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血流感染、ピペラシリン・タゾバクタムvs.メロペネム/JAMA

 大腸菌(E.coli)または肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)に感染し、抗菌薬セフトリアキソンが無効な患者において、definitive治療としてのピペラシリン・タゾバクタムはメロペネムと比較して、30日死亡率に関する非劣性を示さなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のPatrick N. A. Harris氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年9月11日号で発表された。大腸菌や肺炎桿菌では拡張型β-ラクタマーゼが、第3世代のセファロスポリン系薬(セフトリアキソンなど)に対する耐性を媒介する。これらの菌株に起因する重大な感染症では、通常、カルバペネムによる治療が行われるが、カルバペネム耐性を選択する可能性があることから、研究グループは、ピペラシリン・タゾバクタムが、拡張型β-ラクタマーゼの産生を抑制する、有効な“カルバペネム温存”オプションとなりうる可能性があるとして検討を行った。ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性を無作為化後30日時点の全死因死亡で評価 セフトリアキソン非感受性で大腸菌または肺炎桿菌に起因する血流感染症の患者において、definitive治療としてピペラシリン・タゾバクタムのメロペネム(カルバペネム)に対する非劣性を調べる検討は、2014年2月~2017年7月に、9ヵ国26施設で入院患者を登録して行われた(非劣性並行群間比較無作為化試験)。 被験者は、大腸菌または肺炎桿菌の血液培養検査で最低限いずれかの陽性が認められ、セフトリアキソンに非感受性だが、ピペラシリン・タゾバクタムに感受性が認められる成人患者を適格とした。 スクリーニングを受けたのは1,646例。試験には391例が包含され、1対1の割合で2群に無作為化された。1群(188例)はピペラシリン・タゾバクタム4.5gを6時間ごとに、もう1群(191例)はメロペネム1gを8時間ごとに投与された。治療期間は最短4日間、最長14日間として、治療担当医が総治療期間を決定した。 主要評価項目は、無作為化後30日時点の全死因死亡であった。非劣性マージンは5%とした。ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されず 主要解析集団には、無作為化が適切で、試験薬を少なくとも1回投与された被験者379例(平均年齢66.5歳、女性47.8%)が包含された。このうち378例(99.7%)が試験を完了し、主要評価項目について評価を受けた。 30日時点の全死因死亡率は、ピペラシリン・タゾバクタム群12.3%(23/187例)であったのに対し、メロペネム群3.7%(7/191例)であった。両群間のリスク差は8.6%(片側97.5%信頼区間[CI]:-∞~14.5)で、ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されなかった(p=0.90)。有効性は、per-protocol集団で一貫して認められた。 非致死的な重大有害事象の発生の報告は、ピペラシリン・タゾバクタム群2.7%(5/188例)、メロペネム群1.6%(3/191例)であった。 結果を踏まえて著者は「所見は、今回の設定集団においてはピペラシリン・タゾバクタムの使用を支持しないものであった」とまとめている。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第59回

第59回:ASCO/NCCN合同 irAEガイドライン発刊キーワード肺がんメラノーマ免疫関連有害事象irAE動画書き起こしはこちら2月14日にASCOとNCCN共同で、免疫チェックポイント阻害剤による副作用マネジメントについてのガイドラインが出ました。JCOのほうは60ページ位あるガイドラインで、NCCNのほうは、いつもよくあるPDFのアルゴリズムに沿ったようなガイドライン、2つが同時に発表されています。基本的にフォーマットは違いますけど、言っていることは同じです。目新しいものはなかったのですけれども、読まれてみると良いと思います。あとは『Clinical Care Options』というアメリカのwebサイトですね。そういうものがあるんですけど、そこではかなりタイムリーに、たとえば発表があるとその1週間2週間後には、新しいスライドセットが、その領域のエキスパートと呼ばれる人たちの監修で報告されるんですが、そこではiPhoneとかアンドロイドで「副作用」と入れると、そのマネジメントが出てくる、というようなアプリも紹介されています。Clinical Care Optionsのwebサイトに行っていただけると、そういうアプリも見つかると思います。もうここはものすごいスピードでアップデートしているので、定期的にチェックされると、非常によくまとまって、見やすいスライドが提供されています。もちろん、ここもたくさんの製薬会社からのお金が入って維持されているのだと思いますが。Brahmer JR, et al. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline.J Clin Oncol. 2018 Feb 14. [Epub ahead of print]CLINICAL CARE OPTIONSClinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( APPストア )Clinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( Google Play )

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鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。鎌状赤血球症患者230例でL-グルタミンの有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、2010年6月~2013年12月に、鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球-β0サラセミアで、過去1年間に2回以上の疼痛発作(外来または入院期間中に、救急治療部で麻薬性鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬ケトロラクの非経口投与による治療を要する疼痛)の既往がある患者230例を登録し、医薬品グレードのL-グルタミン投与群(1回0.3g/kg体重を1日2回経口投与)とプラセボ投与群に2対1の割合で無作為に割り付け、48週間治療した。スクリーニングの少なくとも3ヵ月前から安定用量のヒドロキシ尿素を投与されていた患者は、48週間の治療期間中も継続可とした。 有効性の主要評価項目は、48週間の疼痛発作回数とし、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いてintention-to-treat解析を行った。L-グルタミンで疼痛発作が25%、入院回数が33%減少 230例(年齢5~58歳、女性53.9%)のうち、156例が試験を完遂した(L-グルタミン群152例中97例、プラセボ群78例中59例)。 疼痛発作回数中央値はL-グルタミン群3.0回、プラセボ群4.0回で、プラセボ群に比しL-グルタミン群で有意に減少した(p=0.005)。同様に入院回数中央値も、L-グルタミン群2.0回、プラセボ群3.0回で、L-グルタミン群が有意に少なかった(p=0.005)。 両群とも3分の2の患者がヒドロキシ尿素の併用投与を受けていた。プラセボ群と比較しL-グルタミン群で発現率が約5%以上高かった有害事象は、悪心、非心臓性胸痛、疲労、四肢の疼痛、背部痛であった。 なお今回の第III相試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は2017年7月に医薬品グレードのL-グルタミンについて、5歳以上の小児および成人における鎌状赤血球症による急性合併症の軽減を適応症として承認した。

