大のヒントになります。外来診療では長い時間がとれないため、患者の頸部で聴診します。深呼吸で、呼気は勢いよく最後の最後まで吐ききってもらいます。典型的な喘息の喘鳴は、呼気終末に聴取されます。喘鳴が聞かれる場合に、まず重要なのは音が吸気時(息を吸うとき)に強いのか、呼気時(吐くとき)に強いのかという点です。呼気性喘鳴(wheeze)主に末梢気道が狭窄しているサインです。喘息やCOPDの典型的な音です。吸気性喘鳴(stridor)主に上気道・中枢気道の閉塞を示唆します。喉頭浮腫、声帯機能不全、異物、気管腫瘍などが疑われます。もし吸気時に強い「ヒュー」という音が聞こえたなら、それは喘息の増悪ではなく「上気道の緊急事態」かもしれません。この見極め一つで対応が劇的に変わります。次に、聞かれる音がmonophonic(単音性)なのか、polyphonic(多音性)かということがわかると、さらに病気が絞られます。monophonic聴診してどこの部位で聞いても同じ高さの「ピー」という音が聞こえる状態。これは、特定の太い気道が1点で狭まっている、腫瘍や異物などの病態の可能性を考えます。polyphonic胸のあちこちで異なる高さの音が混ざって聞こえる状態。これは喘息のように、肺全体であちこちの気道が狭くなっている病態を示します。喘息と間違えやすい3つの病態咳・息切れ・喘鳴などの症状があると「喘息」が疑われ、呼吸器外来を受診することが多いです。そこで気を付けなければいけない、喘息と間違えやすい代表的な3つの疾患を紹介しましょう。(1)心不全最も頻度が高く、かつ命にかかわるのが心不全です。左心不全による肺水腫で気管支粘膜が浮腫を起こすと、喘息そっくりの喘鳴が聴取されます。見分けるポイントがいくつかあります。喘息の喘鳴は「夜間・早朝」に強く認められますが、心不全は「横になる時(臥位)」に症状が悪化します。また、心不全徴候であるIII音の聴取、下腿浮腫や頸静脈怒張の有無、X線で心拡大やバタフライシャドウ、採血でBNP高値などをあわせて確認します。喘息の既往がある高齢者が「最近ゼーゼーがひどい」と受診した場合、じつは心不全がベースにあるケースは珍しくありません。喘息とうっ血性心不全が合併していることがあり、私も気管支拡張薬、ステロイド、利尿薬、降圧薬を同時に投与したことがあります。(2)声帯機能不全(VCD)喘息と考えて吸入ステロイドや気管支拡張薬など各種吸入薬を使ってもまったく症状が改善しない「難治性喘息」の中に紛れ込んでいるのが、声帯機能不全(Vocal Cord Dysfunction:VCD)です。本来、息を吸うときに開くはずの声帯が上手に開かない病態です。VCDによる喘鳴が最も強く聞こえるのは「胸」ではなく「首」です。また、喘息増悪(発作)時にはSpO2が低下することが多いですが、VCDでは正常に保たれていることが多いのも特徴です。「吸入薬が効かない」と訴える方や、心理的ストレスを抱える方では、VCDの可能性を考え耳鼻科医に診察してもらうことも重要です。(3)中枢気道病変(腫瘍・異物)ときどき呼吸器外来で診るのが、肺がんや気管支結核、あるいは高齢者の誤嚥による異物などが原因の喘鳴です。肺がん・気管支がんなどの悪性腫瘍、異物などによる物理的閉塞による喘鳴は「片側だけ」「ある特定の部位だけ」で聞こえます。喘鳴は全肺野で聞かれるはず、という思い込みを捨て、左右の胸の音を丁寧に聞き比べるとわかることがあります。また、喘息増悪で聞かれる喘鳴は、比較的急な経過で聴取されますが、悪性腫瘍が原因の場合には徐々に症状が強くなることが特徴です。喫煙歴のある高齢者の喘鳴で安易に「喘息やCOPDが原因」と決めつけるのは危険です。X線やCTでの精査を躊躇してはいけません。喘鳴を正しく見極めるためのコツ喘鳴が聴取される患者さんで喘息か他疾患の病態かで迷ったとき、実際の医療現場で行っているいくつかのコツを紹介しましょう。(1)SABA(短時間作用性β2刺激薬)に対する反応をみるまず比較的簡単にできるのが、喘息増悪に準じてメプチンなどのSABAをネブライザーで吸入させ、その場で喘鳴が消失あるいは軽減するかを確認することです。これは、非常に有用な診断的治療になります。喘息であれば反応が良いはずですが、心不全や腫瘍による気道の物理的狭窄では反応が乏しいことがわかります。(2)「いつもの喘鳴」との違いを聞いてみる喘息増悪を繰り返す患者さんが一番自分の状態をわかっています。しかし、喘息患者さんでも別の病気を合併することがあります。「今回の症状は、今までの喘息発作と同じ感じですか?」という一言が、別の病気を見つけるカギになることがあります。患者さんが感じる「今回はなんか違う、息が吸い込みにくい感じがする」といった症状には注意が必要です。(3)喘鳴の起こり方を探る喘息の増悪は何かをきっかけに発作的に起こりますが、COPDや心不全の増悪は、動いたときの息切れが先行し、徐々に症状が悪化することが多いです。そのようなきっかけ、安静時の喘鳴なのか労作時の喘鳴なのか、など喘鳴の起こり方を探ってみましょう。おわりに:診断の「質」が治療の「質」を決める喘息治療の進歩により、多くの患者さんが発作を経験せずに平穏に過ごせるようになりました。喘息死も私が研修医だった20年前に比べるとだいぶ減りました。しかし、その一方で咳・息切れ・喘鳴のような症状がある場合に、「とりあえず喘息として吸入薬を出す」ことが、本来見つけるべき他の疾患を見逃すリスクを生んでいる側面もあります。「喘鳴=喘息」という思考をいったんやめて、聴診器から聞こえる音の正体を疑ってみる姿勢が第一歩です。正しい診断が下されれば、正しい治療につながります。そこで既存のガイドラインがさらに活きてくるものと考えています。 1) Jackson C. BMQ. 1865;16:86 2) Kaminsky DA. Chest. 2015;147:284-286.

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重症CKDでも降圧療法で心血管イベント抑制/Lancet

 英国・オックスフォード大学のGuyu Zeng氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)はメタ解析を実施し、心血管リスク低減の観点からは、慢性腎臓病(CKD)患者における降圧治療の相対的効果は、非CKD患者における効果と同等であり、CKDの病期、血圧閾値、蛋白尿の有無にかかわらず一貫した有効性が認められることを示した。ただし、糖尿病合併CKD患者ではこの相対的効果が弱まるため、これらの高リスクサブグループに適合する治療戦略が必要であるという。また、CKDにおける主要な降圧薬のクラス特異的な効果は、CKDの病期や蛋白尿の有無にかかわらず、一般集団で観察される効果と同様であることも示された。CKD患者、とくに進行期の患者について、心血管リスク管理に関するエビデンスは依然として不足していた。Lancet誌2026年4月25日号掲載の報告。RCT46件・約28万5,000例をメタ解析 研究グループは、第3期BPLTTCにおいて血圧降下療法群と対照群に割り付けた無作為化試験の被験者個人データを用いて、1段階法によるメタ解析を実施した。 適格とした無作為化試験は、言語や発表時期を問わず、各群1,000人年以上の追跡期間があり、ベースラインの血圧値およびクレアチニン測定値、ならびにイベント発生までの期間の結果があるものとした。無作為化手順が不明確、心不全または急性期医療に限定されたものは除外した。心不全既往患者や、クレアチニン値が極端な患者は除外した。年齢は問わなかった。 主要アウトカムは主要心血管イベント(致死的または非致死的脳卒中、虚血性心疾患、心不全による入院もしくは死亡の複合で定義)とし、相対的治療効果は層別Cox比例ハザードモデルで推定した。治療効果の異質性は、事前に定義されたCKDの状態、CKDステージ(1~5)、糖尿病、蛋白尿、およびベースライン血圧で分類したサブグループ間で評価した。また、5つの主要な降圧薬クラスにおいて、サブグループ間で治療効果が異なるかどうかを層別ネットワークメタ解析で評価した。 52件の無作為化試験(36万3,684例)のうち、適格基準を満たした46件・28万5,124例が解析に組み込まれた。女性11万6,145例(40.7%)、男性16万8,979例(59.3%)、ベースラインにおけるCKD患者は5万9,185例(20.7%)、2型糖尿病患者は8万6,067例(30.2%)であった。収縮期血圧5mmHg低下で、主要心血管イベントリスクが約10%低下 追跡期間中央値4.4年(四分位範囲:3.2~5.1)において、収縮期血圧の5mmHg低下により、主要心血管イベントのリスクは、CKD患者(ハザード比[HR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.87~0.94)および非CKD患者(HR:0.90、95%CI:0.88~0.93)の両方において、低下が認められた(相互作用のp>0.99)。さらに、観察された相対リスク低下は、ステージ4~5を含むすべてのCKDステージで一貫していた(相互作用のp>0.99)。 同様の治療効果の観察は、蛋白尿の有無別や、120/70mmHg未満群を含む各血圧区分においても認められた。しかしながら、CKD患者における相対的治療効果は、糖尿病合併例(HR:0.96、95%CI:0.90~1.02)で非合併例(HR:0.88、95%CI:0.84~0.93)と比較して著しく減弱していた(相互作用のp=0.044)。 各薬剤クラス内の層別解析では、心血管リスクに対する降圧薬とプラセボのクラス固有効果は、調査したサブグループ全体で変わらないことが示された。

