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ゾルピデムとBZDの使用が認知症リスク増加と関連〜メタ解析

 ガンマアミノ酪酸(GABA)系は、認知機能や記憶プロセスに関連していることが知られている。そして、GABAA受容体およびその他の関連経路の活動は、βアミロイドペプチド(Aβ)の蓄積に影響を及ぼす。そのため、GABAA受容体に影響を及ぼす薬剤の使用とアルツハイマー病および認知症の発症リスクとの関連を調査する研究が進められてきた。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのKimia Vakili氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)、ゾルピデム、トリアゾラム、麻酔薬に焦点を当て、GABAA受容体に影響を及ぼす薬剤とアルツハイマー病および認知症リスクとの関連を明らかにするため、文献レビューおよびメタ解析を実施した。Molecular Neurobiology誌オンライン版2025年3月20日号の報告。 2024年5月までに公表されたアルツハイマー病、認知症、GABAA受容体作動薬に関するすべての英語文献をメタ解析に含めた。対象文献は、PubMed、Scopusデータベースより検索した。抽出されたデータの分析には、Stata 14.2を用いた。異質性の評価には、Q統計およびI2指数を用いた。出版バイアスの検出には、Egger検定とファンネルプロットを用いた。 主な内容は以下のとおり。・19文献(ケースコントロール研究10件、コホート研究9件)、295万3,980例をメタ解析に含めた。・GABA受容体作動薬の使用と認知症(リスク比[RR]:1.15、95%信頼区間[CI]:1.02〜1.29、I2=87.6%)およびアルツハイマー病(RR:1.21、95%CI:1.04〜1.40、I2=97.6%)の発症との間に、統計学的に有意な関係が認められた。・薬物ベースのサブグループでは、ゾルピデム使用とアルツハイマー病および認知症発症率の増加との関連が認められた(RR:1.28、95%CI:1.08〜1.52、I2=24.3%)。これは、BZD使用と同様であった(RR:1.11、95%CI:1.04〜1.18、I2=87.2%)。・メタ回帰分析では、フォローアップ期間の範囲は研究全体で5〜11年であり、異質性と有意に関連していることが示唆された(p=0.036)。 著者らは「ゾルピデムおよびBZDの使用は、認知症およびアルツハイマー病のリスク増加と関連していることが示唆された」としている。

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熱中症の重症度が尿でわかる?

 昨年、5~9月に熱中症で搬送される人の数は過去最多を記録した。熱中症の重症度は、搬送先施設で血液検査により評価される。しかし、尿中の肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)も熱中症の重症度と相関するという研究結果が報告された。L-FABPは熱中症の生理学的重症度や予後を予測するツールになり得るという。日本医科大学救急医学教室の横堀將司氏、関西医科大学総合医療センター救急医学科の島崎淳也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月12日掲載された。 熱中症は、高温多湿環境下で体内の水分・塩分量のバランスが崩れ、体温調節機能や循環機能が破綻して発症する。熱中症に対する適切な介入と転帰の改善には重症度の迅速な評価が不可欠だが、救急外来(ER)であっても、血液検査では結果の確認に長い時間がかかる。このような背景から、熱中症の重症度の判断には、よりアクセスしやすい簡易迅速検査の開発が待たれていた。 L-FABPは、脱水による腎虚血性機能障害を反映する有望なバイオマーカーだ。近年、医療用検査キットにより、短時間でのL-FABP測定が可能になった。重度の熱中症では内臓の血流低下による虚血が伴うことから、研究グループは、その重症度を予測する指標としてこのL-FABPが適用できると考え、L-FABPの検査キットを用いた多施設の前向きコホート研究を行った。 研究には全国の三次救急医療センター10施設が参加し、2019~2021年の夏季に日本救急医学会の熱中症基準に従って「重症」と診断された、18歳以上の患者78名が組み入れられた。敗血症または感染症の疑われる患者は除外した。ERに搬送された78名の熱中症患者は、意識を取り戻す前に採血・採尿が行われた。血清サンプルは臨床検査値の測定に用いられ、多臓器不全評価(SOFA)スコア(0~24でスコアが高いほど重症度が高い)が決定された。尿サンプルは、検査キットを使用し半定性的なL-FABPの測定に用いられた。患者の転帰については、mRSスコア(0~6でスコアが高いほど予後が悪い)が用いられ、退院時、発症1カ月、発症3カ月で計測が実施された。 組み入れ時の患者の年齢は中央値で76歳、SOFAスコアは5.0(四分位範囲 IQR3.0~9.0)だった。患者はL-FABPの濃度に応じて、陰性群(N群;L-FABP<12.5ng/mL)、陽性群(P群;L-FABP≧12.5ng/mL)の2群に分けられた。 初期SOFAスコアはN群で4.0(2.0~7.0)、P群で6.0(4.0~9.3)であり、尿中L-FABP濃度が高かった群では初期SOFAスコアも高くなっていた(U検定、P=0.013)。退院時の転帰については、良好な転帰を示すmRS(0~2)の割合が、N群で62.1%、P群で38.8%であり、N群で有意に良好な転帰を示した(P=0.046)。発症後3カ月後には両群には有意な差は認められなかった(P=0.227)。なお、ROC解析により長期的な転帰を予測するためのカットオフ値は28.6ng/mL(AUC=0.732)と決定された。また、尿中L-FABP濃度と、脈拍数(r=0.300)および乳酸値(r=0.259)の間には弱い正の相関が認められた(各P<0.01)。 研究グループは、本研究について、「L-FABPの検査キットは、熱中症の重症度を予測するとともに、患者の転帰を反映するツールであることが示唆された。この検査キットは保険収載されており、侵襲性が低いことから、その有用性は高いのではないか」と述べた。また、想定される運用方法については、「搬送前に検査結果を特定することで、患者を三次救急医療センターに搬送するか否かの決定をタイムリーに行うことができるようになるだろう」と言及した。 本研究の限界点については、重症の症例に限定したこと、サンプルサイズ、高齢者が多かったことから一般化できない点などを挙げている。

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2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究

 フレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与した場合の長期的なアドヒアランスや有効性に関するリアルワールドデータは、依然として不足している。静岡赤十字病院の吉田 昌平氏らは、反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)に対する2年にわたるフレマネズマブ675mgの有効性およびアドヒアランスを評価し、治療中止理由の分析を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年3月11日号の報告。 対象は、静岡赤十字病院の頭痛センターに通院している患者のうち、2021年11月〜2022年6月にフレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与する治療を行った15歳以上の患者。頭痛の頻度および重症度は、頭痛日誌を用いて記録した。観察期間は、治療開始後24ヵ月間までとした。治療中止理由は、フォローアップ時のカルテ記録より収集した。 主な結果は以下のとおり。・登録患者数は28例。内訳は、CM患者15例、EM患者13例。・CM患者のうち1例は、初回投与後に治療を中止したため除外した。・評価対象患者27例のうち、フレマネズマブ675mg治療が有効であった患者の割合は、70.4%(19例)であった。・観察期間終了までフレマネズマブ675mg治療を継続した患者の割合は44.4%(12例)。・2年間フレマネズマブ治療を継続した患者のうち、毎月頭痛カレンダーを更新していた患者は7例(CM患者:2例、EM患者:5例)。・ベースラインからの1ヵ月当たりの片頭痛日数の平均変化は、3ヵ月で−2.2、12ヵ月で−1.8、2年で−1.6±3.0であった。・25.9%(7例)の患者は、継続的な改善が認められたため、治療中止が可能であった。・効果不十分で治療中止に至った患者の割合は22.2%(6例)。・注射部位反応のため治療を中止した患者は1例(3.7%)のみ。・1例(3.7%)は、妊娠のため治療を中止した。・治療反応が不十分であった患者のうち3例は、フレマネズマブからエレヌマブに切り替えを行った。その後1例は、エレヌマブの効果が減弱し、フレマネズマブ4週間に1回225mg皮下投与に変更された。・2例は、ガルカネズマブへ切り替えられた。・すべての切り替え患者は、その効果により切り替えた薬剤で治療が継続された。・1例は、フォローアップ調査から脱落した。 著者らは「フレマネズマブ12週間に1回675mg皮下投与は、長期にわたり頭痛の頻度を効果的に減少させ、大幅な回復が認められた患者では、治療中止が容易になる可能性が示された」と結論付けている。

