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線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。 PROSPER-FM試験は、米国の25の地域施設が参加した第III相無作為化対照比較試験であり、2022年2月~2023年2月に患者のスクリーニングを行った(Swing Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢22~75歳、初発の線維筋痛症と診断された患者275例(女性257例[93%]、白人229例[83%])を登録した。スマートフォン用の治療アプリ(Stanza)を用いたデジタルACT群に140例(年齢中央値49.0歳[四分位範囲[IQR]:40.5~59.0])、症状追跡アプリと、健康関連および線維筋痛症関連の教育資料へのアクセスを提供するアクティブコントロール群に135例(同49.0歳[41.0~57.0])を割り付けた。治療割り付け情報は、統計解析の担当者を除き、マスクされなかった。 主要エンドポイントは、12週の時点における症状の変化に対する患者の全般的印象度(patient global impression of change:PGIC)の改善とし、ITT解析を行った。PGICは、患者の自己評価に基づく治療の全般的な有益性の尺度であり、7つのカテゴリ(著しく改善、かなり改善、最小限の改善、変化なし、最小限の悪化、かなり悪化、著しく悪化)から患者が選択した。「最小限の改善」以上:70.6% vs.22.2%、「かなり改善」以上:25.9% vs.4.5% 12週の時点で、PGICの「最小限の改善」以上を達成した患者の割合(主解析)は、アクティブコントロール群が22.2%(30/135例)であったのに対し、デジタルACT群は70.6%(99/140例)と有意に良好であった(群間差:48.4%、95%信頼区間[CI]:37.9~58.9、p<0.0001)。 また、同時点におけるPGICの「かなり改善」以上の患者の割合は、アクティブコントロール群の4.5%(6/135例)と比較して、デジタルACT群は25.9%(36/140例)であり、有意に優れた(群間差:21.4%、95%CI:13.0~29.8、p<0.0001)。 改訂版Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQ)のベースラインから12週までの総スコアの変化(最小二乗平均)は、アクティブコントロール群が-2.2点であったのに対し、デジタルACT群は-10.3点と改善度が有意に高かった(群間差:-8.0点、95%CI:-10.98~-5.10、p<0.0001)。デバイス関連の有害事象の報告はない デバイス関連の有害事象は、両群とも報告がなかった。最も頻度の高い有害事象は、感染症および寄生虫症(デジタルACT群28%、アクティブコントロール群25%)であり、次いで精神障害関連イベント(14% vs.14%)だった。 全体的な患者満足度は、デジタルACT群が80%、アクティブコントロール群は85%であり、それぞれ80%および79%が当該アプリを再度使用すると回答した。 著者は、「線維筋痛症に対するデジタルACTによる介入は、安全かつ有効な治療選択肢であり、ガイドラインで推奨される行動療法を受ける際の実質的な障壁に対処可能と考えられる」としている。

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マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流【臨床留学通信 from Boston】第1回

マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流米国の病院では7月から新年度です。7月1日が月曜日なのもあって、ボストン郊外に引っ越しして3日ほどで生活をセットアップし、新天地のハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)で早速業務開始です。とはいっても、1日半ほどはオリエンテーションでした。ボストンのほうが住民に白人が多い印象ですが、とくに今までの施設で見たことがなかったAgainst Racism(人種差別反対)のコーナーがあり、ハーバードらしさを感じます。また、NEJMに毎週掲載される症例報告はMGHから提供されるのですが、そのEditorの先生に「何か面白い症例があったら教えてね」とオリエンテーションで説明がありました。興味深い症例があったら提示したいと思います。ただし、循環器は基本的に診断に難しい症例が少なく、難解なリウマチ系などの疾患がしばしばみられます。「Shout out Rheumatology(リウマチ学に敬意を表してください)」とも言われたので、リウマチ系の症例がよく提供されているのでしょう。NEJMの症例報告は、たとえばこちらから閲覧できます。Ganapathi L, et al. Case 20-2024: A 73-Year-Old Man with Recurrent Fever and Liver Lesions. N Engl J Med. 2024;390:2309-2319.鑑別診断から入り、最終的に病理がある症例が多く取り上げられるため、内科医の頭の体操にもってこいです。私は医学部6年生の時に内科に進むと決めてから、部活のテニスの合間など、英語の勉強も兼ねて読み始め、10年分ほどをその1年で読んでいました。また『Pocket Medicine』という本も内科医向けにMGHから出ていますが、文字どおりポケットにスッと入って、鑑別診断から最新治療まで、文献も含めてコンパクトにまとまっていておすすめです。私は研修医時代に、これで症例ごとに勉強していました。MGHでの具体的な業務内容は、次回以降に述べたいと思います。ColumnMGHの施設を紹介します。画像を拡大する現在のMGHの正面です。画像を拡大する1818年からあるMGHブルフィンチ棟です。画像を拡大する提供してもらった白衣です。白衣を着ると身が引き締まる思いですが、米国では約半数のスタッフは白衣をほとんど着ることはありません。スクラブのみ、または私服で仕事をしていることが多いです。しかし、なんとなくこの白衣は格好良いせいか、病院内で着ている人が多い印象です。今回から本連載のアイコンとなった金色のドームは、ボストンを象徴する建造物のマサチューセッツ州会議事堂です。MGHのブルフィンチ棟と同じ建築家のチャールズ・ブルフィンチによる設計で1798年に建設されました。

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ゴルフや水泳がALSリスクを上昇させる?

 ゴルフ、ガーデニングや庭仕事、木工、狩猟などの余暇活動は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症リスク上昇と関連している可能性があるという研究結果が、「Journal of the Neurological Sciences」2月15日号に掲載された。 米ミシガン大学アナーバー校のStephen A. Goutman氏らは、ALS患者400人と健康対照者287人を対象に、趣味、運動、余暇活動に関連するリスクを調査した。 解析の結果、ALS診断の5年前にゴルフ(オッズ比3.48)、レクリエーションダンス(同2.00)、ガーデニングや庭仕事(同1.71)をしていたことが、ALSに関連するリスクであることが分かった。リスクと関連したその他の曝露には、個人または家族での木工活動参加(同1.76、2.21)、個人での狩猟や射撃への参加(同1.89)があった。ALSの生存および発症に関連する曝露はなかった。発症年齢の早さは、診断の5年前の水泳(3.86歳)および重量挙げ(3.83歳)と関連していた。女性では、ALSと有意な関連を示した余暇活動はなかった。 Goutman氏は、「製造業や貿易業に従事しているなどの職業的リスク因子が、ALSのリスク上昇に関連していることはすでに知られているが、余暇活動もこの疾患にとって、重要かつ修正可能なリスク因子である可能性があることを示す文献が増えている」と述べる一方、患者にこれらの活動をやめるよう助言するのは時期尚早である、との注意を促した。

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日本における片頭痛患者の治療パターンと特徴

 日本における片頭痛患者にみられる実際の臨床的特徴や治療実践については、十分に調査されていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、近年の片頭痛の臨床実態、現在の治療選択肢では十分にコントロールできていない可能性のある患者の特徴を明らかにするため、レセプトデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年2月8日号の報告。 大規模レセプトデータシステムJMDCデータベースを用いて調査を行った。2018年1月~2022年7月に頭痛または片頭痛と診断された患者を対象とした頭痛コホート、頭痛コホート内で片頭痛と診断され片頭痛治療薬を使用した患者を対象とした片頭痛コホートとして定義し、検討を行った。頭痛コホートでは、医療機関の特徴、二次性頭痛を鑑別するための画像検査の状況を検討した。片頭痛コホートでは、急性期およびまたは予防的治療では十分にコントロールできていない可能性のある患者の治療パターン、および特徴を評価した。 主な結果は以下のとおり。・頭痛コホートには、98万9,514例(女性の割合:57.0%、平均年齢:40.3歳)が含まれた。1次診断のために診療所(19床以下)を受診した患者の割合は77.0%、CTおよびまたはMRIによる画像診断を行った患者の割合は30.3%であった。・片頭痛コホートでは、16万5,339例(女性の割合:65.0%、平均年齢:38.8歳)が含まれ、95.6%が急性期治療を行い、20.8%が予防的治療を実施していた。・片頭痛治療の初回選択肢は、アセトアミノフェン/非ステロイド系抗炎症薬(54.8%)が最も高く、次いでトリプタン(51.4%)であった。・初回治療では、15.6%に予防的治療が含まれていた。4回目治療時には、予防的治療の実施割合が82.2%へ増加していた。・12ヵ月以上のフォローアップ調査を行った患者のうち、薬物乱用頭痛のリスクが示唆される処方パターンが3.7%に認められた。これらの患者の特徴として、女性の割合が高い、併存疾患の有病率が高いが挙げられた。 著者らは「この研究により、医療機関に来院する片頭痛患者の約5分の1は、予防薬を使用していることが明らかとなった」とし、また、薬物乱用頭痛のリスクがある潜在的患者と片頭痛治療における診療所の役割についても述べた。

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gout(痛風)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第1回