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脳内出血既往患者、低用量3剤配合降圧薬の追加で再発減少/NEJM

 脳内出血患者において、標準治療に加え3種類の低用量降圧薬の配合錠を1日1回投与することにより、プラセボと比較し脳卒中の再発および主要心血管イベントの発生が減少したことを、オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らTrident Research Groupが「TRIDENT試験」の結果で報告した。降圧は脳卒中を予防する、唯一の立証済み治療法である。標準的な降圧治療への低用量3剤配合降圧薬の追加が、標準治療単独より血圧をさらに低下させ、脳卒中再発リスクを低減できるかどうかは明らかにされていなかった。NEJM誌2026年4月23日号掲載の報告。テルミサルタン20mg+アムロジピン2.5mg+インダパミド1.25mgの配合錠 TRIDENT試験は、12ヵ国(オーストラリア、ブラジル、ジョージア、マレーシア、オランダ、ナイジェリア、シンガポール、スリランカ、スイス、台湾、英国、ベトナム)の61施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。 対象は、非外傷性の脳内出血の既往歴があり、ベースラインの収縮期血圧が130~160mmHgで臨床的に安定(必要に応じて降圧治療中)の18歳以上の患者とした。 研究グループは、導入期として全例に低用量降圧薬の3剤配合錠(テルミサルタン20mg+アムロジピン2.5mg+インダパミド1.25mg)を1日1回2週間投与し、導入期終了後に同意が得られた適格患者を3剤配合錠(継続)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは脳卒中の初回再発、副次アウトカムは無作為化後6ヵ月時点の血圧コントロール(収縮期血圧130mmHg未満と定義)、主要心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中または心血管死の複合)、心血管死、および安全性であった。脳卒中の再発は、3剤配合錠群4.6%vs.プラセボ群7.4% 2017年9月28日~2024年11月30日に、スクリーニングを受け適格性を評価された2,206例が導入期に参加し、導入期終了後に1,670例が無作為化された(3剤配合錠群833例、プラセボ群837例)。1,670例の平均(±標準偏差)年齢は57.8±11.4歳、563例(33.7%)が女性、1,213例(72.6%)がアジア系で、1,114例(66.7%)がスリランカ在住であった。 追跡期間中央値2.5年(四分位範囲:1.6~4.4)時点で、追跡期間中の平均収縮期血圧は3剤配合錠群127mmHg、プラセボ群138mmHgであり、平均拡張期血圧はそれぞれ82mmHg、86mmHgであった。 脳卒中再発は、3剤配合錠群38例(4.6%)、プラセボ群62例(7.4%)に発生し、ハザード比(HR)は0.61(95%信頼区間[CI]:0.41~0.92、p=0.02)であった。脳内出血再発は3剤配合錠群15例(1.8%)、プラセボ群37例(4.4%)であった(HR:0.40、95%CI:0.22~0.73)。 主要心血管イベントの発生割合は、3剤配合錠群がプラセボ群より有意に低かった(6.6%vs.9.8%、p=0.04)。 重篤な有害事象は、3剤配合錠群で193例(23.2%)、プラセボ群で218例(26.0%)に認められた。投与中止に至った有害事象の発現率はそれぞれ13.6%、6.0%であり、主な事象は血清クレアチニン値の20%以上の上昇であった。

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高血圧管理・治療ガイドライン2025(7):レジスタンス運動【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q165

高血圧管理・治療ガイドライン2025(7):レジスタンス運動Q165従来、高血圧症の運動療法には有酸素運動が推奨されてきた。近年、レジスタンス運動のエビデンスも集積されてきている。高血圧症の患者では、どれぐらいの降圧効果が期待できるか。

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進行期パーキンソン病で昇圧薬を中止したら意識消失を繰り返す事態に…【うまくいく!処方提案プラクティス】第72回