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重度血小板数低下の妊婦は妊娠合併症に注意/NEJM

 米国・オクラホマ大学健康科学センターのJessica A. Reese氏らが、妊婦約7,400例の血小板数を解析した結果、調査したすべての妊婦において、妊娠経過中に平均血小板数は減少し、この減少は妊娠初期(妊娠0~13週)に始まっていたが、妊娠関連合併症を有する妊婦でさえ重度の血小板減少はまれであることが明らかになったという。著者は、「血小板数が10万/mm3未満の妊婦では、妊娠または妊娠合併症以外の原因を調べなければならない」と提言している。合併症のない妊婦で血小板数が15万/mm3未満の場合、他の原因が確認されなければ妊娠性血小板減少症とされ、妊娠中毒症などの妊娠関連合併症を有する妊婦では、血小板数がさらに低下する可能性があるが、妊娠中の血小板減少症の発現頻度や重症度については明らかになっていなかった。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。妊婦約7,400例について妊娠中の血小板数の推移を調査 研究グループは、2011~14年にオクラホマ大学医療センターで出産した女性を対象に、妊娠経過中の血小板数を評価した。また、これら妊婦の血小板数を、1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した非妊娠女性と比較した。 研究期間中の出産は計1万5,723件で、このうち7,351例の妊婦が解析対象となった。4,568例は合併症がなく、2,586例は妊娠関連合併症を有し、197例は血小板減少症に関連する疾患の既往歴があった。妊娠初期から血小板数は減少、ただし10万/mm3未満はまれ 合併症のない妊婦において、妊娠初期(平均妊娠8.7週)の平均血小板数は25.1万/mm3であり、非妊娠女性(8,885例、平均血小板数27.3万/mm3)より低かった(p<0.001)。出産時には、合併症のない妊婦の9.9%が15万/mm3未満で、合併症のない妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm3未満になった妊婦は、わずか45例(1.0%)であった。 血小板数が8万/mm3未満の合併症のない妊婦12例のうち、カルテの再調査で血小板減少の他の原因がないと確認されたのは5例(0.1%、血小板数:範囲6.2万~7.8万/mm3、中央値6.5万/mm3)のみであった。 出産時の血小板数が15万/mm3未満だったのは、妊娠関連合併症のある妊婦が、合併症のない妊婦よりも多かった(11.9% vs.9.9%、p=0.01)。妊娠関連合併症のある妊婦において、妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm3未満となったのは59例(2.3%)で、31例(1.2%)が8万/mm3未満であった。

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発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ALXN1210」、欧州で承認申請

 米国・アレクシオン ファーマシューティカルズは6月28日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬ALXN1210について、欧州医薬品庁(EMA)へ承認申請を行ったことを発表した。 PNHは、慢性かつ進行性の、生命を脅かす恐れのあるまれな消耗性の血液疾患。免疫系の構成要素である補体の機能が慢性的にコントロールできなくなることで溶血が引き起こされ、その結果、進行性の貧血、疲労、息切れなどが生じることがある。慢性溶血で最も深刻な結果は血栓症で、重要臓器の損傷によって、早期死亡に至ることもある。 ALXN1210は、終末補体カスケードのC5タンパク質を阻害することで作用する長時間作用型抗C5抗体であり、米国と欧州(EU)ではPNH患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を取得している。補体阻害薬の治療経験がないPNH患者と、エクリズマブ(商品名:ソリリス)の治療で安定していたPNH患者を対象とした第III相臨床試験において、8週間隔で静脈内投与するALXN1210は、2週間隔で静脈内投与するエクリズマブに対して非劣性を示し、すべての主要評価項目と主要な副次評価項目の数値においても、ALXN1210でより好ましい結果となったという。 また、ALXN1210は、6月19日に米国食品医薬品局(FDA)に対しても承認申請を行っており、優先審査保証の適用により、8ヵ月の迅速審査に指定されている。日本においても、今年下半期の承認申請を予定している。 なお同剤は、現在、補体阻害薬の治療経験がない非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者を対象とした、8週間隔の静脈内投与が行われる第III相臨床試験においても評価が行われている。■参考アレクシオンファーマ合同会社プレスリリース

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細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。 研究グループは、早期MF腫瘍細胞におけるCADM1の発現と、それがMFの診断マーカーとして評価されるかを調査する目的で、多施設共同後ろ向き研究を行った。 免疫組織化学染色を用いて、MFのCADM1の発現を確認した。それに加え、マイクロダイセクションにより得られたMFとISDの各標本のCADM1 mRNAの発現を比較した。 主な結果は以下のとおり。・MFは58例中55例(94.8%)がCADM1陽性であった。・ISDは50例すべてがCADM1陽性を示さなかった(p<0.0001)。・MF症例の真皮内リンパ球においてCADM1 mRNAの発現を確認したが、ISD症例では見られなかった。

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世界の健康・福祉はどこへ向かうのか?(解説:岡慎一氏)-875

 健康や福祉を維持、向上させるためにはお金がかかる。当然経済の発展とともに、健康・福祉関連の予算も増え、世界の健康・福祉は改善されてきた。Sustainable Development Goal(SDG)とは、国連に加盟するすべての国が賛同し、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、17項目の持続可能な開発の目指すべき達成目標を掲げたものである。その中で健康・福祉はSGD-3に掲げられている。 この論文は、SDGが掲げられる前の1995年から2015年までの世界188ヵ国の健康・福祉のために使われた予算の推移をまとめたものである。また、その中から世界共通の問題であるHIV/AIDSに投入された各国の予算の推移も集計している。研究論文というより、膨大な資料を盛り込んだ国連の報告書という感じである。この報告書では、それぞれの国の収入により、high-、upper-middle-、low-middle-、low-income国に分けて解析を行っている。 2015年における世界全体での1人当たり医療費は1,332 USドルであったが、high-income国の平均が5,551 USドルであったのに対し、日本は4,286 USドルと米国(9,839 USドル)の約半分であった。これに対し、日本のHIV/AIDS対策費を患者1人当たりに割り直した費用は、17,479.9 USドルと米国の2,969.3 USドルの6倍にも上る。この費用の中には、検査費用なども含まれるため、純粋な治療費ではないが、有効な予算の使い方を考える必要もあろう。 この論文の強調している点は、医療・福祉に投下された予算は、2005年頃をピークに低下傾向にあり、2030年のゴールに向けた取り組みが、HIV/AIDS対策も含め、達成困難になってきているのではないかと警鐘を鳴らしていることにある。分量といい、内容といい、重厚な論文である。

