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高齢未治療MCL、標準化学免疫療法へのイブルチニブ上乗せでPFS延長(SHINE)/NEJM

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)高齢患者において、標準化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ:BR療法)へのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの上乗せは、プラセボとの比較において、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らによる国際無作為化二重盲検第III相試験「SHINE試験」の結果、示された。これまでに未治療/再発/難治性MCLの患者17例を対象とした第Ib相試験で、BR療法へのイブルチニブ上乗せは、患者の76%が完全奏効(CR)を有し、安全かつ有効であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月3日号掲載の報告。BR療法+イブルチニブを対プラセボで評価 SHINE試験の対象は、中央施設でMCLと診断された65歳以上、未治療で疾患StageII~IV、最長径1.5cm以上の測定可能な病変1つ以上、Eastern Cooperative Oncology Groupパフォーマンスステータススコア0または1(スケール範囲:0~5、数値が大きいほど障害が大きいことを示す)、十分な臓器機能を有する患者であった。 研究グループは、被験者を無作為に1対1の割合で、イブルチニブ560mgを1日1回経口投与する群またはプラセボ群に割り付け、両群に、ベンダムスチン90mg/m2(体表面積)(28日として定義された各サイクルの1日目と2日目に投与)およびリツキシマブ375mg/m2(各サイクルの1日目に投与)を4週ごと6サイクル併用投与した。また、客観的奏効(完全または部分的奏効)を示した患者には、リツキシマブ維持療法を8週ごと最大12回追加投与した。 主要評価項目は、治験責任医師が評価したPFSであった。全生存(OS)および安全性も評価した。PFSはイブルチニブ群80.6ヵ月vs.プラセボ群52.9ヵ月で有意差、OSは同等 2013年5月~2014年11月の間に、北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の183の試験地(日本を含む)で計523例が無作為化を受け、261例がイブルチニブ群に、262例がプラセボ群に割り付けられた。 追跡期間中央値84.7ヵ月(主要解析のデータカットオフ日2021年6月30日)の時点における疾患の進行または死亡は、イブルチニブ群116例(44.4%)、プラセボ群は152例(58.0%)であった。PFS期間中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月、プラセボ群52.9ヵ月であった(疾患の進行または死亡のハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.59~0.96、p=0.01)。 CRを示した患者は、イブルチニブ群171例(65.5%)、プラセボ群151例(57.6%)であった(p=0.06)。客観的奏効が認められた患者の割合は、両群で同等であった(それぞれ89.7%、88.5%)。 データカットオフ日の時点で、死亡はイブルチニブ群104例(39.8%)、プラセボ群107例(40.8%)。OSは両群で同等であった(HR:1.07、95%CI:0.81~1.40)。7年時点のOSは、イブルチニブ群55.0%、プラセボ群56.8%。一方で、疾患の進行による死亡は、イブルチニブ群30例(11.5%)、プラセボ群54例(20.6%)であった。 治療期間中のGrade3/4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%であった。最も頻度の高かったGrade3/4の有害事象(各群で10%以上を占めたものと定義)は好中球減少症(イブルチニブ群122例[47.1%]、プラセボ群125例[48.1%])で、肺炎(それぞれ20.1%、14.2%)、リンパ球減少症(16.2%、11.9%)、貧血(15.4%、8.8%)、血小板減少症(12.7%、13.1%)、発疹(12.0%、1.9%)、および白血球減少症(10.0%、11.2%)が報告された。

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第113回 医学的に解決できないもの-抗HIV薬の発展から問われる課題

ここまで進化したのか。あるニュースを私はそんな思いで見つめている。先日薬価収載された抗HIV薬初の長時間作用型注射製剤のカボテグラビル(商品名:ボカブリア)とリルピビリン(同:リカムビス)の承認と薬価収載に関するニュースだ。多くの方がご存じのように、HIV感染症は1980年代から1990年代半ばまで「不治の病」だった。過去にも触れたが、私が専門誌記者になったのはまさにこの頃だ。しかし、1990年代半ば以降に確立された作用機序が異なる複数の抗HIV薬を併用するHAART(highly active anti-retroviral therapy)療法により、もはや多くの感染者にとってコントロール可能な慢性感染症となっている。とはいえHAART療法の確立直後は、薬剤耐性やウイルス量増加を回避するため、服用回数が異なる複数の経口抗HIV薬を忘れることなく服用することが患者にとっての至上命題。しかも、初期のHAART療法の中で主流として使われていた抗HIVプロテアーゼ阻害薬のインジナビル(同:クリキシバン)は、腎結石の副作用頻度が高かったため、服用者は毎日1.5Lの水分摂取が必要だった。当時、取材で知り合ったあるHIV感染者と話した際、私が「少なくとも死の病ではなくなる可能性が高くなりましたね」と口にしたら、本人は頷きながらもそのまま無言になり、自分が持っていたカバンのチャックを開け、それを黙って私に差し出したことがある。かばんの中には水をつめたラベルのない500mLのペットボトルが3本入っていた。私は「ああ、副作用を防ぐための水ですね」と答えたが、本人はほぼ無表情で黙ったままだった。私自身は尿酸値が高い傾向があるため、現在は必死になって1日2Lの水分を摂取しているが、これが実はかなりの苦痛である。そうした今になって初めて、あの時のこの感染者が無言で私に伝えようとしていたメッセージが分かる気がする。その後、HAART療法は個々の薬剤成分そのものが副作用の少ないものに置き換わり、さらに合剤化が進んだ。現在ではほとんどの感染者が1日1回の服用のみで医学的には非感染者と変わらない生活が送れるようになっている。もっとも感染者にとって毎日の服薬を怠らないよう気を付けることや服薬のたびにHIV感染を自覚させられるストレスは残されている。そうした中で今回上市されたカボテグラビルとリルピビリンの併用筋注で感染者のこうしたストレスはより緩和される可能性が高まっている。臨床試験で判明している結果では、経口薬で血中のHIVが検出限界以下になった後、この2剤を1ヵ月あるいは2ヵ月間隔で筋注すれば、毎日経口薬を服用するのと同レベルの臨床効果が得られる。有害事象も疼痛などの注射部位反応は8割以上に認められるものの、薬剤関連の全身性の有害事象は頭痛、発熱が5%程度の人に起こるぐらいだ。少なくとも服薬のたびにHIV感染を自覚させられる苦痛という観点に立てば、それは今回の両薬の登場で60分の1~30分の1に減少することになる。これ自体は極めて画期的なことだと私自身も思う。もっともこうした慢性疾患特有の医学的課題が1つ1つクリアされればされるほど、残された課題の壁は高くなるとも感じている。まず、医学的に残された最大の課題は感染者の誰しもが望むであろう根治だ。これについては、血液がんを併発して骨髄移植を受けたHIV感染者で、ほぼ根治と言って良い事例が世界で3人確認されている。少なくともHIV根治が実現可能性の低い夢とは言えなくなっているのは確かだろう。ただし、ただでさえ適応が限られ、治療時の死亡リスクも高い骨髄移植を誰にでも行うわけにはいかない。HIV感染者すべてに適応可能な簡便な治療法の実現という意味ではまだ道は遠いと言わざるを得ない。こうした「遠い道程」のなかで感染者が抱えるであろう心理的負担は医学のみでは解決不可能と言って良い。日本国内では2018年に医療機関がHIV感染を事前告知しなかったソーシャルワーカーの内定取り消しを行い、そのことが法廷の場に持ち込まれて敗訴するなど、まだまだ根深い偏見・差別があることが白日の下にさらされている。また、こうした社会状況なども背景にあるのだろうが、HIV感染者での精神疾患併発率は一般集団と比べても高いとの報告もある。残念ながらこうした差別、偏見を解消する医学的手段はこの世にはない。その意味で約30年間、HIV治療を横目で眺め続けてきた私は、大きな一歩を目の当たりに感動しながらも、これからこの社会全体がクリアしなければならない急峻な絶壁のほうも考えてしまいやや悶々としているのが現状なのである。

