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パーキンソン病に鉄のキレート剤は有効か?(解説:内山真一郎氏)

 パーキンソン病では黒質線条体ニューロンの鉄濃度が上昇しており、酸化ストレスや細胞死に関与していると考えられる。実際、初期の研究では鉄のキレート剤であるdeferiproneがパーキンソン病患者の鉄濃度を減少させることが示唆されているが、その効果については不明であった。FAIR PARK-II試験はドーパミン製剤をまだ投与されていない、パーキンソン病と新規に診断された372例においてdeferiproneの有効性と安全性を評価した第II相プラセボ対照無作為化比較試験であった。36週の観察期間においてプラセボ投与群と比べてdeferiprone投与群ではMRIで黒質線条体の鉄濃度は低下したが、パーキンソン病の評価スコア(MDS-UPDRS)が悪化したという否定的な結果であった。鉄はチロシン水酸化酵素に対するコファクターとしてドーパミン合成、ミトコンドリアの酸化的リン酸化、酸素輸送に関与しているという側面もあるので、パーキンソン病症状が悪化したのはdeferiproneがチロシン水酸化酵素の活性を低下させたためかもしれない。

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貼付薬承認とgantenerumabの試験結果【コロナ時代の認知症診療】第22回

ドネペジルの貼付薬、使いどころは筆者は、コリンエステラーゼ阻害薬(ChE-I)の貼付薬を使うことが少なくない。ことに嚥下障害のある人、多剤・多量処方の人などではありがたい。また食欲不振の人で食欲が増すことを時に経験する。3種類のChE-Iのうち、リバスチグミンだけは貼付薬として流通している。本家のドネペジルでも以前から貼付薬開発の話があったが、容易でないという噂は前から聞いていた。この11月、帝國製薬のドネペジルを成分とする貼付薬であるアリドネパッチ27.5mgと55mgが承認された。適応は、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制とされる。資料によれば、「通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える」とされる1)。本剤の登場で治療の選択肢が増すことはありがたい。やはり嚥下障害のある人、多剤・多量処方の人がターゲットだろう。筆者は、心密かに、「食欲に悪影響しないドネペジル張り薬」であって欲しいと期待している。というのはリバスチグミン治験に関する強い思い出があるからだ。この薬は、最初は飲み薬として試された。ところが胃腸症状と食欲不振が実に多くの患者で認められた。これを克服すべく貼付薬にリフォームしてなされた2回目の治験が成功した。筆者はいずれの治験にも参加したが、びっくりしたのは、食欲がむしろ改善するという効果が少なからぬ例で見られたことである。同じ成分の薬で、経口か皮膚吸収かで反対の効果なんて! という予想外の経験をしたわけだ。gantenerumabの試験結果をどう読み解く?さてこの数年、世界レベルの大きな治験がなされ、有力な疾患修飾薬として期待されていたのがgantenerumabであった。2022年11月、MCIと早期アルツハイマー病患者を対象にIgG1 mabである本剤の効果を評価したGRADUATE I試験、GRADUATE II試験の結果が発表された2)。両試験とも臨床症状の悪化抑制を検証した主要評価項目で有意差が得られなかった。この主要評価項目とは116週時点のCDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes)のベースラインスコアからの変化量である。CDR-SBでは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会活動、家庭生活および趣味、介護状況を含む6つの領域について、認知機能と日常生活能を評価されたが、有意な効果が認められなかった。さらに、アミロイドβの除去レベルは想定より低かった。なお本剤の忍容性は、皮下による投与を含め、良好であった。実薬群において、浮腫または滲出液を伴うARIA-Eの発生は25%にみられたが、ほとんどが無症候性であり、投与の中断に至った例は少数であった。以上の結果は、副作用は少なかったが、効果も得られなかったと要約される。これらにより本剤の開発は中止になった。さてlecanemabに続くかと期待されたこのgantenerumabの失敗があっても、これからは疾患修飾薬の治験結果の発表・申請が続々となされるであろう。そこで承認されたとしても、今後の課題は少なくない。とくに重要と考えられるのは以下である。1)薬価と保険収載の有無、2)適応となるアルツハイマー病患者の特性、3)新薬が効く者・効かぬ者(レスポンダーか否か)の投与前判断が挙げられる。1)については、以前にも書いたが、保険収載にならず、費用が噂される年間数百万円であるのなら、新薬は多くの患者さんにとって福音とはならない。2)については若年性、遺伝性、初期・前駆期が基本である。しかしこの3項目に絞っても、投与要件の選び方によっては、数十万人の患者さんが投与対象になるかもしれない。となると国家財政にさえ少なからぬ影響を与えると役所側が考える可能性もある。3)が、臨床家にとって今後の最大の責務になるだろう。経験的にアミロイドPETや遺伝性の有無、発症年齢、認知機能テストの成績などと治療効果が相関するわけではない。それだけにエビデンスある予測の実現は容易ではない。おわりに、最近の新薬開発では、これまできわめて低いとされた脳血管関門(BBB)通過率をいかにして高めるかが大きなポイントだと聞く。ここが改善されたら、薬剤製造コストは下がり治療効率は上がって、これらの問題の克服につながるのではと期待される。参考1)厚生労働省「令和4年11月25日医薬品第一部会 事後ブリーフィング資料」2)Roche discontinues clinical trials of gantenerumab, after GRADUATE studies fail to meet their primary endpoints / Alzheimer Europe

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慢性片頭痛と睡眠の質との関係

 最近の研究によると、片頭痛患者では睡眠に関する問題が高頻度に発生し、慢性的な睡眠不足に陥ることが示唆されているが、慢性片頭痛が睡眠の質に及ぼす影響に関するメカニズムは明らかになっていない。トルコ・Yozgat Bozok UniversityのHikmet Sacmaci氏らは、慢性片頭痛患者で一般的に報告される睡眠障害を分析し、睡眠の質に対する慢性片頭痛の影響を明らかにするため、本研究を行った。その結果、慢性片頭痛患者では睡眠障害が一般的に認められ、睡眠の質と片頭痛の慢性化とは相互に関連していることが示唆された。Nature and Science of Sleep誌2022年10月6日号の報告。 2022年3月までに公開された慢性片頭痛と睡眠の質に関する文献を包括的にレビューした。臨床試験、観察研究、20件以上のケースシリーズを対象に含めた。2人のレビュアーおよび1人のスーパーバイザーにより、すべての検索された文献のタイトルおよびアブストラクトが事前に定義した包括基準や除外基準を満たしているかをレビューした。慢性片頭痛、睡眠、不眠症、睡眠の質、睡眠ポリグラフ、ピッツバーグ睡眠質問票を検索キーワードとし、1983~2022年に英語で報告された慢性片頭痛と睡眠の質に関するランダム化比較試験およびオープンスタディをPubMedより検索した。 主な結果は以下のとおり。・関連研究として535件が抽出されたが、そのうち455件は包括基準を満たしていなかったため、レビューから除外した。・残りの研究のうち、睡眠の質と片頭痛との関連をレビューした臨床研究36件が特定され、これらを本レビューに含めた。・睡眠不足と片頭痛の慢性化は、他の併存疾患や概日リズム調節不全と相互に関連しており、革新的な治療方法により睡眠不足と片頭痛の両方を緩和する可能性が示唆された。・高頻度の片頭痛発作を伴う併存疾患を有する患者では、睡眠の質を低下させる可能性が示唆された。・不適切な疼痛に対するプロセスは睡眠を悪化させ、睡眠の質の不良も片頭痛に悪影響を及ぼす。・片頭痛発作の悪化による睡眠障害は、QOL、労働力の低下、経済的負担を引き起こすと考えられる。

