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急速進行性糸球体腎炎〔RPGN:Rapidly progressive glomerulonephritis〕

1 疾患概要■ 定義急速進行性糸球体腎炎(Rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)は、数週~数ヵ月の経過で急性あるいは潜在性に発症し、血尿(多くは顕微鏡的血尿、まれに肉眼的血尿)、蛋白尿、貧血を伴い、急速に腎機能障害が進行する腎炎症候群である。病理学的には、多数の糸球体に細胞性から線維細胞性の半月体の形成を認める半月体形成性(管外増殖性)壊死性糸球体腎炎(crescentic[extracapillary]and necrotic glomerulonephritis)が典型像である。■ 疫学わが国のRPGN患者数の新規受療者は約2,700~2,900人と推計され1)、日本腎臓病総合レジストリー(J-RBR/J-KDR)の登録では、2007~2022年の腎生検登録症例のうちRPGNは年度毎にわずかな差があるものの5.4~9.6%(平均7.4%)で近年増加傾向にある2)。また、日本透析医学会が実施している慢性透析導入患者数の検討によると、わが国でRPGNを原疾患とする透析導入患者数は1994年の145人から2022年には604人に約5倍に増加しており、5番目に多い透析導入原疾患である3)。RPGNは、すべての年代で発症するが、近年増加が著しいのは、高齢者のMPO-ANCA陽性RPGN症例であり、最も症例数の多いANCA関連RPGNの治療開始時の平均年令は1990年代の60歳代、2000年代には65歳代となり、2010年以降70歳代まで上昇している6)。男女比では若干女性に多い。■ 病因本症は腎糸球体の基底膜やメサンギウム基質といった細胞外基質の壊死により始まり、糸球体係蹄壁すなわち、毛細血管壁の破綻により形成される半月体が主病変である。破綻した糸球体係締壁からボウマン腔内に析出したフィブリンは、さらなるマクロファージのボウマン腔内への浸潤とマクロファージの増殖を来す。この管外増殖性変化により半月体形成が生じる。細胞性半月体はボウマン腔に2層以上の細胞層が形成されるものと定義される。細胞性半月体は可逆的変化とされているが、適切な治療を行わないと、非可逆的な線維細胞性半月体から線維性半月体へと変貌を遂げる4)。このような糸球体係蹄壁上の炎症の原因には、糸球体係締壁を構成するIV型コラーゲンのα3鎖のNC1ドメインを標的とする自己抗体である抗糸球体基底膜(GBM)抗体によって発症する抗GBM抗体病、好中球の細胞質に対する自己抗体である抗好中球細胞質抗体(ANCA)が関与するもの、糸球体係蹄壁やメサンギウム領域に免疫グロブリンや免疫複合体の沈着により発症する免疫複合体型の3病型が知られている。■ 症状糸球体腎炎症候群の中でも最も強い炎症を伴う疾患で、全身性の炎症に伴う自覚症状が出現する。全身倦怠感(73.6%)、発熱(51.2%)、食思不振(60.2%)、上気道炎症状(33.5%)、関節痛(18.7%)、悪心(29.0%)、体重減少(33.5%)などの非特異的症状が大半であるが5)、潜伏性に発症し、自覚症状を完全に欠いて検尿異常、血清クレアチニン異常の精査で診断に至る例も少なくない。また、腎症候として多いものは浮腫(51.2%)、肉眼的血尿(14.1%)、乏尿(16.4%)、ネフローゼ症候群(17.8%)、急性腎炎症候群(18.5%)、尿毒症(15.8%)5)などである。肺病変、とくに間質性肺炎の合併(24.5%)がある場合、下肺野を中心に湿性ラ音を聴取する。■ 分類半月体形成を認める糸球体の蛍光抗体法所見から、(1)糸球体係蹄壁に免疫グロブリン(多くはIgG)の線状沈着を認める抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)抗体型、(2)糸球体に免疫グロブリンなどの沈着を認めないpauci-immune型、(3)糸球体係蹄壁やメサンギウム領域に免疫グロブリンや免疫複合体の顆粒状の沈着を認める免疫複合体型の3型に分類される。さらに、血清マーカー、症候や病因を加味しての病型分類が可能で、抗GBM抗体病は肺出血を合併する場合にはグッドパスチャー症候群、腎病変に限局する場合には抗GBM腎炎、pauici-immune型は全身の各諸臓器の炎症を併発する全身性血管炎に対し、腎臓のみに症候を持つ腎限局型血管炎(Renal limited vasculitis)とする分類もある。このpauci-immune型の大半は抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophi cytoplasmic antibody:ANCA)が陽性であり、近年ではこれらを総称してANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)と呼ばれる。ANCAには、そのサブクラスにより核周囲型(peri-nuclear)(MPO)-ANCAと細胞質型(Cytoplasmic)(PR3)-ANCAに分類される。■ 予後RPGNは、糸球体腎炎症候群の中で腎予後、生命予後とも最も予後不良である。しかしながら、わが国のRPGNの予後は近年改善傾向にあり、治療開始からの6ヵ月間の生存率については1989~1998年で79.2%、1999~2001年で80.1%、2002~2008年で86.1%、2009~2011年で88.5%、2012~2015年で89.7%、2016~2019年で89.6%と患者の高齢化が進んだものの短期生命予後は改善している。6ヵ月時点での腎生存率は1989~1998年で73.3%、1999~2001年で81.3%、2002~2008年で81.8%、2009~2011年で78.7%、2012~2015年で80.4%、2016~2019年で81.4%であり、腎障害軽度で治療開始した患者の腎予後は改善したものの、治療開始時血清クレアチニン3mg/dL以上の高度腎障害となっていた患者の腎予後については、改善を認めていない6)。