 今回は、進行期パーキンソン病(以下「PD」)における起立性低血圧の管理に介入した症例を紹介します。血圧が安定しているから昇圧薬を中止しようという判断が、結果として患者さんに意識消失を繰り返させてしまうことになり、私自身の反省を踏まえた事例です。進行期PDにおける自律神経障害の理解と、降圧薬・昇圧薬の適切な管理について、一緒に整理していただければ幸いです。患者情報79歳、男性(施設在宅)介護度要介護2基礎疾患パーキンソン病(発症70歳)、レビー小体型認知症、前立腺がん(既往)、陳旧性脳梗塞(既往)ADL歩行・食事は一部介助、排泄はオムツ使用(一部介助)、両下肢の筋力低下あり服薬管理施設スタッフが管理薬学的管理開始時の処方内容1.レボドパ・ベンセラジド配合錠 4錠 分3 毎食後(朝2・昼1・夕1)2.ドロキシドパOD錠100mg 3錠 分3 毎食後3.ミドドリン錠2mg 3錠 分2 朝夕食後(朝2・夕1)4.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後5.ソリフェナシンOD錠5mg 1錠 分1 夕食後本症例のポイント介入当初、レボドパ・ベンセラジド配合錠とドロキシドパ、ならびに昇圧薬のミドドリンが処方されていました。起立性低血圧の既往があるとの情報は得ていたものの、血圧は安定(110~140/60~80台で推移)していると施設職員から報告を受けていました。血圧が落ち着いているなら、ミドドリンは継続する必要がないのではないかと考え、担当医師にミドドリンの中止を提案しました。医師も同意して中止となりましたが、これが誤りの始まりでした。見落とした進行期PDと起立性低血圧の関係パーキンソン病は運動症状だけでなく、さまざまな非運動症状も呈します。進行期には自律神経障害が高頻度に出現し、とくに起立性低血圧は約3分の1の患者に認められるとされています1)。起立性低血圧の背景には、パーキンソン病の神経変性がノルアドレナリン系にも及び、心臓交感神経の脱落が関与していることが知られています。ドロキシドパは生体内でノルアドレナリンに変換されることで、進行期PDにおけるすくみ足・無動・姿勢反射障害だけでなく、起立性低血圧の改善にも有効とされています2)。本症例では、「現在の血圧が安定している=昇圧薬は不要」と表面的に判断してしまい、昇圧薬がその安定を支えていた可能性を考慮できていませんでした。連鎖した処方変更ミドドリン中止から2週間後、血圧の乱高下が出現しました。朝の収縮期血圧が170mmHg台まで上昇することもあると施設の看護師から相談があったので、今度は降圧薬のオルメサルタン10mgを提案・追加しました。しかし、その約1週間後から食後を中心に起立性低血圧が頻発するようになりました。施設の看護師から「血圧がずっと低くなっている」「何度も意識消失を繰り返している」と緊急の相談が入り、事態の深刻さを初めて認識しました。問題の整理ミドドリン中止により昇圧作用が喪失し、血圧が不安定化(とくに食後の低下)。朝の高血圧を起立性低血圧の代償反応として読めず、降圧薬を追加。進行期PDでは臥位高血圧と起立性低血圧が共存しやすい病態であるにもかかわらず、その特性を理解していなかった。医師への提案と経過施設看護師から相談を受けたのち、速やかに医師に状況を報告し、以下を報告しました。(1)ミドドリン中止後から血圧が不安定となり、食後の低血圧が顕著(2)オルメサルタン追加後から起立性低血圧が頻発、意識消失が複数回発生(3)進行期PDにおける自律神経障害(食後低血圧・起立性低血圧)が主因と考えられるそのうえで、オルメサルタンの中止&フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)の追加を提案しました。パーキンソン病診療ガイドライン2018によれば、起立性低血圧の非薬物療法として塩分摂取の増加や急激な体位変換の回避などが挙げられており、薬物療法としてはミドドリンやフルドロコルチゾンが用いられます1)。とくに臥位高血圧を認める患者では、半減期の短いミドドリンを日中に使用することが推奨されています。しかし、本患者は薬を増やしたくないという希望があり、施設職員の服薬管理の負担軽減の観点からも1日1回朝食後の投与で済むフルドロコルチゾンを提案しました。医師への提案はすぐに採用され、フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)を朝食後に追加することになりました。その後、施設の看護師から血圧が安定し、意識消失がなくなったとの報告があり、患者さんは落ち着いた経過をたどっています。考察:この事例から学んだこと1.進行期PDにおける起立性低血圧は「管理すべき症状である」起立性低血圧は進行期PDの非運動症状の代表です。進行期にはほぼ必発ともいえる重要な症状であり、転倒・失神・QOL低下の大きな要因となります。「今は血圧が安定している」という状況だけで薬剤を中止するのではなく、なぜ安定しているのか(=薬が効いているから安定している)という視点を持つことが欠かせません。2.臥位高血圧と起立性低血圧の共存進行期PDでは、自律神経障害により臥位では血圧が高く、立位では低くなるという、相反する病態が共存することがあります。朝の高収縮期血圧をみて安易に降圧薬を追加すると、日中の体動時や食後に重篤な低血圧を招くリスクがあります。3.処方変更は1つずつ丁寧に本症例では、ミドドリン中止→血圧乱高下→降圧薬追加→低血圧悪化という連続した処方変更が事態を複雑にしました。変更の際は1つずつ、十分なモニタリング期間を設けることが原則です。4.施設職員・看護師との連携の重要性施設看護師からの速やかな報告がなければ、意識消失の連発に気付くのが遅れていました。日常的に施設スタッフとの情報共有の関係を築いておくことが、重大な有害事象の早期発見につながります。1)日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」作成委員会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院;2018.2)大村友博ほか. パーキンソン病薬. In:薬局:南山堂;2021.p.138-165.

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認知症の病理を叩く「表街道」、脳を育む「援護射撃」――Lancetの14の危険因子を読み解く(その3)【外来で役立つ!認知症Topics】第40回

前回、私はLancet誌の提唱する認知症の修正可能な14の危険因子1)を、「疾患・障害リスク」と「生活・環境リスク」とに分ける考え方を述べた。前者は従来のアミロイド仮説を軸に、そこから派生した慢性炎症や抗酸化などの病理から説明しやすいもので、糖尿病や高LDLコレステロール(LDL-C)が代表的だ。これはいわば、アルツハイマー病の病理進行をくい止めようという「表街道」の予防法である。一方、後者はアミロイド仮説とは異なり、脳内ネットワークや認知予備能といった考え方で説明される。健常な神経細胞を増やす、あるいは減少させないという、側面からの「援護射撃」ともいえる。この考え方をイラストに示した。以下に示す個々の危険因子について、それが「表街道」と「援護射撃」のどちらに属するかを述べていく。画像を拡大する筆者作成若年期の教育:脳の「控え選手」を育てる援護射撃若年期の危険因子だが、これは「教育」が中心となる。ここで作る大脳の基礎力が十分でなかったとしても、後年これを育み続けることが予防につながると考えればいい。この考え方の基本は、以前から知られる「認知予備能」に関連する。ざっくり言えば、人は生まれ持った脳細胞の一部しか使わないうちに一生を終える。これまで使ってこなかった「控え選手の神経細胞(予備能)」に働きかけるのである。具体的な方法としては、新たな社会交流が勧められる。とくにインターネットリテラシーが低い人こそ、ここで情報を得る習慣を持てば大きな成果が期待できる。教育は、まさに一生続く「援護射撃」なのである。中年期の危険因子:再発とうっかり事故を防ぐ表街道中年期の危険因子のトップは、第38回で述べたとおり難聴と高LDL-Cだが、続いて「うつ病」に触れたい。うつ病経験者は、そうでない者と比べ認知症の危険性が2倍とされる。背景には、神経炎症や、脳由来栄養因子を介した神経の可塑性障害、コルチゾール過剰分泌による海馬体積の減少説などがある。臨床的に大切なのは、うつ病は何度も繰り返しやすく、その再発自体が認知症発症の危険性を高める点だ。だからこそ再発予防が重要であり、主治医と共にフォローを欠かさないことが、病理を抑える「表街道」の対策となる。次に「頭部外傷」については、中等度のもので認知症リスクを2.3倍、重度で4~4.5倍にも増大させる2)。ボクシングなどによる頭部外傷が、50年以上も後にリスクとして現れる。なお高齢者では「転落が脳挫傷原因の3分の2以上」とされるだけに、住環境への配慮が重要になる。照明の改善、手すりやレールの設置、段差の除去や滑りにくい床への改善などが望ましい。身体機能面からは、運動機能の維持、視力や聴力の調整も重要となる。そして、単純ながら基本となるのが「適切な履物」の着用だ。屋内でスリッパなど履かないほうがよい人は多い。これもまた、脳への物理的ダメージを回避する「表街道」の予防といえる。運動不足:座りっぱなしを解消する援護射撃運動不足という危険因子は、従来からいわれてきた運動の予防効果の裏返しである。最近は、単に「たくさん運動すればよい」というより、「身体活動をしない者が運動すれば効果が生まれる」という考え方に変化してきた。最近、老年医学の分野では「座りがちな」という意味の英語で「sedentary」という言葉をよく見かける。そこですべき運動は、有酸素運動の一辺倒ではなく、レジスタンス運動やバランス運動を組み合わせることが重要だ。腰や膝の障害で運動が難しい人の場合でも、皿洗いや掃除、洗濯物干しなどの家事労働を長時間行えば、運動不足をかなり補える。こうした活動の積み重ねが、脳を支える「援護射撃」となる。糖尿病と高血圧:血管から病理を断つ表街道の王道糖尿病は認知症リスクを60%高めるとされるが、アルツハイマー病以上に、血管性認知症の危険性を高める。生物学的メカニズムとしては、直接的な血管障害や神経障害のほかにインスリン分解酵素(IDE)の影響が指摘されている。インスリンとアミロイドβ(Aβ)は同じIDEで分解されるため、高インスリン血症になるとAβの分解が滞り、蓄積していくと考えられる。なお低血糖発作は深刻な危険因子だと強調されている。食事による対応では、地中海食、そこに減塩を超えたダッシュ食、低炭水化物が推奨される。運動では、有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動を組み合わせた「表街道」の包括的な管理が求められる。そして、高血圧こそ認知症発症における最重要な修正可能リスクだろう。40~65歳の中年期の高血圧は、認知症リスクを61~69%増加させるが、降圧薬による治療により、認知症全体で12%、アルツハイマー病で16%のリスクを低減できるとされる3)。高血圧が認知症の危険因子となる理由として複数の説がある。まず脳血管損傷経路、また酸化ストレスと神経炎症経路、血液脳関門破壊経路、さらに脳構造変化と脳萎縮などである。これらをみると、アルツハイマー病の病理が形成されていくプロセスに関わる仮説の多くが高血圧と関連すると改めてわかる。治療面では、とくに血流の改善と脳構造の保護が重要である。わが国のガイドラインでは、年齢別、個人差を考慮した段階的な血圧管理を推奨している。また、いわゆる白衣高血圧の多さを考慮してか、最近では家庭用血圧計における継続的な測定結果が重視される。診察室での血圧よりも、自宅でリラックスして測定した値こそ「真の値」と考えるからだ。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、全年齢の降圧目標が、「診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満」に定められている4)。なお言うまでもないが、血圧コントロールのみならず糖尿病や脂質異常症などの関連疾患の包括的な管理を通して、大きな予防効果が期待できる。これも「表街道」の予防法だ。認知症の修正可能な危険因子に関する今回の解説は以上である。14の危険因子のうちあと6つ、主にライフスタイルに関連するものが残っているが、これについては次回に述べることにしよう。参考文献・参考サイト1)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.2)Gottlieb S. Head injury doubles the risk of Alzheimer's disease. BMJ. 2000;321:1100.3)Ding J, et al. Antihypertensive medications and risk for incident dementia and Alzheimer's disease: a meta-analysis of individual participant data from prospective cohort studies. Lancet Neurol. 2020;19:61-70.4)日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版; 2025.

