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大部分のがんは男性で発症しやすく生存率も低い

 がんの発症リスクと生存率における性差について、スウェーデンがん登録のデータで調査したところ、男性のほうが39がん種のうち34がん種で発症リスクが高く、27がん種で生存率が低いことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らが報告した。著者らは、「これらの性差を引き起こす原因を特定して排除することで、全体的ながん負担を軽減させる可能性がある」としている。European journal of cancer誌オンライン版2017年8月10日号に掲載。 本研究は、1970~2014年にスウェーデンがん登録に記録された成人のすべてのがん症例(87万2,397例)のデータを用いた、集団ベースのコホート研究である。診断された年齢と年を調整して、男性の女性に対する罹患率比(IRR)と過剰死亡指数(EMR)をポアソン回帰を用いて推定し、性別とがんリスク、性別と生存率との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・男性のほうが、39がん種中34がん種で発症リスクが高く、39がん種中27がん種で予後不良であった。・女性のほうが、39がん種中5がん種で発症リスクが高く、39がん種中2がん種で生存率が有意に低かった。・男性のほうが多いがん種のIRRの範囲は、肺腺がんの1.05(95%CI:1.03~1.1)から喉頭がんの8.0(同:7.5~8.5)であった。・男性のほうが生存率の低いがん種のEMRの範囲は、結腸がんの1.1(95%CI:1.03~1.1)から高分化型甲状腺がんの2.1(同:1.5~2.8)であった。

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アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに優先審査:FDA

 Genentechは2017年8月2日、米国食品医薬品局(FDA)が、同社の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を受理し、アレクチニブのALK陽性の局所進行性または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療としての優先審査を付与したことを発表した。FDAは2017年11月30日までに承認を決定する。 アレクチニブは、第III相J-ALEX試験の結果から、2016年9月にFDAよりALK阻害薬未治療の進行ALK陽性NSCLC治療のブレークスルー・セラピー指定を受けている。今回のsNDA提出は、第III相のALEXおよびJ-ALEX試験の結果に基づいている。なお、クリゾチニブ治療PD例または不耐例の上記患者における適応については、2015年12月にFDAの迅速承認を取得している。■参考GenentechプレスリリースALEX試験(Clinical Trials.gov)J-ALEX試験(Japic CTI)■関連記事アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJMALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの成績発表:ALEX試験/ASCO201ALK阻害薬による1次治療の直接比較J-ALEX試験の結果/Lancet

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肺がん治療ターゲット・セラピー、未来への系譜/アストラゼネカ 第2回【肺がんインタビュー】