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認知機能を学ぶオンラインカフェスペース「Cognition Cafe」公開【ご案内】

 ケアネットは、医療従事者に認知機能(cognition)を「知り」「学び」「考える」きっかけを届けるオンラインカフェスペース「Cognition Cafe」を公開した。 本サイトは、認知機能の理解を通して「人と関わる」「人が集まる」「社会復帰ができる」ことの実現を目的に、認知機能に関するさまざまなコンテンツや企画を発信するために立ち上げられた。現在(2022年12月)、実臨床に役立つ書籍や文献が紹介されているほか、認知機能に関するより専門的なコンテンツが掲載されている。本サイトは、認知機能改善に携わる精神科医師・リハビリ医師・看護師・心理士・ケアスタッフなどに向けて、認知機能を知り、また当事者の日常生活を改善するために必要な専門職の役割や知見を学ぶことを、リラックスできるカフェのようなオンライン空間で体験できる場を目指していく。 「Cognition Cafe」はこちらから

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医師の今年の旅行事情と“来年こそ行きたい場所”は?【CareNet.com会員アンケート結果発表】

2022年後半には入国時の条件を緩和する国が増え、国内では旅行支援の取り組みが始まりました。一方で11月からは第8波も到来し、まだまだコロナ禍以前と同じようには旅行を楽しむ状況になっていないかもしれませんが、CareNet.comの会員医師1,000人に、現在の状況と、来年こそ行きたい旅行先についてお聞きしました。行ったor行かない?/日帰りor宿泊? 今年1年の旅行事情は「今年1年どのような旅行(出張は除く)に行きましたか?」という問いに対し、約5割(471人)の医師が「住んでいる都道府県内で日帰りの旅行をした」と回答。「住んでいる都道府県外へ1泊以上の旅行をした」(364人)という回答、「住んでいる都道府県内で1泊以上の旅行をした」(159人)という回答が続いた。一方で約2割(235人)の医師が「旅行も帰省もしていない」と回答している。上記の問いについて年代別に回答をみてみると、「住んでいる都道府県内で日帰りの旅行をした」という回答は若い年代ほど多く、「旅行も帰省もしていない」という回答は年代が高くなるほど多い傾向がみられた。「万一の感染が気になる」「医療者だけ区別するのはおかしい」などさまざまな意見医療従事者が旅行に行くことについて、感じていることや意見があるかを聞いた問いでは、さまざまな意見が寄せられた。【院内の規定が厳しい/開業医や高齢者に対応していることの難しさ】勤務先の規定が厳しすぎる(50代、内科、200床以上)個人医院では医師の感染がそのまま医療経営に関係してくるので、まだまだ医師自身および同居家族は控えたほうがいい(60代、耳鼻咽喉科、0床)開業医は休診できない(60代、内科、0床)とくに高齢者施設に勤務しているものにとっては旅行にいける環境ではない(60代、脳神経外科、200床以上)【まわりの雰囲気や万一の感染が気になる】周りの目が気になる(30代、循環器内科、200床以上)行ける雰囲気ではない。ただし世間では行っており無力感を感じる(30代、内科、200床以上)万一感染し院内クラスターの原因になるようなことがあれば、非難は避けられない。インフルエンザなみの対応とならない限り、自主規制はやめられない(50代、放射線科、1~19床)万一感染した場合の影響を考えるとまだ旅行には行きづらい。人が少ない高級ホテル等に宿泊するなど工夫している(20代、内科、200床以上)【医療者を区別すべきでない/ストレスが爆発寸前】医療従事者とそれ以外を分ける必要はない(50代、眼科、0床)医療従事者だけ我慢するというのもおかしいと思うので、リスク管理をしたうえで自由にしたらいいと思う(40代、内科、0床)国民全体が緩和に動いている中、医療従事者に対してだけ厳しいのはよろしくない。クラスターすらも受け入れる世論が必要(30代、神経内科、100~199床)そろそろストレスが爆発してしまう。ある程度の感染対策をしてなら旅行はOKだと思う(60代、循環器内科、0床)【医療者だからこそ適切な感染対策ができる/旅行自体のリスクが高いとは思わない】医療従事者だからこそ、感染対策を適切に行いながら安全な旅行ができると思う(40代、呼吸器内科、1~19床)感染リスクを最小化した少人数のものならよいのでは? 医療従事者の感染リスクというだけで旅行を自粛していたらかなり長期間行けなくなると思う(50代、精神科、200床以上)医療従事者が世間から隔離されて生活しているわけではないので、自由に行ってよいと思う(50代、消化器外科、200床以上)マスクなどの対策、食事、大声でしゃべることを避けるなど基本的な対策を守り節度のある旅行なら大いに良いのではないか(60代、内科、20~99床)旅行自体の感染リスクが高いとは思わないので、構わない気がする。医療従事者だけが批判の対象になるのはもう違うかなという気がする(30代、精神科、0床)“来年こそ行きたい場所”ベスト51位 ハワイ最も多かった回答はやはり“ハワイ”。「暖かいところで安らぎたい」「リゾートの王様といえばやはりハワイ」「しがらみから解き放たれたい」「非日常を感じたい、綺麗な海を見たい」などの声が相次いだ。「コロナ禍以前は恒例の旅行先だったから」「新婚旅行にまだ行けていないから」といった声も。2位 海外2番目に多かったのは、「どこでもいいから海外に行きたい」という回答。「しばらく行けていないから」「withコロナになってきたからそろそろ行きたい」「ずっと行ってないので願望も込めて」などの声が聞かれた。「来年でなくてもよいが、コロナ禍が収束したら行きたい」という声も。ただし、円安を嘆く声も多く寄せられた。3位 沖縄「温暖な地域かつ国内旅行に行きたい」「国内でリゾートを感じたい」など、まずは国内で非日常を味わいたいという声とともに沖縄が3位にランクイン。「青い海が見たい!」「子供にとっては初めての海になるので、きれいな海を見せてあげたい」ときれいな海への渇望を感じさせる声も。4位 北海道北海道を挙げた医師から多く聞かれたのは「美味しいものが食べたい」「海産物が食べたい」「食べ歩きしたい」という北海道グルメに期待する声。「自然を満喫したい」「ゆっくりドライブしたい」「開放的な場所で家族とゆっくり過ごしたい」と沖縄同様国内で自然を満喫したいという意見も多かった。5位 温泉とにかくどこでもいいから温泉でゆっくりしたいという声も多数。具体的な地名が上がった中では、箱根や湯布院、乳頭温泉が人気だった。蔵王や別府に有馬や加賀、鬼怒川や和倉など、全国各地の温泉地の名前が寄せられた。アンケート概要アンケート名『2022年を総まとめ&来年へ!今年の漢字と来年こそ行きたい旅行先をお聞かせください』実施日   2022年11月3日調査方法  インターネット対象    CareNet.com会員医師有効回答数 1,000件