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再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM

 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)患者において、tolebrutinibによる治療はプラセボと比較し障害進行のリスクが低いことを、米国・クリーブランドクリニックのRobert J. Fox氏らHERCULES Trial Groupが、第III相二重盲検プラセボ対照試験「HERCULES試験」の結果で報告した。多発性硬化症(MS)では、経過中に徐々に神経学的症状の進行が生じることがあり、これは障害蓄積(disability accrual)と呼ばれている。現在のMSに対する疾患修飾療法は、再発とは関係のない障害蓄積に対する効果は限られており、その原因の一部は中枢神経系内での慢性、治療抵抗性の神経炎症にあると考えられている。tolebrutinibは、中枢移行性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬で、末梢および中枢神経系の両方の骨髄細胞(ミクログリアを含む)とB細胞を標的としている。これまで、再発を伴わないSPMSに対して承認された治療法はなかった。NEJM誌オンライン版2025年4月8日号掲載の報告。6ヵ月以上持続する障害進行をtolebrutinibとプラセボで比較 研究グループは、過去24ヵ月間に臨床的な再発がなく、過去12ヵ月間に神経学的症状進行の所見がみられ、総合障害度評価尺度(EDSS)(範囲:0~10.0、スコアが高いほど障害度合いが大きい)が3.0~6.5の18~60歳の再発を伴わないSPMS患者を、tolebrutinib群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回60mgを経口投与した。 主要エンドポイントは、6ヵ月以上持続する障害進行(EDSSスコアがベースラインから1.0以上増加[ベースラインスコアが5.0以下の場合]または0.5以上増加[ベースラインスコアが5.0超の場合]と定義)で、ITT解析を行った。tolebrutinib群で障害進行のリスクが低い 2020年10月23日~2023年1月12日に、計1,131例が無作為化された(tolebrutinib群754例、プラセボ群377例)。 追跡期間中央値133週間において、6ヵ月以上持続する障害進行が確認された患者の割合は、tolebrutinib群で22.6%、プラセボ群で30.7%であり、tolebrutinib群で有意に低かった(ハザード比:0.69、95%信頼区間:0.55~0.88、p=0.003)。 重篤な有害事象は、tolebrutinib群で15.0%、プラセボ群で10.4%に発現した。主なものは、tolebrutinib群ではCOVID-19肺炎、多発性硬化症の再発、COVID-19、肺炎、プラセボ群では肺炎と尿路性敗血症であった。死亡率は両群で同程度であった。 また、tolebrutinib群で4.0%、プラセボ群で1.6%の患者で、ALT値の正常範囲上限の3倍を超える上昇が認められた。

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遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か

 最先端のアルツハイマー病治療薬が、実際にその進行を防ぐ可能性のあることが、小規模な研究で示された。脳内でアミロイドβ(Aβ)が過剰に産生される遺伝的変異を持ち、将来、アルツハイマー病を発症することがほぼ確実とされる試験参加者に、脳からAβを除去する抗Aβ IgG1モノクローナル抗体のガンテネルマブ(gantenerumab)を投与したところ、投与期間が最も長かった参加者ではアルツハイマー病の発症リスクが50%低下したことが示されたという。米ワシントン大学医学部のRandall Bateman氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Neurology」4月号に掲載された。 ガンテネルマブは元々、同じく抗Aβ抗体薬のソラネズマブ(solanezumab)とともに、2012年に開始された臨床試験(The Knight Family DIAN-TU-001、以下、DIAN-TU)において、優性遺伝性アルツハイマー病(DIAD)の発症予防や進行遅延に対する効果が検討されていた。対象は、DIAD発症予測年齢の15年前から10年後の間にある、無症状または認知機能の軽微な低下が認められるDIAD変異キャリアだった。 2020年の試験終了時点では、ガンテネルマブの認知機能低下に対する抑制効果については十分なエビデンスが得られなかったものの、Aβレベルの低下が確認されたことから、DIAN-TU試験参加者を対象に、オープンラベル継続投与試験(OLE試験)が実施されることになった。しかし2022年11月、ロシュ/ジェネンテック社は、ガンテネルマブに関する別の臨床試験において期待されていた結果が得られなかったことを理由に同薬の開発中止を決定した。これを受け、当初3年間の予定で開始されたOLE試験も、予定より早い2023年半ばに打ち切られた。OLE試験では、試験参加者は平均2.6年にわたる治療を受けた。 本研究結果は、このOLE試験の解析結果である。OLE試験には、2020年6月3日から2021年4月22日の間に18施設から73人が登録され、全員がガンテネルマブによる治療を受けた。試験の途中で13人が有害事象や疾患の進行により離脱し、47人(64%)が試験終了に伴い治療を中止した。最終的に、3年間の治療を完了したのは13人だった。 中間解析からは、ガンテネルマブによる治療期間が最も長かった22人では、認知症の重症度を評価する臨床認知症評価尺度の合計点(CDR-SB)の低下リスクが約50%低下する可能性のあることが示唆された(ハザード比0.53、95%信頼区間0.27〜1.03)。この結果は、アルツハイマー病の症状が現れる前にガンテネルマブにより脳からAβを除去することで、発症を遅らせられる可能性があることを意味する。しかし、DIAN-TUまたはOLE試験のどちらかでのみガンテネルマブによる治療を受けた53人では、認知機能低下に対するガンテネルマブの抑制効果は確認されなかった(同0.79、0.47〜1.32)。 Bateman氏は、「これはアルツハイマー病の遺伝リスクがある人の発症を予防できる可能性を示す最初の臨床的エビデンスとなり得る、大いに期待を持てる結果だ。近い将来、何百万人もの人々のアルツハイマー病の発症を遅らせることが可能になるかもしれない」と話している。また、米アルツハイマー病協会の最高科学責任者であるMaria Carrillo氏も、「これらの興味深い予備的研究の結果は、Aβレベルを下げることがアルツハイマー病の予防に果たす潜在的な役割を非常に明確に示唆している」とワシントン大学のニュースリリースの中で述べている。 ただし、抗Aβ抗体薬は高価であり、副作用のリスクも伴う。この小規模試験での脳浮腫の発生率は30%と、最初の臨床試験での発生率(19%)と比べて1.3倍に増加していた。