また、脳血管障害や間質性肺炎などの腎以外の血管炎症候の中では、肺合併症を伴う症例の生命予後が不良であることがわかっている。感染症による死亡例が多いため、免疫抑制薬などの治療を控えるなどされてきたが、腎予後改善のためにさらなる工夫が必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)RPGNは、早期発見による早期治療開始が予後を大きく左右する。したがって、RPGNを疑い、本症の確定診断、治療方針決定のための病型診断の3段階の診断を速やかに行う必要がある。■ 早期診断指針(1)血尿、蛋白尿、円柱尿などの腎炎性尿所見を認める、(2)GFRが60mL/分/1.73m2未満、(3)CRP高値や赤沈亢進を認める、の3つの検査所見を同時に認めた場合、RPGNを疑い、腎生検などの腎専門診療の可能な施設へ紹介する。なお、急性感染症の合併、慢性腎炎に伴う緩徐な腎機能障害が疑われる場合には、1~2週間以内に血清クレアチニン値を再検する。また、腎機能が正常範囲内であっても、腎炎性尿所見と同時に、3ヵ月以内に30%以上の腎機能の悪化がある場合にはRPGNを疑い、専門医への紹介を勧める。新たに出現した尿異常の場合、RPGNを念頭において、腎機能の変化が無いかを確認するべきである。■ 確定診断のための指針(1)病歴の聴取、過去の検診、その他の腎機能データを確認し、数週~数ヵ月の経過で急速に腎不全が進行していることの確認。(2)血尿(多くは顕微鏡的血尿、まれに肉眼的血尿)、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱などの腎炎性尿所見を認める。以上の2項目を同時に満たせば、RPGNと診断することができる。なお、過去の検査歴などがない場合や来院時無尿状態で尿所見が得られない場合は臨床症候や腎臓超音波検査、CT検査などにより、腎のサイズ、腎皮質の厚さ、皮髄境界、尿路閉塞などのチェックにより、慢性腎不全との鑑別を含めて、総合的に判断する。■ 病型診断可能な限り速やかに腎生検を行い、確定診断と同時に病型診断を行う。併せて血清マーカー検査や他臓器病変の評価により二次性を含めた病型の診断を行う。■ 鑑別診断鑑別を要する疾患としては、さまざまな急性腎障害を来す疾患が挙げられる。とくに高齢者では血尿を含めた無症候性血尿例に、脱水、薬剤性腎障害の併発がある場合などが該当する。また、急性間質性腎炎、悪性高血圧症、強皮症腎クリーゼ、コレステロール結晶塞栓症、溶血性尿毒症症候群などが類似の臨床経過をたどる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)入院安静を基本とする。本症の発症・進展に感染症の関与があること、日和見感染の多さなどから、環境にも十分配慮し、可能な限り感染症の合併を予防することが必要である。RPGNは、さまざまな原疾患から発症する症候群であり、その治療も原疾患により異なる。本稿では、ANCA陽性のpauci-immune型RPGNの治療法を中心に示す。治療の基本は、副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬による免疫抑制療法である。初期治療は、副腎皮質ホルモン製剤で開始し、炎症の沈静化を図る。早期の副腎皮質ホルモン製剤の減量が必要な場合や糖尿病などの併発例で血糖管理困難例には、アバコパンの併用を行う。初期の炎症コントロールを確実にするためにシシクロホスファミド(経口あるいは静注)またはリツキシマブの併用を行う。また、高度腎機能障害を伴う場合には血漿交換療法を併用する。これらの治療で約6ヵ月間、再発、再燃なく加療後に、維持治療に入る。維持治療については経口の免疫抑制薬や6ヵ月毎のリツキシマブの投与を行う。また、日和見感染症は、呼吸不全により発症することが多い。免疫抑制療法中には、ST合剤(1~2g 48時間毎/保険適用外使用)の投与や、そのほかの感染症併発に細心の注意をはらう。4 今後の展望RPGNの生命予後は各病型とも早期発見、早期治療開始が進み格段の改善をみた。しかしながら、進行が急速で治療開始時の腎機能進行例の腎予後はいまだ不良であり、初期治療ならびにその後の維持治療に工夫を要する。新たな薬剤の治験が開始されており、早期発見体制の確立と共に、予後改善の実現が待たれる。抗GBM腎炎については、早期発見がいまだ不能で、過去30年間にわたり腎予後は不良のままで改善はみられていない。現在欧州を中心に抗GBM腎炎に対する新たな薬物治療の治験が進められている7)。5 主たる診療科腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本腎臓学会ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)急速進行性腎炎症候群の診療指針 第2版(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 急速進行性糸球体腎炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)旭 浩一ほか. 腎臓領域指定難病 2017年度新規受療患者数:全国アンケート調査. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎疾患に関する調査研究 平成30年度分担研究報告書.2019.2)杉山 斉ほか. 腎臓病総合レジストリー(J-RBR/J-KDR) 2022年次報告と経過報告.第66回日本腎臓学会学術総会3)日本透析医学会 編集. 我が国の慢性透析療法の現況(2022年12月31日現在)4)Atkins RC, et al. J Am Soc Nephrol. 1996;7:2271-2278.5)厚生労働省特定疾患進行性腎障害に関する調査研究班. 急速進行性腎炎症候群の診療指針 第2版. 日腎誌. 2011;53:509-555.6)Kaneko S, et al. Clin Exp Nephrol. 2022;26:234-246.7)Soveri I, et al. Kidney Int. 2019;96:1234-1238.公開履歴初回2024年11月7日

