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アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療【侍オンコロジスト奮闘記】第69回

第69回:アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療キーワードIMpower133IMpower150アテゾリズマブ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。こちら、今年は11月の中旬ぐらいから雪が降って、かなり寒くなりました(このビデオは2018年12月に収録されたものです)。華氏で2度ですから、摂氏にするとマイナス10度以下、もう12月に入って早々にそういう時期があって、相変わらずフロントガラスの内側に張ってる氷を削って帰るとようなことをしています。IMpower、アテゾリズマブのグループで、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブが、12月6日、FDAで認可になりました(わが国でも2018年12月に承認となりました)。4剤併用でしかもタキソールはまだ3時間かけての点滴がスタンダードになっているので、かなり長時間になると思うんですけども、1つオプションができたかと。どういうときに使えるのか考えたんですけど、例えば腎機能が悪くてペメトレキセドが使えないとか、そういう方には使える可能性があると思います。あと、パクリタキセルは薬自体が安いので、4剤になるといくらなのか計算したことないのですが、そういう方にもオプションはあるのかなと思いました。この4剤はサブセット解析でEGFR陽性あるいはALK陽性肺がんで2ndラインに使ったときにアテゾリズマブを加えた群の方が、加えない群よりも差があったということが報告されたんですけど、EGFR陽性群あるいはALK陽性群に、どのような形でチェックポイントインヒビターが使えるかというのは、今後も興味があるところです。頻度は低いですけれども、効く人もいるので、その効く方をどのようにして選択しいくかというのが課題になると思います。小細胞がんの話題なんですけども、プラチナとエトポシドの組み合わせが、長い間スタンダードになっていたんですが、プラチナ+エトポシド+アテゾリズマブですね、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを加えた群がOverall Survivalを有意に延長するということが、ニューイングランドジャーナルに報告になりました。Overall Survivalは、12.3ヵ月vs.10.3ヵ月と比較的メリットになる期間は短めなんですけれども、ここ20~30年で初めてSmall Cellの1stラインの治療が変わるかもしれないということで、非常に注目を集めています。興味のあるところは、効いた患者さんが、どの程度効果が持続するのか、チェックポイントインヒビターのSustainabilityに興味がありますが、まだ長期の結果は報告されていないようです。いずれにしても10ヵ月から12.3ヵ月になったというのは、画期的なことです。僕は使ったことはないんですけれども、ほかの大きながんセンターの友人に聞くと、1stラインで使いだした、と言っていました。また実際使った時の経験なども報告できれば良いかなと思っています。Socinski MA, et al. Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC.N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.FDA approves atezolizumab with chemotherapy and bevacizumab for first-line treatment of metastatic non-squamous NSCLCアテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認Leora Horn, et al.First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med.2018;379:2220-2229.vvvv

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アテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認

 中外製薬株式会社は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)に関し、2018年12月21日、「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加について厚生労働省より承認を取得した。 今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(IMpower150試験)の成績に基づいている。IMpower150試験では、アテゾリズマブとベバシズマブおよび化学療法の併用により、ベバシズマブおよび化学療法の併用と比較し、統計学的に生存期間の有意な延長が認められた。アテゾリズマブの併用療法の安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

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NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー【肺がんインタビュー】 第22回

第22回 NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー(Investigatorインタビュー)出演:神奈川県立がんセンター臨床研究所 がん免疫療法研究開発学部 部長 笹田 哲朗氏NSCLCにおけるPD-1阻害薬治療前後のCXCL2とMMP2の変化は、治療効果の予測因子となる可能性が示唆された。この研究について、神奈川県立がんセンター笹田哲朗氏に聞いた。Matsuo N, et al. Association between soluble immune mediators and tumor responses in patients with non-small cell lung cancer treated with anti-PD-1 inhibitor. Int J Cancer.2018 Oct 11.[Epub ahead of print]

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ペムブロリズマブのMSI-H固形がんが国内承認…臓器横断的がん治療が現実に/MSD

 MSD株式会社は、2018年2月12日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。この適応拡大は医薬品の条件付き早期承認制度の適用を受けていた。 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっているが、この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼び、このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼ぶ。 MSI-High固形がんは、大腸がん、胃がんや膵臓がんといった消化器系のがんのほか、子宮内膜がんや卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどでも報告されている。大腸がんの約6%、子宮内膜がんの約17%にMSI-High固形がんがみられたとの報告がある。 この適応拡大にあたっては、治療歴を有するMSI-High固形がんを対象とした2つの国際共同第II相試験において、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸がん患者61名を対象にしたKEYNOTE-164試験(コホートA)。この試験での奏効率(ORR)は27.9%(95%CI:17.1~40.8)であった。対象者の57.4%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、関節痛16.4%、悪心14.8%、下痢13.1%、無力症11.5%およびそう痒症11.5%であった。もう1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸以外の固形がん患者94名を対象にしたKEYNOTE-158試験。この試験でORRは37.2%(95%CI:27.5~47.8)であった。対象者の61.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、疲労11.7%およびそう痒症11.7%であった 共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果(適応)を有するがん治療薬は、国内初となる。 なお、ペムブロリズマブの適応判定を目的としたMSI-Highを検出するためのコンパニオン診断薬として、株式会社ファルコバイオシステムズの「MSI検査キット(FALCO)」が承認されている。■関連記事ペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくかMSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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アジア人でより良好な結果、ニボルマブ+イピリムマブによる高TMB肺がん1次治療(CheckMate-227)/日本肺癌学会

