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MRDモニタリングは新規発症AML患者の一部で生存率を改善

 新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断された患者において、測定可能な残存病変(MRD)の分子モニタリングと、その結果に連動した治療は、NPM1遺伝子変異およびFLT3遺伝子変異を有する患者の生存率改善に寄与するが、AML患者集団全体の全生存率を改善するわけではないという研究結果が、「The Lancet Haematology」5月号に掲載された。 英キングス・カレッジ・ロンドンのNicola Potter氏らは、2件の臨床試験に登録された16〜60歳の新規発症AML患者において、MRDの結果に基づく治療の変更が生存率を改善するかどうかを検討した。患者は、NPM1変異および融合遺伝子を含む、疾患モニタリングに適した分子マーカーについてスクリーニングされた。マーカー陽性患者は、治療中およびその後3年間、連続的なMRDの分子モニタリングを受ける群と、分子モニタリングを実施せずに標準的な臨床ケアを受ける群にランダムに割り付けられた。AML17試験では289人がMRDモニタリング群、144人が非モニタリング群に、AML19試験では136人がMRDモニタリング群、68人が非モニタリング群に割り付けられた。 解析の結果、3年時点の全生存率はモニタリング群で70%、非モニタリング群で73%であり、追跡期間中央値は4.9年であった。2件の臨床試験のメタアナリシスでは、全生存率に差は見られなかった。NPM1変異とFLT3遺伝子内縦列重複(ITD)変異の両方を有する患者では、3年時点の全生存率がモニタリング群で69%、非モニタリング群で58%であった(ハザード比0.53)。FLT3-ITD変異を有さないがNPM1変異を有する患者、または融合遺伝子転写産物を有する患者において、ランダム割り付けによる生存率の差は見られなかった。 共著者である英ガイズ病院・聖トーマス病院NHS財団トラストのNigel Russell氏は、「この進行の速いがんに最適な治療法については、解明すべきことがまだ多くある。われわれの研究が、患者の再発リスクを検出する新しいアプローチを提供し、この疾患で苦しんでいる患者に希望を与えることを願う」と述べている。 なお複数の著者が、バイオ製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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血液病理認定医が直面している難渋するリンパ腫診断/日本リンパ腫学会

 2025年7月3~5日に第65回日本リンパ腫学会学術集会・総会/第28回日本血液病理研究会が愛知県にて開催された。 7月5日、竹内 賢吾氏(公益財団法人がん研究会 がん研究所)を座長に行われた学術・企画委員会セミナーでは、「How I diagnose lymphoma」と題して、5名の病理認定医より、日常診療で直面している具体的な診断の揺らぎや分類の曖昧さに対する自身の対応や見解について共有および議論がなされた。 診断の揺らぎは、解析データの不足、診断者の力量に起因することもあるが、WHO分類におけるさまざまな病型定義や診断基準の曖昧さによる影響が大きいと考えられる。そもそも分類とは、その制定までに理解可能となった定型例により構成されており、その曖昧さは、明瞭な記載が不可能だという消極的な理由のほかに、非定型例について将来の研究に委ねたいとの観点から積極的に設けられた緩衝地帯といえる。このような緩衝地帯においては、現在の知見のみで、誰かが決断を下さなければ治療に向かうことができないことからも、知見の共有は重要である。 本セミナーでは、大石 直輝氏(山梨大学大学院総合研究部医学域人体病理学講座)、加藤 省一氏(佐賀大学医学部 病因病態科学講座 診断病理学分野)、加留部 謙之輔氏(名古屋大学 大学院医学系研究科 臓器病態診断学)、佐藤 康晴氏(岡山大学学術研究院 分子血液病理学)、百瀬 修二氏(埼玉医科大学総合医療センター 病理部)の5名の病理認定医より講演が行われた。今回は、そのうち3つの演題を取り上げる。確定診断には血液内科医と病理医の連携は不可欠 形質芽球性リンパ腫(PBL)の診断について、大石氏は発表された。PBLは、形質芽球/免疫芽球の形質、B細胞の最終分化段階の免疫学的形質を有する大細胞異常B細胞の増殖からなる高悪性度リンパ性腫瘍であり、主に節外臓器に発生する。PBLの鑑別診断は多様かつ複雑であり、情報が限られているため確定診断が難しく、形質細胞腫にとどめざるを得ないこともあるため、とくに病理医と血液内科医のチームワークが求められる。そのうえで「丁寧な臨床病理相関を検討することが必要とされる」と述べている。また「そもそも形質芽球は概念上の細胞なのか、実在するのか」「形質芽球リンパ腫はリンパ腫なのか、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)との整合性は」「形質芽球リンパ腫が形質細胞腫と診断された場合の臨床的インパクトは」「EBV陽性形質細胞腫からEBV陽性PBLへの進展はあるのか」などの疑問が今後明らかになっていくことが期待されるとしている。ダブルヒットリンパ腫とBL/DLBCL境界例診断のコツは ダブルヒットリンパ腫(DHL)を含む高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)の診断について、加留部氏が発表された。MYCとBCL2転座を有するDHLは予後不良であり、その多くはバーキットリンパ腫(BL)/びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)境界例に含まれているが、BL/DLBCLの多くがDHLというわけではなく、DHL以外のBL/DLBCLはHGBL,NOSに分類される。これらはいずれも予後不良であり、適切な治療に結びつけるためにも、正確な診断が求められる。一方で、加留部氏は「HGBL,NOSの診断は乱発するものではなく、形態診断は異なっているが、他の所見も併せて判断したほうが無難である」と述べている。また、HGBLのなかでも11qを伴う場合には、予後は良好であるため、HGBL,NOSとの鑑別は重要となる。そのため、BLが強く疑われるにも関わらずMYC転座が認められない場合には、11qのFISHを行う価値が高いと考えられる。BLとDLBCLとの鑑別は、その後の治療選択においても重要であるが、境界例ではとくに慎重な診断が求められることとなる。最後に、ダブルヒット濾胞性リンパ腫(FL)の診断は、現状DHLではなくFLとして考えるとされており、FLに準じた診断治療を行うべきであるが、形質転換により悪性度が急激に上昇するため、より慎重に検索すべきであり、広い範囲での摘出生検の必要性を強調した。LBCLで低悪性度コンポーネントをどこまで考慮すべきか 百瀬氏は、LBCLにおける低悪性度コンポーネントの存在をどこまで追求すべきかについて、考えを述べられた。LBCLの背景には、マントル細胞リンパ腫(MCL)、FL、辺縁帯リンパ腫(MZL)などの低悪性度コンポーネントがあるかどうか、標本上LBCLのみである場合にどこまで追求すべきなのであろうか。LBCLでは、最終的にCCND1陽性MCLとなる頻度は1/300〜500であり、LBCLのMCL、pleomorphicの抽出にCD5発現は向いていない。cyclin D1の発現による抽出は有効ではあるものの、cyclin D1陰性例の取りこぼしが生じる可能性があることから、SOX11での拾い上げが有効かもしれないと述べている。しかし、自験例においてもSOX11陰性MCLが一定頻度で見られる可能性があるとした。これらを踏まえ、百瀬氏は「現時点でLBCLにおけるMCLスクリーニングではcyclin D1を用いることが良いと考えている」と本発表をまとめた。