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抗核抗体検査【日常診療アップグレード】第16回

抗核抗体検査問題21歳女性。2週間前から昼間に37.5℃の発熱がよくある。朝と夕方は平熱である。軽度の食欲低下あり。それ以外は明らかな症状なし。関節痛なし。皮疹なし。全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病の可能性を考えて抗核抗体(ANA)をオーダーした。

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関節炎を診るときの鑑別診断【1分間で学べる感染症】第13回

画像を拡大するTake home message関節炎を診る際には「急性・慢性」「単関節・多関節」の組み合わせで4つにカテゴリー分けをしたうえで診断を進める。皆さんは関節炎を訴える患者さんを診る際、どのように問診や検査を進めていきますか?今回は、関節炎をカテゴリーに分けてその特徴を学んでいきましょう。関節炎は、その臨床経過や関与する関節の数に基づいて分類され、この分類結果が診断や治療の方針決定に役立ちます。具体的には「急性」か「慢性」か、1つの関節だけに起こる「単関節炎」か、多くの関節に起こる「多関節炎」か、これらの組み合わせで4つのカテゴリーに分類します。I. 急性単関節炎急性単関節炎では、主な原因として細菌性関節炎、結晶誘発性関節炎、外傷性関節炎が考えられます。【細菌性関節炎】細菌性関節炎には非淋菌性と淋菌性があり、非淋菌性関節炎の原因菌としては一般的に黄色ブドウ球菌が最多で、それにβ溶血性連鎖球菌が続きます。また、頻度は高くないものの、高齢者や免疫抑制患者ではグラム陰性桿菌も考えられます。一方、淋菌性関節炎は性行為を介して感染し、移動性の関節痛がみられることが特徴です。【結晶誘発性関節炎】臨床上、細菌性と判断が難しいケースが多いです。痛風と偽痛風があり、偽痛風は、ピロリン酸カルシウムが関節に沈着し炎症を引き起こし、高齢者に多い傾向があります。【外傷性関節炎】外傷や過度の運動によるもの。このほかの急性単関節炎の鑑別としては、反応性関節炎や急性多関節炎の初期段階などが挙げられます。II. 急性多関節炎急性多関節炎では、主な原因として細菌性関節炎、ウイルス性関節炎が考えられます。【細菌性関節炎】感染性心内膜炎を含めた全身性の血行性感染や淋菌性関節炎などが含まれます。感染性心内膜炎は歯科治療歴や心雑音などを診断の手掛かりとします。また、淋菌性関節炎ではリスクのある性交渉歴がポイントとなります。全例ではないものの、移動性の関節痛がみられるのも特徴です。【ウイルス性関節炎】インフルエンザやCOVID-19などを含めた呼吸器感染症のほか、ヒトパルボウイルスB19感染では皮疹や小児との接触歴が重要な診断の手掛かりです。とくに急性HIV感染症はリスクが高く、早期の診断が重要です。また、肝炎ウイルスによるものも報告されており、輸血歴や性交渉歴、刺青がリスクファクターとして挙げられます。このほかの急性多関節炎の鑑別としては、慢性多関節炎の初期段階などが挙げられます。III. 慢性単関節炎慢性単関節炎では、まれであるものの抗酸菌性関節炎や大腿骨頭壊死、悪性腫瘍などが鑑別診断として考えられます。MRIによる画像診断やそのほかのリスクを考慮する必要があります。このほかに、慢性多関節炎の早期段階などが挙げられます。IV. 慢性多関節炎慢性多関節炎では、関節リウマチやSLE(全身性エリテマトーデス)、リウマチ性多発筋痛症を含めた自己免疫疾患をまず検討します。ほかには変形性関節症などが鑑別診断として挙げられます。そのほかの症状や身体所見、家族歴、各種スクリーニング検査などを総合的に判断し診断を進める必要があります。これらの4つのカテゴリーを大まかに理解しながら、さらなる追加問診や該当関節以外の身体所見を加えて、診断のための次なる検査をスムーズに進めていくようにしましょう。1)Earwood JS, et al. Am Fam Physician. 2021;104:589-597.2)Horowitz DL, et al. Am Fam Physician. 2011;84:653-660.3)McBride S, et al. Clin Infect Dis. 2020;70:271-279.4)Lin WT, et al. J Microbiol Immunol Infect. 2017;50:527-531.

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関節リウマチは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆は認められない

 遺伝的に予測された関節リウマチ(RA)と気管支拡張症リスクとの間には因果関係があるというメンデルランダム化(MR)研究の結果が「Frontiers in Medicine」に6月20日掲載された。RAは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆の関係は認められなかったという。 RAと気管支拡張症の関連を示唆する報告はいくつかなされているが、因果関係は明らかになっていない。武漢第四病院(中国)のYuanyuan Li氏らは、FinnGenコンソーシアムからRAのゲノムワイド関連研究(GWAS)データを、IEU Open GWASプロジェクトから気管支拡張症のGWASデータをそれぞれ収集し、RAと気管支拡張症の関連を検討した。単変量メンデルランダム化(UVMR)解析には、主に逆分散加重(IVW)推定を用いた。加えて、双方向MR解析、再現MR解析、多変量MR(MVMR)解析、媒介分析、感度分析も行った。 UVMR解析の結果、RAは気管支拡張症リスクを高めることが示された(オッズ比1.18、P=2.34×10-6)。東アジア人集団などを対象として行った再現MR解析でも、RAは気管支拡張症リスクを上昇させるという結果が得られた。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とグルココルチコイドの処方を調整したMVMR解析でも、オッズ比はほぼ同様であった(それぞれ1.19、1.18)。媒介分析の結果、気管支拡張症に対するRAの影響の58%は免疫抑制剤を介したものと推定された。一方で、気管支拡張症を「曝露」、RAを「結果」とした双方向MR解析では、オッズ比(1.30)は有意ではなかった(P=0.0562)。 著者らは「RAは気管支拡張症のリスクを高めることが明らかになった。その影響が免疫抑制剤によって媒介されるというのは新しい知見である。逆に、気管支拡張症がRAのリスクを増加させるという証拠は見出せなかった」と結論。その上で「医療者は、RA患者が気管支拡張症を発症する可能性があることに留意すべきだろう。今後、RA患者が気管支拡張症を発症する根本的な機序を解明するためには、より総合的な研究が必要だ」と述べている。

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その関節痛、炎症疾患が原因?

患者さん、それは…関節痛 かもしれません!関節は、痛むだけの時もあれば、炎症を起こしていることもあります。また、症状が1つの関節で生じる場合と複数の関節で生じる場合があるので、ご自身の身体のどこがどのように痛いのか、痛み以外にも以下のような症状がないか、確認してみましょう。□熱感がある□腫れている□痛みが出たのは2週間以内だ□症状は朝に出る□赤みを帯びた皮疹がある□痛みが出たのは1ヵ月以上前からだ□症状は30分以上続く◆その関節痛は…炎症疾患のせいかも!?・発熱や倦怠感はありますか・朝の手のこわばりは1時間以上続きますか・関節が腫れたり赤くなっていませんか出典:MSDマニュアルプロフェッショナル版_複数の関節の痛み、単関節および単関節周囲の痛み監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ステロイド薬の使用で糖尿病のリスクが2倍以上に

 ステロイド薬の全身投与により糖尿病の発症リスクが2倍以上高くなることを示唆するデータが報告された。英オックスフォード大学のRajna Golubic氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表した。 ステロイド薬は強力な抗炎症作用があり、喘息や関節リウマチなどの多くの疾患の治療で用いられていて、特に自己免疫性疾患の治療では欠かせないことが少なくない。ステロイド薬にはさまざまな副作用があり、そのうちの一つとして、血糖値の上昇、糖尿病リスクの増大が挙げられる。副作用リスクを下げるために、症状が現れる部位が呼吸器や皮膚などに限られている場合には、吸入や外用による局所投与が優先的に行われるが、局所投与では疾患コントロールが十分できない場合や全身性疾患の治療では、内服や注射などによる全身投与が必要となる。 今回の研究の背景としてGolubic氏は、「ステロイド薬による治療を受けている患者において、糖尿病の新規発症リスクがどの程度増大するかという点に関する既存の情報は、比較的小規模な研究に基づくものに限られていた。われわれは、この臨床疑問の正確な答えを得るために、よりサンプルサイズの大きなデータを用いた研究を行いたいと考えた」と述べている。そして、得られた結果は、「ステロイド薬が血糖値に及ぼす影響が、糖尿病のリスクを高める可能性があるという従来からの疑いを裏付けるものとなった」と述べている。 この研究では、2013年1月~2023年10月にオックスフォード大学病院に入院した成人患者45万1,606人(年齢中央値52歳、女性55%、白人69%)が解析対象とされた。これらの患者は全員、入院時点では糖尿病でなく、ステロイド薬の全身投与を受けていなかった。多くの患者は1週間以内に退院していた。 この患者群のうち1万7,258人(3.8%)に対して、入院中にステロイド薬(プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンなど)の全身投与が行われていた。ステロイド薬の使用目的は主に、自己免疫疾患や炎症性疾患、感染症などの治療だった。 ステロイド薬の全身投与を受けた1万7,258人のうち316人(1.8%)が、入院中に糖尿病を発症していた。それに対して、ステロイド薬の全身投与を受けていなかった43万4,348人の中で糖尿病を発症したのは3,430人(0.8%)だった。年齢と性別の影響を調整後、ステロイド薬の全身投与を受けた患者の糖尿病発症リスクは2.6倍高いことが明らかになった。 Golubic氏は医療従事者に向けて、「われわれの研究データによって、ステロイド薬の全身投与による糖尿病発症リスクをより正確に予測できるようになった。これにより、ステロイド薬の全身投与を要する患者に対して、より計画的なケアを進められるようになるのではないか」とコメント。また、ステロイドの内服薬が処方されることのある喘息や関節炎などの患者に対しては、「糖尿病のモニタリングを受けるべきだ」と助言している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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10月4日 徒歩の日【今日は何の日?】