 第III相CheckMate-227試験(Part 1)の結果、高腫瘍遺伝子変異量(TMB)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブの併用療法が標準化学療法と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。本試験のアジア人サブグループ解析結果を、がん研究会有明病院の西尾 誠人氏が11月29~12月1日に東京で開催された第59回日本肺癌学会学術集会で発表した。なお、本結果は、11月8~10日に中国・広州市で開催されたIASLC ASIAでのKeunchil Park氏による発表のアンコール演題。CheckMate-227試験Part 1: PD-L1発現1%以上および1%未満のStage IVまたは再発NSCLCの初回治療患者(EGFR /ALK不明、ECOG PS 0~1)対象に、ニボルマブ+イピリムマブ群、ニボルマブ群、ニボルマブ群+化学療法群と化学療法群を比較した第III相試験[主要評価項目]高TMB(≧10変異/メガベース)患者におけるPFS、PD-L1発現状況ごとの全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など ※今回は、上記2つの主要評価項目のうち高TMB患者におけるPFSのニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群の比較について、アジア人サブグループ解析結果が発表された。 主な結果は以下のとおり。・有効なTMBデータを有した153例のうち、高TMB患者は53例であった。・上記の53例のうち、21例(うち日本人:13例)がイピリムマブ+ニボルマブ群に、32例(同:16例)が化学療法群に割り付けられた(全集団ではイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例)。・高TMB患者における1年PFS率は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群43% vs.化学療法群13%、アジア人サブグループで64% vs.17%であった。・PFS中央値は、全集団で7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81)、アジア人サブグループでNR vs.5.5ヵ月(HR:0.34、95%CI:0.15~0.75)であった。日本人集団でも、ニボルマブ+イピリムマブ群で同様のPFSベネフィットが得られた(HR:0.44、95%CI:0.15~1.35)。・ORRは、全集団で45%(完全奏効[CR]:4%、部分奏効[PR]:42%)vs. 27%(CR:1%、PR:26%)、アジア人サブグループで76%(CR:14%、PR:62%)vs. 22%(CR:0%、PR:22%)であった。日本人集団でも、85% vs. 31%とニボルマブ+イピリムマブ群で高いORRが得られた。・Grade3/4の治療関連有害事象の発現は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群31% vs.化学療法群36%、アジア人サブグループでは40% vs. 37%。治療中止例はそれぞれ17%vs. 9%、22% vs. 12%であった。・全Gradeの治療関連有害事象発現状況は、アジア人で若干皮疹の発現が多かったが(50% vs. 34%)、全体として全集団における発現状況と同様の傾向がみられた。

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デュルバルマブMYSTIC試験のOS結果/アストラゼネカ

 アストラゼネカとそのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、2018年12月13日、スイスのジュネーブで開催された2018年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がん免疫療法会議において第III相MYSTIC試験の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に関するデータを発表した。 MYSTIC試験は、未治療のステージIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)単剤またはデュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの併用療法を、プラチナベースの標準化学療法(SoC)と比較検討した多施設共同無作為化非盲検国際第III相試験。主要評価項目は、PD-L1発現25%以上の患者における、デュルバルマブ単独療法のOS、デュルバルマブ・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS(いずれもSoCとの比較)。結果、デュルバルマブ単剤群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し16.3ヵ月、2年OS率は、SoC群22.7%に対しデュルバルマブ単剤群38.3%と、主要解析集団(PD-L1発現25%以上)で上回ったが、統計学的有意差には到達しなかった(HR:0.76、97.54%CI:0.564~1.019、p=0.036)。 デュルバルマブ・tremelimumab併用群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し11.9ヵ月、2年OS率は、同22.7%に対し35.4%であった(HR:0.85、98.77%CI:0.611~1.173)。併用群のPFS中央値は、SoC群5.4ヵ月に対し3.9ヵ月、1年PFS率はSoC群25.8%に対し14.3%であった(HR:1.05、99.5%CI:0.722~1.534)。デュルバルマブ・tremelimumabの併用療法はPFSおよびOSともに未達成であった。なお、標準化学療法群のうち39.5%は、化学療法後に免疫療法を受けていた。 また、あらかじめ規定された探索的解析では、腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による生存を調査している。メガベースあたり16以上の変異と定義されたbTMB高値におけるデュルバルマブ・tremelimumab併用群のOS HRは標準化学療法群との比較で0.62(95%CI:0.451~0.855)、デュルバルマブ単剤群のOS HRは0.80(0.588~1.077)であった。 MYSTIC試験のデュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用療法の安全性ならびに忍容性プロファイルは過去の試験と一貫していた。Grade3/4の有害事象はデュルバルマブ単剤群40.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群47.7%、化学療法群46.0%であった。治療関連有害事象による治療中止はデュルバルマブ単剤群5.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群13.2%、化学療法群の9.4%であった。

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骨粗鬆症検診、受診率が最も低い県は?