言葉の由来痛風は英語にすると“gout”です。この“gout”、語源は諸説あるようですが、フランス語の“goute”ないし、中世ラテン語の“gutta”という言葉から来ているようです。これらの言葉にはともに“drop”(落とす)という意味があるそうです。「痛風」と「落とす」…。一瞬つながりがわかりにくいですが、痛風という病気は、古くは「血液中の原因物質が関節に“落っこちる”」ことで起きると信じられてきたそうです。ここから、この言葉が当てられたようです。そして、この由来は当たらずといえども遠からずで、痛風とは、尿酸が結晶となって関節内に“落っこちる”ことで起こるのですよね。実際に、“gout”を“drop”(落とす、滴る)という古典的な意味合いで用いるケースも、読み書きでは残っているようです。口語で耳にすることはありませんが、“gouts of phlegm”と言うと、「痰の塊」の意味となり、“drop”に近い意味合いだと思われます。日本語の「痛風」という病名の由来も諸説あるようですが、「風が当たっただけでも痛い」ところから来ている、というのが定説ですね。そう考えると、痛風は英語と日本語でまったく語源が異なるようです。併せて覚えよう! 周辺単語痛風発作gout attack尿酸urate/uric acid結晶crystalプリン体purine関節炎arthritisこの病気、英語で説明できますか?Gout is a common, painful form of arthritis. It causes swollen, red, and stiff joints. It occurs when uric acid builds up in the blood and causes inflammation in the joints.講師紹介

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第205回 コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる

コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる日本と韓国のそれぞれ1,200万例強と1,000万例強のデータを使った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRD)のリスク上昇が関連しました1,2)。自己抗原の許容が損なわれて生じる慢性の全身性筋骨格系炎症疾患一揃いがAIRDに属します3)。具体的には、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、特発性炎症性筋炎、全身性血管炎がAIRDに含まれます。COVID-19患者がAIRDに含まれるそれら自己免疫疾患をどうやらより生じ易いことが先立ついくつかの試験で示唆されています。それらの試験はいずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者と非感染者の比較に限られ、インフルエンザなどの他のウイルス感染ではどうかは調べられていません。また、COVID-19後の長期の合併症の予防に寄与しうるワクチン接種などの影響の検討もなされていません。今回新たに発表された試験では、COVID-19後のAIRD発生率が非感染者に加えてインフルエンザ感染者とも比較されました。COVID-19後のAIRD発生率上昇がもし認められたとして、それがCOVID-19に限ったことなのか呼吸器のウイルス感染症で一般的なことなのかをインフルエンザとの比較により推し量ることができるからです。また、COVID-19ワクチンにSARS-CoV-2感染後のAIRD予防効果があるかどうかも調べられました。試験ではCOVID-19かインフルエンザの患者のそれらの診断から12ヵ月までの経過とそれらのどちらも感染していない人(非感染者)の経過を追いました。その結果、先立つ試験と同様にCOVID-19患者は非感染者に比べてAIRDをより被っていました。また、COVID-19患者のAIRD発生率はインフルエンザ患者より高いことも示されました。韓国と日本のCOVID-19患者のAIRD発生リスクは非感染者をそれぞれ25%と79%上回りました。また、インフルエンザ患者との比較ではCOVID-19患者のAIRD発生率がそれぞれ30%と14%高いという結果となっています。軽症のCOVID-19患者ではワクチン接種とAIRD発生率低下の関連が認められましたが、中等症~重症のCOVID-19患者ではワクチン接種のAIRD抑制効果は認められませんでした。また、より重症のCOVID-19患者ほどAIRDをより被っていました。COVID-19を経た患者、とくに重症だった患者の診察ではAIRDの発生に注意する必要があると著者は言っています。参考1)Kim MS, et al. Ann Intern Med. 2024 Mar 5. [Epub ahead of print]2)COVID-19 associated with increased risk for autoimmune inflammatory rheumatic diseases up to a year after infection / Eurekalert3)Kim H, et al. Semin Arthritis Rheum. 2020;50:526-533.

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関節リウマチ高リスク者へのアバタセプト、発症を抑制/Lancet

 アバタセプトによる12ヵ月間のT細胞共刺激抑制は、関節リウマチへの進行を抑制し、投与終了後も有効性を持続し、安全性プロファイルも良好であることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAndrew P. Cope氏らが、英国の28施設およびオランダの3施設で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第IIb相試験「APIPPRA試験」の結果を報告した。抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性、リウマチ因子(RF)陽性および炎症性関節痛などの症状を有する人は、関節リウマチを発症するリスクが高いとされている。著者は、「関節リウマチの発症リスクを有する段階での治療介入は可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。アバタセプト12ヵ月投与・12ヵ月無投与で関節リウマチへの進行をプラセボと比較 研究グループは、炎症性関節痛を有しACPAおよびRF陽性、またはACPA高値(正常上限の3倍以上)の18歳以上の患者を登録した。炎症性関節炎と診断されたことがある患者、疾患修飾性抗リウマチ薬またはステロイドによる治療歴がある患者、臨床的に明らかな炎症性関節炎を有する患者は除外した。 適格患者を、性別、喫煙状況、国を層別因子として、アバタセプトを週1回125mg皮下投与する群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間投与した後、さらに12ヵ月間追跡調査した。 主要アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準による3関節以上の臨床的滑膜炎または関節リウマチ発症のいずれか早いほうまでの期間。副次アウトカムは疾患活動性などであった。主要アウトカムのイベント発生率は、アバタセプト群6%、プラセボ群29% 2014年12月22日~2019年1月14日に280例が登録され、このうち213例がアバタセプト群(110例)およびプラセボ群(103例)に無作為に割り付けられた。追跡調査は2021年1月13日に完了した。 主要アウトカムのイベントは、アバタセプト群で110例中7例(6%)、プラセボ群で103例中30例(29%)に認められた。Kaplan-Meier法による関節炎のない患者の推定割合は、12ヵ月時点でアバタセプト群92.8%(SE 2.6)、プラセボ群69.2%(SE 4.7)、24ヵ月時点でそれぞれ70.4%(SE 4.8)、58.5%(SE 5.4)であり、有意な群間差が認められた(log-rank検定のp=0.044)。境界内平均生存期間(RMST)の群間差は、12ヵ月時点で53日(95%信頼区間[CI]:28~78、p<0.0001)、24ヵ月時点で99日(95%CI:38~161、p=0.0016)であり、アバタセプト群が良好であった。 投与期間中はプラセボ群と比較してアバタセプト群で、疼痛スコア、機能的ウェルビーイングおよびQOLが改善し、超音波検査による潜在性滑膜炎のスコアが低かったが、この効果は24ヵ月時点では持続していなかった。 重篤な有害事象はアバタセプト群で7例、プラセボ群で11例に認められ、治療と関連なしと判定された死亡が各群1例報告された。

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ACPA陽性患者へのアバタセプト、RA発症を抑制/Lancet

 抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性の高リスク患者において、アバタセプト6ヵ月投与は、MRIの炎症所見を改善し、関節リウマチの発症リスクを低下させ、その効果は1年間無投与の観察期間終了時まで持続した。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのJuergen Rech氏らが、欧州の14施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Abatacept reversing subclinical inflammation as measured by MRI in ACPA positive arthralgia(ARIAA)試験」の結果を報告した。ACPA陽性で関節に触診で確認できない炎症性変化を有する患者は、関節リウマチを発症するリスクが高い。しかし、このような前臨床期疾患の進行を阻止する治療戦略は、まだ開発されていなかった。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。6ヵ月投与、12ヵ月無投与で観察 研究グループは、ACPA陽性で関節痛を有し(ただし腫脹はなし)、利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎を認める成人(18歳以上)患者を、アバタセプト(週1回125mg皮下投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間投与した後、二重盲検下のまま無投薬で12ヵ月間観察した。 主要アウトカムは、6ヵ月時の利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合であった。副次アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準を満たす関節リウマチの発症などで、主要有効性解析は、無作為に割り付けられ試験薬を投与されたすべての患者(修正ITT集団)を対象とし、安全性解析は試験薬を投与されベースライン後の観察が少なくとも1回あった患者を対象とした。6ヵ月時のMRI炎症所見の改善、アバタセプト群57% vs.プラセボ群31% 2014年11月6日~2021年6月15日に139例がスクリーニングされ、適格患者100例がアバタセプト群(50例)およびプラセボ群(50例)に無作為に割り付けられた。2例(各群1例)が投与失敗または治療拒否により除外され、98例が修正ITT集団に包含された。98例中70例(71%)が女性、28例(29%)が男性であった。 6ヵ月時にMRIで潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合は、アバタセプト群57%(28/49例)、プラセボ群31%(15/49例)であった(絶対群間差:26.5%、95%信頼区間[CI]:5.9~45.6、p=0.014)。また、関節リウマチを発症した患者の割合は、それぞれ35%(17/49例)、57%(28/49例)であった(ハザード比0.14、95%CI:0.04~0.47]、p=0.018)。いずれも、投与終了から12ヵ月経過した18ヵ月時も、両群間に有意差が認められた。 重篤な有害事象は、11例に12件発生した(アバタセプト群48例中4例[8%]、プラセボ群49例中7例[14%])。試験期間中の死亡例はなかった。

