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若年性皮膚筋炎、プレドニゾン+MTXが有益/Lancet

 新規発症の若年性皮膚筋炎に対し、プレドニゾン+シクロスポリン併用またはプレドニゾン+メトトレキサート(MTX)併用は、いずれもプレドニゾン単剤と比較して有効であるが、安全性プロファイル、ステロイド節約効果においてプレドニゾン+MTX併用が支持されることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、22ヵ国54施設が参加した無作為化試験の結果、報告した。これまで皮膚筋炎および若年性皮膚筋炎の治療に関するデータは、大半が散発的で非無作為化によるケースシリーズ報告しかなかった。Lancet誌オンライン版2015年11月27日号掲載の報告より。プレドニゾンの単独と併用を比較 試験には、18歳以下で新規に若年性皮膚筋炎を発症し、未治療であり、皮膚または消化器系潰瘍のない患者を登録して行われた。 2006年5月31日~10年11月12日に、139例をプレドニゾン単独(47例)、プレドニゾン+シクロスポリン併用(46例)、プレドニゾン+MTX併用(46例)に無作為に割り付けて追跡評価した。患者、研究者は治療割り付けをマスキングされなかった。 主要アウトカムは、PRINTO20改善(6ヵ月時点で6つのコア指標のうち3指標で20%改善)に達した患者の割合、臨床的寛解までまたは治療不成功までの期間とした。 3治療群をKruskal-Wallis検定、Friedman's検定で比較し、生存分析はKaplan-Meier曲線とlog-rank検定にて行った。分析はintention to treat法による。 試験は、導入期(2ヵ月間)、維持期(22ヵ月間)、拡張期(3年以上)の3期にわたって行われ、本論では導入期と維持期2年以上を経過した結果を報告。追跡期間中央値は35.5ヵ月であった。臨床的寛解が観察されたのはMTX併用群のみ 6ヵ月時点でPRINTO20改善に達したのは、単独群24例(51%)、シクロスポリン併用群32例(70%)、MTX併用群33例(72%)であった(p=0.0228)。 臨床的寛解までの期間中央値は、MTX併用群41.9ヵ月であったが、他の2群では観察できなかった(MTX併用群の増大比2.45倍、95%信頼区間[CI]:1.2~5.0、p=0.012)。 治療不成功までの期間中央値は、単独群16.7ヵ月、シクロスポリン併用群53.3ヵ月、MTX併用群は観察できなかった(単独群の増大比1.95倍、95%CI:1.20~3.15、p=0.009)。 プレドニゾン中断までの期間は、単独群35.8ヵ月に対し、併用群は29.4~29.7ヵ月であった(p=0.002)。 有害事象の発現頻度は、シクロスポリン併用群で有意に多く、皮膚や皮下組織障害、消化器系システム障害、一般・全身障害がみられた。 感染症、寄生虫感染症はシクロスポリン併用およびMTX併用群で多くみられた。なお試験期間中の死亡例は報告されていない。

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想像以上に難しいRAの「バイオフリー」

 現在、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)は多くの関節リウマチ(RA)患者で使用されているが、寛解時にbDMARDsの使用を中止しても疾患コントロールができる患者はどれくらいの割合で存在するのだろうか。ハーバード大学の吉田 和樹氏らは、日常診療における寛解時にbDMARDsを中止した場合の影響について調査を行ったところ、bDMARDsフリーによるclinical disease activity index(CDAI)寛解は高確率で失敗に終わることがわかった。この結果は、一度寛解に至った後も疾患コントロールを行うことが難しいことを示している。ただし、寛解を維持した患者の中には非生物学的製剤治療の変更を行った者もいた。bDMARDsの費用が高額であることを考慮すれば、bDMARDsの中止後に疾患コントロールを行う治療戦略は重要な選択肢である可能性がある。Rheumatology誌オンライン版2015年9月8日号の掲載報告。 調査では、わが国におけるRA患者の多施設登録データベース「Ninja」のデータを用いた。bDMARDsを使用しており、かつbDMARDs中止前のCDAI 2.8以下の寛解が1回以上ある患者を対象とした。bDMARDsフリーによる疾患コントロールの失敗は「bDMARDsの再使用」「non-bDMARDs・経口ステロイドの増量」「CDAI寛解の喪失」により定義された。 主な結果は以下のとおり。・bDMARDsで寛解を達成した1,037例のうち、46例でbDMARDsを中止した。・46例のうち41例(89.1%)が女性であり、罹病期間の中央値は6年で、31例(70.5%)でレントゲン上にびらんが観察された。・46例のうち27例(58.7%)がメトトレキサートを用いており、19例(41.3%)が経口ステロイドを用いていた。・bDMARDsフリーの寛解喪失率は1年で67.4%、2年で78.3%と推定された。・多くみられたbDMARDsフリーによる疾患コントロール失敗の理由は、CDAI寛解喪失とbDMARDs再使用であった。・寛解中のCDAIの値が低いほど、疾患コントロール失敗も少なかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第24回

第24回:痛風の診断と治療、そして予防監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 先日、痛風結節のある患者が受診されました。高齢女性で、かなり食生活が乱れているようでした。診断と治療に関しての基本的な流れを確認しつつ、家庭医として予防についても考えてみました。厳密なプリン体摂取制限による尿酸値低下の影響は少ないといわれているものの、食事習慣の改善については根拠を持ってアドバイスをしたいと思っています。 以下、文献1より(一部文献3を含む)痛風は尿酸ナトリウム結晶により、主に第1中足骨関節(MTP:metatarsophalangeal joint)が侵される、有痛性の関節炎である。ほかにも横足根関節(MT:midtarsal joint)、足関節にも多く、長期罹患例では膝関節、手指関節にも生じうるが、股関節、肩関節はまれである。女性ホルモンが尿酸排泄を増加させるので、閉経前の女性は男性に比べて痛風の有病率が低いとされている。また、アルコール(とくにビール)、肉類(とくに赤肉、ジビエ、内臓)、魚介類(貝、大型海水魚)、フルーツジュース、高濃度果糖液の入った飲料などの摂取は痛風のリスクを高める。(表1) 画像を拡大する痛風の診断基準としては、米国リウマチ学会のもの(表2)が用いられることが多く、発症リスクの計算については、オンラインで利用できるものがある2)。鑑別診断は、偽痛風、化膿性関節炎(まれだが痛風との合併あり)をはじめとした感染症、外傷である。表2. 痛風の診断基準1. 尿酸塩結晶が関節液中に存在することまたは2. 痛風結節の証明または3. 以下の11項目のうち6項目以上を満たすことa) 2回以上の急性関節炎の既往があるb) 24時間以内に炎症がピークに達するc) 単関節炎であるd) 関節の発赤があるe) 第1中足趾節関節の疼痛または腫脹があるf) 第1中足趾節関節の病変であるg) 片側の足関節の病変であるh) 痛風結節(確診または疑診)があるi) 血清尿酸値の上昇があるj) X線上の非対称性腫脹がある(骨びらん周囲に骨硬化像を伴うことと、関節裂隙が保たれていることで、RAとの鑑別可能)k) 発作の完全な寛解がある上記のような診断基準ではあるが、可能な限り関節液中の尿酸-ナトリウム結晶の証明が求められる。超音波やMRI、CTは必ずしも診断には必要ないとされる。ただし、超音波において、軟骨表面の尿酸塩結晶の検出は、Double contour signとして有名である。痛風性関節炎の診断上の注意点3)1.痛風発作中の血清尿酸値は低値を示すことがあり、診断的価値は高くない2.関節液が得られたら迅速に検鏡し、尿酸塩結晶の有無を同定する3.痛風結節は診断上価値があるが頻度は低い急性期の治療については、副腎皮質ステロイドの経口投与とNSAIDsが同等に効果的である (推奨レベルB)。第1選択はNSAIDsであり、歴史的にはインドメタシンが好んで使用されているが、他のNSAIDsに比べて効果があるというエビデンスはない。ステロイドは短期間で終了すると再燃がありうるため、10~14日で漸減していく。コルヒチンはやや高価であり、鎮痛効果はなく、発症後72~96時間経過していると効果に乏しいとされる。再発予防の治療については、痛風の既往があり、かつ年2回以上の発作(CKD stage2以上では年1回以上)、痛風結節、または尿酸結石の既往がある場合には尿酸を下げる治療を考慮する。症状がなくても発作後3~6ヵ月は治療を継続し、症状がみられる場合には引き続き継続する。服薬についても選択肢は多くあるが、ここではフェブキソスタットとアロプリノールが同等に効果がある(推奨レベルB)と述べるに留める。日本での目標値としては尿酸値6mg/dL以下に維持するのが望ましいとされている。食生活習慣の改善としては、体重減少はリスクを下げる。果糖液、プリン体を多く含む動物性蛋白、とくにビールを含むアルコールを避けるべきである。一方で、プリン体を多く含む野菜は痛風のリスクを上昇させないといわれている。野菜や低(無)脂肪の乳製品の摂取が推奨される。(ただし、推奨レベルはC)※推奨レベルはSORT evidence rating systemに基づくA:一貫した、質の高いエビデンスB:不整合、または限定したエビデンスC:直接的なエビデンスを欠く※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Hainer BL, et al. Am Fam Physician. 2014;90:831-836. 2) Gout diagnosis calculator. the GP education and training resource.http://www.gp-training.net/rheum/gout.htm (参照2015.11.4). 3) 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版.http://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf (参照 2015.11.4).