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20歳までに多いがんは「白血病」

   2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。 これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。1年間にがんと診断される予想症例数は20歳までで約3,000例・小児がん(0~14歳)の罹患率は12.3(人口10万人当たり)で、AYA世代では、15~19歳14.2、20代31.1、30代91.1(人口10万人当たり)だった。・罹患率を総人口に当てはめると、1年間にがんと診断される症例数は、小児(0~14歳)で約2,100例、15~19歳で約900例、20代で約4,200例、30代で約1万6,300例と推計された。*集計データ 2009~11年に精度基準を満たした27府県を使用(人口カバー率36.8%)20歳までで罹患率が高いがん種は白血病 世代別の罹患率が高いがん種の順位は下記のとおり([ ]内は全がんに占める割合)。・0~14歳(小児): 第1位 白血病[38%]、第2位 脳腫瘍[16%]、第3位 リンパ腫[9%]・15~19歳: 第1位 白血病[24%]、第2位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[17%]、第3位 リンパ腫[13%]・20~29歳: 第1位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[16%]、第2位 甲状腺がん[12%]、第3位 白血病[11%]・30~39歳: 第1位 女性乳がん[22%]、第2位 子宮頸がん[13%]、第3位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[8%]*1 国際小児がん分類 第3版のグループに基づく悪性腫瘍の順位(ただし「その他のがん」は部位で分類)*2 いずれのがん種も悪性腫瘍のみ

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第61回

第61回:ALK-TKIの使い分け、irAEへのステロイド長期使用(視聴者からの質問)キーワード肺がんメラノーマALK-TKIアレクチニブirAE動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。今日はこのプログラムを見てくださっている方からの質問があるので、お答えしたいと思います。1つ目はALKインヒビターをどのように使っているか、ということなんですけども、J-ALEX、Global ALEX study両方で、アレクチニブのPFSの結果がでたので、アレクチニブを1stラインに使うことが多くなっています。ただ、アレクチニブが効かなくなったときはどうするのかということで、リキッドバイオプシーを使って研究を進めるという話を聞いたことあるんですけど、そこに使われるGUARDANTという会社のキット、ALKインヒビター耐性のさまざまなミューテーションについて結果を出してくるので、それを使うことが多くなっています。リキッド・バイオプシーのメリットとしては、病気が進行したときに、繰り返しできる…やはりティシュー・バイオプシーに比べるとやりやすいということなんですけど、ただコストがかかるので、日本では1回の診断につき1回のみと聞いたことがありますが、アメリカでもそれを何回まで許すか、どこまで保険会社が払ってくれるかというのは、まだはっきりしてないようです。数年前にAlice Shaw先生というMGH(Massachusetts General Hospital)の先生が出した論文でも、そういうものを使うことで、kinaseインヒビターをリサイクルできるということがあったので、刻々と変わってく可能性があるものを追跡するというのは、学問的には非常に興味のあるところです。ただ、耐性のミューテーションに対して、この薬が効くとか効かないとか、今一覧表みたいなものが出てるんですけれども、必ずしもそれでは一概には言えないようなこともあるのでそれがまだ難しいところですね。ローラチニブという薬が今、compassionate use、まだFDAには認可されてないけども、そういう特殊なミューテーションがあった場合にはFDAに手紙を書くことで、使うことが許可されるというような状況になっています。効果があることがわかっている薬を、少しでも早く患者さんに届けようというところでしょうか。実際、イピリムマブでも認可数ヵ月前から使いましたし、キイトルーダもそういう状況にありました。もう1つの質問はirAEですね。Immune relaed adverse eventに対してステロイドを長期に使用することがあるかもしれないですけど、どういったところに注意をするかというご質問をいただいたんですけど、ほとんどのirAEのステロイドというのは、僕の印象では9割5分以上は結局中止できるんですけども、確かに中には多発性筋痛症のような感じの方で、5mgとか10mg程度のプレドニゾロンを長く使われている方はいます。何回も7.5とか5とかにテーパリンしようとすると痛みが強くなって日常生活に支障を来たす方はおられますね。そういう方には、骨粗鬆症も考えてビタミンDとカルシウムを飲んでもらったりしてるんですが、それも実際どの程度効果があるのか、わからないところは多いです。あと、やはりホルモン補充…たとえば甲状腺ホルモンとか、副腎不全になってステロイドの補充が必要という人は、ほとんどの場合、長く補充することが必要なようです。2月24日に、NCCNとASCOの共同のirAEに対するガイドラインが出たことは、以前も紹介させていただいたと思うんですけれども。流れとしては昔に乗り比べると、ステロイドから早めにインフリキシマブなどを使うことが多くなってきている印象はあります。抗炎症薬も、新しいものが出てきているので、消化器の先生と一緒に診ながら、新しいインフリキシマブではない抗炎症薬を使っている患者も数人います。この間アジュバントのニボルマブが認可になったんですけれども、クローン病をアクティブに治療されてる方が、StageIIIのメラノーマで来られて、その方は今ニボルマブとクローン病に対するmab(monoclonal antibody)を併用しながら治療しています。どういう結果になるかは、まだわからないですけれど、StageIVに関しては、自己免疫疾患に対するmabを使いながら、メラノーマに対するmabを使っても抗腫瘍効果があったという報告が、ケースレポートレベルでは出ています。大きな臨床試験グループ、ALLIANCEなどではそういう自己免疫疾患がある患者に対する、抗PD-1抗体あるいは抗PD-L1抗体を使うことに対する臨床試験(正確にデータを取ろうということなんですけど)そういう臨床試験も始まるようです。ハーバードとかスローンケタリングになると、たとえば消化器の先生でもirAEのcolitisといった消化器症状を専門にした、若手の研究者の方がたくさん出てきて(います)。そういうことで臨床の知見、経験値は上がってくるものだと考えています。アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJMShaw AT,et al.Resensitization to Crizotinib by the Lorlatinib ALK Resistance Mutation L1198F.N Engl J Med.2016;374:54-61