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レビー小体型認知症の初期症状の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、神経変性疾患による認知症のうち2番目に多いとされる。レビー小体型認知症は認知機能障害の変動を特徴としているが、認知機能症状が出現する前に、急速眼球運動、睡眠行動障害、精神症状、自律神経症状、パーキンソン症状などが認められることが多い。そのため、レビー小体型認知症の初期段階では他疾患と診断されることも少なくない。中国・天津医科大学のMin Fei氏らは、レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査し、レビー小体型認知症の早期診断に必要な手掛かりを得ようと試みた。その結果、レビー小体型認知症患者の初期症状は性別や年齢により違いが認められた。著者らは、レビー小体型認知症の初期症状を理解することでより正確な診断が可能となるであろうとまとめている。Frontiers in Neurology誌2022年10月12日号の報告。レビー小体型認知症の初期症状で睡眠行動障害は女性よりも男性で多い 対象は、2015年9月~2021年3月にTianjin Huanhu Hospitalの認知症外来を受診したレビー小体型認知症が疑われる患者239例。すべての患者の初期症状をレトロスペクティブに調査した。初期症状の発症時期も併せて評価した。 レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査した主な結果は以下のとおり。・レビー小体型認知症患者の初期症状は、以下の順で認められた。 ●記憶障害:53.9% ●精神症状:34.7% ●睡眠行動障害:20.9% ●パーキンソン症状:15.1% ●自律神経症状:10.1%・レビー小体型認知症患者の初期症状は、性別や年齢により有意な違いが認められた。・睡眠行動障害は女性よりも男性で多く、幻覚や幻聴は男性よりも女性で多かった。

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肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。 日本老年学的評価研究のプロスペクティブコホート研究に参加した65歳以上の日本人高齢者9,952人を対象として、2013年から2019年の期間にフォローアップを行った。認知症の診断は、公的介護保険レジストリより収集した。ベースライン調査実施(2013年)の1年前までを肺炎歴として収集した。潜在的な交絡因子で調整した認知症リスクのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。原因別ハザードモデルを用いて、競合リスク分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、939人であった。・肺炎歴と認知症リスクとの関連は認められなかった(HR:1.20、95%CI:0.81~1.78)。・プレフレイルおよびフレイルを有する高齢者は、認知症リスクが高かった。 ●プレフレイル(多変量HR:1.75、95%CI:1.48~2.07) ●フレイル(多変量HR:2.42、95%CI:2.00~2.93)・肺炎歴とフレイルを有する高齢者の認知症リスクは、最も高かった(多変量HR:2.30、95%CI:1.47~3.62)。・肺炎歴がなくフレイルを有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.95(95%CI:1.66~2.28)であった。・一方、フレイルがなく肺炎歴を有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.64(95%CI:0.68~3.99)であった。

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早期パーキンソン病へのdeferiprone、疾患進行に有効か?/NEJM

 レボドパ製剤による治療歴がなく、ドパミン作動薬の投与が予定されていない早期パーキンソン病患者において、deferiproneによる36週間の治療はプラセボと比較して、パーキンソン病の臨床的な悪化が認められたことが、フランス・リール大学のDavid Devos氏らにより欧州の23施設で実施された医師主導の第II相無作為化二重盲検比較試験「FAIR PARK II試験」の結果、示された。パーキンソン病患者では黒質の鉄量増加が認められており、疾患の病態生理に寄与している可能性が示唆されている。鉄キレート剤のdeferiproneは、パーキンソン病患者の黒質線条体の鉄量を減少させることが、初期の研究で示されていたが、疾患進行に対する有効性は不明であった。NEJM誌2022年12月1日号掲載の報告。deferiproneを36週間投与、MDS-UPDRS総スコアの変化量を評価 研究グループは、新たにパーキンソン病と診断され、レボドパ製剤の投与歴がない18歳以上の患者を、deferiprone(1回15mg/kg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、1日2回36週間経口投与した。症状のコントロールのために必要と判断された場合を除き、ドパミン作動薬は投与しないこととした。 主要評価項目は、運動障害疾患学会・改訂版パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)の総スコア(範囲:0~260点、スコアが高いほど障害が大きい)の36週時のベースラインからの変化量であった。 副次評価項目は、36週または40週時のMDS-UPDRSパートIIおよびIIIのスコア、パートIIとIIIの合計スコアであった。探索的評価項目は、MDS-UPDRSパートIのスコア、モントリオール認知評価(MoCA)スコア、パーキンソン病質問票(PDQ-39)で評価した疾患関連QOL、MRIを用いて評価した脳内鉄量などとした。 2016年2月~2019年12月に372例が登録され、deferiprone群186例、プラセボ群186例に割り付けられた。36週時の平均MDS-UPDRS総スコア、deferiprone群で15.6点悪化 ドパミン作動薬の治療導入につながる症状の進行は、deferiprone群22.0%、プラセボ群2.7%で確認された。 ベースラインの平均MDS-UPDRS総スコアは、deferiprone群34.3点、プラセボ群33.2点であり、36週時までにそれぞれ15.6点および6.3点増加(悪化)した(群間差:9.3点、95%信頼区間[CI]:6.3~12.2、p<0.001)。 MDS-UPDRSパートI、IIおよびIIIのスコア、パートIIとIIIの合計スコア、PDQ-39スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群よりdeferiprone群で大きかった(悪化)。また、黒質線条体における鉄量は、プラセボ群と比較してdeferiprone群でベースラインより大きく減少していた。 重篤な有害事象は、deferiprone群で9.7%、プラセボ群で4.8%に認められ、無顆粒球症はdeferiprone群でのみ2例、好中球減少症はそれぞれ3例および1例であった。

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早期アルツハイマー病へのlecanemab、第III相試験結果/NEJM