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群馬大学医学部 腫瘍内科【大学医局紹介~がん診療編】

高張 大亮 氏(教授)櫻井 麗子 氏(助教)山田 真紀子 氏(助教)大崎 洋平 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴群馬大学腫瘍内科では、外来化学療法センター、緩和ケアセンター、がんゲノム外来を一体的に運用し、がんとともに生きる患者さんを包括的に支える体制を整えています。治療に伴う身体的・精神的な負担にも丁寧に対応し、患者さん一人ひとりに最適ながん医療を提供しています。また、日常診療に加えて、企業治験や臨床試験、ゲノム医療にも積極的に取り組み、最先端のがん治療を実践できる環境を備えていることが、私たちの大きな強みです。地域のがん診療における医局の役割当科は群馬県内のがん薬物療法の中核として、院内の各診療科や地域の医療機関と緊密に連携し、がん医療の質の向上に取り組んでいます。さらに、がんゲノム医療連携病院として、がん研有明病院をはじめとする中核拠点病院と協力しながら、北関東全体の高度ながん医療を支える役割も担っています。地域におけるアクセス格差や情報格差の解消にも力を注ぎ、患者さんが適切な医療につながるための支援体制を整えています。医師の育成方針診療・研究・教育のすべてにバランスよく関わることができる環境の中で、腫瘍内科医としての専門性だけでなく、人間性をも高めていける医師の育成を目指しています。技術や知識に加え、患者さんに寄り添う姿勢を大切にすることを重視しています。内科専門医やがん薬物療法専門医の取得はもちろん、大学院進学、基礎研究、がん専門病院への国内外の留学、企業での薬剤開発、医系技官としての医療行政への参画など、多彩なキャリアパスを提案できる点も当科の魅力です。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力臨床試験・治験を行うことにより今後の標準治療を確立するための一助を担うこと、日常診療では他科と連携して最新の治療を行っていくこと、がんゲノム医療連携病院として県内の患者さんへのゲノム治療へ貢献すること、緩和ケアにて疼痛コントロールや気持ちのサポートをすることといった、個々の患者さんにとって最善最適ながん診療を提供していけることが当医局のやりがい・魅力であり、かつ私たちの最大の使命と考えております。医局の雰囲気、魅力それぞれの得意とする専門性から活発な意見交換がされ、また他の診療科や多職種との関わり合いからも、臓器横断的に集学的に、がん診療について多くのことが学べる環境です。医学生/初期研修医へのメッセージ腫瘍内科学の分野は、免疫チェックポイント阻害薬・遺伝子異常に基づいたがん分子標的治療・がんゲノム医療の開発とその臨床導入など大きく進歩してきており、今後もさらに発展していく分野です。その担い手になる皆さんをお待ちしています。まずは見学から! お待ちしています。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力腫瘍内科に設置されている緩和ケアセンターで、緩和ケアの担当医をしております。院内のさまざまな診療科から痛みや嘔気などの体のつらさや気持ちのつらさに対してコンサルテーションをいただきます。「まさか自分ががんになるなんて」とがん診断時の心理的つらさを抱えた状態から、がん治療がスムーズに進んでいくための心と体を整えるサポートを緩和ケア認定看護師さんたちと提供しています。現在、がん治療にはさまざまな選択肢があり、またがん薬物療法にも本当にたくさんの治療薬があり、患者さんに適した治療を提供するには高い専門性が必要となります。そのための腫瘍内科において、治療の副作用を和らげる対応や治療を頑張っていこうとする患者さんのお気持ちを支えるサポートに非常にやりがいを感じています。がん治療を総合的に提供できる当医局は非常に魅力的なところです。医学生/初期研修医へのメッセージ私は現在子供3人を育てつつ、仕事と育児の両立、研究活動やキャリアアップを目指しながら日々取り組んでいます。やりがいを感じ、自己実現していくための選択肢の1つとして当医局にまずは見学に来ませんか? お待ちしております。医学生/初期研修医へのメッセージ私は血液内科を専門として医師の道をスタートして、がん薬物療法専門医を取得、現在に至ります。昨今のがん薬物療法の進歩は目覚ましく、より複雑化・高度化しています。がんゲノム医療も現場に導入され、特定のがん種だけではないがん薬物療法の専門家への需要は今後益々高まっていくと考えます。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力当院では、各診療科とのキャンサーボードに腫瘍内科医師が参加し、複雑な合併症を持つ症例や、新薬の登場時などは腫瘍内科が薬物療法を担当するといった協力体制が整っています。そのため、多様ながん種の多様なレジメンを経験することができます。薬物療法をメインに行っていますが、受け持った患者さんが手術をすることもあれば、放射線療法が適応となる場合もあります、患者さんを通じて、臓器横断的・集学的ながん診療を学ぶことができるのは、当科の特徴です。医局の雰囲気、魅力2024年に設立された新しい診療科です。僕自身も子育てをしながらの毎日を過ごしていますが、子育てに限らず、ライフイベントをサポートしながらのキャリア形成にはとても理解の深い医局だと思っています。ぜひ、一度見学にお越しください!群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍内科住所〒371-8511 群馬県前橋市昭和町三丁目39番15号問い合わせ先医会長 大崎洋平(yosaki@gunma-u.ac.jp)医局ホームページ群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍内科専門医取得実績のある学会日本内科学会(総合内科専門医)日本臨床腫瘍学会(がん薬物療法専門医)日本がん治療認定医機構(がん治療認定医)臨床遺伝専門医制度委員会(臨床遺伝専門医)研修プログラムの特徴(1)地域に根差した一貫した医療の実践県内の医学科を有する大学は群馬大学のみであり、大学での教育・診療が、地域の医療にダイレクトに結びついているのは群馬県の特徴の1つです。県下から集まる一人ひとりの患者さんの診断から治療、治験や臨床試験に至るまでを一貫して経験することができます。(2)学位取得、研究のサポート本学にはさまざまな学位取得に向けたプランがあり、在学中、初期研修、後期研修と並行した学位取得が目指せます。研究資金の獲得、臨床試験の立案から運営、研究発表まで、当科スタッフがサポートします。現在は、在学中の学生とアピアランスケアに関連した臨床研究、がん患者さんのQOLを上げる商品開発を企業と共同で行っています。(3)多様なキャリア形成、ライフイベントのサポート当科で腫瘍内科医としてのキャリアをスタートした後、現場で働く医師としてのキャリアアップだけでなく、国内国外企業における創薬への挑戦、医系技官として医療行政へと携わる道などさまざまな進路を選択、提示が可能です。またライフイベントに合わせた働き方の調整にも柔軟に対応いたします。

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リンパ腫Expertsが語る、診断・治療のTips/日本リンパ腫学会