第2回 肺がん治療ターゲット・セラピー、未来への系譜/アストラゼネカ肺がん治療に大きな変化をもたらしたEGFR-TKIゲフィチニブ。さらに、2016年には第1・第2世代の耐性をも克服した第3世代EGFR-TKIオシメルチニブを発売したアストラゼネカ。ターゲット・セラピーを通し、肺がん治療の発展に貢献し続ける同社だが、その道のりは平坦ではなかった。同社オンコロジー事業本部マーケティング統括部長 森田慎一郎氏に、肺がん治療と共に進んできた道のりと今後の展開を聞いた。ケアネットの調査で、すべてのがん種を通し、ドクターが最もインパクトが大きいと評価した薬剤はゲフィチニブでした。ゲフィチニブは、発売前から非常に高い期待を背負っていましたが、その後の有害事象の発現で事態が大きく変わったかと思います。その当時の状況はいかがでしたかアストラゼネカ株式会社 オンコロジー事業本部マーケティング統括部長 森田 慎一郎氏メディア報道の影響が大きいのですが、ゲフィチニブは発売前から夢の新薬として扱われました。実際に、助からない患者さんがゲフィチニブにより短期間で劇的に改善するといった、従来の抗がん剤では経験したことのない効果を治験ドクターが体験しており、それも前評判を高めた要因だと思います。しかし、発売後に間質性肺炎の有害事象が発現し、一気にネガティブな報道に変わってしまいました。報道の影響は非常に大きく、患者さんがゲフィチニブによる治療を拒否するという事態が起きました。せっかくゲフィチニブが使える可能性があっても使えないという、歯がゆい思いを、臨床現場のドクターもわれわれも経験しました。有害事象発現の後に3,000例以上を対象とした特別調査と、間質性肺炎のリスク特定のためのケースコントロール試験も実施しました。このような状況の中でも、ドクターは臨床でゲフィチニブが一定の患者さんには確実に効果があるという実感を得ていました。この薬剤は絶対に必要な薬だ、とドクターが確信されていたこともあり、全面的な協力をいただき、短期間でデータを収集できました。逆風の中にはありましたが、ドクターからは訪問するたびに、良い話を聞かせてもらえるので、弊社としても勇気づけられ、逆風に倒れることなく、活動していたことを覚えています。そのような経過を経て、EGFR-TKIの位置付けが、明らかになっていくわけですね前述のとおり、どのような患者さんに効果があり、どういう患者さんに副作用が起こるのか、早い段階で日本のドクターは掴んでおられました。そこで、奏効が期待できる臨床的背景(腺がん、非喫煙者[あるいは過去少量喫煙者]、アジア人)の患者さんを対象に、IPASS試験を実施しました。予想どおり、この患者集団では著明な効果を証明しました。その後、EGFR遺伝子変異におけるEGFR-TKIの有効性が明らかになり、以前からのドクターの勘どころが、ターゲット・セラピーとして科学的に証明されました。ゲフィチニブはグローバルな薬剤ですが、日本のドクターの熱意が育ててくれた薬剤であるといえます。画像を拡大する画像を拡大する臨床背景で選択した患者で有意なPFS延長を示し、EGFR変異によるサブグループ解析では、さらなる著明な効果を示したIPASS試験EGFR-TKIの位置付けが確立していきますが、今度は耐性の問題が浮上します。そこで、耐性を克服した第3世代EGFR-TKIオシメルチニブを臨床現場に登場させますが、その経緯について教えていただけますかEGFR-TKI耐性メカニズムにT790M遺伝子が関与することは、かなり以前から明らかになっていました。臨床現場からも耐性を克服する薬剤の開発について強い要望をいただいており、多くの製品が、耐性克服に挑戦しましたが、T790Mを抑制するまで薬剤濃度を上げると、野生型EGFRチロシンキナーゼも阻害してしまい、有害事象が強くなってしまいます。画像を拡大するT790M変異症例でオシメルチニブが著明かつ有意なPFS延長を示したAURA3試験そのような中、オシメルチニブは最新テクノロジーを活用し、野生型EGFR チロシンキナーゼへの活性を抑え、T790Mを強力に阻害するようデザインされました。従来の薬剤と根本的に異なる方法で開発されたのです。実際にAURA試験などの臨床試験で、T790M変異症例に対する著明な効果を証明しています。オシメルチニブはまた、T790Mのみならず、Exon19、21といったEGFR遺伝子変異にも良好な効果を示します。現在、T790M変異から拡大し、EGFR変異の非小細胞肺がんに対する1次治療の第III相試験FLAURA試験も進行中です。その後、オシメルチニブが承認されるわけですが、承認から薬価収載までの間、同剤の無償提供をされました。その状況について教えていただけますかT790M変異の患者さんは、治療選択肢がきわめて限られています。オシメルチニブを1日も早くに使うべき患者さんが大勢おられ、臨床現場からの強い要望がありました。そういった要望にお応えするために、薬価収載前の薬剤提供を検討しました。実際に困っている患者さんに使えるよう、さまざまな方法を検討した結果、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもと、本剤の無償提供に踏み切りました。ただし、有害事象などの問題もありますので、提供先は、治験実施施設のうち、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用する、弊社が実施する市販直後調査・全例調査や適正使用推進等の各種安全対策に協力いただける、といった条件に合意いただけた施設に限定しました。オシメルチニブの使用には再生検によるT790Mの確認が必要となります。とはいえ、再生検をしてもらうというのは容易ではないと思いますが画像を拡大する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブオシメルチニブが登場するまでは、T790Mへの治療手段がなかったため、再生検という概念はなかったわけです。いわゆるゼロからのスタートですが、EGFR-TKI耐性となった患者さんに一人でも多く、治療機会を見つけていただくため、講演会などを開催し、再生検の重要性と共に、再生検の実際について広める活動を行っています。呼吸器科の先生方は気管支鏡の専門家ですが、再生検は新たなチャレンジです。そこで、スペシャリストを招いて、組織へのアプローチ、採取のテクニックなどを紹介いただきました。また、気管支鏡メーカーとタイアップして、機械を現場に持ち込んだハンズオンセミナーを開催し、実際の手技を体験いただいています。さらに、肺外、肝臓、骨、脳といった、呼吸器科がアクセスできない部位の対策として、消化器内科、整形外科、脳外科、放射線科といった他科連携のノウハウも講演会でオピニオンリーダーから共有していただきました。このような再生検の普及活動をしていますが、オシメルチニブ上市時、40%程度だった再生検実施施設が、現在では90%を超えています。海外では50%程度ですので、日本がいかに高いかわかります。この数字は、日本の先生方が、患者さんのために非常に熱心に再生検に取り組んでいることを表しているものです。われわれも何らかの形で、ここに貢献できたのではないかと思っています。組織再生検不能な患者さんのためにリキッドバイオプシーの手段があります。リキッドバイオプシーについても、保険点数が付くまで検査結果の倫理提供をなさっていましたね再生検実施率は海外とは比較にならないほど高くなりました。とはいえ、組織生検できる症例は60%で、残りの40%は患者さんの病状や腫瘍の形状など何らかの理由で生検できないというのが現状です。治療できるかもしれない患者さんが、目の前にいるのに何もできない、というジレンマが臨床現場にもわれわれにもありました。しかし、検査の保険適用には時間がかかります。その間にT790M変異検査ができないまま、状態が悪くなっていく患者さんが大勢いらっしゃいます。そのような患者さんの緊急治療を支援する観点から、保険適用前に何かできることはないか、社内で検討し、関係各省との調整を行いました。そして、オシメルチニブのコンパニオン診断薬コバスEGFR変異検出キットv2.0(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いたT790M血漿検査結果の倫理提供の実施に至りました。T790M検査の結果を弊社が購入、無償提供することになるのですが、再生検不能な患者さんにアクセスしてもらう環境を作りたい、という強い思いから実現できたのだと思います。今後はどのような製品で肺がん治療に貢献する予定ですか? パイプラインについて教えていただけますかこれまでEGFR-TKIを通して肺がん医療に貢献してきました。しかし、EGFR変異は非小細胞肺がん患者さんの35%程度です。残りの65%の患者さんにも貢献したいと考えています。免疫チェックポイント阻害薬は、その目標を実現する1つの候補です。われわれは、抗PD-L1抗体durvalumabを有しており、この製品を肺がん領域でも開発しています。durvalumabでは、他の免疫チェックポイント阻害薬とは異なるアプローチをしています。代表的なものの1つとして、非小細胞肺がんStageIII患者さんの化学放射線治療後の維持療法として効果を検討した、PACIFIC試験があります。Unmet Medicalニーズの高い患者集団ですが、すでにポジティブな結果が出ており、今秋の国際学会で詳細を発表する予定です。durvalumabについては、StageIVの1次治療という、より多くの患者さんを対象とした臨床試験MYSTIC試験も進行しています。この試験では、durvalumabと弊社の抗CTLA-4抗体であるtremelimumabを併用しています。PD-L1が50%未満の症例では、PD-1阻害薬の効果はどうしても低下してしまいますが、たとえば、この患者集団に対して免疫チェックポイント薬の併用がベネフィットをもたらすことができるか、といった免疫チェックポイント阻害薬の新たな可能性を検証します。この研究も今後の国際学会で発表の予定です。そのほか、私どもには多くの作用機序の異なる肺がん治療薬のパイプラインがあり、自社品の中で併用試験を組むことも容易です。今後も、さまざまな薬剤の組み合わせにもチャレンジし、肺がん治療の研究を進めていければと思っています。