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第8回 「スマホ習慣」が脳を救う?意外な研究結果

スマートフォンやパソコン、インターネットといった技術の普及に伴い、「生涯を通じたテクノロジーの利用が脳の機能を低下させるのではないか?」という「デジタル認知症仮説」と呼ばれる仮説が提唱されてきました。テクノロジーに依存することで、頭を使わなくなり、認知症リスクが高まるのではないかということが懸念されてきたのです。テクノロジー利用が認知症リスク低下と関連しかし、そんな懸念を覆すかもしれない研究結果が最近になり報告され、CNNなどのニュースでも報じられました1)。テキサス州2大学の研究チームがメタ分析という手法を用いて、テクノロジー利用と認知症リスクの関連について解析を行なった結果がNature Human Behavior誌に発表されたのです2)。この研究の中で、これまでに行われた研究57件(合計41万1,430人)のデータをレビューしたところ、スマホやパソコンなどのテクノロジー利用者は非利用者に比べ、認知障害(軽度認知障害や認知症の診断、認知機能テストにおける低スコア)のリスクが平均42%低いことと関連することが明らかになったのです。なお、対象とされた研究には、平均6年間観察した追跡研究20件が含まれ、参加者の平均年齢は68歳でした。また、教育水準や収入、さまざまなライフスタイルなどを調整してもこの関連は認められており、これらの違いによる結果ではないことが確認されています。すべての「スマホ利用」に当てはまるわけではないただし、この研究にも当然限界はあります。その1つは、この研究で、テクノロジーをどのような形で利用していたかの詳細が加味されていないことです。このため、研究結果がなんでもかんでもテクノロジー利用と認知機能との関連を保証するものではないといえます。当然、この結果は「無目的にスマホの画面をスクロールし続けること」を推奨するものではまったくありません。他の研究結果とも統合して考えると、テクノロジー利用がもし脳にプラスに働くとすれば、それは情報検索や文章作成、コミュニケーションなどの「能動的な活動」が認知予備力(cognitive reserve)を高める可能性が指摘できます。この「認知予備力」とは、脳が持つ情報処理や問題解決能力の「蓄え」のようなものです。知的な活動を通じて、この予備力を高めておくと、年を重ねてその「蓄え」を費やさなければならなくなっても脳の機能を維持しやすくなります。逆に、この予備力が十分にない場合には、蓄えがないため衰えのみが進んでしまい、将来的に認知症のリスクが高まる可能性があるということです。また、この研究の中ではソーシャルメディア単独の影響も見ていますが、その影響は研究間で一貫しませんでした。このため、一括りにスマホを使うといっても、ソーシャルメディアではうまくいかないのかもしれません。また、対象世代は「使い方を学ぶ努力」を必要とした世代であり、生まれた時からデジタル環境に囲まれた若年世代への研究結果の適用ができるかどうかはまた別問題です。目的を持った「適度な」デジタル活用を実用面に落とし込むと、高齢者自身がデバイス操作を学ぶ過程そのものが脳への刺激となる可能性もあります。仮に、すでに軽度認知障害がある人でも、トレーニングを通じて技術利用は十分可能であるといわれています。もしかすると、認知症予防や治療に役立つツールにもなりうるのかもしれません。いずれにせよ、「目的を持った適度なテクノロジー利用」が、おそらく最も有益なのでしょう。一方で、画面を見続けることで生じる目や首の疲労を感じるほど「過度に」使用する場合にはその有益性は失われ、むしろ損失のほうが大きくなることも懸念されます。結論として、適切なサポートのもとで高齢者がデジタルテクノロジーを日常生活に取り入れることは、認知機能低下に保護的に働く可能性があります。少なくとも、「デジタル認知症仮説」は、過度な利用がなければあまり心配する必要はないのかもしれません。しかし、どのようなものをどのような形で取り入れると真に効果が出るのかについては、今後も研究を続けていく必要があります。また、過度の利用による弊害についても、同時に評価を行っていく必要があるでしょう。 1) Rogers K. Technology use may be associated with a lower risk for dementia, study finds. CNN. April 14, 2025. 2) Benge JF, Scullin MK. A meta-analysis of technology use and cognitive aging. Nat Hum Behav. 2025 Apr 14. [Epub ahead of print]

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再発性多発性硬化症の再発抑制、tolebrutinib vs.teriflunomide/NEJM

 再発性多発性硬化症の患者において、tolebrutinibは年間再発率の低下に関してteriflunomideに対して優越性は示されなかった。カナダ・トロント大学のJiwon Oh氏らTolebrutinib Phase 3 GEMINI 1 and 2 Trial Groupが、2つの第III相二重盲検ダブルダミーイベント主導型試験「GEMINI 1試験」と「GEMINI 2試験」の結果を報告した。tolebrutinibは中枢移行性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬で、末梢性炎症および疾患関連のミクログリアおよびB細胞を含む中枢神経系の持続的な免疫活性を調節する。再発性多発性硬化症の治療における有効性および安全性の、さらなるデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2025年4月8日号掲載の報告。GEMINI 1試験、GEMINI 2試験で、年間再発率を評価 GEMINI 1試験は24ヵ国162施設で、GEMINI 2試験は25ヵ国155施設で参加者のスクリーニングを行った。McDonald診断基準2017により再発性多発性硬化症と診断され、総合障害度評価尺度(EDSS)スコア(範囲:0~10、高スコアほど障害進行を示す)が5.5以下、再発が過去1年以内に1回以上、過去2年以内に2回以上あったか、過去1年以内にT1強調MRIで検出されたガドリニウム増強脳病変が1つ以上あった18~55歳の患者を適格とした。 適格患者は、tolebrutinib 60mgを1日1回、食事とともに経口投与する群、またはteriflunomide 14mgを1日1回、食事とともに経口投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。各参加者には1日2錠が投与され、うち1錠は外見がtolebrutinibまたはteriflunomideと同一のプラセボが投与された。 主要エンドポイントは年間再発率であった。重要な副次エンドポイントは6ヵ月以上持続する障害進行で、2試験全体におけるtime-to-event解析で評価した。年間再発率の率比、GEMINI 1試験1.06(p=0.67)、GEMINI 2試験1.00(p=0.98) 2020年6月25日~2022年8月8日に、GEMINI 1試験では974例(tolebrutinib群486例、teriflunomide群488例)が無作為化され、GEMINI 2試験では899例(447例と452例)が無作為化された。 試験を完了したのは、GEMINI 1試験のtolebrutinib群84.2%、teriflunomide群85.0%、GEMINI 2試験はそれぞれ85.9%、83.6%で、追跡期間中央値は139週間であった。 両試験・両治療群の被験者特性は類似しており、GEMINI 1試験では、平均年齢はtolebrutinib群36.8±9.0歳、teriflunomide群36.6±9.4歳、女性被験者割合はそれぞれ68.7%と66.6%、EDSSスコアは両群ともに2.4±1.2、診断後期間は4.8±6.2年と4.6±6.0年などであった。 tolebrutinib群とteriflunomide群の年間再発率は、GEMINI 1試験では0.13と0.12(率比:1.06、95%信頼区間[CI]:0.81~1.39、p=0.67)、GEMINI 2試験では0.11と0.11(1.00、0.75~1.32、p=0.98)であった。 6ヵ月以上持続する障害進行を有した被験者の割合(2試験のプール解析)は、tolebrutinib群8.3%、teriflunomide群11.3%であった(ハザード比:0.71、95%CI:0.53~0.95、事前規定の階層的検証計画により正式な仮説検証は行われず、信頼区間の幅は多重検定に関して補正されていない)。 有害事象が発現した被験者割合は両治療群で類似していたが、軽度の出血が、tolebrutinib群のほうがteriflunomide群よりも高率であった(点状出血4.5%vs.0.3%、過多月経2.6%vs.1.0%)。

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第263回 パーキンソン病の幹細胞治療の2試験の結果がひとまず有望