 2025年7月3~5日に第65回日本リンパ腫学会学術集会・総会/第28回日本血液病理研究会が愛知県にて開催された。 7月5日、三好 寛明氏(久留米大学医学部 病理学講座)、丸山 大氏(がん研究会有明病院 血液腫瘍科)を座長に行われた教育委員会企画セミナーでは、「Expertsに聞く!リンパ腫診断と治療のTips」と題して、低悪性度B細胞リンパ腫(LGBL)の鑑別診断を高田 尚良氏(富山大学学術研究部 医学系病態・病理学講座)、T濾胞ヘルパー細胞(TFH)リンパ腫の診断と変遷について佐藤 啓氏(名古屋大学医学部附属病院 病理部)、悩ましいシチュエーションにおけるFL治療の考え方を宮崎 香奈氏(三重大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学)、二重特異性抗体療法の合理的な副作用マネジメントについては蒔田 真一氏(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)から講演が行われた。CD5陽性/CD23陽性だからといってCLL/SLLとは限らない LGBLは、臨床的には緩やかに進行するB細胞由来のリンパ腫であり、病理組織学的には小〜中型のリンパ腫細胞で構成され低増殖能を呈する腫瘍で定義される。このLGBLは、主に慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、脾臓原発悪性リンパ腫/白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)が含まれる。高田氏は、いくつかの症例について病理所見を提示しながらLGBL鑑別のコツを紹介した。まず、免疫組織化学のパネルとしてCD10、BCL6、cyclinD1、LEF1までは初回時の染色で行い、必要に応じてIRTA1、MNDA、SOX11などを追加することを推奨した。CD5陽性の場合には、CLL/SLLやMZL(稀にFL)も念頭に置き鑑別診断を行うと良い。また、CLL/SLLの診断では、CD5陽性およびCD23陽性であれば必ずしも診断できるわけではなく、鑑別診断ではLEF1、IRTA1、MNDAなどが必要になることがあり、場合によってはIGH::BCL2の転座の確認が必要となる。さらに、LGBL, NOSは、LGBL全体の5%程度であるが、治療選択肢を考慮し、できるだけ亜型分類を行うことが重要であると述べた。nTFHL診断時に病理医が着目する所見は Nodal TFHリンパ腫(nTFHL)はWHO分類第5版において、nTFHL, angioimmunoblastic type(nTFHL-AI)、nTFHL, follicular type、nTFHL-NOSへ名称変更が行われた成熟T細胞リンパ腫の1つである。これら3型に共通する特徴として、臨床像が類似しており、60代以降に多く、全身リンパ節腫脹、肝脾腫、B症状、胸腹水がみられ、自己免疫疾患様の症状および検査所見を呈し、一般的に予後不良であるなどが挙げられる。免疫染色においては、PD-1、ICOS、CXCL13、BCL6、CD10などのTFHマーカーのうち2〜3個以上が陽性で、濾胞樹状細胞の増生が特徴となる。TFHマーカーの免疫染色で覚えておきたいポイントとして、PD-1、ICOSは「感度は高いが、特異度が低い」、CXCL13、CD10、BCL6は「特異度は高いが、感度が低い」点を挙げている。また、70〜95%の症例で非腫瘍性B細胞にEBER陽性を示すことも重要なポイントである。近年、次世代シークエンサーを用いた解析でも、3型において類似した遺伝子プロファイルが報告されており、ひとくくりにすることが支持される裏付けともなっている。最後に、とくに鑑別の難しいHodgkin/Reed-Sternberg(HRS)-like cellsの出現を伴うnTFHLと古典的ホジキンリンパ腫(CHL)との鑑別では、PD-L1、STAT6、pSTAT6の免疫染色が有用であることも紹介した。免疫細胞療法でFL治療は新たなステージに向かうのか 宮崎氏は、FL治療における悩ましいシチュエーションとして、初発低腫瘍量、初発高腫瘍量、POD24の具体的な3症例を取り上げ、解説を行った。低腫瘍量の初発FLに対する治療は、造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版において、未治療経過観察またはリツキシマブ単剤が推奨されているが、どちらを選択すべきなのか。経過観察は1つの選択肢であるとしながらも、リツキシマブ導入のメリットが大きいと述べている。その理由として、リツキシマブ単剤療法後、15年間の間に次の治療を行っていない患者が48%であり、次の治療の効果を減弱させない点、低腫瘍量であっても無イベント生存期間(EFS)が良好である点などを挙げられた。また、高腫瘍量の初発FLに対する維持療法の必要性に関しては、抗CD20抗体併用化学療法により奏効が得られた場合には、抗CD20抗体維持療法は、無増悪生存期間(PFS)の延長が期待できるとして推奨した。最後に、形質転換が高頻度でみられる予後不良なPOD24患者に対する治療について、さまざまなエビデンスを用いて解説した。CAR-T細胞療法、二重特異性抗体などの免疫細胞療法や新たな化学療法が治療選択肢として導入されつつあり、今後、至適治療が明らかになっていくことが望まれると述べた。二重特異性抗体登場で臨床医に求められるCRSマネジメント B細胞リンパ腫の治療では、CAR-T細胞療法の登場により、これまで治療困難であった殺細胞性抗がん剤に抵抗性を示す患者に対して持続的な奏効が得られるようになった。その一方で、CAR-T細胞療法は認定施設の少なさから多くの患者が容易にアクセスできる治療法ではないことが課題の1つとなっていた。より多くの患者がアクセス可能な免疫療法として、いくつかの抗CD3×CD20二重特異性抗体の開発が進められており、現在、4つの薬剤が承認あるいはまもなく承認される状況にある。また、二重特異性抗体の一次治療導入を検討したランダム化比較試験も進行中であり、B細胞リンパ腫における二重特異性抗体の位置付けは、今後ますます重要になると予想される。二重特異性抗体の使用に際しては、サイトカイン放出症候群(CRS)や免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)のマネジメントが求められる。蒔田氏は「CRSマネジメントは、原則CAR-T細胞療法と同様である。発症のタイミングには個人差があるため、慎重なモニタリングを実施できる体制を構築し、速やかに支持療法を実施できるように整えておく必要がある。また、予防には比較的多量のステロイドが使用されるため、感染症や発熱を伴わないCRSにも注意する必要がある」とまとめた。

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再発・難治性多発性骨髄腫のBVd療法、DVd療法よりOS延長(DREAMM-7)/Lancet Oncol

 1ライン以上の治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫患者において、ベランタマブ マホドチン+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BVd)併用療法はダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DVd)併用療法と比較して、全生存期間(OS)でも有意かつ臨床的に意味のあるベネフィットが得られたことが、第III相DREAMM-7試験の第2回中間解析で示された。ブラジル・Clinica Sao GermanoのVania Hungria氏らがLancet Oncology誌オンライン版2025年7月15日号で報告した。 DREAMM-7試験は、北米・南米・欧州・アジア太平洋地域の20ヵ国142施設で進行中の国際非盲検無作為化第III相試験である。1ライン以上の治療歴のある18歳以上かつECOG PS 0~2の多発性骨髄腫患者を対象に、BVd併用療法の有効性と安全性をDVd併用療法と直接比較している。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、重要な副次評価項目はOS、完全奏効以上の奏効を示した患者における微小残存病変(MRD)陰性率、奏効期間、後続治療におけるPFS(PFS2)、安全性など。本試験の初回解析(第1回中間解析、追跡期間中央値:28.2ヵ月)では、BVdがDVdと比べ、有意かつ臨床的に意味のあるPFSのベネフィットを示した。今回、追跡期間を延長した第2回中間解析におけるOSの結果を報告した。 主な結果は以下のとおり。・2020年5月7日~2021年6月28日に494例をBVd群(243例)とDVd群(251例)に無作為に割り付けた。年齢中央値は64.5歳(四分位範囲:57.0~71.0)であった。・更新されたデータカットオフ(2024年10月7日)および追跡期間中央値(39.4ヵ月、四分位範囲:14.6~42.9)において、BVd群はDVd群に比べて早期の持続的かつ有意なOSのベネフィットがみられた。・OS中央値は、BVd群はNR(95%信頼区間[CI]:NR~NR)、DVd群はNR(95%CI:41.0~NR)であった(ハザード比[HR]:0.58、95%CI:0.43~0.79、p=0.0002)。・完全奏効以上の奏効を示した患者におけるMRD陰性率は、BVd群が25%(95% CI:19.8~31.0)とDVd群の10%(同:6.9~14.8)の2倍以上高く、奏効期間中央値もBVd群は40.8ヵ月(同:30.5~NR)とDVd群の17.8ヵ月(同:13.8~23.6)の2倍以上長かった。・PFS2中央値は、BVd群がNR(95%CI:45.6~NR)に対し、DVdでは33.4ヵ月(95%CI:26.7~44.9)であった(HR:0.59、95%CI:0.45~0.77)。・最も多かったGrade3/4の有害事象は血小板減少症で、BVd群で56%、DVd群で35%に発現した。重篤な有害事象はBVdで53%、DVdで38%に発現した。 著者らは「BVd併用療法により、OS、PFS、MRD陰性率、奏効期間において、有意かつ臨床的に意味のあるベネフィットが示された。BVd併用療法は再発・難治性多発性骨髄腫の新たな標準治療となる可能性がある」と期待している。