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durvalumab、切除不能StageIII肺がんのブレークスルー・セラピーに指定

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):Pascal Soriot)およびその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年7月31日、米国食品医薬品局(FDA)が白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法後に進行が認められなかった局所進行切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療薬としてdurvalumabをブレークスルー・セラピーに指定したことを発表した。 durvalumabのブレークスルー・セラピー指定は、第III相PACIFIC試験の中間結果に基づき付与された。同試験は、上記患者を対象としたdurvalumab投与の無作為化二重盲検プラセボ対照多施設間国際共同試験。PACIFIC試験のデータは、今後の医学学会における発表に向けて提出の予定。 durvalumabは治療歴のある進行膀胱がん患者に対する治療薬として本年(2017年)5月FDAで迅速承認されている。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースAstraZeneca(グローバル)プレスリリースPACIFIC試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

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PD-L1高発現NSCLC1次治療、ペムブロリズマブKEYNOTE-024試験の日本人データ/日本臨床腫瘍学会

 KEYNOTE-024試験は、未治療のPD-L1高発現(TPS50%以上)非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの1次治療を評価する国際共同無作為化第III相試験。全集団の解析では、無増悪生存期間(PFS)のHRが0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRも0.60(p=0.005)と、標準化学療法(SOC)群に対するペムブロリズマブ群の優越性が示されている。第15回日本臨床腫瘍学会では、同試験の日本人患者集団の解析結果が、兵庫県立がんセンター里内美弥子氏より発表された。 KEYNOTE-024試験では、全集団305例が登録された。そのうち日本人は40例で、ペムブロリズマブ群に21例、SOC群に19例が割り付けられた。患者背景は全集団と同様であった。フォローアップ期間(中央値11.2ヵ月)の化学療法からペムブロリズマブへのクロスオーバーは、全集団の44%に対し、日本人では37%であった。 日本人集団のPFSは、ペムブロリズマブ群で未達、SOC群で4.1ヵ月(HR:0.35、95%CI:0.14~0.91、p=0.013)であった。日本人集団のOSは、ペムブロリズマブ群で未達、SOC群では21.5ヵ月で、HRは0.40(95%CI:0.10~1.61)であった。また、最新のOS中間解析によれば、HRは0.36(95%CI:0.12~1.01)と、クロスオーバーの多さにも関わらず、その差は大きくなっている。長期使用により、ペムブロリズマブ群でさらに有望な結果が得られる可能性が示唆される。奏効率(ORR)は、全集団でペムブロリズマブ群44.8%、SOC群27.8%であったのに対し、日本人集団では、ペムブロリズマブ群57.1%、SOC群21.1%という結果であった。 Grade3~4の有害事象は、全集団ではペムブロリズマブ群26%、SOC群51%であったのに対し、日本人集団ではペムブロリズマブ群33%、SOC群47%であった。 KEYNOTE-024試験においては、全集団の結果と同様、日本人集団でも未治療のPD-L1高発現の非小細胞肺がんに対し、ペムブロリズマブの有効性と安全性が示された結果となった。■参考KEYNOTE-024試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効KEYNOTE-024試験/NEJMPD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017肺がん特集

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肺がんMYSTIC試験、durvalumab・tremelimumab併用の一部結果を発表