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添付文書改訂:抗てんかん薬の運転の一律禁止が変更/セリチニブとCYP3A基質薬剤が併用禁忌に ほか【最新!DI情報】第61回

抗てんかん薬<対象薬剤>抗てんかん薬であるカルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタムを有効成分とする医薬品<改訂年月>2026年3月<改訂項目>[追加]重要な基本的注意自動車の運転等危険を伴う機械操作の適否は、関連学会の留意事項を十分理解の上、医師が慎重に判断し、危険を伴う機械操作を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること。<ここがポイント!>対象の抗てんかん薬は、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下といった中枢神経系に影響を与える副作用を起こすことがあるため、従来の添付文書では「重要な基本的注意」の項において、薬剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する旨が記載されていました。しかし、道路交通法では、てんかんのある患者の自動車運転を一律に禁止しているわけではありません。運転免許の取得・更新は、一定の条件を満たせば医師の診断書をもとに公安委員会が判断する仕組みとなっており、実際に多くの患者が医師の管理下で安全に運転を継続しています。今回の改訂により、薬剤投与中であっても一律に自動車運転等を禁止するのではなく、医師が関連学会の留意事項※に基づき、個別の患者の病状、服薬順守状況、副作用の有無等を総合的に評価し、自動車運転等の適否を判断できることが添付文書上で明確化されました。これは、患者の社会生活の質(QOL)向上と安全性の確保を両立させるための重要な改訂といえます。なお、対象の抗てんかん薬5剤には欧州および米国の添付文書においても、薬剤服用中の自動車運転等を一律に禁止する記載はなく、今回の改訂は国際的な動向とも合致しています。※抗てんかん発作薬を服用しているてんかんのある人において、自動車運転や危険を伴う機械操作を行う際の留意事項(2026年3月17日)CYP3A基質薬剤<対象薬剤>アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、アナモレリン塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、イブルチニブ、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、キニジン硫酸塩水和物、シンバスタチン、スボレキサント、タダラフィル(アドシルカ)、チカグレロル、トリアゾラム、バルデナフィル塩酸塩水和物、フィネレノン、ブロナンセリン、マシテンタン・タダラフィル、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ルラシドン塩酸塩、ロミタピドメシル酸塩<改訂年月>2026年3月<改訂項目>[追加]禁忌(次の患者には投与しないこと)および併用禁忌(併用しないこと)「セリチニブ」を追記<ここがポイント!>セリチニブは強力なCYP3A阻害作用を有するため、CYP3A基質薬剤との併用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現リスクが増大する可能性があります。今回の改訂は、この相互作用による安全性上の懸念から、セリチニブとCYP3A基質薬剤の併用を禁忌とするものです。対象となる20成分には、降圧薬、抗不整脈薬、睡眠薬、抗精神病薬、脂質異常症治療薬など、日常診療で頻用される薬剤が多く含まれており、処方監査時には十分な注意が必要となります。本改訂による医療現場への影響については、診療上の大きな支障が生じないことを関連学会等の意見聴取で確認されています。なお、セリチニブの「2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)および10.1 併用禁忌(併用しないこと)」の項にも同様に上記薬剤が追記されました。これにより、双方向での併用禁忌が明確化され、より安全な薬物治療の実施が期待されます。アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン<対象薬剤>アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン<改訂年月>2026年3月<改訂項目>[追加]禁忌(次の患者には投与しないこと)および併用禁忌(併用しないこと)「クラリスロマイシン」を追記<ここがポイント!>生理学的薬物速度論モデルの解析により、アゼルニジピンとクラリスロマイシン400mgまたは800mgを併用した場合、アゼルニジピンのAUCが約3.4倍または5.4倍に増加することが予測され、副作用の発現が懸念されます。今回の改訂は、この相互作用による安全性上の懸念から、クラリスロマイシンとアゼルニジピンの併用を禁忌とするものです。アゼルニジピンはCYP3A4で代謝される薬剤であり、CYP3A4阻害薬であるクラリスロマイシンとの併用により、血中濃度の上昇が生じ、過度の血圧低下、めまい、ふらつきなどの副作用リスクが高まることが想定されます。本改訂による医療現場への影響については、診療上の大きな支障が生じないことを関連学会等の意見聴取で確認されています。なお、クラリスロマイシン、ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン、ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシンの「2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)および10.1併用禁忌(併用しないこと)」の項にも同様にアゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピンが追記されました。とくにヘリコバクター・ピロリ除菌療法においてクラリスロマイシンを含む3剤併用療法を行う際には、患者の降圧薬の確認が重要となります。タクロリムス<対象薬剤>タクロリムス水和物(商品名:プログラフカプセル0.5mg/1mg/5mg、同顆粒0.2mg/1mg、同注射液2mg/5mg、グラセプターカプセル0.5mg/1mg/5mg(アステラス製薬株式会社)等)<改訂年月>2026年3月<改訂項目> [追加]妊婦 海外で実施された、Transplant Pregnancy Registry Internationalのデータベースから利用可能な2,905件の肝移植および腎移植患者の妊娠事例に関するコホート研究において、前向きに調査された症例について以下の結果が報告されている。 大奇形が認められた症例は、本剤曝露群では6/297例(2.0%)、本剤非曝露群注1)では1/53例(1.9%)であった注2)。 小奇形が認められた症例は、本剤曝露群では12/297例(4.0%)、本剤非曝露群では認められなかった注2)。 自然流産が認められた症例は、本剤曝露群では33/335例(9.9%)、本剤非曝露群では3/56例(5.4%)であった注2)。 腎移植患者において、子癇前症が認められた症例は、本剤曝露群では84/226例(37.2%)、本剤非曝露群では7/37例(18.9%)であった。 早産児が認められた症例は、本剤曝露群では156/352例(44.3%)、本剤非曝露群では25/59例(42.4%)であった。 妊娠週数に対して児が正常な出生体重であった症例は、本剤曝露群では289/352例(82.1%)、本剤非曝露群では40/59例(67.8%)であった。 注1 アザチオプリン、シクロスポリン、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロン、シロリムスのいずれか1つ以上を含むレジメンによる治療を受けた患者 注2 妊娠の6週間前から出産までの間にミコフェノール酸モフェチルに曝露している患者を除外した解析結果 <ここがポイント!>臓器移植後の妊娠レジストリであるTransplant Pregnancy Registry International(TPRI)データを用いた本剤の児および母体への影響に関する海外疫学研究の結果は、臓器移植患者の妊娠という限定された集団に関する大規模な研究データであるため、本研究結果を添付文書に記載することは臨床上有用であると考えられます。このコホート研究では、2,905件という大規模な症例数を解析しており、タクロリムス曝露群と非曝露群での大奇形発生率に有意な差は認められませんでした(2.0%vs.1.9%)。一方で、小奇形、自然流産、子癇前症については本剤曝露群でやや高い傾向が示されています。とくに腎移植患者における子癇前症の発生率は本剤曝露群で37.2%と高く、慎重な周産期管理が必要となることが示唆されます。このことから、今回の改訂で「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の「9.5 妊婦」の項に海外疫学研究の結果を追記することになりました。本データは、移植後妊娠を希望する患者への説明や、妊娠中の管理方針決定において重要な情報となります。