パーキンソン病の幹細胞治療の2試験の結果がひとまず有望幹細胞から作った神経細胞によるパーキンソン病治療の2試験の待望の結果が、時を同じくして先週16日にNature誌に報告されました1-4)。それら試験の被験者はおよそ安全に経過観察の2年間を過ごすことができ、移植された神経細胞はパーキンソン病で失われるドーパミン生成/放出神経細胞(DA神経)に成り代わって十分長く存続してドーパミンを作りうると示唆されました。2つのチームがめいめい実施したそれらの試験はともに小規模で、主な目的は安全性の検討です。被験者数は2試験合わせて19例ばかりで、震えがはっきりと減った被験者もいますが、プラセボ群がないことなどもあって効果の判定には不十分で、より大規模な試験での検討が今後必要です5,6)。両試験で神経を作るのに使われた幹細胞はおよそ無限に増え続けることができ、心身を形成するあらゆる細胞に分化しうる特別な能力を有します。2試験で移植された神経細胞の起源は幹細胞ですが、その出所が異なります。一方では受精後の胚から得られるヒト胚性幹細胞(hES細胞)、もう一方では成人の体細胞から人工的に生み出される人工多能性幹細胞(iPS細胞)から神経細胞が作られました。パーキンソン病はDA神経が失われることによる進行性の神経病態で、振戦、こわばり、動作緩慢を引き起こします。残念ながら根治療法はなく、2050年までに世界のパーキンソン病患者数はおよそ2,500万例に達すると予想されています7)。失われたDA神経をそれに代わる細胞の移植で補充してパーキンソン病治療を目指す取り組みの先駆けの報告は1980年代にさかのぼります8)。試されたのはDA神経が豊富とされる胎児の中脳腹側の細胞のパーキンソン病患者への移植です。胎児由来細胞が移植された脳領域では幸いにしてドーパミンの量が回復し、運動機能の改善が長続きしました。それらの結果はパーキンソン病の細胞移植の治療効果を裏付けるものですが、胎児脳組織はそう簡単に手に入るものではありませんし、手に入ったとしてその質はまちまちかもしれません。それに倫理的な懸念もあります。そういう課題の解決手段の1つとして幹細胞からDA神経を大量に作る試みが始まり、しばらくすると世界の多くのチームがヒト幹細胞からDA神経を生み出せるようになりました。研究はさらに進んでパーキンソン病を模す動物への移植実験で症状や動作の改善効果が示されるようになり、2020年にはパーキンソン病患者の初のiPS細胞治療例が報告されるに至ります9)。その1例の患者には自身の皮膚細胞由来のiPS細胞を分化させて作った前駆DA神経が2017~18年に脳の左側と右側に2回に分けて移植されました10)。移植細胞の存続がPET写真で確認され、移植後18ヵ月と24ヵ月時点での患者の症状は安定か改善していました。実用に堪える細胞を作る技術は原料がiPS細胞とhES細胞の場合のどちらでもその後改善し、今や複数例を集めての臨床試験が実施されるようになっています。今回発表された2試験の1つはわが国の京都大学医学部附属病院で実施された第I/II相試験で、iPS細胞から作った前駆DA神経がパーキンソン病患者7例の脳の両側の被殻に移植されました。移植細胞が拒絶されないように免疫抑制薬が15ヵ月間投与されました。2年間(24ヵ月)の経過観察で幸いにも重篤な有害事象は生じておらず、効果検討対象の6例のうち4例は薬の効果がない状態での運動症状検査値(MDS-UPDRSパートIIIによるOFFスコア)の改善を示しました。もう1つはBayerの子会社のBlueRock Therapeutics社が米国とカナダで実施した第I相exPDite試験で、パーキンソン病患者12例が参加し、京都大学の試験とは違ってhES細胞由来の前駆DA神経が脳に移植されました。移植場所は被殻で、京都大学での試験と同じです。やはり免疫抑制薬が投与されました。投与期間は1年間です。exPDite試験の18ヵ月間の安全性経過は日本での試験と同様におよそ問題はなく、移植細胞と関連する有害事象は生じていません。MDS-UPDRSパートIIIによるOFFスコアは高用量群でより下がっており、18ヵ月時点ではもとに比べて平均23点低くて済んでいました。脳の写真を調べたところドーパミン生成の上昇が認められ、免疫抑制薬の使用停止後も含む18ヵ月間の観察期間のあいだ、少なくともいくらかの移植細胞は存続したようです5)。京都大学での試験でも同様にドーパミン生成の増加を示す結果が得られています。昨年2024年9月にBlueRock社はexPDite試験のさらに長い24ヵ月(2年間)の経過を速報しています11)。安全性は引き続き良好で、移植細胞と関連する有害事象はありませんでした。MDS-UPDRSパートIIIによるOFFスコアの低下もおよそ維持されており、高用量投与群は24週時点を22点低下で迎えています。BlueRock社の前駆DA神経はbemdaneprocelと名付けられて開発されており、exPDite試験での良好な結果を頼りに早くも本年前半、すなわちこの6月末までに第III相試験が始まる見込みです12)。 参考 1) Tabar V, et al. Nature. 2025 Apr 16. [Epub ahead of print] 2) Sawamoto N, et al. Nature. 2025 Apr 16. [Epub ahead of print] 3) 「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が示唆 / 京都大学医学部附属病院 4) Potential Treatment for Parkinson’s Using Investigational Cell Therapy Shows Early Promise / Memorial Sloan Kettering Cancer Center 5) ‘Big leap’ for Parkinson’s treatment: symptoms improve in stem-cell trials / Nature 6) Clinical trials test the safety of stem-cell therapy for Parkinson’s disease / Nature 7) Su D, et al. BMJ. 2025;388:e080952. 8) Lindvall O, et al. Arch Neurol. 1989;46:615-631. 9) Schweitzer JS, et al. N Engl J Med. 2020;382:1926-1932. 10) Novel Treatment Using Patient's Own Cells Opens New Possibilities to Treat Parkinson's Disease / PRNewswire 11) BlueRock Therapeutics’ Investigational Cell Therapy Bemdaneprocel for Parkinson’s Disease Shows Positive Data at 24-Months / BUSINESS WIRE. 12) BlueRock Therapeutics announces publication in Nature of 18-month data from Phase 1 clinical trial for bemdaneprocel, an investigational cell therapy for Parkinson’s disease / GlobeNewswire

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指の動きを測定することで認知症の重症度が評価可能な可能性あり

 藤田医科大学の鈴村 彰太氏らは、アルツハイマー病患者の手の指の動きと認知機能との関連を推定するため、本研究を実施した。Brain and Behavior誌2025年3月号の報告。 国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来でアルツハイマー病と診断された患者を対象に、15秒間の両手交互タップ課題を行い、手の指の動きを測定した。その後、アルツハイマー病の重症度により軽度または中等度に分類し、手の指の動きを比較した。両群間のパラメーターの比較には、マンホイットニーU検定およびエフェクトサイズを用い、算出されたp値をボンフェローニ法で補正した。手の指の動きと認知機能との関連を評価するため、スピアマン順位相関係数を用いた。認知機能は、ミニメンタルステート検査(MMSE)により評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者163例のデータを分析した。・重症度別の内訳は、軽度アルツハイマー病患者64例、中等度アルツハイマー病患者99例。・中等度群は、軽度群よりも指のタップ回数が少なく(p=0.005、r=0.22)、親指と人差し指でのタップ間隔が長かった(p=0.007、r=0.21)。・MMSEスコアと手の指の機能との相関は、タップ回数については弱い正の相関、タップ間隔の平均値については弱い負の相関が認められた。 著者らは「これらのパラメーターは、認知症の進行段階に伴う手の指の機能低下を反映しており、アルツハイマー病の重症度評価に役立つ可能性がある。さらに、これらの知見は、アルツハイマー病の重症度を評価するうえで、臨床的に有用であり、進行段階の分類精度向上につながる可能性がある」と結論付けている。