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臨床研究への患者・市民参画のいまとこれから/日本リンパ腫学会

 2025年7月3日~5日に第65回日本リンパ腫学会学術集会・総会/第28回日本血液病理研究会が愛知県にて開催された。 7月4日、山口 素子氏(三重大学大学院医学系研究科 先進血液腫瘍学)、丸山 大氏(がん研究会有明病院 血液腫瘍科)を座長に行われたシンポジウム2では、勝井 恵子氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構[AMED])、木村 綾氏(国立がん研究センター中央病院 JCOG運営事務局)、棟方 理氏(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)、天野 慎介氏(一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン、一般社団法人全国がん患者団体連合会)が講演を行い、近年国内でも進みつつある研究の立案段階から研究計画に患者が参画する試み(Patient and Public Involvement:PPI)について、AMED、臨床研究グループ、研究者、および患者・市民の各々の立場から発表がなされた。 臨床試験は、科学的根拠に基づいて新たな治療法や新規治療薬を開発し、臨床導入することを目的として実施される。これまでの臨床試験は、研究者が立案、計画、実行のすべてに関わり、その結果の公表は、学会発表や論文に限られていた。そのため、被験者である患者や市民は、臨床試験に参加し、その試験結果を受け入れるのみであった。近年、研究計画に患者が参画するPPIの取り組みが始まっている。研究開発におけるPPI、「やらなくてはいけない」から「やって当然」へ 2015年4月、医療分野の研究開発およびその環境整備、助成などの業務を担う組織として国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立された。AMEDでは、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、医療分野研究を早期に実用化し、患者およびその家族に届けるため、PPIをはじめとする社会共創(Social Co-Creation)の推進を目指している。 現在、PPIは2023年に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画において柱の1つとなっており、2025年に閣議決定された第3期健康・医療戦略においても、研究開発における社会共創の取り組み推進においてPPIの充実および普及が明記されるようになった。実際、AMEDの公募の際、PPIの取り組みについて聴取されている事業の割合は、5年間で55%(2019年)から89%(2024年)へ増加しており、2024年度以降、研究開発提案書に記載欄が常設されるようになっている。 しかし、まだまだ課題が残っている。記載欄にPPIでない取り組みを記載するなど研究者の理解不足や医療職でない研究者による取り扱いの難しさなどが挙げられる。また「PPIは研究費を取るための手段ではなく、より良い研究開発およびその加速化を実現するための手段であることを忘れてはならない」と勝井氏は強く訴えている。今後、医療分野における研究開発において、PPIは「やらなくてはいけないこと」から「やって当然のこと」となることが期待される。研究参加者に結果を伝える「Lay summary」 次に、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)における患者、市民参画の取り組みについて木村氏より発表がなされた。JCOGは、1978年にリンパ腫および食道がんの2つのグループから始まった日本最大の多施設臨床研究グループであり、16の疾患領域別研究グループを有している。2025年4月現在、107試験(登録中:50試験、追跡中:37試験、準備中:20試験)の支援を担っている。 近年、研究の立案段階からPPIが進められており、2018年には患者参画小委員会を発足し、セミナーやグループごとの意見交換会を定期的に実施し、患者、市民の意見を取り入れた患者ニーズに合致した研究を行うことを目指している。また、患者参画ポリシーを策定し、研究終了後に研究者が結果の情報や知識を社会に共有するため、学会発表、広報、プレスリリースの推進を行っている。 その取り組みの1つとして、研究の主たる解析結果の発表時に研究参加者向けの結果説明を行うため「Lay summary」の作成を始めている。これまでに、14試験の「Lay summary」が公開されている。「Lay summary」の主な目的は研究参加者への試験結果の説明であり、研究事務局を通じて各参加施設の担当者より直接説明を行うとともに、JCOGのWebサイトでも公開している。PPIを根付かせる課題は「成功事例の共有」と「負担軽減体制の構築」 研究者の視点より発表された棟方氏は「PPIは、研究者にとってこれまで気づかなかった患者ニーズの側面から新たな視点を与えてくれる可能性が期待される」と述べている。臨床試験の最終目標は、現在の治療法よりも優れた治療法を開発し、日常診療に導入することである。これまでの臨床研究は、研究者の視点のみで行われていたため、実際に治療を受ける患者のニーズと必ずしも一致しないことがあった。このような場合、試験への患者登録が順調に進まない、あるいは試験結果が実際の臨床現場で選択されにくいなどの問題が生じる可能性もある。そのため、研究の計画段階から患者、市民の意見を反映させることは、研究促進を図るうえで重要である。棟方氏が所属するJCOGのリンパ腫グループは、JCOGの中でも早期にPPI活動を開始したグループの1つであり、これまで6回の家族会との意見交換を行っている。しかし、悪性リンパ腫は多数の病理組織型が存在するため、より深い意見交換を行うためには、意見交換会の開催頻度を増やし、参加者に対象疾患患者を含める必要があるなどの課題もある。また、すべての参加者が十分な知識を有しているわけではないため、わかりやすい事前資料の作成やさまざまな配慮が求められる。 また「Lay summary」を配布して感じた課題についても言及された。「疾患の特徴、試験デザイン、その結果から配布のしやすさに違いがあると感じている。たとえば、大部分の患者が非再発で外来通院中の場合や非ランダム化試験、結果が良かった場合には説明しやすい一方、逆の場合には患者に配布しづらい。また、その結果の説明が研究者の役割となってしまった場合、時間的および心理的負担の増大につながることも懸念される。そして、試験デザインや結果によっては、試験参加の同意を得る際の説明と同等かそれ以上の説明力、配慮を要するのではないかと感じている」と述べている。 最後に「今後、PPIを当たり前の文化にしていくためには、成功事例の積極的な共有が重要であり、これを根付かせていくことが求められる」としたうえで、「研究者と患者双方の負担を軽減し、PPI活動を継続的に行える体制を構築していくことが必要である」とまとめている。今後の研究者に求められるスキルは「わかりやすく伝える」 患者の立場からの期待について、全国がん患者団体連合会の天野氏が最後に登壇された。がん関連学会では、かねてより学術集会などで患者参画プログラムを設けており、日本癌学会では「サバイバー・科学者プログラム」、日本癌治療学会では「がん患者・支援者プログラム」、日本臨床腫瘍学会では「ペイシェント・アドボケイト・プログラム」などが設けられている。ほかにも、日本乳癌学会学術総会や日本肺癌学会学術集会においても、患者・市民参画プログラムが設けられている。このように、とくにがん関連学会では、患者参画が推進されていることから、血液悪性腫瘍関連学会においても、PPIは今後ますます重要になると考えられる。 天野氏は「PPIは、研究者と患者の対話の過程であり、相互理解の過程でもある。そのため、患者や市民が研究について理解を深めることも必要である」とし、「そのためには、研究者にも医学や研究に関する情報や言葉をよりわかりやすく伝える努力をお願いしたい」と語られた。

