ACPA陽性患者へのアバタセプト、RA発症を抑制/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/29

 

 抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性の高リスク患者において、アバタセプト6ヵ月投与は、MRIの炎症所見を改善し、関節リウマチの発症リスクを低下させ、その効果は1年間無投与の観察期間終了時まで持続した。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのJuergen Rech氏らが、欧州の14施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Abatacept reversing subclinical inflammation as measured by MRI in ACPA positive arthralgia(ARIAA)試験」の結果を報告した。ACPA陽性で関節に触診で確認できない炎症性変化を有する患者は、関節リウマチを発症するリスクが高い。しかし、このような前臨床期疾患の進行を阻止する治療戦略は、まだ開発されていなかった。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。

6ヵ月投与、12ヵ月無投与で観察

 研究グループは、ACPA陽性で関節痛を有し(ただし腫脹はなし)、利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎を認める成人(18歳以上)患者を、アバタセプト(週1回125mg皮下投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間投与した後、二重盲検下のまま無投薬で12ヵ月間観察した。

 主要アウトカムは、6ヵ月時の利き手のMRI検査で潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合であった。副次アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準を満たす関節リウマチの発症などで、主要有効性解析は、無作為に割り付けられ試験薬を投与されたすべての患者(修正ITT集団)を対象とし、安全性解析は試験薬を投与されベースライン後の観察が少なくとも1回あった患者を対象とした。

6ヵ月時のMRI炎症所見の改善、アバタセプト群57% vs.プラセボ群31%

 2014年11月6日~2021年6月15日に139例がスクリーニングされ、適格患者100例がアバタセプト群(50例)およびプラセボ群(50例)に無作為に割り付けられた。2例(各群1例)が投与失敗または治療拒否により除外され、98例が修正ITT集団に包含された。98例中70例(71%)が女性、28例(29%)が男性であった。

 6ヵ月時にMRIで潜在性滑膜炎、腱鞘炎または骨炎の改善を認めた患者の割合は、アバタセプト群57%(28/49例)、プラセボ群31%(15/49例)であった(絶対群間差:26.5%、95%信頼区間[CI]:5.9~45.6、p=0.014)。また、関節リウマチを発症した患者の割合は、それぞれ35%(17/49例)、57%(28/49例)であった(ハザード比0.14、95%CI:0.04~0.47]、p=0.018)。いずれも、投与終了から12ヵ月経過した18ヵ月時も、両群間に有意差が認められた。

 重篤な有害事象は、11例に12件発生した(アバタセプト群48例中4例[8%]、プラセボ群49例中7例[14%])。試験期間中の死亡例はなかった。

(ケアネット)