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双極症における片頭痛と関連する臨床的特徴

 双極症患者は、併存疾患を有していることが多く、片頭痛は最も一般的な併存疾患の1つであるといわれている。双極症における片頭痛の有病率に関する研究は増加しているが、関連する臨床的特徴、併存疾患、治療法は、いまだ十分に調査されておらず、一貫性も認められていない。フランス・ University of Clermont AuvergneのLudovic Samalin氏らは、成人双極症患者の大規模コホートを用いて、片頭痛に関連する臨床的特徴および併存疾患について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2025年6月15日号の報告。 対象は、FondaMental Advanced Centers of Expertiseに通院している双極症外来患者4,348例。社会人口統計学的および臨床的データは、標準化された手法を用いて収集した。片頭痛を含む医学的併存疾患の生涯診断は、自己報告、臨床医評価、病歴レビューに基づき行った。片頭痛と社会人口統計学的要因、臨床的特徴、併存疾患、薬剤との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・双極症患者における片頭痛の有病率は20%であり、双極症II型で29.1%、双極症I型で19.9%であった。・多変量解析により、片頭痛と関連している因子として、以下が特定された。【若年】オッズ比(OR):0.98、95%信頼区間(CI):0.97〜0.99【女性】OR:2.15、95%CI:1.56〜2.95【睡眠障害】OR:1.06、95%CI:1.02〜1.11【小児期のトラウマ】OR:1.01、95%CI:1.00〜1.02【高血圧】OR:1.88、95%CI:1.13〜3.15【乾癬】OR:1.61、95%CI:1.01〜2.56【喘息】OR:1.65、95%CI:1.02〜2.67【第2世代抗精神病薬使用率の低さ】OR:0.65、95%CI:0.48〜0.87 著者らは「片頭痛は双極症で頻繁にみられる併存疾患であり、とくに若年、女性、睡眠障害やトラウマ歴を有する患者では、臨床的負担が増大する。双極症患者の片頭痛を軽減するためにも、気分の安定、睡眠マネジメント、トラウマサポートなど統合的な治療アプローチが必要とされることが明らかとなった」と結論付けている。

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iPS細胞移植、パーキンソン病患者の脳内でドパミン産生を確認/京大

 京都大学医学部附属病院と京都大学iPS細胞研究所とが連携して実施した、パーキンソン病患者を対象に、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を脳内の被殻に両側移植する第I/II相臨床試験において、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞は生着し、ドパミンを産生することが確認され、腫瘍形成などの重篤な有害事象は認められなかった。本結果により、パーキンソン病に対する安全性と臨床的有益性が示唆された。本結果はNature誌オンライン版2025年4月16日号に掲載された。 パーキンソン病では、中脳黒質のドパミン神経細胞が減少し、それによって動作緩慢、筋強剛、静止時振戦を特徴とする運動症候群を発症する。薬物療法は、初期の段階では運動症状を効果的に緩和するが、長期経過により運動合併症や薬剤誘発性ジスキネジア(不随意運動)など対応が困難な問題が生じる。そのため、失われたドパミン神経細胞を補充する細胞治療が代替治療法として検討されてきた。欧米では、ヒト中絶胎児の脳を移植する治験が行われてきたが、倫理的問題や安定した供給の困難さが指摘されてきた。 京都大学iPS細胞研究所の高橋 淳氏らの研究グループは、これまでにヒトiPS細胞からドパミン神経細胞を誘導する方法を開発し、サルのパーキンソン病モデルにおいて脳内でドパミンを産生し、運動症状を改善することを確認してきた。 2018年8月より開始した本試験「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」では、50~69歳の7例のパーキンソン病患者を対象に、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を脳内の被殻に両側移植した。主要評価項目は安全性および有害事象の発生とし、副次評価項目は運動症状の変化およびドパミン産生として、24ヵ月にわたって観察した。3例の患者は低用量移植(片側半球当たり2.1~2.6×106個の細胞)を受け、4例の患者は高用量移植(片側半球当たり5.3~5.5×106個)を受けた。安全性の評価は7例、有効性の評価は1例がCOVID-19感染のため6例で行われた。 主な結果は以下のとおり。・重篤な有害事象は発生しなかった。軽度~中等度の有害事象は73件発生した。・治療上の調整が必要でない限り、患者の抗パーキンソン病治療薬の投与量は維持されたが、その結果ジスキネジアが増加した。・MRIによる評価では、移植組織の異常増殖は認められなかった。・国際パーキンソン病・運動障害学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)パートIIIによる評価において、OFFスコアの改善が6例中4例、ONスコアの改善が5例に認められた。6例全体の平均変化量は、OFFスコアが-9.5(-20.4%)、ONスコアが-4.3(-35.7%)であった。・ホーエン・ヤールの重症度分類では4例の患者が改善した。・18F-DOPA PETでは、被殻のドパミン取り込み(Ki値)が平均44.7%増加し、高用量移植群でより顕著に認められた。 本結果は、iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のパーキンソン病患者への移植が安全かつ有効である可能性を示した初の報告となる。著者らは「将来的には、細胞移植と遺伝子治療、薬物療法、リハビリテーションを組み合わせることで、有効性を高める戦略が考えられる。さらに、iPS細胞を用いた自家移植も有望な選択肢となる可能性がある」とまとめている。

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若年性認知症患者、過去30年間で2倍超

 若年性のアルツハイマー病やその他の認知症(EOAD)は、患者本人だけでなくその家族にも大きな負担をもたらす。しかし、EOADの世界的な負担は、これまで十分に調査されていなかった。中国・Jinan University First Affiliated HospitalのZenghui Zhang氏らは、1990〜2021年の世界の疾病負担(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors:GBD)2021研究のデータを用いて、EOADの世界、地域、各国の負担を評価するため、本研究を実施した。European Journal of Neurology誌2025年3月号の報告。 GBD2021のデータより、40〜64歳の成人データを抽出した。主要アウトカムは、EOADの年齢調整罹患率、発生率、死亡率、障害調整生存年(DALY)、21地域および204ヵ国における年平均変化率(AAPC)とした。 主な結果は以下のとおり。・2021年のEOAD症例数は775万件(95%不確実性区間[UI]:5.82〜10.08)に達しており、1990年の367万件(95%UI:2.75〜4.76)から2倍超の増加が認められた。・年齢調整罹患率は、1990年は10万人当たり341.2人(95%UI:255.89〜442.79)であったが、2021年には363.5人へ増加しており、AAPCは0.26%であった(p<0.001)。・2021年のEOAD有病率は、女性(428万人、95%UI:3.24〜5.56)のほうが男性(346万人、95%UI:2.57〜4.52)よりも高かった。・2021年におけるEOADの死亡者数は0.07万人(95%UI:0.01〜0.23)、377万人(95%UI:1.69〜8.88)DALYであった。・さらに、106万人DALYは、喫煙、空腹時血糖値の上昇、高BMIに起因していた。 著者らは「40〜64歳におけるEOADの世界における症例数は、1990年から2021年にかけて、2倍超に増加している。この問題に対処するためにも、ターゲットを絞った戦略および介入が早急に求められる」と結論付けている。

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週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」【最新!DI情報】第37回