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第80回 外来で増えた「私も抗MDA5抗体ですか?」

Unaplashより使用八代 亜紀さんが、抗MDA5抗体陽性の間質性肺炎増悪のため逝去されました。東日本大震災のときに被災地に行って歌っていたのが印象的でした。彼女が亡くなってからというもの、膠原病関連間質性肺疾患で通院している患者さんから「私も八代 亜紀さんのように肺炎が急速に悪化しないでしょうか?」「私も抗MDA5抗体陽性でしょうか?」という質問が増えました。確かに心配になりますよね。ただ、現在通院している人が実は抗MDA5抗体陽性でした、ということは今の日本の診療ではほとんどないと思います。たぶん。抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎は通称、CADM(Clinically amyopathic dermatomyositis:筋症状のない皮膚筋炎)と呼ばれていますが、その他の膠原病と比較して重症の間質性肺炎を起こしやすい特徴があります。この抗体が陽性になった場合、「スイッチが入る」と表現する医師が多いです。同抗体が測定されないと診断しようがないのは事実ですが、皮膚筋炎をみたときにはチェックしておきたいですし、手の潰瘍やGottron徴候・逆Gottron徴候があるのに抗核抗体が陰性ならば疑う必要があります1)。そして、この疾患を診療していくうえで、とにかく重要なのはフェリチンと考えられます。抗MDA5抗体陽性例では、フェリチン高値(≧500ng/mL)は死亡リスクが高くなり、高いほど予後不良になっていきます2)。「同じ病気」で死去したとされるのが美空 ひばりさんです。Wikipediaによると、最後の1年では「脚の激痛と息苦しさで、歌う時はほとんど動かないままの歌唱であった。この頃すでに、ひばりの直接的な死因となった『間質性肺炎』の症状が出始めていたとされており、立っているだけでも限界であったひばりは、歌を歌い終わるたびに椅子に腰掛け、息を整えていたという。」と記載されています。当時は抗MDA5抗体なんて知る由もなかった時代ですし、膠原病関連間質性肺疾患でさえ存在があまり知られていなかったと思われます。ただ、彼女は肝硬変やCOPDも合併していましたし、亡くなる数年前から症状が出ていることから、「同じ病気」とは断定できないと思っております。参考文献・参考サイト1)Chen F, et al. Anti-MDA5 antibody is associated with A/SIP and decreased T cells in peripheral blood and predicts poor prognosis of ILD in Chinese patients with dermatomyositis. Rheumatology international. 2012;32:3909-3915.2)Goto T, et al. Clinical manifestation and prognostic factor in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-associated interstitial lung disease as a complication of dermatomyositis. Rheumatology. 2010 Sep;49(9):1713-1719.

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医師が医師に薦める、今年買ってよかったモノ【CareNet.com会員アンケート結果発表】

歴史的な物価上昇が続いた2023年。こんなときだからこそ、良い商品にお金を使っていきたいものではないでしょうか。CareNet.comの会員医師1,000人に、「今年買ってよかったモノ」をお聞きしました。先生方のおススメコメントとともにご紹介します。1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】[掃除機]ルンバ「j9+はゴミの収集も自動(消化器外科、30代)」「勝手に掃除してくれてゴミも収集してくれて、時短になる(内科、60代)」「すごく性能が良く、いつもベッドの下まできれいになっている(消化器外科、30代)」ダイソン「あまり汚れてないと思ったところでもかなり埃が吸えている(内科、30代)」「モップがけもできて大変良い(消化器内科、60代)」「吸引力が違う(精神科、30代)」シャーク「ハンディクリーナー:ごみ捨てが簡単で細かいところまで掃除が行いやすい(整形外科、40代)」「スティック型掃除機:コードレスで置場所もとらない(その他、50代)」その他メーカー「シャープ コードレス掃除機(最上位機種):ダイソンを使っていたが、シャープは音も静かで軽くて、吸引力も変わらなかった(心臓血管外科、50代)」「パナソニック ルーロ:スマホから操作できる(消化器内科、30代)」「エコバックス DEEBOT T20 OMNI:毎日帰るときれいな床が保たれていて最高(神経内科、30代)」[ドラム式洗濯乾燥機/乾燥機]「パナソニック:仕上がりがフワフワと口コミで見て購入したが本当だった。乾燥機つき洗濯機は乾燥がしっかりできるかが問題だが、満足できるレベル(内科、40代)」「東芝:圧倒的に生活が楽になった(臨床研修医、20代)」「アクア:コスパが良い(内科、40代)」「リンナイ 乾太くん:ガス式乾燥機は時短!(整形外科、40代)」[空気清浄機]「Airdog mini portable:車内の換気がすばらしかった(その他、50代)」「シャープ 加湿空気清浄機プラズマクラスター:今年ぜんそくにかかったが空気清浄機で改善した気がする(脳神経外科、30代)」[調理家電]トースター「アラジン:表面がカリッとしてめちゃくちゃ美味しく温まる(耳鼻咽喉科、40代)/立ち上がりが早い(呼吸器内科、60代)」「バルミューダ:パンがおいしく焼ける(血液内科、30代)」オーブンレンジ「バルミューダ:日々楽しい(心臓血管外科、50代)」「パナソニックビストロ:賢すぎる(臨床研修医、20代)」その他「Toffy ホットサンドメーカー:簡単においしいホットサンドが作れる(内科、60代)」「ソーダストリーム:家で気軽に炭酸が飲める(内科、20代)」「デロンギ コーヒーメーカー:おいしい(放射線科、30代)/エスプレッソメーカー:自宅で手軽にカフェラテが飲め、買ってよかった(小児科、30代)」「シャープ ヘルシオホットクック:発酵食品から煮物、煮込み料理まで料理の幅が広がる(皮膚科、40代)」「パナソニック ホームベーカリーSDMDX4:自宅でおいしいパンが焼ける(産婦人科、30代)」[その他]「ソニー 有機ELテレビ(BRAVIA):画像がきれい(泌尿器科、50代)」「パナソニック15V型ハイビジョンポータブル液晶テレビ(プライベート・ビエラ):家じゅう持ち歩けて便利(呼吸器内科、50代)」「ブラウン 電動歯ブラシOral-B:強力に汚れを落としてくれる(内科、40代)」「フィリップス 電動歯ブラシ:時短になる(小児科、30代)」「パナソニック ヘアドライヤーナノケアEH-NA0J:コンパクトなのに速乾・大風量で、熱くなり過ぎず、潤いを保った毛質をkeepできるすぐれもの(脳神経外科、50代)」2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】[パソコン]「MacBook Air:見た目がおしゃれで使い心地が良い(内科、50代)」「MacBook Pro:早い(消化器外科、40代)/おしゃれで高機能(精神科、40代)」「Mac mini:小型で性能が良く、価格も適切(血液内科、70代以上)」「マイクロソフト Surface Go 3:軽くて持ち運びしやすい。スライド作りにもweb講演聞くのにもネット見るのにも、wifi環境があれば使えてとても便利(リハビリテーション科、50代)」「パナソニック Let's note:壊れにくく優秀(小児科、60代)」「NEC LavieA23:Web会議に使用しやすいデスクトップを購入。オールインワン型で非常にコンパクトであり、かなりハイスペック(腎臓内科、40代)」「dynabook:毎日使用するものは高くても最新のものを買うと満足度がとても高い(外科、30代)」[スマートフォン]「iPhone15:写真がきれい(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)/快適(消化器内科、50代)」「iPhone15pro:カメラ、操作性が格段に向上(脳神経外科、60代)/散々な評判に反して、熱くならないし、電池持ちもよいし、ProMotionテクノロジーも想像以上に良い(放射線科、40代)/写真が誰でも超きれいにとれる(内科、60代)」「iPhone15ProMAX:カメラの5倍ズームで写真を撮る楽しみが倍増する(麻酔科、30代)」「iPhone SE3:コスパがよい(消化器内科、40代)」「Xperia:7年ぶりに機種変更したが、スピードも使い勝手も断然良い(精神科、50代」[タブレット]「iPad mini 6:携帯性と性能が良い(消化器内科、60代)」「iPad Pro:使い勝手がよく、作業がはかどる。モチベーションも上がる(小児科、30代)」「Amazon Fire:セールで買ったから安かったし、使い勝手も良い(整形外科、40代)」「Androidのタブレット:ほとんどの作業はこれですんでしまうので、最近Windowsはいらないかなと思うようになった(外科、50代)」[イヤホン・ヘッドホン]「AirPods Pro(第2世代):低音の出がすごい(眼科、70代以上)」「OpenComm骨伝導イヤホン:骨伝導なので耳が痛くならず、周囲の環境にも注意を払える(放射線科、30代)」「オーディオテクニカ 骨伝導イヤホンATHCC500BT:待合室のような静かな環境で聴くのに最適(その他、50代)」「Anker Bluetooth5.0ワイヤレスヘッドホンSoundcoreLifeQ20+:性能が良かった(神経内科、50代)」[その他]「Apple Watch:体を動かすこと、睡眠を取ることを意識するようになった(眼科、50代)/スマホからの離脱ができる(腎臓内科、20代)/生活が便利になった(内科、20代)」「Google Chromecast:テレビでのプレゼンに便利(精神科、40代)」「Amazon Alexa:声だけでライトの点灯消灯、テレビ・エアコン・扇風機のオンオフ、カーテンの開け閉めまでらくちんになった。リモコンがほとんど不要になりサイドテーブルが広く使えるようになった(放射線科、60代)」「GERCEO モバイルバッテリー(GERCEOHP8):複数の充電方法に対応しており、日常でも災害発生時でも役立つ(麻酔科、40代)」「エレコム パッド型iPhone充電器:iPhoneにわざわざケーブルを刺す必要がなく非常に重宝(整形外科、30代)」「EXARM ZETA モニターライト:買ってから目が疲れにくくなった(小児科、40代)」「ロジクールマウス:一度使うとやめられない(放射線科、40代)」「おもいでばこ:写真や動画の保管、整理に非常に便利。ふるさと納税の商品にある(膠原病・リウマチ科、30代)」「RayCue DisplayPortHDMI変換アダプタ:PCからモニタへ接続するDsubケーブルがごつくて邪魔でネジ止めが面倒。PCのモニタ出力からHDMIに変換して通常のHDMIケーブルで自在に接続できる(整形外科、70代以上)」3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】[トヨタ]「シエンタ:多人数で乗ることができて燃費が良い(消化器外科、60代)」「ヤリス クロス:比較的安価で安全装備が充実(糖尿病・代謝・内分泌内科、60代)」「ノア:子連れには最適なファミリーカー(麻酔科、30代)」「プリウスの新車:安全装備が充実(消化器外科、60代)」[日産]「アリア:加速や走行性、静寂性が素晴らしい(内科、60代)」「サクラ:通勤の足に最高です(神経内科、50代)」「セレナ:運転が楽(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」[他メーカー]「スバル レガシィアウトバック:いい車です(整形外科、50代)/とてもいい車です(内科、50代)」「スバル XV:オートクルーズ機能がとても良い。運転の負担が軽減された(臨床研修医、40代)」「マツダ CX8:6~7人乗りのSUV。国産車SUVの中で唯一まともに座れる3列目。インテリアの質感は国産SUVの中でも有数の出来。希少なディーゼルエンジンがある(循環器内科、40代)」「ホンダ フィット:エコカーでしっかりしていて満足(産婦人科、50代)」「メルセデス・ベンツ 新型Cセダン:ISGで電動化された(内科、60代)」「BMW X3:燃費良く静粛(小児科、60代)」「TESLA ModelX:多少値は張るものの優れた性能と唯一性がある(形成外科、30代)」「フォルクスワーゲン Golf GTI:加速の良さ、日常の走行の安定(脳神経外科、50代)」「ポルシェ 911:楽しい(糖尿病・代謝・内分泌内科、50代)」「ロータス エミーラ:ロータス最後の純ガソリンスポーツカー(脳神経外科、50代)」4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】[寝具など]「エマ・スリープ マットレス:睡眠の質が格段に上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、20代)」「コアラマットレス:寝心地がよい(内科、40代)」「トゥルースリーパー プレミアベッドマットレス:A社ポイントで入手したが、畳でも布団より快適(内科、60代)」「DryCool 高密凸凹ウレタンマットレス:反発性強いマットで、睡眠の質が上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」「西川 マットレス:大谷翔平も選んだ寝心地の良さ(循環器内科、40代)」「西川 オーダー枕:肩こりが解消され、毎晩眠ることが楽しみになった(精神科、30代)」「シルクの枕カバー:当直中も枕カバーを付け替えるだけで良い睡眠になる(内科、20代)」「リライブシャツ:途中で目が覚めることなく眠れる(皮膚科、30代)」[その他]「レンジメート:干物もギョーザもステーキも嘘みたいにうまくできる。片付けも楽。忙しい先生方にはうってつけと思う(整形外科、50代)」「ルピシア 茶こしマグモンポット:日々忙しい中でもおいしい紅茶を手軽に味わえる時間が今の癒し。食洗機も使える(精神科、20代)」「タイガー 真空断熱炭酸ボトル(MKB-T048):炭酸、食洗器対応ながらシンプルな構造で、炭酸以外の普段使いにも良い(整形外科、50代)」「松徳硝子 うすはりタンブラー:飲み物が美味しく飲める(皮膚科、20代)」「SHINfilter ステンレスコーヒーフィルター:コーヒーの味の変化に驚かされる(小児科、40代)」「ロールシュライファー 包丁研ぎ:自炊する必要に迫られた時の相棒(ナイフ)の手入れに最適!(総合診療科、60代)」「パナソニック LEDネックライト:薄暗いところでの書類の記載等、細かい作業の際手元だけを照らしてくれるため、周囲に影響が少なく非常に便利(総合診療科、50代)」「SUWADA クラシックつめ切り:ニッパー式だが、切れ味が全然違う(精神科、50代)」「リファ ファインバブル:よく落ちる(内科、50代)」5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ「Kindle Unlimited:好きな漫画がかなり読める、当直の暇つぶしになる(耳鼻咽喉科、40代)」「nosh 冷凍宅配おかず:冷凍食品だが、バランスがいい(臨床研修医、20代)/手軽においしいご飯が食べられる(臨床研修医、20代)」「ワタミの宅食 あっとごはん:子育てを機にはじめたが、とても便利で楽!(眼科、30代)」アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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人違いの秋【Dr. 中島の 新・徒然草】(500)