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次世代技術が切り拓くリンパ腫の未来/日本リンパ腫学会

 2025年7月3日~5日に第65回日本リンパ腫学会総会/第28回日本血液病理研究会が愛知県にて開催された。 7月4日、遠西 大輔氏(岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター)、島田 和之氏(名古屋大学医学部附属病院 血液内科)を座長に行われたシンポジウム1では、国内外の最新の解析手法を用いたリンパ腫研究に携わる第一線の研究者であるClementine Sarkozy氏(Institut Curie, Saint Cloud, France)、杉尾 健志氏(Stanford University, Division of Oncology)、冨田 秀太氏(岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター)、中川 雅夫氏(北海道大学大学院医学研究院 血液内科)より、次世代技術が切り拓くリンパ腫の未来と題し、最新の研究結果について講演が行われた。形質転換FLにおける悪性B細胞とTMEのco-evolution 濾胞性リンパ腫(FL)の形質転換は、予後不良と関連している。しかし、遺伝的進化や表現型との関係はほとんどわかっておらず、形質転換が変換遺伝子型を有する既存の遺伝子から発生するのか、診断時には存在しない遺伝的および表現型の形質転換によるものなのかは不明である。これらの課題を明らかにするために、単細胞トランスクリプトーム(scWTS)と全ゲノムシーケンシング(scWGS)を用いて、変換中の悪性B細胞のクローナルおよび表現型転換を特徴付け、腫瘍微小環境(TME)内における相互作用の解明が試みられた。 scWGSを用いた系統解析は、形質転換FLペア全体で不均一な進化パターンが認められ、scWTSデータを用いた形質転換FLペアからの悪性B細胞のクラスタリングは、FLとびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)サンプルの転写類似性が、以前の治療歴とは無関係に、サンプリング間の時間と逆相関していることが示唆され、Sarkozy氏は、とくに重要なのは、FLクラスターとDLBCLクラスターが十分に分離されたペアでは、一部のFL細胞が常にDLBCLクラスター(DLBCL様細胞)内にあり、その逆も同様である可能性が示された点であるとしている。 scWGSとscWTSの統合は、クローン腫瘍転換中にアップレギュレートされた悪性細胞経路を識別可能であるが、形質転換プロセスのすべての形質転換FLペアに当てはまるわけではない。実際、悪性B細胞表現型の変化と共進化(co-evolution)する、新たなTMEランドスケープも発見されている。これらの結果は、悪性B細胞とTMEの間の転換とシフトクロストーク中の悪性細胞のゲノムと表現型を組み合わせた新たな包括的な手法の可能性を示唆している。TCLの正確な病勢モニタリングのためのリキッドバイオプシー リキッドバイオプシーは、血液や体液を採取して得た検体を解析して、遺伝子異常の有無や種類などを調べる検査技術である。近年、cfDNA(cell-free DNA)を用いた病勢モニタリングの有用性が進展し、DLBCLに対するNCCNガイドラインにも記載されるようになった。DLBCLに限らず、ctDNA(circulating tumor DNA)を用いた病勢モニタリングの有用性は、多くのがんでも報告されている。杉尾氏らは、遺伝子変異だけでなく、コピー数異常、エピジェネティック変化、免疫レセプター解析を組み合わせたマルチモーダル解析を開発し、単なる病勢モニタリングにとどまらず、治療抵抗性や免疫逃避のメカニズムを包括的に評価する試みを進めている。本発表では、主にT細胞リンパ腫(TCL)におけるcfDNA/cfRNA解析の結果について報告した。 TCLに対するcfDAN解析用パネルを開発し、さまざまな解析手法を用いて530検体の解析を行った。その結果、TCL患者において、腫瘍組織のみの解析では腫瘍性TCRクロノタイプを同定できなかった症例の約30%において、cfDNA解析による同定が可能であった。また、治療終了時に血漿cfDNAから遺伝子変異や腫瘍性クロノタイプが検出されなかった症例では1年以上無再発生存率が100%であった。PET CR達成患者においても、ctDNAで予後の層別化が可能であった。さらに、ベースライン時のctDNA量も予後と関連しており、とくに未分化大細胞リンパ腫(ALCL)以外のTCLサブタイプでは化学療法後の予後との有意な関連が認められた。杉尾氏は「新たな病勢評価の手法は、とくにgermlineサンプルやtumorサンプルが利用できないまたはパネル検査においてマーカー遺伝子を特定できない場合、病勢をより正確に評価するための補助的役割を果たすと考えられる」と結論付けている。革新的な進展を遂げるデジタル空間プロファイリング解析技術 がんやリンパ腫などの疾患研究において、GeoMxやVisiumなどのデジタル空間プロファイリング(DSP)解析技術が革新的な進展を遂げている。この技術は、従来の網羅的な遺伝子発現プロファイリング(RNA-seq)解析、免疫組織化学染色解析、単一細胞RNAシーケンスでは困難であった。組織内の位置情報を保持したまま網羅的な遺伝子プロファイルを取得できる点において、従来の解析手法とは一線を画している。 岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センターでは、いち早く空間解析プラットフォームGeoMxを導入し、さまざまな疾患やがん種の解析を通して、データ取得からデータ解析までの環境の整備、構築を進めてきた。冨田氏らはGeoMxのメリットとして「任意の場所からトランスクリプトームの情報が取得できる点」「形態学的マーカーで染色できる点」などを挙げている。Yixing Dong氏らの報告によると、いずれのDSPでも高品質な再現性の高いデータが得られているとしながらも、腫瘍の不均一性と潜在的な薬物ターゲットの発見においてGeoMxよりもVisiumおよびChromiumがより優れていることが示唆されており、GeoMxではより専門的な作業が必要となる可能性があるとしている。これら各手法の長所、短所などがより明らかとなることで、精度の高い治療の推進に役立つことが期待される。解明が進むTCLにおける治療標的分子 複数の新規治療薬が導入されているにもかかわらず、TCLは依然として予後不良であり、その分子病態のさらなる理解と新規治療標的の探索は課題である。一方、近年のゲノム編集技術の進展により、疾患特異的な分子メカニズムや治療応答性の基盤解明が飛躍的に進んでいる。 これまで北海道大学では、genome-wide CRISPR library screeningを活用し、TCLにおける治療標的分子の解明に取り組んできた。その結果、最も予後不良なTCLである成人T細胞白血病/リンパ腫(ALTT)におけるPD-L1発現メカニズムを解明し、CRISPRスクリーニングによりPD-L1の発現が特定の分子ネットワークにより制御されていることを報告した。 さらに、CD30陽性TCLにおける抗CD30モノクローナル抗体の感受性メカニズムを解明し、CRISPRスクリーニングによる感受性に寄与する遺伝子として有糸分裂チェックポイント複合体(MCC)の阻害因子であるMAD2L1BPおよびANAPC15を同定した。加えて、これらの遺伝子による感受性調節メカニズムを解明し、MCC-APC/Cを標的とする新規治療戦略の可能性を明らかにした。 中川氏らは「これらの研究成果は、難治性疾患であるTCLにおける未解明の分子メカニズムを明らかにし、臨床応用に向けた新たな方向性を示すものである」とまとめている。