【10月4日 徒歩の日】〔由来〕「と(10)four(4)」(徒歩)の語呂合わせから、日常生活で歩く習慣を付け、健康になることを目的に、「徒歩を楽しむ会」(宮崎県宮崎市)が2004(平成16)年に制定。関連コンテンツ週どのくらい身体を動かすと良い?[高齢者編]【患者説明用スライド】週どのくらい身体を動かすと良い?[成人編]【患者説明用スライド】身体活動の指標、時間ではなく歩数でもOK?高齢者の身体活動量、推奨値を変更/厚労省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」歩行を守るために気付いてほしい脚の異常/日本フットケア・足病医学会

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lupus(全身性エリテマトーデス)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第12回

言葉の由来“lupus”は自己免疫疾患の1つであるSLE(systemic lupus erythematosus:全身性エリテマトーデス)の別名として知られています。この病名は、ラテン語で「オオカミ」を意味する“lupus”に由来しています。“lupus”(ループス)という言葉が医学的に使用された起源は、中世欧州にさかのぼります。12世紀に活躍したイタリアの医師、ルッジェーロ・フルガルドが、下肢の皮膚病変を「オオカミに噛まれたような」と表現した、という記録が残っています。当時、欧州ではオオカミは身近な存在であり、オオカミに襲われた人の傷痕と、SLEの皮膚症状が類似していたことから、このような表現が用いられたと考えられています。1850年ごろから“lupus erythematosus”という言葉で顔面の蝶形紅斑が定義されるようになり、さらにその後、近代医学の父であるウィリアム・オスラー医師が皮膚の病変を全身性の症状と関連付けたことで、病気の理解がより深まりました。1971年に米国リウマチ学会が提唱した分類基準で、“systemic lupus erythematosus”(全身性エリテマトーデス)という病名が正式に採用され、現在の疾患概念が確立されました。併せて覚えよう! 周辺単語蝶形紅斑malar rash光線過敏症photosensitivity多発関節炎polyarthritis心膜炎pericarditis胸水pleural effusionこの病気、英語で説明できますか?Lupus is an autoimmune disease where the immune system attacks healthy tissues, leading to inflammation and damage in various parts of the body, including the skin, joints, kidneys, and heart. Symptoms can range from mild to severe and may include fatigue, joint pain, skin rashes, and fever.講師紹介

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hs-cTnTは関節リウマチ患者のMACEと死亡に関連

 関節リウマチ(RA)患者において、検出可能なレベルの高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)は、主要心血管イベント(MACE)および全死亡のリスク上昇と関連するとするリサーチレターが、「The Journal of Rheumatology」に6月15日掲載された。 米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBrittany N. Weber氏らは、RA患者331人を対象に、検出可能なhs-cTnTの臨床的に確立された閾値と、MACE(急性冠症候群、脳卒中、心血管死)および全死亡との長期的関連を検討した。 ベースラインの時点で、10年間のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクの中央値は3.87%と推定された。解析の結果、検出可能なhs-cTnTを有した患者は117人(35.3%)であった(中央値8.98mg/dL)。10年間でMACEは16例(4.8%)、全死亡は50例(15.1%)確認された。検出可能なhs-cTnTと将来のMACEとの間には関連が認められた(ハザード比7.13)。この有意な関連は、ASCVDリスクとlog高感度CRP(hsCRP)による調整後(同4.29)、およびASCVDリスクとDisease Activity Score in 28 joints based on CRP(DAS28-CRP)スコアで調整後(同5.79)も持続した。検出可能なhs-cTnTと全死亡にも同様の関連が見られ(同7.2)、調整後もそれぞれ持続した(同4.18、4.74)。ASCVDリスクスコアは単独でMACEと有意に関連していた。 著者らは「今回の結果から、ASCVDリスクが全体的に低いと推定されるRA患者の心血管リスク評価を改善するマーカーとして、hs-cTnTが有用である可能性が示唆される」と述べている。 なお複数人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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脾腫の鑑別診断(1)[総論編]【1分間で学べる感染症】第9回

画像を拡大するTake home message脾腫の鑑別診断は「CHINA」で覚えよう。今回は、脾腫の鑑別診断について学んでいきましょう。脾腫を診るとき、皆さんは何を考えますか?鑑別診断は多岐にわたりますが、大まかな分類を覚えるのに「CHINA」という語呂合わせが有用です。この「CHINA」の語呂合わせを頭に入れながら、脾腫の病態生理学的な機序を理解すると、さらに覚えやすくなります。まず、うっ滞性の脾腫としては、脾静脈または門脈の閉塞や肝静脈の流出障害などにより門脈内の血流に対する抵抗が増大することによって生じる門脈圧亢進症が代表例です。また、がんの転移、骨髄性腫瘍などのように、脾臓環境に腫瘍細胞が侵入することによっても脾腫が引き起こされます。悪性リンパ腫のように、固有の免疫細胞自体が腫瘍を形成する場合もあります(感染性の鑑別診断に関しては次回説明します)。さらには、関節リウマチ、サルコイドーシスなどでは、免疫活動の増加とそれに続く過形成により脾腫を来します。感染性心内膜炎もこの免疫学的機序が知られています。これらのうち、とくに巨大な脾腫を来すものが「3M」と呼ばれ、Malaria:マラリアMyelofibrosis:骨髄線維症CML:慢性骨髄性白血病を指します。脾腫を来した患者を診る場合には、これらの大きなカテゴリーで鑑別を考えることにより、ほかの所見と組み合わせて診断に寄与することがあります。皆さんも「CHINA」という語呂合わせを覚えて、脾腫の病態生理学的な機序の理解に役立ててください。1)Aldulaimi S, et al. Am Fam Physician. 2021;104:271-276.