五百の段 人違いの秋先週金曜日に広島に行ってきました。国立病院総合医学会という学会があったからです。小雨は降ったものの暑くもなく寒くもない、ちょうどいい気候でした。午前中は「医療従事者の心理的安全を確保するための工夫」というタイトルでの講演。午後からは「若手医師フォーラム」のディスカッサントです。今回は若手医師フォーラムについてお話ししましょう。これは毎年恒例のもので、卒後10年以下の若手医師が症例報告や研究発表を英語で行います。合計で8演題ですが、採点による上位2名は表彰されて豪華副賞が授与されるというものでした。4名のディスカッサントに2つずつの演題が割り当てられており、それぞれが質問をして場を盛り上げるという仕組みです。例年はディスカッサントの専門を考慮して、私には脳外科かせいぜい神経内科といった関連領域の演題しか割り当てられなかったのですが、今年はランダムです。私には膠原病と感染症が割り当てられてしまい、学会前に大急ぎで勉強する羽目になりました。隣に座っていたディスカッサントの先生は、専門が肝臓であるにもかかわらず脳動脈瘤の研究が当たってしまい「私は適当なことしか聞けないので、中島先生も質問をお願いします」と頼まれてしまいました。皆さんそれぞれに苦労されたようです。私自身も、にわかにリウマトイド血管炎やアスペルギルス性感染性心内膜炎を勉強しなくてはなりません。幸い前日くらいに、いくつかの質問を準備することができてホッとしました。リウマトイド血管炎の発表をしたのは卒後4〜5年前後の先生でしたが、single-cell spatial transcriptome analysisを使った野心的な研究です。生まれて初めて耳にする実験方法ですが、一通り勉強してみると「世の中は進んでいるなあ」と感心させられました。自分がまったく知らない分野も、勉強してみると何かと興味深いものです。たまたまですが、演者の名字が私の同級生の名字と一緒だったので、セッションの後で「ひょっとしてお父さんは○井×彦先生?」と彼女に尋ねてみると「阪大生の時代からよく聞かれたんですが、そうではありません。私の父はサラリーマンです」という答えでした。先入観のせいか、顔なんかよく似ていたような気がしたのですが……さて、英語での発表というのは誰にとってもハードルの高いもので、非常に上手な演者もいれば、そうでない演者も混在していました。が、こういうことは挑戦することが大切だと思います。そして、たとえうまくいかなかったとしても、そのことを勉強のモチベーションにつなぐべきですね。かくいう私も久しぶりの英語でのやり取りを何とか無難にこなしたものの、やはり勉強の必要性を感じさせられました。新たに英語の勉強を再開しましたが、こういうのは目標が必要です。オンライン英会話とか、英検・TOEICの受験とか、何か目標を見つけなくてはなりません。何らかの本番を設定して、迫りくる恐怖に怯えながら勉強するか、思うようにいかなかった悔しさをバネに勉強するか、あるいは両方ともでしょうか。引き続き精進を重ねたいと思います。次回は自分自身が発表した「医療従事者の心理的安全を確保するための工夫」について述べたいと思います。最後に1句秋深し 知人の娘は 別の人

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ステロイド漸減中再発のリウマチ性多発筋痛症、サリルマブが有効/NEJM

 グルココルチコイド漸減中にリウマチ性多発筋痛症が再発した患者において、サリルマブ+prednisone漸減投与は、プラセボ+prednisone漸減投与に比べ、持続的寛解の達成とグルココルチコイド累積投与量の減少に有意な有効性を示した。米国・コーネル大学のRobert F. Spiera氏らが、合計118例を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Sarilumab in Patients with Polymyalgia Rheumatica (SAPHYR)試験」の結果を報告した。リウマチ性多発筋痛症の患者の半数以上が、グルココルチコイド漸減中に再発する。先行研究では、インターロイキン(IL)-6の阻害がリウマチ性多発筋痛症の治療で臨床的に有用である可能性が示されていた。サリルマブは、ヒトモノクローナル抗体薬で、IL-6受容体αに結合しIL-6経路を効果的に阻害することから、研究グループは、グルココルチコイド漸減中にリウマチ性多発筋痛症が再発した患者におけるサリルマブの有効性と安全性を評価する検討を行った。NEJM誌2023年10月5日号掲載の報告。52週時点の持続的寛解率を比較 SAPHYR試験は、リウマチ性多発筋痛症で、12週間以内にグルココルチコイド療法の漸減中1回以上の再発があり、赤血球沈降速度(ESR)が30mm/時以上、またはC反応性蛋白(CRP)値10mg/L以上だった患者を対象とした。 研究グループは被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはサリルマブ(200mg用量を月2回、52週間皮下投与)+prednisone(14週間漸減投与)(サリルマブ群)を、もう一方にはプラセボ(月2回、52週間皮下投与)+prednisone(52週間漸減投与)(プラセボ群)をそれぞれ投与した。 主要アウトカムは、52週時点の持続的寛解で、12週までにリウマチ性多発筋痛症の徴候や症状が消失、12~52週にCRP値の正常化が持続し、疾患の再発なし、prednisone漸減が遵守されていることと定義した。52週時点の持続的寛解の達成率、サリルマブ群28%、プラセボ群10% 2018年10月~2020年7月に合計118例が無作為化された(サリルマブ群60例、プラセボ群58例)。このうち治療を受けたのは117例で、サリルマブ群の1例が割り付けられた治療薬の投与を受けなかった。また、治療を完了したのは合計78例(サリルマブ群42例、プラセボ群36例)だった。治療中断理由で最も多かったのは、サリルマブ群は有害事象(7例)、プラセボ群は効果がみられない(9例)。ベースラインでの両群の患者特性は概して類似していた。年齢中央値は69歳、70%が女性であり、リウマチ性多発筋痛症と診断されてからの全期間中央値は300日であった。 52週時点での持続的寛解率は、サリルマブ群28%(60例中17例)、プラセボ群10%(58例中6例)だった(群間差:18ポイント、95%信頼区間:4~32、p=0.02)。 52週時点のグルココルチコイド累積投与量中央値は、プラセボ群2,044mgに対しサリルマブ群777mgと、有意に少なかった(p<0.001)。 プラセボ群と比較してサリルマブ群で頻度が高かった有害事象は、好中球減少症(15% vs.0%)、関節痛(15% vs.5%)、下痢(12% vs.2%)だった。治療関連の投与中止は、プラセボ群よりサリルマブ群でより多く観察された(12% vs.7%)。