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経口GLP-1受容体作動薬orforglipronの期待と課題―セマグルチドを置き換えるか?(解説:永井聡氏)

 経口GLP-1受容体作動薬であるorforglipronは、もともと中外製薬が開発した中分子化合物で、細胞内でG蛋白依存性シグナルを特異的に活性化する“バイアスリガンド”という新しい機序の非ペプチド製剤である。経口セマグルチドと異なり、胃内で分解されにくく、吸収を助ける添加剤を必要としない。そのため、空腹時の服用や飲水制限といった条件を課さず、日常生活における服薬の自由度が格段に向上することが特徴である。 これまで本剤を用いた2型糖尿病を対象とするRCTは、プラセボとの比較であるACHIEVE-1、ATTAIN-2試験が発表されている。いずれの試験でも体重およびHbA1c値の改善は、週1回セマグルチド注射製剤に匹敵する効果が報告されている。 ACHIEVE-3試験は、日本人を含むメトホルミンでコントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、orforglipron(12mg/36mg)と経口セマグルチド(7mg/14mg)を比較したオープンラベル試験である。初の実薬との比較試験であり、本邦での承認用量である経口セマグルチドとの比較である。まさに「知りたかった」試験である。結果は、orforglipronは低用量(12mg)でも経口セマグルチド14mgよりも有意にHbA1c値を改善し、さらに高用量(36mg)では、7割でHbA1c値6.5%以下を達成し、4割が10%以上の減量を達成しており、orforglipronが「勝利」したのである。 では、今後すぐに経口セマグルチドはorforglipronに置き換わるのか? それには次に挙げる課題の解決が必要である。第1に、orforglipronは経口セマグルチドと同じペプチドのGLP-1受容体作動薬ではない。このため長期の安全性や心腎保護のエビデンスについては、orforglipronの心血管アウトカム試験(CVOT)が判明するまでは、経口セマグルチドに軍配が上がる1,2)。第2に、今回は、中等量の経口セマグルチドとの比較でorforglipronが優位だったが、薬剤としての優劣は別である。海外では、より高用量である経口セマグルチド25mgが肥満症に承認されている。高用量の経口セマグルチドでは臨床効果の差が縮まる可能性にも留意する。本試験のorforglipronは高頻度な消化器症状を呈しており、実臨床では治療中止例が多発する可能性がある(もちろん高用量セマグルチドも同様だが)。 そして最後に、何よりも本試験デザインは、発表されているorforglipronのこれまでの臨床試験とは異なる“オープンラベル試験”である。本試験の経口セマグルチドの消化器症状は既存のRCTよりも明らかに低頻度であり、医療者・患者ともに処方内容を知っている。既知の副作用が予測されると副作用が過小報告される可能性がある。では、orforglipronという「新薬」にはどう影響するのか…? もし「強い期待」が医療者にも患者にもあれば、臨床効果も副作用報告も新薬に都合の良いものにならないだろうか。とくに主観的な「副作用報告」や「QOL」には注意を要する。 とはいえ、orforglipronの登場により、他の血糖降下薬、降圧薬や脂質異常症治療薬と「一包化」も可能になり、個々のライフスタイルに合わせた処方が可能となることは喜ばしい。肥満を有する糖尿病へ早期介入が促進され、糖尿病寛解も増えることが期待されるだろう。しかし何事も「期待しすぎ」には注意してほしい…。

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働く世代の肥満・肥満症への正しい理解を促す取り組み始動/日本糖尿病協会

 3月4日の「世界肥満デー」に日本糖尿病協会(JADEC)は、都内で「肥満アドボカシー活動」のスタートに関して記者発表会を開催した。このセミナーは、糖尿病発症の重要なリスク因子である肥満を「ダイアベティス(糖尿病)の前段階」と位置付け、厚生労働省などと連携し、就労世代を対象とした全国的な「肥満アドボカシー活動」の開始を表明したもの。同協会では、今回の活動によりダイアベティス予防を社会に広げ、予防の入口から環境を変える取り組みに踏み出す。肥満の放置は社会経済に悪影響 初めに「『肥満の解消』によるダイアベティスの発症予防の取り組み」をテーマに清野 裕氏(JADEC理事長/関西電力病院 総長)が、わが国の糖尿病、肥満症の実態とJADECが行ったアンケート調査の結果などを説明した。 厚生労働省の調査によると糖尿病の受診率は改善している一方で30・40代では、依然として7割以上が治療を受けていない状況を示した。次にJADECが行ったアンケート「医師・一般消費者・肥満者を対象にした肥満に関する意識調査結果」について触れ、一般消費者の7割、肥満者の9割が「肥満は自己責任」と考えていることを報告した。肥満は「治療が必要」という人が全体で7割以上回答している一方で、保険診療で治療する場合では、一定の回答者には心理的抵抗があるという結果だった。また、他の調査結果でも「体重について気軽に医師に話すことができるか」と患者に聞くと、「気軽に話せる」という人は約20%で、医師側もあまり真剣に取り組んでこなかったということを指摘した。 肥満は、自己管理ができていない、意志が弱いなど個人の責任であるという「体重スティグマ」が、学校や職場などで差別的な評価につながる。医療の世界でも、医療者が一定の偏見をもって患者に診療にあたることで、気軽に医療者と話し合って減量に取り組むということができなくなり、治療への妨げともなる。さらに肥満者は、いろいろな疾患を併発しやすく、放置したままになると、社会全体の経済損失につながるといわれ、将来的に50兆円の損失になると予想されている。 そこで、JADECでは、とくに就労者に焦点を当て厚生労働省、経済団体・関係団体と協調し、医学的・社会的な観点から肥満や肥満症に介入し、肥満者がスティグマで診療萎縮することがないように社会啓発活動を今回展開すると経緯を説明した。 「厚生労働省の栄養・食生活の改善に向けた取り組み 」について丹藤 昌治氏(厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 課長)が、厚生労働省の取り組みを説明した。現在、第3次の「健康日本21」が2024年より行われている。そのビジョンは「すべての国民が健やかで、心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」であり、豊かに生活できる持続可能な社会を示し、「誰一人取り残さない健康づくりを推進する」と記している。とくに生活習慣の改善の中で「栄養食生活」を行うことで、適正体重を維持するという目標を提示し、バランスの良い食生活、減塩食などの励行により生活習慣病の発症予防とともに循環器疾患や糖尿病対策を行うものである。具体的には毎年9月に「食生活改善普及運動」を実施し、バランスのよい食事を摂ることをインターネットなどでも啓発している。そのほか「スマート・ライフ・プロジェクトにおける適切な栄養・食生活の普及」という、国民や企業への健康づくりの新しい施策も行われ、「健康寿命をのばそう」を合言葉に国民運動となることを目指す取り組みも行われる。肥満・肥満症患者に医療者も理解を 「肥満症の成因と病態」について窪田 直人氏(熊本大学大学院 生命科学研究部 代謝内科学講座 教授)が、肥満症になるメカニズムを説明した。肥満症は生活習慣と遺伝要因の両方の相互作用で成り立っている。とくに20・30代では約7割が遺伝要因であり、その後、環境要因も重なることで肥満が進行する。代謝的に健康な肥満(MHO)と代謝的に不健康な肥満(MUO)を比較すると、脂肪分布、インスリン感受性、アディポカイン分泌などに違いがあることが明らかになってきた。また、MHOはけっして健康ではなく、医療介入の余地があることも最近の研究からわかってきた1)。そのほか、心血管死亡などの合併症を起こさない肥満はどのような肥満かを研究した結果では、収縮期血圧が<130mmHgかつ降圧薬なし、内臓脂肪蓄積がなく、糖尿病ではない肥満者が比較的合併症を起こしにくいということが判明した2)。肥満の概念は、BMIが肥満領域にある人を、どう層別化するかということであり、肥満症(MUHO)であってもMHOであっても全員が健康的生活を基盤に据えるべきであり、MHOでも生活習慣を改善することで代謝的健康を維持・補強することができる。その中には、食事療法や運動療法、行動療法に加えて、場合によっては、薬物療法や外科的な治療の選択肢もあると説明を行った。 「ダイアベティス予防からみた肥満へのアプローチ」について門脇 孝氏(虎の門病院 病院長)が、肥満者の合併症で多いダイアベティスからみた肥満の現状について説明を行った。わが国のダイアベティス患者は1,100万人と推定されており、とくにアジア人は欧米人と比べ、軽度肥満や内臓脂肪蓄積で発症しやすいとされている。以前行われたプレダイアベティスに対する生活習慣介入研究である「虎の門スタディー」では、強力介入群は通常介入群と比較して、約1.8kg体重が減少し、ダイアベティス発症が67%抑制されたという結果がある3)。肥満、肥満症の要因は、先述の説明通り環境と遺伝があるが、自己責任論は大きな誤解と偏見となる。そのような誤解と偏見が「スティグマ」と呼ばれ、社会的偏見による差別へ発展する。肥満のある人と医療スタッフの認知のギャップとそれを埋める必要性に関する調査研究では、多くの肥満者が減量は自己責任と回答する一方で、減量成功の責任は医療スタッフにあると答えている医療スタッフが多かった。また、肥満について患者と医療スタッフの間で話し合わない理由としては、医療スタッフ側に「患者は減量したいという意識に欠ける」「患者が減量できるとは思えない」「患者は減量には関心がない」の回答数が肥満患者の回答数よりも多く、医療スタッフでも社会的偏見があることがわかった。こうした結果からオベシティ・スティグマ(肥満への偏見)に終止符を打つことを目指す合同国際コンセンサスステートメント「肥満への認識」「差別への非難」「肥満患者などへの敬意を持ち、治療を支援すること」などが策定された。また、JADECでは「肥満・肥満症のある人に関するスティグマを解消するアドボカシー活動の提案」として、肥満・肥満症患者が置かれている現状を認識し、正しい診療の認識などを啓発するとしている。わが国では中高年までのダイアベティスでは肥満対策が喫緊の課題となっているほか、肥満のある人の割合は、成人男性で増加しており、肥満の解消はダイアベティスはじめ慢性疾患の発症を予防すると説明を行った。 最後に就労している肥満症患者の声として、患者自身の診療経験や体重減少後の効果が語られ、「肥満は単なる自己責任ではなく、生活や環境、体の状態が影響するものだと身をもって感じた。そして、医療のサポートを受けながら取り組めば体はきちんと応えてくれるということも実感した。今、肥満治療をためらっている方がいれば1人で抱え込まず医師に相談してほしい」と思いを述べた。