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ホジキンリンパ腫のA-AVD療法が初めて標準療法にOSで優る(ECHELON-1)/ASCO2022

 古典的ホジキンリンパ腫では、これまで標準療法であるABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が初めて全生存期間(OS)でABVD療法に優ったことが示された。このECHELON-1試験の結果を、米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。ホジキンリンパ腫治療のECHELON-1試験でA-AVD群のOSの優位性が示された これまでホジキンリンパ腫治療で、A-AVD療法はABVD療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の延長効果が示されていたが、今回のECHELON-1試験の結果発表では、追跡期間中央値73ヵ月(約6年)の長期に渡るPFSの利点とあわせ、OSについての優位性が初めて示されたことになる。・対象:StageIII/IVの進行古典的ホジキンリンパ腫患者・試験群(A-AVD群):A+AVD最大6サイクル(ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg)664例・対照群(ABVD群):ABVD最大6サイクル  670例・評価項目:[主要評価項目]独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS) ホジキンリンパ腫の治療においてA-AVD療法とABVD療法を比較したECHELON-1試験の主な結果は以下のとおり。・推定6年のOS率はA-AVD 群93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6~95.5)、ABVD群89.4%(86.6~91.7)で、それぞれ39件と64件のOSイベントが発生した。・A-AVD群のOSの優位性が示された(HR:0.59、0.40~0.88、p=0.009)。OSのメリットはサブグループ全体で一貫していた。・6年間のPFS推定値はA-AVD群とABVD群で82.3%(79.1~85.0)vs.74.5%(70.8~77.7)だった(HR:0.68、0.53~0.86)。・治療に起因する末梢神経障害は両群で引き続き解消または改善し、A-AVD群およびABVD群の症例の86%(379/443例)および87%(249/286例)が完全に解消した。A-AVD群、ABVD群で報告された二次悪性腫瘍は少なかった(23 vs.32)。A-AVDはABVDと同等の長期安全性が確認された。 著者らはホジキンリンパ腫の治療において「A-AVD治療により、ABVDと比較して死亡リスクが41%と有意に減少し、以前の報告と一致する管理可能な安全性プロファイルが得られた。これらの結果は、A-AVD療法がStageIII/IVの古典的ホジキンリンパ腫の1次治療として好ましい選択肢であることを裏付けている」としている。

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MCL高齢患者、BR-R療法+イブルチニブでPFSが2.3年延長/ASCO2022

 マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者は、過度の毒性のため集中的な化学療法や移植には適さない。ランダム化プラセボ対照二重盲検PhaseIIIのSHINE試験は、現在の初発MCL患者に対する標準的治療の一つであるベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)およびリツキシマブ(R)維持療法に、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)イブルチニブを併用することの有用性を見たもの。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L.Wang氏が結果を発表し、NEJM誌に同時掲載された。・対象:65歳以上のMCL患者。MIPIスコア(低中高リスク)によって層別化され、B(90mg/m2)とR(375mg/m2)6サイクルを投与し、イブルチニブ(560mgを毎日経口投与)群とプラセボ群に1:1でランダム化。CRまたはPRを達成した場合はRの維持を受け、両群で最大12サイクルを8週間ごとに実施。イブルチニブとプラセボは、病気の進行または許容できない毒性になるまで投与。・対照群:BR-R維持療法+プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験責任医師が評価した無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、次治療までの期間、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2013年5月~2014年11月に日本を含む183施設で523例が登録された。・一次分析時点の追跡期間中央値は84.7ヵ月だった。両群でPFSが大幅に改善され、主要エンドポイントが満たされた(ハザード比:0.75、p= 0.011)。・PFS中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月(6.7年)、プラセボ群52.9ヵ月(4.4年)よりも2.3年改善された。・ORRは、イブルチニブ群65.5%、プラセボ群57.6%だった(p=0.0567)。・OSは両群で差がなかった(p=0.648)。・次治療までの時間はイブルチニブ群で未到達だったが、プラセボ群より長い傾向が見られた。イブルチニブ群52例(19.9%)およびプラセボ群106例(40.5%)がその後の抗リンパ腫療法を受けた。・Grade3または4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%だった。BTKiの臨床的に重要な有害事象のうち、心房細動はイブルチニブ群13.9%とプラセボ群の6.5%で報告された。出血、高血圧、関節痛の発生率は両群で類似していた。QOLも両群で同様だった。 この結果によって、初発の高齢MCL患者に対するBR療法+R維持療法とイブルチニブの併用は、高齢あるいは自家造血幹細胞移植(ASCT)不適格の未治療MCL患者に対する新たな1次治療となりうることが示された。

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骨髄異形成症候群へのメチル化阻害薬、がん遺伝子への影響は?/NEJM