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MTX併用により関節リウマチのTKAは減少するか

 関節リウマチ(RA)が進行して関節破壊が進んだ場合、人工膝関節置換術(TKA)を行うケースが少なくない。そこで、名古屋大学の浅井 秀司氏らは、TNF阻害薬で長期治療中のRA患者における関節破壊の進行に起因するTKA発生に関して、MTXを併用するとどの程度の影響があるのか調査を行った。その結果、MTXを併用することでTKAの発生率を56%抑制することがわかった。The Journal of rheumatology誌オンライン版2015年10月1日号の掲載報告。 調査は、2001年5月1日から2008年5月31日までに同大学病院でTNF阻害薬治療を受けたRA患者155例(310の膝関節)のうち、関節破壊の徴候のある68例(111の膝関節)を対象とし、5年以上にわたって後ろ向きに行われた。フォローアップ期間の中央値(四分位範囲)は8.1年(7.0~9.3)であった。 主な結果は以下のとおり。・MTXを併用していた膝関節は79関節(71%)であった。・カプランマイヤー推定によると、TKAの累積発生率はMTX非併用群と比較して、MTXを併用した群で有意に低かった(5年時点での発生率:24% vs.45%、p=0.035)。・Cox比例ハザードモデルを使用した多変量解析によると、MTX併用(ハザード比 0.44、95%CI:0.22~0.89)、Larsenグレード(2.93、95%CI:1.94~4.41)、高年齢(1.04、95%CI:1.01~1.08)はTKAの独立した予測因子であることが明らかとなった。

