ブリナツモマブはALL再発・難治例に有効か

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ブリナツモマブはALL再発・難治例に有効かのイメージ

 世界初の二重特異性T細胞誘導抗体による免疫療法が、移植を待ち望んでいる急性リンパ性白血病患者に救いの手を差し伸べる。12月10日、「急性リンパ性白血病の治療戦略と新たな免疫療法の役割」と題して、小林 幸夫氏(国際医療福祉大学三田病院悪性リンパ腫・血液腫瘍センター副センター長)、堀部 敬三氏(名古屋医療センター臨床研究センター長小児科部長)による講演が開催された(主催:アステラス・アムジェン・バイオファーマ)。

移植への橋渡しとなる薬
 日本における成人急性リンパ性白血病(ALL)の発症率は10万人に1人程度であり、年間約1,000人が発症していると推測される。長期生存率は、小児での約80%に対し、15~35%と言われており、圧倒的に低く、再発患者は多い。

 ALLの再発時の治療法の1つに同種移植があり、移植可能な年齢の患者では、なんらかの抗がん剤治療で寛解導入に成功、ドナーが見つかり、移植(血縁一致、非血縁いずれも含む)ができさえすれば、ある程度の長期生存が得られる。しかし、現在は「再発後の確立した抗がん剤治療がなく、再寛解状態を維持して移植可能な状態まで確実に導ける薬剤はない」と、小林氏は再発時の現況についてコメント。新たに登場したブリナツモマブ(商品名:ビーリンサイト)は、このような現況を打破し、移植の橋渡しを担う薬剤となるのか。同氏は国内外の臨床試験の結果を提示した。

 海外第III相比較対照臨床試験(TOWER study)は、成人の再発または難治性のPh陰性B細胞性ALL患者を対象に、ブリナツモマブ単剤群と標準化学療法群(FLAG、大量Ara-C療法など)を2:1に割り付けて行われた。その結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、ブリナツモマブ群(7.7ヵ月)が標準化学療法(4.0ヵ月)に比べて、有意に延長した。また、移植を「打ち切り」とした場合でも、OS中央値は6.9ヵ月vs.3.9ヵ月と有意差が得られた。主な有害事象(AE)として発熱、頭痛、貧血があったが、これまでの治療法との差はみられず、むしろ標準療法より少なかった。

 類似の国内臨床試験として、ブリナツモマブの推奨用量、有効性、安全性を評価した第Ib/II相臨床試験(Horai study)がある。対象者を成人および小児の再発または難治性のB細胞性ALL)患者とし、参加者5例中4例において2サイクル以内でのCR/CRhが得られているという。

 以上を踏まえ、同氏は「初回寛解導入療法への使用」についても、ブリナツモマブに対する期待を示した。

小児での有用性は?
 ALLは小児がんのなかで最も多い疾患であり、小児期新規診断例は年間約500例である。最新の全生存率データによると、3年生存率は91.9%、10年生存率は87%に達しており、最も多く発症するB前駆細胞性ALLの治療成績も非常に良好であるという。ところが、現在、小児で行われている治療は1970年代に以前に開発された薬剤などを組み合わせたレジメンであり、治療期間(Burkitt型を除く)は平均2~3年を要し、成長期特有の副作用や成長・発達障害や臓器機能へ影響するAEが懸念される。このような状況下においてブリナツモマブが発売されたことを受け、堀部氏は「これは副作用やAEが回避できる治療薬。難治例に対する治療の開発が急務であるなか、有用である」とコメントした。

 小児の再発・難治性急性リンパ性白血病患者を対象にブリナツモマブ投与による完全寛解率や微小残存病変(MRD)奏効率、AEをみた海外の第I/II相臨床試験によると、推奨用量で投与された患者群において、CRが得られた患者のPFS中央値は4.4ヵ月と短かった。しかし、投与中止に至るようなAEの発現率は5.7%で、ほとんどはサイクル1の最初の数日に発生していたことが明らかになった。

 予後因子として重要な所見となるPCR法によるMRD量は、寛解導入療法後のTime Point1と地固め療法後のTime Point2に測定するときれいに予後が分かれることから、欧米ではこの検査で層別化を図っているという。同氏によると、この骨髄微小残存病変量測定 (PCR-MRD検査)は2018年4月から日本でも保険承認され、間もなく全国で検査が可能となる。

 最後に同氏は「ブリナツモマブは造血幹細胞移植などによる根治を目指した橋渡し治療としての有用性、MRD陽性CRにおける有用性への検討が課題」と締めくくった。

■参考
アステラスメディカルネット

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(ケアネット 土井 舞子)

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