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精神的苦痛の大きい白斑患者の特徴

 米国・Incyte CorporationのKristen Bibeau氏らが17ヵ国の白斑患者を対象に、白斑とQOL、メンタルヘルスとの関連性を調べる定性的研究を行った。その結果、世界的に白斑患者は、感情的幸福感(emotional well-being)、日常生活、心理社会的健康に大きな影響を受けていることが示された。その負荷は体表面積(BSA)5%超の病変を有する患者、肌の色が濃い患者、顔や手に病変がある患者で最も大きかった。また、本研究から、患者が振る舞いを変えたこと、明らかな不満を表出していたこと、うつ病と一致する症状を有していたことが示唆され、著者らは、これらが過小診断されている可能性があるとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。 2021年5月6日~6月21日の期間において、17ヵ国のオンラインパネルから白斑患者を募集した住民ベースの定性的研究「Vitiligo and Life Impact Among International Communities(VALIANT)試験」が実施された。 白斑の診断を受けた18歳以上の成人5,859例のうち、3,919例(66.9%)が調査を完了し、3,541例(60.4%)が解析に組み入れられた。対象患者は、Vitiligo Impact Patient scale(VIPs)を用いて、QOLやメンタルヘルスなどの感情的幸福感について質問を受けた。また、Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いてうつ症状が評価された。なお、本試験で用いられたVIPsスコアの範囲は0~60で、スコアが高いほど心理社会的負担が大きいことを示した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者3,541例の年齢中央値は38歳(範囲:18~95)、男性は1,933例(54.6%)、BSA 5%超の病変を有する患者は1,602例(45.2%)、FitzpatrickスキンタイプIV~VI(肌の色が濃い)は1,445例(40.8%)であった。・VIPsスコアの合計点(平均値±標準偏差[SD])は、全体では27.3±15.6点であり、インドの患者が40.2±14.1点と最も高スコアであった(すなわち最も負荷が大きかった)。・VIPsスコアに基づくQOL負荷は、BSA 5%超の病変を有する患者(平均32.6点[SD 14.2])、肌の色が濃い患者(31.2点[15.6])、病変が顔にある患者(30.0点[14.9])または手にある患者(29.2点[15.2])で大きかった。・白斑が日々の生活に大きな影響を及ぼしていると報告したのは、少なくとも全体の40%を占めた(衣服の選択に影響がある:55.2%[1,956/3,541例]など)。・白斑をメイクや衣服でよく隠すと報告した割合は59.4%であった。・精神科疾患の診断を受けていた割合は58.7%であった(不安症[28.8%]、うつ病[24.5%]など)。・PHQ-9に基づく中等度~重度のうつ症状は、55.0%に認められた。インドの患者(89.4%[271/303例])、BSA 5%超の病変を有する患者(72.0%[1,154/1,602例])、肌の色が濃い患者(68.3%[987/1,445例])、顔や手に病変がある患者(59.3%[1,607/2,712例])で高率に認められた。

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乾癬の治療法を徹底解説!:日野皮フ科医院 院長 日野 亮介氏