 早期アルツハイマー病において、可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体プロトフィブリルに選択的に結合するヒトIgG1モノクロナール抗体lecanemabの投与は、18ヵ月時点でプラセボよりも脳内アミロイド蓄積量を減少させ、認知および機能低下をわずかだが抑制した。一方で、有害事象との関連が報告されている。米国・イェール大学のChristopher H. van Dyck氏らが、1,795例を対象に行った第III相無作為化比較試験「Clarity AD試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「早期アルツハイマー病におけるlecanemabの有効性と安全性を確認するための長期試験が必要だ」とまとめている。NEJM誌オンライン版2022年11月29日号掲載の報告。18ヵ月後の臨床的重症度判定尺度の合計スコアを測定 研究グループは、早期アルツハイマー病(アルツハイマー病による軽度認知障害・軽度認知症)で、ポジトロン断層法(PET)または脳脊髄液検査で脳内アミロイド病理が確認された50~90歳の患者を対象に、18ヵ月にわたる多施設共同二重盲検第III相試験を行った。 被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはlecanemab(10mg/kg体重、2週ごとに静脈内投与)を、もう一方にはプラセボを投与した。 主要評価項目は、臨床的認知症重症度判定尺度の合計(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes:CDR-SB、範囲:0~18、高スコアほど障害が大きいことを示す)スコアのベースラインから18ヵ月時までの変化だった。主要な副次評価項目は、PETにより評価した脳内アミロイド蓄積量、アルツハイマー病評価尺度(Alzheimer's Disease Assessment Scale:ADAS)の14項目認知サブスケール(ADAS-cog14、範囲:0~90、高スコアほど障害が大きいことを示す)、Alzheimer's Disease Composite Score(ADCOMS、範囲:0~1.97、高スコアほど障害が大きいことを示す)、Alzheimer’s Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment(ADCS-MCI-ADL、範囲:0~53、低スコアほど障害が大きいことを示す)の変化とした。脳内アミロイド蓄積量は対プラセボで-59.1センチロイド 被験者数は合計1,795例で、lecanemab群が898例、プラセボ群が897例だった。ベースラインの平均CDR-SBスコアは、両群ともに約3.2だった。 CDR-SBスコアは18ヵ月時点で、ベースラインからの補正後最小二乗平均変化値が、lecanemab群1.21、プラセボ群が1.66だった(群間差:-0.45、95%信頼区間[CI]:-0.67~-0.23、p<0.001)。 698例を対象に行ったサブスタディでは、プラセボ群に比べlecanemab群で脳内アミロイド蓄積量の減少が大きかった(群間差:-59.1センチロイド、95%CI:-62.6~-55.6)。 そのほか、ベースラインから18ヵ月時点までの平均変化に群間差が認められたのは、ADAS-Cog14スコア(群間差:-1.44、95%CI:-2.77~-0.61、p<0.001)、ADCOMSスコア(-0.050、-0.074~-0.027、p<0.001)、ADCS-MCI-ADLスコア(2.0、1.2~2.8、p<0.001)だった。 lecanemab群では、インフュージョンリアクションが26.4%、画像上の脳内アミロイド関連の浮腫・浸出が12.6%に認められた。

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認知症で修正可能な危険因子は?~ランセット認知症予防モデルを検証

 認知症リスクに対し修正可能なリスク因子は、40%の影響を与えるといわれており、認知症の予防または進行遅延につながると考えられる。Lancet委員会による認知症予防のリスク因子ライフコースモデルは、一般集団においてまだ検証されていない。ニュージーランド・オタゴ大学のCharlotte Mentzel氏らは、高齢者の大規模データセットを用いて、本モデルの評価を行った。その結果、ニュージーランドの高齢者集団においてBMI、高血圧、聴覚障害、うつ病が、認知症の修正可能なリスク因子として確認されたことから、認知症予防のためのこれらのリスク因子に対する介入の信頼性が向上したことを報告した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2022年11月2日号の報告。ランセットの認知症予防モデルを6万6,638人で検証 標準化されたデータセットを提供するため、ニュージーランドで高齢者に義務付けられているinterRAI assessment(236項目を網羅する包括的なエビデンスベースツール)を2013~18年に受けた6万6,638人を対象に、ランセットの認知症予防モデルの検証を行った。女性のインタビュー回答者は59%(平均年齢:82歳、年齢範囲:65~107歳)であった。認知症診断を主要アウトカムとし、ロジスティック回帰分析を用いて、横断的データセット分析を行った。 ランセットの認知症予防モデルの検証を行った主な結果は以下のとおり。・ランセットの認知症予防モデルは、部分的にサポートされた。・高血圧、聴覚障害、過去または現在のうつ病は、認知症リスクを高めることが示唆された。・認知症リスク増加との関連は、年齢では85歳まで、性別では女性、BMIでは高BMIによる初期の影響が認められた。・修正可能な因子である運動、糖尿病、視覚障害、喫煙についてはLancet認知症リスクモデルとの関連が認められなかった。・分析したデータセットの制限が、本調査結果に影響を及ぼした可能性が考えられるが、認知症リスクを増加させる修正可能なリスク因子が確認された。

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片頭痛に対する有酸素運動や筋トレの有効性~メタ解析

 いくつかの臨床試験において、片頭痛のマネジメントに対するさまざまな運動プロトコールを用いた介入の有効性が報告されている。しかし、それぞれの運動介入による有効性を直接比較した研究はほとんどない。米国・スタンフォード大学のYohannes W. Woldeamanuel氏らは、1ヵ月当たりの片頭痛回数の減少に対し運動介入の有効性を評価した臨床試験を含めた、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、筋力トレーニングは片頭痛の軽減に最も有効な運動介入であり、高強度の有酸素運動がそれに次ぐことが報告された。The Journal of Headache and Pain誌2022年10月13日号の報告。 2022年7月30日までに公表された文献をWeb of Science、PubMed、Scopusなどのデータベースより検索した。運動プロトコールには、有酸素運動と筋力/レジスタンストレーニングの両方を含めた。アウトカムの指標として、介入群と対照群におけるベースラインから介入終了までの1ヵ月当たりの片頭痛回数の平均差(MD)および95%信頼区間(CI)を用いた。直接的および間接的な比較による有効性のエビデンスは、ランダム効果モデルネットワークメタ解析により統合した。中強度の有酸素運動、高強度の有酸素運動、筋力/レジスタンストレーニングの3つの運動プロトコールについて、有効性の比較を行った。本研究には、片頭痛治療薬(トピラマート、アミトリプチリン)と運動介入の有効性を比較した研究も含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias version 2(RoB2)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・21研究より、片頭痛患者1,195例(平均年齢:35歳、男女比:1:6.7)が抽出された。・ペアワイズ比較27回および間接比較8回を行った。・介入効果は、以下の順で認められた。 ●筋力トレーニング(MD:-3.55、95%CI:-6.15~-0.95) ●高強度の有酸素運動(MD:-3.13、95%CI:-5.28~-0.97) ●中強度の有酸素運動(MD:-2.18、95%CI:-3.25~-1.11) ●トピラマート(MD:-0.98、95%CI:-4.16~2.20) ●プラセボ ●アミトリプチリン(MD:3.82、95%CI:-1.03~8.68)・RoB2の評価では、対象研究の85%はバイアスリスクが低く、ITT解析のバイアスリスクが高かったのは15%であった。・バイアスリスクが高い要因として、ランダム化のプロセスおよびアウトカムデータ処理の欠落が含まれていた。