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第87回 ベルヌーイ分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第87回 ベルヌーイ分布とは?医療統計の分野において、ベルヌーイ分布は、治療の成功や失敗、病気の有無など、2値の結果を伴う臨床試験のデータ分析における基礎的な概念です。今回は、そこから導かれる結果を理解する必要があるベルヌーイ分布を解説します。■ベルヌーイ分布とは?ベルヌーイ分布は、統計学における最も単純な確率分布の1つで、スイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイにちなんで名付けられました。この分布は、1回の試行(ベルヌーイ試行と呼ばれる)で「成功(1)」または「失敗(0)」の2つの結果のみを持つ離散分布です。この分布の重要なパラメータは、各試行における成功の確率pで、失敗の確率は1-pです。■ベルヌーイ分布の特徴1)2値の結果正確に2つの結果をモデル化します。臨床研究では、新薬の効果があった(成功)かどうか(失敗)などのシナリオに関連します。2)パラメータp成功の確率を表します。pを知ることで、分布の平均(期待値)と分散を決定できます。ベルヌーイ分布の平均は、(pの文字の上にバーが付きます)と表されます。また、分散はp(1-p)です。3)臨床試験での応用臨床試験では、ベルヌーイ分布を理解し適用することで、研究者と医療専門家はコントロールされた条件下での治療のリスクと効果を評価するのに役立ちます。■ベルヌーイ分布と二項分布ベルヌーイ試行を繰り返し行い、その成功回数の分布が二項分布となります。■臨床設定でのベルヌーイ結果の解釈医療の専門家は、治療の成功率が80%と報告されるような試験結果に遭遇するかもしれません。ベルヌーイ分布を通じてこれを解釈する方法を知ることは、情報に基づいた治療決定を行う上で重要です。これは、任意の患者に対して治療が成功する確率が80%であることを意味します。■制限と考慮事項ベルヌーイ分布は、重要な洞察を提供する一方で、限界もあります。複数のカテゴリーを持つ結果や連続的なデータを扱うことはできませんし、試行間の独立性を仮定していますが、この仮定は臨床設定で常に成立するわけではありません。その単純さにもかかわらず、ベルヌーイ分布は、2値の結果を含む臨床試験データの統計分析において重要な役割を果たします。これにより、治療の成功または失敗の可能性を理解し、臨床決定や患者とのコミュニケーションに役立てることができます。基本的な統計概念を理解することで、臨床研究を適切に評価し、医療実践に研究結果を応用することが可能になります。研究結果の読解と解釈を行う場合、ベルヌーイ分布のような概念の確かな理解が大切になります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第75回 確率分布とは?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)

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非輸血依存性サラセミア、mitapivatは新たな経口治療薬として有望/Lancet

 非輸血依存性(NTD)αサラセミアまたはNTD βサラセミアの成人患者において、開発中の経口ピルビン酸キナーゼ活性化薬mitapivatはヘモグロビン値を上昇させ疲労感を改善し、新たな経口治療薬となる可能性があることが示された。レバノン・American University of Beirut Medical CenterのAli T. Taher氏らENERGIZE investigatorsが第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ENERGIZE試験」の結果を報告した。NTDサラセミアは無効造血と溶血性貧血によって特徴付けられる遺伝性疾患で、長期の合併症、QOL低下、早期死亡をもたらす。βサラセミアに対する承認された経口疾患修飾治療薬はなく、αサラセミアに対しては承認薬がなかった。Lancet誌2025年6月19日号掲載の報告。1日2回100mgを24週経口投与し、ヘモグロビン値上昇を評価 ENERGIZE試験は、NTD αサラセミアまたはNTD βサラセミアの成人患者におけるmitapivatの有効性と安全性を評価した世界18ヵ国70病院で行われた試験。非盲検の延長試験も行われている。対象は18歳以上、NTD αサラセミアまたはNTD βサラセミアでヘモグロビン値10g/dL以下の患者を適格とした。 被験者は、ブロック無作為化法を用いた中央双方向応答テクノロジーシステムを介して、mitapivat群(1日2回100mgを24週経口投与)またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。ベースラインのヘモグロビン値とサラセミアの遺伝子型による層別化も行われた。 試験に関わる全員が、主要エンドポイントの解析のために試験の盲検化が解除されるまで、被験者の治療割り付けを知らされなかった。 主要エンドポイントは、ヘモグロビン反応(12~24週目の平均ヘモグロビン値がベースラインから1.0g/dL以上上昇)で、無作為化された全被験者を対象に解析した。安全性は、試験薬の投与を少なくとも1回受けた全患者を対象に解析した。平均ヘモグロビン値1.0g/dL以上上昇、mitapivat群42%、プラセボ群2% 2021年11月8日~2023年3月31日に、235例がスクリーニングされ、そのうち194例(女性123例[63%]、男性71例[37%])が試験に登録された。130例がmitapivat群に、64例がプラセボ群に無作為化され、この194例を有効性解析集団(FAS)とした。 各群1例について、無作為化されたが治療薬の投与を受けず、これら被験者は安全性解析集団から除外された(mitapivat群129例、プラセボ群63例)。mitapivat群の7例、プラセボ群の1例が24週間の二重盲検試験期間が終わる前に治療を中断している。 ヘモグロビン反応を呈したのはmitapivat群55/130例(42%)、プラセボ群1/64例(2%)であった(最小二乗平均差:41%[95%信頼区間:32~50]、両側のp<0.0001)。 有害事象は、mitapivat群107/129例(83%)、プラセボ群50/63例(79%)で報告された。mitapivat群で多く報告された有害事象は頭痛(29/129例[22%]vs.プラセボ群6/63例[10%])、初期不眠症(18例[14%]vs.3例[5%])、悪心(15例[12%]vs.5例[8%])、上気道感染(14例[11%]vs.4例[6%])であった。死亡は報告されなかった。

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再発・難治性多発性骨髄腫へのベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン、BELLINI試験最終OS解析

 再発・難治性多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ+デキサメタゾンへのベネトクラクス上乗せの効果を検討した第III相BELLINI試験では、すでに主要評価項目である独立評価委員会による無増悪生存期間(PFS)は達成したが早期死亡率の増加を示したことが報告されている。今回、米国・Mayo ClinicのShaji K. Kumar氏らが、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をLancet Haematology誌オンライン版2025年6月27日号で報告した。Kumar氏らは「OSはプラセボがベネトクラクスを上回り、PFSはベネトクラクスがプラセボを上回っていたことから、一般的な再発・難治性の多発性骨髄腫患者ではベネトクラクスの使用を避けるべきであることが示唆された」としている。 BELLINI試験は多施設無作為化二重盲検第III相試験で、16ヵ国90施設で実施された。この最終解析ではITT集団におけるOSと治験責任医師によるPFSが解析された。・対象:ECOG PSが2以下で1~3レジメンの治療歴がある18歳以上の再発・難治性多発性骨髄腫患者・試験群:ベネトクラクス(800mg/日)+ボルテゾミブ(1.3mg/m2)+デキサメタゾン(20mg)、最初の8サイクルは21日サイクル、その後中止まで35日サイクルで投与・対照群:プラセボ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン・評価項目:[主要評価項目]ITT集団における独立評価委員会によるPFS[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・2016年7月19日~2017年10月31日に291例がベネトクラクス群(194例)またはプラセボ群(97例)に割り付けられ、本解析時点で33例(ベネトクラクス群28例、プラセボ群5例)が治療を継続していた。・追跡期間中央値45.6ヵ月(四分位範囲:43.6~48.3)において、OS中央値はベネトクラクス群(未到達[NR]、95%信頼区間[CI]:44.4~NE)、プラセボ群(NR、95%CI:44.0~NE)ともにNRだった(ハザード比[HR]:1.19、95%CI:0.80~1.77、p=0.39)。・PFS中央値は、プラセボ群11.4ヵ月(95%CI:9.5~14.6)に対し、ベネトクラクス群23.4ヵ月(95%CI:16.2~26.4)であった(HR:0.58、95%CI:0.43~0.78、p=0.00026)。・Grade3/4の主な有害事象は、血小板減少症(ベネトクラクス群:26%、プラセボ群:40%)と好中球減少症(30%、8%)であった。・治療関連有害事象で死亡に至った患者は、ベネトクラクス群では193例中4例(2%)、プラセボ群では1例もなかった。