このコンテンツでは、乾癬の治療法について解説していきます。日常診療のアップデートに、ぜひご活用ください。講師紹介多くの乾癬患者さんたちからは、「ずっと同じ薬ばっかりで良くならない」というお声を多く頂きます。乾癬の治療は塗り薬しかない、と思っておられる方も多いかもしれません。しかし、そうではありません。乾癬は治療に苦労する皮膚疾患でありますが、ここ10年ほどで大変多くの治療薬が出てきました。皮膚の症状は大半の方でコントロール可能になりました。今、患者さんの乾癬はどんな状態でしょうか?患者さんのライフスタイルに応じて、適切な治療方針を選ぶための参考にしていただけると幸いです。治療がうまくいかないとき、マンネリ化したときに、次の一手を考えるヒントになってくれると思っております。このページでは、乾癬について保険適用のある治療について解説しています。乾癬には尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、乾癬性紅皮症、汎発性膿疱性乾癬、滴状乾癬の5種類があります。薬によって適用が異なりますので、ご注意ください。1.外用薬2.経口薬3.光線療法4.顆粒球吸着除去療法5.生物学的製剤まとめ参考文献1.外用薬2.経口薬3.光線療法4.顆粒球吸着除去療法5.生物学的製剤まとめ参考文献1.外用薬1-1.ステロイド外用薬ステロイド外用薬は皮膚疾患に幅広く使われていますが、もちろん乾癬にも有効です。今のところ、乾癬に一番多く使われているお薬です。多くの乾癬患者さんは、一度は塗ったことがあると思います。ステロイドは昔からある薬ですが、ここにも進歩があります。ステロイド外用薬の弱点は長期に使うと副作用が出てくる点なのですが、それを和らげるための手だてとしてシャンプーになっている薬が出ました。コムクロシャンプー(一般名:クロベタゾールプロピオン酸エステル)というもので、15分だけつける、という方法を用いて副作用を減らす工夫がなされています。また、シャンプーは薬を塗りにくい頭という場所の特性を生かした大変興味深い方法です。なお、ステロイドの飲み薬は乾癬には通常使用しません。長期的なステロイド外用薬の副作用を避けるためにも、ステロイド外用薬単体での長期的な治療は避ける必要があります。治療が長引いてきた場合は方法を見直しましょう。1-2.ビタミンD3外用薬乾癬患者さんの塗り薬で、一番大切なのはビタミンD3です。効果が出てくるまで時間がかかりますが、一度改善すると再発しにくいこと、長期間塗っても副作用が出にくいことが大切なポイントです。ただし、大量に塗ると血液中のカルシウムが増え過ぎて二日酔いのような症状(高カルシウム血症)が出る可能性がありますので、注意が必要です。皮膚の増殖を抑えるのが主な効き目ですが、IL-17という乾癬の皮膚症状に重要な役割を果たすタンパクを作りにくくすることにも役立ちます。1日2回塗ることが推奨されています。カルシポトリオール(商品名:ドボネックス):軟膏マキサカルシトール(商品名:オキサロール):軟膏、ローションタカルシトール(商品名:ボンアルファハイ):軟膏、ローションタカルシトール(商品名:ボンアルファ):軟膏、ローション、クリーム1-3.配合外用薬配合外用薬も、ここ10年の進歩の1つです。ステロイドとビタミンD3の2つを配合させた薬がデビューし、乾癬の治療に幅広く使われるようになりました。昔は、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を薬局で混ぜてもらって処方されることが多かったと思います。お薬の性質上、単純に混ぜるだけでは効果が落ちてしまいます。そのため、ステロイドとビタミンD3の両方を使いたい場合は、重ねて塗るか、両方とも特殊な製法で配合した塗り薬を使う必要があります。乾癬の塗り薬が効かない人は、まず混ぜた薬を使っていないか確認する必要があります。国内では、現在2種類の配合外用薬が使用可能です。カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(商品名:ドボベット):軟膏、ゲル、フォームゲル剤があるので頭皮の中に塗るのにも向いています。頭皮の中に塗る際は、意外にベタつくことに注意が必要です。また、フォーム剤もデビューしました。フォーム剤は塗りやすさから海外で多く使われているようです。上手に使わないと飛び散るので注意が必要です。マキサカルシトール/ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(商品名:マーデュオックス):軟膏ページTOPへ2.経口薬2-1.アプレミラスト(商品名:オテズラ)PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素をブロックする薬です。頭痛、吐き気、下痢などの副作用が最初に出ることが多いので、お薬に体を慣らしていくためのスターターパックがあります。副作用は使っていくうちに慣れてくることが多いです。長期的に内服すると体重減少の副作用もあります。効果はゆっくり出てくるので、焦らず使用することが大切です。痒みや関節の痛みにも効果があります。注射薬のような劇的な効果ではないですが、症状が軽くなるので塗り薬を塗るのが面倒な方や小さなぶつぶつがたくさん出ている方には向いています。当院では小さなぶつぶつがたくさん出て塗りにくい方、頭のぶつぶつやかさぶたが治りにくい方、少し関節が痛い方、手足に分厚いかさぶたができて治りにくい方などに使っています。また、生物学的製剤の治療が終了した、もしくは何らかの理由で中断せざるを得なかった方にも使用できます。腎機能が低下している方は、半分の量で内服する必要があります。2-2.シクロスポリン(商品名:ネオーラル)乾癬が出てくるのに重要な働きをするT細胞の働きを抑える薬です。効果は比較的速やかで、量を多くすると生物学的製剤に近いくらいの効果を得ることもできます。ただし、血圧上昇などの副作用があることは注意が必要です。長期間内服すると、腎臓にダメージが起こります。海外のガイドラインでは1年程度の服用にとどめるように勧められています。これらの理由もあり、定期的な血液検査を必要としています。2-3.メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)リウマチではよく使われている薬ではありますが、乾癬でも最近保険適用になりました。リウマトレックスだけがジェネリックも含め乾癬に保険適用となっています。日本皮膚科学会の生物学的製剤使用承認施設でのみ乾癬に使用できます。妊娠計画の少なくとも3ヵ月前から男性、女性とも内服を中断しなければなりません。腎機能障害のある方には使用できません。副作用対策として葉酸製剤を内服することがあります。2-4.エトレチナート(商品名:チガソン)エトレチナートはビタミンA誘導体であり、免疫を落とさないことにより光線療法との併用が可能です。表皮細胞の異常増殖を抑えてくれることで効果を発揮します。唇が荒れる、手足の皮がむける、皮膚が薄くなるなどの副作用があります。催奇形性といって、お腹の赤ちゃんに奇形を起こす副作用が報告されています。そのため女性は服用中止後2年間、男性は半年間避妊することが必要になります。2-5.ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)乾癬性関節炎(関節症性乾癬)に適応があります。JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬という新しいメカニズムの治療薬です。もともと関節リウマチの治療薬として使用されていました。皮膚にも効果があります。15mg錠を1日1回内服します。帯状疱疹のリスクが高まることが知られていますので、この治療薬を検討されている方には事前に帯状疱疹ワクチンの接種を強くお勧めしています。深部静脈血栓症、肺塞栓症といった血栓のリスクが高まります。そのための注意が必要になります。また、生物学的製剤と同様に事前に結核の検査をする必要があります。2-6.デュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ)2022年11月デビューの内服薬です。既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に適応があります。比較的副作用の少ない薬ですが、TYK2という分子をブロックするJAK阻害薬というジャンルに入っているため、日本皮膚科学会の分子標的薬使用承認施設のみで投与可能となっています。成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与します。ページTOPへ3.光線療法治療の位置付けとしては、寛解導入、すなわち週2~3回程度の細かい間隔で照射し、ぶつぶつをできるだけ消失させるのを最初の目的としています。効果が出て皮膚症状が寛解したら間隔をのばしていく、ないしは中止します。ナローバンドUVBは発がん性が上昇するリスクは今のところ報告されていません。しかし、紫外線であるため、ダラダラと継続して無駄な照射をしないように気を付けることも大切です。ページTOPへ4.顆粒球吸着除去療法アダカラムという特殊な体外循環装置を使い、白血球の一部である、活性化した顆粒球を取り除く方法です。膿疱性乾癬に保険適用があります。薬剤の投与をしないため、妊娠中でも実施できます。ページTOPへ5.生物学的製剤乾癬の治療は、2010年に生物学的製剤が使えるようになってから劇的に変化しました。今までの治療で効果がなかった患者さんも、この薬の投与を開始してから皮膚や関節の症状と無縁の生活を送れるようになってきました。このように非常によく効く薬なのですが、大変高額です。そのため、高額療養費制度の理解や活用も大切になってきます。どんどん薬剤の開発が進み、10年で10種類以上のお薬が乾癬に対して使えるようになってきました。生物学的製剤が使えない方、注意が必要な方活動性の結核を含む重い感染症がある方は使用できませんので、事前にしっかりと検査を行い、必要な対処を行ってから投与する必要があります。また、悪性腫瘍のある方は投与禁忌ではありませんが、投与に当たっては(がん治療の)主治医としっかり相談・確認して慎重に進めなければなりません。現在、乾癬に使える生物学的製剤だけで、こんなにたくさんの種類があります(2023年9月現在)。画像を拡大する(各薬剤の電子添付文書を基にケアネット作成)5-1.TNF-α阻害薬TNF-αというタンパクをブロックする薬です。TNF-αは体のあちこちで作られ、乾癬を悪化させていきます。内臓脂肪からも作られます。メタボ気味の人は内臓脂肪からのTNF-αが増えてきます。すると、インスリン抵抗性といって血糖が上がりやすい状態になってしまうこともあります。これをブロックすることで、全身のさまざまな炎症を抑えてくれることも期待されています。また、関節炎にも効果が高いです。乾癬性関節炎(関節症性乾癬)の症状が進行すると骨びらんという骨へのダメージが来るのですが、TNF-α阻害薬は骨破壊を抑え、回復させてくれる効果が期待できます。インフリキシマブ(商品名:レミケード)唯一、これだけが点滴で投与する薬です。効果不十分時に増量ないし投与期間を短縮することが可能です。アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)2週間に1回皮下注射する薬です。効果不十分時に増量することが可能です。シリンジだけでなく、ペン型の注射器具があるため自己注射が簡単に行えます。セルトリズマブ ペゴル(商品名:シムジア)この薬剤は製法が特殊であり、胎盤をお薬が通過しにくいことがわかっています。そのため唯一、妊娠中でも使える生物学的製剤です。TNF-α阻害薬が使えない人うっ血性心不全のある方多発性硬化症などの脱髄性疾患をお持ちの方TNF-α阻害薬はどんな人に向いている?乾癬性関節炎(関節症性乾癬)で、とくに関節の症状が強い人メタボ気味の人炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の既往がある人体重が重い人インフリキシマブは体重1kg当たり5mgの量を投与します。体重がかなり重い方は十分な薬剤量を行きわたらせるためにインフリキシマブを選択することがあります。5-2.IL-23阻害薬IL-12/23 p40阻害薬のウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)が最初に出ました。IL-23はp40とp19というタンパクが合体しているものです。p40はIL-12という別のタンパクにも含まれている構造のため、IL-12/23 p40阻害薬は乾癬に関係のない細胞の働きも弱めてしまいます。そこで、ウステキヌマブ以降に出た次世代型のIL-23阻害薬は、p19をブロックすることでよりピンポイントな効き目を実現させています。すべての薬剤にある特長は、効果が持続しやすい、投与間隔が長いという点、副作用が少ないことです。ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)2011年から使用されている薬剤です。効果不十分な場合に増量できるのが特徴です。グセルクマブ(商品名:トレムフィア)掌蹠膿疱症にも適応があります。維持投与期は8週間に1回の投与を行います。リサンキズマブ(商品名:スキリージ)維持投与期は12週間に1回という長さが魅力です。チルドラキズマブ(商品名:イルミア)尋常性乾癬のみに適応があります。この薬剤も維持投与期は12週間に1回です。IL-23阻害薬はどんな人に向いている?治りにくい尋常性乾癬の方仕事が忙しくて通院が大変な方自分で注射を打つのが怖い方5-3.IL-17阻害薬IL-17とは乾癬を発症させるのに大変重要な役割を果たすタンパクです。IL-17にはIL-17AからFまでの6つのサブファミリーがあります。とくにIL-17ファミリーの中で乾癬の成り立ちに重要な役割を果たすタンパクが、IL-17AとIL-17Fです。治療効果が早く出ること、そして4種類の薬剤それぞれ非常に高い効果が得られることが特長です。セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブは維持投与期に自己注射をすることが可能です。セクキヌマブ(商品名:コセンティクス)最初の1ヵ月に毎週注射をすることで効果を早く出せることが特長です。完全ヒト型抗体であり、中和抗体が出にくいのが特徴です。成人には300mgを投与しますが、状況により減量が可能です。生物学的製剤の中で唯一小児にも適応があります。通常、6歳以上の小児にはセクキヌマブ(遺伝子組換え)として、体重50kg未満の患者には1回75mgを、体重50kg以上の患者には1回150mgを皮下投与します。なお、体重50kg以上の患者では、状態に応じて1回300mgを投与することができます。イキセキズマブ(商品名:トルツ)IL-17Aを阻害します。薬剤の特長として高い治療効果が早期から出てくることが多いです。効果がいまひとつだったり、安定しなかったりするとき、つまり使用開始後12週時点で効果不十分な場合には、投与期間を短縮することが可能です。乾癬の皮膚や関節症状が強い方、安定しない方に向いています。ブロダルマブ(商品名:ルミセフ)この薬剤は、乾癬の治療薬ではIL-17の受容体であるIL-17RAをブロックする薬です。そのため、IL-17A、IL-17A/F、IL-17C、IL-17E、IL-17Fが受容体に結合するのをブロックすることができます。皮膚症状に対しては、かなり有効性が期待できる薬剤です。ビメキズマブ(商品名:ビンゼレックス)IL-17A、IL-17Fをブロックできる薬剤です。尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に適応があります。乾癬性関節炎(関節症性乾癬)には適応がありません。今までの治療でうまくいかなかった人でも鋭い効果を出すことが期待されています。IL-17阻害薬が使えない方炎症性腸疾患のある方IL-17は腸管のバリア機能を保つために重要な役割を果たします。炎症性腸疾患のある方は、IL-17をブロックすることで悪化する可能性があります。真菌感染症のある方IL-17は真菌(カビ)の防御に大切な働きをします。そのため、これらの感染症がある方は、IL-17をブロックすることで悪化させてしまう可能性があります。IL-17阻害薬はどんな人に向いている?皮膚の症状がかなり重度な方自分で注射を打てる方素早い効果を期待している方5-4.IL-36受容体阻害薬スペソリマブ(商品名:スペビゴ)抗IL-36受容体抗体であるスペソリマブが主成分です。膿疱性乾癬における急性症状の改善、という適応で保険収載されました。投与開始1週後に有意な膿疱の減少、12週後には84.4%の患者で膿疱が消失という劇的な効果を呈することが知られています。ページTOPへまとめ乾癬の治療薬、治療法はたくさんあることがおわかりいただけたと思います。乾癬の治療に絶対の正解はありませんが、いろいろな治し方を知り、治療方針を決めていく参考になればと思っております。乾癬の治療薬は、まだたくさん開発されています。内服薬(RORγtインバースアゴニスト)、外用薬(アリル炭化水素受容体モジュレーター)などが治験中です。今後も多くの治療選択肢ができることで、乾癬患者さんたちの未来は明るくなっていくのではと期待しています。1)森田明理ほか. 乾癬の光線療法ガイドライン. 日皮会誌. 2016;126:1239-1262.2)佐伯秀久ほか. 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版). 日皮会誌. 2022;132:2271-2296.3)各薬剤の電子添付文書