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第125回 新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省2.子育て支援充実に、時短勤務者へ新たな給付制度を検討へ/内閣府3.コロナ感染拡大で少子化さらに進行、出生数80万人以下に/厚労省4.かかりつけ医機能について医療機関が情報開示へ/全世代型社会保障構築会議5.初の国産、新型コロナワクチンの承認申請へ/塩野義6.認知症の新薬普及に向けた体制整備を関連6学会が提言1.新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省11月27日に民放番組に出演した加藤勝信厚労大臣は、厚生労働省において、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの見直しに向け、本格的な検討に入っていることを認めた。現在、臨時国会で審議されている感染症法改正案には、新型コロナウイルス感染症の類型の見直しを「速やかに検討する」と附則が加えられており、来月上旬の成立を待って、厚生労働省は成立後の速やかな検討を開始するとしている。(参考)新型コロナ「5類」引き下げ、本格検討へ 特例措置見直しも 厚労省(毎日新聞)新型コロナ「5類」への引き下げ 加藤厚労相「規定に則って早期に検討(FNN)2.子育て支援充実に、時短勤務者へ新たな給付制度を検討へ/内閣府すべての世代で支え合う社会保障の制度の実現を目指すため、内閣府は第9回全世代型社会保障構築会議を11月24日に開催した。子育て支援のために、育児中に時短勤務を選んだときに新たな給付を行う仕組みや、育児休業を取った後の職場復帰を容易にするため、休業期間中でも保育所の枠を確保できるシステムを構築する方向性をまとめるように求めた。今後は、論点の整理として年内に報告書を取りまとめ、来年度の「骨太の方針」などに盛り込む方針となっている。一方、具体的な財源についてはこれからの検討となる見込み。(参考)第9回全世代型社会保障構築会議(内閣府)全世代型社会保障実現へ 育児で時短勤務に給付の仕組み創設へ(NHK)少子化は急ピッチで進むのに…停滞する子ども関連予算の財源議論(毎日新聞)3.コロナ感染拡大で少子化さらに進行、出生数80万人以下に/厚労省厚生労働省は、令和4年9月までの人口動態統計の速報値を発表した。これによると、今年9月までに国内で新たに生まれた子供の数は外国人も含めて速報値で59万9,636人と、前年度の同期間の63万569人と比較して3万933人少なかった。このペースのままであれば、わが国の出生数は80万人を切ることになる。その一方、死亡者数は今年9月までに12万7,040人と去年の9月までの11万5,706人より1.1万人多く、人口減少も加速していることが明らかとなっている。出産する可能性の高い15~49歳の女性は1990年より減少しており、晩婚化に加え、新型コロナウイルス感染症により、婚姻数の減少などが背景にあるとみられる。(参考)9月までの出生数59万9千人余 年間80万人下回る過去最少ペース(NHK)出生数、コロナで悲観シナリオに迫る(日経ビジネス)人口動態統計速報(令和4年9月分)4.かかりつけ医機能について医療機関が情報開示へ/全世代型社会保障構築会議11月24日に開催された全世代型社会保障構築会議で、「かかりつけ医機能」の制度について、年末までにまとめる報告書に盛り込む論点整理が行われた。今後、この報告書の内容を盛り込んだ関連する法律の改正案を来年の通常国会に提出する見込み。かかりつけ医機能が発揮される制度整備のため、早急な実現に向けて、以下の項目の整理を求めた。かかりつけ医機能の定義は、現行の「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討。日常的に高い頻度で発生する疾患・症状について幅広く対応し、オンライン資格確認も活用して患者の情報を一元的に把握し、日常的な医学管理や健康管理の相談を総合的・継続的に行うこと。休日・夜間の対応、他の医療機関への紹介・逆紹介、在宅医療、介護施設との連携や複数の医療機関が緊密に連携して実施することを求める。かかりつけ医機能の活用は、医療機関、患者それぞれの手上げ方式とし、医療機関は自らが有するかかりつけ医機能について、住民に情報提供を行うとともに、自治体がその機能を把握できるようにする仕組み。高齢者については幅広い診療・相談に加え、在宅医療、介護との連携に対するニーズが高いことを踏まえ、これらの機能をあわせもつ医療機関を自治体が把握できるようにする。地域全体で必要な医療が提供できる体制が構築できるよう、地域の関係者が、その地域のかかりつけ医機能に対する改善点を協議する仕組みの導入。(参考)全世代型社会保障構築会議の論点整理(全世代型社会保障構築会議)かかりつけ医の役割を法律明記へ 厚労省 コロナで「曖昧」指摘(毎日新聞)「かかりつけ医」を法律で定義、医療機関が満たす項目を情報公開へ…厚労省が方針(読売新聞)「かかりつけ医機能」地域ごとに改善点協議 全世代型構築会議が論点整理(CB news)5.初の国産、新型コロナワクチンの承認申請へ/塩野義塩野義製薬株式会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチンを11月24日に「成人における初回免疫(1回目、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)によるCOVID-19の予防」を適応として、日本国内における製造販売承認申請を行った。今回のワクチンは、現在、使われているmRNAワクチンとは異なり、遺伝子組換えタンパクワクチンであり、国内の製薬企業による初の国産ワクチンの開発であり、早期の承認を目指す。政府はこれまで、国内のワクチン開発の支援を行うため、ワクチン生産体制等緊急整備事業を通して早期供給を促す支援をしてきており、同社にも476億円を交付しており、その成果が実った。(参考)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請について(塩野義)開発状況について(厚労省)塩野義製薬 新型コロナワクチンの国内製造販売承認申請 国産で初(ミクスオンライン)塩野義製薬 新型コロナワクチンの承認申請 国内開発で初(NHK)6.認知症の新薬普及に向けた体制整備を、関連6学会が提言日本老年精神医学会、日本認知症学会など認知症に関連する6学会は、エーザイ社の新薬「レカネマブ」などの認知症の新薬開発が進む中、こうした新薬が実用化された場合に、患者の早期診断の手段が限られることや治療費が高額になるため、普及に向けて医療整備体制が必要とする提言を共同で発表した。現時点では、早期診断に用いられるPET(陽電子放射断層撮影)検査は保険適用外であり、今後、新薬の承認とともに早期の診断体制の確立と、費用対策効果について検討を求めている。(参考)アルツハイマー新薬、実用化へ「高額医療費巡る議論を」…認知症関連6学会が提言(読売新聞)認知症新薬の実用化に備え、医療体制整備を 関連6学会が提言(毎日新聞)

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脳のエイジングはブラックボックス、画像で認知症予防を実現『MVision』