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高血圧診断後の生活習慣改善は心血管リスク低下と関連するか

 高血圧患者約2.6万例を対象とした大規模前向きコホート研究において、生活習慣と心血管疾患および2型糖尿病リスクの関連を検討した結果、健康的な生活習慣の実践は、降圧薬使用の有無にかかわらずこれらのリスク低下と関連しており、高血圧診断後であっても生活習慣の改善度が高いほどベネフィットが大きいことが、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのZixin Qiu氏らによって示された。JAMA Network Open誌2026年3月2日号掲載の報告。 一般集団では、健康的な生活習慣の順守により心血管疾患の予防が可能であることが示唆されている。しかし、高血圧患者において健康的な生活習慣の長期的な順守や診断後の変化と心血管疾患の発症リスクとの関連を検討した研究は限られている。そこで研究グループは、2つの大規模前向きコホートのデータを用いて、高血圧診断後の生活習慣および診断前後の生活習慣の変化と、心血管疾患および2型糖尿病の発症リスクとの関連を検討した。 解析には、Nurses' Health Study(NHS、1986~2014年)およびHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS、1986~2014年)において新たに高血圧と診断された参加者が含まれた。追跡期間は、心血管疾患についてはNHSで2020年6月30日まで、HPFSで2016年6月30日まで、2型糖尿病については両コホートとも2019年12月31日までとした。 健康的な生活習慣とは、(1)質の高い食事(代替健康食指数[AHEI-2010]の上位5分の2)、(2)非喫煙、(3)中~高強度の身体活動(150分/週以上)、(4)節度あるアルコール摂取(男性30g/日以内、女性15g/日以内)、(5)適正なBMI(18.5~24.9)の5項目と定義した。生活習慣要因は2~4年ごとに再評価され、各項目を満たすごとに1点を加算し、生活習慣スコア(範囲:0[最も不健康]~5[最も健康])として評価した。主要アウトカムは心血管疾患(致死性/非致死性の冠動脈疾患と脳卒中)および2型糖尿病の新規発症とした。 主な結果は以下のとおり。・合計2万5,820例の高血圧新規発症者が解析対象となった(平均年齢60.6歳、女性72.6%)。診断時の生活習慣スコアの中央値は3(四分位範囲[IQR]:2~4)であった。・追跡期間中央値24年(IQR:23~25)で、心血管疾患3,300例、2型糖尿病2,529例の発症を認めた。・生活習慣スコアが最も高い群(5)は最も低い群(0~1)と比較して、心血管疾患発症リスクは約51%低く(調整ハザード比[aHR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.39~0.61)、2型糖尿病発症リスクは約79%低かった(aHR:0.21、95%CI:0.14~0.30)。・40歳時点で生活習慣スコアが最も高い群(5)では、最も低い群(0~1)と比較して、平均余命が最大8.2年長いと推定された。・高血圧診断後に生活習慣スコアが低値(0~3)から高値(4~5)に改善した群は、常に低い群と比較して、心血管疾患(aHR:0.88、95%CI:0.79~0.98)および2型糖尿病(aHR:0.56、95%CI:0.48~0.65)の発症リスク低下と関連していた。・逆に、診断後に生活習慣スコアが高値から低値に低下した群では、常に高値を維持した群と比較して、心血管疾患(aHR:1.14、95%CI:1.00~1.30)および2型糖尿病(aHR:1.75、95%CI:1.45~2.10)の発症リスク上昇と関連していた。・生活習慣スコアが1点上昇するごとに、心血管疾患(aHR:0.90、95%CI:0.86~0.95)および2型糖尿病(aHR:0.79、95%CI:0.75~0.83)の発症リスク低下と関連していた。・総合解析では、降圧薬使用の有無にかかわらず、生活習慣スコアが高いほど心血管疾患および2型糖尿病の発症リスクが低いことが示された。 研究グループは「これらの結果は、健康的な生活習慣を取り入れることで、高血圧の自然経過を大きく変える可能性を示唆している」とまとめた。

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「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン」をフォーカスアップデート/日本循環器学会