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年7月27日、未治療のStageIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療選択において、抗PD-L1抗体durvalumab単独療法またはdurvalumab・tremelimumab(抗CTLA-4抗体)併用療法と、プラチナベースの標準化学療法(SoC)をそれぞれ比較した、第III相MYSTIC試験の無増悪生存期間(PFS)の結果を発表。 durvalumab・tremelimumab併用療法は、PD-L1発現25%以上の患者におけるSoCとの比較で、主要評価項目であるPFSの改善を達成しなかった。また、正式には検証されていないが、副次評価項目であるdurvalumab単独療法のPFSベネフィットも閾値を満さない可能性がある、としている。 MYSTIC試験は、無作為化オープンラベル多施設共同試験。主要評価項目は、durvalumab・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS、durvalumab単独療法のOSの3つ(いずれもSoCとの比較)である。今回の発表は、そのうちの1つ併用療法のPFS。残り2つの主要評価項目も引き続き評価され、最終のOSデータは、2018年前半に発表される予定。 AstraZenecaのGlobal Medicines Development and Chief Medical OfficerであるSean Bohen氏はプレスリリースの中で、StageIVのNSCLCにおけるMYSTIC試験のPFSの結果は残念なものだが、この試験はOSを評価するよう設計されており、残りの主要評価項目である単独療法と併用療法双方のOSの評価に期待している、としている。 MYSTIC試験は、本邦も含む欧米およびアジアの世界17ヵ国167施設で実施されている。■参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースMYSTIC試験(ClinicalTrials.gov)

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第43回

第43回:CTLA-4を標的にしてリウマチとがんがぶつかっています(視聴者からの質問)キーワードイピリムマブアバタセプトリウマチ膠原病メラノーマ肺がんUemura M,et al.Selective inhibition of autoimmune exacerbation while preserving the anti-tumor clinical benefit using IL-6 blockade in a patient with advanced melanoma and Crohn's disease: a case report.J Hematol Oncol.2016 Sep 5.[Epub ahead of print]

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オシメルチニブ、肺がんFLAURA試験の主要評価項目を達成

 AstraZeneca社は2017年7月27日、第III相FLAURA試験で、未治療の転移性EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、エルロチニブまたはゲフィチニブと比較して、統計的に有意で臨床的に有意な無増悪生存期間(PFS)を示したと発表。 FLAURA試験は上記患者を対象に、オシメルチニブと、標準治療のEGFR-TKIであるエルロチニブまたはゲフィチニブの効果と安全性を比較した二重盲検無作為化試験。30ヵ国から556例の患者が登録されている。主要評価項目はPFS、副次評価項目は全生存率、客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、安全性、健康関連QOLであった。 FLAURA試験の具体的な結果は今後の学会で発表される予定。■参考 AstraZeneca(グローバル)プレスリリース FLAURA試験(Clinical Trials.gov)

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第42回

第42回:新たな肺がんレジメン、カルボ・ペム・ペムとは?キーワードペムブロリズマブMSI-H固形がん肺がんNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017Langer CJ,et al.Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study.Lancet Oncol.2016;17:1497-1508.MERCK社 KEYTRUDA prescribing information

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【JSMO2017見どころ】緩和・支持療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「緩和・支持療法」については西森 久和氏(岡山大学病院 血液・腫瘍内科 助教)が登壇した。以下、西森氏のコメントと注目演題を紹介する。【西森 久和氏コメント】 緩和・支持療法とは、がんに伴うさまざまな苦痛や症状、抗がん薬の副作用などを和らげるための治療である。がんを告知された患者さんは、がんに伴う痛みだけでなく、精神的にも不安やいらだちを感じ、社会的にも仕事を継続できなくなるなどの問題を抱えており、医療者は「苦痛」を全人的に捉えたうえで、サポートをしていく必要がある。がん対策基本法での緩和ケアの推進により、よりよい緩和医療が提供されるようになってきているが、いまだ不十分な点も多いのが現状といえる。本学会では、最新の緩和ケアに関するトピックスに加え、現状を直視したうえでよりよい方向性を見出すためのシンポジウムを数多く準備している。 医学の進歩により、さまざまな抗がん薬が開発され、それに伴う副作用も多様化している。一般的な抗がん薬による治療のイメージは、吐き気や嘔吐がつらい、脱毛など美容上の問題がある、などネガティブなものが多いかと思われるが、新しい制吐薬の開発など支持療法の分野も進歩しており、より効果的な抗がん薬をより安全に、やさしく患者さんに投与できる時代になってきている。本学会では支持療法に関しても、エビデンスに基づき患者さんの生活の質を保つことのできる情報を多く提供する予定である。 また、会期中神戸国際会議場では「患者・家族向けプログラム~いつでも、何処でも、最適のがん医療を受けるために~」が開催され、その模様がJunko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)でライブ中継される。各日午後には、両会場で相互交流を図る患者発のプログラムが予定されており、医療者にとっても「患者目線」を知ることができる機会となっている。 【注目演題】合同シンポジウム(日本緩和医療学会 / 日本臨床腫瘍学会)「緩和ケアに関わるガイドラインの変更と解説」日時:7月28日(金)10:20~12:20場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)セミプレナリーセッション「「予後2年」の望ましい伝え方:どのようながん患者がどのような台詞を好むか?」日時:7月29日(土)8:20~10:20場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)シンポジウム「症状スクリーニングと緩和治療―早期からの緩和ケアを目指して―」日時:7月27日(木)14:50~16:30 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)「口腔のケア・がん口腔支持療法を推し進めるために―論拠に基づいた実践を目指して」日時:7月28日(金)8:20~10:20場所:Room 5(神戸国際展示場1号館2F Hall B)「口腔のケア・がん口腔支持療法を推し進めるために―人材を養成する体制から在り方を問う」日時:7月28日(金)10:20~12:20 場所:Room 5(神戸国際展示場1号館2F Hall B)「Whole Person Care 〜 Care for cancer patients 〜」日時:7月28日(金)17:00~18:30 場所:Room 4(神戸国際展示場1号館2F Hall A)「チームで取り組む分子標的薬の副作用マネジメント 患者へベネフィットをもたらす支持療法」日時:7月29日(土)10:20~12:20 場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「外来がんリハビリテーション エビデンス&プラクティス」日時:7月29日(土)15:00~17:00場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)ワークショップ「緩和ケア病棟転院時の患者・家族の見捨てられ感について~安心して転院できますか」日時:7月27日(木)9:20~11:00 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)「がん治療中の患者の decision making のサポート―がん治療する?しない?―」日時:7月27日(木)13:00~14:40 場所:Room 3(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール北)教育講演「がん患者とのコミュニケーション」日時:7月27日(木)14:00~14:30場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「緩和ケアにおける EBM」日時:7月29日(土)9:20~9:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん化学療法後のB型肝炎ウイルス再活性化のリスクとその対策」日時:7月29日(土)9:50~10:20 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん連携における在宅支持療法」日時:7月29日(土)10:20~10:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がんのリハビリテーション」日時:7月29日(土)10:50~11:20 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)「がん患者の家族へのサポート」日時:7月29日(土)11:20~11:50 場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科 特任教授)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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患者向け肺がん情報提供、理想とのギャップ