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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)〔GCA : giant cell arteritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は、大動脈とその分枝の中~大型動脈に起こる肉芽腫性血管炎である。頸動脈の頭蓋外の動脈(とくに側頭動脈)が好発部位のため、以前は、側頭動脈炎(temporal arteritis:TA)といわれた。発症年齢の多くは50歳より高齢であり、しばしばリウマチ性多発筋痛症(PMR)を合併する。1890年HunchingtonらがTAの症例を報告し、1931年にHortonらがTAの臨床像や病理学的特徴を発表したことからTAとしての古い臨床概念が確立し、また、TAは“Horton’s disease”とも呼ばれてきた。その後1941年Gilmoreが病理学上、巨細胞を認めることから“giant cell chronic arteritis”の名称が提唱された。この報告により「巨細胞性動脈炎(GCA)」の概念が確立された。GCAは側頭動脈にも病変を認めるが、GCAのすべての症例が側頭動脈を傷害するものではない。また、他の血管炎であっても側頭動脈を障害することがある。このためTAよりもGCAの名称を使用することが推奨されている。■ 疫学 1997年の厚生省研究班の疫学調査の報告は、TA(GCA)の患者は人口10万人当たり、690人(95%CI:400~980)しか存在せず、50歳以上では1.48人(95%CI: 0.86~2.10)である。人口10万人当たりの50歳以上の住民のGCA発症率は、米国で200人、スペインで60人であり、わが国ではTA(GCA)は少ない。このときの本邦のTA(GCA)の臨床症状は欧米の症例と比べ、PMRは28.2%(欧米40~80%)、顎跛行は14.8%(8~50%)、失明は6.5%(15~27%)、脳梗塞は12.1%(27.4%)と重篤な症状はやや少ない傾向であった。米国カリフォルニア州での報告では、コーカシアンは31症例に対して、アジア人は1例しか検出されなかった。中国やアラブ民族でもGCAはまれである。スカンジナビアや北欧出身の家系に多いことが知られている。■ 病因病因は不明であるが、環境因子よりも遺伝因子が強く関与するものと考えられる。GCAと関連が深い遺伝子は、HLA-DRB1*0401、HLA-DRB1*0404が報告され、約60%のGCA症例においてどちらかの遺伝子を有する。わが国の一般人口にはこの2つの遺伝子保持者は少ないため、GCAが少ないことが推定される。■ 症状全身の炎症によって起こる症状と、個別の血管が詰まって起こる症状の2つに分けられる。 1)全身炎症症状発熱、倦怠感、易疲労感、体重減少、筋肉痛、関節痛などの非特異的な全身症状を伴うので、高齢者の鑑別診断には注意を要する。2)血管症状(1)頸部動脈:片側の頭痛、これまでに経験したことがないタイプの頭痛、食べ物を噛んでいるうちに、顎が痛くなって噛み続けられなくなる(間歇性下顎痛:jaw claudication)、側頭動脈の圧痛や拍動頸部痛、下顎痛、舌潰瘍など。(2)眼動脈:複視、片側(両側)の視力低下・失明など。(3)脳動脈:めまい、半身の麻痺、脳梗塞など。(4)大動脈:背部痛、解離性大動脈瘤など。(5)鎖骨下動脈:脈が触れにくい、血圧に左右差、腕の痛みなど。(6)冠動脈:狭心症、胸部痛、心筋梗塞など。(7)大腿・下腿動脈:間歇性跛行、下腿潰瘍など。3)合併症約30%にPMRを合併する。高齢者に起こる急性発症型の両側性の頸・肩、腰の硬直感、疼痛を示す。■ 分類側頭動脈や頭蓋内動脈の血管炎を呈する従来の側頭動脈炎を“Cranial GCA”、大型動脈に病変が認められるGCAを“Large-vessel GCA”とする分類法が提唱されている。大動脈を侵襲するGCAは、以前、高安動脈炎の高齢化発症として報告されていた経緯がある。GCA全体では“Cranial GCA”が75%である。“Large-vessel GCA”の中では、大動脈を罹患する型が57%、大腿動脈を罹患する型が43%と報告されている(図)。画像を拡大する■ 予後1998年の厚生省全国疫学調査では、治癒・軽快例は87.9%であり、生命予後は不良ではない。しかし、下記のように患者のQOLを著しく阻害する合併症がある。1)各血管の虚血による後遺症:失明(約10%)、脳梗塞、心筋梗塞など。2)大動脈瘤、その他の動脈瘤:解離・破裂の危険性に注意を要する。3)治療関連合併症:活動性制御に難渋する例では、ステロイドなどの免疫抑制療法を反復せねばならず、治療関連合併症(感染症、病的骨折、骨壊死など)で臓器や関連の合併症にてQOLが不良になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1990年米国リウマチ学会分類基準に準じる。5項目のうち3項目を満足する場合、GCAと分類する(感度93.5、特異度91.2%)。厚生労働省の特定疾患個人調査票(2015年1月)は、この基準にほぼ準拠している。5項目のうち3項目を満足する場合に、GCAと診断される(表1)。画像を拡大する■ 検査1)血液検査炎症データ:白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇、症候性貧血など。CRP赤沈は疾患活動性を反映する。2)眼底検査必須である。虚血性視神経症では、視神経乳頭の虚血性混濁浮腫と、網膜の綿花様白斑(軟性白斑)を認める。3)動脈生検適応:大量ステロイドなどのリスクの高い免疫抑制治療の適応を決めるために、病理学的検討を行うべきである。ただし、進行性の視力障害など、臨床経過から治療を急ぐべきと判断される場合は、ステロイド治療開始を優先し、側頭動脈生検が治療開始の後でもかまわない。側頭動脈生検の実際:症状が強いほうの側頭動脈を局所麻酔下で2cm以上切除する。0.5mmの連続切片を観察する。病理組織像:中型・大型動脈における(1)肉芽腫性動脈炎(炎症細胞浸潤+多核巨細胞+壊死像)、(2)中膜と内膜を画する内弾性板の破壊、(3)著明な内膜肥厚、(4)進行期には内腔の血栓性閉塞を認める。病変は分節状に分布する(skip lesion)。動脈生検で巨細胞を認めないこともある。4)画像検査(1)血管エコー:側頭動脈周囲の“dark halo”(浮腫性変化)はGCAに特異的である。(2)MRアンギオグラフィー(MRA):非侵襲的である。頭蓋領域および頭蓋領域外の中型・大型動脈の評価が可能である。(3)造影CT/3D-CT:解像度でMRAに優る。全身の血管の評価が可能である。3次元構築により病変の把握が容易である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(4)血管造影:最も解像度が高いが、侵襲的である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(5)PET-CT(2015年1月現在、保険適用なし):質的検査である。血管壁への18FDGの取り込みは、血管の炎症を反映する。ただし動脈硬化性病変でもhotになることがある。5)心エコー・心電図など:心合併症のスクリーニングを要する。■ 鑑別診断1)高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)欧米では高安動脈炎とGCAを1つのスペクトラムの中にある疾患で、発症年齢の約50歳という違いだけで分類するという考えが提案されている。しかし、両疾患の臨床的特徴は、高安動脈炎がより若年発症で、女性の比率が高く(約1:9)、肺動脈病変・腎動脈病変・大動脈の狭窄病変が高頻度にみられ、PMRの合併はみられず、潰瘍性大腸炎の合併が多く、HLA-B*52と関連する。また、受診時年齢と真の発症年齢に開きがある症例もあるので注意を要する。現時点では発症年齢のみで分けるのではなく、それぞれGCAとTAKは1990年米国リウマチ学会分類基準を参考にすることになる。2)動脈硬化症動脈硬化症は、各動脈の閉塞・虚血を来しうる。しかし、新規頭痛、顎跛行、血液炎症データなどの臨床的特徴が異なる。GCAと動脈硬化症は共存しうる。3)感染性大動脈瘤(サルモネラ、ブドウ球菌、結核など)、心血管梅毒細菌学的検査などの感染症の検索を十分に行う。4)膠原病に合併する大動脈炎など(表2)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療の目標は、(1)全身炎症症状の改善、(2)臓器不全の抑制、(3)血管病変の進展抑制である。ステロイド(PSL)は強い抗炎症作用を有し、GCAにおいて最も確実な治療効果を示す標準治療薬である。■ 急性期ステロイド初期量:PSL 1mg/kg/日が標準とされるが、症状・合併症に応じて適切な投与量を選択すること。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、下記のように推奨されている。とくに、高齢者には圧迫骨折合併に注意する必要がある。1)眼症状・中枢神経症状・脳神経症状がない場合:PSL 30~40 mg/日。2)上記のいずれかがある場合:PSL 1mg/kg/日。■ 慢性期ステロイド漸減:初期量のステロイドにより症状・所見の改善を認めたら、初期量をトータルで2~4週間継続したのちに、症状・赤沈・CRPなどを指標として、ステロイドを漸減する。2006~2007年度の診療ガイドラインにおける漸減速度を示す。1)PSL換算20mg/日以上のとき:2週ごとに10mgずつ漸減する。2)PSL換算10~20mg/日のとき:2週ごとに2.5mgずつ漸減する。3)PSL換算10mg/日以下のとき:4週ごとに1mgずつ、維持量まで漸減する。重症例や活動性マーカーが遷延する例では、もう少しゆっくり漸減する。■ 寛解期ステロイド維持量:維持量とは、疾患の再燃を抑制する必要最小限の用量である。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、GCAへのステロイド維持量はPSL換算10mg/日以下とし、通常、ステロイドは中止できるとされている。しかし、GCAの再燃例がみられる場合もあり、GCAに合併するPMRはステロイド減量により再燃しやすい。■ 増悪期ステロイドの再増量:再燃を認めたら、通常、ステロイドを再増量する。標的となる臓器病変、血管病変の進展度、炎症所見の強度を検討し、(1)初期量でやり直す、(2)50%増量、(3)わずかな増量から選択する。免疫抑制薬併用の適応:免疫抑制薬はステロイドとの併用によって相乗効果を発揮するため、下記の場合に免疫抑制薬をステロイドと併用する。1)ステロイド効果が不十分な場合2)易再燃性によりステロイド減量が困難な場合免疫抑制薬の種類:メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロホスファミドなど。■ 経過中に注意すべき合併症予後に関わる虚血性視神経症、脳動脈病変、冠動脈病変、大動脈瘤などに注意する。1)抗血小板薬脳心血管病変を伴うGCA患者の病変進展の予防目的で抗血小板薬が用いられる。少量アスピリンがGCA患者の脳血管イベントおよび失明のリスクを低下させたという報告がある。禁忌事項がない限り併用する。2)血管内治療/血管外科手術(1)各動脈の高度狭窄ないし閉塞により、重度の虚血症状を来す場合、血管内治療によるステント術か、バイパスグラフトなどによる血管外科手術が適応となる。(2)大動脈瘤やその他の動脈瘤に破裂・解離の危険がある場合も、血管外科手術の適応となる。4 今後の展望関節リウマチに保険適用がある生物学的製剤を、GCAに応用する試みがなされている(2015年1月現在、保険適用なし)。米国GiACTA試験(トシリズマブ)、米国AGATA試験(アバタセプト)などの治験が行われている。わが国では、トシリズマブの大型血管炎に対する治験が進行している。5 主たる診療科リウマチ科・膠原病内科、循環器内科、眼科、脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)今日の臨床サポート 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)J-STAGE(日本臨床免疫学会会誌) 巨細胞性動脈炎(医療従事者向けのまとまった情報)2006-2007年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン(GCAについては1285~1288参照)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Jennette JC, et al. Arthritis Rheum. 2013;65:1-11.2)Grayson PC, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71:1329-1334.3)Maksimowicz-Mckinnon k,et al. Medicine. 2009;88:221-226.4)Luqmani R. Curr Opin Cardiol. 2012;27:578-584.5)Kermani TA, et al. Curr Opin Rheumatol. 2011;23:38-42.