 骨髄異形成症候群の患者へのメチル化阻害薬治療後に、がん遺伝子の脱メチル化とアップレギュレートが起こることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のYao-Chung Liu氏らによって確認された。2つのコホートの患者サンプルの分析と遺伝子座特異的脱メチル化技術「CRISPR-DNMT1-interacting RNA」(CRISPR-DiR)を組み合わせた検討で明らかになったという。メチル化阻害薬は現在、がん患者の治療に用いられているが、腫瘍遺伝子の再活性化およびアップレギュレートも可能かどうかは、十分に解明されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討の必要性があることが判明した」と述べている。NEJM誌2022年5月26日号掲載の報告。患者68例のメチル化阻害薬治療前後のサンプルを採取 研究グループは、2つの骨髄異形成症候群の患者コホートについて、メチル化阻害薬治療前後の骨髄サンプルを採取し、骨髄異形成症候群やその他がんで重要な役割を果たしている既知のがん遺伝子SALL4へのメチル化阻害薬の影響を検証した。 第1コホートとして新たに骨髄異形成症候群の診断を受けた37例について、骨髄サンプルを採取。うち25例について、5-アザシチジンの4サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。第2コホートでは、骨髄異形成症候群の診断を受けた43例について、メチル化阻害薬の5サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。また、対照群として、健康なドナー10例からCD34-骨髄単核細胞を、また同5例からCD34+骨髄単核細胞を採取した。 SALL4発現の変化、治療反応性、臨床アウトカムについて、メチル化阻害薬治療との関連を調べた。SALL4発現が低いか検出限界以下の白血病細胞株を用いて、SALL4メチル化と発現との関連を調べた。 SALL4発現にきわめて重要なCpGアイランドを同定するためCRISPR-DiRを用いた。SALL4アップレギュレートを30~40%で確認、不良なアウトカムと関連 メチル化阻害薬による治療後、SALL4のアップレギュレートが第1コホートの40%(25例中10例)と第2コホートの30%(43例中13例)で認められ、不良なアウトカムと関連していた。 CRISPR-DiRの結果、5'非翻訳領域のCpGアイランドの脱メチル化が、SALL4発現に非常に重要であることが判明した。細胞株や患者について、メチル化阻害薬による治療は、同じCpG領域の脱メチル化と、SALL4発現のアップレギュレートを引き起こしたことが確認された。

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有害事象報告のための可視化への動きが始まった(解説:折笠秀樹氏)

 臨床試験の有害事象はおよそ、群ごとに各事象の頻度と割合を示しているだけです。最後の表で示されていることが多いので、しっかり見ている人は少ないかもしれません。もっと注目してもらおうと、可視化(Visualization)への動きが高まっています。 英国の大学に所属する統計家を主に、コンセンサス会議が行われました。28種類の可視化を検討して、その中で10個を推奨することになったようです。 その多くはよく知られたものでした。棒グラフ、帯グラフ、折れ線グラフ、散布図、ドット・プロット、カプラン・マイヤープロットはよく見掛けます。それ以外にバイオリン・プロットとカーネル密度プロットが推奨されましたが、最近医学雑誌で見掛けたことがあります。統計ソフトのStata、R、SASなどでも描けるようになったみたいです。 カプラン・マイヤープロットというと、100%から下がるタイプしかありませんでした。がん治療の生命予後ならこれでよかったわけですが、循環器の心臓死なら、むしろ0%から上がっていく方式のほうが見やすいわけです。こうした持ち上がり型プロットが登場したのは、20年ほど前ではなかったでしょうか。統計ソフトもこれに対応するようになってきました。 可視化への動きは医学論文だけとは限りません。テレビや新聞などのマスメディアにおいても、視聴者や読者へ訴えかける手段として可視化には力を入れています。どういった解析法がよいかだけを考えるのが統計家の役目のように考えられてきましたが、この可視化についても統計家はもっと関与していくべきかもしれません。可視化に関する著書もたくさん出版されるようになってきました。最後に、可視化のカタログというサイトがあります(https://datavizcatalogue.com)。ぜひ見ておいてください。

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セムブリックスは新規作用機序の慢性骨髄性白血病治療薬/ノバルティス ファーマ

 ノバルティス ファーマは2022年5月25日、前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病に対する治療薬、セムブリックス錠20mg、同40mg(一般名:アシミニブ塩酸塩)を発売したことを発表した。 慢性骨髄性白血病(CML)は、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の登場により、通院での治療が可能な慢性疾患になったとも言われている。しかし、TKI治療を受けている患者の約半数が、現在のTKI治療に抵抗性となる、または副作用により使用が継続出来なくなる不耐容などの理由により、治療変更を余儀なくされていた。セムブリックスはSTAMP阻害作用という従来のTKIとは異なる作用機序 今回発売されたセムブリックスは、ABLミリストイルポケットを特異的に標的とするSTAMP阻害作用という、従来のTKIとは異なる作用機序を有している。2剤以上のTKI治療歴のあるCML患者の抵抗性に対処し、白血病細胞の過剰産生とも関連するBCR-ABL1遺伝子の変異を克服できる可能性があるともされている。 ノバルティス ファーマはセムブリックスの発売により、これまでのTKI治療では効果が十分に得られていない、また副作用により日常生活に支障を来すような患者に新しい治療選択肢を提供することが可能になった、としている。セムブリックス錠製品概要・製品名:セムブリックス錠(20mg、同40mg)・一般名:アシミニブ塩酸塩・効能・効果:前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病・用法・用量:通常、成人にはアシミニブとして1回40mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・承認取得日:2022年3月28日・発売日:2022年5月25日・薬価:セムブリックス錠20mg(20mg 1錠)5,564.50円、セムブリックス錠40mg(40mg 1錠)10,618.30円・製造販売元:ノバルティス ファーマ株式会社

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ASCO2022スタート!注目演題を特設サイトでチェック

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。新型コロナ感染拡大の影響でにより、2年間オンラインのみの開催だったが、今年のASCO2022は久しぶりに現地に世界のオンコロジストが集うこととなり、各種カンファレンスや交流会なども多く企画されている。ASCO2022の注目演題を複数のエキスパートが選定 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO2022のスタートにあわせ、数千を超す演題の中から、複数のエキスパートが選定した「注目演題」をピックアップ。ASCO2022期間中にオープンする特設サイトにおいて、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「血液がん」のがん種別に、コメントとともに紹介している。 ASCO2022終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。Doctors’Picks ASCO2022特設サイトDoctors’Picks【医師会員限定】

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選択的NK1受容体拮抗型制吐剤、アロカリス点滴静注235mg新発売/大鵬薬品