 脳画像のAI分析によるデータ解析ソフトの開発や医療機関向けの導入・運用サービス提供を行う株式会社エム(以下、エム社)は、第4回ヘルスケアベンチャー大賞において、「脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防」と題し、それらを実現できる技術を紹介して、見事に大賞を受賞した。本大賞は今年、5つの企業・団体と個人1名が最終審査会まで勝ち抜き、接戦を繰り広げた。 今回、エム社の創業者である森 進氏(ジョンズ・ホプキンズ大学医学部放射線科教授)に、開発経緯から技術提供の将来展望について話を聞いた。画像解析から認知症医療をアップデート 2025年、日本は超高齢化社会を迎える。これは軽度認知障害(MCI)の発症者が約5人に1人(約700万人)と過去最大にまで増加することを意味し、国も認知症対策として新オレンジプランを掲げている。また、先日にはエーザイ・バイオジェンがMCIとアルツハイマー病を対象とした第III相CLARITY AD検証試験で主要評価項目を達成するなど、症状抑制に対する動きは活発である。 しかし、海外で研究活動を行っている森氏は、認知症が生活習慣病の一種として認識が変わりつつあるにもかかわらず、高血圧症や肥満症のように予防対策が講じられておらず、認知症の予防は疎漏である点、日本だけが実施している脳ドックの画像データ、いわば健常者のデータが検査後にお蔵入りして画像価値を最大限に利活用できていない点から着想を得て、認知症の一次予防のために「脳の健康状態を可視化」させることに注目した。これについて同氏は「脳の萎縮状況というのは健康診断でも観察されず、医療において可視化されてこなかった」と述べ、「予防のための管理指標を存在させるべき」と認知症の一次予防がアンメット・メディカル・ニーズであることを強調した。 そこで、同氏らが開発したのが脳画像の自動解析技術である『MVision』だ。彼らは“日本のみに存在する健常者の巨大データ”を活用し、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学の脳画像の自動解析技術を用いて、全脳をAI解析する世界初の認知症関連ソフトウェアの開発に成功した。このソフトウェアにより、画像分析を自動化させ、脳全体の構造物を505にセグメントすることで脳の体積や形状を数値化する。また、数値による客観評価により同年代との比較や経年評価できるため、患者の予防に対するやる気に繋がるという。現在、日本の5施設10万件以上の脳ドックから得られた健常者画像データを解析中で、年齢別の平均と分布から脳萎縮リスクの算出が可能だ。実際に若年層のデータを見ると、すでに萎縮が進行していた症例も見られたという。 また、同氏は今回の取材に対し、「認知症の解明には長期で良質のデータが必要。そして、それをいかに早く集め始めるかが大切。これらがスタートアップとして急速に事業を立ち上げた理由かもしれない」と開発および創業の経緯を吐露。導入した際に直面した問題点として、「実際の医療現場では、“脳の萎縮では認知症は診断できない”ことから、萎縮を見てもしょうがない、となってしまう。萎縮があれば認知症になるという個人レベルのエビデンスがないという意見は正しいが、これは目の前の患者に対し診断や治療を考えるときの概念」と、医療の壁を指摘した。その一方で、「萎縮は認知症患者に統計学的に非常に強く見られる特徴なのは確固たる事実であり、萎縮の強い人は認知症患者に多く見られるというのも統計学的事実である」とし「40~70歳の健康診断は、未病段階でのリスク検出と早期生活改善が主要な目的である。その観点から、自分の脳の萎縮を知るということは認知症の大切なリスクマネジメントと考える」と説明した。体重計で体重管理をするように、脳の管理を 将来のリスクの話より現在の病気が優先される時代がゆえに、せっかく脳MRIを撮っても既病の早期検出といった二次予防にしか使われていないことになる。「だが、健康管理のために体重計に乗り、体重を測っている。これと同じように考えたら、30代までに自分の“基礎値”を知り、脳の経時変化を追うこと、脳の健康管理をしないのは不条理なのではないだろうか。われわれが開発した『MVision』は1回だけ撮影するだけでも意味はあるが、脳萎縮は3年でも大きく変化が見られることから継続することで真価を発揮する。若いうちのベストの状態をログに残せるのは今のうちだけなので、若年層こそ一度は受けて欲しい」と強調した。そんな背景もあり、企業や病院施設だけではなく、若年層へのアプローチも大切にしていきたいと話した。その一方で、65歳を超える層にとっても、認知症発症の3~5年前から萎縮が急速に進む傾向が多くの研究で報告されていることから、1~2年に一度の測定を推奨している。 今後の展望として、主に医療機関に本システムを提供し、健診受診者のオプションを想定している。この一次予防のための撮影は通常の脳ドックに組み込まれているものを使用するため、受診者にも医療者にも負担が少ない。検査実績の目標受診者数は「23年5月までに月間3,000~4,000人、年間4万~5万人」を目指し、全国への普及のために「1~2年でまずは首都圏から地方中核都市を中心に全国で受診できる基盤づくりを達成したい」と同氏は意気込みを語った。

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頭痛患者におけるドライアイのリスク~メタ解析

 中国・大連医科大学のShuyi Liu氏らは、頭痛がドライアイのリスクに影響を及ぼすかどうか明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、頭痛はドライアイの独立したリスク因子であることが示唆され、とくに片頭痛患者においては頭痛とドライアイのリスクに強い関連が認められた。Annals of Medicine誌2022年12月号の報告。 PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASEのデータベースより、関連文献の検索を行った。すべての原因による頭痛に対するドライアイのオッズ比(OR)を算出するため、ソフトウェアStataを用いた。異質性の因子の調査には、サブグループ解析と感度分析を実施した。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。 主な結果は以下のとおり。・11件の研究(コホート研究:1件、ケースコントロール研究:4件、横断的研究:6件)より357万5,957例をメタ解析に含めた。・プール分析では、すべての原因による頭痛は、ドライアイのリスクの高さと関連していることが認められた(OR:1.586、95%信頼区間[CI]:1.409~1.785、I2=89.3%、p<0.001)。・頭痛のサブタイプ別においても、各頭痛タイプはドライアイのリスクの高さと関連していた。 ●片頭痛(OR:1.503、95%CI:1.369~1.650、I2=81.8%、p<0.001) ●緊張型頭痛(OR:1.610、95%CI:1.585~1.635、p<0.001) ●群発頭痛(OR:2.120、95%CI:1.104~4.073、p=0.024)・ケースコントロール研究におけるドライアイのリスクは、横断的研究およびコホート研究における同リスクよりもわずかに高かった。 ●ケースコントロール研究(OR:1.707、95%CI:1.291~2.258、I2=85.0%、p<0.001) ●横断的研究(OR:1.600、95%CI:1.590~1.610、I2=0.0%、p<0.001) ●コホート研究(OR:1.440、95%CI:1.096~1.893、p=0.009)・地域別のサブグループ解析では、米国、欧州、アジア、オセアニアにおけるすべての原因による頭痛は、ドライアイのリスクの高さと関連が認められた。