 骨粗鬆症患者は約1,280万人と推計されているが、自覚症状がないことが多いため気づかれにくい。骨折などでQOLが急激に低下することを防ぐためには早期に診断し、治療に取り組むことが重要となっている。12月7日、骨粗鬆症財団は厚生労働省の公表データをもとに都道府県別に骨粗鬆症検診受診率を調べた結果を発表した。検診受診率が最も高い栃木県と最も低い島根県では47倍もの開きがあり、相関解析の結果、検診受診率が低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多くなる傾向が明らかになった。検診受診率は最も高い県で14%、最も低い県では0.3% 現在国が行っている公的な骨粗鬆症検診としては、40、50、55、60、65、70歳の女性を対象にした節目検診があり、骨粗鬆症財団では男性でも70代以降は2年おきを目安とした受診を推奨している。 2015年度の骨粗鬆症検診の受診率は全国平均で5.0%と低く、高い方から栃木県(14.0%)、山梨県(13.1%)、福島県(13.1%)、群馬県(13.1%)、宮城県(12.1%)であった。低い方からみていくと島根県(0.3%)、和歌山県(0.9%)、神奈川県(0.9%)、京都府(1.1%)、北海道(1.2%)の順で、地域によって大きな差があることが明らかとなった1)。検診受診率が高いほど大腿骨骨折が少なく、要介護率が低い傾向 骨粗鬆症は大腿骨骨折の大きなリスク因子であり、本調査では、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と、検診受診率および要介護率との間の関連が調べられた。 その結果、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と要介護率との間には正の相関(n=47、r=0.47、p<0.01)、人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と検診受診率との間には負の相関(n=46、r=-0.49、p<0.01)がみられた。さらに、要介護率と検診受診率との間には負の相関関係が認められている(n=46、r=-0.46、p<0.01)。これらのことから、検診受診率の低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多い傾向が示唆された。 なお、各種の健康診査およびがん検診(健康診査、血圧、脂質検査、糖尿病検査、貧血検査、肝疾患検査、腎疾患検査、胃がん健診、肺がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診)の検診受診率と要介護率の間には相関関係は認められなかった。 骨粗鬆症検診の受診者数は「平成27年度地域保健・健康増進事業報告(健康増進法)」、要支援及び要介護者数は「平成26年度介護保険事業状況報告」、人工骨頭挿入術(股)数は「第 2 回レセプト情報・特定健診等情報データベース」、人口は「平成 27 年国勢調査人口等基本集計」を用いている。この結果は、日本骨粗鬆症学会雑誌2)に報告された。 骨粗鬆症財団ホームページ内の「検診のQ&A」ページでは医療従事者向けのQ&Aが掲載されているほか、骨量測定結果の見方について患者配布用の資材もダウンロード可能となっている。■参考1)公益財団法人骨粗鬆症財団 プレスリリース2)山内広世ほか. 日本骨粗鬆症学会雑誌. 2018;4:513.〔12月17日 記事の一部を修正いたしました〕

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オシメルチニブの耐性機序【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第3回

第3回 オシメルチニブの耐性機序1)Piotrowska Z, Isozaki H, Lunnerz JK, et al. Landscape of Acquired Resistance to Osimertinib in EGFR-Mutant NSCLC and Clinical Validation of Combined EGFR and RET Inhibition with Osimertinib and BLU-667 for Acquired RET Fusion. Cancer Discov. 2018 Sep 26. [Epub ahead of print]2)Oxnard GR,et al. Assessment of Resistance Mechanisms and Clinical Implications in Patients With EGFR T790M-Positive Lung Cancer and Acquired Resistance to Osimertinib.JAMA Oncol.2018;4:1527-1534.3)Papadimitrakopoulou,et al. Analysis of resistance mechanisms to osimertinib in patients with EGFR T790M advanced NSCLC from the AURA3 study. ESMO2018LBA51EGFR遺伝子変異陽性例に対する最善の治療として脚光を浴びるオシメルチニブ。徐々にではあるが、耐性機序についても報告が増えてきている。今回、MGH(マサチューセッツ総合病院)のグループからCancer Discovery誌に新規の報告が出ていたので、紹介する。MGHで治療されたオシメルチニブ耐性41例における腫瘍組織・cfDNAの解析を報告したもの。ほぼ全例が2次・3次治療、つまりT790M変異陽性例に対してオシメルチニブを用いた後の耐性。組織検体35例の解析において、2例で小細胞がん、1例で扁平上皮がんへの転化が確認されている。変異解析では、19%でEGFR C797S変異が認められたが、いずれもcis配置であった。その他の変異として、22%にMET増幅が確認されている。複数箇所の生検が得られた患者において、異なる変異(C797S変異と野生型、MET増幅あり・なし)などが認められた。少数ではあるが、3例でRET融合遺伝子異常が確認された。融合遺伝子異常は過去のMGHのパネルでは検索されていなかったため、さかのぼって検討したところ、RETやBRAF融合遺伝子異常が1例ずつ確認された。前臨床研究では、RET陽性細胞株に対してRET阻害剤単独では効果不十分であり、オシメルチニブとRET阻害剤の併用が有効であった。こうした結果を基に、上記のオシメルチニブ耐性のRET陽性例に対してRET阻害剤+オシメルチニブ併用が行われ、著明な腫瘍の縮小が認められた。オシメルチニブの耐性機序については、2015年に報告された、C797Sが有名である(Thress KS, et al. Nature Med. 2015;21:560-562.)。ただしこれは15例中6例と非常に少数例の解析であった。その後にOxnardらが140例程度の解析においてC797Sの頻度は22%と報告している(Oxnard GR, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1527-1534.)。さらに今年のESMOではAURA3試験の耐性機序が報告され、C797S変異(14%)・MET増幅(19%)・細胞周期に関する遺伝子異常(12%)・HER2増幅(5%)・PIK3CA異常(5%)など、とされている(Papadimitrakopoulou, ESMO2018)。当初提唱されていた「C797S陽性例に第1・2世代EGFR-TKIが有効かもしれない」という仮説については、これまでの実臨床における報告の大多数がcis配置とのことであり、期待感が少し下がりつつある一方で、昨今言われているようにオシメルチニブの耐性機序が非常に多彩であることがクローズアップされている。このOxnard論文でも、今読み返すと、RETやBRAF融合遺伝子が認められているし、SCLCへの転化も複数例報告されている。今後、実臨床では、FLAURA試験の結果を受けてオシメルチニブの初回治療へとシフトしていくと思われる。その場合の耐性機序がT790M変異陽性例とどの程度異なるのかは、気になる点である(Ramalingham, JCO2018などに少数ながら耐性機序の報告あり)。また、このように耐性機序が細分化していくと大規模な臨床試験で有効性を確認してはじめて承認される、というこれまでの流れを考え直す必要が出てくるかもしれない(本試験でも個人向けのoff labelプロトコールを施設で通した、との記載あり)。遺伝子変異陽性例の臨床研究には新たなルールの確立が急務であるように思われる。

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ニボルマブ、NSCLCにおける実臨床下での安全性プロファイル/日本肺癌学会