 大鵬薬品工業は、2022年5月30日に選択的NK1受容体拮抗型制吐剤である「アロカリス点滴静注235mg」の販売を開始した。 本剤は、抗悪性腫瘍剤投与後の悪心、嘔吐の予防を目的に開発された選択的NK1受容体拮抗型制吐剤であり、活性本体であるネツピタントに変換されるリン酸化プロドラッグ製剤(注射剤)である。高度催吐性抗悪性腫瘍剤(シスプラチン)投与患者を対象に、パロノセトロンおよびデキサメタゾン併用下で、本剤とホスアプレピタントの有効性および安全性を比較した第III相試験(CONSOLE)の結果に基づき、2022年3月に製造販売承認を取得している。アロカリス点滴静注235mg製品概要・製品名:アロカリス®点滴静注235mg・一般名:ホスネツピタント塩化物塩酸塩・効能または効果:抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)・用法および用量:他の制吐剤との併用において、通常、成人にはホスネツピタントとして235mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する。・製造販売承認日:2022年3月28日・薬価収載日:2022年5月25日・発売日:2022年5月30日・薬価:11,276円/バイアル・包装:5バイアル・製造販売元:大鵬薬品工業株式会社

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RCTでの有害事象の可視化、どんなグラフが有効か/BMJ

 臨床試験の有害事象の伝達において、グラフ化(可視化)は強力なツールであり従来の頻度表に代わる他の視点を提供し、臨床試験の報告書で有害事象の可視化の使用が増加することよって、明確な情報の提示とより有益な解釈が可能となる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRachel Phillips氏らが、有害事象を視覚的に提示するための推奨事項を作成するコンセンサス研究の結果を報告した。有害事象のデータは複雑であるが、可視化は安全性プロファイルを明確にし、潜在的な副作用の特定に役立つ可能性がある。著者は、「デシジョンツリーは可視化の選択を補助するが、最終的には統計学者および臨床試験チームがそのデータと目的に最適な可視化を決定しなければならない」と述べている。BMJ誌2022年5月16日号掲載の報告。治験に携わる統計学者、医療経済学者、グラフィックデザイナーらでコンセンサス会議 コンセンサスグループは、UK Clinical Research Collaborationに登録されている15の臨床試験ユニットから統計学者20人と、学術的な公衆衛生部門に所属する医療経済学者1人、業界の統計学者1人、BMJ誌のマルチメディアチームの一員であるデータグラフィックデザイナー1人、医師2人から構成された。 統計手法の方法論的なレビューにより、コンセンサスグループメンバーが推奨する可視化法を特定し、3回にわたる会議で可視化の推奨に関するコンセンサス(有効投票数の60%以上)が得られた。 メンバーは、合意された枠組みに対する候補となる可視化を再検討し、また批評的に評価して、それぞれの可視化を承認するかどうか投票した。スコアが閾値をわずかに下回った場合(50~60%)は、さらなる議論のため再考され、コンセンサスが得られるまで再投票が行われた。推奨されるグラフ化は10種類、アウトカムの種類や状況に応じて選択 28種類の可視化法が検討され、そのうち10種類が、研究者が主要な研究結果を発表する際に検討するよう推奨された。 提示する可視化法の選択は、アウトカムの種類(たとえば、頭痛の発生の有無など追跡期間中に経験したイベントの発生数[2値変数]、治療開始から頭痛発生までの時間[time-to-event]、血球数の個々の結果[連続変数]など)や、状況(有害事象のプロファイル全体を評価するか、特定のイベントまたは関心のあるイベントに関する直接的なメッセージを伝えるか)に依存する。すなわち、有害事象のプロファイルを示す場合は、アウトカムの種類が2値変数ではドットプロット、積み上げ棒グラフ、カウントでは棒グラフ、連続変数では散布図マトリックスが推奨され、time-to-eventでは推奨される方法なし。1つのイベントについて示す場合は、アウトカムの種類がtime-to-eventではKaplan-Meierプロット、生存率(Survival ratio)プロット、平均累積関数プロットが、連続変数では折れ線グラフ、バイオリンプロットおよびカーネル密度プロットが推奨された。 また、どの可視化法を使用するかの決定に役立つデシジョンツリーが提示され、各可視化法については、プロットの説明、解釈、潜在的な限界、標準的な統計ソフトで実施可能なコード等がまとめられている。

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免疫抑制が強い患者ほど接種後の抗体価に差、モデルナ製vs.ファイザー製

 免疫抑制治療を受けている固形臓器移植患者やリウマチ性・筋骨格系疾患患者において、モデルナ製の新型コロナワクチンがファイザー製ワクチンより強い液性免疫原性を誘導しやすく、この効果は免疫抑制が強いほど顕著だったことが、米国・Johns Hopkins University School of MedicineのJonathan Mitchell氏らの研究で示された。JAMA Network Open誌2022年5月16日号に掲載。 臓器移植患者やリウマチ性・筋骨格系疾患患者などの免疫抑制患者は、新型コロナワクチンに対する免疫応答が低下している。したがって、ワクチンの免疫原性の差は、免疫正常者での差より臨床的に重要である。本コホート研究では、免疫抑制の強さの異なる患者群ごとにファイザー製およびモデルナ製ワクチン2回接種後の抗スパイク抗体価を比較した。 対象は、2020年12月16日~2021年7月6日にmRNAワクチンを2回接種している新型コロナウイルス検査陽性歴のないリウマチ性・筋骨格系疾患と固形臓器移植患者で、免疫抑制の強さによって以下に層別化した。・免疫抑制治療を受けていないリウマチ性・筋骨格系疾患患者・免疫抑制治療を受けているリウマチ性・筋骨格系疾患患者・ミコフェノール酸/ミコフェノール酸モフェチルを投与されていない固形臓器移植患者・ミコフェノール酸/ミコフェノール酸モフェチルを投与されている固形臓器移植患者 ワクチン2回目接種から15〜45日後に半定量的抗体検査を実施し、年齢・ワクチン接種後期間・免疫抑制薬の数で重み付けした修正ポアソン回帰を使用して、2つのワクチンでの応答率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・リウマチ性・筋骨格系疾患患者1,158例(うちファイザー製ワクチン接種647例)および固形臓器移植患者697例(同367例)について調査した。・免疫抑制治療を受けていないリウマチ性・筋骨格系疾患患者(220例)のうち、抗受容体結合ドメイン力価が250U/mL以上だった患者の割合は、ファイザー製ワクチン91.5%、モデルナ製ワクチン93.1%で同等だった(発生率比[IRR]:1.02、95%CI:0.94~1.10、p=0.69)。・しかし、他の群では、モデルナ製ワクチン接種者のほうがファイザー製ワクチン接種者よりも受容体結合ドメイン抗体価250U/mL以上だった患者の割合が高かった。- 免疫抑制治療を受けているリウマチ性・筋骨格系疾患患者(938例):79.2% vs.60.5%、IRR:1.30、95%CI:1.20~1.43、p<0.001- ミコフェノール酸/ミコフェノール酸モフェチルを投与されていない固形臓器移植患者(260例):66.4% vs.44.7%、IRR:1.56、95%CI:1.24~1.96、p<0.001- ミコフェノール酸/ミコフェノール酸モフェチルを投与されている固形臓器移植患者(437例):11.4% vs.4.3%、IRR:2.62、95%CI:1.28~5.37、p=0.01 本研究では、免疫抑制治療を受けていない患者では、モデルナ製およびファイザー製ワクチンに対する免疫応答は同等だったが、免疫抑制治療を受けている患者は、モデルナ製ワクチンのほうがファイザー製ワクチンより高かった。免疫原性の差は、免疫抑制が最も強い患者(ミコフェノール酸/ミコフェノール酸モフェチルを投与されている固形臓器移植患者)で最も大きく、抗体価250U/mL以上の患者の割合は2.6倍の差があった。