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英語で「湿布」は?【1分★医療英語】第55回

第55回 英語で「湿布」は?I twisted my ankle.(足をくじいてしまいました)Place this patch on the painful area.(痛むところに、この湿布を貼ってください)《例文1》Apply the patch to a clean, dry, and hairless skin area.(清潔で乾いた毛の少ない部分に湿布を貼ってください)《例文2》Remove the patch after 24 hours and choose a difference place to apply the new patch.(24時間したらパッチを取り外し、別の場所に新しいパッチを貼ってください)《解説》「湿布(貼付剤)」は“patch”(または“transdermal patch”:経皮貼付剤)といいます。日本語でも「パッチ剤」と呼ぶこともありますよね。冷湿布や温湿布を指す場合には“cold compress / hot compress”と表現します。冷または温のジェル状のものを“compress”(当てる=圧縮する、押し付ける)する、というわけで、こちらは薬剤が入っていない場合がほとんどです。アルツハイマー型認知症の経皮吸収型製薬である“rivastigmine”(リバスチグミン)パッチなどの場合には、前のものを剥がし忘れたまま複数のパッチを貼ってしまうことのないよう、《例文2》のようにパッチを取り外すことの説明を加えるとよいでしょう。また、合成オピオイドである“fentanyl transdermal patch”(フェンタニルパッチ)を誤ってペットや子供が触ってしまう事故を避けるために、“Promptly dispose of used patches by folding them in half with the sticky sides together.”(使用後のパッチは、粘着面を内側にして半分に折り、即座に処分してください)と伝えることも大切です。講師紹介

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アルツハイマー病治療薬の今【コロナ時代の認知症診療】第21回

アリセプトの市販後臨床試験結果からみえてくること認知症の原因疾患は、70以上もあるといわれる。治療法はそれぞれの原因ごとに違うが、今のところ治療薬の適応は、数が一番多いアルツハイマー病が基本となっている。実際、現在流通している治療薬の4つはすべてアルツハイマー病が対象である。例外的にドネペジル(商品名:アリセプト)のみは、レビー小体型認知症も適応疾患だった。ところが、この10月の厚生労働省の発表により(令和4年10月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)、本症の承認条件だった市販後臨床試験で「主要評価項目が未達」と報告された。その結果、認知症専門医らが必要と判断した患者に使用すること等を添付文書に追記を求めることになった。「投与開始12週間後までを目安」に認知機能検査や聞き取りによって有効性評価を行い、効果が判断できなければ「投与を中止」すること、投与継続を決めても定期的な継続可否の判断を求め、さらに「認知症治療に精通」した医師が使うよう注意喚起をしたのである。なお経験的に幻視や錐体外路徴候もある本症にはこの薬が効くといわれてきたが、この発表でもそれが統計学的に示されている。要は、いったんは適応となった薬剤でもなかなか甘くはないといえる。aducanumabとlecanemab、結果の違いをどうみるかさて今日アルツハイマー病の根本治療薬として、開発にしのぎが削られる新薬の主流標的は病気の原因と目されているアミロイドβ(Aβ)、タウ、炎症や免疫に関わる薬などに分類できる。その中でも主流はアミロイドβに関連する抗アミロイドβモノクローナル抗体と呼ばれるものである。これまでこの種の新薬として10種類以上により治験がなされてきた。結果概要は、「原因物質と目されるアミロイドβを脳から除去できる。しかし記憶など認知機能への効果は微妙。副作用として脳血管の出血や浮腫みが30%程度出現する」とまとめられる。確かにこの成績では期待の根本治療薬というわけにはいかない。つい最近まで最も優秀とされたaducanumabが、2011年12月に日本で承認されなかったことには3つの理由がある。まず2つの大きな治験をやっているのだが、その治験の結果が両者で一致しないことがある。次にアミロイドβの脳からの除去と認知機能改善の関係性が説明できないこと。さらに少なからぬ例で脳血管の出血や浮腫が見られたことである。これに対して、lecanemabでは2022年9月に主要評価項目とすべての重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果が得られたと報告された。主要評価項目スコアの平均変化量は、本剤投与群がプラセボ投与群と比較して-0.45、27%という統計学的に有意な悪化抑制を示したのである。また副次評価項目としての脳内アミロイド蓄積は減少した。他の認知機能テストや日常生活動作などについても統計学的に有意な結果を得たのである。また副作用としての脳血管の出血や浮腫みはaducanumabより低い発現率であった。以上の結果を踏まえてlecanemabは、2022年度中に米国ならびに日本、欧州において承認申請を目指すとされる。なお本剤のメカニズムのポイントは、Aβの少数集合体であるオリゴマー(あるいは凝集体:プロトフィブリル)をターゲットにしていることだ。神経細胞に害を与えるのは出来上がったAβの塊である老人斑ではない。Aβの集合状態には単一のモノマーから少数のオリゴマー、さらには線維化Aβまで段階があるが、神経毒性の強さから最も注目されるのはオリゴマーあるいはプロトフィブリルなのである。lecanemabは承認されるか?承認されるかどうかは、3つの問題点に対してこの薬がどこまで答えられるか、またそれが納得できるかという評価にかかっていると筆者は考える。いずれにせよ今度こそ合格するのではないかと熱い視線が世界中から向けられている。けれども難しい問題がある。まず費用の問題。前回aducanumabの時に、年間600万円の薬価だと言われた。日本人は身体が小さいので、400万程度ではないかという試算もあるようだが、いずれにしても高価である。今回どれくらいの薬価になるのかまだ発表はないようだが、そう安くなるとは思えない。もっと大切なのは保険収載だろう。これがあるからこそ、日本国民は、比較的安価に医療サービスが受けられる。逆にこうした高価な薬で収載がなされないとその恩恵に預かることはそう簡単ではない。よく知られているように新規医薬品や医療技術の保険収載等に際しては、費用対効果や財政影響などの経済性評価や保険外併用療養の活用などが検討される1)。冒頭に述べたアリセプトとレビー小体型認知症の関係ではないが、これはかなり厳しいものといえる。ましてこの新薬について、アルツハイマー病の患者さんの総数、費用対効果などを考えた時に簡単に収載になると考えにくいところがある。参考1)厚生労働省保険局.新規医薬品等の保険収載の考え方について(平成30年10月10日)

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日本人アルツハイマー病に対する抗認知症薬の継続性

 アルツハイマー病(AD)の症状に対する治療には、ドネペジルが用いられることが多いが、早期の治療中断も少なくない。ドネペジル治療開始後の抗認知症薬使用の継続率を明らかにすることは、今後の治療戦略の開発および改善に役立つ可能性があるものの、これらに関する日本からのエビデンスはほとんどなかった。九州大学の福田 治久氏らは、日本人AD患者におけるドネペジル開始後の抗認知症薬の継続率を明らかにするため、保険請求データベースを用いて検討を行った。その結果、日本人AD患者における抗認知症薬の継続率は、他国と同様に低いことが明らかとなった。著者らは、長期介護が必要な患者で治療中断リスクが高く、AD患者の薬物治療継続率を改善するためには、さらなる対策が求められると報告している。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年10月1日号の報告。 17の自治体より2014年4月~2021年10月にドネペジルを新規で処方されたAD患者に関する保険請求データを収集した。抗認知症薬の継続性は、ドネペジル最終処方後60日以内にドネペジル、他のコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチンを処方された場合と定義した。要介護レベルと治療中断との関連を分析するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、AD患者2万474例(平均年齢:82.2±6.3歳、女性の割合:65.7%)。・抗認知症薬の継続率は、開始後30日で89.1%、90日で79.4%、180日で72.6%、360日で64.5%、540日で58.3%であった。・要介護度別における治療中断のハザード比は、介助が必要な患者で1.01(95%信頼区間[CI]:0.94~1.07)、長期介護の必要性が低度の患者で1.12(95%CI:1.06~1.18)、長期介護の必要性が中程度~高度の患者で1.31(95%CI:1.21~1.40)であった。