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医師のSNS利用、診療に関する情報収集に使っているのは?/1,000人アンケート

 パソコンやスマートフォンの電源を入れて初めに起動するアプリについて、最近では、メールではなくFacebookやX(旧:Twitter)などのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)からという人も多い。私たちの生活に浸透したSNSについて、医師はどのSNSツールを、どのように使っているのか、会員医師1,000人にアンケート調査を行った。アンケートは、8月11日にCareNet.comのWEBアンケートシステムで全年代、全診療科に対して実施した。また、2019年にも同様のアンケートを実施していることから、今回の結果と比較した。医師のSNS利用、Threads、TikTokは不人気? 質問1で会員医師に「SNSの利用状況」を6つの代表的なツール別 (Facebook、X、Instagram、YouTube、Threads、TikTok)に聞いたところ、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(154人)、Facebook(130人)、Instagram(118人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(706人)、X(341人)、Facebook(333人)の順で多かった。そのほか「利用している」の「書き込み/投稿」「閲覧」を合わせたものではYouTube、X、Facebookの順で多かった。SNSツールでTikTok、新たに登場したThreadsは約90%の会員医師が利用していなかった。 質問2で「診療に関する情報を集める目的で使っているSNS」について会員医師に聞いたところ(複数回答)、利用していない(550人)が一番多かったが、使用されているSNSツールではYouTube(272人)が一番多く、次にX(201人)、Facebook(107人)と続いた。 質問3で「診療に関する情報を集める目的で最も使っているSNS」を会員医師に聞いたところ(単回答)、「利用していない」(575人)が一番多かったが、使用されているSNSツールではYouTube(186人)が一番多く、次にX(152人)、Facebook(56人)と続いた。 年代別の調査について20・30代の会員医師(n=335)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(85人)、Instagram(73人)、Facebook(43人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(258人)、X(158人)、Facebook(154人)の順で多かった。 40代の会員医師(n=209)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(25人)、YouTube(25人)と同率で、次にFacebook(24人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(145人)、Instagram(68人)、X(56人)の順で多かった。 50代の会員医師(n=240)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはFacebook(25人)、YouTube(21人)、X(19人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(171人)、Facebook(67人)、X(66人)の順で多かった。 60代以上の会員医師(n=216)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはFacebook(26人)、YouTube(23人)、Instagram(15人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(132人)、Facebook(46人)、X(44人)の順で多かった。若い医師のSNS利用、Instagramが多い 前回2019年の調査との比較で4つのSNSツール(Facebook、X、Instagram、YouTube)の利用状況では、「書き込み/投稿している」SNSツールで今回伸びていたのはX、Instagram、YouTubeでの3ツールで、「閲覧のみ」ではFacebook、X、Instagram の3ツールで伸びていた。「利用していない」は全部のSNSツールで減少していた。 年齢別でみると、20・30代の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでXとInstagramが約2倍近く伸びていた。40代の会員医師ではほぼ前回と同じようなSNS利用状況だった。50代の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでXが約2倍、YouTubeが約8倍の伸びをみせていた。60代以上の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでInstagramが約2倍近い伸びをみせていた。 「診療で最も使用するSNS」では、前回に比べInstagramが大きく伸びていた(2.0%→26.0%)。また、「使用しない」はほとんど変化がなかった(57.0%→57.5%)。 最後に自由記入で会員医師に「よく使うSNSとその理由、診療で役立つアカウント、注目している医療者などのSNSに関するエピソード」について聞いたところ、以下のような意見があった。【SNSに肯定的な会員医師のご意見】・SNSでは簡潔にまとめられていることが多く、保存しやすい〔整形外科〕・コロナ後遺症、補聴器などで役立つコンテンツが多い〔耳鼻咽喉科〕・SNS上の海外医師の外科手術動画は勉強になる〔脳神経外科〕・患者の考え方や理解に役立つ〔小児科〕【SNSに否定的な会員医師のご意見】・信頼性に不安があるので、SNSからは専門的な情報は得ていない〔内科〕・SNSそのものを利用していない〔血液内科〕・SNSの発信は誤った情報が多い〔臨床研修医〕・SNSに興味がない〔眼科〕【会員医師が参考しているSNSサイトやアカウント】・YouTubeで平島 修氏の「フィジカルクラブちゃんねる」をみている〔脳神経外科〕・YouTubeは専門領域でも勉強になる配信をされていることが多く、「心電図マイスターチャンネル」はよく利用している〔循環器内科〕・ヒロ医師ブログ初心者(Xアカウント:@doctor_hhm)をフォロー〔消化器内科〕・YouTubeの「メンズNs」は患者さんに説明するのに平易な言葉で解説してくれるのでみている〔膠原病・リウマチ科〕アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。SNSの利用状況

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標準治療に不応・不耐の若年性特発性関節炎、バリシチニブが有効/Lancet

 標準治療で効果不十分または不耐の若年性特発性関節炎患者の治療において、JAK1/2阻害薬バリシチニブはプラセボと比較して、再燃までの期間が有意に延長し、安全性プロファイルは成人のほかのバリシチニブ適応症で確立されたものと一致することが、英国・ブリストル大学のAthimalaipet V. Ramanan氏らが実施した「JUVE-BASIS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月6日号で報告された。20ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 JUVE-BASISは、日本を含む20ヵ国75施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年12月~2021年3月に患者の登録が行われた(Incyteのライセンス下にEli Lilly and Companyの助成を受けた)。 対象は、年齢2~<18歳で、若年性特発性関節炎(リウマトイド因子陽性の多関節型、リウマトイド因子陰性の多関節型、進展型少関節炎型、付着部炎関連関節炎型、乾癬性関節炎型)と診断され、1剤以上の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)または生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による少なくとも12週間の治療で効果不十分、または不耐の患者であった。 安全性/薬物動態の評価を行う期間(2週間)に年齢に基づくバリシチニブの用量(1日1回)が確定され、非盲検下の導入期間(12週間)として全例に成人(4mg)との等価用量のバリシチニブ(錠剤、懸濁剤)の投与が行われた。 導入期間の終了時に、若年性特発性関節炎-米国リウマチ学会(JIA-ACR)の30基準を満たした患者(JIA-ACR30レスポンダー)が、二重盲検下に同一用量のバリシチニブを継続投与する群またはプラセボに切り換える群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、疾患が再燃するか、二重盲検期間(最長32週[バリシチニブは導入期間と合わせて44週])が終了するまで投与した。 主要エンドポイントは、二重盲検期間中の疾患再燃までの期間であった。また、二重盲検期間中の有害事象の曝露補正発生率を算出した。健康関連QOLも良好 220例(年齢中央値14.0歳[四分位範囲[IQR]:12.0~16.0]、女児152例[69%]、診断時年齢中央値10.0歳[IQR:6.0~13.0]、診断後の経過期間中央値2.7年[IQR:1.0~6.0])が登録された。このうち219例が非盲検下の導入期間にバリシチニブの投与を受け、12週時に163例(74%)がJIA-ACR30基準を満たした。二重盲検期間に、81例がプラセボ群、82例がバリシチニブ群に割り付けられた。 二重盲検期間中の疾患再燃例(最小二乗平均)は、プラセボ群が41例(51%)、バリシチニブ群は14例(17%)であった(p<0.0001)。また、再燃までの期間は、バリシチニブ群に比べプラセボ群で短く(補正後ハザード比[HR]:0.241、95%信頼区間[CI]:0.128~0.453、p<0.0001)、再燃までの期間中央値はプラセボ群が27.14週(95%CI:15.29~評価不能[NE])、バリシチニブ群はNE(95%CI:NE~NE)(再燃例が50%未満のため)だった。 疾患活動性(JADAS-27など)や健康関連QOL(CHQ-PF50、CHAQ疼痛重症度スコア[視覚アナログ尺度])に関する有効性の副次エンドポイントも、プラセボ群に比べバリシチニブ群で良好であった。 バリシチニブの安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に、220例中6例(3%)で重篤な有害事象が発現した。二重盲検期間中には、重篤な有害事象はバリシチニブ群の82例中4例(5%)(100人年当たりの発生率:9.7件、95%CI:2.7~24.9)、プラセボ群の81例中3例(4%)(10.2件、2.1~29.7)で報告された。 治療関連の感染症が、安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に220例中55例(25%)で発現し、二重盲検期間中にはバリシチニブ群の31例(38%)(100人年当たりの発生率:102.1件、95%CI:69.3~144.9)、プラセボ群の15例(19%)(59.0件、33.0~97.3)で報告された。また、重篤な有害事象として二重盲検期間中にバリシチニブ群の1例で肺塞栓症が報告され、試験治療関連と判定された。 著者は、「バリシチニブによるJAKシグナルの阻害は、若年性特発性関節炎に関連する複数のサイトカイン経路を標的とし、既存の治療法に代わる1日1回投与の経口治療薬となる可能性がある」としている。