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リンパ節腫脹の鑑別、患者が話さない内容をしつこく聞こう!【Dr.山中の攻める!問診3step】第14回

第14回 リンパ節腫脹の鑑別、患者が話さない内容をしつこく聞こう!―Key Point―後頸部リンパ節腫脹では全身の感染症、悪性リンパ腫、頭頸部がん、菊池病を想起するEBウイルスによる伝染性単核球症では、眼瞼浮腫、頸部リンパ節腫脹、咽頭炎、肝機能障害、肝脾腫、倦怠感、頭痛が特徴である1)。Kissing diseaseと呼ばれるように唾液からの感染が原因となる。10~20代に多い症例:21歳 男性主訴)発熱、頸部腫瘤現病歴)5日前から37℃前半の発熱と咽頭痛あり。2日前から両側眼瞼の腫脹と両側頸部に腫瘤を触知することに気がついた。昨日から咽頭痛が悪化し、38℃台の発熱になったため、心配になり来院した。既往歴)なし薬剤歴)なし生活歴)飲酒:ビール500mL/毎日喫煙:10本/日(20歳~)職業:建設業身体所見)体温38.7℃、血圧142/78mmHg、心拍数98回/分、呼吸回数20回/分、意識:清明眼瞼:両側に浮腫あり口蓋扁桃:発赤腫大し白苔を認める頸部:両側の胸鎖乳突筋後方に径1~2cmのリンパ節を数個触知する。リンパ節は軟で圧痛あり腹部:平坦、軟、右肋骨弓下に肝臓を2cm、左肋骨弓下に脾臓を3cm触知する経過)血液検査:末梢血中の異型リンパ球増加あり。ASTとALTの上昇あり伝染性単核球症を考えEBウイルス抗体価を測定し、抗VCA-IgM抗体の上昇と抗VCA-IgG抗体および抗EBNA抗体の陰性を認めた新しいガールフレンドとの交際をしつこく聞いたがまったくないという。1ヵ月前に同僚たちと日本酒の回し飲みをしたとのことであった。無症状であるEBウイルス既感染者の90%は唾液にウイルスを排泄していると言われる1)NSAIDsの定期内服で症状は軽快した。脾臓破裂の可能性があるので、激しく体が接触するスポーツを1ヵ月間は避けるように指導した。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!伝染性単核球症はEBウイルスにより起こるアンピシリンの服用により皮疹が出現するサイトメガロウイルスによる伝染性単核球様症状では咽頭痛や頸部リンパ節腫脹を認めないことが多い。性的に活発な年代に多いHIVやトキソプラズマの急性感染、薬剤でも同様の症状が起こる菊池病は若年女性に好発し、頸部リンパ節腫脹、発熱、皮疹、体重減少、関節痛、肝脾腫、無菌性髄膜炎など多彩な臨床像を示す。SLEへ移行することがある【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2-1】症状を確認する急性発症か慢性発症かどの部位のリンパ節が腫れているか発熱、体重減少(体重の5%以上の減少)、盗汗(下着を変える必要があるほどの夜間の発汗)を伴っているか【STEP2-2】診察で詳細に確認するすべての表在リンパ節を触診する。2ヵ所以上の離れたリンパ節が腫れる全身性? 局所性?腫大したリンパ節の大きさと数を記載する圧痛があれば炎症性、圧痛がなければ悪性腫瘍の可能性が高まる炎症性では柔らかく、悪性リンパ腫では消しゴムの硬さ、癌では石のような硬さであることが多い可動性なら炎症性か悪性リンパ腫、可動性がなければ癌を示唆する肝腫大と脾腫の有無を触診で確認する直径3cm以上、硬い、可動性なし、鎖骨上窩リンパ節腫大、体重減少があれば重大な疾患の可能性がある2)【STEP3】鑑別診断を想起する3)胸鎖乳突筋の後方にある後頸部リンパ節腫脹があれば、全身の感染症(EBウイルス、サイトメガロウイルス、風疹ウイルス、HIV、結核)、悪性リンパ腫、頭頸部がん、菊池病を考える鎖骨上窩リンパ節腫大があれば、第一に悪性腫瘍を疑う。左鎖骨上窩リンパ節は消化器がんの転移部位として有名である(Virchow転移)腋窩リンパ節はネコひっかき病、乳がんで腫れる鼠径リンパ節は下肢からの感染、性感染症で腫れることが多い全身性リンパ節腫脹あれば、ウイルス感染症、結核、膠原病、成人Still病、悪性リンパ腫を疑う<参考文献・資料>1)Harrison’s Principles of Internal Medicine 20th edition. 2018. p1358-1365.2)McGee Evidence-Based Physical Diagnosis 5th edition. 2022. p221-231.3)石井義洋. 卒後10年目 総合内科医の診断術. 2015. p361-370.