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夜間高血圧とRAの疾患活動性は関連があるか

 夜間高血圧と関節リウマチ(RA)の全身性炎症はともに独立した心血管疾患の予測因子であるが、夜間高血圧と関節リウマチの疾患活動性にどんな関連があるのかは、ほとんど知られていない。 そこで、大阪市立大学の濱本 佳恵氏らは71例のRA患者に対して24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を行い、夜間血圧の下降度合いと関節リウマチの疾患活動性について関連性を調査した。さらに71例のうち、同意が得られた25例について、4週間のリウマチ治療介入後に夜間血圧の下降度合いが改善したかどうか評価するためにABPMを再度行った。 その結果、関節リウマチの疾患活動性が高いほど夜間血圧の下降度合いが小さいことがわかった。 主な結果は以下のとおり。・71例のDAS28-CRPは4.8±1.6、夜間血圧の下降度合いは5.6±8.9%。・DAS28-CRPは夜間血圧の下降度合いと有意かつ独立して逆相関している(標準偏回帰係数β=-0.388、p=0.004)。・25例のDAS28-CRPはリウマチ治療介入後5.4±1.1から3.5±0.8(p<0.0001)と有意に下降した。・夜間収縮期血圧は121.2±22.5mmHgから112.5±18.8mmHg(p=0.02)と有意に下降し、夜間血圧の降下度合いは4.5±9.2%から10.6±5.8%(p=0.002)と有意に上昇した。・日中の血圧とは無関係であることがわかった。

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長引く原因不明の腰痛 もしかして●●!?

 2015年7月10日都内にて「強直性脊椎炎、指定難病認定への期待~治療環境とQOLの向上について考える~」と題したプレスセミナーが開催された。 本セミナーでは、大阪大学大学院 医学系研究科 運動器バイオマテリアル学 准教授の冨田 哲也氏、順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科 非常勤講師の井上 久氏、大阪行岡医療大学 医療学部理学療法科教授の村田 紀和氏、そして、患者の代表として日本AS友の会の政岡 泰雅氏の4名が、強直性脊椎炎(AS)の概要やAS診断・治療の問題点、患者自身の経験談、指定難病認定について講演を行った。■ASの概要 ASは仙腸関節炎や脊椎炎、末梢関節炎、靱帯・腱の付着部炎などを来す慢性炎症性疾患であり、10~30歳代の男性に多く発症する。 初期症状は腰部、臀部、背部の痛みであり、その痛みはとくに夜間・朝方に強く、機械的腰痛とは異なり運動により軽快するという特徴がある。 また、ASの80%以上でHLA-B27遺伝子が陽性であることからその関与が示唆されている。■AS診断・治療の問題点 わが国では諸外国と比較して患者数が少ないこともあり、その診断・治療法が十分に認知されておらず、発症から確定診断に至るまでに10年もの歳月を費やしてしまうケースも少なくない。生物学的製剤の登場により、治療の選択肢は広がっていることからも早期診断・早期治療が求められている。 また、ASと診断され、治療を開始した後も患者はさまざまな問題を抱えている。たとえば、器質的障害を抱えている患者は脊柱・股関節可動制限によるADL障害があり、MRI・DXA装置などの検査機器内に水平に入れないことによる疾患の見逃しや誤診の可能性が否定できない。また、人工関節がある場合には感染の原因となったり、画像検査で雑信号が発生することによる疾患の見逃しなどの可能性があり注意が必要である。■患者の立場から ASは少年~青年期に発症することが多く、また症状の発現に波があることから、「さぼっている」「怠け者」として扱われ、家庭・学校・職場などで理解を得られないことも少なくない。実際、政岡氏自身も職場の理解が得られずに退職に追い込まれたという。その後ASに造詣が深い医師に出会い、生物学的製剤を投与することで病状は安定し、仕事を再開できるようになった。生物学的製剤は高額であることもあり、今回の指定難病認定は患者の立場からも非常に喜ばしいことだという。■指定難病認定について 平成3年に設立された日本AS友の会は、指定難病認定に向けて、患者実態調査や厚生労働省への陳情活動、関連団体との連携を行ってきた。これまでの努力が実を結び、昨年5月23日に成立した難病新法(難病の患者に対する医療などに関する法律)により、ASは医療費助成対象疾患である指定難病に認定された。ただし、医療費助成の対象となるのは重症例であるため、申請にあたり、世界初となるASの重症度分類を作成したという。 ASが指定難病に認定されたことは大きな一歩である。この制度を活用し、社会復帰に向けて歩みを進めていただければ幸いである。

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セクキヌマブ、乾癬性関節炎の症状改善/Lancet

 乾癬性関節炎に対し、ヒト抗インターロイキン17Aモノクローナル抗体セクキヌマブの皮下投与が有効であることが明らかになった。英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らが397例を対象に行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。300mg、150mg投与ともに半数以上の人が目標とした改善率(米国リウマチ学会20%改善率:ACR20)を達成したという。Lancet誌オンライン版2015年6月26日号掲載の報告より。世界76ヵ所を通じ、397例を対象に試験 試験は、アジア、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、米国の医療施設76ヵ所を通じて、2013年4月~2013年11月にかけて、18歳以上の乾癬性関節炎の患者397例を対象に行われた。 研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セクキヌマブ 300mg、150mg、75mg、プラセボを、第3週までは週1回、第4週目からは4週に1回、それぞれ皮下投与した。 主要エンドポイントは、24週時点でACR20を達成していた患者の割合だった。ACR20達成率、300mg群、150mg群で5割以上 結果、ACR20達成率は、300mg群が54%(対プラセボ群オッズ比:6.81、95%信頼区間:3.42~13.56、p<0.0001)、150mg群が51%(同:6.52、3.25~13.08、p<0.0001)だった。75mg群は29%(同:2.32、1.14~4.73、p=0.0399)であり、プラセボ群は15%だった。 16週までで最も頻度の高かった有害事象は上気道感染症と鼻咽頭炎だった。上気道感染症の発現率は300mg群が4%、150mg群が8%、75mg群が10%、プラセボ群が7%であり、鼻咽頭炎はそれぞれ6%、4%、6%、8%だった。重篤な有害事象の発現率は、それぞれ5%、1%、4%、2%だった。なお死亡例の報告はなかった。 これらを踏まえて著者は、「セクキヌマブ 300mgと150mgの皮下投与は、乾癬性関節炎の症状を改善することが示された。このことは、本疾患患者にとってセクキヌマブは新たな治療オプションとなることを示唆するものである」とまとめている。