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シェーグレン症候群、抗CD40抗体iscalimabが有望/Lancet

 シェーグレン症候群の治療において、プラセボと比較して抗CD40モノクローナル抗体iscalimabは、疾患活動性に関して有意な用量反応関係を示し、忍容性も良好であることが、英国・University Hospitals Birmingham NHS Foundation TrustのBenjamin A. Fisher氏らが実施した「TWINSS試験」で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2024年8月10日号で報告された。2つのコホートの無作為化プラセボ対照第IIb相試験 TWINSS試験は、23ヵ国71施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2019年10月~2022年2月に参加者のスクリーニングを行った(Novartis Pharmaの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)の2016年のシェーグレン症候群診断基準を満たす患者273例を登録した。 このうち用量設定を行うコホート1には、ESSDAI(EULAR Sjogren's Syndrome Disease Activity Index)スコアが5点以上、ESSPRI(EULAR Sjogren's Syndrome Patient Reported Index)スコアが5点以上の患者173例を登録し、iscalimab 150mgを皮下投与する群に44例、同300mg群に43例、同600mg群に43例、プラセボ群に43例を無作為に割り付けた。各群の年齢中央値の範囲は52.0~56.0歳、女性の割合の範囲は93~95%であった。 また、概念実証を行うコホート2には、ESSDAIスコアが5点未満、ESSPRI(乾燥症状または疲労)スコアが5点以上で、日常生活へのドライアイの影響スコアが30点以上の患者100例を登録し、iscalimab 600mgまたはプラセボを皮下投与する群に50例ずつ割り付けた。各群の年齢中央値の範囲は49.0~55.5歳、女性の割合の範囲は96~100%だった。 主要エンドポイントは、コホート1がベースラインから24週目までのESSDAIの変化に基づきiscalimabの用量反応関係を示すこと、コホート2が24週目のESSPRIの変化に関してiscalimab 600mgの効果を評価することであった。150mg群と600mg群で、ESSDAIスコアが有意に改善 コホート1では、4つのモデルのうち1つ(Linlogモデル)においてプラセボで補正したESSDAIのベースラインからの変化が、多重比較法(MCP)で有意な用量反応関係を示した(片側p=0.0041)。 また、ESSDAIスコアはiscalimabの3つの用量群ともベースラインから24週目まで経時的に低下し、150mg群と600mg群では有意な改善を認めた。プラセボで補正した最小二乗平均差は、150mg群-3.0(95%信頼区間[CI]:-4.9~-1.1、p=0.0025)、600mg群-2.9(-4.9~-1.0、p=0.0037)であった。ESSPRIの総スコアも改善傾向 コホート2では、ESSPRIの総スコアがiscalimab 600mg群で改善する傾向がみられた(プラセボで補正した最小二乗平均のベースラインからの変化:-0.57点、95%CI:-1.30~0.15、p=0.12)。ESSPRIの下位尺度の解析では、iscalimab 600mgによるESSPRI改善の主な因子は、乾燥症状(最小二乗平均差:-1.0点、95%CI:-1.8~-0.2、p=0.016)および疲労(-0.8点、-1.7~0.1、p=0.067)であった。 重篤な有害事象は、コホート1で9例(プラセボ群1例[2%]、iscalimab 150mg群1例[2%]、同300mg群3例[7%]、同600mg群4例[9%])、コホート2で4例(各群2例[4%]ずつ)発現した。有害事象による投与中止は、コホート1で8例(プラセボ群1例[2%]、iscalimab 150mg群1例[2%]、同300mg群1例[2%]、同600mg群5例[11%])、コホート2で4例(プラセボ群 3例[6%]、iscalimab 600mg群1例[2%])でみられた。 著者は、「抗CD40標的療法は、シェーグレン症候群の主な症状(乾燥、疲労)および全身症状の治療に有効である可能性が示唆される」としている。

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NSAIDの“有害な処方”、とくに注意すべき患者群とは/BMJ

 イングランドでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は5つの高リスク集団において、回避可能な害(avoidable harm)と医療費増加の継続的な原因であり、とくに慢性疾患を有する集団や経口抗凝固薬を使用している集団において急性イベント誘発の原因となっていることが、英国・マンチェスター大学のElizabeth M. Camacho氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年7月24日号で報告された。高リスク集団を対象とするイングランドのコホート研究 研究グループは、イングランドの高リスク集団における問題のある経口NSAID処方に関して、発生率、有害性、英国国民保健サービス(NHS)の費用の定量化を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。 対象は、経口NSAIDを処方された5つの高リスク集団(胃腸保護薬を使用していない高齢者[65歳以上]、経口抗凝固薬の併用者、心不全患者、慢性腎臓病患者、消化性潰瘍の既往歴を有する者)であった。有害な処方によりQALYが失われ、医療費が増加 NSAID処方が有害でなかった場合と比較して、有害な処方により質調整生存年(QALY)の損失と費用の増加を認めた。1例当たりのQALY損失の平均値は、「消化性潰瘍の既往歴」の0.01(95%信用区間[CrI]:0.01~0.02)から「慢性腎障害患者」の0.11(0.04~0.19)までの範囲であった。また、医療費増加の平均値は、「心不全」の14ポンド(=17ユーロ、18ドル)(95%CrI:-71~98、有意差なし)から「経口抗凝固薬の併用者」の1,097ポンド(236~2,542、有意差あり)までの範囲だった。 また、1,000例当たりの有害な処方の発生は、「消化性潰瘍の既往歴を有する者」の0.11から「胃腸保護薬を使用していない高齢者」の1.70までの範囲であった。害を及ぼす可能性が最も高いのは「経口抗凝固薬の併用者」 全体として、有害な処方の頻度が最も高かったのは「胃腸保護薬を使用していない高齢者」であり、1,929(95%CrI:1,416~2,452)QALYが失われ、246万ポンド(95%CrI:65万~468万)の費用を要した。また、有害な処方の影響が最も大きかったのは「経口抗凝固薬の併用者」で、2,143(95%CrI:894~4,073)QALYが失われ、費用は2,541万ポンド(95%CrI:525万~6,001万)であった。 10年間で総計6,335(95%CrI:4,471~8,658)QALYが失われ、イングランドのNHSは3,143万ポンド(95%CrI:928万~6,711万)の費用を要したと推定された。 著者は、「イングランドでは、高リスク集団において問題のあるNSAID処方が蔓延しており、65歳以上の高齢者では、年間10万7,000例が胃腸保護薬なしにNSAIDを処方されている。NSAIDは、経口抗凝固薬を使用している者に処方された場合に、最も害を及ぼす可能性がある」としている。

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腎機能低下RAへの生物学的製剤、安全性・有効性が明らかに