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第60回

第60回:Game Changerとなるか?最近の免疫治療データ:NEJM、AACRよりキーワード肺がんメラノーマKEYNOTE-054KEYNOTE-189KEYNOTE-042CheckMate-227肺がんネオアジュバント動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.毎年大きな発表というと、ASCOということだったんですけど、最近すごく分散されてESMOヨーロッパでもgame changing の発表があったり…AACRというのは、研究寄りと思われてたのですけど…今年はAACRでもPractice Changing臨床が変わるような試験がいくつか報告されています。1つはメラノーマのStageIIIに対するペムブロリズマムの結果が報告されたこと、(そして)KEYNOTE-189ですね(これはウォールストリートジャーナルなどにも載りました)。PhaseIIでFDAには認可されていたんですが、その確認で、PhaseIIIでも同様な効果が得られたことが報告されています。(非小細胞肺がんの)1stラインで、カルボラチン・ペメトレキセド・ペムプロリズムの併用が、カルボプラチン・ペメトレキセドの併用に勝っていたと。これはPD-L1発現に関わらず良かったということですね。ただ、よくあるというか当たり前だと思うんですけど、median survival(OS)が12ヵ月、1年生存率が5割くらいと言われていたStageIV肺がんに対し、PhaseIIの時はmedian Progression Free Survival(PFS)が13ヵ月と1年を超えたので、これは実際どんな結果になるかと思ったんですけど、PhaseIIIで蓋を開けてみるとPFSは8.8ヵ月、9ヵ月弱ですね…それでもかなり画期的なんですけど…そういう結果が出ました。PhaseIIでのresponse rateは5割5分とか6割弱だったと思うのですが、それも49%…50%弱とこなれてきた印象あります。ここでcontrol armが、ちょっと興味深いんですけど、カルボ・アリムタのresponse rateが、実は2割を切るぐらいです。従来は3~4割、4割5分というStudyもあったのですが、これ(この試験)に関しては、control groupはかなり低かったですね。ただ、randomizedのcontrol trialでblindedな試験なので、この結果を(信頼して)…カルボ・ペム・ペムの副作用は2剤、単剤より多いですが、効果は高いということです。またASCOで報告したいと思うんですけども、ASCOでKEYNOTE-042、PD-L1発現1%以上の群に(対する)、Chemo vs ペムブロリズマブの結果がPlenary Sessionで報告されるようです。(これも多分Game Changerになると思うのですが)PD-L1の発現率は今、22c3という抗体を使った場合、1%未満になるのが3分の1、1~49%に収まるのが3分の1、50%以上が3分の1と言われています。ペムブロリズマブは50%以上の群に関しては1stラインでは認可になっています(ので)、もし1~49%も1stラインでペムブロリズマブ単剤のほうがChemoより良い、という結果が報告されると、non squamous、squamous含めStageIVの肺がん患者の3分の2は、ペムブロリズマブから始めたほうが良いということになる可能性もあります。カルボ・ペム・ペムであればPD-L1発現関係なしに使えるので、どういうPSの患者さんにはペムブロリズマブ単剤を使ったほうが良いのか、どういう患者さんであれば、カルボプラチン・ペメトレキセド・ペムブロリズマブの3剤併用を使ったほうが良いのか、バイオマーカーも含めて注意深く報告を見守ってみたいと思います。<KEYNOTE-189を含め、数本の免疫CP薬の記事がNEJMに同時掲載されました>resectableな肺がんに対して、ニボルマブのネオ・アジュバントの結果が報告されています。50%ぐらいにmajor tumor responseがあったと、確か11例ぐらいだと思うんですけど、20例resectionして、その半分近くにtumor responseがあったという、ネオ・アジュバントの小さなStudyですが報告が、まったく同じ時のNew England Journalに載りました。もう1つはtumor mutation burdenですね。これはどこの検査を使うのか、いくつのgeneを調べるのか、カットオフ値をどうするのか、まだまったくコンセンサスが出てなくて、議論の分かれるところですけども、1メガベースに10個以上のmutationがある患者さんに対して、イピリムマブとニボルマブを併用することで効果があった、という報告がNew England Journalの同じ号に出ています。1つの号にKEYNOTE-189、ニボルマブのネオ・アジュバント、そしてtumor mutation burdenを使ったイピ・ニボの効果という報告がありました。高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験(KEYNOTE-054)/NEJMNSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験(KEYNOTE-189)/NEJMペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)早期NSCLC、ニボルマブによるネオアジュバントが有望/NEJMニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長(CheckMate-227)/NEJM