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高カルシウムだったら疑いたいMAH【知って得する!?医療略語】第11回

第11回 高カルシウムだったら疑いたいMAH高カルシウム(Ca)血症に遭遇した時に注意することを教えてください高Ca血症を見かけたら、悪性疾患も鑑別に想定します。悪性疾患に伴う高Ca血症と言っても、鑑別すべき病態は複数あるので注意が必要です。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】MAH【日本語】悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症・悪性腫瘍随伴高カルシウム血症【英字】malignancy-associated hypercalcemia【分野】腫瘍関連【診療科】全診療科【関連】局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)PTH非依存性活動性ビタミンD産生腫瘍(悪性リンパ腫)異所性PTH産生腫瘍実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。最近、ハッとしたことがありました。高Ca血症の鑑別を考えたとき、悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAH:malignancy-associated hypercalcemia)について、筆者自身が悪性疾患を念頭に置いてどれくらい血清Ca値に注意を払えていただろうか、という振り返る機会があったからです。高Ca血症の鑑別は多岐に及びますが、悪性腫瘍に関連する高Ca血症の病態だけでも、以下のように複数挙げられます。悪性腫瘍に関連した高カルシウム血症腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)(腫瘍細胞からのPTHrP過剰産生に基づく全身性液性機序)局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)(多発性骨髄腫・悪性疾患骨転移)悪性リンパ腫による活性型ビタミンD過剰産生異所性PTH産生腫瘍ただ、臨床現場では、血清Ca値の結果報告は、未補正値のみが表示されることが多く、意識してアルブミン値で補正しないと、軽度の高Ca血症は見落としてしまう可能性があります。また、血清Ca値が正常範囲内でも、過去のデータと見比べると上昇傾向になっている場合もあります。このため、過去のデータとの比較が重要となってきます。また、薬剤が血清Ca値を修飾する場合があります。高齢女性では骨粗鬆症の治療薬を使用している場合も多く、たとえばビスホスホネート製剤はその血中Ca濃度の低下作用から、血清Ca値の上昇をマスクしてしまう可能性も否定できません。血清Ca値を悪性疾患の早期発見やスクリーンニングという観点で利用することは難しいです。しかし、血清Caに異常を認めたときは悪性疾患をしっかり想定する必要があり、未診断の悪性疾患が潜んでいる可能性をきちんと想起したいものです。しばらく経ってから悪性疾患が見つかるという事態は極力避けたい状況であり、日常臨床で当たり前に検査している血清Caの解釈には、より一層の注意を払いたいと感じます。1)井上 大輔. 日内会誌. 2020;109:740-745.2)福原 傑. 日腎会誌. 2017;59:598-605.

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IDH1変異陽性AML、ivosidenib併用でEFS延長/NEJM

 イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)をコードする遺伝子に変異のある急性骨髄性白血病と新たに診断された患者の治療において、ivosidenibとアザシチジンの併用療法はプラセボとアザシチジン併用と比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長し、発熱性好中球減少症や感染症の発現頻度は低いものの好中球減少や出血は高いことが、スペイン・Hospital Universitari i Politecnic La FeのPau Montesinos氏らが実施した「AGILE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年4月21日号で報告された。20ヵ国155施設の無作為化プラセボ対照第III相試験 研究グループは、IDH1変異陽性急性骨髄性白血病の治療における、アザシチジン治療へのivosidenib追加の安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験を行い、2018年3月~2021年5月の期間に、20ヵ国155施設で参加者を登録した(Agios PharmaceuticalsとServier Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 対象は、18歳以上、新規のIDH1変異陽性急性骨髄性白血病と診断され、強力な導入化学療法が適応とならず、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance-statusスコア(0~4点、点数が高いほど機能障害度が高い)が0~2点の患者であった。 被験者は、ivosidenib(500mg、1日1回、経口投与)+アザシチジン(75mg/m2体表面積、28日サイクルで7日間、皮下または静脈内投与)、またはプラセボ+アザシチジンの投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントはEFSであり、無作為化の時点から、治療不成功(24週までに完全寛解が達成されない)、寛解後の再発、全死因死亡のいずれかまでの期間と定義された。完全寛解、客観的奏効、IDH1変異消失の割合も良好 146例が登録され、ivosidenib群に72例(年齢中央値76.0歳[範囲:58.0~84.0]、女性42%、二次性25%)、プラセボ群に74例(75.5歳[45.0~94.0]、49%、28%)が割り付けられた。 追跡期間中央値12.4ヵ月の時点におけるEFSは、ivosidenib群がプラセボ群に比べ有意に長かった(治療不成功、寛解後の再発、死亡のハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.16~0.69、p=0.002)。また、無イベント生存割合は、ivosidenib群が6ヵ月時40%、12ヵ月時37%で、プラセボ群はそれぞれ20%および12%と推定された。 追跡期間中央値15.1ヵ月時の全生存期間中央値は、ivosidenib群が24.0ヵ月と、プラセボ群の7.9ヵ月に比し有意に延長した(死亡のHR:0.44、95%CI:0.27~0.73、p=0.001)。 完全寛解の割合は、ivosidenib群が47%(95%CI:35~59)であり、プラセボ群の15%(8~25)よりも高率だった(オッズ比[OR]:4.8、95%CI:2.2~10.5、p<0.001)。また、完全寛解の期間中央値はそれぞれ未到達(95%CI:13.0~評価不能)および11.2ヵ月(95%CI:3.2~評価不能)、12ヵ月時の完全寛解割合は88%および36%、完全寛解までの期間中央値は4.3ヵ月(範囲:1.7~9.2)および3.8ヵ月(1.9~8.5)であった。 客観的奏効(完全寛解、血球数の回復を伴わない完全寛解、部分寛解、形態学的に白血病ではない状態)の割合は、ivosidenib群が62%(95%CI:50~74)と、プラセボ群の19%(95%CI:11~30)に比べ有意に高かった(OR:7.2、95%CI:3.3~15.4、p<0.001)。奏効期間中央値は、それぞれ22.1ヵ月(95%CI:13.0~評価不能)および9.2ヵ月(6.6~14.1)だった。 完全寛解または部分的な血球数の回復を伴う完全寛解の検体におけるIDH1変異消失の割合は、ivosidenib群が52%、プラセボ群は30%であり、骨髄単核細胞からのIDH1変異消失のデータがある患者におけるIDH1変異消失を伴う完全寛解の割合は、それぞれ33%および6%(p=0.009)であった。 全グレードの有害事象は、両群で貧血(ivosidenib群31%、プラセボ群29%)、発熱性好中球減少(28%、34%)、好中球減少(28%、16%)、血小板減少(28%、21%)、悪心(42%、38%)、嘔吐(41%、26%)の頻度が高く、出血イベント(41%、29%)と感染症(28%、49%)も高頻度に認められた。Grade3以上の有害事象では、貧血(25%、26%)、発熱性好中球減少(28%、34%)、好中球減少(27%、16%)、肺炎(23%、29%)、感染症(21%、30%)の頻度が高かった。全グレードの分化症候群は、14%および8%に認められた。 著者は、「ivosidenib+アザシチジン併用療法は、優れたIDH1変異消失割合とともに持続的で深い奏効をもたらし、健康関連QOLや輸血依存離脱も良好であったことから、変異型IDH1蛋白を標的とする治療の有用性が明らかとなった」とまとめ、「今後、ベネトクラクスをベースとする治療との比較や、これらのレジメンの併用を評価する試験が期待される」としている。