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遺伝子治療市場の縮小を超えて:長期成績が示す血友病B治療の未来(解説:長尾梓氏)

 NEJM誌6月12日号に掲載された“Sustained Clinical Benefit of AAV Gene Therapy in Severe Hemophilia B”は、AAVベースの遺伝子治療治験薬scAAV2/8-LP1-hFIXcoを投与した血友病B 10例を13年間追跡し、FIX活性と出血抑制が初期報告からほぼ減衰せず、安全性上の深刻なシグナルも認めなかったことを示した。AAVベクターによる遺伝子治療が「十年以上効く」ことを実証した初の報告であり、臨床現場にとって画期的である。 一方、市場環境には逆風が続く。Pfizerは今年2月、FDA承認済みだった血友病B遺伝子治療薬Beqvez(fidanacogene elaparvovec-dzkt)の世界的な販売・開発を突然打ち切った。理由は「患者・医師の需要の低さ」とされる。さらにBioMarinは血友病A遺伝子治療薬Roctavian(valoctocogene roxaparvovec)の商業展開を米国、ドイツ、イタリアの3ヵ国に限定し、その他地域への投資を凍結すると発表した。こうした撤退・縮小の動きを受け、ISTH、WFH、EAHADなどの国際学会は本年5月に「遺伝子治療開発を止めないでほしい」とする緊急声明を共同発出し、産学官・患者団体に継続的な投資とアクセス確保を要請している。 今回のNEJM論文は、日本では未承認のプラットフォームではあるものの、13年という長期データが“Gene Therapy Fatigue”に漂う空気を一変させる可能性がある。国内でも血友病B遺伝子治療の導入は2〜3年以内に本格化すると予想され、長期フォロー体制や医療経済評価を整えたうえで「いつ誰に投与するか」を再考する好機となるだろう。 留意すべきは、本論文のデータをそのまま血友病A遺伝子治療に当てはめることは適切でない点である。Roctavianを含むAAV-FVIII製品では発現低下や免疫応答といった独自の課題が依然残り、経過は大きく異なる。疾患別にエビデンスとリスクを慎重に見極める必要がある。 「十年以上持続する臨床効果」という朗報と「市場縮小」という逆風。相反する2つの現実をどうバランスさせ、日本の患者に最適な形で遺伝子治療を届けるか――今後数年間は、われわれ日本の医療者にとって、きわめて重要な時期になるのは間違いない。

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Capnocytophaga spp.【1分間で学べる感染症】第29回

画像を拡大するTake home messageCapnocytophaga spp.は、脾機能低下患者において敗血症性ショックと播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こすことのある重要な起因菌である。今回は、とくに脾機能低下患者において重篤な病態を引き起こす可能性のあるCapnocytophaga spp.(カプノサイトファーガ属細菌)に関して一緒に学んでいきましょう。種類Capnocytophaga属にはC. canimorsus、C. sputigena、C. cynodegmiなどが含まれ、全部で9種類存在します。これらは動物由来(zoonotic)とヒト口腔内常在菌(human-oral associated)の2つに分類されます。C. canimorsusはイヌやネコの咬傷によってヒトに感染することが多い一方で、C. gingivalis、C. sputigenaはヒトの口腔内に存在します。微生物学的特徴Capnocytophaga spp.は通性嫌気性のグラム陰性桿菌であり、発育が遅いのが特徴です。また、グラム染色では特徴的な紡錘型を示すとされています。さらに、莢膜を持つことは微生物学的にも臨床上も重要なキーワードです。莢膜を持つことが、後から述べる解剖学的または機能的無脾症患者において重篤な病態を引き起こす理由となっています。リスク因子Capnocytophaga spp.による感染症のリスク因子として、解剖学的または機能的無脾症、血液悪性腫瘍、過度のアルコール摂取、肝硬変が挙げられます。無脾症患者や肝疾患のある患者は、脾臓が担う莢膜菌に対するオプソニン化と貪食促進の欠如により感染症が重症化しやすいため、早期の診断と治療が求められます。臨床像Capnocytophaga spp.は、動物由来であればイヌやネコなどの動物咬傷による皮膚軟部組織感染、また重篤な場合は敗血症性ショックや播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こすことがあります。一方、ヒト口腔内常在菌によるものでは、血液悪性腫瘍患者における好中球減少性発熱やカテーテル関連感染症などを来します。それぞれのリスクに応じて、これらを鑑別疾患に挙げる必要があります。薬剤感受性Capnocytophaga spp.は一般的にβ-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害薬に感受性を示します。具体的には、アンピシリン/スルバクタムやタゾバクタム/ピペラシリン、また、セフトリアキソン、カルバペネム系抗菌薬も有効です。一方で、フルオロキノロン系抗菌薬に対しては50%の耐性を示すことが報告されているため、治療選択の際には注意が必要です。上記のリスクを有する患者で動物咬傷の病歴があったり、血液悪性腫瘍患者で血液培養からグラム陰性桿菌を見たりした際には鑑別疾患の1つとしてCapnocytophaga spp.による菌血症を挙げ、治療を遅らせないことが重要です。1)Jolivet-Gougeon A, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2000;44:3186-3188.2)Butler T. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2015;34:1271-1280.3)Chesdachai S, et al. Open Forum Infect Dis. 2021;8:ofab175.

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抗菌薬、点滴か内服かを選ぶ基準は?【Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー】第7回

Q7 抗菌薬、点滴か内服かを選ぶ基準は?抗菌薬を投与する際、内服・点滴のどちらにするか悩むことがたびたびあります。 炎症数値が非常に高い場合などは点滴投与とすぐに決められますが、 微妙な数値の時などは結構迷います。

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がんサバイバーの脳卒中・心血管死リスク、大規模コホート研究で明らかに