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」今回は、持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤「リバスチグミン(商品名:リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg、製造販売元:東和薬品)」を紹介します。本剤は、わが国初の持続放出性のアルツハイマー型認知症の貼付薬であり、介護者の負担軽減やアドヒアランスの改善が期待されています。<効能・効果>軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはリバスチグミンとして1回25.92mgから開始し、原則として4週後に維持量である1回51.84mgに増量します。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付します。原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替えます。なお、貼付期間は4日間を超えないようにし、週2回行う本剤の貼り替えのタイミング(曜日)は原則固定します。<安全性>重大な副作用として、QT延長(1%未満)、狭心症、心筋梗塞、徐脈、房室ブロック、洞不全症候群、脳卒中、痙攣発作、食道破裂を伴う重度の嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸出血、肝炎、失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用は、接触性皮膚炎、適用部位紅斑、適用部位そう痒感(5%以上)、食欲減退、期外収縮、悪心、嘔吐、適用部位浮腫、適用部位皮膚炎、適用部位発疹、適用部位水疱、適用部位腫脹、体重減少(1~5%未満)、貧血、不眠症、幻視、易怒性、不整脈、心房粗動、高血圧、腹痛、蕁麻疹、適用部位皮膚剥脱、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、しゃっくり、耳鳴(1%未満)、尿路感染、好酸球増加症、糖尿病、血尿、疲労、肝機能検査異常など(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を遅らせる薬です。2.この薬は、皮膚から有効成分が吸収される貼り薬(パッチ剤)です。3.初めに貼り替える曜日を決めて、1週間に2回、1回1枚、同じ時間に薬を貼り替えてください。4.背中、上腕、胸のいずれかの健康な皮膚に貼ってください。5.貼る場所は毎回変え、同じ場所に貼らないでください。6.貼り忘れに気付いたときは、気付いた時点で新しい薬を貼り、次からはいつもと同じスケジュールで貼り替えてください。<ここがポイント!>アルツハイマー型認知症は、認知症の原因の約6割を占める緩徐進行性の疾患で、記憶障害や複数の認知機能障害が特徴です。この認知機能の低下は、コリン作動性神経機能の低下と関連するといわれており、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が現在の治療の中心です。日本では、これらの薬剤は内服薬と貼付薬で販売されており、通常、1日1~2回の投薬が必要です。アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼの阻害薬であるリバスチグミンは、2011年4月に1日1回貼付の貼付薬として承認されました。貼付薬は投薬状況が可視化されるため、内服薬に比べて介護者の負担を軽減することができます。服薬管理の負担を一層軽減するために、さらなる投薬頻度の低減が求められていました。リバルエンLAパッチは、日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤であり、週2回の貼付が特徴です。従来の毎日1回の貼付薬に比べ、アドヒアランス向上が期待されます。外国人健康成人57例を対象に、本剤の51.84mg製剤を週2回(4日間と3日間の交互)またはリバスチグミン貼付薬(1日1回貼付)の18mg製剤を1日1回、上背部に11日間反復経皮投与したとき、リバスチグミン貼付薬に対する本剤の幾何平均値の比は、Cmax96-264で1.051(90%信頼区間[CI]:0.984~1.124]、Cmin96-264で1.078(0.978~1.189]、Ctau_264で1.086(1.018~1.158)およびAUC96-264で1.136(1.073~1.203)でした。このことから、51.84mg製剤の週2回投与がリバスチグミン貼付薬の18mg製剤の1日1回投与と同程度の曝露量を示すことが確認されました。軽度および中等度アルツハイマー型認知症患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験(国内第III相試験:NDT-2101試験)において、24週時のADAS-Jcogのベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、本剤群で-0.54(95%CI:-1.150~0.065)、リバスチグミン貼付薬群で0.30(-0.306~0.900)で、変化量の群間差は-0.84(-1.695~0.016)でした。群間差の95%CIの上限が事前に設定した非劣性限界値1.1を下回ったことから、リバスチグミン貼付薬群に対する本剤群の非劣性が検証されました。

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軽度認知障害の再考:MCIの時期までにやっておくべきこと【外来で役立つ!認知症Topics】第28回

MCIの現代的な意義誰しも加齢とともに物忘れをしやすくなるから、どこまでが生理現象でどこからが認知症なのかという問いは、ずっと以前からある。1962年にV. A. Kralが提唱した「良性健忘」と「悪性健忘」という概念は、このような疑問への初期の回答としてよく知られている。この後、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)が1990年代からRonald C. Petersenの定義を軸に着実に世界に浸透した。このMCIとは「認知症とはいえないが、記憶が悪くて日常生活に多少の障害があるのだが、なんとか自立しているレベル」を意味する。MCIの意義は、アルツハイマー病(AD)の早期発見と、当事者およびその介護者が将来への生活設計をする起点にあったと思う。またこの頃からADの新薬開発が加速し始め、そのターゲットとしてMCIが注目されるようになった。そして新薬はADになってからでは遅いとされ、このMCIが新薬の主たるターゲットになってきた。そしてレカネマブやドナネマブの登場により、MCIの意義が確かになった。とはいえ、従来のAD治療薬の効果が「天井から目薬」なら、筆者の実感ではこれらの薬の効果は「50センチ上から目薬」である。だから残念ながら、「早期発見」と「生活設計」が持つ意義は廃っていない。10年間で日本のMCIが1.4倍も増加さてMCI の予後に関しては、メタアナリシスで、4年で半分の人が認知症に進行することがほぼ定着している。一方で26%の人が、正常に戻ることも報告されている。わが国の認知症・MCIの疫学調査1)は、2012年と2022年に行われている。両時点の高齢者人口は3,079万人と3,603万人である。その結果概要として、認知症が462万人から443万に減少している。ところがMCIは400万人から559万人と、1.4倍も増加しているのである。画像を拡大する図. 認知症および軽度認知障害の有病率の推移(資料1より)この背景について、2つの私的推察をしてみた。まず前向きに捉えると、近年の欧米の報告と同様に、血管要因をはじめとする認知症の危険因子へ対応する人が増えてきたので認知症にはならずに、MCIでとどまる人が増えた可能性がある。つまり従来のMCI者は「4年で」半数が認知症になったのが、「5年、6年で」と変わったのかもしれない。反対も考えられる。2012年時点で認知症者の8割は80歳以上であった。Lancet誌のメタアナリシス2)によれば、認知症者は診断確定後の平均余命は5年前後である。すると2012~22年の10年間に2012年当時の認知症者の少なからぬ者が亡くなった可能性が高い。そうした死亡者数が新たに認知症になった人数より多かったから、2022年に認知症者は減少したのかもしれない。一方で2012~22年は、戦後のベビーブーマー世代が老年期に達し、さらに後期高齢者になった時代である。とすると、人数が多いこの世代におけるMCIの発生がMCI全体の数を増やしたとしても不思議でない。「太陽と死は直視できない」――エンディングノートを書けない理由ところで以前、本連載に「未来への連絡帳」くらいには言い換えて欲しいと書いたように「エンディングノート」の名は気を滅入らせる。リビングウィルに詳しい人と、その記述とMCIの関係を話し合ったことがある。エンディングノートは近年の隠れたベストセラーで、とくに敬老の日の前後は、多くの書店で山積みにされる。多くの人はこれを買っても最後まで書けないから、毎年9月になるとその売り上げは急増するのでベストセラーであり続ける由。ところでエンディングノートの難所は、介護の場、終末期医療、財産相続、そして葬儀関連の4つにあるそうだ。そしてなぜ書けないか?の「あるあるの理由」も知られる。「介護の場」では、在宅(家族)介護から施設介護にシフトすべき基準がわからないが最多だそうだ。「終末期医療」では延命治療の基本的なことも知らないし、子供たちに負担をかけたくないこと。財産相続では、子供たちが「争族」になったら困るので、財産の分け方を決めかねること。そして「葬儀関連」では、死に対する心理的抵抗が強くて考えられないとの由。要は「太陽と(自分の)死は直視できない」(ラ・ロシュフコー)ということか? だから「まあ何とかなるだろう。子供たちがどうにかやってくれるだろう」が多数派となる。「未来への連絡帳」に書き込めるのはMCIの時期までしかし認知症臨床の場では、当事者がターミナルに至った時に、また亡くなった後に、皆が困る事態に至る例が少なくない。エンディングノート(未来への連絡帳)を完成させるには、意思能力や合理的な判断能力が必要である。平たく言えば、精神活動の3要素とされる「知情意」(知は知能、情は情操、意は意志)がそろって健全でなくてはならない。しかし加齢と共に知のみならず、情・意のほころびも多くの人に忍び寄ってくる。「情」なら、腹立ち・イライラしやすくなる、お追従に弱くなりがちだ。「意」では、三日坊主、面倒臭いからやめておこう、といった具合である。私的な経験ながら、健全な情意の維持は、MCI期に至ると怪しくなると思う。だから「未来への連絡帳」に書き込めるのはMCIの時期までと意識したい。筆者自身も筆が止まる箇所がある。全部でなく「書けることは書いておく」だけでもいい。また書けない事項については、なぜそうかの箇条書きがあるだけでも、後に思いがけず役立つかもしれない。参考1)厚生労働省.認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計. 2)Liang CS, et al. Mortality rates in Alzheimer's disease and non-Alzheimer's dementias: a systematic review and meta-analysis. Lancet Healthy Longev. 2021;2:e479-e488.