 2017年7月12日、都内で日本肺癌学会主催の第16回肺がん医療向上委員会が開催された。その聴講内容をレポートする。 講演の前半では、世界肺癌学会(IASLC)の「ペイシェントアドボカシーアワード」を受賞した肺がん患者連絡会 代表 長谷川 一男氏が、昨年末にオーストリア・ウィーンで開催された第17回世界肺癌会議(WCLC2016)に参加した際の様子を紹介した。 参加者が肺がんに関する自国の現状や課題を話し合うセッションでは、各国の課題が浮き彫りとなった。各国の事情はそれぞれ異なり、欧州からは治療の平等性・薬価・患者QOL、米国からは治療の格差・早期発見・スティグマ、そして日本からは情報の欠如・心理ケア・医師との連携が主な課題として挙げられた。「情報の欠如」については、海外で情報提供とみなされる患者への医薬品の資材提供が日本では広告として規制されることからも、その遅れがうかがえる。 長谷川氏は、「患者向けにマスクされた情報よりも、臨床試験における副作用の頻度といった医療者向け情報のほうが欲しい」と、患者目線の意見を述べた。 続いて、「医療用医薬品(抗悪性腫瘍薬)における広告規制と情報提供:最近の話題」と題して中央大学理工学部人間総合理工学科 教授の大橋 靖雄氏が講演を行った。国際的に患者とのパートナーシップが最重視されているにもかかわらず、患者が学会の企業ブースや詳細な薬の情報にアクセスできない日本の現状は恥ずべきだという。しかし、昨今美容整形や健康食品に対する規制が強まり、ますます「広告」と「情報提供」の線引きが難しくなっている。情報提供側の利益相反や患者のリテラシーといった課題が複雑に絡み合うなか、打開策はどこにあるのだろうか。 「患者が意思決定する時代では、情報提供のあり方を考え直すべき」という長谷川氏。日進月歩で進むがんの領域は情報更新が追い付かず、トレードオフの関係にある情報の質と迅速さをどちらも担保することは容易ではない。患者向け肺がん情報提供における理想と現実のギャップを埋めるには、学会を含む多くの団体や企業間の連携が必要とされる。