 『2026年JCS/JSOGガイドラインフォーカスアップデート版 心血管疾患患者の妊娠・出産の適応と診療』1)が第90回日本循環器学会学術集会(2026年3月20~22日)会期中の3月20日に発刊された。本ガイドラインの研究班長を務めた神谷 千津子氏(国立循環器病研究センター循環器病周産期センター)と桂木 真司氏(宮崎大学産科・婦人科 主任教授)が本学術集会プログラム「ガイドラインを学ぶ2」において、妊娠を避けることを強く望まれる心疾患、妊産婦に注意が必要な循環器用薬を中心に解説した。 本書では、新規薬物治療をはじめとした循環器診療の進歩、思春期以降の男女を対象にしたプレコンセプションケアの取り組み、国内外からの心血管疾患合併妊娠を中心に、シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)を支えることも目標として作成され、今回のアップデート版では以下の7項目を主に取り扱う。そこで本稿では、とくに押さえておきたい項目として、「妊娠を避けることを強く推奨する疾患、病態」「妊娠中、授乳中の循環器薬物治療の安全性」にフォーカスする。―――――――――――――――――――・日本の疫学(周産期データベース、妊産婦死亡症例検討)・プレコンセプションケアと妊娠関連ハートチーム(PHT)・妊娠を避けることを強く推奨する疾患、病態・妊娠中、授乳中の循環器薬物治療の安全性・周産期管理:産科(分娩方法の選択、妊娠高血圧症候群)・周産期管理:麻酔科(麻酔方法の選択、硬膜外麻酔)・産後の注意点―――――――――――――――――――周産期の死亡原因として挙がる心大血管疾患とは 日本産婦人科学会の周産期データベースによると、2014~23年に登録された母体約220万人のうち、基礎疾患に何らかの心疾患を有したのは1.2%(2万6,894例)であった。神谷氏は「心疾患を有する母体は基礎内科疾患がない者と比較して、無痛分娩率、帝王切開率、帝王切開時の全身麻酔率、分娩時出血量、転科率、そして母体死亡率が高い傾向にある」と指摘。また、日本産婦人科医会による妊産婦死亡症例登録システムのデータでは、心大血管疾患は間接産科的死亡*1の第1位であり、大動脈解離、周産期心筋症、肺高血圧症などが原因であることが明らかになっている。同氏は「周産期に初めて診断され、産科と内科の連携が不十分な場合もある。これを解消するために循環器医ができることとして、コンサルテーションの閾値を低く、速やかな検査・治療が求められる」と強調した。*1 妊娠前から存在した疾患または妊娠中に発症した疾患により死亡したもの2)妊娠を避けることを強く望まれる心疾患 妊娠の際に厳重な注意を要する、あるいは妊娠を避けることが強く望まれる心疾患は、第2版までは6項目にとどまっていた。今回、大幅にアップデートがなされ、10項目が表13(p.25)に示された。・高度な体心室機能低下(LVEF<30%、体心室RVEF<40%)や心不全(NYHA心機能分類III~IV度)・重症閉塞性肥大型心筋症(HOCM)・周産期心筋症の既往と左心室機能低下の残存・中等度から重度のPAH(アイゼンメンジャー症候群含む)・重症僧帽弁狭窄(MS)・妊娠前から症状を伴う重度流出路狭窄(大動脈弁高度狭窄:平均圧較差≧40mmHg)・マルファン症候群(上行大動脈拡張期径>45mm、高リスク症例では≧40mm)や大動脈二尖弁を伴う大動脈疾患(大動脈径>50mm)・症状、有意な合併症のあるフォンタン術後・未修復の重症大動脈縮窄症・重症チアノーゼ性心疾患(SpO2<85%) 第3章では上記に対する推奨がCQ1~7とFRQ1で示されている*2。主な変更点について「妊娠を避けることを推奨する左室駆出率(LVEF)が以前は35~40%未満であったが、30%未満へと引き下げた(CQ1)。肺高血圧症患者では、血行動態の重症度が中等度~重度の場合は妊娠を避けることを強く推奨するが、状態の安定した軽症例であれば、妊娠を前向きに考えることが可能と、世界に先駆けてリスク分類した(CQ2)。また、機械弁置換後のリスクは抗凝固療法に起因するものであるため、強く妊娠を希望する場合は、周産期の抗凝固療法に習熟した専門施設での妊娠・分娩管理を強く推奨する(CQ3)。ただし、状態の安定した軽症の肺高血圧症患者や機械弁を有する患者が妊娠継続を希望する場合、各専門施設で周産期管理が求められるため、施設要件が合致した場合にのみ前向きに検討が可能である(p.25、表14)点には留意してほしい」と解説した。 続けて、「流出路狭窄がある場合には、妊娠前から症状を伴うような重症例では妊娠を避けることを強く推奨する一方で、平均圧較差が40~50mmHgで無症状の場合は主治医と相談しながら検討していくことが推奨される(CQ4)。さらに、有症状、有意な合併症をもつフォンタン術後の場合は妊娠リスクを避けることが推奨される(CQ6)。周産期心筋症の既往をもつ場合、LVEF50%未満が継続する患者では妊娠を避けることを強く推奨する(CQ7)」と説明した。*2 CQ:クリニカルクエスチョン、FRQ:フューチャーリサーチクエスチョン なお、これらは妊娠についての意思決定を支える推奨であり、医療的「介入」ではないため、推奨強度は付記しない方針とされている点には注意が必要である。妊娠中に選択できる循環器薬、アテノロールは実は危険! 心疾患合併妊娠のリスク因子のなかで、調整可能な因子の1つに薬剤選択が挙げられる。今回アップデートされた薬剤クラスには、抗凝固薬、降圧薬、利尿薬、抗不整脈薬、肺高血圧症や心不全、脂質異常症の治療薬がある。このなかで特筆すべきはβ遮断薬のアテノロールで、これまで妊娠中の禁忌記載がないβ遮断薬であったにもかかわらず、近年ではアテノロールが最も胎児へのリスクが高いと報告された3)ため、「使用可能だが、在胎不当過小児(SGA)のリスクが最も大きく、他剤への変更が推奨される」と変更した(p.58、表23)ことを強調した。 スタチンについては「添付文書上は禁忌であるが、家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)患者や2次予防目的について、FDAでは使用を勧告している。本フォーカスアップデートでもその旨を記載した」と述べ、DOACについては、「妊娠中の安全性は未確立だが、リバーロキサバンにおいては授乳安全性が確立されつつある」とコメント。降圧薬のうちCa拮抗薬については、前版よりニフェジピン、アムロジピン、カルベジロール、ビソプロロールが妊娠中禁忌から有益性投与に変更している。ACE阻害薬やARBは妊娠中に禁忌であるが授乳中の安全性は確立しているため、「出産後に速やかに再開処方することは可能」と話した。 続いて桂木氏は、薬剤選択・用量・投与速度が妊娠中や分娩前後で調節が可能であること、循環器・産科・麻酔科で情報共有・管理することが重要である点に触れ、「妊娠中の薬物は禁忌も多いが、一律に禁忌ではなく症例に応じた病態別評価が必要であり、妊娠は循環器治療を止める理由ではない。また、母体へのリスクは即時的で致死的なものが多いため、母体のベネフィットと胎児リスクを比較して代替薬の選択を検討してほしい」とコメントした。さらに、「薬剤管理は母体死亡を減らす鍵となる。そのためには、妊娠中の循環器薬剤は“中止”より“最適化”を目指してほしい。産科薬剤は循環動態に影響するため、投与を慎重に判断し、分娩前から循環器・産科・麻酔科による情報共有を行ってほしい」と強調した。これまでのガイドラインと改訂の経緯 これまで、心血管疾患患者の妊娠中の病態について取り扱ったガイドラインは、2005年に初版が発刊、2018年に第2版となる『心血管疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン』が日本産科婦人科学会と合同で作成されていた。それから8年が経過し、新たなエビデンスが集積したことから、今回は前版の内容に補足するかたちで作成・公表がなされた。日本循環器学会(JCS)学術集会まとめページはこちら

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古代中国発祥の八段錦、速歩プログラムと同程度の降圧効果

 古代中国発祥の心身の健康法である八段錦に、薬物療法や速歩プログラムに匹敵する降圧効果があることを示唆する臨床試験の結果が報告された。八段錦は構造化されたゆっくりとした動きと深い呼吸、瞑想を組み合わせた8つの動作で構成された健康法で、多くの人々に親しまれている。この結果を報告した心血管疾病国家重点実験室(中国)予防医学部門長のJing Li氏らによると、八段錦を続けた人では、収縮期血圧(SBP)が平均約3〜5mmHg低下し、その効果は速歩プログラムの実施と同程度であったという。この研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に2月18日掲載された。 研究グループによると、八段錦は、気功の中でも最も一般的に実践されている形式の一つで、その動きは太極拳に似ている。通常の一連の動作は10〜15分ほどで終わり、特別な器具は必要なく、最初に最小限の指導を受けるだけで実践できる。Li氏は、「その簡便さ、安全性、そして長期にわたる継続のしやすさを考えると、血圧を低下させようとしている人にとって八段錦は効果的で利用しやすく、大規模に適用可能な生活習慣介入法になり得る」とニュースリリースの中で述べている。 Li氏らは今回、40歳以上の高血圧患者216人(平均年齢57.3歳、女性64.8%)を試験に登録し、52週間にわたり3種類の介入群のいずれかにランダムに割り付けた。3種類の介入法とは、1)約15分間の八段錦を1日2回、週に少なくとも5日実施する群(108人)、2)1日30分の速歩を週に少なくとも5日実施する群(54人)、3)中強度の運動を週150分以上行うことを目標に、各自で好きな身体活動を実施する群(54人)であった。 その結果、八段錦群では24時間自由行動下血圧測定によるSBP値が12週目で3.1mmHg(95%信頼区間−5.9〜−0.2、P=0.036)、52週目で3.3mmHg(同−6.3〜−0.3、P=0.031)低下し、診察室で測定したSBP値が約5mmHg低下したことが明らかになった。52週目でのSBPの低下幅に、八段錦群と速歩群の間で統計学的に有意な差は認められなかった(−0.7mmHg、95%信頼区間−3.9〜2.6、P=0.683)。Li氏らによると、この結果は、一部の第一選択降圧薬に期待できる効果とも同程度であるという。 この臨床試験には関与していない米イェール大学医学部教授でJACCエディターのHarlan Krumholz氏は、「八段錦の降圧効果は、降圧薬のランドマーク試験で確認されている効果量と同程度であるが、薬を使わず、費用もかからず、副作用も伴わずにそれが達成された」とニュースリリースの中でコメントしている。 なお、自主的な運動を行った群での血圧値の改善はわずかであり、同群と比べて八段錦がもたらした結果の方が優れていた。Krumholz氏は、「八段錦は、中国で800年以上にわたって実践されてきた。今回の臨床試験では、古くから伝わる身近で低コストのアプローチが、質の高いランダム化比較試験によっていかに実証可能であるかを示している」と述べている。