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認知症における抗精神病薬処方を合理化するための介入

 認知症介護施設の入居者に対する不適切な抗精神病薬投与は問題となっている。この問題に対処するため、施設スタッフの教育やトレーニング、アカデミック・ディテーリング、新たな入居者評価ツールで構成された「認知症に対する抗精神病薬処方の合理化(RAPID:Rationalising Antipsychotic Prescribing in Dementia)」による複合介入が開発された。アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・コークのKieran A. Walsh氏らは、認知症介護施設の環境下におけるRAPID複合介入の利用可能性および受容性を評価するため、本研究を実施した。また、向精神薬の処方、転倒、行動症状に関連する傾向についても併せて評価した。その結果、RAPID複合介入は広く利用可能であり、関係者の受容性も良好である可能性が示唆された。著者らは、今後の大規模研究で評価する前に、実装改善のためのプロトコール変更やさらなる調査が必要であるとしている。Exploratory Research in Clinical and Social Pharmacy誌2022年10月10日号の報告。 2017年7月~2018年1月にアイルランドの大規模介護施設において、混合法による利用可能性介入研究を実施した。介護施設のスタッフおよび一般開業医によるフォーカスグループと半構造化インタビューを3ヵ月のフォローアップ期間終了後に実施し、参加者を評価した。定量測定には、介入前後の評価および向精神薬の処方率を含めた。 主な結果は以下のとおり。・2日間のトレーニング研修に介護施設スタッフ16人が参加し(参加率:21%)、一般開業医4人がアカデミック・ディテーリングセッションに参加した(参加率:100%)。・フォーカスグループとインタビューに参加した18人は、教育およびトレーニングが自身の業務に有益であると認識し、本調査完了後も新規スタッフの教育を継続したいと回答した。・しかし、施設入居者評価ツールの使用は限定的であった。・参加者からは、介入を強化するための推奨事項も挙げられた。・定期的な抗精神病薬の処方が行われていた認知症入居者の割合は、介入前3ヵ月間45%(18例)、ベースライン時44%(19例)であったが、介入3ヵ月後では36%(14例)とわずかな減少が認められた。・認知症入居者に投与される1ヵ月当たりの向精神薬頓服処方の絶対数は、ベースライン時の90から介入3ヵ月後の69へと大幅に減少した。

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ラブリズマブ、視神経脊髄炎スペクトラム障害患者で73週間再発ゼロを達成/アレクシオン

 アレクシオンは、2022年11月2日付のプレスリリースで、第III相CHAMPION-NMOSD試験において、ラブリズマブを投与された抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム障害(以下、NMOSD)成人患者群が、外部対照であるエクリズマブのPREVENT試験のプラセボ群と比較して、再発リスクが有意に低いことが示されたことを2022年欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)会議で発表されたと報告した。 CHAMPION-NMOSD試験は、成人患者(58例)を対象としてラブリズマブの安全性および有効性を評価する非盲検第III相多施設国際共同試験である。NMOSDの再発は長期的な機能障害をもたらす可能性があり、またすでに有効な治療選択肢が存在していたため、本試験では倫理的理由からプラセボ対照群が設定されず、ラブリズマブ投与群は、外部対照としてエクリズマブのPREVENT試験のプラセボ群と比較された。本試験の主要評価項目は、独立評価委員会により判定された初回の治験中再発までの期間と設定されており、ラブリズマブを投与された患者は全員、73週(中央値)にわたる治療期間を再発と判定されることなく経過した(再発リスク低下率:98.6%、ハザード比:0.014[95%信頼区間[CI]:0.000~0.103]、p<0.0001)。48週時点の無再発率は、外部対照のプラセボ群では63%であったのに対し、ラブリズマブ群では100%であった。また本試験では、独立評価委員会により判定された治験中再発の年間再発率(判定された再発数の合計を患者年数の合計で割った値)や、Hauser Ambulation Index(可動性の評価尺度)で測定された可動性(歩行機能)のベースラインからの臨床的に重要な悪化などの副次評価項目も達成された。 全体として、ラブリズマブの安全性および忍容性は、これまでの臨床試験や実臨床下での使用時の結果と一致しており、新たな安全性の懸念は認められなかった。最もよく見られた(患者の10%以上)有害事象(AE)は、COVID-19(24%)、頭痛(24%)、背部痛(12%)、関節痛(10%)、尿路感染(10%)であった。COVID-19 症例はすべて非重篤であり、ラブリズマブとは無関係と見なされている。髄膜炎菌感染症が2例報告されたが、2例とも後遺症なく完治し、1例は試験を継続している。56例の患者が、延長投与期に移行し、現在も治療を継続している。 NMOSDは希少疾患であり、脊髄や視神経などの中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患である。ほぼすべてのNMOSD患者が神経症状の新規出現や悪化などを引き起こす再発を繰り返し経験し、各再発は重度かつ予測不能で、障害が一生残ることもある。 CHAMPION-NMOSD試験の主任治験責任医師であるSean J. Pittock氏は「CHAMPION-NMOSD試験では、73週間(中央値)の治療期間にわたって再発が見られなかった。これは、ラブリズマブの8週間ごとの投与によって再発リスクが持続的に低下しうることを示しているとともに、NMOSDの治療におけるC5補体阻害の有効性を強調するものだ」と述べた。また、NMOSDを対象とした Guthy-Jackson Charitable Foundationのメディカルアドバイザーの座長でもあるMichael Yeaman氏は、「近年、抗AQP4抗体陽性のNMOSD患者に安全かつ有効な治療を提供する活動において、有意義な進展が見られている。この希少疾患は、可動性、視力、筋力、平衡機能など、日常生活のあらゆる面で妨げとなる可能性があるが、患者やその家族と日々接する中で得られる知見に基づき、革新的な研究や臨床試験を続けることで、個々のニーズや生活習慣に合った新たな治療の選択肢を発展させ、患者を力付けることができる」と述べた。アレクシオンのシニア・バイスプレジデントであり、開発・安全性部門長であるGianluca Pirozziは、「CHAMPION-NMOSD試験は、希少疾患を対象とした科学的に厳密で臨床的にも意義ある臨床試験のデザイン、および実施に必要なイノベーションを達成した注目すべき実例となる。本試験では、患者の声を聞き、保健当局と連携しながら、患者のニーズを第一に考え、患者にとって最も重要な指標を評価した。今回得られた有意義な結果に加え、ラブリズマブがNMOSDのコミュニティのために治療を向上させうることを大変喜ばしく思う」と語った。

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