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第6回 アルツハイマー病遠隔診療の可能性と落とし穴

米国の大手製薬企業イーライリリー(以下、リリー)が、アルツハイマー病患者を遠隔診療の医師につなぐ新たな取り組みを始めたことが報じられました1)。これは、従来から糖尿病や肥満などの疾患を対象にリリーが提供してきた患者向けプラットフォーム「LillyDirect」の一環として行われるもので、同社が販売している薬の服用機会を促すD to C(Direct-to-Consumer)のアプローチともいえます。ただし、今回のアルツハイマー病の場合には、実際に点滴を行う医療機関に患者を紹介する形をとっていて、患者本人がウェブ上で直接処方薬を購入する仕組みにはなっていません。しかし、リリーがアルツハイマー病の新薬ドナネマブをはじめとする治療薬を持つことから、患者との接点を増やし、診断から治療への流れを後押しする目的があるとみられています。この新しい取り組みでは、患者がアルツハイマー病専門の神経内科医に遠隔で診断を受けられる体制が注目されています。とくに地方や遠隔地に住む高齢者にとっては、通院負担の軽減というメリットが考えられる一方、老年科専門医の視点からは複数の懸念もあります。以下に、その要点を整理していきます。遠隔診療での早期診断と治療選択の可能性今回リリーが提携したのは、遠隔で神経内科医とつなぎ、必要に応じて脳の画像検査(MRIやPETなど)の手配、さらに点滴治療が可能な医療機関を紹介する企業「Synapticure」です。昨今早期診断が重視されるアルツハイマー病において、専門医が不足する地域でも、患者が遠隔で診療にアクセスできることは一定の意義があるでしょう。とくに新規抗アミロイド薬(脳内アミロイド斑を標的とする薬剤)は、早期の患者さんでの効果が示唆されていて、こうした治療機会に迅速につなげる意義は、否定はできません。また、Synapticure側も「遠隔診療での認知機能評価」「遺伝子検査(APOE4の有無など)」「点滴センターの紹介」を一元的にサポートすることを強調していて、患者家族の負担軽減や、専門医へのアクセスが困難な地域の課題解決を目指しています。すでに糖尿病や肥満などの領域で同プラットフォームが実績を積んでいることもあり、技術的な面や運用面での利便性が高いと期待されています。老年科専門医から見た遠隔診療の懸念一方、老年科専門医の立場からは、このニュースに関連していくつかの懸念を指摘できます。1)診断の複雑さまず、アルツハイマー病の診断には、長時間にわたる問診や認知機能検査、家族からの聞き取り、脳の画像検査、血液検査など多角的なアプローチが求められます。とりわけ高齢者の場合、合併症(心不全や腎機能低下、うつ病など)が認知機能に影響を与えることもあり、短時間のオンライン診療だけでは十分な評価が難しい場合が多いと思います。そのような点はどうカバーされるのでしょうか。遠隔でも専門医が対応するとはいえ、実際に対面での総合的な評価が必要になる場面は多いのではないかと考えられます。2)治療薬のリスク管理リリーを含め最近承認された抗アミロイド薬には、脳浮腫や脳出血などの副作用リスクが指摘されています。とくにAPOE4という遺伝子を持つ患者ではリスクが高まる可能性があり、投与後の定期的なMRIによるモニタリングや症状観察が欠かせません。遠隔診療で治療を開始する流れが加速すると、十分な副作用管理体制が整わないまま投薬が行われる懸念があります。3)利害関係の不透明さ患者がリリーの運営するプラットフォームを通じて専門医にアクセスし、最終的にリリーの薬を使用する流れが生じると、患者側としては「その治療選択が本当に中立的なのか」不安を覚えるかもしれません。会社側は「処方行為に対するインセンティブはない」と説明していますが、遠隔診療業者にとって製薬企業との連携が宣伝効果を高める構造的インセンティブが否定できない以上、処方バイアスのリスクはないとは言えないでしょう。これは大きな懸念点です。4)緊急対応や長期フォローの問題アルツハイマー病は長期的な経過観察が重要で、緊急時には認知症状以外の内科的問題や精神行動症状への対処も必要となります。遠隔で専門医にアクセスできるメリットはあるものの、高齢者の多様な問題に総合的に対応するには地域の医療・介護リソースとの連携が欠かせません。こうしたフォローアップの体制が不十分なまま遠隔診療が進むと、患者・家族の緊急時の混乱を増やす恐れもあります。今後の展開に注視をリリーの取り組みは、アルツハイマー病の早期発見・早期治療を支援するという一定の意義がある一方で、「複雑な認知症診療をどこまでオンラインでカバーできるか」「薬剤のリスク管理は十分か」「利益相反の透明性をどう担保するか」といった懸念もあります。遠隔医療の普及は、地域格差の是正や受診機会の拡大に貢献する期待がある反面、高齢者の多面的な健康問題や治療のリスクを考慮すると、そのリスクにもしっかりと目を向ける必要があるでしょうし、対面診療とのハイブリッド型のフォロー体制が不可欠でしょう。まして当該薬の効果が劇的なものではないと知られている中、ただ製薬会社や遠隔診療企業が利益を得るための過剰治療が行われるような構図にならないことを願うばかりです。また、こうした構図は将来的に日本でも構築される可能性があり、そうした意味でも注視していくべきプラットフォームではないかと思います。参考文献・参考サイト1)Chen E, et al. In a first, Eli Lilly to connect patients to telehealth providers of Alzheimer’s care. STAT. 2025 Mar 27.

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頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版

10年ぶりの改訂版!2015年に発行された頭痛専門医試験問題・解答集の第2版。本書には2019~24年に実際に出題された1,200の試験問題から266問を精選して収載し、詳細な解説を行った。なお、Part1~3の3章構成で問題を振り分けており、Part1では実地臨床からの出題、Part2では臨床問題に加えて頭痛医学の基礎となる解剖や神経生理、生化学、遺伝学などの分野からの出題、Part3では画像や図を扱う問題が中心となっている。また、第2版では索引を設けており、キーワードによる出題検索が可能となった。代表的な2つのガイドライン『国際頭痛分類 第3版』『頭痛の診療ガイドライン2021』に準拠している。読者対象は、神経内科医・脳神経外科医・麻酔科医、その他小児科医、産婦人科医、耳鼻咽喉科医、精神科医、眼科医、リハビリ医・救急医、プライマリ・ケア医、および関連職種の医療従事者と多岐にわたる。2021年承認のCGRP関連抗体薬など頭痛診療は日々発展しており、頭痛による疾病負担や労働生産性の損失が問題視されるなかで、頭痛専門医の果たす役割は大きい。専門医を目指す受験生や知識を整理するための自己学習に役立つ1冊である。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版定価7,480円(税込)判型B5判(並製)頁数312頁(写真・図・表:70点)発行2025年3月編集日本頭痛学会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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下痢後に急速に進行する筋力低下と腱反射低下【日常診療アップグレード】第27回