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BTK阻害薬、治療歴ある免疫性血小板減少症に効果/NEJM

 治療歴のある免疫性血小板減少症に対し、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬rilzabrutinibの有効性と安全性が、第I-II相の国際非盲検用量設定試験で確認された。評価した全用量で血小板反応性が認められ、毒性効果は報告されたがいずれも低グレードだった。米国・マサチューセッツ総合病院のDavid J. Kuter氏らによる検討で、NEJM誌2022年4月14日号で発表された。rilzabrutinibは、マクロファージ(Fcγ受容体)を介した血小板破壊の抑制と病原性自己抗体産生の抑制という2つの作用機序によって、免疫性血小板減少症の患者の血小板数を増加させる可能性が示唆されていた。用量漸増法を用いて4用量について安全性と血小板反応性を評価 治療歴のある免疫性血小板減少症患者に対するrilzabrutinib治療の評価は適応的デザイン法にて行われ、個人内用量漸増法を用いてrilzabrutinibを24週間経口投与した。 開始用量は4段階で、200mgを1日1回、400mgを1日1回、300mgを1日2回、400mgを1日2回とした。 主要エンドポイントは、安全性と血小板反応性。血小板反応性は、血小板数が少なくとも2回連続で50×103/mm3以上、かつレスキュー薬なしでベースラインから20×103/mm3以上増加と定義した。血小板反応性は全体で40%、血小板数50×103/mm3以上到達まで11.5日 試験には60例が登録され、ベースラインの血小板数中央値は15×103/mm3、罹病期間中央値は6.3年、これまでに受けた免疫性血小板減少症治療の中央値は4種類だった。 治療関連の有害イベントは、いずれもGrade1または2で一過性だった。Grade2以上の治療関連出血または血栓イベントは報告されなかった。 治療期間中央値167.5日(範囲:4~293)時点で、主要エンドポイントの血小板反応性が認められたのは、全体では24/60例(40%)であり、rilzabrutinibの最高用量開始群では18/45例(40%)だった。 また、最初に血小板数50×103/mm3以上に到達するまでの期間中央値は、11.5日だった。主要血小板反応性が認められた患者において、血小板数50×103/mm3以上の週が占めた割合は平均65%だった。

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初のSTAMP阻害薬アシミニブ、忍容性に期待/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、前治療薬に抵抗性または不耐用の慢性骨髄性白血病(CML)患者に対するSTAMP阻害薬であるアシミニブ塩酸塩(商品名:セムブリックス、以下アシミニブ)が3月に国内承認を受けたことを受け、4月19日にプレスセミナーを行った。セミナーでは、国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科の南 陽介氏がCMLの治療戦略とアシミニブへの期待について講演を行った。アシミニブは従来の分子標的薬とは作用機序が異なる 2020年の国内のCML罹患数は約2,000人で10年有病数は約1万2,000人。慢性期から移行期、急性期と進行し、できるだけ早期に白血病細胞の増殖を抑えることが肝要となる。かつては予後の厳しい疾患だったが、20年前に登場した分子標的薬(TKI)により劇的に治療成績が向上した。ただ、治療が長期となるケースが多く、治療抵抗性や不耐容が課題となっている。現在CMLに対して承認されたTKIは5剤でアシミニブは6剤目となる。アシミニブは従来のTKIとは阻害の作用機序が異なり、TKIに抵抗性または不耐容であった患者の選択肢として期待される。 今回のアシミニブの承認は、第2世代TKIであるボスチニブとアシミニブを比較した国際共同第III相検証試験(ASCEMBL試験)の結果に基づいたもの。2つ以上のTKIによる前治療歴を有する成人CML患者を対象とした本試験において、主要評価項目である24週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率は、アシミニブはボスチニブのほぼ倍(25.48%vs.13.16%、共通リスク差12.2%、95%信頼区間2.19~22.3、p=0.029)となった。Grade3以上の重篤な有害事象はアシミニブ群12.2%、ボスチニブ群21.1%で発生し、治験中止に至った有害事象はアシミニブ群7.1%、ボスチニブ群25%で発生した。最も多く認められた有害事象は、アシミニブ群では血小板減少症(29.5%)および好中球減少症(23.1%)、ボスチニブ群では下痢(71.1%)、悪心(46.1%)などだった。 南氏は「作用機序が異なるアシミニブは、既存TKIで治療効果が低下した患者さんに対しても効果が期待できる。またSTAMP阻害作用はABLキナーゼを選択的に阻害するため、高い忍容性が期待できることも魅力だ」とした。

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世界血栓デーWEB講演会の開催について【ご案内】

 世界血栓症デーとは、国際血栓止血学会(ISTH)が「血栓症に関する正しい知識を広め、血栓症に起因する障害や死亡を減らす」ことを目的に制定したものである。一般社団法人日本血栓止血学会では日本における血栓症の啓発活動の一環として取り組んでおり、2022年度最初の世界血栓症デーWEB講演会として2022年5月17日(火)に『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』をテーマとしてWEB開催する。今回の講演内容は医療関係者を対象としているが、誰でも無料で視聴可能である。 開催概要は以下のとおり。【日時】2022年5月17日(火) 19:00~20:30【参加条件】登録方法:オンライン参加登録が可能(下記URLからお申込み可能)https://coubic.com/morishita/622935参加費:無料【テーマ】『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』-perspective of cancer-associated thrombosis-司会:向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)1.「がん関連血栓症の成因と病態」森下 英理子氏(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 金沢大学附属病院血液内科)2.「がん関連脳卒中-動脈塞栓症の新展開」野川 茂氏(東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科)3.「がん治療関連血栓症とその対応」向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)4.質問・討論【主催】一般社団法人 日本血栓止血学会【お問い合わせ】WTD講演会担当E-mail:kanazawa.u.hoken.morishita@gmail.com