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【JSMO2017見どころ】AYA世代のがん治療

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「AYA世代のがん治療」については嶋田 明氏(岡山大学病院 小児血液・腫瘍科 准教授)が登壇した。以下、嶋田氏のコメントと注目演題を紹介する。【嶋田 明氏コメント】 Adolescent and Young Adult(AYA)世代とは、15~30歳前後(欧米では15~39歳の定義もある)の高校生・大学生・若年成人を含み、AYA世代のがん治療は、成人がん、小児がんとは異なった問題点が存在する。たとえば、小児に多いがん(白血病、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など)と成人に多いがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなど)が混在してみられ、国内では毎年5,000人ときわめて稀ではあるが、就学、就職、結婚、出産などのライフイベントが集中する時期に起こるため、社会的問題も多くみられる。また5年生存率が、ほかの世代に比べて低く、最適で効果の高い治療方針は十分に確立しているといえない状況である。 小児慢性特定疾患などの公的な補助制度は最長20歳までであり、40歳以上が給付対象となる介護保険からも外れており、社会的支援が乏しいこと、診療科が小児科、血液内科、脳神経外科、乳腺内分泌科、整形外科、放射線科など多科にまたがり、患者さんも多病院、多病棟に分散している。国内では、AYA病棟の取り組みはまだ数えるほどしかない。こうした流れを踏まえて、国の第3期がん対策推進基本計画に小児・AYA世代のがん、希少がん対策が盛り込まれた。 そこで今年度のJSMOでは、主に高校生・大学生のがん患者について取り上げることとし、2つのシンポジウムを企画した。シンポジウム8においては、「AYA 世代がんの治療の現状と展望」と題して6名の演者に各種がんの治療の現況を、シンポジウム18においては、「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」と題して、同じく6名の演者にAYA 世代のがん診療の現状と課題、療養環境、教育問題、就労問題など、この世代のがん患者が抱える種々の問題点について発表いただく予定である。【注目演題】シンポジウム 8「AYA 世代がんの治療の現状と展望」日時:7月27日(木)9:00~11:00 場所:Room 13(神戸国際会議場5F 501会議室)シンポジウム 18「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」日時:7月28日(金)8:20~10:20 場所:Room 14(神戸国際会議場5F 502会議室)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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【JSMO2017見どころ】Precision medicine

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「Precision medicine」については堀田 勝幸氏(岡山大学病院 新医療研究開発センター 教授)が登壇した。以下、堀田氏のコメントと注目演題を紹介する。【堀田 勝幸氏コメント】 がん薬物療法の歴史は1943年のリンパ腫に対するnitrogen mustard(化学兵器)にはじまり、その後DNA合成阻害を主軸とする殺細胞性抗がん剤が広く開発されてきた。一方この20~30年間で、革新的な技術の導入に伴い、正常細胞とがん細胞の分子生物学的相違を特定することが可能となった。この技術を背景として標的分子異常に対する創薬開発が行われ、1997年には乳がんに対する抗体製剤(トラスツズマブ)が、2001年には慢性骨髄性白血病に対する分子標的薬(イマチニブ)がそれぞれ登場し、がん医療に大きな変革をもたらした。以降、さまざまながん腫でさまざまながん原性分子異常が見出され、臓器単位の大きなくくりから分子異常に基づいた創薬が行われ、適正な治療戦略が構築されていく、いわゆるprecision medicineが確立し、現在に至っている。 precision medicineをさらに医療社会に実装するには、網羅的で正確、かつ、汎用性を有する分子異常診断法の確立と整備、そしてそのデータの高精度な管理が必要である。同時にこれらに携わる人材の育成と確保も求められる。今回のJSMO学術集会では上記に関するシンポジウムを複数企画し、現状と課題について検討する。加えて、国家的なprecision medicineの体制整備に関する日米欧三極のリーダーを招へいし、現状の問題点の共有と今後の国際連携についても討議していく。 また個々の患者に対して分子標的薬による最大効果・安全性を担保するために、薬剤の適正使用は必須要素である。臨床現場の目線でprecision medicineの確実な実装をしていくために、口腔支持療法・栄養などを含めた患者管理・教育に関するさまざまな最新の取り組みや工夫を多職種間で持ち合ったうえで現状の整理と問題点の抽出を行い、明日からの診療につながる実利的なセッションも企画されている。【注目演題】シンポジウム「ゲノム医療にかかわる人材育成」日時:7月29日(土)8:20~10:20 場所:Room 15(神戸国際会議場5F 504+505 会議室)「チームで取り組む分子標的薬の副作用マネジメント 患者へベネフィットをもたらす支持療法」日時:7月29日(土)10:20~12:20 場所:Room 2(神戸国際展示場2 号館1F コンベンションホール南)「次世代シークエンサーなど多遺伝子異常診断機器の医療機器として薬事承認・保険償還への道」日時:7月29日(土)15:00~17:00 場所:Room 3(神戸国際展示場2 号館1F コンベンションホール北)Special Lecture「Cancer Data Collaboratives: Requirements for Personalized Medicine」日時:7月28日(金)8:20~9:20場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)Asia & Oceania Joint Symposium「Precision medicine, its current status and possibilities for future collaborations」日時:7月28日(金)8:20~9:20場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)International Symposium「Nation-wide basket/umbrella type study for precision medicine」日時:7月28日(金)10:20~12:20場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)ASCO/JSMO Joint Symposium「Current status of molecular targeted therapy in lung cancer」日時:7月28日(金)17:00~19:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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【JSMO2017見どころ】プレナリーセッション、免疫・細胞療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 はじめに、本学術集会会長の谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)より、未発表の結果が発表されるプレナリーセッション3題の紹介がなされた。プレナリーセッション日時:7月28日(金)15:30~17:00場所:Room1(ポートピアホール)※Room 10(神戸際会議場メインホール)にて中継(1)「切除不能大腸癌に対するmFOLFOX6/CapeOX+BmabとS-1/CPT-11+Bmabとの第3相試験:TRICOLORE試験」蒲生 真紀夫(大崎市民病院 腫瘍内科)(2)「全身化学療法治療歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第Ⅲ相試験の日本人部分集団解析」池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)(3)「PD-L1高発現の未治療非小細胞肺癌に対するペムブロリズマブの国際共同ランダム化第Ⅲ相試験(KEYNOTE-024)の日本人集団解析」里内 美弥子(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科) 続いて、「免疫・細胞療法」分野の最新動向・注目演題について前田 嘉信氏(岡山大学病院 血液・腫瘍内科 講師)が登壇した。以下、前田氏のコメントと注目演題を紹介する。【前田 嘉信氏コメント】 免疫・細胞療法は、手術療法、放射線療法、化学(薬物)療法に続く第4の治療法として近年大きな注目を集めている。とくに免疫チェックポイント阻害薬は、2014年に進行悪性黒色腫に対して抗PD-1抗体が国内承認を得て臨床応用されて以来、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、大腸がんなどに次々に応用されている。 最も広く用いられている肺がんに関しては、インターナショナルシンポジウムをはじめ、免疫療法に関する一般口演の大半を占めるほど多くの発表が予定されている。免疫チェックポイント阻害薬に関する最新情報は教育講演で、また、免疫チェックポイント療法を最適化するための大きなテーマとして、副作用の対策がシンポジウムで取り上げられている。ここでは、各分野からの副作用対策が提案され、議論される。さらに、最適化のために効果を予測するバイオマーカーの研究や免疫チェックポイントの基礎的研究がインターナショナルシンポジウムで討論される予定となっている。 免疫チェックポイント療法を超えて免疫・細胞療法の今後の展開を考えるうえで、「免疫制御とがん治療」と題した特別講演と、インターナショナルシンポジウム「Cancer Immunotherapy -What's the next?」が予定されている。【注目演題】シンポジウム「免疫チェックポイント阻害薬の副作用とその対策」日時:7月27日(木)9:00~11:00場所:Room1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)International Symposium「Immunotherapy for head and neck cancer: Future direction」日時:7月27日(木)14:30~16:30場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「Emerging evidence of immunocheckpoint inhibitors in non-small cell lung cancer」日時:7月28日(金)8:20~10:20場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「The future of immune checkpoint therapy」日時:7月28日(金)17:00~19:00場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「Cancer Immunotherapy -What's the next?」日時:7月29日(土)8:20~10:30場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)一般口演「免疫療法 1」日時:7月28日(金)8:20~9:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 2(非小細胞肺がん)」日時:7月28日(金)9:20~10:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 3(有害事象)」日時:7月28日(金)10:20~11:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「呼吸器 4(免疫療法)」日時:7月29日(土)8:20~9:20場所:Room 5(神戸国際展示場1 号館2F Hall B)教育講演「免疫チェックポイント阻害剤最新情報」日時:7月29日(土)16:30~17:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)特別講演「免疫制御とがん治療」日時:7月29日(土)15:00~16:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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多くのがん種で開発中、ペムブロリズマブの最新トピックス