下痢後に急速に進行する筋力低下と腱反射低下問題26歳女性が下肢に力が入らないと訴えて来院した。3週間前に数日間続く下痢があった。10日前から腰痛が出現し、下肢の力が入りにくく階段を上がることが次第に困難になってきた。バイタルサインは体温37.2℃、血圧120/80mmHg、脈拍数116/分、呼吸数20/分。膝蓋腱反射とアキレス腱反射は低下している。脳脊髄液検査では細胞数、タンパク質、グルコースの値は正常である。血漿交換を行うこととした。

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音楽療法で認知症患者の抑うつ症状が軽減、レビューで示唆

 音楽療法は認知症患者の気分を高め、抑うつ症状を和らげるのに役立つ可能性のあることが、新たなエビデンスレビューにより明らかになった。また、音楽療法により行動上の問題が改善する可能性のあることも示されたという。論文の筆頭著者である、ライデン大学(オランダ)医療センターのJenny van der Steen氏は、「この調査により、音楽療法の効果についての理解が深まり、特に、介護施設での認知症ケアに音楽を取り入れることの根拠が強まった」と述べている。この研究の詳細は、「Cochrane Database of Systematic Reviews」に3月7日掲載された。 この研究では、総計1,720人を対象に15カ国で実施された30件の研究データがレビューされた。このうち28件の研究データ(対象者1,366人)はメタアナリシスに用いられた。目的は、認知症患者に対する音楽療法が、感情的ウェルビーイング(生活の質〔QOL〕を含む)、感情障害や否定的な感情(抑うつ症状や不安など)、行動上の問題(全体的な行動上の問題や神経精神症状、特に興奮や攻撃性)、社会的行動、認知機能に与える影響を調べることだった。対象者のほとんどは介護施設に入所しており、個別またはグループでセラピーを受けていた。 その結果、5回以上のセッションから成る音楽療法ベースの介入は、通常のケアと比べて認知症患者の抑うつ症状をわずかに改善する可能性があり(標準化平均差−0.23、95%信頼区間−0.42〜−0.04、9件の研究、エビデンスの確実性は中)、行動上の問題を改善する可能性のあることが示唆された(同−0.31、−0.60〜−0.02、10件の研究、エビデンスの確実性は低)。一方で、音楽療法は興奮や攻撃性を改善しない可能性が高いことも示唆された(同−0.05、−0.27〜0.17、11件の研究、エビデンスの確実性は中)。さらに、感情的ウェルビーイング、不安、社会的行動、認知機能についても改善しない可能性が示唆された(いずれもエビデンスの確実性は低〜非常に低い)。しかし、他の治療法と比較すると、音楽療法は社会的行動を改善し(同0.52、0.08〜0.96、4件の研究、エビデンスの確実性は低)、不安を軽減する(同−0.75、−1.27〜−0.24、10件の研究、エビデンスの確実性は非常に低)可能性が示唆された。 Van der Steen氏は、「音楽療法は、他のグループ活動以上の効果があり、認知症の後期段階であっても魅力的で利用しやすい方法で気分や行動をサポートするのに役立つ」と述べている。同氏は、「介護施設の管理者は、認知症ケアに対するパーソンセンタード・アプローチの一環として、構造化された音楽セッションを組み込むことを検討すべきだ」と付け加えている。 共著者の1人である、アートEZ芸術大学(オランダ)のAnnemieke Vink氏は、「音楽療法は、薬を使わずに悲しみや不安を和らげる方法だ。われわれは、最近の研究の質の向上とエビデンスの蓄積により、音楽療法やその他の非薬物療法にさらなる注目が集まることを期待している。効果の大きさを見ると、音楽療法は薬物療法の代替手段として妥当であり、より患者中心的だ」と述べている。 ただし研究グループは、特に介護施設以外の地域社会での音楽療法の長期的な効果については、さらなる研究が必要だとしている。

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メトロニダゾール処方の際の5つの副作用【1分間で学べる感染症】第23回

画像を拡大するTake home messageメトロニダゾールを使用する際には、神経症状を含む5つの重要な副作用を覚えておこう。メトロニダゾールは、嫌気性菌や原虫感染症に対して広く使用される抗菌薬です。しかしその使用に伴っては、いくつかの重大な副作用が報告されています。とくに、長期間の使用に関連する神経学的副作用には注意が必要です。今回は、メトロニダゾールの代表的な5つの副作用について解説します。1. 消化器症状メトロニダゾールの副作用として一般的なものに、消化器症状があります。とくに悪心や嘔気が約12%の患者に発生します。2. 味覚変化(金属味)メトロニダゾールの服用により、口の中で金属のような味覚異常を来すことがあります。これは約15%にみられるもので、食欲低下につながる患者さんも少なくありません。3. 脳症メトロニダゾールは中枢神経系に影響を及ぼすことがあり、とくに長期使用や高用量投与において脳症を引き起こすことがあります。典型的な症状には、運動失調、構音障害、めまい、混乱などが含まれます。MRI検査では、小脳歯状核にT2高信号が認められることがあります。メトロニダゾール使用中に小脳症状を来した場合は、メトロニダゾール脳症を疑う必要があります。4. 末梢神経障害メトロニダゾールの長期使用により、末梢神経障害を引き起こすことがあります。手足のしびれが最も頻度が高い神経学的症状です。多くの場合、薬剤の中止により症状は改善しますが、不可逆的なケースも報告されており、注意が必要です。5. ジスルフィラム様反応メトロニダゾールはアルコールと併用すると、ジスルフィラム様反応(顔面紅潮、頭痛、悪心、嘔吐など)を引き起こすことがあります。メトロニダゾール服用中はアルコール摂取を避けるよう指導することが重要です。以上、メトロニダゾールは一般的に安全に使用される抗菌薬ですが、上記の5つの副作用を念頭に置いておく必要があります。長期的な使用による影響はもちろんですが、なかには短期使用でも脳症や末梢神経障害を来す報告もあるため、注意が必要です。1)Daneman N, et al. Clin Infect Dis. 2021;72:2095-2100.2)Matsuo T, et al. Int J Infect Dis. 2019;89:112-115.3)Sobel R, et al. Expert Opin Pharmacother. 2015;16:1109-1115.4)Karrar HR, et al. J Pharma Res Int. 2021;33:307-317.

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レム睡眠潜時の増長がアルツハイマー病のマーカーとなる可能性

 レム睡眠潜時の増長は、アルツハイマー病およびアルツハイマー病関連認知症(AD/ADRD)のマーカーとなり得るという研究結果が、「Alzheimer's & Dementia」に1月27日掲載された。 中日友好病院(中国)のJiangli Jin氏らは、睡眠構造とAD/ADRDとの関係を調査するため、成人128人(アルツハイマー病64人、軽度認知障害41人、正常認知機能23人)を登録した。対象者は睡眠ポリグラフ検査、アミロイドβ(Aβ)PET検査、血漿バイオマーカー分析(p-tau181、ニューロフィラメント軽鎖、脳由来神経栄養因子〔BDNF〕を含む)を受けた。 人口統計学的特性、アポリポ蛋白Eε4の状態、認知機能、併存疾患で調整した解析の結果、レム睡眠潜時が最長の最高三分位群は、最低三分位群と比較して、Aβ負荷の上昇、p-tau181の上昇、BDNFレベルの低下との関連が認められた(それぞれβ=0.08、0.19、-0.47)。 著者らは、「レム睡眠潜時の増長は、Aβ蓄積および血漿p-tau181の上昇、BDNFレベルの低下など、AD/ADRDの主な病態生理学と関連していた。これらの病理学的変化は通常、臨床症状に10年以上先行するため、われわれの研究結果は、AD/ADRDの早期発見および介入におけるレム睡眠の関与に関し、新たな洞察をもたらす可能性がある」と述べている。 なお1人の著者が、バイオ製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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