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第57回

第57回:チェックポイント阻害薬に対する過剰期待とその対処キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.腎がんに対する免疫チェックポイント阻害薬について、Practice Changingになり得る(という)報告をしました。僕もかなり興奮してお伝えしたように、Complete Responseが9%にみられるということなんですけども、あくまでまだ9%なんですね。こういうふうに、医療者側は、High Expectation(非常に高い期待値)を持って使う、患者さん側のほうもテレビで、ニボルマブあるいはペムブロリズマブのコマーシャルが、どんどん流れてます(このように、非常に高い期待値を持っています)。もう2年前になると思うのですけれども、カーター元大統領が、ペムブロリズマブを使うことで、メラノーマの脳転移、肝転移の(ある)状況で、現在もがんがコントロールされていると。先週もテレビの記者会見に出ておられたみたいで、みんな「昨日カーター大統領でてたね」と、翌日には話題になっていました。そういうふうにして、医療者側も患者さん家族側も、非常に期待が高い中で、効かなかった時にどうすれば良いか、そういうことについてわれわれは準備ができてないのではないかと、あのJennifer Temel先生から、今回もJCOに警鐘を投げかける論文が出ています。うちのジャーナルクラブでも読みましたし、これ非常に面白かったので、緩和医療の同僚だとか、フェローあるいは看護師さんにも共有して、こういうことに僕らも配慮しなきゃ、という話をしたところです。お時間があればぜひ読んでみてください。自分もかなりHigh Expectationで、CRが9%と報告したしてしまったんですけども、そこら辺は自分をうまくコントロールしないといけないのかなと思います。でも実は先週、2例も非常に効いた症例があって、脳転移、肝転移、両側副腎転移、骨転移もある患者さんが、カルボプラチンとペメトレキセド、ペムブロリズマブの治療で…現在はペメトレキセドとペムブロリズマブのメンテナンスしてるんですけど…10ヵ月たった時点のペットCTで、画像上の病変はどこにも認められませんでした。脳転移のほうも全脳照射後なんですけど、病気の進行が見られないと。今までこういうことはみたことなかったので、放射線診断医のほうから、「ケイスケ、この人にどういう治療をしたんだ」というような、かなり興奮した電話がかかってきました。そういった、ExpectationとReality、このバランスをうまく使えるようになりたいと思います。Temel JS, et al. J Clin Oncol. Keeping Expectations in Check With Immune Checkpoint Inhibitors.2018 Jan 25.[Epub ahead of print]

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日本未承認の抗がん剤は65剤、月1千万円超の薬剤も:国立がん研究センター

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)先進医療・費用対効果評価室(室長:藤原 康弘)は2018年4月23日、2015年4月から公開している「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」の最新集計結果(2018年4月4日現在)を公開した。 同リストは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が承認した医薬品のうち、がん領域において日本では未承認あるいは適応外の医薬品と、その1ヵ月当たりの薬剤費を試算したもの。これまで四半期ごとに更新している。【集計結果のポイント】 ・2018年4月時点で、FDA / EMA既承認、日本未承認の抗がん剤はのべ65剤(55薬剤、65適応症)。うち、FDAのブレークスルー・セラピーに指定されている抗がん剤は18剤であった。・適応症の内訳は、血液がん30剤、泌尿器がん(前立腺がんなど)11剤、乳がん5剤、皮膚がん(悪性黒色腫など)4剤、骨軟部腫瘍(肉腫)3剤、肺がん(非小細胞肺がん)3剤、卵巣がん2剤、小児がん2剤が主なものであった。5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんあるいは子宮がん)のうち、上記の乳がん、肺がん以外のがんでは未承認薬はなかった。・血液がんに対する未承認薬では、新投与経路医薬品や新剤形医薬品などの、同一の有効成分がすでに国内で承認されている抗がん剤が7剤あった。これらを除く新有効成分含有医薬品は、23剤だった。FDA既承認の新有効成分含有医薬品20剤中、2015年以降に承認された抗がん剤は12剤あり、うち8剤は国内での開発が進められている。・泌尿器がんに対する未承認薬では、FDA既承認の8剤中2015年以降に承認された5剤は、いずれも国内での開発が進められている。・日本未承認の65剤の抗がん剤のうち、薬剤費が判明している58剤中45剤において1ヵ月当たりの薬剤費が100万円以上であった。また、1ヵ月当たりの薬剤費が1千万円を超える抗がん剤は3剤で、血液領域のCAR-T細胞療法が2剤、骨軟部腫瘍(肉腫)の免疫賦活薬が1剤だった。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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国内初となるCAR-T細胞医療CTL019を承認申請/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は、2018年4月23日、2つの適応について、キメラ抗原受容体T細胞医療(CAR-T細胞医療)であるCTL019(国際一般名:tisagenlecleucel)の再生医療等製品製造販売承認申請を行った。今回の申請は、小児を含む25歳以下のCD19陽性再発又は難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および成人のCD19陽性再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療を対象としている。本申請は日本国内における初めてのCAR-T細胞医療の製造販売承認申請となる。 今回の承認申請は、ペンシルベニア大学と協働で行われているノバルティスの国際多施設共同第II相ELIANA試験およびJULIET試験に基づいて行われた。 CTL019は、昨年8月、小児を含む25歳以下の再発・難治性ALLを適応症として、初めてFDA承認を取得したCAR-T細胞医療であり、ノバルティスは同年10月に2つ目の適応症である成人のDLBCLに対する承認申請を行った。また、昨年11月、ノバルティスは欧州において、小児・若年成人のALLおよび成人のDLBCLに対する販売承認申請をEMAに提出した。今回、日本での承認申請は、米国、欧州に続くものとなる。 なお、CTL019は2016年5月、日本国内において、CD19陽性B細胞性急性リンパ芽球性白血病、CD19陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、CD19陽性濾胞性リンパ腫の適応に対して、希少疾病用再生医療等製品の指定を受けている。■参考CAR-T療法、難治性・再発B細胞性ALLに承認/FDA