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血友病の遺伝子治療、EUでは発売間近だが日本は出遅れた(解説:長尾梓氏)

 単一遺伝子欠損で発症する血友病は遺伝子治療の有望なターゲットで、唯一のcureを目指せる治療として有望視され、現時点で少なくとも血友病AとBを合わせて14社が開発に乗り出している。遺伝子のサイズが小さくアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに搭載しやすい血友病Bが先行して開発され、8年間の耐久性を示した製品もある(scAAV2/8-LP1-hFIXco, sponsor; St. Jude Children’s research Hospital/UCL)。サイズの大きい血友病A遺伝子治療は少し出遅れたが、その中ではBioMarin社の遺伝子治療(roctavian[valoctocogene roxaparvovec])が最も先行している。ロイター通信によると、BioMarin社のroctavianは2019年に3年間の第I/II相データと第III相データの中間解析に基づいてFDAおよびEMAに承認申請したものの、第I/II相データでは2年目に治療効果が低下傾向にあり、第III相のデータをさらに2年分追加することが要求された。つまり、FDAもEMAもdurabilityに懸念を示したわけである。 遺伝子治療の懸念はほかにも多数ある。AAV抗体を保有している患者への投与の可否、ベクターのdose(多ければ多いほど発現は増えるが、副作用も増える)。そのほか、AAVが肝臓指向性に改編されているため投与後の肝機能異常がほぼ必発で、免疫抑制薬を必要とする場合はその用量、タイミングそして副作用の問題。第VIII因子発現にも個人差が大きく(variability)、発現しなかった場合の再投与の可否、過剰発現の場合の抗凝固薬の要否等の問題である。 さて、今回のNEJM誌はそのBioMarin社の重症血友病Aに対するAAVを用いた遺伝子治療の多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果である。抗AAV5抗体を保有していない18歳以上の重症血友病A患者134例にvaloctocogene roxaparvovec(6×1013vg/kg)を単回注入、51週以上の追跡調査を完了した。 49~52週時の第VIII因子活性は平均41.9 IU/dL増加した(95%信頼区間[CI]:34.1~49.7、p<0.001、変化量中央値:22.9 IU/dL、四分位範囲:10.9~61.3)。132例のうち17例から104週までのデータが得られ(つまり2年以上)、104週での第VIII因子活性は平均24.4±29.2%、中央値14.7%(四分位範囲6.4~28.6)と個人差は大きいもののまずまずの結果であった。 132例のうち270-902試験のデータが6ヵ月以上ある112例においては、投与後4週目以降の第VIII因子製剤の年間使用量がベースラインから98.6%減少し、年間の治療した出血回数もベースラインから83.8%減少した(p<0.001)。 134例全例に有害事象が認められ、22例(16.4%)で重篤な有害事象が報告された。ALT増加は134例中115例(85.8%)に認められ、免疫抑制薬により治療された。そのほかの主な有害事象は、頭痛(38.1%)、悪心(37.3%)、AST増加(35.1%)であった。第VIII因子インヒビターや血栓症の発現は認められなかった。 今回のNEJM誌のデータをもってBioMarin社はFDAに再申請すると報じられている。一方、EMAはすでに再申請を受け入れており、EMAの医薬品委員会(CHMP)と先端医療委員会(CAT)の2つの機関で審査が行われ、2022年6月までに決定される予定とのこと。承認されれば、roctavianは血友病Aに対して欧州で承認された最初の遺伝子治療薬となる。 ただ、残念ながらroctavianは昆虫細胞系の産生システムを採用しているため、日本の法下では扱いが難しく、臨床試験も困難な状況で日本での発売の見通しはまったく立っていない。ひとつ、朗報としては、同AAVベクターをHEK293で発現させてマウスでの耐久性を比較し同等であったと2021年の米国血液学会で発表されている。

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紹介状に不満がある医師は約7割!その紹介の実態は?/1,000人アンケート

 医療連携の一環として活用される紹介状。正式名称は「診療情報提供書」である。かかりつけ医が高度医療の必要があると判断して患者を紹介したり、その逆で患者の病状が安定したからとかかりつけ医などに戻ってもらう際に使用したりする。だが、この紹介状が名ばかりで実際の情報提供になっていないことがあるらしい。そこで今回、ケアネットでは会員医師1,000人を対象に『紹介状で困ったこと・良かったこと』に関するアンケートを実施した。紹介状に対する不満、開業医「紹介したのに返信がない」が1番 開業医、勤務医各500人にアンケートしたところ、大多数が紹介状の内容に不満を感じており、1番の理由は開業医では「紹介したのに返信がない」、勤務医では「紹介状が手書きで読めない」だった。実際に開業医に対して紹介状の記載ツールを伺ったところ、手書きと回答した方は31%で、年代が上がるほどその割合は増えていた。 次に不満を感じる理由として、開業医は「患者の転帰情報が送られてこない」、勤務医は「患者の丸投げと感じる」を挙げているが、それらの不満コメントをみると開業医だからといって勤務医だけに不満があるわけではなく、開業医同士、勤務医同士でも意見はあるようだ。<開業医の不満>・外科術後患者で術後診断がない(60代、消化器科)・紹介状と、受診したときの処方などの内容が違っていた(60代、外科/乳腺外科)・紹介先から初診診察医が変更になったので新たに紹介状を書くように言われた(60代、整形外科)・92歳で心不全持ちなど、どう見ても外来手術適応外の患者を外来手術目的で紹介してくる開業医の先生が困る(50代、眼科)<勤務医の不満>・かなりの重症患者を連絡なしで患者家族の運転する車で飛び込み受診された(40代、腎臓内科)・患者の希望と記載してあるが、実際は丸投げであったこと(30代、循環器内科/心臓血管外科)・広告の裏紙を使った紹介状で、しかも殴り書きで来たことがある(40代、血液内科)・手書きで判読が困難な紹介状や略語は困ります。(紹介状を)書く際には略語は使いません(60代、循環器内科/心臓血管外科) このほか、それぞれの医師が「良かったと感じた紹介状」や「書く際に心掛けていること」についてもアンケート結果を公開している。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中『受け取った紹介状、開業医/勤務医がモヤっとする第1位は?』<アンケート概要>●タイトル:紹介状で困ったこと・マナー違反と思ったことを教えてください●内容:紹介状のやり取りで開業医/勤務医それぞれが困っていること、良かったと感じたことを調査●実施期間:2022年2月24日(木)●調査方法:インターネット●対象:30代以上の会員医師 1,000人(開業医:500人、勤務医:500人)

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