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早期RAでシムジアが初期治療から使用可に

 6月3日都内にて、アステラス製薬株式会社・ユーシービージャパン株式会社共催のプレスセミナーで、北海道大学大学院 免疫・代謝内科学分野 教授の渥美 達也氏が講演を行った。 PEG化TNFα阻害薬「シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル)」の適応は、これまで「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(RA)」に限られていたが、5月に取得した追加効能承認により、関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるようになった。 今回の追加効能承認の根拠である国内第III相試験「C-OPERA」は、メトトレキサート(MTX)投与歴がなく、「抗CCP抗体高値」や「リウマトイド因子陽性かつ/または早期びらんの存在あり」といった予後不良因子を持つ発症後1年以内のRA患者を対象として実施された。 試験結果より、MTXとシムジアを併用した群ではMTX単独投与群と比較して、52週後の骨関節破壊の進展割合が有意に減少することがわかった。 「医療経済的な観点からみるとすべての症例が対象とはいえないが、抗CCP抗体高値、リウマトイド因子陽性など関節破壊の進行が予測され、かつ歯科医師など関節破壊により社会生活に大きな影響を受ける患者は適応となるだろう」と渥美氏は説明した。 安全性に関しては、MTXを最大用量まで投与することもあり、両群ともに重篤な感染症である「ニューモシスティスジロヴェシ肺炎」が数例認められているため、早期RAといえども治療にあたっては注意が必要である。 最後に渥美氏は、「RAの関節破壊はとくに発症後2年間で急速に進行するため、この時期にしっかり治療を行うことが重要である」と強調し、講演を締めくくった。

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リウマチ患者の治療満足度はコミュニケーションで向上

 米国ファイザー社は5月28日(現地時間)、世界13ヵ国の成人関節リウマチ患者3,600人以上を対象に行った調査の結果を発表した。同社の日本法人であるファイザー株式会社が6月8日に報告した。データによると、患者と医療従事者の関係、そして関節リウマチとその治療に対する患者の認識が疾患管理に影響する可能性が示唆されたという。 RA NarRAtive患者調査は、2012年9月4日から2015年1月13日にかけて、ファイザー社に代わりHarris Poll社が世界13ヵ国の18歳以上の関節リウマチ患者3,649人 [アルゼンチン(217人)、オーストラリア(481人)、ブラジル(324人)、カナダ(237人)、フランス(122人)、ドイツ(525人)、イタリア(204人)、日本(354人)、韓国(168人)、スペイン(122人)、トルコ(123人)、英国(246人)、米国(526人)] を対象にインターネット上で調査を実施したもの。患者の治療や疾患管理における経験や満足度だけでなく、患者と医療従事者の関係やコミュニケーションについても同時に評価した今回の患者調査は、この種の調査としては初めてのケースとのこと。 調査データによると、患者の関節リウマチ治療に対する満足度、そして医療従事者との良好な関係が、疾患管理にプラスに影響する可能性があるという。調査では、心配事や不安を医師や医療従事者に相談できる患者のほうがそうでない患者と比べて、自身の健康状態全般について「とても良い」または「良い」と回答している割合が高かった(43% vs.29%)。 一方で、いくつかの問題も残っており、治療に対する満足度の自己報告と関節リウマチ管理に関わる病状の間にずれがあるという。調査では、関節リウマチ治療薬を処方されている患者の5人中4人(78%)が「治療法に満足している」と回答しているものの、同じ患者の中で自身の疾患が「コントロールできている」と答えたのはわずか30%であった。また、医療従事者によって病状が中等度から重度、または重度であると判断された患者の場合、患者本人の満足度と疾患管理に対する認識のずれがより顕著であった。 治療目標設定時にシェアード・ディシジョンメイキング(医師と患者がともに意思決定に関与すること)を実践することが最も望ましいとされているが、調査の結果、患者は治療目標や不安、とくに疾患管理や治療法について、医療従事者とよく話し合っていない可能性があることがわかったという。疾患管理のために現在医療従事者にかかっている患者の大多数(83%)が、関節リウマチ治療に関する医療従事者との話し合いに満足していると回答していた。一方で、やはり大多数(85%)が医療従事者との関係がよくなれば疾患管理がさらに改善されるであろうと回答している。 現在さまざまな治療薬や治療法があるにもかかわらず、一部の患者では最適な疾患管理が行われていない可能性があるという。今回調査を行った全関節リウマチ患者のうち47%が、日常生活の中で何らかの活動をあきらめたと回答していた。さらに、関節リウマチ治療薬に関しては、全回答者の42%が、関節リウマチの治療は関節リウマチとともに生きるのと同じくらい困難であると考えていた。詳細はファイザー株式会社のプレスリリースへ

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関節リウマチ、生物学的製剤で重度感染症リスク増大?/Lancet

 関節リウマチ(RA)患者への標準用量・高用量の生物学的製剤投与は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)服用に比べ、重度感染症リスクを1.3~1.9倍に増加することが明らかにされた。低用量の投与については、同リスクの増加は認められなかったという。米国・バーミンガム退役軍人医療センターのJasvinder A. Singh氏らが、メタ解析の結果、報告した。生物学的製剤がDMARDsと比べて、重篤感染症のリスクを増大するかについては、これまで相反する報告が示されていた。Lancet誌オンライン版2015年5月11日号掲載の報告より。106試験をレビュー、生物学的製剤とDMARDsの重度感染症リスクを比較 研究グループは、MEDLINE、Embase、コクラン臨床試験レジストリ、米国の臨床試験登録システムClinicalTrials.govをデータソースに、RAと生物学的製剤に関する試験で重度感染症について報告のあるものを適格とし、システマティックレビューとメタ解析を行った。検索対象期間は、それぞれの発行開始から2014年2月11日時点までとした。ベイジアンネットワーク解析法を用いて行い、ヒットした論文のリスクバイアスについて、コクランバイアスリスクツールを用いた評価を行った。 システマティックレビューで106試験を特定した。 2項モデルを用いて、RA患者で生物学的製剤を服用する患者と、DMARDsを服用する患者について、重度感染症リスクを比較した。マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて重度感染症のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して治療効果の主要評価とした。生物学的製剤服用、標準用量で重度感染症リスクは1.3倍、高用量で1.9倍に 結果、DMARDs服用患者に比べ、生物学的製剤服用者は、標準用量と高用量ともに重度感染症リスクの有意な増大が認められた。ORは標準用量群が1.31(95%CI:1.09~1.58)、高用量群1.90(同:1.50~2.39)だった。低用量については、同リスクの増大はみられなかった(オッズ比:0.93、同:0.65~1.33)。 また、生物学的製剤服用者の中でも、メトトレキサート服用歴のない人は、DMARDsやTNF阻害薬服用歴のある人に比べ、同リスクは低かった。 DMARDs服用と比較した生物学的製剤服用による重度感染症発症の絶対増加数は、年間治療数1,000人当たりで、生物学的製剤標準用量群(DMARDsの併用ありまたはなし)の6例から、生物学的製剤組み合わせ服用群の55例にわたった。