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POEMS(クロウ-深瀬)症候群

1 疾患概要■ 概念・定義POEMS症候群の名称は、polyneuropathy、organomegaly、endocrinopathy、M-protein、skin changeの頭文字に由来する。「クロウ-深瀬症候群」、「高月病」とも呼ばれる。名称のとおり、多発ニューロパチーを中核症状とし、肝脾腫などの臓器腫大、内分泌異常、皮膚変化(色素沈着、剛毛、血管腫など)という多彩な症状を呈し、M蛋白を伴う全身性の疾患である。症状は多彩であるが、その病態基盤は形質細胞異常(plasma cell dyscrasia)とサイトカインである血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の上昇であると考えられている。多発ニューロパチーが中核症状となることが多い一方で、plasma cell dyscrasia由来の疾患でもあり、神経内科または血液内科で診療することが多い。2015年1月に、新規に指定難病の1つとなった。■ 疫学わが国で行われた2003年の全国調査に基づく推定有病率は、10万人当たり0.3人であり、いわゆる希少疾病である。しかし、その多彩な症状ゆえに、診断が困難な例も少なくなく、実際の有病率はもう少し高い可能性がある。平均発症年齢は50代であるが、30代の発症もまれではない。男性に多い。■ 病因上述のごとく、POEMS症候群の病態の中心はplasma cell dyscrasiaとVEGFの上昇であると推定されている。VEGFは血管新生作用以外に強い血管透過性亢進作用を持ち、本症候群で特徴的に認められる浮腫、胸腹水などの所見とよく合致する。しかし、plasma cell dyscrasiaとVEGF上昇がどのように関連するかについては、現時点では不明である。また、多発ニューロパチー、内分泌異常、皮膚異常などの症状が生じるメカニズムについても明確になっていない。VEGF上昇とともに、TNFα、IL6、IL-12を含む複数の炎症性サイトカインの上昇も確認されており、複雑な病態に関与している可能性が高い。■ 症状POEMS症候群で認められる臨床症状として頻度が高いのは、多発ニューロパチー、浮腫、皮膚変化、リンパ節腫脹、女性化乳房である。典型的な多発ニューロパチーは、下肢優位の四肢遠位のしびれと筋力低下を呈する。重症度は症例により異なり、アキレス腱反射の低下のみの症例から重度の四肢麻痺の症例まで存在する。また、数ヵ月の経過で、歩行に介助が必要になるまで進行する例が多い。通常、浮腫は下腿以遠に目立つ。進行例では、明確な圧痕を残すほど顕著となり、腹部、上肢、顔面にも浮腫が出現する。皮膚変化は、色素沈着、剛毛の頻度が高い。色素沈着は独特のやや赤味を帯びた褐色を呈する(図)。剛毛は前腕や下腿に目立つ。画像を拡大する■ 予後POEMS症候群の機能・生命予後は、適切な治療が行われない場合、不良である。機能予後は、多発ニューロパチーの重症度に依存する。無治療では過半数の症例が、発症1年以内に杖歩行となる。また、1980年代は適切な治療が行われなかったため、平均生存期間は33ヵ月と報告されている。近年、疾患の認知度向上による診断技術の向上、ならびに骨髄腫治療の本症候群への応用による治療の進歩で、予後は大幅に改善しつつある。しかし、急速な悪化を認めうる疾患であり、また多臓器障害が生じることも少なくないので、治療方針検討や経過観察には、慎重を期す必要がある。低アルブミン血症、初回治療への反応性不良、高齢(50歳以上)、肺高血圧、胸水、腎機能障害などが、予後不良因子として挙げられている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)POEMS症候群の診断は診断基準に基づいて行われる。しかし、類似の診断基準が複数あり、いずれも感度・特異度について検討されていないのが、現在の問題点である。国際的に最も代表的な基準は、2012年のCochrane database systematic reviewで採用されているものである。しかし、わが国では、下表の診断基準が指定難病の認定に使用されている。本診断基準の特徴は、単クローン性形質細胞増殖が検出できない例であっても、積極的に診断できる点において優れている。そのため、日常診療で運用する上では、下表の診断基準を用いる方が、診断感度も高く、利便性にも優れる。表 POEMS症候群の診断基準●大基準多発ニューロパチー血清VEGF上昇(1,000 pg/mL以上)M蛋白(血清または尿中M蛋白陽性 [免疫固定法により確認] )●小基準骨硬化性病変、キャッスルマン病、臓器腫大、浮腫、胸水、腹水、心嚢水、内分泌異常*(副腎、甲状腺、下垂体、性腺、副甲状腺、膵臓機能)、皮膚異常(色素沈着、剛毛、血管腫、チアノーゼ、爪床蒼白)、乳頭浮腫、血小板増多(1)Definite:大基準3つ+小基準 少なくとも1つ(2)Probable:大基準2つ+小基準 少なくとも1つ*糖尿病と甲状腺機能異常は有病率が高いため、これのみでは本基準を満たさない。引用: Misawa S, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:318-325.以下に、検査、診断に際しての注意点を列記する。1)多発ニューロパチー明確な自覚症状を認めない場合もあり、神経伝導検査によるニューロパチーの有無の検索と性状の確認は必須である。原則は、本症候群のニューロパチーの性状は脱髄と二次的軸索変性である。非常に軽症例では、ごくわずかの異常しか認められない場合もある。2)単クローン性の形質細胞増殖血液・尿のM蛋白のスクリーニングにより、大部分の症例では検出可能である。しかし、POEMS症候群ではM蛋白の量は非常に微量のため、免疫固定法による確認が必須である。M蛋白のサブクラスの多くはIgGまたはIgAのλ型である。3)VEGF外注検査会社で測定可能である。VEGF値の測定は、診断確定、治療効果判定に非常に有用であるが、現時点では保険適用にないことが大きな問題点である。血清・血漿のいずれで測定すべきかの結論は出ていない。しかし、指定難病の認定は血清で行われている。外注検査会社に「血清で測定」の指示にて依頼する。4)骨病変硬化性変化が一般的である。しかし、溶骨性変化や混合性変化を認めることもある。胸腹水の検索目的で施行した胸腹骨盤部のCT検査の骨条件で胸骨、椎体、骨盤などの硬化性病変をスクリーニングすることが可能である。さらに精査を進める際には、PET検査が有用である。5)内分泌障害性腺機能異常、甲状腺機能異常、耐糖能異常、副腎機能異常などの頻度が高い。スクリーニング検査として、LH・FSH・E2(エストラジオール)・テストステロン・TSH・FT3・FT4・血糖・インスリン・ACTH・コルチゾールなどの検査を行う。鑑別診断として問題となりやすいのは、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy:CIDP)、ALアミロイドーシスである。POEMS症候群の進行例では、浮腫・皮膚障害をはじめ、多彩な典型的症状を伴うため、鑑別が問題となることは少ない。しかし、発症初期で臨床症状や検査所見が揃わない場合には、ニューロパチーの臨床および神経伝導検査所見を詳細に比較することにより、鑑別が可能となる。CIDPの典型例の臨床症状は、左右対称性のしびれと近位筋を含む筋力低下であり、四肢遠位優位のしびれと筋力低下を呈するPOEMS症候群とは臨床症状が異なる。