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治療抵抗性高血圧、baxdrostat上乗せで24時間SBP改善/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の患者において、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatはプラセボと比較して、24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)を有意に低下させたことが、フランス・パリ・シテ大学のMichel Azizi氏らBax24 investigatorsによる海外第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Bax24試験」の結果で示された。著者は、「コントロールが困難な高血圧症の治療に、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬が有望であるエビデンスが上積みされた」とまとめている。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時の変化量を評価 Bax24試験は22ヵ国79臨床施設(プライマリ、2次、3次医療施設および研究施設)で行われ、利尿薬を含む降圧薬3剤以上を服用しているにもかかわらず、座位SBPが140mmHg以上170mmHg未満の成人(18歳以上)を対象とした。 2週間のプラセボ投与による導入期後、24時間自由行動下SBPが130mmHg以上の被験者を、基礎療法に追加してbaxdrostat 2mgを1日1回12週間投与する群またはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインの平均24時間自由行動下SBP(140mmHg未満または140mmHg以上)で層別化も行った。研究者、被験者、試験スタッフは治療割り付けを盲検化された。 主要エンドポイントは24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時までの変化量で、少なくとも1回以上試験薬を投与され、ベースラインおよび12週時に有効な24時間自由行動下SBPの測定値を有していた患者を対象に、共分散分析を行い評価した。24時間自由行動下SBP測定の欠落または無効値の補完は行わなかった。 安全性の解析は、少なくとも1回以上試験薬を投与された全被験者を対象に行った。baxdrostat群-16.6mmHg、プラセボ群-2.6mmHgで有意差 2024年3月1日~2025年4月16日に854例がスクリーニングされ、636例(プラセボ導入期前に437例、プラセボ導入期間中に199例)が除外、218例が無作為化され、217例が投与を受けた(baxdrostat群108例、プラセボ群109例)。 140例(65%)が男性、77例(35%)が女性で、170例(78%)が白人であった。年齢中央値は60.0歳(四分位範囲:51.0~68.0)。 24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時までの最小二乗平均変化量は、baxdrostat群(89例)が-16.6mmHg(95%信頼区間[CI]:-18.8~-14.3)、プラセボ群(95例)が-2.6mmHg(95%CI:-4.7~-0.4)であり、推定プラセボ補正後群間差は-14.0mmHg(95%CI:-17.2~-10.8)であった(p<0.0001)。 有害事象は、baxdrostat群で56/108例(52%)、プラセボ群で40/109例(37%)報告された。baxdrostat群108例のうち3例(3%)でカリウム値の6mmol/L超上昇が確認されたが、プラセボ群ではみられなかった。

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80歳以上の夜間高血圧、心血管リスクが2倍~日本の前向き研究

 夜間血圧は、診療室血圧や昼間の血圧よりも健康アウトカムの予測因子として優れているが、超高齢患者における夜間高血圧の臨床的意義はわかっていない。今回、自治医科大学の藤原 健史氏らが実施した80歳以上を対象とした前向き観察研究の結果、夜間高血圧群は夜間正常血圧群に比べて複合心血管アウトカムのリスクが2.15倍と高いことが示された。Hypertension誌2026年3月号に掲載。 本研究は80歳以上の日本人高齢外来患者を対象とした前向き観察研究で、全患者にベースライン時に24時間自由行動下血圧測定を実施した。夜間高血圧は夜間の収縮期血圧120mmHg以上または拡張期血圧70mmHg以上、昼間高血圧は昼間の収縮期血圧135mmHg以上かつ拡張期血圧85mmHg以上と定義した。これらの血圧フェノタイプと複合心血管アウトカム(冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全、大動脈解離および全死因死亡)との関連をCox回帰分析で検討した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値3.9年(1,734人年)の間に、485例中72例(14.8%)に複合心血管アウトカムが発生した。年齢中央値は82歳(四分位範囲:81~85)、男性は44.7%、降圧薬服用者が89.3%であった。・夜間高血圧と昼間高血圧はそれぞれ54.2%と33.6%に認められた。・夜間正常血圧(夜間の収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧70mmHg未満)と比較して、夜間高血圧は複合心血管アウトカムのリスク増加と関連し(調整後ハザード比[HR]:2.15、95%信頼区間[CI]:1.18~3.93)、この関連は昼間の血圧を調整後も持続した。・昼間高血圧ではこのような関連は認められなかった(調整後HR:1.13、95%CI:0.57~2.22)。 本結果から、著者らは「夜間高血圧のスクリーニングにより、超高齢患者における複合心血管アウトカムの高リスク群が特定される」と結論している。

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心不全患者に季節性血圧変動はどう影響するか

 心不全の患者には予後の改善のためにも血圧を低く保つことが求められる。では、季節により血圧が変動する場合、どのように心不全に影響を与えるのだろうか。この課題に対して、スペインのサン・セシリオ大学病院循環器部門のJesus Gabriel Sanchez-Ramos氏らの研究グループは、スペイン南部で心不全患者の夏季と冬季の血圧値を比較し、これらの変動の臨床的影響を評価した。その結果、心不全患者では夏季に血圧が著しく低下することが判明した。この結果はJournal of Hypertension誌2026年4月1日号に掲載された。夏季は在宅自己血圧測定値が低下する傾向 研究グループは、心不全患者に異なる測定法を用いて夏季と冬季の血圧値を検査・比較し、これらの変動の臨床的影響を評価することを目的に、スペイン南部の施設で検査を実施した。心不全が軽減または改善し、最適な治療を受けている50例の患者を対象に観察的前向き横断研究で実施した。各患者は夏季(6~8月)と冬季(12~2月)に、3日間の在宅自己血圧測定(HBPM)、24時間携帯型血圧測定(ABPM)、診療所での血圧測定により評価され、1年間の追跡調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は64±12歳、76%が男性、平均心拍出率は43%だった。・HBPMでは冬季と比較し、夏季に収縮期血圧(SBP)-7.6mmHg(p<0.001)、拡張期血圧(DBP)-3.2mmHg(p<0.001)、平均血圧(MBP)-4.6mmHg(p<0.001)の低下を示した。・ABPMでは、収縮期血圧(差分-1.5mmHg、p=0.004)、拡張期血圧(差分-2.2mmHg、p=0.001)、心拍数(差分-3bpm、p<0.001)に日中の軽度低下を認めたが、夜間変化はなかった。・診療所の血圧測定では、有意差のない一致した差異が観察された。・夏季には35%が降圧治療を必要としたのに対し、冬季は16%(p=0.006)であり、めまいの傾向がより強かった。・イベントは14%に発生した(夏季~秋季に腎機能悪化2例と失神1例、冬季~春季に心不全増悪3例と非心血管死1例)。 以上の結果から研究グループは、「心不全患者において、夏季は血圧の著しい低下と関連し、これはHBPMによって最もよく検出された。有害事象を予防するためには治療調整と臨床モニタリングが必要である」と結論付けている。

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