 本邦で抗PD-1抗体ニボルマブが進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療における承認を取得したのは2015年12月。市販後の日常臨床での副作用発現状況を調べた全例調査の結果について、近畿大学の中川 和彦氏が11月29日~12月1日に東京で開催された第59回日本肺癌学会学術集会で発表した。本調査では、副作用発現状況のほか、安全性・有効性に影響を与える因子が検討されている。調査方法:事前症例登録による全例調査方式登録期間:2015年12月17日~2016年3月31日観察期間:投与開始後12ヵ月登録症例数:3,808例(うち安全性解析対象は3,606例/有効性解析対象は3,381例)重点調査項目:間質性肺疾患/副腎障害/重症筋無力症・筋炎/脳炎/大腸炎・重度の下痢/重度の皮膚障害/1型糖尿病/静脈血栓塞栓症/肝機能障害/Infusion reaction/甲状腺機能障害/心臓障害(心房細動、徐脈、心室性期外収縮等)/神経障害/腎障害 主な結果は以下のとおり。・安全性解析対象3,606例のうち、1,688例(46.8%)に副作用が認められた(国内臨床試験では発現率79.3% [88/111例])。・重点調査項目の発現頻度は、間質性肺疾患が9.57%と最も多くみられ、甲状腺機能障害(9.04%)、肝機能障害(7.93%)、Infusion reaction(5.57%)、大腸炎・重度の下痢(5.57%)などが続いた。・重点調査項目の発現時期は、中央値でみるとおおむね2ヵ月以内に発現していたが、副腎障害と1型糖尿病については、中央値がそれぞれ5ヵ月、3ヵ月頃であった。[頻度の高かった副作用の処置と転帰、リスク要因]間質性肺疾患:発現率9.57%(345/3,606例)・主な処置として、265例(76.8%)でステロイド治療が行われていた。・ニボルマブ投与は、266例(77.1%)で中止(休薬)。31例で再投与、うち3例で間質性肺疾患の再発が認められた。・263例(76.2%)が回復・軽快、41例(11.9%)が未回復、34例(9.9%)が死亡。・多変量解析の結果、ILDの病歴あり(ハザード比[HR]:2.41)、CT異常所見あり(HR:1.35)がリスク要因として示された。甲状腺機能障害:発現率9.04%(326/3,606例)・主な処置として、167例(51.2%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、74例(22.7%)で中止(休薬)。23例で再投与、うち5例で甲状腺機能障害の再発が認められた。・197例(60.4%)が回復・軽快、106例(32.5%)が未回復、死亡例は確認されなかった。・多変量解析の結果、甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの甲状腺の病歴(HR:3.05)がリスク要因として示された。肝機能障害:発現率7.93%(286/3,606例)・処置なしが223例(76.6%)と最も多く、ステロイド治療が約6%で実施されていた。・ニボルマブは、68例(23.8%)で中止(休薬)。17例で再投与、うち3例で肝機能障害の再発が認められた。・206例(72.0%)が回復・軽快、69例(24.1%)が未回復、4例(1.4%)が死亡。・多変量解析の結果、B型肝炎、C型肝炎、肝炎ウイルスキャリアー、脂肪肝、肝転移などの肝臓の病歴(HR:2.33)がリスク要因として示された。大腸炎・重度の下痢:発現率5.57%(201/3,606例)・主な処置として、67例(33.3%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、98例(48.8%)で中止(休薬)。33例で再投与、うち11例で大腸炎・重度の下痢の再発が認められた。・184例(91.5%)が回復・軽快、12例(6.0%)が未回復、3例(1.5%)が死亡。・多変量解析の結果、リスク要因は抽出されなかった。・一年生存率は、有効性解析対象全体で42.4%(1,433/3,381例)。PS良好の患者で高い一年生存率が確認された(PS 0~1:49.2%、PS 2:17.0%、PS 3~4:11.2%)。※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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75歳以上の日本人進行非小細胞肺がん患者への免疫療法、有効性と安全性/日本肺癌学会

 75歳以上の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療の有効性と安全性については、議論が定まっていない。日本人高齢NSCLC患者を対象に、免疫療法の影響を評価した後ろ向き多施設共同研究の結果が、2018年11月29日、第58回日本肺癌学会学術集会で岡山大学病院の久保 寿夫氏により発表された。 本研究では、2015年12月~2017年12月に、日本国内の7つの医療機関でペムブロリズマブあるいはニボルマブによる治療を受けた進行NSCLC患者434例について後ろ向きに分析を行った。無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)のほか、PS、PD-L1発現状態、血清アルブミン値、G8スコアによる生存期間の比較、安全性などが評価された。 G8は高齢者の治療方針を決める際などに、高齢者機能評価を行うべき患者を抽出するために用いられる簡易スクリーニングツールで、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)も高齢者研究での使用を必須としており1)、食事摂取量や体重減少などについての8項目からなる。本研究では診療記録を用いた評価のため、「同年齢の人と比べて、自分の健康状態をどう思いますか」という質問項目を除く7項目の修正版が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・434例の患者のうち、100例が75歳以上(中央値:79歳、範囲:75~90歳)であった。 うちPS 3の5例については除外された。・男性が77例(81.1%)、PD-L1発現<1%:4例(4.2%)/ 1~49%:10例(10.5%)、≧50%:26例(27.4%)、不明:55例(57.9%)であった。・組織学的所見は、非扁平上皮がん55例(57.9%)、扁平上皮がん40例(42.1%)。・20例(21.1%)で1次治療としてICIが投与され、75例(78.9%)で2次治療以降に投与されていた。67例(70.5%)がニボルマブ、28例(29.5%)がペンブロリズマブによる治療を受けていた。・ECOG PS0:16例(16.8%)/ PS1:60例(63.2%)/ PS2:19例(20.0%)、修正G8スコアの中央値は11.5(範囲:5.5~15.5)であった。・PFS 中央値は1次治療群で6.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:1.6~7.7)、2次治療以降群では2.9ヵ月(95%CI:1.9~4.6)であった。・生存期間中央値(MST)は1次治療群で8.7ヵ月(95%CI:7.9~NR)、2次治療以降群では15.5ヵ月(95%CI:5.5~NR)であった。・ORRは1次治療群で35.0%(CR:0例、PR:7例、SD:6例、PD:5例、NE:2例)、2次治療以降群で20.0%(CR:0例、PR:15例、SD:18例、PD:31例、NE:11例)であった。・MSTを各層別因子ごとに比較した結果、PSと修正G8スコアによる有意な差が認められた: PS 0~1 vs.PS 2:17.8ヵ月 vs.3.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.23、95%CI:0.11~ 0.46、p<0.01) 修正G8スコア ≧11 vs.<11:NR vs. 8.2ヵ月(HR:2.17、95%CI:1.11~4.17、 p = 0.02)・Grade2以上の免疫関連有害事象発生率は23.3%(甲状腺疾患:4.2%、間質性肺疾患:10.5%)であった。 久保氏は、本研究の観察期間は短く、後ろ向きの検討であることに触れたうえで、「ICI は75歳以上の患者においても良好な治療効果を認め、有害事象も忍容可能なものであった。また、PS良好例やG8スコア高値の患者で予後良好であった」とまとめている。 今後ICIと細胞障害性抗がん剤との併用療法導入にあたっては、「併用療法が有効な患者集団を抽出するために、G8などの高齢者機能評価の有用性を改めて評価する必要がある。実臨床では、今回の検討でもPS良好例では予後良好な傾向がみられており、高齢者においてもまずはPSを1つの指標として治療選択を考えていくべきではないか」とコメントした。■参考1)日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ホームページ「高齢者研究委員会」■関連記事高齢者への抗がん剤治療は有効か―第19回 肺がん医療向上委員会※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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第一三共のADC U3-1402、乳がん第I/II相試験で良好な結果