 がんと診断された人(がんサバイバー)は、そうでない人と比較して心血管系疾患(CVD)を発症するリスクが高いことが報告されている。今回、がんサバイバーの虚血性心疾患・脳卒中による死亡リスクは、一般集団と比較して高いとする研究結果が報告された。大阪大学大学院医学系研究科神経内科学講座の権泰史氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association;JAHA」に5月15日掲載された。 近年、医療の進歩により、がん患者の生存率は大幅に向上している。しかし、その一方で、CVDが新たながんサバイバーの懸念事項として浮上している。CVDはがんサバイバーでがんに次ぐ死因であることが明らかになっており、疫学研究では、CVDによる死亡リスクが一般集団の約2倍であることも報告されている。従来の研究では、CVD全体による死亡リスクが調査されてきたが、特定のCVDに焦点を当てた研究は限られていた。そのような背景を踏まえ、筆者らは「全国がん登録(NCR)」データベースを用いて、国内のがん患者におけるCVDによる死亡リスクを調査するコホート研究を実施した。CVD全体のリスク評価に加え、虚血性心疾患、心不全、大動脈解離・大動脈瘤、虚血性脳卒中、出血性脳卒中といった特定のCVDについても解析を行った。 解析対象は、NCRデータベースに含まれる、2016年1月~2019年12月の間にがんと診断された患者とした。対象者の死因は、国際疾病分類第10版(ICD-10)に基づき、死亡診断書に記載された情報からNCRに登録されたコードを用いて特定された。がん患者と一般集団のCVD死亡リスクを比較するため、標準化死亡比(SMR)とその95%信頼区間(CI)を算出した。また、特定のCVDにおいてもがん種ごとのSMRを算出した。 本研究には397万2,603人(うち女性は45.8%)の患者が含まれ、621万2,672人年の追跡調査が行われた。CVDのSMRは2.39(95%CI 2.37~2.41)で、がん患者は一般人口集団と比較してCVD死亡リスクが2.39倍高かった。SMRは男性より女性で高くなっていた。CVD死亡リスクをがん種別にみると、全てのがん種でSMRが1.0を超えて上昇していた。SMRは非リンパ系造血器悪性腫瘍が最も高く(4.32〔95%CI 4.15~4.50〕)、前立腺がんが最も低かった(1.52〔95%CI 1.48~1.57〕)。 次にがん種ごとに特定のCVDのSMRを調べた。その結果、特定のCVDのSMRはがん種によって異なることが明らかになった。虚血性心疾患と心不全では非リンパ系造血器悪性腫瘍のSMRが最も高かった(それぞれ3.15〔95%CI 2.87~3.45〕、7.65〔95%CI 7.07~8.27〕)。虚血性脳卒中、大動脈解離・大動脈瘤、出血性脳卒中ではそれぞれ膵臓がん(5.39〔95%CI 4.79~6.05〕)、喉頭がん(3.31〔95%CI 2.29~4.79〕)、肝がん(3.75〔95%CI 3.36~4.18〕)のSMRが最も高くなっていた。 本研究の結果について著者らは、「がん患者はCVDによる死亡リスクが高く、非リンパ系造血器悪性腫瘍ではその傾向が顕著だった。また、死亡リスクは、がんの種類やCVDの種類によって大きく異なることが明らかになった。特定のがん種と心血管疾患関連の死亡率との関連性を理解することは、高リスク集団を特定し、がんサバイバーに対する長期的な管理戦略の策定に役立つだろう」と述べている。 本研究の限界点については、NCRに記載のICD-10コードはまれに不正確であること、本研究が観察研究であり、がんとCVDの因果関係を確立するできないこと、などを挙げている。

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高齢の進行古典的ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVDがBV+AVDより有用(S1826サブ解析)/JCO

 進行古典的ホジキンリンパ腫に対する1次治療としてニボルマブ(N)+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)とブレンツキシマブ ベドチン(BV)+AVDを比較した第III相S1826試験における高齢者(60歳以上)のサブセット解析で、N+AVDはBV+AVDより忍容性および有効性が高いことが示された。米国・Weill Cornell MedicineのSarah C. Rutherford氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月16日号で報告した。 第III相S1826試験は、StageIII~IVの古典的ホジキンリンパ腫と新たに診断された患者を対象に、N+AVD 6サイクルもしくはBV+AVD 6サイクルに無作為に割り付け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、安全性を比較した試験である。 今回のサブセット解析の結果は以下のとおり。・60歳以上の登録患者103例のうち、99例が適格だった。・追跡期間中央値2.1年で、N+AVD群(50例)の2年PFS率は89%、BV+AVD群(49例)の2年PFS率は64%であった(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.09~0.63、層別片側log-rank検定p=0.001)。・2年OS率はN+AVD群で96%、BV+AVD群で85%であった(HR:0.16、95%CI:0.03~0.75、層別化片側log-rank検定p=0.005)。・N+AVD群は69%、BV+AVD群は26%が減量することなく6サイクル投与され、14%がニボルマブを中止し、55%がBVを中止した。・非再発死亡率はBV+AVD群で16%、N+AVD群で6%であった。・好中球減少はN+AVD群で多かったが、発熱性好中球減少症、敗血症、感染症はBV+AVD群で多く、末梢神経障害もBV+AVD群で多かった。・主要有害事象の患者報告アウトカムでは、N+AVDがBV-AVDより毒性プロファイルが改善されていることが確認された。 著者らは、「N+AVDはBV+AVDよりも忍容性が高く効果的であったことから、アントラサイクリン系薬剤の併用療法が適応となる高齢の進行古典的ホジキンリンパ腫患者に対する新たな標準治療となる」としている。

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DVRd療法、移植適応・非適応によらず未治療多発性骨髄腫に使用可能に/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は25日、ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(商品名:ダラキューロ配合皮下注)について、医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂により「用法及び用量に関連する注意」が追加された結果、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DVRd)療法が、造血幹細胞移植(ASCT)が適応および適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対する新たな治療選択肢として使用可能になることを発表した。 ASCT適応となる未治療の多発性骨髄腫におけるDVRd療法については海外第III相PERSEUS試験で、またASCT適応とならない未治療の多発性骨髄腫におけるDVRd療法については国際共同第III相CEPHEUS試験で、有効性および安全性が評価されている。PERSEUS試験では、DVRd群はVRd群と比較し病勢進行/死亡リスクが58%低く、CEPHEUS試験では、追跡期間中央値22.3ヵ月の時点でDVRd群の微小残存病変陰性率は53.3%であった。

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CLLの1次治療、I-V併用vs.イブルチニブ単独vs.FCR/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、イブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)併用療法はイブルチニブ単独またはフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、測定可能残存病変(MRD)陰性および無増悪生存期間(PFS)延長の達成割合が高かったことが示された。英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らUK CLL Trials Groupが第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「FLAIR試験」の結果を報告した。同試験のPFSの中間解析では、MRDに基づいて投与期間を最適化するI-V併用療法はFCR療法に対する優越性が示されていたが、イブルチニブ単独と比較した有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年6月15日号掲載の報告。2年以内の骨髄MRD陰性、PFSなどを評価 FLAIR試験は英国の99病院で行われ、18~75歳、未治療のCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)で、治療担当医師によりFCR療法の適応と判定された患者を対象とした。 被験者は、I-V群、イブルチニブ単独群、FCR群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、追跡評価を受けた。 主要評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群の2年以内の骨髄MRD陰性、およびFCR群と比較したI-V群のPFSであった。 検出力のある副次評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群のPFSとした。その他の副次評価項目は全生存期間などであった。I-V群の2年以内の骨髄MRD陰性率はイブルチニブ単独群と有意差 2017年7月20日~2021年3月24日に、786例が無作為化された(I-V群260例、イブルチニブ単独群263例、FCR群263例)。被験者の人口統計学的および臨床特性は3群間でバランスが取れていた。被験者の年齢中央値は62歳(四分位範囲:56~67)、65歳以上の割合が31.4%で、男性が71.1%であった。 2年以内の骨髄MRD陰性を達成した患者は、I-V群172/260例(66.2%)に対し、イブルチニブ単独群0/263例(p<0.001)、FCR群は127/263例(48.3%)であった。 追跡期間中央値62.2ヵ月で、病勢進行または死亡の報告は、I-V群18例(6.9%)であったのに対し、イブルチニブ単独群59例(22.4%)であり(ハザード比[HR]:0.29、95%信頼区間[CI]:0.17~0.49、p<0.001)、FCR群112例(42.6%)であった(0.13、0.08~0.21、p<0.001)。5年PFS率は、I-V群93.9%、イブルチニブ単独群79.0%、FCR群58.1%だった。 死亡は、I-V群11例(4.2%)であったのに対し、イブルチニブ単独群26例(9.9%)であり(HR:0.41、95%CI:0.20~0.83)、FCR群39例(14.8%)であった(0.26、0.13~0.50)。突然死は、I-V群3例、イブルチニブ単独群8例、FCR群4例で報告された。

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