 2017年7月4日、MSD株式会社はメディアラウンドテーブルを開催し、同社グローバル研究開発本部オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本 隆司氏が、ASCO2017の発表データを中心にキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の最新トピックスを解説するとともに、併用療法を含めた今後の開発戦略について語った。 本邦において、ペムブロリズマブは2016年に「根治切除不能な悪性黒色腫」および「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する適応を取得。2015年に「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に対して「先駆け審査指定品目」の指定を受けているほか、現在は「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」および「局所進行性または転移性の尿路上皮がん(優先審査対象)」が承認申請中、13がん種以上で後期臨床開発プログラムが進んでいる。米国でNSCLCは適応拡大、尿路上皮がんとMSI-H/dMMR固形がんで承認取得 ASCO2017では、ペムブロリズマブについて16のがん種に対する50以上のデータが発表された。肺がん領域は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)の続報が中心となった。初回治療でEGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、化学療法との併用を評価したKEYNOTE-021試験(コホートG)では、統計学的な有意差は得られなかったものの、長期フォローアップで全生存期間(OS)の延長傾向が示された。米国ではすでにPD-L1発現を問わず、化学療法との併用でNSCLCの1次治療に適応が拡大され、現在、日本も参加して第III相試験(KEYNOTE-189試験)を実施中という。 米国で2017年5月に相次いで承認された、尿路上皮がん(1次治療、2次治療)、高度マイクロサテライト不安定(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を示す進行固形がんに対する試験結果も発表された。がん種によらない、バイオマーカーに対する初の薬剤承認として注目されたMSI-H/dMMR固形がん患者に対する単剤療法を評価した試験としては、1レジメン以上の治療歴のある大腸がん以外の進行固形がん患者対象のKEYNOTE-158試験、2レジメン以上の治療歴のある進行大腸がん患者対象のKEYNOTE-164試験の結果が発表され、それぞれ全奏効率(ORR)が38%(29/77例)、28%(17/61例)、病勢コントロール率が58%(45/77例)、51%(31/61例)という結果が得られている。進行胃がん、トリプルネガティブ乳がんでも有望な結果 2ライン以上の治療歴のある進行胃がん患者(259例)を対象に単剤療法を評価したKEYNOTE-059試験(コホート1)では、42.4%の患者で何らかの腫瘍縮小効果がみられ、ORRは11.6%であった。この結果を基に、米国では優先審査の対象に指定され承認審査が進んでいる。嶋本氏は「ORRだけをみると目を見張るような結果ではないが、治療の選択肢がすでに非常に限られた対象であること、多くの患者で腫瘍縮小効果がみられたことが評価され、優先審査につながったと考えている」と話した。 また、トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、術前化学療法との併用を評価したKEYNOTE-173試験では、病理学的完全奏効率(pCR)がコホートA(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→ペムブロリズマブ+ドキソルビシン/シクロホスファミド[AC])で50~60%、コホートB(ペムブロリズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン→ペムブロリズマブ+AC)で80%という結果が得られた。「従来の術前化学療法のpCRは20~30%であることから、ペムブロリズマブの乳がんに対する効果を示す有望な予備データといえる」と嶋本氏。同じく術前化学療法との併用を評価したI-SPY2試験では、トリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ群(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→AC)の推定pCRがコントロール群(パクリタキセル→AC)の3倍となるという結果が得られている。この結果を受け、現在、日本も参加して第III相試験が進行中という。IDO阻害薬との併用、単剤よりも高い奏効率 IDO(indoleamine 2,3-dioxygenase)阻害薬epacadostatとの併用を評価したECHO-202試験の結果も発表されている。本試験は複数のがん種に対して行われているが、そのうちNSCLC、転移性または再発性の扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)、進行性尿路上皮膀胱がん(UC)、進行性腎細胞がん(RCC)の結果が紹介された。NSCLCでORRが35%(14/40例)、SCCHNで34%(13/38例)、UCで35%(14/40例)、RCCで33%(10/30例)と、いずれもペムブロリズマブ単剤よりも高い奏効率が得られている。日本人を含む第III相試験が進行中または準備を進めている段階で、早期の承認取得を目指すという。安全性については、本試験の安全性解析対象集団である進行がん患者294例を対象としたプール解析の結果、Grade 3以上の有害事象は患者の18%に認められ、最も高頻度のものはリパーゼ上昇(無症候性)4%、次いで発疹3%であった。この結果について嶋本氏は、「単剤と比較して大きく毒性が増すものではないとみられる」と話した。 IDO阻害薬のほか、化学療法や分子標的治療薬、新規ワクチンなどとの併用療法について、現在300以上の臨床試験が進行中だという。嶋本氏は、「がん種ごと、さらには肺がんのように多様性のあるがん種では患者背景ごとにアプローチしていくことも視野に入れて、ペムブロリズマブを核に、それぞれ適切な併用薬を検証していく」と結んだ。■関連記事ペムブロリズマブ、尿路上皮がんの優先審査対象に指定:MSDNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017尿路上皮がんにペムブロリズマブを承認:FDAペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017早期乳がんにおける免疫療法の役割の可能性