 第一三共株式会社は、2018年12月6日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2018で発表された、乳がん患者を対象としたU3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体)の第I/II相臨床試験における安全性と有効性に関する最新データの概要を公表した。 安全性については、HER3陽性の乳がん患者42例において、Grade3以上の主な有害事象(発現率>10 %)として、血小板数減少(35.7 %)、好中球数減少(28.6 %)、白血球数減少(21.4 %)、貧血(16.7 %)、ALT増加(11.9 %)がみられた。また治療に関連した重篤な有害事象がみられた患者は16.7 %であった。 予備的有効性については、前治療を受けたHER3陽性の再発・転移性乳がん患者42例において、全奏効率は42.9%(18例/42例)、病勢コントロール率は90.5%(38例/42例)、奏効期間は中央値に未到達、無増悪生存期間中央値は8.3ヵ月であった。 U3-1402は、trastuzumab deruxtecan(DS-8201)に続き、同社で2番目に臨床開発入りした抗体薬物複合体(ADC)で、現在、上記試験に加え、非小細胞肺がんを対象とした第I相臨床試験を実施中。

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呼吸器疾患死亡率、英国vs.EU15+諸国/BMJ

 1985~2015年の期間に、英国、およびEU15+諸国(英国を除く欧州連合[EU]加盟15ヵ国に、オーストラリア、カナダ、米国を加えた国々)では、いずれも呼吸器疾患による死亡率が全体として低下したが、閉塞性・感染性・間質性呼吸器疾患死亡率については英国がEU15+諸国に比べて高いことが、米国・ハーバード大学のJustin D. Salciccioli氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年11月28日に掲載された。世界疾病負担(Global Burden of Disease)などの報告によれば、英国は、医療制度が同程度の他国に比べて呼吸器疾患死の割合が高い可能性が示唆されていた。全呼吸器疾患死とサブカテゴリー別の死亡を検討 研究グループは、英国における呼吸器疾患による年齢標準化死亡率を、医療制度が同程度のEU15+諸国と比較する観察研究を行った(研究助成元は申告されていない)。 1985~2015年の世界保健機関(WHO)の死亡データベースを用いて、英国、EU15+諸国の全19ヵ国のデータを収集した。EU15ヵ国はオーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、ノルウェー。 全呼吸器疾患死、および感染性(インフルエンザ、肺炎、結核を含む)、腫瘍性(気管支、肺、胸膜の悪性腫瘍を含む)、間質性(特発性肺線維症を含む)、閉塞性(慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支拡張症を含む)、その他(肺水腫、気胸を含む)の呼吸器疾患による死亡について解析を行った。 混合効果回帰モデルを用いて国別の差を経時的に解析し、局所的に重み付けされた散布図平滑化(locally weighted scatter plot smoother)で評価した呼吸器疾患のサブカテゴリーの傾向を検討した。英国の女性は全サブカテゴリーで死亡率が高い 1985~2015年の期間に、英国、およびEU15+諸国の全呼吸器疾患死は、男性では低下したが女性では変化せずに維持されていた。呼吸器疾患による年齢標準化死亡率(10万人当たりの死亡件数)は、英国では男性は151件から89件に低下したのに対し、女性は67件から68件と、ほとんど変化しなかった。EU15+諸国についても、男性は108件から69件へ低下したが、女性は35件から37件と、大きな変化はなかった。 英国はEU15+諸国に比べ、女性ではすべてのサブカテゴリー(感染性、腫瘍性、間質性、閉塞性、その他)の呼吸器疾患による死亡率が高く、男性では感染性、間質性、閉塞性、その他の呼吸器疾患による死亡率が高かった。 著者は、「これらの国々の呼吸器疾患患者の医療費、医療制度、健康行動の違いを明らかにするために、さらなる検討を要する」と指摘している。

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本庶 佑氏ノーベル賞授賞式に…世界のがん治療に進化を与えた日本の研究