 血液透析(HD)患者を含む慢性腎臓病(CKD)を併存する関節リウマチ(RA)患者の治療薬についてのエビデンスは限られている。今回、虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らはCKD患者における生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の有効性・安全性を明らかにした。腎機能低下群においてもbDMARDの継続率はおおむね保持され、とくに、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬は、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者で薬剤継続率が有意に高く、無効による中止が少なかったことから、IL-6阻害薬はほかの bDMARDと比較し、単剤での治療がより有効であることを示唆した。Annals of the Rheumatic Diseases誌オンライン版2024年7月4日号掲載の報告。 本研究は、国内のHD患者を含むCKDを伴うRA患者において、最初に用いられたbDMARDの有効性・安全性を評価することを目的に、2004~21年に2つの医療機関でbDMARDを新規処方されたRA患者425例を対象に後ろ向きコホート研究を実施した。対象患者を腎機能レベルと処方されたbDMARDの作用機序別(TNFα阻害薬、IL-6阻害薬、アバタセプト[CTLA-4 Ig])で分類し、bDMARDの初回処方日から(1)最初のbDMARDの中止、(2)全死因死亡、(3)中止(追跡不能による打ち切り/2021年12月末の観察期間終了に伴う打ち切り)のいずれか早い日まで追跡調査した。 主要評価項目は薬剤の36ヵ月継続率で、副次評価項目は疾患活動性評価-C反応性蛋白/赤血球沈降速度(DAS28- CRP/ESR)の変化、プレドニゾロン投与量、薬剤中止理由(無効、感染、副作用、その他)などが含まれた。 主な結果は以下のとおり。・CKDステージはG1:165例、G2:140例、G3a:36例、G3b:14例、G4:27例、G5:43例だった。・処方の内訳はTNFα阻害薬347例(インフリキシマブ:112例、エタネルセプト:98例、セルトリズマブ:65例、ゴリムマブ:45例、アダリムマブ:27例)、IL-6阻害薬36例(トシリズマブ:34例、サリルマブ:2例)、アバタセプト42例だった。・eGFR(mL/分/1.73m2)区分を≥60、30~60、<30の3つに分け、薬剤の作用機序別に36ヵ月継続率を調査したところ、全bDMARD(45.2%、32.0%、41.4%)、TNFα阻害薬(45.3%、28.2%、34.0%)、IL-6阻害薬(47.4%、66.7%、71.4%)、アダパセプト(42.9%、37.5%、33.3%)であった。・腎機能低下群においてもbDMARDの継続率はおおむね保持されたが、eGFR<30患者のTNFα阻害薬の継続率はGFR≥60と比較し有意に低かった。・一方、IL-6阻害薬はeGFR<30患者において最も継続率が高く、無効による中止率も最も低かった (ハザード比:0.11、95%信頼区間:0.02~0.85、p=0.03)。・eGFR<30の患者のサブ解析において、HD患者と非HD患者でbDMARDの36ヵ月継続率に有意差を認めなかった。・全bDMARDは、すべてのグループにおいてDAS28-CRP/ESRを改善し、プレドニゾロンの投与量を減らした。・CKDが進行してもbDMARDの薬剤継続率は大幅に低下しなかった。 研究者らは「本研究結果より、HD患者を含むCKD合併RA患者に対する効果的かつ安全な治療選択肢として bDMARD、とくにIL-6阻害薬の検討を支持する」としている。

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線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。 PROSPER-FM試験は、米国の25の地域施設が参加した第III相無作為化対照比較試験であり、2022年2月~2023年2月に患者のスクリーニングを行った(Swing Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢22~75歳、初発の線維筋痛症と診断された患者275例(女性257例[93%]、白人229例[83%])を登録した。スマートフォン用の治療アプリ(Stanza)を用いたデジタルACT群に140例(年齢中央値49.0歳[四分位範囲[IQR]:40.5~59.0])、症状追跡アプリと、健康関連および線維筋痛症関連の教育資料へのアクセスを提供するアクティブコントロール群に135例(同49.0歳[41.0~57.0])を割り付けた。治療割り付け情報は、統計解析の担当者を除き、マスクされなかった。 主要エンドポイントは、12週の時点における症状の変化に対する患者の全般的印象度(patient global impression of change:PGIC)の改善とし、ITT解析を行った。PGICは、患者の自己評価に基づく治療の全般的な有益性の尺度であり、7つのカテゴリ(著しく改善、かなり改善、最小限の改善、変化なし、最小限の悪化、かなり悪化、著しく悪化)から患者が選択した。「最小限の改善」以上:70.6% vs.22.2%、「かなり改善」以上:25.9% vs.4.5% 12週の時点で、PGICの「最小限の改善」以上を達成した患者の割合(主解析)は、アクティブコントロール群が22.2%(30/135例)であったのに対し、デジタルACT群は70.6%(99/140例)と有意に良好であった(群間差:48.4%、95%信頼区間[CI]:37.9~58.9、p<0.0001)。 また、同時点におけるPGICの「かなり改善」以上の患者の割合は、アクティブコントロール群の4.5%(6/135例)と比較して、デジタルACT群は25.9%(36/140例)であり、有意に優れた(群間差:21.4%、95%CI:13.0~29.8、p<0.0001)。 改訂版Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQ)のベースラインから12週までの総スコアの変化(最小二乗平均)は、アクティブコントロール群が-2.2点であったのに対し、デジタルACT群は-10.3点と改善度が有意に高かった(群間差:-8.0点、95%CI:-10.98~-5.10、p<0.0001)。デバイス関連の有害事象の報告はない デバイス関連の有害事象は、両群とも報告がなかった。最も頻度の高い有害事象は、感染症および寄生虫症(デジタルACT群28%、アクティブコントロール群25%)であり、次いで精神障害関連イベント(14% vs.14%)だった。 全体的な患者満足度は、デジタルACT群が80%、アクティブコントロール群は85%であり、それぞれ80%および79%が当該アプリを再度使用すると回答した。 著者は、「線維筋痛症に対するデジタルACTによる介入は、安全かつ有効な治療選択肢であり、ガイドラインで推奨される行動療法を受ける際の実質的な障壁に対処可能と考えられる」としている。

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マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流【臨床留学通信 from Boston】第1回

マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流米国の病院では7月から新年度です。7月1日が月曜日なのもあって、ボストン郊外に引っ越しして3日ほどで生活をセットアップし、新天地のハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)で早速業務開始です。とはいっても、1日半ほどはオリエンテーションでした。ボストンのほうが住民に白人が多い印象ですが、とくに今までの施設で見たことがなかったAgainst Racism(人種差別反対)のコーナーがあり、ハーバードらしさを感じます。また、NEJMに毎週掲載される症例報告はMGHから提供されるのですが、そのEditorの先生に「何か面白い症例があったら教えてね」とオリエンテーションで説明がありました。興味深い症例があったら提示したいと思います。ただし、循環器は基本的に診断に難しい症例が少なく、難解なリウマチ系などの疾患がしばしばみられます。「Shout out Rheumatology(リウマチ学に敬意を表してください)」とも言われたので、リウマチ系の症例がよく提供されているのでしょう。NEJMの症例報告は、たとえばこちらから閲覧できます。Ganapathi L, et al. Case 20-2024: A 73-Year-Old Man with Recurrent Fever and Liver Lesions. N Engl J Med. 2024;390:2309-2319.鑑別診断から入り、最終的に病理がある症例が多く取り上げられるため、内科医の頭の体操にもってこいです。私は医学部6年生の時に内科に進むと決めてから、部活のテニスの合間など、英語の勉強も兼ねて読み始め、10年分ほどをその1年で読んでいました。また『Pocket Medicine』という本も内科医向けにMGHから出ていますが、文字どおりポケットにスッと入って、鑑別診断から最新治療まで、文献も含めてコンパクトにまとまっていておすすめです。私は研修医時代に、これで症例ごとに勉強していました。MGHでの具体的な業務内容は、次回以降に述べたいと思います。ColumnMGHの施設を紹介します。画像を拡大する現在のMGHの正面です。画像を拡大する1818年からあるMGHブルフィンチ棟です。画像を拡大する提供してもらった白衣です。白衣を着ると身が引き締まる思いですが、米国では約半数のスタッフは白衣をほとんど着ることはありません。スクラブのみ、または私服で仕事をしていることが多いです。しかし、なんとなくこの白衣は格好良いせいか、病院内で着ている人が多い印象です。今回から本連載のアイコンとなった金色のドームは、ボストンを象徴する建造物のマサチューセッツ州会議事堂です。MGHのブルフィンチ棟と同じ建築家のチャールズ・ブルフィンチによる設計で1798年に建設されました。

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日本における片頭痛患者の治療パターンと特徴

 日本における片頭痛患者にみられる実際の臨床的特徴や治療実践については、十分に調査されていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、近年の片頭痛の臨床実態、現在の治療選択肢では十分にコントロールできていない可能性のある患者の特徴を明らかにするため、レセプトデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年2月8日号の報告。 大規模レセプトデータシステムJMDCデータベースを用いて調査を行った。2018年1月~2022年7月に頭痛または片頭痛と診断された患者を対象とした頭痛コホート、頭痛コホート内で片頭痛と診断され片頭痛治療薬を使用した患者を対象とした片頭痛コホートとして定義し、検討を行った。頭痛コホートでは、医療機関の特徴、二次性頭痛を鑑別するための画像検査の状況を検討した。片頭痛コホートでは、急性期およびまたは予防的治療では十分にコントロールできていない可能性のある患者の治療パターン、および特徴を評価した。 主な結果は以下のとおり。・頭痛コホートには、98万9,514例(女性の割合:57.0%、平均年齢:40.3歳)が含まれた。1次診断のために診療所(19床以下)を受診した患者の割合は77.0%、CTおよびまたはMRIによる画像診断を行った患者の割合は30.3%であった。・片頭痛コホートでは、16万5,339例(女性の割合:65.0%、平均年齢:38.8歳)が含まれ、95.6%が急性期治療を行い、20.8%が予防的治療を実施していた。・片頭痛治療の初回選択肢は、アセトアミノフェン/非ステロイド系抗炎症薬(54.8%)が最も高く、次いでトリプタン(51.4%)であった。・初回治療では、15.6%に予防的治療が含まれていた。4回目治療時には、予防的治療の実施割合が82.2%へ増加していた。・12ヵ月以上のフォローアップ調査を行った患者のうち、薬物乱用頭痛のリスクが示唆される処方パターンが3.7%に認められた。これらの患者の特徴として、女性の割合が高い、併存疾患の有病率が高いが挙げられた。 著者らは「この研究により、医療機関に来院する片頭痛患者の約5分の1は、予防薬を使用していることが明らかとなった」とし、また、薬物乱用頭痛のリスクがある潜在的患者と片頭痛治療における診療所の役割についても述べた。

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gout(痛風)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第1回

言葉の由来痛風は英語にすると“gout”です。この“gout”、語源は諸説あるようですが、フランス語の“goute”ないし、中世ラテン語の“gutta”という言葉から来ているようです。これらの言葉にはともに“drop”(落とす)という意味があるそうです。「痛風」と「落とす」…。一瞬つながりがわかりにくいですが、痛風という病気は、古くは「血液中の原因物質が関節に“落っこちる”」ことで起きると信じられてきたそうです。ここから、この言葉が当てられたようです。そして、この由来は当たらずといえども遠からずで、痛風とは、尿酸が結晶となって関節内に“落っこちる”ことで起こるのですよね。実際に、“gout”を“drop”(落とす、滴る)という古典的な意味合いで用いるケースも、読み書きでは残っているようです。口語で耳にすることはありませんが、“gouts of phlegm”と言うと、「痰の塊」の意味となり、“drop”に近い意味合いだと思われます。日本語の「痛風」という病名の由来も諸説あるようですが、「風が当たっただけでも痛い」ところから来ている、というのが定説ですね。そう考えると、痛風は英語と日本語でまったく語源が異なるようです。併せて覚えよう! 周辺単語痛風発作gout attack尿酸urate/uric acid結晶crystalプリン体purine関節炎arthritisこの病気、英語で説明できますか?Gout is a common, painful form of arthritis. It causes swollen, red, and stiff joints. It occurs when uric acid builds up in the blood and causes inflammation in the joints.講師紹介

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第205回 コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる

コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる日本と韓国のそれぞれ1,200万例強と1,000万例強のデータを使った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRD)のリスク上昇が関連しました1,2)。自己抗原の許容が損なわれて生じる慢性の全身性筋骨格系炎症疾患一揃いがAIRDに属します3)。具体的には、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、特発性炎症性筋炎、全身性血管炎がAIRDに含まれます。COVID-19患者がAIRDに含まれるそれら自己免疫疾患をどうやらより生じ易いことが先立ついくつかの試験で示唆されています。それらの試験はいずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者と非感染者の比較に限られ、インフルエンザなどの他のウイルス感染ではどうかは調べられていません。また、COVID-19後の長期の合併症の予防に寄与しうるワクチン接種などの影響の検討もなされていません。今回新たに発表された試験では、COVID-19後のAIRD発生率が非感染者に加えてインフルエンザ感染者とも比較されました。COVID-19後のAIRD発生率上昇がもし認められたとして、それがCOVID-19に限ったことなのか呼吸器のウイルス感染症で一般的なことなのかをインフルエンザとの比較により推し量ることができるからです。また、COVID-19ワクチンにSARS-CoV-2感染後のAIRD予防効果があるかどうかも調べられました。試験ではCOVID-19かインフルエンザの患者のそれらの診断から12ヵ月までの経過とそれらのどちらも感染していない人(非感染者)の経過を追いました。その結果、先立つ試験と同様にCOVID-19患者は非感染者に比べてAIRDをより被っていました。また、COVID-19患者のAIRD発生率はインフルエンザ患者より高いことも示されました。韓国と日本のCOVID-19患者のAIRD発生リスクは非感染者をそれぞれ25%と79%上回りました。また、インフルエンザ患者との比較ではCOVID-19患者のAIRD発生率がそれぞれ30%と14%高いという結果となっています。軽症のCOVID-19患者ではワクチン接種とAIRD発生率低下の関連が認められましたが、中等症~重症のCOVID-19患者ではワクチン接種のAIRD抑制効果は認められませんでした。また、より重症のCOVID-19患者ほどAIRDをより被っていました。COVID-19を経た患者、とくに重症だった患者の診察ではAIRDの発生に注意する必要があると著者は言っています。参考1)Kim MS, et al. Ann Intern Med. 2024 Mar 5. [Epub ahead of print]2)COVID-19 associated with increased risk for autoimmune inflammatory rheumatic diseases up to a year after infection / Eurekalert3)Kim H, et al. Semin Arthritis Rheum. 2020;50:526-533.

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関節リウマチ高リスク者へのアバタセプト、発症を抑制/Lancet

 アバタセプトによる12ヵ月間のT細胞共刺激抑制は、関節リウマチへの進行を抑制し、投与終了後も有効性を持続し、安全性プロファイルも良好であることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAndrew P. Cope氏らが、英国の28施設およびオランダの3施設で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第IIb相試験「APIPPRA試験」の結果を報告した。抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性、リウマチ因子(RF)陽性および炎症性関節痛などの症状を有する人は、関節リウマチを発症するリスクが高いとされている。著者は、「関節リウマチの発症リスクを有する段階での治療介入は可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。アバタセプト12ヵ月投与・12ヵ月無投与で関節リウマチへの進行をプラセボと比較 研究グループは、炎症性関節痛を有しACPAおよびRF陽性、またはACPA高値(正常上限の3倍以上)の18歳以上の患者を登録した。炎症性関節炎と診断されたことがある患者、疾患修飾性抗リウマチ薬またはステロイドによる治療歴がある患者、臨床的に明らかな炎症性関節炎を有する患者は除外した。 適格患者を、性別、喫煙状況、国を層別因子として、アバタセプトを週1回125mg皮下投与する群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間投与した後、さらに12ヵ月間追跡調査した。 主要アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準による3関節以上の臨床的滑膜炎または関節リウマチ発症のいずれか早いほうまでの期間。副次アウトカムは疾患活動性などであった。主要アウトカムのイベント発生率は、アバタセプト群6%、プラセボ群29% 2014年12月22日~2019年1月14日に280例が登録され、このうち213例がアバタセプト群(110例)およびプラセボ群(103例)に無作為に割り付けられた。追跡調査は2021年1月13日に完了した。 主要アウトカムのイベントは、アバタセプト群で110例中7例(6%)、プラセボ群で103例中30例(29%)に認められた。Kaplan-Meier法による関節炎のない患者の推定割合は、12ヵ月時点でアバタセプト群92.8%(SE 2.6)、プラセボ群69.2%(SE 4.7)、24ヵ月時点でそれぞれ70.4%(SE 4.8)、58.5%(SE 5.4)であり、有意な群間差が認められた(log-rank検定のp=0.044)。境界内平均生存期間(RMST)の群間差は、12ヵ月時点で53日(95%信頼区間[CI]:28~78、p<0.0001)、24ヵ月時点で99日(95%CI:38~161、p=0.0016)であり、アバタセプト群が良好であった。 投与期間中はプラセボ群と比較してアバタセプト群で、疼痛スコア、機能的ウェルビーイングおよびQOLが改善し、超音波検査による潜在性滑膜炎のスコアが低かったが、この効果は24ヵ月時点では持続していなかった。 重篤な有害事象はアバタセプト群で7例、プラセボ群で11例に認められ、治療と関連なしと判定された死亡が各群1例報告された。

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ACPA陽性患者へのアバタセプト、RA発症を抑制/Lancet

 抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性の高リスク患者において、アバタセプト6ヵ月投与は、MRIの炎症所見を改善し、関節リウマチの発症リスクを低下させ、その効果は1年間無投与の観察期間終了時まで持続した。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのJuergen Rech氏らが、欧州の14施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Abatacept reversing subclinical inflammation as measured by MRI in ACPA positive arthralgia(ARIAA)試験」の結果を報告した。ACPA陽性で関節に触診で確認できない炎症性変化を有する患者は、関節リウマチを発症するリスクが高い。しかし、このような前臨床期疾患の進行を阻止する治療戦略は、まだ開発されていなかった。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。6ヵ月投与、12ヵ月無投与で観察 研究グループは、ACPA陽性で関節痛を有し(ただし腫脹はなし)、利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎を認める成人(18歳以上)患者を、アバタセプト(週1回125mg皮下投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間投与した後、二重盲検下のまま無投薬で12ヵ月間観察した。 主要アウトカムは、6ヵ月時の利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合であった。副次アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準を満たす関節リウマチの発症などで、主要有効性解析は、無作為に割り付けられ試験薬を投与されたすべての患者(修正ITT集団)を対象とし、安全性解析は試験薬を投与されベースライン後の観察が少なくとも1回あった患者を対象とした。6ヵ月時のMRI炎症所見の改善、アバタセプト群57% vs.プラセボ群31% 2014年11月6日~2021年6月15日に139例がスクリーニングされ、適格患者100例がアバタセプト群(50例)およびプラセボ群(50例)に無作為に割り付けられた。2例(各群1例)が投与失敗または治療拒否により除外され、98例が修正ITT集団に包含された。98例中70例(71%)が女性、28例(29%)が男性であった。 6ヵ月時にMRIで潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合は、アバタセプト群57%(28/49例)、プラセボ群31%(15/49例)であった(絶対群間差:26.5%、95%信頼区間[CI]:5.9~45.6、p=0.014)。また、関節リウマチを発症した患者の割合は、それぞれ35%(17/49例)、57%(28/49例)であった(ハザード比0.14、95%CI:0.04~0.47]、p=0.018)。いずれも、投与終了から12ヵ月経過した18ヵ月時も、両群間に有意差が認められた。 重篤な有害事象は、11例に12件発生した(アバタセプト群48例中4例[8%]、プラセボ群49例中7例[14%])。試験期間中の死亡例はなかった。

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