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関節リウマチの予後・治療反応と関連する遺伝子/JAMA

 関節リウマチ(RA)患者では、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子が疾患感受性と関連しており、放射線学的重症度、死亡、治療反応とも関連していることが明らかにされた。関連が認められたのは、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子座の11にアミノ酸バリンが認められるタイプであった。英国・マンチェスター大学のSebastien Viatte氏らが、RA患者の複数のコホートを基に分析し報告した。なお今回の結果について著者は、他コホートで同様の所見がみられれば、次のステップとしてRA治療におけるHLA-DRB1ハプロタイプの位置付けを評価すべきと述べている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。HLA-DRB1ハプロタイプと放射線学的重症度などを分析 研究グループは、Norfolk Arthritis Register(NOAR)などRA患者の4つのコホート(被験者数:1,691例、421例、2,432例、1,846例)を基に、HLA-DRB1ハプロタイプと、放射線学的重症度、死亡率、TNF阻害薬への反応性の関連を検討した。 検討は、縦断的統計モデルを用いて、患者単位で画像診断記録を統合して行った。すべての患者は英国生まれの白人(自己申告)だった。 HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子は、遺伝子座11、71、74のアミノ酸バリンで16タイプを特定。主要評価項目は、Larsenスコア(範囲:0~200、スコア高値ほど関節破壊が重度)を用いた放射線学的アウトカムと画像所見上での手足機能低下、全死因死亡、28関節に基づく疾患活動性スコア(DAS 28)、およびEuropean League Against Rheumatism(EULAR)反応とした。炎症性多発性関節炎では死亡率が1.16倍に RA患者で、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる人は、放射線学的損傷と強い関連が認められた(オッズ比:1.75、95%信頼区間:1.51~2.05)。 5年間で手足機能低下が認められた患者は、同所見が認められなかった人(ノンキャリア)では48%だったが、ヘテロ接合体キャリア患者では61%、ホモ接合体キャリア患者では74%だった。 また、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる炎症性多発性関節炎患者では、全死因死亡増大との関連がみられた(ハザード比:1.16、同:1.03~1.31、p=0.01)。年間死亡率はノンキャリアは1.9%に対しキャリアは2.5%だった。 さらに、EULAR基準に基づくTNF阻害薬に対する治療反応性を増大することも認められた(オッズ比:1.14、同:1.01~1.30、p=0.04)。ノンキャリア78%に対し、ヘテロ接合体キャリアは81%、ホモ接合体キャリアは86%だった。 HLA-DRB1ハプロタイプによって定義したリスク階層は、疾患感受性、重症度、死亡率と相関していた。しかし、TNF阻害薬治療反応とは逆相関の関連が認められた。

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RAへのTNF阻害薬、漸減戦略は有効か/BMJ

 低疾患活動性の関節リウマチ(RA)患者に対し、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の投与を疾患活動性に応じて段階的に投与間隔を延長して投与量を減らす方法は、通常の一定量を継続して行う方法に比べ、有効性について非劣性であることが示された。オランダ・Sint MaartenskliniekのNoortje van Herwaarden氏らが、180例について行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年4月9日号掲載の報告より。主要アウトカムは18ヵ月時点の再燃期間3ヵ月超 研究グループは2011年12月~2014年5月にかけて、オランダ2ヵ所のRA専門の外来診療所で、低疾患活動性RAでアダリムマブまたはエタネルセプトを服用している患者180例を対象に試験を行った。 被験者のうち121例について、疾患活動性に応じて段階的に投与間隔を延長し、最終段階では投与を中止した(減量戦略群)。なお、途中で疾患活動性の再燃が認められた場合には、投与間隔を戻すなどの調整をした。残る59例については、投与間隔を延長せずに通常どおりの方法で投与を行った。 再燃の定義は、DAS28-CRPスコアで1.2超の増大、またはスコア3.2以上で0.6超の増大とした。 主要アウトカムは、18ヵ月時点で再燃期間が3ヵ月超だった患者の割合で、非劣性マージンは20%とした。減量戦略群、2割でTNF阻害薬投与を中止 結果、主要アウトカムの発生率は、減量戦略群が12%に対し、対照群は10%と、減量戦略群の非劣性が示された(群間差:2%、95%信頼区間:-12~12)。 減量戦略群では、TNF阻害薬の投与を中止できたのは20%(同:13~28)、投与間隔を延長したのは43%(同:34~53)だった。一方で、投与間隔を減らすことができなかった人は37%(同:28~46)だった。 短期間再燃の割合は、減量戦略群で73%、対照群で27%であり、最小限のX線画像上の進行の割合はそれぞれ32%、15%と、いずれも減量戦略群で高率だった。 機能状態、QOL、臨床的に意義のあるX線画像上の進行、有害事象の発生率については、いずれも両群で同等だった。

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ベーチェット病の口腔潰瘍にアプレミラストが有効/NEJM

 ベーチェット症候群の特徴的な病変である口腔潰瘍の治療に、アプレミラスト(apremilast、国内未承認)が有効であることが、トルコ・イスタンブール大学のGulen Hatemi氏らの検討で明らかとなった。ベーチェット症候群の他の粘膜病変には、陰部潰瘍や丘疹膿疱性、結節性の病変などがあるが、再発を繰り返す口腔潰瘍は身体機能を損ない、QOLに多大な影響を及ぼす。従来薬の効果は十分ではないため新規薬剤の開発が求められており、口腔潰瘍に有効な薬剤は他の病変への効果も有する可能性が示唆されている。アプレミラストはホスホジエステラーゼ4を特異的に阻害する低分子量の経口薬で、とくに免疫細胞内のサイクリックAMPを上昇させることでさまざまな炎症経路に作用するという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告。口腔潰瘍の抑制効果を検討する無作為化第II相試験 研究グループは、ベーチェット症候群の口腔潰瘍に対するアプレミラストの有効性と安全性の評価を目的に、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した(Celgene社の助成による)。対象は、国際ベーチェット病研究グループの診断基準を満たし、年齢18歳以上、口腔に2ヵ所以上の潰瘍を有する患者であった。 被験者は、アプレミラスト30mgを1日2回投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。引き続き、プラセボ群をアプレミラストに切り替え、両群ともさらに12週の延長治療を行った。その後28日間、経過を観察した。 主要評価項目は12週時の口腔潰瘍の数とし、副次的評価項目は口腔潰瘍による痛み(100mm視覚アナログスケール[VAS]で評価、スコアが高いほど痛みが強い)、陰部潰瘍数、疾患活動性、QOLなどであった。 2009年10月~2011年10月の間に111例が登録され、アプレミラスト群に55例(年齢中央値34.0歳、女性71%、罹病期間中央値4.44年、平均口腔潰瘍数3.2±2.0ヵ所、VASスコア 54.3±26.2点)、プラセボ群には56例(34.0歳、68%、2.97年、3.1±1.3ヵ所、51.7±22.6点)が割り付けられた。それぞれ50例(91%)、45例(80%)が最初の12週の治療を完遂した。良好な有用性を確認、長期効果や他の症状は評価できず 12週時の平均口腔潰瘍数は、アプレミラスト群が0.5±1.0ヵ所であり、プラセボ群の2.1±2.6ヵ所に比べ有意に少なく(p<0.001)、中央値はそれぞれ0(0~6)ヵ所、2(0~13)ヵ所であった。 ベースラインから12週時までに、口腔潰瘍の平均疼痛スコアは、アプレミラスト群で44.7±24.3点減少したのに対し、プラセボ群では16.0±32.5点の減少であった(p<0.001)。また、24週時までの平均疼痛スコアの低下は、プラセボからアプレミラストへの切り替え群が42.2.±32.2点、アプレミラスト群は44.8±29.8点であり、24週時の平均スコアはそれぞれ9.6±21.1点、9.7±20.3点だった。 ベースライン時にアプレミラスト群の10例、プラセボ群の6例に陰部潰瘍がみられたが、12週時にはアプレミラスト群が0例となったのに対し、プラセボ群は3例に認められた(p=0.04)。 疾患活動性は、Behcet’s Disease Current Activity Form(0~12点、スコアが高いほど活動性が高い)のベースラインから12週時の平均変化は、アプレミラスト群が-1.5点、プラセボ群は-0.1点(p<0.001)、Behcet’s Syndrome Activity Score(0~100点、スコアが高いほど活動性が高い)の平均変化はそれぞれ-21.2点、-6.0点(p<0.001)であり、いずれもアプレミラスト群で有意に抑制されていた。 Behcet’s Disease Quality of Life Measure(0~30点、スコアが高いほどQOLの低下が大きい)によるQOL評価では、ベースラインから12週時の平均変化は、アプレミラスト群が−4.5点、プラセボ群は−1.6点(p=0.04)、SF-36(0~100点、スコアが低いほどQOLの低下が大きい)の身体機能の平均変化はそれぞれ4.7点、−1.7点(p=0.001)であり、いずれもアプレミラスト群で有意に良好だった。 12週までにみられた最も頻度の高い有害事象は両群とも頭痛であった(アプレミラスト群:47%、プラセボ群:45%)。アプレミラスト群で頻度の高い有害事象として、悪心(40 vs. 18%)、嘔吐(16 vs. 2%)、下痢(22 vs. 4%)が認められた。重篤な有害事象は、アプレミラスト群で2例、プラセボ群では1例にみられた。また、12週までに、ベースライン時にはみられなかったベーチェット症候群の症状を新たに発現した患者は、それぞれ22%、48%であった。 著者は、「この予備試験は、長期的な効果やベーチェット症候群の他の症状に対する効果、低頻度の重篤な有害事象のリスクを評価するには症例数および試験期間が十分でなかった」と指摘している。