 2018年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した、本庶 佑氏(京都大学高等研究院 特別教授)とJames P. Allison氏(テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター 教授)が、12月10日、授賞式に出席した。本庶氏と同じく京都大学出身で、現在、腫瘍内科医として、米国でがん臨床に携わるダートマス大学 腫瘍内科 准教授の白井敬祐氏に聞いた。―米国での「がん免疫治療に関する発見」のノーベル生理学医学賞受賞の反響は? ニューヨークタイムスなどの一流紙でも取り上げられるなど、多くのメディアで報道されています。新聞の切り抜きを持って来院し、「この薬は私には使えないか」「これは私が使っている薬か」などと尋ねる患者さんも多くなりました。医療者のみならず、患者さんや家族、サバイバーといった一般の方に対しても大きな反響があります。 この発見から開発されたPD-1阻害薬やCTLA-4阻害薬について、現在はTVでも大々的にCMが流されており、一般の方の知名度も高いと思います。ちなみに、CTLA-4およびPD-1へのモノクローナル抗体を開発したのは、ダートマス大学の免疫学の研究者が創立したMedarex社であり、その辺りにも縁を感じます。―白井先生は京都大学出身ですが、本庶先生の講義を受けられていたとか・・・ 在学当時、本庶先生の講義も受けていました。生化学の授業だったのですが、とても厳格な先生という印象でした。英語の発音にもこだわっておられましたね。米国に来てからは、本庶先生がボストンで講義をされたときに聴講に伺い、ご挨拶させていただきました。―この発見が生み出した免疫チェックポイント阻害薬のがん治療への影響は? 私の専門であるメラノーマと肺がんだけ見ても大きな影響があります。たとえば、StageIVのメラノーマについて、以前であれば、まずベストサポーティブケアが頭に浮かぶほど予後不良な疾患でした。しかし、PD-1阻害薬やCTLA-4阻害薬が登場し、効果が期待できるようになりました。私も、StageIVでPD-1阻害薬ニボルマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブの併用療法で完全奏効(CR)となったケースを経験しています。これらの薬剤の登場で、患者さんへの説明の仕方もまったく変わりました。 また、肺がんについても米国では大きな意義がある薬剤です。ドライバー遺伝子変異がある非小細胞肺がん(NSCLC)の患者さんには、分子標的薬が非常によく奏効しますが、米国では治療対象となるドライバー遺伝子変異患者の割合は少ないのです。日本の非小細胞肺がんの約半数にEGFR変異が認められますか、米国におけるEGFR変異は5~10%程度です。一方、米国のNSCLCで、PD-1阻害薬のバイオマーカーの1つであるPD-L1強陽性の患者さんは、3分の1を占めるとされます。実際、私のNCSLC患者さんで、脳転移があったにもかかわらず、ニボルマブの投与で3年間CRが持続している患者さんがいます。しかも、ほとんど副作用がなくフルタイムで働いておられます。 このように、日本以上に免疫チェックポイント阻害薬の役割は大きく、今回の発見はがん治療に非常に大きな意味を持つものだといえます。

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がん治療に大変革をもたらした2つの研究~がん免疫療法のいま・未来~

 2018年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した、本庶 佑氏(京都大学高等研究院 特別教授)とJames P. Allison氏(テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター 教授)が、現地時間の12月10日(日本時間 12月11日未明)、授賞式に出席した。 両氏の研究成果は、がん免疫療法の発展に大きく寄与している。本庶氏は日本医師会での講演にて、がん免疫療法によって「今世紀中にがん死はなくなる可能性が出てきた」と語っている。いま一度、両氏の功績を振り返るとともに、がん治療に大変革をもたらした免疫チェックポイント阻害薬の開発までの軌跡をたどる。がん免疫療法、はじめの一歩 免疫チェックポイント阻害薬の標的である免疫チェックポイント分子のうち、最初に発見されたのがCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)であった。 1987年、CTLA-4は活性化T細胞上に発現する分子として発見され1)、1990年代半ばにはCTLA-4が抑制性受容体であり、T細胞のブレーキ機能を果たすことが明らかにされた2)。これに着目し、がん治療への応用を考えたのがAllison氏らだ。Allison氏らはマウスを用いた実験でCTLA-4をモノクローナル抗体で遮断し、いわばT細胞のブレーキを外すことで、抗腫瘍免疫応答を活性化できることを証明した3)。これは、最初の免疫チェックポイント阻害薬である抗CTLA-4抗体の臨床開発につながる大きな発見だった。大変革への架け橋 時を同じくして、1992年に本庶氏らは、もう1つの免疫チェックポイント分子を発見する。それがPD-1(Programmed cell Death 1)分子だ。本庶氏らはPD-1がCTLA-4と同様にT細胞のブレーキとして機能するものの、CTLA-4とは異なる機序で作動することを示した4)。そして1990年代後半には、本庶氏らが実施したPD-1欠損マウスでの研究5)からPD-1分子による免疫抑制作用が明らかにされた6)。2000年にはPD-1のリガンドであるPD-L1(Programmed cell Death ligand 1)が同定された。T細胞上のPD-1が、がん細胞に発現したPD-L1と結合すると、T細胞にブレーキが掛かり活発な免疫反応が妨げられる。その結果、がん細胞は免疫システム攻撃から逃れていることを解明したのだ7)。 この本庶氏らの研究成果は、抗PD-1抗体開発につながる偉大な功績となった8)。がん免疫療法のいま・未来 2000年代に入り、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体といった、免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験が開始された。2010年、抗CTLA-4抗体のイピリムマブの、悪性黒色腫に対する顕著な効果が示された9)。 また2012年には、抗PD-1抗体であるニボルマブの、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん種に対する臨床試験において、既存の治療法と比べて、全生存期間および奏効率の双方に関する臨床的に著しい改善が示された10-12)。まさにがん治療の大変革が現実のものとなったのだ。 その後本邦では、2014年7月に世界に先駆けてニボルマブが、2015年7月にはイピリムマブが承認を取得した。両剤は免疫チェックポイント阻害薬のトップランナーとして、実臨床で高い効果を発揮し、がん治療に大きな貢献を果たしている。 現在、多数のがん種において、さまざまな免疫チェックポイント阻害薬の開発が進む中、がん免疫療法単独での効果を増強する目的で、作用機序が異なるがん免疫療法同士を組み合わせた、複合がん免疫療法の開発が盛んに行われている13)。イピリムマブとニボルマブの併用療法も一部のがん種で承認され、治療の幅が広がっている。今後もがん免疫療法の発展は続いていくようだ。 免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に大きな変革をもたらした。本庶氏が語るように、がん免疫療法によってがん克服が可能になる日も遠くないのかもしれない。■参考1)Brunet JF, et al. Nature. 1987;328:267-270.2)Krummel MF, et al. J Exp Med. 1995;182:459-465.3)Leach DR, et al. Science. 1996;271:1734-1736.4)Ishida Y, et al. EMBO J. 1992;11:3887-3895.5)Nishimura H, et al. Science. 2001;291:319-322.6)Nishimura H, et al. Immunity. 1999;11:141-151.7)Freeman GJ, et al. J Exp Med. 2000;192:1027-1034.8)Iwai Y, et al. Int Immunol. 2005 Feb;17:133-144.9)Hodi FS, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003;100:4712-4717.10)Brahmer J, et al. N Eng J Med. 2015;373:123-135.11)Weber J, et al. N Engl J Med. 2017;377:1824-1835.12)Motzer RJ, et al. N Eng J Med. 2018;378:1277-1290.13)河上 裕. 日臨. 2017;75:175-180.