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PD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017

 PD-L1高発現(TPS50%以上)SageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較したKEYNOTE-024試験。初回解析で、無増悪生存期間(PFS)のハザードレシオ(HR)は0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRは0.60(p=0.005)と、ペムブロリズマブの優越性が示された。ASCO2017では、その後の追跡によるPFS2と、アップデートされたOSについて、米国The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie Brahmer氏が発表した。 PFS2の定義は、無作為化から2次治療のPD、または死亡、いずれかが最初に生じるまでの期間とした。なお、初回治療が化学療法の患者はPD後のペムブロリズマブへのクロスオーバーが許容された。追跡期間の中央値は19.1ヵ月であった(データカットオフ2017年1月5日)。 結果、1次治療の中断は、ペムブロリズマブ群では154例中107例、化学療法群では151例中120例であった。中断後に2次治療に移行した患者は、ペムブロリズマブ群で48例(31.2%)、化学療法群では97例(64.2%)と、ペムブロリズマブ群で少なかった。ペムブロリズマブ群の後治療の内訳をみると、プラチナダブレットが48例中42例と多くを占め、なかでもカルボプラチン+ペメトレキセド±ベバシズマブが最多であった。化学療法群の後治療は、ペムブロリズマブへのクロスオーバーが97例中79例、クロスオーバー外での抗PD-1療法が97例中12例(うちペムブロリズマブが3例)を占めた。 PFS2は、ペムブロリズマブ群で18.3ヵ月(12.7~NE)、化学療法群で8.4ヵ月(6.8~9.8)と、ペムブロリズマブ群で有意に長かった(HR:0.54、95%CI:0.40~0.72、p<0.001)。アップデートOSは、ペムブロリズマブ群では未達(19.4~NE)、化学療法群では14.5ヵ月(9.8~19.6)と、ペムブロリズマブ群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.46~0.88、p=0.003)。化学療法からの高いクロスオーバー率にもかかわらず、ペムブロリズマブ群が一貫した優越性を維持した。PD-L1高発現NSCLCにおける初回治療は、ペムブロリズマブから行うことで、化学療法に比べ生命予後の改善がみられた。■参考ASCO2017AbstractKEYNOTE-024試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJMペムブロリズマブ、非小細胞肺がん(PD-L1高発現)1次治療に承認:FDAペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善肺がん特集

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