しかし、CIDP、POEMS症候群とも、神経伝導検査は脱髄所見を示すこと、CIDPのほうが有病率・認知度ともに高いことが影響し、POEMS症候群がCIDPと初期診断される確率は高い。典型的CIDPの多くの症例では、ステロイド、免疫グロブリン、血漿交換などの治療に反応する。したがって、治療抵抗例では診断の再考が必要な場合がある。ALアミロイドーシスは、POEMS症候群と同様、四肢遠位優位のしびれと筋力低下を呈する。しかし、神経伝導検査では軸索変性所見を呈するため、POEMS症候群とは異なる。その他、大量の胸水や腹水単独で発症する例もあり、原因が特定できない場合には、本症候群を鑑別疾患の1つとして挙げることも考慮する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)POEMS症候群の症状は多彩であるが、治療のターゲットはplasma cell dyscrasiaである。そのため、近年は骨髄腫の治療法が本症候群に応用されている。治療方針の原則は、若年者では自家移植、高齢者では免疫調整薬が第1選択とされてきた。移植適応年齢の上限は、65歳から70歳へと、近年引き上げられつつある。自家移植に伴う関連死や再発のリスクが明確になりつつあることを考慮すると、若年軽症例、とくに30代の患者では、リスクとベネフィットおよび長期にわたる疾患コントロールの観点から、移植が第1選択とは必ずしもいい切れなくなってきている。そのような症例では、免疫調整薬が第1選択となる可能性がある。以下に、現在有効であると考えられている治療法について概説する。しかし、いずれも保険適用がないのが、問題点となっている。■ 自己末梢血幹細胞を伴う高用量化学療法通常、骨髄腫とほぼ同様の方法で行われている。自己末梢血幹細胞採取は、顆粒球コロニー刺激因子単独またはシクロホスファミド(商品名:エンドキサン)併用で行われる。続いて、高用量のメルファラン(同:アルケラン)による前処置後に幹細胞移植が行われる。最近では、移植前にサリドマイド(同:サレド)、レナリドミド(同:レブラミド)やボルテゾミブ(同:ベルケイド)などの前治療を行い、病勢をコントロールしてから、自家移植へ進むこともある。移植後、VEGF値は約1~3ヵ月で速やかに低下し、引き続き臨床症状全般の改善が生じる。移植後の再発に関する報告も増えつつあり、無増悪生存率は1年で98%、5年で75%とされる。再発後の治療の選択肢としては再移植、サリドマイドなどの免疫調整薬などが選択されることが多い。■ 免疫調整薬現時点における免疫調整薬の選択肢は、サリドマイド、レナリドミドである。サリドマイド、レナリドミドとも、やはり骨髄腫と同様の用法・用量で使用されており、デキサメタゾン(同:レナデックス、デカドロンなど)が通常併用される。ポマリドミド(同:ポマリスト)は、レナリドミドの次に開発された免疫調整薬であるが、本症候群への使用の報告はまだない。サリドマイドは、本症候群における有効性が、プラセボ対照二重盲検ランダム化群間比較試験で、唯一示されている薬剤である。前記試験は、わが国において医師主導治験として実施されており、適用取得に向けて準備中である。レナリドミドについても、単群オープン試験が報告されており、やはり有効性が示されている。副作用として、サリドマイドでは徐脈、末梢神経障害などに、レナリドミドでは骨髄抑制に、とくに注意が必要である。若年軽症例では、現時点では自家移植ではなく免疫調整薬を選択しても、将来的には自家移植の適応となる可能性がある。その際には、レナリドミドの長期使用により、幹細胞採取が困難となる可能性があるため、長期的な展望の下に、薬剤の選択と治療期間の検討を行う必要がある。■ プロテアソーム阻害薬骨髄腫治療薬として主要な位置付けとなっているプロテアソーム阻害薬も、POEMS症候群に有効な可能性がある。本症候群においては、ボルテゾミブの有効性についての症例報告が集積されつつある。臨床試験の報告はない。カルフィルゾミブ(同:カイプロリス)については、1例の報告のみで、神経症状の安定化が認められたとされる。イキサゾミブ(同:ニンラーロ)については、現在、米国で臨床試験が進行中である。用法・用量は、骨髄腫と同様に使用されることが多い。しかし、プロテアソーム阻害薬の注意すべき副作用として、末梢神経障害がある。そのため、投与中は末梢神経障害の発現に注意しつつ、投与間隔の延長や治療の中断を考慮する。ボルテゾミブに関しての報告が最も多く、効果の発現が免疫調整薬と比較し、速やかな可能性がある。亜急性進行を示す例において、選択肢の1つとなる可能性がある。4 今後の展望現在、骨髄腫治療薬は、早いスピードで開発が進んでいる。これまでの免疫調整薬・プロテアソーム阻害薬の本症候群における有効性を鑑みると、新規薬もおそらく有効である可能性が高い。そのため、本症候群に応用できる選択肢が、今後も引き続き増加することが予測される。現時点では、本症候群における新規治療の試みは、希少かつ重篤な疾患であるがゆえに、1~数例の報告が主体である。しかし、サリドマイドの本症候群への適応拡大のために行われたランダム化群間比較試験のように、今後は適切な臨床試験を可能な限り行い、エビデンスを積み重ね、治療戦略を構築する試みを継続すべきである。治療の進歩に伴い、本症候群の認知度は確実に向上しており、早期診断・治療の加速により、予後は明らかに改善しつつある。また、稀少疾病の新規治療開発を加速させる手段の1つとして、本症候群の症例登録システムも構築されている。全国に散在している症例の情報を集積し、新規治療の有効性や予後について明らかにすることが目的である。さらに、未来の新規治療薬の臨床試験においては、適応となりうる患者に迅速に情報を届けることも、もう1つの主要な目的である。一方で、診断・病勢のマーカーとなるVEGF測定や有効とされる新規治療が、いまだ1つも保険適用とされていないことが、すべての患者さんが、いずれの医療機関でも標準的な診療を受けることへの大きな障壁となっている。このような問題点に関しても、今後の解決が期待される。5 主たる診療科神経内科または血液内科 ※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター クロウ・深瀬症候群(一般利用者と医療者向けのまとまった情報)千葉大学大学院医学研究院 神経内科学 J-POST trial(医療者向けのまとまった情報)千葉大学大学院医学研究院 神経内科学 患者登録システム(一般利用者と医療者向けの症例登録の窓口)患者会情報POEMS症候群 サポートグループ(本症の患者および家族の会)1)Kuwabara S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;6:CD006828.2)Misawa S, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:318-325.3)Dispenzieri A. Am J Hematol. 2014;89:214-223.4)Misawa S, et al. Lancet Neurol. 2016;15:1129-1137.5)Jaccard A. Hematol Oncol Clin North Am. 2018;32:141-151.6)Nozza A, et al. Br J Haematol. 2017;179:748-755.7)Mitsutake A, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018.[Epub ahead of print]公開履歴初回2015年07月28日更新2018年04月24日