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肺癌診療ガイドライン2018(進行再発NSCLC)/日本肺癌学会

 肺癌診療ガイドラインが改訂され、変更ポイントについて第59回日本肺癌学会学術集会で発表された。ここでは、変更点の多かった進行再発非小細胞肺がん(NSCLC)について取り上げる。全領域にGRADE方式を採用 2018年までは一部だったGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)方式が、本年から全領域の推奨度に適用された。GRADEは「行う」「行わない」という2つの方向性に対する推奨レベルを数字の1と2(推奨する=1、提案する=2)で、エビデンスレベルを英語A~D(A=強、B=中、C=弱、D=とても弱い)で示し、この数字と英語の組み合わせで推奨度を表す。ドライバー遺伝子変異/転座陽性<EGFR遺伝子変異陽性の1次治療> EGFR遺伝子変異陽性の1次治療では、FLAURA、ARCHER1050、NEJ026、NEJ009といった臨床試験が検討された。その結果、PS0~1の場合の1次治療としては下記のようになった(CQ51)。 ・オシメルチニブを行うよう推奨する(1B) ・ダコミチニブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブを行うよう提案する(2A) ・エルロチニブ+ベバシズマブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドを行うよう提案する(2B) 樹形図には、従来のEGFR-TKIに替わり、上記の5種の治療法が記載された。<ALK遺伝子転座陽性の2次治療以降> ALK-TKI既治療例に対するロルラチニブの第I/II相試験の結果を踏まえ検討された。その結果、ALK-TKI1次治療耐性または増悪後のPS0〜2に対する治療法として、「ロルラチニブによる治療を行うよう提案する(CQ58、2C)」が新規追加された。<BRAF遺伝子変異陽性> BRAF遺伝子変異陽性例は「ダブラフェニブ+トラメチニブを行うよう推奨する(CQ60、1C)」に変更された。<ドライバー変異/転座陽性例に対する免疫チェックポイント阻害剤> アテゾリズマブのIMpower150試験の結果が検討されたが、最終的には、「ドライバー遺伝子変異/座陽性の患者にプラチナ製剤併用療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない(CQ49、推奨度決定不能)」という結果となった。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…1次治療 ドライバー遺伝子変異/転座陰性の1次治療では、細胞障害性抗がん剤+免疫チェックポイント阻害剤レジメンとして、非扁平上皮がんのKEYNOTE-189、IMpower150、扁平上皮がんのKEYNOTE-407、IMpower131試験が検討された。<PD-L1 50%以上> PS0~1に対する1次治療に対して「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害薬を行うよう推奨する(CQ62、1B)」が追加された。PS2においては、「ペムブロリズマブ単剤療法を行うよう提案する(CQ63、2D)」に加え、「細胞障害性抗がん剤を行うよう推奨もしくは提案する(CQ63、単剤 1A、カルボプラチン併用療法 2B)」、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠が明確でない(CQ63、推奨度決定不能)」が追加された。 PS0~1の樹形図は、「ペムブロリズマブ単独」と「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」の併記、PS2では「細胞障害性抗がん剤」と「ペムブロリズマブ単独」の併記となった。<50%未満もしくは不明> プラチナ製剤併用療法へのPD-1/PD-L1阻害剤の上乗せについては、PS0~1では「プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害剤を併用するよう推奨する(CQ67、1B)」、PS2では「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠がない(CQ67、推奨度決定不能)」という結果となった。 PS0~1の樹形図は、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」が追加され、75歳未満では「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」、75歳以上では「細胞障害性抗がん剤単剤」と「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」の併記に変更された。ちなみに、PS2は前版と変わらず「プラチナ製剤併用療法」「細胞障害性抗がん剤」の併記。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…2次治療以降 ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明の2次治療以降では、新たに免疫チェックポイント阻害剤使用と未使用例に分類された。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2に対する2次治療においては、「PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤をよう推奨する(CQ72、1A)」「細胞障害性抗がん剤を行うよう提案する(CQ72、2A)」となった。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2の樹形図は、「PD-1/PD-L1阻害剤」と「細胞障害性抗がん剤」の併記となった。