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「寛解」から「治療の最適化」へ リウマチ治療最前線

 2015年3月9日、都内にて、東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 所長の山中 寿氏が、関節リウマチ(RA)治療の最新動向に関して講演を行った(主催:ファイザー株式会社)。リウマチ治療の変遷 山中氏はまず、東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センターで2000年から行っているRA患者に対する前向き観察研究(IORRA)の結果を基に、RA治療の進歩について解説した。 本調査は年2回実施しており、毎回約6,000例のRA患者の情報を集積している。 その調査からわかったことは、「NSAIDs・ステロイドの服用率は年々低下し、逆にMTX・生物学的製剤の服用率が上昇していること」である。結果的に、疾患活動性を表すDAS28が改善し、寛解率の向上につながっている傾向がみられた。 寛解率向上の理由としては、2000年代前半は「MTXの普及」、2000年代後半は「生物学的製剤の普及」と考えられている。 手術に関しては、全体的に減少傾向にある。ただし、関節形成術は上昇傾向にあり、QOLの向上に重きが置かれている傾向がみられる。リウマチ診療ガイドライン2014のポイント 生物学的製剤の登場や、ガイドライン改訂などのインフラ整備により治療方針が明確になり、RA治療は大きな進歩を遂げた。 昨年改訂された『関節リウマチ診療ガイドライン2014』では、「有識者の意見」や「エビデンス」に加え、「リスクとベネフィットのバランス」や「患者の価値観や好み」「経済評価」に関しても考慮されていることが特徴として挙げられる。 本ガイドラインでは、「臨床症状の改善だけでなく、長期予後の改善を目指す」ことを治療目標として挙げており、また、治療方針に関しても「炎症をできるだけ速やかに鎮静化させて寛解導入し、寛解を長期間維持する」ことが明示されている。寛解の先にあるもの これまでのRA治療は寛解を目指して行われてきたが、治療環境が整備された今、これからのRA治療は寛解から「治療の最適化」を模索すべき時期にきている。 「治療の最適化」の1つとして挙げられる生物学的製剤の減量・休薬に関して、エタネルセプトをはじめとして実際の臨床試験でもその可能性が示唆されている。・ステロイド、MTX、生物学的製剤の減量・休薬・合併病態のマネジメント・薬剤経済学的観点・生命予後の改善・患者の視点といったさまざまな視点から、最適な治療を患者ごとに検討していく必要がある。リウマチ治療の今後 最後に、山中氏は「Hit and away strategy」をスローガンとして、・生物学的製剤の早期投与、早期寛解導入・6ヵ月以上寛解維持できれば休薬を考慮・再燃例では、同じ生物学的製剤を再投与のような指針に従い、治療を行っていくことが望ましいと強調した。

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家族性地中海熱〔FMF: Familial Mediterranean fever〕