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第58回

第58回:肺がんのEGFR-TKI、1次治療選択は何?(視聴者からの質問)キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.視聴者からの質問1「肺がんEGFR-TKI、1次治療は何?」薬剤師さんからご質問をいただいたとのことです。昨年のESMOでオシメルチニブ vs. エルロチニブの1stラインの臨床試験がEGFR陽性肺がんに対して行われました。そこで、PFSが17ヵ月と非常に大きな延長認めたんのすが、アメリカではまだオシメルチニブの1stラインの認可はとれていません。(FDAは2018年4月18日、オシメルチニブの1stラインを認可しました。このビデオは、その前に撮影したものです)ただ、なかには副作用でアファチニブが使えなかったとか、あるいはタルセバを使い出したけど、副作用が強かったという人は、比較的早期にスイッチするような形になってきています。実臨床では、T790Mを証明しなくてもスイッチするようなことが起こってきています。ただ、実際どうなるかというのは、まだわからないですよね。よく僕らが言うのは、Big Gunを先に使う方が良いのか、先にアファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブを使って、進行してT790Mがある患者、あるいはT790Mがなくても進行した患者に、オシメルチニブを使うほうが良いのか?臨床試験をしないことには結局のところ分からないのですが…僕が興味あるのはオシメルチニブを1stラインで使った患者さんで再発が起こった場合に、どのような治療行われて、どのようなレスポンスであったかということ。まだ発表はされていないようですけれども、興味がありますね。視聴者からの質問2「ALKインヒビターの使い分けは?」ALKインヒビターでは、アレクチニブが、Global ALEX study…日本ではJ-ALEX…クリゾチニブに比べて画期的にPFSを伸ばすということで、アメリカでは認可になっています。それで、ものすごいマーケティング攻勢があって、自宅にも病院のオフィスにも送られてくるいろいろな雑誌があるんですけども、その雑誌の中に袋とじで入ってくることが多いです。ビニール袋の中に、このような販促のパンフレットが入っています。厚紙で非常にしっかりしてるのですが、これを見ると「Alencensa is FDA approved for first-line treatment on ALK positive metastatic non-small cell lung cancer」と。ここには「Category 1 reffered NCCN」NCCNで奨められていると。非常に丁寧でわかりやすいですが、少なくとも、もう10通ぐらい、このような同じものをもらっています。こういうふうに、一度FDAの認可があると、マーケティング攻勢がかけられるという状況です。僕からすると、こういうところに使うお金があったら、ほかのところに使ったほうが、いいんじゃないかな?と思うんですけれども、製薬会社の担当の方に言わせると、こういうOpportunityがあるのに、それを知らないのは、患者さんにとって不利益だと。だから、そういうことがないように、多くの人に知ってもらいたいんだ、といったことを言われます。同じように、PACIFIC trialの結果で、durvalumabがStageIIIの肺がんで化学放射線療法終了後に1年consolidationのような形で使われることが、認可になったのですけど、それもいろいろな販売促進のアピールがなされています。ここら辺が、オプジーボとかキイトルーダのTVコマーシャルが普通に送られてるアメリカと日本の違いだと思います。

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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、新たな遺伝子サブグループを同定/NEJM

 米国・国立衛生研究所のRoland Schmitzらは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の腫瘍組織の遺伝子解析を行い、遺伝子型、エピジェネティックおよび臨床像の異なる4つの遺伝子サブタイプを同定した。著者は、「DLBCLのプレシジョン・メディシンを可能にする疾病分類を提供するものである」とまとめている。DLBCLは、表現型的にも遺伝学的にも不均一であるが、遺伝子発現プロファイリングにより、化学療法や分子標的薬への反応の違いに関わる起始細胞に基づくサブグループ(活性型B細胞型[ABC]、胚中心B細胞型[GCB]、未分類)が同定されている。研究グループは、共通する遺伝子異常に基づく遺伝子サブタイプを同定することで、腫瘍遺伝学に基づいたDLBCLの治療脆弱性を明らかにすることを試みた。NEJM誌2018年4月12日号掲載の報告。ハイブリッド手法を用いて遺伝子変異の特徴を解析 研究グループは、574例のDLBCL新鮮凍結検体(生検検体、96.5%は治療前)について、エクソームシークエンス解析、トランスクリプトームシークエンス解析、マイクロアレイによるDNAコピー数解析、372遺伝子のアンプリコンディープリシークエンス解析を行い、同時発生の遺伝子変化に基づき遺伝子サブタイプを発見するアルゴリズムを開発し検証した。MCD、BN2、N1、EZBの4つの遺伝子サブタイプを同定 解析の結果、DLBCLに顕著な遺伝子サブタイプ4つが同定され、MCD(MYD88L265P変異とCD79B変異)、BN2(BCL6融合とNOTCH2変異)、N1(NOTCH1変異)、EZB(EZH2変異とBCL2転座)と名付けられた。これらは、複数の遺伝子に異常が発生している点で、他のDLBCLと異なっている。また、これらは、遺伝子発現特性と免疫化学療法への反応の違いによって表現型が異なり、BN2とEZBは生存が良好で、MCDとN1は予後不良であった。 遺伝子経路の解析により、MCDとBN2は、阻害薬に反応しやすい「慢性活動性」のB細胞受容体シグナル伝達に依存することが示唆された。 著者は、「今回の解析には臨床データを使用しておらず、これら4つの遺伝子サブタイプと治療反応の関連性を評価することが重要である」と述べている。

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