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中等~重度RAへのperesolimab、疾患活動性スコアを改善/NEJM

 中等度~重度の関節リウマチ(RA)患者を対象とした第IIa相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、peresolimabの有効性が示されたことを、米国・イーライリリーのJay Tuttle氏らが報告した。peresolimabは、内因性プログラム細胞死1(PD-1)阻害経路を刺激するようにデザインされたヒト化IgG1モノクローナル抗体である。この経路の刺激は、自己免疫疾患または自己炎症性疾患の新たな治療アプローチとなる可能性がある。今回の結果は、PD-1受容体の刺激がRA治療に有効であることを示唆するエビデンスを提供するものであり、著者は「RAに対するperesolimabの有効性と安全性を検証する、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2023年5月18日号掲載の報告。peresolimab 700mgの有効性と安全性をプラセボと比較検証 研究グループは、1つ以上の従来型の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)、あるいは1つ以上の生物学的製剤(bDMARD)または分子標的薬(tsDMARD)による治療で効果不十分、効果低下または許容できない副作用が発現した中等度~重度の活動期RA成人患者を、peresolimab 700mg群、300mg群またはプラセボ群に2対1対1の割合で無作為に割り付け、4週ごとに静脈内投与した。 主要アウトカムは、12週時のC-反応性蛋白(CRP)に基づく28関節の疾患活動性スコア(DAS28-CRP:範囲0~9.4、スコアが高いほど活動性が高いことを示す)のベースラインからの変化量で、主要比較は700mg群とプラセボ群との間の変化量の差とした。副次アウトカムは、12週時の米国リウマチ学会基準(圧痛・腫脹関節数および重要な5項目中3項目以上で改善)で20%改善(ACR20)、50%(ACR50)、70%改善(ACR70)の達成率などであった。有効性解析対象は修正intention-to-treat集団、安全性は安全性解析集団とした。主要評価項目の12週時のDAS28-CRP変化量は達成 2021年1月4日~2022年1月10日に172例がスクリーニングされ、適格基準を満たした98例がperesolimab 700mg群(49例)、peresolimab 300mg群(25例)、またはプラセボ群(24例)に割り付けられ、全例が1回以上治験薬の投与を受けた。 12週時のDAS28-CRPのベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、peresolimab 700mg群-2.09±0.18、プラセボ群-0.99±0.26であり、peresolimab 700mg群で有意に大きかった(群間差:-1.09、95%信頼区間[CI]:-1.73~-0.46、p<0.001)。 副次アウトカムは、ACR20達成率についてはperesolimab 700mg群がプラセボ群より良好であることがみられたが(71% vs.42%)、ACR50達成率(39% vs.21%)、およびACR70達成率(20% vs.17%)については両群で大きな差はなかった。 治療期間における有害事象の発現率は、peresolimab 700mg群29%、peresolimab 300mg群32%、プラセボ群38%で、安全性プロファイルは3群で類似していた。

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第156回 コロナで収益を得た製薬企業が次々と買収発表、思わずうなる戦略とは

国際的な製薬大手企業による企業買収が再び活発化している。3月13日に米・ファイザー社ががんの抗体薬物複合体(ADC)技術を有するシージェン社を約430億ドル(約5兆7,000億円)で買収すると発表。さらに4月16日には米・メルク社もベンチャーで自己免疫疾患治療薬を手がけるプロメテウス社を約108億ドル(約1兆4,500億円)で買収すると発表した。両社が現在抱える事情はほぼ似通っている。まず、共に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)パンデミックで特需を経験した。ファイザー社はご存じのように新型コロナワクチン(商品名:コミナティほか)、経口新型コロナ治療薬のニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)の売上が伸長した。2022年の売上高は、前年比23%増収の1,003億3,000万ドル(約13兆4,400億円)と、前年に引き続き製薬企業で世界1位となっただけでなく、製薬企業史上初の1,000億ドルプレーヤーとなった。この売上高の6割弱はコロナワクチンと治療薬で占められている。一方の米・メルク社も2022年度売上高が前年比22%増収の592億8,300万ドル。前年からの増収分の44%は、新型コロナ治療薬のモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)の売上伸長が占める。この両者のコロナ関連特需が今後急速にしぼんでいくことは確実である。実際、ファイザー社はすでに2023年通期で、コロナ関連売上高が約60%減少するとの予想を発表している。またメルク社のモルヌピラビルはニルマトレルビル/リトナビルに比べ、効果が劣ることが各種の研究で明らかにされつつあるため、治療選択肢としてのプライオリティは、今後、一層低下していくことは避けられない。さらに両社に共通するのがコロナ関連以外の主力品の特許権失効である。ファイザー社の場合、コロナ関連を除いた売上筆頭製品が抗凝固薬のアピキサバン(商品名:エリキュース)の約65億ドル(約8,700億円)。その特許権は2025~26年にかけて失効すると言われており、もう目前に迫っている。経口薬の場合、アメリカなどではジェネリック医薬品登場から半年程度で先発品市場の約7割がジェネリック医薬品に置き換わるのが一般的だ。ファイザー社にとって事態は深刻である。前述のシージェン社は現在ADC技術を利用したがん治療薬で年間20億ドル程度の売上があるため、これをファイザー社の巨大販路で売上を伸長させ、ファイザー社側としてはアピキサバンの特許権の失効に伴う急速な売上減の穴埋めにしようという腹積もりなのだろう。一方、メルク社の売上高の筆頭は、ご存じの免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の209億ドル(約2兆8,000億円)。実に現在のメルク社の総売上高の約3分の1を占める。そのペムブロリズマブのアメリカでの特許権失効見込みは2028年である。私が今回やや驚いたのはこのメルク社の買収決断である。まず、特許権の失効まではまだ5年はある。かつ、注射剤のペムブロリズマブは抗体医薬品であり、いわゆるバイオ医薬品のジェネリックは「バイオシミラー」と称されるが、経口の低分子薬に比べ、開発難易度も高い。確かにペムブロリズマブの特許権失効後は同薬のバイオシミラーが登場すると思われるが、現状はアメリカですらバイオシミラーの普及が進まず、先発品市場の20%程度しか市場を奪えていない。にもかかわらず、日本円にして1兆円を超える金額を使い、まだ市場投入製品がないプロメテウス社を買収するのは何ともすごい決断と言わざるを得ない。ただ、よくよく考えれば、この決断は一つひとつが頷けてしまう。まず、アメリカでは近年、バイオシミラーの浸透をより容易にする規制変更の動きがある。オール・オア・ナッシング的に急激な政策決定が進みやすいアメリカの特性を考えれば、今後、バイオシミラーが急速に浸透する可能性はある。また、もしペムブロリズマブの特許権失効時にバイオシミラーの市場侵食が現状の20%程度だったとしても、もともとの売上高が巨大過ぎるため、日本円換算で4,000億円ほどの売上喪失となり、メルク社はかなり打撃をこうむることになるのは確かである。その意味で、この段階から手を打つというのも方策としてはあり得る。とりわけ近年の新薬開発の所要期間、開発費、開発難易度が年々増していることを考えればなおさらだ。そしてプロメテウス社が現在開発中の新薬候補は、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)に対する抗体医薬品。この領域は近年、市場拡大中である。この新薬候補の開発段階は現在第II相試験。今後順調に開発が進めば、3~5年後の2026~28年に上市となるはず。そうすると、ペムブロリズマブの特許権失効への備えとしては時期的にも間に合うだろう。さらにIBDのような自己免疫性疾患の抗体医薬品は、ほかの自己免疫性疾患への適応拡大が容易なことは、アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)などの例を見れば明らか。つまりプロメテウス社は今後、全世界で数千億~1兆円規模の売上高を生み出す可能性を秘めているというわけだ。たしかに不確定要素はあるものの、現状からロジカルにさまざまな想定をすると1兆円の買収は十分割に合う可能性がある。すでに四半世紀近く製薬業界を眺めている自分も、一瞬、発表内容をぎょっとして受け止めたが、中身を考えるほど久々にうならされる買収発表だった。ただ、このニュースに接して、あえて残念と思うことがあるとするならば、それは日本の製薬企業の多くが、このような大胆かつ機動的な戦略が取れないことである。

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