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症状からの逆引きによるirAEマニュアル/日本肺癌学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、今後肺がん治療の中心になっていくと思われる。それに伴い、ICIによる有害事象(irAE)の対策をさらに整備していく必要がある。滋賀県・市立長浜病院 呼吸器内科 野口 哲男氏は、症状からの逆引きによるirAEマニュアルを作成し、第59回日本肺癌学会学術集会ワークショップ6で紹介した。頻度の高いirAEの主訴8項目から疑われる病名にたどりつける とくに夜間・時間外の救急外来では、患者は症状があって受診する。それはirAEにおいても同様である。あらかじめirAEの種類や症状を知っておくことで、早期発見と対処につながる。とはいえ、irAEの症状は多岐にわたり、発現パターンもさまざまである。問診で患者から診断に結びつく症状を申告するとは限らない。さらに、ICIを用いることのない診療科や研修医がirAEの初診を行うことも考えられる。このようなことから、症状から疑わしい病名を想起させ、その後の対応を調べられる、実際に即したirAEマニュアルが必要となる。 野口氏は、頻度の高いirAEの主訴8項目から疑われる病名にたどりつける『irAE逆引きマニュアル』を作成した。8項目は、発熱、吐き気、意識レベル低下、だるさ(倦怠感)、呼吸困難、腹痛、頭痛、手足の脱力。たとえば、発熱の場合、追加の症状聴取で呼吸困難・空咳があればILD、背部痛があれば膵炎、といったように数個の症状を組み合わせることで、可能性のあるirAEの病名が記載されている。実際、このirAE逆引きマニュアルの効果を前期研修医で検証したところ、いずれの研修医も、マニュアルを用いることで、短時間で病態を把握できることが示された。 この『irAE逆引きマニュアル』を参考に、当直医が初期検査をした上でICI処方科の待機医師に報告を行い、その後はICI処方科から専門科(1型糖尿病なら内分泌内科など)へコンサルトされる。また、電子カルテの付箋機能に「ICI投与中」「気を付ける副作用一覧」を表示するなど、他科医師およびメディカルスタッフとの連携を進めているという。 この「irAE逆引きマニュアル」は野口氏のホームページからダウンロード可能である。■参考「呼吸器ドクターNのHP」irAE逆引きマニュアル

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アテゾリズマブ+CBDCA+nab-PTX、進行肺がん1次治療でPD-L1発現によらずPFS延長(IMpower130)/ESMO2018

 StageIV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるカルボプラチンとnab-パクリタキセルの併用療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower130試験の結果、アテゾリズマブ併用群でPD-L1発現状態にかかわらず、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが発表された。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、AUSL della Romagna-RavennaのFederico Cappuzzo氏が発表した。 IMpower130試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者を対象とし、カルボプラチンとnab-パクリタキセル併用+アテゾリズマブ→アテゾリズマブ維持療法群(atezo+CnP群)とカルボプラチンとnab-パクリタキセル併用→BSCあるいはペメトレキセドによる維持療法群(CnP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、atezo+CnP群とCnP群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、EGFRまたはALK陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)における治験担当医評価による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)。副次評価項目は、全集団におけるPD-L1発現状態に応じたPFSおよびOS、客観的奏効率(ORR)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・全体で723例(ITT-WT:679例)が登録された。・ITT-WTにおけるatezo+CnP群は451例/CnP群は228例。<65歳:50.3%/50.0%、男性:59.0%/58.8%、登録時点での肝転移有症例:15.3%/13.6%、ECOG PS 0:42.0%/39.9%、PD-L1高発現(TC3またはIC3):19.5%/18.4%、PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2):28.4%/28.5%、PD-L1陰性:52.1%/53.1%。・データカットオフ(2018年3月15日)時点の追跡期間中央値は19.0ヵ月であった。・ITT-WTにおけるPFS中央値は、atezo+CnP群7.0ヵ月に対しCnP群5.5ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.54~0.77、p<0.0001)。・ITT-WTにおけるOS中央値は、atezo+CnP群18.6ヵ月に対しCnP群13.9ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.79、95%CI:0.64~0.98、p=0.033)。・全集団におけるPFS中央値は、atezo+CnP群7.0ヵ月に対しCnP群5.6ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.65、95%CI:0.54~0.77、p<0.0001)。・全集団におけるOS中央値は、atezo+CnP群18.1ヵ月に対しCnP群13.9ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.80、95%CI:0.65~0.99、p=0.039)。・PD-L1発現状態ごとのサブグループ解析では、PD-L1高発現(88例/42例):PFS中央値は6.4ヵ月 vs. 4.6ヵ月(HR:0.51、95%CI:0.34~0.77)、OS中央値は17.3ヵ月 vs. 16.9ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.51~1.39)。PD-L1低発現(128例/65例):PFS中央値は8.3ヵ月 vs. 6.0ヵ月(HR:0.61、95%CI:0.43~0.85)、OS中央値は23.7ヵ月 vs. 15.9ヵ月(HR:0.70、95%CI:0.45~1.08)。PD-L1陰性(235例/121例):PFS中央値は6.2ヵ月 vs. 4.7ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.56~0.91)、OS中央値は15.2ヵ月 vs. 12.0ヵ月(HR:0.81、95%CI:0.61~1.08)。と、PD-L1発現状態に関わらず、PFS、OSにおけるベネフィットが確認された。・EGFR / ALK陽性患者におけるサブグループ解析では、PFS中央値は7.0ヵ月 vs. 6.0ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.36~1.54)、OS中央値は14.4ヵ月 vs. 10.0ヵ月(HR:0.98、95%CI:0.41~2.31)であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は、atezo+CnP群で73.2%、CnP群で60.3%の患者に発現した。 ディスカッサントを務めたフランス・Institute of Gustave Roussy のBenjamin Besse氏は、IMpower-150試験の結果とともに本結果を解説し、EGFR / ALK陽性患者を対象とした場合にベバシズマブが役割を果たす可能性があると指摘した。■参考IMpower130試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アジア人でより有効、進行肺がんへのプラチナ+ペメトレキセド+アテゾリズマブ(IMpower132)/ESMO2018アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018進行膵がんのnab-PTX+GEM療法、新たな標準治療のエビデンス/NEJMnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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