1 疾患概要■ 概要家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)は、持続時間が比較的短い(1~3日)周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性の自己炎症疾患である。本疾患は、MEFV遺伝子の異常に伴うインフラマソームの機能異常とIL-1βの産生による自己炎症が病態の中心にある。2009年に行った全国調査の結果では、各種臨床症状の頻度は、発熱が95.5%、胸痛(胸膜炎症状)が35.8%、腹痛(腹膜炎症状)62.7%、関節炎が31.2%であった。また、AA アミロイドーシスは3.7%に確認された。治療に関しては、コルヒチン(商品名:同)が92.0%の患者に有効であった。わが国において一定数のFMF患者が存在しており、重篤な合併症であるAA アミロイドーシスを予防するためにも早期診断、早期治療介入が望まれる。■ 疾患概念FMFは、パイリンの機能異常を背景として、炎症制御機構の破綻により発症する遺伝性自己炎症疾患である。臨床的には、漿膜炎(胸痛発作、腹痛発作)、関節炎を周期的に繰り返す。FMFの病型は、典型例、非定型例(不完全型)に大別され、典型例では12~72時間持続する38℃以上の発熱発作を認めるのに対して、非定型例では発熱期間、発熱の程度(38℃以上でないことがある)が典型例と異なり、また随伴する漿膜炎症状が、不完全である点も典型例と異なる。■ 病態生理FMFは、NLRP3インフラマソーム関連蛋白であるpyrinをコードするMEFV遺伝子の変異で発症すると考えられている。インフラマソームは、NLRとASC、caspase-1からなる。NLRはヒトで20個あまり同定されており、N末端にcaspase recruitment domain(CARD)あるいはpyrin domain (PYD)を持ち、中央にNOD領域を有するのが基本である。(NLR family PYD-containing 3)NLRP3を例に取るとNLRP3、ASC、caspase-1がCARD、PYDを介してインフラマソームを形成し重合すると、最終的に活性化されたcaspase-1によりpro-IL-1βが切断され活性型IL-1βに変換されることで炎症が誘導される1)。FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子がコードするpyrinはNLRP3とASCのPYDを介した結合に干渉し、インフラマソームの活性を負に制御すると推定されている2)。MEFV遺伝子変異とpyrinの機能異常に関して結論が出ていないが、MEFV遺伝子変異によりpyrinのインフラマソームの抑制機能が障害され、自己炎症が起こると考えられている。■ 臨床症状1) 発熱症状FMFでもっとも高率にみられる症状が、周期性発熱である。発熱パターンには特徴があり、典型例では周熱期間が1~3日と短く、発熱は自然に軽快する。発熱はCRP、SAAなどの急性期蛋白の増加を伴っている。発熱発作の頻度は個人差があり、発熱発作の誘因としてストレス、手術などによる侵襲、女性の場合は月経などが挙げられる。FMFの責任遺伝子産物であるpyrinは好中球で、高発現していること、また、FMFの発作時に漿膜などの炎症局所に好中球が浸潤していることにより、FMFの自己炎症の病因の1つとして好中球の機能異常が考えられている。2) 随伴症例発熱に伴い出現することが多い随伴症状として漿膜炎、滑膜炎が挙げられる。漿膜炎の中でも胸膜炎において、咳嗽、胸水貯留を認めることは少なく、患者は胸痛に加え背部症、呼吸の際の違和感などの症状を訴えることもある。本症でみられる無菌性漿膜炎発作の病理的特徴は、漿膜細胞への好中球の浸潤である。腹膜炎による急性の腹痛は、腹水や腹膜刺激症状などの所見を伴うこともあり、急性腹症との鑑別が重要である。女性の場合は、月経で誘発されることもあり、激しい下腹部に限局した腹膜炎症状を呈することもある。滑膜炎は、膝関節、足関節などの下肢の単関節で発症することが多く、組織学的には、滑膜組織への好中球浸潤を特徴とする。また、頻度は少ないが、心外膜炎、無菌性髄膜炎、丹毒様紅斑などの随伴症状がみられることもある。■ 臨床経過・予後FMFの予後に影響する重大な合併症、遷延する炎症に続発するAAアミロイドーシスである。全国調査の結果でも134人中5人(約4%)にアミロイドーシスの合併がみられた3)。アミロイドーシス合併頻度は、コルヒチンの投与開始がまだ遅れているわが国の状況を考慮しても、海外症例に比べて明らかに低い。これらの結果は、わが国には重症例に多く、アミロイドーシス合併にも関連があると考えられているM694V変異例がみられないこと、MEFV exon10のホモ接合体の頻度が低いことに起因していると考えられ、遺伝子変異型と重症度の関連が考えられる。アミロイドーシスを合併したFMF症例の発症から治療開始までの平均期間は、20.1±4.5年と長く、アミロイドーシスの合併予防には、FMFの早期治療、早期治療介入が必要と考えられる。また、FMFはSAA高値接続するのではなく、周期的に上昇がみられる点が、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患と異なり、SAAの厳密な陰性化は、RAほど重要でないかもしれないが、SAAの陰性化もアミロイドーシス予防には必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準FMFの診断には、Tel-Hashomer criteriaが海外では用いられているが4)、漿膜炎発作を限局型、非限局型に分類するなど難解な点も多い。わが国で使用されている診断基準を表に示す。必須項目と補助項目のいずれか1項目以上認める場合、臨床的にFMF典型例と診断する。感染症、自己免疫疾患、ほかの自己炎症疾患の鑑別は必要である。遺伝子診断に関しては、MEFV遺伝子の疾患に関連する遺伝子変異を認めない症例が一部みられ、臨床診断が中心となるが、exon10の変異(日本人は主にM649I)は、浸透率が高く診断的意義は高い。また、典型例と非定型例の識別には、MEFV遺伝子解析がある程度有用である。表 FMF診断基準●必須項目:12時間から72時間続く38℃以上の発熱を3回以上繰り返す。発熱時には、CRPや血清アミロイドA(SAA)などの炎症検査所見の著明な上昇を認める。発作間欠期にはこれらが消失する。●補助項目:1 発熱時の随伴症状として、以下のいずれかを認める。a 非限局性の腹膜炎による腹痛 b 胸膜炎による胸背部痛 c 関節炎d 心膜炎 e 精巣漿膜炎 f 髄膜炎による頭痛2 コルヒチンの予防内服によって発作が消失あるいは軽減する。必須項目と、補助項目のいずれか1項目以上を認める症例を、臨床的にFMF典型例と診断する。■ 不完全型FMFの存在典型的なFMFは、発熱発作、漿膜炎発作が半日~3日以内のことが多い。一方、非定型的なFMFは、発熱期間が典型例と異なり、数時間以内であったり、4日以上持続したり、38℃以上の発熱がみられない(微熱)こともある。また、漿膜炎発作が典型的でなく(限局している、激しい腹痛はなく腹膜刺激症状を伴わない)、関節痛、筋肉痛などの非特異的症状がみられることがある。これら病像を呈する症例は、不完全型(非定型的)FMFである可能性があり、MEFV遺伝子検査が診断の補助となる。不完全型FMFでは、MEFV遺伝子 exon10の変異は少なくexon1(E84K)、exon2(E148Q、L110-E148Q、R202Q、G304R)、exon3(P369S-R408Q)、exon5(S503C)の変異を伴っていることが多い。■ 検査所見検査所見では、好中球優位の白血球増加、赤沈亢進、CRPおよびフィブリノゲンの上昇など、非特異的な炎症所見を認める。アミロイドーシス合併例では、尿蛋白、腎機能の上昇を認めることがある。FMFでは、好中球の機能亢進が病態の1つと考えられており、筆者らもFMF患者において、好中球CD64分子が、自己免疫疾患患者に比べ、有意に上昇していることを確認している5)。■ 画像所見FMFに特異的な画像診断はないが、FMFの随伴症状である漿膜炎発作を画像で検出できる可能性がある。胸膜炎(胸痛)発作時に示すように胸水、心嚢水を認める場合もあるが6)、このようなケースはまれである。家族性地中海熱の一部は、MEFV遺伝子に疾患関連変異がない症例が少なくなく、臨床診断が中心となるが、exon10の変異(日本人は主にM694I)は、浸透率が高く診断的意義は高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FMFの治療の中心はコルヒチン投与であり、コルヒチンで症状の改善がみられる。治療に関する海外のリコメンデーション7)でも、コルヒチンの有用性はランダム化比較試験でも確認されており、成人、小児においても、第1選択薬として位置付けられている。コルヒチン治療開始後は、3ヵ月間隔で治療効果を判定すべきで、発熱発作が3ヵ月に1回以上、あるいは発作の有無にかかわらず、炎症反応が持続する場合は、コルヒチンの投与量を増量すべきと推奨されている。コルヒチンの投与は、小児例においても、症状の改善、アミロイドーシスの予防のために考慮されるべきである。小児におけるコルヒチンの投与量は、0.03~0.07mg/kg/日である。成人においては、1mg/日(1日2~3回の分割投与が望ましい)が至適投与量であるが、わが国FMFにおいては0.5mg/日と比較的少ない投与量でも改善がみられることがある。コルヒチン治療で改善がみられない場合やコルヒチンの副作用のため使用できない場合は、代替治療が必要である。十分量のコルヒチンを投与しても年間6回以上の発熱発作がある場合は、コルヒチン耐性と考え、他の治療法を考えるべきであり、その場合、IL-1阻害薬が第1選択薬と考えられている8)。4 今後の展望これまでの調査などにより、わが国でも一定数の家族性地中海熱症例が存在し、その臨床像の海外症例との相違点が明らかにされている。わが国で経験する症例は海外症例に比べ、重症度は高くないと考えられるが、治療が遅れるとアミロイドーシス合併リスクがあり、早期診断、早期治療介入が望まれる。また、非特異的症状を呈する不完全型FMFの存在に加え、本症の責任遺伝子であるMEFV遺伝子の異常が家族性地中海熱以外のリウマチ性疾患の病態にも関与している可能性があり、今後の研究の進展が望まれる。5 主たる診療科膠原病・リウマチ内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 家族性地中海熱(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報自己炎症疾患友の会 家族性地中海熱(患者とその家族向けのまとまった情報)1)Pedra JH, et al. Curr Opin Immunol. 2009; 21: 10-16.2)Stojanov S, et al. Curr Opin Rheumatol. 2005; 17: 586-599.3)Migita K, et al. Medicine (Baltimore). 2012; 91: 337-343.4)Livneh A, et al. Arthritis Rheum. 1997; 40: 1879-1885.5)Migita K, et al. Clin Exp Immunol. 2011; 164: 365-372.6)Takazono T, et al. Respiration. 2012; 84: 334-336.7)Hentgen V, et al. Semin Arthritis Rheum. 2013; 43: 387-391.8)Hashkes PJ, et al. Ann Intern Med. 2012; 157: 533-541.

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